デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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桐生「仮面ライダービルドであり、天っ才物理学者の桐生戦兎は!第二の精霊四糸乃を封印した後も、仮面ライダーとして活躍していた!そんな戦兎達の元に、自らを精霊と名乗る、謎の少女、時崎狂三が転校してくる」

万丈「ただ自分のことを精霊だって言う、厨二病患者とかじゃないのか?」

士道「………」

桐生「いやー流石にそれは無いでしょ。いい歳した高校生がそんな風に自己紹介しちゃ、クラスで孤立しちゃうよ」

万丈「だよな!そんな訳ねえよな………って、それはそれで一大事じゃねえかよ!」

士道「…………」

桐生「お、万丈にしちゃあやけに察しがいいじゃねえか。こりゃ今日は雪でも降るか?」

万丈「おい!幾ら何でも馬鹿にしすぎだろ!俺が本気出したらアレだぞ!ネプソン並みだからな!」

桐生「んー?もしかしてエジソンの事を言いたいのかなー?そーんなことも分からないなんて馬鹿だなー万丈はー!………ところで、さっきから何で士道黙ってるんだ?」

琴里「そっとしといてあげなさい。自分の黒歴史に精神が病んでしまったのよ………。と言うわけで、第21話をどうぞ」

桐生「お前がそれ言うの!?」





第21話 悪夢はデートの誘いに微笑む

自らを精霊と名乗った少女、時崎狂三が転校してきた日の、帰りのホームルームにて。

 

「連絡事項はこんな所ですかね。_____あ、それと。最近この近辺で、妙な失踪事件が頻発しているそうです。皆さん、できるだけ複数人で、暗くなる前にお家に帰るようにしてくださいね」

 

「…………ん?」

 

タマちゃん教諭のその言葉に、士道は小さく唸った。

そういえば、朝のニュースでそんな事を言っていた気がする。何でも、市内で最近妙な事件が多発しているとか。高校生くらいの男女が失踪したり、老人の死体の血が抜かれていたり、夜中に笑い声が聞こえたり_____と、どれも小規模なニュースであったものの、そのどれにも『天宮市』の名前が出ていたので、意識の端に引っかかっていたのだ。

 

士道や戦兎、万丈はともかくとして、琴里には気を付けさせておかねばならないだろう。………まあ、あの妹様の場合、杞憂となる可能性の方が高いだろうけど。

 

その後は起立の号令とともに、クラスメイト達は下校の準備をしたり、談笑をしたりする光景が見えてきた。

 

時間は既に下校時刻である。だが、士道達にはまだ仕事が残っていた。

 

「………士道」

 

「ああ……」

 

士道と戦兎と万丈はポケットから小さなインカムを取り出し、右耳に付ける。

 

『_____時間ね。用意はいい?士道、 戦兎、万丈。にしても……………』

 

琴里から呆れたような、驚いたような声が聞こえてくる。きっと今頃はフラクシナスのクルーが、精霊攻略の準備を整えている事だろう。

 

『まさか、本当に精霊だったなんてね。てっきり士道の妄言かと思ったわ』

 

「おいおい……」

 

琴里の言葉に、半顔を作る。

だが、それも無理からぬ事だろう。実際、士道と戦兎とて半信半疑だったのだ。まさか、精霊が堂々と転入生としてくるだなんて。

琴里に依頼していた狂三の観測結果は、昼休みに士道達の携帯電話へと送られた。そして結果から言うと、彼女は本当に精霊であった。

 

『まあでも、かえって好都合だわ。向こうからお誘いをかけてくれるなんてね。警報が鳴ってない以上、ASTも迂闊にちょっかいはかけられないでしょうし、願ったり叶ったりじゃない。今のうちに好感度上げて、デレさせちゃいなさい』

 

「随分あっさり言うなー」

 

「まあ、でも………そう、だよな」

 

士道は歯切れ悪く言うと、頰を掻いた。

しかし、戦兎の胸中には、言い知れぬ不安感が募っていた。狂三がこの学校に転入してきた、その意図が見えてこなかったのである。その為今の戦兎には、何かモヤモヤとした、心では表せない蟠りのようなものがあったのである。

 

『_____どうやら、あんまりのんびりしている暇もなさそうよ』

 

「へ?」

 

士道が声を発すると同時、その肩がちょんちょん、とつつかれた。

 

「士道さん、士道さん」

 

「うぉ……っ!?」

 

「ごめんなさい、驚かせてしまいましたか?」

 

突然のことに驚いてしまう。

そこに立っていた、狂三が申し訳なさそうに言ってくる。

 

「と、時崎………」

 

「うふふ、狂三で構いませんわ。戦兎さんも龍我さんも」

 

「あ、ああ……じゃあ、狂三」

 

「よろしくな、狂三」

 

「おう、狂三」

 

『キュルゥ!』

 

「あら?この子は………」

 

すると、士道の鞄からガルーダが飛び上がり、狂三の周囲を回って挨拶がわりの様に鳴き声を鳴らす。

 

「おいガルーダ……あーこの鳥は俺の……ペットみたいなものだ」

 

「あら、可愛らしい鳥さんがいらっしゃるのですね。こんにちは」

 

『キュルキュルゥ!』

 

ガルーダが返答がわりに鳴くと、狂三は嬉しげに微笑んでから言葉を続けてきた。

 

「学校を案内して下さるのでしょう?よろしくお願いしますわ」

 

「……おう」

 

士道は返事をして、顔がほんの少し赤くなってしまった事を自覚しながら、戦兎達と一緒に狂三を案内することにした。

 

 

 

 

「……しかし、まさか彼女の方から、接触するとは」

 

来禅高校内にある、人気の無い教室。

そこに、ひとりの白衣の男性がいた。紫色の眼に、膝上程度にまで伸びた黒い長髪。中性的な見た目も相まって、初見では女性と間違われるかもしれない容姿。

 

先月に来禅高校へと赴任してきた、神大(かみひろ)針魏(しんぎ)教諭である。最初こそその常人離れした容姿から物珍しそうにも見られた彼だったが、一ヶ月もする頃には落ち着いていた。

 

「やれやれ、こうも目立つ自分の見た目が煩わしいよ」

 

だったら髪を切るなりなんなりすりゃあ良いじゃねえか

 

そこに、底冷えするような、常人であれば震えてしまうような声が聞こえる。

そして針魏がいる後ろの空間が、突如として歪む。そのまま、歪みは一つの形となり、紫色の道化師____マッドクラウンの姿を生み出した。

しかし針魏は特に動揺する様子もなく、小さく笑って応えた。

 

「なんだ、いるならいるって言いなよ、クラウン」

 

言ったってお前が反応した試しがねえじゃねえかよぉ

 

揶揄うような楽しげな口調の針魏に、クラウンもまた楽しげに返す。

会話の内容を聞くだけなら、日常生活でもありそうな会話である。

 

しかしその声と、纏う雰囲気は______明らかに、日常生活のそれではなかった。

 

「いやぁ〜、これはもう私のアイデンティティーみたいなものだし、それはちょっと違うかなぁーって」

 

めんどくせえ奴だなぁ……。あ、そういや、あのベルトはどうなった?

 

クラウンが何かを思い出したように、話を持ちかけてくる。すると針魏も慣れた様子でパソコンを開き、操作した。

 

「うーん、まだ試作だから何ともねぇ……ま、あの娘での実験結果は、今のところいい数字だけどね」

 

ほぉー、ま、こんなもんか。にしても……恐ろしいベルトだねぇ……

 

クラウンが心底面白いように、言葉を吐く。

 

クラウンが目にしたウィンドウには、様々な数値やデータが記載されていた。

それがどんな恐ろしい意味を示しているのかを、クラウンは理解し、そして尚、面白いと笑った。

 

そのデータには_______【被験体012:崇宮真那】の名称が記載されていた。

 

 

 

 

その後の狂三とのデート、もとい学校案内は、トラブルこそ起こったものの、概ねいい感じで事が進んだ。途中、琴里の誤指示で士道がパンツがどうのこうのとか言ってしまったので、慌てて戦兎が口を塞いだが。

 

その後は十香や折紙の介入などもあったが、戦兎達がスマッシュの反応を受け現場に向かった事と、折紙が急にどこかへ向かってしまった事などもあって、どうにかやり過ごせた。

 

そして、今は午後六時。

学校案内を終え、夕日に照らされた道を歩いて帰宅していた。十香も付いてきて。

十香がいたこともあって、屋上や保健室へ行ってもそこまでロマンチックな空気にならずに済んだのだ。ちなみに戦兎達は本来なら、そのポイントへ行く前に何か理由をつけて離脱する予定だったらしい。スマッシュが現れたのは、不幸中の幸いというべきか。

 

「まあ、大体あんなところだ。わかったか?」

 

「ええ。感謝いたしますわ。……途中で戦兎さん達が抜けてしまったのが、残念ではありますが」

 

「あ、ああ。まあな」

 

『キュルルゥ』

 

冗談めかして言ってくる狂三に苦笑で返す。

いや、精霊の好感度を上げるのなら、十香達がいたことは憂慮するべきなのだろうが……なんというか、狂三と二人きりでムード満点の場所に放り込まれたら、そのまま取って喰われて砕け散って……みたいな感じになりそうだったのである。

例えるなら_____見る者を虜にし、自らへ寄ってきた虫達を食う、食虫植物のような。

 

「いやいや……」

 

『キュルゥ?』

 

士道は自分の思考に小さく首を振る。流石にそんな表現は、女の子に向かって失礼過ぎるというものだ。

すると。

 

「それでは士道さん、十香さん、わたくしはここで失礼いたしますわ。戦兎さん達にも、よろしく伝えておいてください」

 

「え?お、おう……」

 

「む、そうか。ではまた明日だ」

 

士道と十香が小さく手を振ると、狂三は夕日の中に消えていった。

 

 

 

 

それから、数分の後。

 

「…………あら?」

 

狂三は()()を終えた後、不意に全身を襲った感覚に、眉をピクリと動かした。

全身を無遠慮に撫で回されるような感触。巨大生物に咀嚼もされぬまま、胃袋へ丸呑みされたとしたら、こんな感覚なのかもしれない。

 

この感覚は、初めて感じるものではなかった。

現代の魔術師(ウィザード)顕現装置(リアライザ)とかいう機械を使って作り出した結界、随意領域(テリトリー)

その中でも特別で、とても濃い気配_______間違い無く、あの女。

 

「_____ち、一足遅かったですか」

 

それを裏付けるかのように、狂三の眼の前に一人の少女が姿を現した。

髪を一括りにした、中学生くらいの女の子である。装いはパーカーにキュロットスカートとラフなものだったが、その身に纏った空気は、獲物を見つけた猛禽類さながらに鋭かった。

 

「また派手に食い散らかしてくれたようですね。【ナイトメア】」

 

「あらあら、あなたは………崇宮真那さん、でしたかしら?」

 

狂三が小さく首を傾げながら言うと、真那は不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 

「私の名を覚えてやがった事は褒めてやります。ですが…………気安く呼ばれるのは、反吐が出やがりますね」

 

そう言うや、真那は懐から、注射器のような形をしたバックル______【リバースドライバー】を取り出し、腰にあてがった。銀色の【フィクセスバインダ】が巻きつく。

 

「あら、これは失礼いたしました。ですが____わたくしも【ナイトメア(悪夢)】なんて呼ばれるのは悲しいですわ。名前とは大事でしてよ」

 

「大事だから、貴様には呼んで欲しくねーんです。大事だから、貴様は呼んでやらねーんです」

 

会話を続けながら、真那は手にした、手のひらサイズの試験管のような形をしたボトル_____【ウルフオルタナティブフルボトル】を取り出し、二回ほど振って内部成分、【トランリバースリキッド】を活性化させる。それをバックルの左側部へと挿し込み、右側部にあるハンドルレバー、【アブソーブチャージャー】を引く。

 

 

WOLF ALTERNATIVE】

 

 

無機質な音声とともに、重低の待機音が鳴り響く。

そのまま真那は、軽くファイティングポーズを取り、言い放つ。

 

 

 

「______変身」

 

 

 

そして、アブソーブチャージャーを押し込む。オルタナティブボトル内の成分が、エネルギー変換装置【アブソーブリアクター】へと送られ、変身用顕現装置(リアライザ)が臨界駆動を始まった。

 

 

ABSORB CHANGE

 

 

またも無機質な音声が流れ、真那の周囲にはフラスコ瓶状の高速ファクトリー【ボトルリバーストランサー】が展開され、内部に成分が充填される。

 

「……………っ」

 

その成分に浸かりながら、真那に全身の細胞が入れ替わるかのような苦痛が一瞬襲う。

 

否_____実際に、入れ替わっているのだが。

 

その一瞬の苦痛の後、全身にアーマー、【ウルフェンアウトアーマー】が生成され、装着する。

その後に真那を覆っていたフラスコ瓶が割れ、内部成分が真那へと集約し、フルフェイスマスクと胸部追加アーマーを生成する。

 

 

 

WOLF IN DEMOLISH

 

 

 

_____そこにいたのは、狼のライダーだった。

 

 

青く光る、まるで獲物を探し出すことのみに特化したような複眼。

 

マスクに刻まれた、狼の牙の意匠。

 

全身至る所に配置された、牙や爪のような鋭い刃。

 

 

全身が白く、そして凶暴なシルエットを持ったその姿は、ゆっくりと狂三へ歩み寄って行った。

 

「ふふ、難しいお方」

 

「黙ってろよ、クズ精霊」

 

真那______否、仮面ライダーデモリッシュが、その青い複眼をより一層光らせる。

 

夕日に照らされ、路地裏で複眼のみが青く光り、黒く影に覆われた、そのシルエットを見て。

 

 

STAND BY

 

 

狂三は、肌の表面が散り吐くのを感じた。

 

 

DEMOLISHON FINISH

 

 

最後に聞こえた、低く無機質なその機械音を最後に。

路地裏から音が消えた。

 

 

 

 

狂三と別れた後、士道は十香を伴い、近所のスーパーで買い物を済ませていた。ちなみに戦兎達は既に家へ帰宅しているらしく、先程メールが来た。どうやらまた新しくベストマッチの組み合わせのボトルが手に入ったらしく、メールの文面がテンションマックスだった。

 

ずしりと重いビニール袋を右手に引っ提げ、だいぶ暗くなってしまった道を歩く。スーパーに来たタイミングで丁度タイムセールが始まり、三割引の合挽肉が大量に手に入ったのだ。

 

「シドー!今日の夕飯はなんだ?ハンバーグか?」

 

十香も最近は材料からメニューを察する力がついてきたらしい。興奮気味に聞いてきた。

 

『あ、私もそれに一票。………あ、今日の夕飯の話よ』

 

と、まだ通信の繋がっていた琴里からも聞こえてくる。後ろは誰に向かって言ったのだろうか。

すると、ケータイからピロリン♪とメールの着信音が鳴った。

メールを開くと、戦兎からだった。

 

『ハンバーグでよろ。』

 

 

どうやら戦兎に晩飯について聞いていたと言っていたようだ。

 

「分かった。んじゃ今日はハンバーグで_____」

 

と、言おうとしたところで。

前方から、ざっ、とスニーカーの底でアスファルトの道を擦るような音が聞こえてきて、士道はふと顔をそちらに向けた。

 

「ん?」

 

そこには、ポニーテールに泣き黒子が特徴的な、琴里と同年代くらいの女の子が、驚愕に目を見開きながら立っていた。

 

「………?」

 

見知らぬ顔…………の、はずなのだが、士道は小さく首を捻った。

何だろう、妙に既視感があるというか…………どこかで、会ったことのあるような気がしてならなかった。

 

「!?……っつ………」

 

と、そこで急に頭がキーン!と痛くなり、一瞬頭を伏せてしまう。と言っても痛みは一瞬で、すぐに収まったが。

 

「む?シドー、どうしたのだ?」

 

「い、いや。大丈夫」

 

とそこで、少女が士道達のいる方向をジッと見つめてきていることに気づく。

後ろを振り返ってみるが、ゴミ捨て場や電柱くらいしか見受けられない。

あとは、少女の視線の先にあるものといえば士道くらいで______

 

と、そこまで士道が考えを巡らせたところで。

 

「に」

 

少女が、震えながら唇を動かした。

 

「に?」

 

士道が思わず聞き返すも、少女は答えなかった。

そしてそのまま、その場から駆け出し士道の胸元へ飛び込んできた。

 

「なっ………!?」

 

そのまま身体に手を回し、感極まったようにぎゅぅぅ、と抱きついてくる。

そしてそのまま、少女はこう言ってのけた。

 

「______兄様…………ッ!!」

 

『は…………はぁっ!!??』

 

 

その瞬間、路上とフラクシナスの艦橋で、五河兄妹の声がベストマッチに噛み合った。

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
全然戦兎が目立たなかった事については申し訳ありません。これも全てゴルゴムのディケイドに変身する乾巧って奴の仕業なんだ。(責任転嫁)

はい、と言うわけで、真那のライダー名が判明しました。ちなみにドライバーの待機音については、Undertaleの『Undyne』ってBGMの前奏がリピートしてる感じだと思っていただければ。分からない人はようつべで『Undertale Undyne』で検索したら出てくると思います。

そして第2章でちょろっと出てきたオリキャラが、再登場してきました。今後はガッツリ本編に関わってきます。え?こんなキャラ知らないだって?第13話にちょろっと登場してるから、見てきて、どうぞ。(露骨な宣伝)

それでは次回、『第22話 シスターの帰還』をお楽しみに。

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