デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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桐生「と、言うわけで!天っ才物理学者を自称する自意識過剰ナルシストな桐生戦兎は………って!誰だよ台詞書き換えた奴!」

クラウン『俺だァッ!

万丈「お前かよ!なんでお前があらすじ紹介にいんだよ!」

クラウン『細けえ事は気にすんなよ!こほん、第三の精霊、時崎狂三と出会った桐生戦兎と愉快な仲間たちは、霊力を封印するため攻略することになり、彼女をデートに誘う!しかぁーし!そこで驚愕の事実が発覚しぃー!?

桐生「ちょいちょいちょい!なんで全部言うつもりで流れ進めてんだよ!」

クラウン『ハッハァー!どうだぁ俺のアドリブ演技!今度役者やろうと思っててよ〜

万丈「勝手にやってろよ!」

クラウン『と!言うわけで、気になるやつは第25話を見ろぉっ!

桐生「ああっ!結局全部言われた!」






第25話 時の破壊者と枯れたハート

「ふぅ………士道さんたら、せっかくのデートですのに、今日は随分と忙しないですわね」

 

公園のベンチに腰掛けながら、狂三は小さく息を吐き出した。

時刻は三時三十分。士道が通算で三十度目のトイレに立った後である。デートを始めてからかれこれ五時間は経っているが、一緒にいたのはその三分の一程度だった。

 

「____まあ、でも、いいですわ」

 

狂三は手の平に顎を置いて、ふふ、と微笑んだ。

そんな事は些細な問題だ。全ては過程であって、それが目的ではない。

 

「どうせ最後は_____私の物になるんですもの」

 

人差し指で頬をトントンと叩きながら、鼻歌を口ずさむ。

ふと目を閉じると、自然と士道の顔が浮かんだ。

 

それが恋なのかどうかは_____狂三には、判断しきれなかった。

 

「_____ふふ」

 

それがまたたまらなく愛おしくなって、さらに笑みを濃くした。

 

 

 

 

士道は十香と分かれたあと、すぐさま狂三の元へと向かっていた。かなりの回数席を立ってしまったが、弱音を吐いては居られない。

とはいえ、かなりの体力を消耗したのも事実。十香と狂三と折紙の間を三十週。もうスマッシュなんて目じゃない。

と、そこで。

 

「キャァァァーーッ!!」

 

「ッ!?」

 

遠くから、悲鳴のようなものが聞こえ、次に、呻き声が聞こえた。

いつも聴き慣れた呻き声に、士道は急いでその場へ向かった。

 

「アゥグルァァァァァア!!!」

 

「ママーっ!」

 

「っ、スマッシュ!」

 

そこには、呆然と腰を抜かした様子の親子と、それに迫ってくるスマッシュの姿が見えた。

居てもたっても居られなくなり、その場へと走り抜ける。

 

『ちょっと士道!単独行動はやめなさい!』

 

「黙って見過ごすわけにもいかねえだろ!」

 

琴里からの通信を投げやりに返し、そのままスマッシュへと向かっていく。

 

「オリャーーッ!!」

 

「グゥッ!?」

 

スマッシュに思いっきり体当たりを食らわせ、親子と距離を離す。その隙に士道は後ろへ行き、親子に避難を促した。

 

「逃げて下さい!早く!」

 

「あ、ありがとうございます………!」

 

親子は戸惑いながらも、母親は子供を抱えるようにしてその場から逃げた。

そして、そのままスマッシュへと向きかえる。

 

「ガルーダ!」

 

『キュルッキュイーッ!』

 

士道が呼ぶと、その場に赤い鳥型ガジェット、【アライブガルーダ】が飛翔し、そのまま組み込まれた変身プロセスによって手のひらへと収まる。

そしてドライバーを装着し、投げやりにボトルを振ると、勢いよくガルーダへと差し込んだ。

 

Get Up!ALIVE-SPIRIT!

 

そのままレバーを回し、高速ファクトリー【スナップリアライズビルダー】を展開、朱色の【スピリットアーマー】を形成させる。

 

 

Are You Ready?

 

 

「変身ッ!」

 

 

力強く叫ぶと、生成されたアーマーが士道を挟み込んだ。

 

Get Up Strike!Dead Or ALIVE-SPRIT!!イェーイッ!!

 

「ウォォォーーッ!!」

 

変身を終え、アライブとなった士道は、そのままスマッシュへと向かっていく。

腕部の【ファイアークロウラー】により強化された攻撃力でもって、スマッシュの巨体へと連続攻撃を決め込む。

 

「ウグゥ!ウゥァァァァアッ!!」

 

しかし、スマッシュも負けていない。

前屈の姿勢になると、そのままアライブへと突進攻撃を仕掛けてきた。

 

「なっ!?」

 

不意をつかれたアライブは、そのまま攻撃をもろに受け、吹き飛ばされてしまう。

 

「くそっ………」

 

かなり吹き飛ばされてしまったため、衝撃が全身を伝わる。痛みはないが、動きが止まってしまった。

そのまま、相手が変わらぬ超スピードで以って、こちらへ向かってくる。

 

「あっ………そういや、アレ、完成したとか、言ってたよな………」

 

その時、アライブの脳裏に今朝戦兎に言われたある報告が頭をよぎる。

 

「一か八か………!」

 

アライブが立ち上がった瞬間。

【スナップリアライズビルダー】が、一つの武器をアライブの目の前に形成した。

 

 

ALIVE LASTER!

 

 

目の前に現れたそれは、一見するとアサルトライフル程の大きさの、光線銃型の武器だった。

しかしその本体のカラーや、銃口の形状、銃身下部のブレード状パーツ、ボトルを差し込む為に設けられたと思しきパーツから、それがアライブの専用武器であると分かった。

 

「これなら……!」

 

現れた武器、【アライブラスター】のグリップを持ち、構える。

そして突進してくるスマッシュ目掛けて、一瞬躊躇いながらも引き金を引いた。

 

「ゥグルゥッ!?」

 

瞬間、銃口から光線が放たれ、スマッシュへ直撃する。それはスマッシュの突進を止めるのには十分な威力だったらしい。スマッシュは突進を中止させられ、地面へと転がった。

 

「よし!これならいける!」

 

そのまま、銃身に取り付けられたボタンを押す。

 

SLASH VERSION!!

 

すると、ドライバーと同じ音声と共に、ブラスターが変形、光刃のブレードへと変化を遂げた。

 

「おお……!よし!」

 

「ウグゥァァァァーーッ!!」

 

そのままブレードを構えると、立ち上がって尚も向かってくるスマッシュの方を向く。そして、グリップ部のトリガーを押す。

 

 

オシコーメッ!

 

ONE SLASH!!

 

 

音声とともに、ブレードを覆うように朱炎のエネルギーが現れる。

 

「ハァーーッ!!」

 

そのままブレードを勢いよく振ると、エネルギーを伴ったままブレードはスマッシュへ直撃し、衝撃波を生みながら吹き飛ばした。

 

「ウグゥゥッ!?」

 

その隙を逃さず、ドライバーのボトルを引き抜き、ブラスターへとセットする。そのままトリガーを今度は二度押した。

 

 

FEVER TIME!オシコーメッ!オシコーメッ!

 

TWO BURST!!

 

 

エレキギターのような待機音とともに、炎雷の如しエネルギーが巨大なブレードを生み出す。そのまま一歩踏み出し、構えると、アライブはそれを_____

 

 

「ハァァーーーーーオリャーーーーッ!!!!」

 

「ゥグルゥゥゥァァァーーッ!!!」

 

 

スマッシュ目掛けて、思いっきりぶつけた。瞬間、スマッシュは爆散し、ブラスターのエネルギーも掻き消えた。

 

「ハァッ………ハァッ………」

 

激しい疲労感を伴いながら、地に伏せ耳に手を当てる。ただでさえ消耗した状態で、その上スマッシュと戦ったのだ。ハザードレベル3.0でも、その疲労は今まで士道が感じたことのない程の物だった。仮面の下で汗が流れ、全身の筋肉が悲鳴をあげているのがわかる。

 

「ハァッ、ハァッ………琴里、聞こえるか?戦兎に………スマッシュの浄化、頼んでくれ………ッ」

 

『………分かったわ。それで、悪いけれど…………』

 

「………分かってるさ。今から、狂三のもとに………」

 

と、士道が言った瞬間。

 

『し、司令!微弱ですが、付近に霊波反応が………!』

 

不意にインカムの向こうから、別のクルーと思しき男性の声が響いてきた。

 

『どこ?』

 

『公園東出口の路地裏です!この反応は_____間違いありません。時崎狂三です!』

 

「…………っ!?」

 

アライブは肩を揺らしてバッと顔を上げる。その公園は、今まさにアライブから数メートルのすぐの距離にあったのだ。

 

『………何かあったのかしら。士道、向かってみてくれる?一応、変身は解除しないでおいて。何が起こるか分からないわ。気付かれないように近付いて』

 

「あ、ああ………!」

 

不穏な言葉に緊張感が走り、全身の倦怠感に耐えながら、アライブは公園へと向かって行った。

フラクシナスからの誘導に従い、自動販売機の脇を通って、狭い路地を走っていく。

そして。

 

 

「________は?」

 

 

目的の場所に着いた瞬間。

アライブは、否、士道は、呆然と目を見開き、その場に立ち尽くした。

 

 

マスク越しの視界を埋め尽くしたのは_______沢山の、赤だった。

 

 

灰色の塀や地面の上に、夥しい量の赤がぶちまけられている。まるで、バケツに入れた赤絵の具をそこら一帯にぶちまけたようだった。

 

そして所々に、歪な形をした大きな塊が三つ、浮かんでいた。

 

あまりに馴染みないその光景に、士道は一瞬、状況が理解できなかった。

 

否______一瞬を超え、数瞬を超え、数秒を超え。

 

それが何かを薄々分かり始めながら、しかし脳内はその事実を拒絶しようとした。

 

だって、そんなの、有り得るはずがない。

 

こんな街中で、こんな日常の中で。

 

 

 

______人が、死んでいるだなんて。

 

 

 

「あ、あぁ…………うわぁぁぁぁぁあああああぁぁぁッ!!!?」

 

 

 

士道は、狂ったような、悲鳴染みた叫び声を発した。

 

『士道!落ち着きなさい、士道!』

 

「あぁっ!ああ!あぁぁぁぁああぁッ!!??」

 

琴里の声が聞こえたが、そんなものは意味を成さなかった。

脳が事実を認識した瞬間、士道に途方も無い嘔吐感が襲った。食物が胃の中からせり上がってくる感覚に抗おうと、思わず口元を覆う。

 

「_____あら?」

 

その声に、視線を上げる。その、赤い海の上に、彼女は立っていた。

 

「………そのお姿……うふふ。分かります、分かっていますよ?士道さん」

 

赤と黒の霊装を纏い、古式の短銃を構えた時崎狂三が、振り返りながら言ってきた。

そして、そこで士道はあるものを捉えた。

 

路地裏の奥に、男が一人、全身をガタガタと震わせながらへたり込んでいた。

若い男である。なぜか腹部に、血で同心円が三つ描かれており、まるで的当てのようだった。

 

「ひ______ッ、ひ_______ッ。た………ッ、助け、て…………ッ」

 

「あらあら」

 

狂三は顔を男の方に戻すと、手に握った銃を向けた。

 

「ッ!やめろ、狂三ッ!!」

 

それが何をしようとしているかを察した士道は、なけなしの勇気を振り絞って狂三の方へと向かっていった。

 

「あらあら、駄目ですわよ士道さん。_______覚悟も定まらず、ただ闇雲に向かっては。ふふふ」

 

「ッ………!?」

 

その微笑に、士道は恐怖を覚えた。そして、その足が弱々しく止まり、やがて腰抜けたように地面へとぶつかる。

いつものような、可愛らしい微笑なんてものじゃない。聞くだけで歯の根が鳴るような、不気味な笑いだった。

そのまま、狂三は向きを変えずに、男へ銃の引き金を抜いた。

 

瞬間、銃口から影を濃く固めたような漆黒の銃弾が、真っ黒い軌跡を描きながら、男の腹に描かれていた的の中央に吸い込まれていった。

 

「ひぐ_____ッ」

 

男の身体がビクンと跳ねる。それきり、男は何も声を発さなくなった。

 

「百点、ですわね。さて………お待たせしましたわ士道さん。恥ずかしいところを見られてしまいましたわね」

 

狂三が、笑いながら士道へと向かってくる。

 

『____道!士道!逃げなさい!すぐに!』

 

そこで士道は、琴里がインカムから叫びを上げていることに気づいた。どうにか立ち上がると、ガタガタと震える足を制して逃げようとする。

が、手遅れだった。

 

「うふふ、駄ぁ目、ですわよ」

 

「うわ………っ!?なんだ、これ………!」

 

後方から狂三の声が聞こえてきたと思うと、士道は急に足を取られ、地面に拘束された。アーマーによって痛みは無いが、完全に身動きが取れない。

 

「ふふ、捕まえましたわ。士道さん。………いえ、そのお姿の時は、仮面ライダーアライブ、と呼んだ方がいいでしょうか?」

 

言ってニッコリと笑い、士道に近づいてくる。

 

「…………っ」

 

心臓が締め付けられたように痛む。だがそれは______純粋な、恐怖からだった。

 

そう。士道は人間として、ライダーとして、初めて______狂三に、精霊に恐怖していた。

 

世界を殺す災厄。人類の仇敵。

 

言葉だけなら、何度も耳にしていたその台詞。

 

それが今、初めて実感となって士道の脳髄へと染み込んできた。

 

「………っ、…………っ」

 

逃げようとした。抵抗しようともした。

 

でも、できなかった。まるで全身の細胞が麻痺しているかのように、身体は全く動かなかった。

狂三が、笑いながら士道に顔を近づけてくる。

それはキスと言うよりは、首筋に噛み付こうとしているようで______

 

と、次の瞬間。

 

「っ________」

 

短い息を伴って、光とともに狂三の身体が軽々と後方へ吹き飛んだ。

コンクリートの塀に華奢な肢体が叩き付けられ、細かなヒビが入る。

 

「な_____」

 

 

『_____懲りずに出やがりましたね、【ナイトメア】』

 

 

ノイズが走ったような声とともに、その姿が現れる。

その、白い鋭利な姿は、昨日映像で見た______

 

「真………那……………」

 

掠れたような声が漏れる。

そう。昨日真那が変身していた、白のライダーだった。

手に銃を構え、鋭い青の複眼を輝かせている。

 

『おや、あんたは………ああ、確か、アライブとか言いやがりましたっけ。貴方にも戦闘命令が出ていやがるんですが………目下の敵は、こいつです』

 

真那が、まるでこちらの正体に気づいていない様子で話す。どうやらこちらの声がうまく聞こえていないみたいだ。

 

『………巻き込まれたくなかったら、下がっててください』

 

真那は短く言うと、そのままその白い身体を走らせ、狂三へと向かっていった。

 

「っ、あらあら、私達の逢瀬を邪魔するなんて、マナー違反が過ぎませんこと?」

 

『うるせーです。とっとと消えろよこのゴミ屑』

 

「………っ!?」

 

以前の真那の様子からは想像もできないような口汚い罵倒が飛び出し、さらに攻撃が続けられる。

戦況は明らかに狂三が不利だった。距離を取ろうとしても肩の装備で攻撃され、近づけば接近戦に持ち込まれる。

 

「幾ら何でも一方的すぎるだろ…………ちょっと待てよ!」

 

居てもたっても居られず、いつのまにか拘束が解かれていた士道はなんとか立ち上がり、真那を止めようとする。

 

「やめろ!殺す気か!」

 

『ッ!何を、しやがるんですか!』

 

「ガハッ!?」

 

真那はアライブの接近に気付くと、士道だと言うことには気づかない様子で、容赦無くパンチとキックを繰り出した。

そして、腰のドライバーのハンドルを操作し、拳にエネルギーを貯める。

 

 

STAND BY

 

 

『………悪く思わねーでください。近くにいた、あんたが悪いです』

 

 

DEMOLISHON FINISH

 

 

その無機質な音声が聞こえるとともに、真那の拳から白く、しかしそれでいて何処か禍々しいエネルギーが放出され、アライブを直撃した。

 

「ガハッ…………がっ………」

 

アライブはその衝撃によって吹き飛ばされると木に激突。

そのまま地面へ落下し、変身が解除されてしまった。そこで、初めて士道の素顔が明らかになる。

 

「あぐっ………ぐぅっ……………」

 

 

『え_______兄、様……………?』

 

 

真那が、呆けたような声を出し、呆然と立ち尽くす。そして、自分の拳を力なく見つめる。

 

『あ、あぁ……………』

 

その様子を見た狂三は、どこか可笑しそうに笑った。

 

「あらあら?知らなかったんですの?仮面ライダーアライブが士道さんだと。それにしても………真那さんと士道さんはご兄妹でいらっしゃいますの?」

 

『ッ!………貴様には、関係ねーですッ!!』

 

その一言が琴線に触れたか、今までよりも苛烈に、真那が狂三を攻撃する。距離を取られれば光線で蜂の巣に、近づけばブレードで滅多斬りに。

 

「ぎゅ…………ッ」

 

両足が、腹部が、両手が光線に貫かれ、腹部がブレードによって切り刻まれる。狂三が奇妙な悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちた。どく、どくと、赤い血が地面に広がっていく。

 

「…………っ」

 

あまりにも凄惨な光景に、士道は眉をひそめた。

 

「手間を、かけさせるんじゃ、ねーです。化物、風情が」

 

しかし真那は動揺した様子なく、狂三の首を掴む。そこには、どこか遣る瀬無い感情を狂三にぶつけているようにも見えた。

そして、腰のドライバーのハンドルを操作しようとする。

あれには見覚えがある。あれは必殺技を撃つ時の操作だ。今の状態で、あれを喰らったら…………

 

「真、那………ッ!」

 

思わず、士道は声を発していた。

 

「……兄様。大丈夫、です。すぐに片付けます。……詳しい話は、そこで」

 

「駄目だ………!殺しちゃ_____!それは、そんな事のために振るう力じゃない…………ッ!」

 

「………力の使い方は、人それぞれでしょう。それに、これは間違いなく善い事のためです」

 

真那が不思議そうに目を見開き、そしてかぶりを振ってくる。

 

「……ああ、そういえばこの女、兄様のクラスに人間として転校してきやがったのでしたね。____兄様。詳しい事は言えねーですが、この女の事は忘れやがってください。この女は、人間じゃありません。生きてはいけない、存在しちゃいけねー存在なのです」

 

そう言って、再びドライバーへ手を伸ばす。

 

「………ッ!そう言う問題じゃないッ!やめろ!頼む、やめてくれ…………ッ!」

 

士道が懇願すると、狂三が、喉からひゅうひゅうという息を漏らしながら、消え入りそうな声で発してきた。

 

「………ふ、ふ………やっぱ、り、士道さん、は、優しい………お方」

 

 

STAND BY

 

 

「ッ!やめろぉーーーーーッ!!!」

 

 

DEMOLISHON FINISH

 

 

無慈悲に、エネルギーを伴った回し蹴りが、繰り出される。

白い軌跡を描きながら、そのキックは狂三の身体を爆散させた。

 

最早そこには、何も残らなかった。

 

「ふぅ」

 

真那が軽く右手を振りながら、ドライバーからボトルを抜き、変身を解除する。アーマーが粒子となって消え、普通の服装に戻っていた。

 

「なん………で」

 

そんな真那の背に、士道は震える声を投げた。

真那は小さく息を吐きながら士道に向き直した。

 

「………色々聞きてえことはありますが、取り敢えず。………今日の事は、悪い夢だとでも思って、忘れやがってください。あの女の死に心を痛めては駄目です。アレは死んで当然の、存在してはいけないモノなのです」

 

真那の言葉に、士道は思わず血が出そうになる程拳を握っていた。

 

「っ、ASTの言い分も分かる………!今、助けてもらった事にも礼を言う!襲われた事は気にしてねえ………!でも………でも、精霊だからって、そんな言い方は、無いだろ…………っ!」

 

「………先の件といい、兄様は、どこでそれを?」

 

「っ、………」

 

士道は微かに眉を動かした。そういえばさっき襲ってきた件といい、真那は士道が仮面ライダーである事も、精霊やASTの事を知っている事を知らなかったのだ。

 

「……まさか、あのビルドと連んでいやがるですか?まあ、それなら納得は出来ますが。にしても………あんまり褒められたもんじゃないですね」

 

「え………?」

 

「こっちの話です。でもまあ、それなら話がはえーです。どこまで知っているかは存じねーですが、つまりは、そういうことです」

 

真那が何の感慨もなく言ってくる。

そんな様子に、士道は怒りよりも先に、戦慄した。

 

「なんで………お前は、そこまで平然としていられるんだよ!お前は、今、人……を、」

 

その言葉を発する事を躊躇い、喉が痛んだ。

 

「人を………殺したんだぞ…………ッ!」

 

「人ではねーです。精霊です」

 

「それでもだ………!なんで、そんなにあっさりと______」

 

「慣れていやがりますから」

 

「…………っ」

 

そう言った真那の言葉が、あまりに冷たくて。士道は、息を詰まらせた。

 

「ナイトメア______時崎狂三は、特別なんですよ。()()()()()です」

 

「え………?」

 

「何度殺そうと、どんなに殺そうと。あの女は何も無かったように、必ずまたどこかに出現して、何度も何度も人を殺しやがるんです」

 

「…………っ!?な、なんだよ、それ………」

 

言いながらも、それはすぐ腑に落ちた。士道が昨日見た映像と全て合致したのだ。

 

「___だから。私は殺し続けてるんです。あの女を。ナイトメアを。時崎狂三を。それだけが、私の存在理由。それが、私の生きる目的」

 

疲れたように、真那が続ける。士道は顔を歪めた。

 

「違う………ッ!」

 

「え?」

 

「それは、慣れてるって言うんじゃない。心が、磨り減ってるだけだッ!」

 

士道が言うと、真那が小さく眉を揺らした。

 

「何を………言ってやがるんですか、兄様」

 

「もう、止めてくれ、真那………お前は、俺の妹なんだろ?なら………一つだけでいい。俺の頼みを聞いてくれ………っ」

 

士道は祈るように喉を絞った。

妄想でもなんでもない。心は負担をかけると磨り減り続けて_____それがずっと続くと、やがて人の心を失って、ついには元に戻らなくなるほど摩滅してしまうのだ。

 

 

_____母に捨てられた士道が、そうなりかけたように。

 

_____敵意と殺意を向けられ続けた十香が、そうなりかけていたように。

 

 

「………無理ですよ、兄様」

 

しかし真那は、自嘲気味に言った。

 

「ナイトメアが生き返る限り、そして人を殺し続ける限り、私はあの女を殺さなきゃならねーんです。___だから私は、この力を手に入れたんです」

 

「……………ッ」

 

「この力さえあれば、私はあの女を殺し続けられる。これさえ、あれば…………」

 

力無き声で言って、真那はドライバーとボトルを取り出す。

 

 

______違う。それは、その力は。そんな事のために、使うものじゃない。

 

それに方法は_____それだけではない。

 

 

が、士道がそれを言うより早く、真那に異変が起きた。

 

「ッ!うぐっ…………」

 

「真那……!?」

 

突然苦渋の表情を浮かべたかと思うと、いきなり胸をつかみ、苦しみだしたのだ。

 

「……悪いっ、ですが、兄様………今日は、ここまでです。また、会いましょう」

 

苦しみながら苦笑すると、真那は指をピンと立てた。瞬間、士道の身体がふわりと浮かんだ。

 

「っ、これは………!」

 

間違いない。これはASTが顕現装置(リアライザ)で展開する随意領域(テリトリー)だった。

 

「今度は、もっと時間に余裕を持って」

 

「待っ______」

 

言葉の途中で士道の身体は路地の外まで飛ばされ、優しく着地させられた。

 

「っ、士道!」

 

「士道!」

 

すると、向こうから声が聞こえ、その方向を向く。

戦兎と万丈だ。どうやら通信を受けて、ここまで来たらしい。

 

「士道、大丈夫か!?」

 

「おい、一体何があった!」

 

「っ………」

 

「あっ、お、おい!」

 

二人の身体を引き剥がし、士道はすぐに路地へ引き返そうとした。

だが、不可能だった。路地の入り口には見えない壁が張られ、先に進めなくなっていたのだ。きっと、真那の仕業だろう。

 

「………クソッ!!」

 

士道はその場に膝をつくと、血が出んばかりに地面に拳を叩きつけた。

士道が握っていたスピリットボトルが、僅かに小さく光った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
原作より真那が容赦なく見えるのは、ドライバーの所為です。恐らくですがこのリバースドライバー、みなさんが想像しているよりもヤベーイ代物となっております。今後をお楽しみに。

それにしても、アライブが今回不遇に見えるのは気のせいだろうか。せっかく新武器も出したのに、どうも不遇感が否めない。これも全て乾巧って奴の(以下略)

それでは次回、『第26話 なぜ彼はライダーとなったのか』、をお楽しみに。

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