万丈「言ってることとやってたことただのストーカーだけどな、俺ら」
桐生「それは言わない約束でしょ。ほら、俺らの知らない間に士道、とんでもないことに巻き込まれてたみたいだし」
万丈「うわ〜、いつぞやの誰かさんみたいに落ち込んでんな、これ。………チラッ」
桐生「おい、なんでこっち見るんだよ」
士道「チラッ」
琴里「チラッ」
十香「チラッ、なのだ」
四糸乃「チラッ……です……」
桐生「お前らもかよ!つかいきなり全員集合で出てくるんじゃないよ。言っとくけど、こんな風には落ち込んでないからな!」
万丈「よく言うぜ。前にお前が…………」
桐生「はいそれじゃあ第27話をどうぞ!(食い気味)」
一同『誤魔化したよ…………』
「令音?真那がどうかしたの?」
「………!」
フラクシナス艦橋にて。
琴里は艦長席から比較的近い位置に座っていた令音の名を呼び、首を傾げた。令音のディスプレイには、何故か真那の顔が、画面一杯に拡大されていたのだ。
令音も集中していたようで、今ようやく琴里の存在を認識したようだ。
「……琴里か。いや、少しね………ああ、そうだ。頼まれていた解析が終わったよ」
令音の言葉に、琴里はぴくりと眉を動かした。
先日入手した真那の毛髪と唾液を渡し、令音にDNA鑑定を依頼していたのである。_____真那が、本当に士道の妹であるかどうか。
「で…………どうだったの?」
「……ん、結果から言って、真那はシンの実の妹と見て間違いない」
「っ、そ、そう………」
結果を聞き、少し胸の鼓動が早くなる。
予想していなかったわけではないが………やはり、少し胸がざわついた。
「本当の妹、か………。そんな子が、どうしてASTに入って、その上ライダーシステムを………」
「……いや、少し調べてみたが、正確には違う」
琴里の言葉を遮るように、令音が言う。
「どういうこと?」
「……彼女はもともと自衛隊員ではなく、DEMインダストリーからの出向社員だ」
「_____っ、
DEMインダストリー社。
イギリスに本社を構える世界屈指の大企業であり、ラタトスク母体のアスガルド社を除けば、世界で唯一
精霊を狩ることにも非常に積極的であり、ラタトスクとは商売敵と言う事でもある。
無論、同社にはCR-ユニットを扱う
「ちょっと待ってよ。余計意味が分からないわ。士道の妹がDEMにいるのも変だし、それにどうしてDEMがライダーシステムなんて持ってるのよ」
「……それはまだ分からない。だが………」
令音は言葉を切ると、ギリと奥歯を噛み、怒りに震えるように拳を握った。
琴里は眉をひそめた。長い付き合いだが、こんな令音は初めて見る。
「一体何があったの?」
「……これを見てくれ」
言って令音がコンソールを操作すると、そこには真那の写真と、二つの数値が表示された。
「この数値は?」
「……真那の【ハザードレベル】だ」
その単語に、琴里は眉をひそめる。
ハザードレベルという単語は知っている。もちろん、それが何を指すのかも。
戦兎達の元いた世界にあった、ネビュラガスという、スカイウォールから漏れ出したガスに対する、人間の耐久値を示した指標、だったか。
「……それがどうしたってのよ」
「……念の為、セイにも確認を取ったが………今ここに、【
「ええ」
「……本来、人間のハザードレベルの限界値というのは、この5.0が限界らしくてね。その上、一歩でも間違えれば消滅_____即ち、死のリスクすらあると言うんだ」
「ッ!」
その言葉に、琴里は戦慄した。
ライダーに変身できるとはいえ、そんな危険な状態で、何故真那は平然としていられたのか。
「なら……この、6.5、って数は何なのよ」
「……それは彼女が、あのドライバーを使用した際に上昇した、ハザードレベルの数値だ」
「でも、それっておかしいじゃない……!だって、それならもうとっくに真那は………」
「……これを」
またも琴里の言葉を遮るように、令音がコンソールを操作してウィンドウを切り替える。そこには、細かな数値が表示されていた。
「っ……これは_____」
「……ああ、全身に特殊な魔力処置が施されている。彼女の異常な強さと、ハザードレベルの限界を超えている理由はここだ。………消滅のリスクは無いようだが、同時に代償も大きい。……消滅するしないに関わらず、五年…………仮に体内のネビュラガスを浄化したとしても、あと十年ほどしか生きられないだろう」
「______っ、何よ、それ______!」
琴里は忌々しげに呻いた。
そもそもとして、DEM社製
そのための措置として、AST隊員などの
だが______真那の身体は、そんなレベルを遥かに超えていた。
それこそ、身体の数割が精霊と言っても良い程だ。しかもそれは、
そこにハザードレベルの上限引き上げや、消滅のリスク回避の為の措置まで施されていたとしたら______それはもう、到底人の身体ではない。
「……彼女がどんな決意でこれを受け入れたかはわからない。だが……シンには明かさないほうが……いいだろう」
令音が、重々しい口調で言った。
「……戦兎は、どんな様子だったのよ」
「……怒っていたさ。これまで、見たこともないほどに」
琴里はごくりと唾液を飲み込み、唇を噛んだ。
◆
「……………」
「おい、戦兎?」
踏むたびに嫌な音を発する階段を登りながら、戦兎の心境は、これ以上ない憤りと悲しみで覆われていた。
昨日、令音から見せてもらった、崇宮真那に関するデータ…………そのどれもが、目を疑うかのような、非人道的な物だったのだ。それを見た瞬間の戦兎は、酷い様子であったという。
あれからしばらく経って、怒りはいくらか収まったが………それでも、この遣る瀬無い気持ちは、胸の中にずっとしこりのように残り続けていた。
「………真那の、事か」
「…………ああ。……あれが、人のやる事なのか………!?」
最早外道という言葉すら生温い。
人道も、正義も、科学者としての矜持も、何もかもを侮辱したとしか思えない、あの、凄惨極まる真那の身体に施された、無数の改造痕。
まさしくあの有様こそ_____悪魔の所業、としか言いようがなかった。
「………おい、着いたぜ」
「………ここか」
万丈に言われ、戦兎は前を見る。
今日、学校を休んで戦兎達が訪れていたのは、天宮市の南に位置する廃ビルの一つだった。
今日、学校を休んでまでここに来たのには、理由があった。
「………」
重々しくドアを開ける。錆びついたドアは剥がれた塗装をパラパラと落としながら、耳障りな音を上げた。
「_____やあ、待っていたよ。桐生クン、万丈クン」
そこに、この雰囲気とは場違いな程に明るい声が聞こえてくる。
戦兎達が来た屋上に、既に居た者、それは_______
「____わざわざこんな所に呼び出して、何の用ですか。______神大先生」
そう。戦兎達の通う、来禅高校に先月やってきた新任教師、神大神魏だった。
今日の朝戦兎と万丈が家を出ると、玄関に、時刻と場所が書かれた紙が貼ってあったのである。
「おいあんた!俺たちをここに呼んで、何の用だってんだー!?」
「まあまあ、そう急かさないことだよ。今日は君たちに、大事な話があってきたんだからさ。_____
『!?』
針魏がさも当たり前のように、戦兎たちの正体を言い当てた。
「何故それを………!」
「知っているさぁ。ライダーシステムの事も、精霊の事も。そして______崇宮真那の事も、よーく、ね……」
「ッ!まさか、真那にライダーシステムを渡したのは!」
「んー惜しいッ!もう一言ッ!」
「……………ッ!!」
そこで、戦兎の中で全てがつながった。
もし、戦兎の仮説が正しいなら______ライダーシステムを渡したどころではない。
本当なら………この男が_______
「________真那に改造手術を施したのも、あんたなのか」
核心に迫る、その問いを投げかける。
針魏は屈託のない笑みを浮かべると、当たり前のように言ってのけた。
「
両人差し指を戦兎達に向け、子供のように笑いながらそう言う。
その時、戦兎と万丈の中で、何かが切れた。
「ッテッ…………メェーーーーーッ!!!!」
「この、クソ野郎がぁーーーーーッ!!!」
【ラビット!タンク! BEST MATCH!】
【Wake Up!CROSS-DRAGON!】
【【Are You Ready?】】
『変身ッ!!』
【ラビットタンク!!イェーイッ!!】
【Get CROSS-Z DRAGON!! Yeah!!】
怒りのまま変身を終えたビルドとクローズは、針魏へと殴りかかろうとした。
「やれやれ、正義のヒーローも短気だねぇ」
しかし、その拳は空を切る。
針魏は軽やかな身のこなしで空中ジャンプをすると、鉄柵の上へと立った。
「まあ、私の役目は
「ッ、何の事だ………ッ!」
と、戦兎が言いかけた瞬間、耳元のインカムから通信が聞こえてくる。
『……セイ、バジン。緊急事態だ。来禅高校から、凄まじい霊力反応が検出されている。………狂三だ』
「何だと………ッ!」
「このタイミングでかよ………ッ!」
戦兎はちらりと鉄柵の方を見る。すると、そこにはもう針魏の姿は無かった。
「ッ_______クソッ!!」
戦兎は踵を返すと、大急ぎで来禅高校へと向かった。
◆
「なんだよ、これ…………っ」
士道は、辺りを襲った異変に眉をひそめていた。
狂三に会うため、呼び出した屋上へと向かっていたのだが、その途中に周囲が暗くなったかと思うと、全身に途方も無い倦怠感と虚脱感が襲ったのである。
「こ、れ、は…………」
その場に膝を突きそうになるのをどうにか堪え、姿勢を保つ。
周囲に残っていた生徒たちが、次々と苦しげなうめき声を発し、その場に崩れ落ちていく。あまりにも異様な光景だった。
「令音さん、これは………っ!?」
『……高校を中心とした一帯に、強力な霊波反応が確認された。この反応は間違いない。狂三の仕業だ。広域結界……範囲内にいる人間を衰弱させる類のものだ』
「なんで、そんなことを………」
『……それは、本人に訊いた方がいいだろう』
確かにその通りだった。
士道は深呼吸をすると、その場から歩き出した。少し動きづらいが、倒れないだけまだマシだ。
「あれ……そういえば、俺はなんで………」
『……シン、自覚はないかもしれないが、君の体内には十香の霊力が封印されている。加えて、ハザードレベルが上がっていることで、肉体も強化がされている。今の君なら十分動けるだろう』
「そう、ですか………」
呟くように言ってから、士道はハッと目を見開いた。
先ほど出てきたばかりの扉を開き、叫ぶように声をあげる。
「十香ッ!」
教室にはまだ十香が残っていたのだ。先に帰るよう言ったのだが、士道が来るまで待つと言って聞かなかったのだ。
「おお、シドー……」
教室にいた全員が倒れている中、十香だけが頭を抑えながらも声を返してきた。封印されたとは言えやはり精霊。それなりの耐性はあったようだ。
「十香、大丈夫か!」
「うむ……。だが、どうにも身体が重い……どうしたのだ、これは………」
まるで高熱にうなされたかの様な調子でうめき、気だるそうにしている。
『……シン』
インカムから、令音の呼び声が聞こえた。
「っ、十香、ここで休んでろ。すぐに、何とかしてやるからな……!」
「シ、ドー………?」
「大丈夫だ。俺が_____必ず助ける」
士道は十香の頭を軽く撫でてから、意を決して廊下へと出て行った。
屋上まで続く道を、重くまとわりつくような空気を割きながら進んでいく。やたらと疲労する手足に鞭打ちながら、どうにか屋上まで続く扉の前まで辿り着いた。
扉に、鍵はかかっていない。否、正確にはドアノブの下辺りが、銃で撃ち込まれたかのようにボロボロになっていたのだ。十中八九狂三の仕業だろう。
士道は深呼吸をしてからドアノブを握り、扉を開けた。
「く………」
顔をしかめる。屋上へ出ても、ドロリとした空気は晴れなかった。否、それどころかもっと強くなった気さえする。
左右に目をやる。背の高いフェンスに囲まれた、殺風景な空間。
その、中心部で。
「________ようこそ。お待ちしておりましたわ、士道さん」
狂三がフリルに飾られた霊装の裾を摘み上げ、微かに足を縮めてみせた。
どうでしたか?
いつもより短い上に序盤の展開が少し雑になってしまいました。この回で取り敢えず真那の状況とDEMに触れるのと、針魏との邂逅を書きたかったんだ。申し訳ないです。
と言うわけで、また少し先の話ですが、DEMとの戦いに、戦兎たちは苦しめられることになります。そして神大の、クラウンの目的やいかに!つかクラウン最近出てないな。
それでは次回、『第28話 時を喰う城とキバの目覚め』、をお楽しみに!
………もっと評価くれても、ええんやで?チラッチラッ(露骨な誘導)