真那「いやー、改めて見るとほんとおっかねーですね私。ありがとうございます。倒してくれやがって」
万丈「おい、なんでこいついんだよ。今倒れてる途中だろ?」
真那「そこはほら、御都合主義と言いやがりますか、なんと言いやがりますか」
士道「というか前から思っていたんだが、真那何だよその変な喋り方」
真那「私のアイデンティティーでいやがりますよ兄様!これがなきゃ私もう兄様のそっくり妹キャラってだけで、琴里さんにお株をとられやがるじゃねーですか!」
士道「自己評価割と低いな!そんな事ないから!」
万丈「というか、俺の活躍には触れねーのか?クローズチャージ、マジ強かっただろ!?」
真那「まあ口ではなんとでも言えやがりますよね」
万丈「んだと!お前俺が嘘ついてるとでも思ってんかよ!」
真那「キャア!襲われやがりますー!」
桐生「あーもうちょっとは落ち着きなさいって!はあ、と言うわけで、第31話、どうぞ!」
「んぅ………?」
そのベッドの上で、桐生戦兎は目覚めた。いつもと同じ兎耳のような寝癖を立てながら、寝起きの調子で起き上がろうとする。が。
「いってて………」
起き上がろうとした瞬間、身体の節々が痛む。
すると視界の端に、奇妙な影が見えた。
『おー、戦兎くん。やぁ〜っと目覚めたのぉ〜?』
「戦兎さん……無事で、良かったです…………」
そこにいたのは小さな女の子と、その左手に嵌められた奇妙なウサギのパペットだった。
おおよそ自然には生まれ得ぬであろうブルーの髪とサファイアの瞳を、つばの広い麦わら帽子で隠した少女____四糸乃である。コミカルな意匠のパペットは、そんな四糸乃の親友、よしのんだった。
「四糸乃に、よしのん…………どうしたんだ、お前ら」
「……ん、目覚めたようだね」
とそこで、栗鼠色の軍服を着た女性が眠そうな声で戦兎に言ってきた。ラタトスク解析官の村雨令音だ。
そこで、大体の経緯が察せた。
「令音さん………大方、あの戦闘の後で搬送された、ってとこですか?」
「……ああ。昨日の狂三との交戦後に、気絶した君とシンと、バジン達をここに搬入してね」
「っ、そうだ、万丈と士道は!?あと、十香と折紙も!」
「……二人とも平気だ。今はベッドで寝ている。軽い怪我で済んでいて何よりだ。十香はシンの看病で、鳶一折紙はAST隊員に回収された。多分無事だろう」
「そうですか……まあ、あの筋肉バカとアイツがそう簡単にくたばる筈ありませんしね」
その言葉に、ひとまず安堵し、笑みがこぼれる。
「……信頼しているね、二人のことを」
「まあ、ね………あ、そうだ!狂三と真那はどうなったんですか!?死んだりしてないですよね……?」
「……ああ。崇宮真那も鳶一折紙と同様、ASTに回収された。死人も出ていない。狂三は、隙をついて逃げたよ」
「………そう、ですか……」
その報告を聞き終えたと同時にどっと疲れが蘇り、ベットに再び倒れこむ。
昨日の戦闘______琴里の精霊化も気になったが、それよりも。
戦兎には一つ、見逃せない現象が起きていた。
「……ああ、そうだセイ」
と、そこで令音が思い出したように手を打ち、ベッド脇の引き出しから何かを取り出す。
「……これは君を搬入した際に、持っていたものだが………」
そう言って、令音はベッドの上に、少し黒ずみ、壊れかけたソレを置く。
それは、崇宮真那が使用していた_____リバースドライバーだった。
あの時、ビルドのボルテックブレイク、クローズのレッツブレイク、そしてアライブのハーモニクスバーストによって攻撃を受けたドライバーは、なんと驚くべきことにその筐体の殆どを残してまだあったのだ。それに気づいた戦兎が、十香たちの元へ救援に向かう前、こっそり回収していたのであった。
流石に一部が溶けていたり、内部機器がいくつ故障しているかは見当もつかないが、それでもこの耐久性は驚異の代物である。
「……これを、どうするつもりだい?」
「とりあえず修復してから、解析します。_____調べなきゃいけないことが、増えましたからね」
そう。戦兎がこのドライバーを持ち出した理由______それは、あの戦闘時真那に起きた、あのスマッシュ化の現象について調べるためだ。
あの黒いボトルは回収できなかったが、運良く残ったドライバーだけでも回収すれば、あとはある程度の修復をして解析をして、あの現象について分かることもあるはずである。やる価値は十分に思えた。
「……そうか」
「ええ。ありがとうございました。俺、もう行きます……ってて」
ベットから起き上がって立ち上がるが、やはりまだ身体が痛む。思わずよろけてしまった。
「………!」
と、そこで令音の脇から四糸乃が駆け寄り、戦兎の身体を支えてくれた。
「お、悪い。サンキューな、四糸乃」
「い、いえ………」
苦笑しながら戦兎が言うと、四糸乃がどこか恥ずかしそうに顔をうつ向けた。よしのんが『ひゅー』だなんてわざとらしい口笛を吹く。………どうやって鳴らしてるんだそれ。
「……大丈夫かい?もう少し休んでいた方が____」
「いや、大丈夫だ。こいつを早く解析しないと………また、きっと被害者が増える」
令音は戦兎の様子を見るように目を細めたが、すぐに小さく息を吐き、
「……そうか。私はここでシン達の様子を見ることにするよ」
言って、戦兎の隣の、カーテンで仕切られたベットの方へと向かった。戦兎はそれを見やると、ドライバーを片手に進もうとした。
と、四糸乃が戦兎の腰元を支えたまま、一緒に歩くようにしてくる。
「おい四糸乃、もう大丈夫だぞ?」
「…………っ、あ、はい………でも、その、あぶない、ですから」
四糸乃が労わるように言う。
その優しさに苦笑しながら、「……じゃあ、お願いするよ」と言って、共に歩みを進めていった。なぜかよしのんが器用にニヤニヤしていたが、まあいつものことなのでさして気に留めなかった。
四糸乃に伴われながら、フラクシナスの通路に足音を響かせていく。
そして戦兎の部屋の前に来たところで、戦兎が足を止めた。
「ありがとな四糸乃。もう大丈夫だ。お前は士道や万丈の面倒を見ていてくれ」
感謝の言葉を述べながら、四糸乃の頭を優しく撫でる。
「はい……。その、お大事に………」
『それじゃぁねぇー、戦兎くん。また身体壊しちゃいやよぉ〜ん?』
「ああ、気をつけるよ。それじゃあな」
四糸乃達に手を振ると、戦兎は部屋へと入った。
そこには五河家には持ち込めない機材などが積まれており、五河家にいるよりも作業効率は良かった。
「さて、と……」
椅子に座り、ドライバーを机の上に置く。最近使用していなかったためか、五河家よりも小綺麗だった。
そして、しばしドライバーを見つめる。
「……………」
改めて見て、やはり記憶にない形状のドライバーだと思う。
注射器を模したような形で、ボトルは側面から挿すタイプ。中心部付近にスクラッシュドライバーのゼリータンクのような構造があり、ここに成分を貯めるのだろう。
一通り現段階で残ったパーツと、修復しないといけない構造を把握したところで、戦兎は作業に取り掛かった。
そこからしばらく、部屋には電子音が聞こえ、またそこから、しばらくはパソコンのタイピング音が聞こえたと言う。
◆
それから、数時間後の事。
「……琴里を、デレさせろ………って」
士道はフラクシナスの通路を歩きながら、一人呟いた。
先ほど、個室で琴里と二人、話してきたのである。先の戦いで起こった出来事、琴里が何者なのかを。
結論から言うと、琴里は精霊だった。否______正確に言うのなら、
五年前、天宮市を襲った、大火災。
その日に琴里は、何者かによって精霊にされ、その際、士道に霊力を封印されたのだと言う。
何者か、とはっきりしないのは、その何者かが誰なのかわからず、また当時のことを、士道はおろか当事者の琴里も覚えていないからなのである。
しかし、そんな重要な事を、二人揃って忘れるなど有り得ない、と言うのが二人の見解だった。その為、誰かが記憶を操作した可能性もあるのだと、琴里は言っていた。
また、琴里の精霊の力は、時折強力な破壊衝動をもたらすらしく、今はどうにか抑えている状況なのだと言う。
そしてそれを阻止するために、士道がする事_______それが、琴里の霊力の再封印。
その為に、琴里とデートして、デレさせる必要がある_____そう言う事だった。
そしてその期限が、二日後。………あと二日しか、琴里は自らの霊力に耐えられないという事だった。
それについては、了解できた。しかし、あの苛烈で強気な五河琴里をデレさせるという言葉が、なんとも難易度の高い作戦に思えて仕方なかったのだ。
と、そこで
「と、そういや戦兎、ここにいるって言ってたな………」
戦兎の部屋を通りがかった際に、戦兎が自室にいると令音から聞いたのを思い出した。
しかし、普段なら電子音やタイピング音が聞こえてくる部屋からは、何の音も聞こえてこない。
「おーい、戦兎ー?」
ノックをしてみるが、反応が無い。
引き返そうとした、瞬間。
_______ガンッッ!!!
「ッ!?」
扉の向こうから、何かを勢いよく叩きつけるかのような音が聞こえてきた。
思わず心配になり、ドアを開けようとする。ドアのロックは開いており、入ることができた。
確かに、中に戦兎はいた。パソコンのモニターを見つめながら、拳を机に叩きつけて、何かに憤るように震えていた。
「お、おい、戦兎………?」
「……………るな」
「え?」
「ふざ、けるな……………ッ!」
戦兎のただならぬ様子に、士道は思わず駆け寄り、パソコンのモニターを覗く。
そこには、真那が使用していたベルト、リバースドライバーの詳細なデータと思しき文字列と図式が、表示されていた。
◆
_______リバースドライバー。
真那が所有していたそのドライバーを可能な限り修復し、データを復元しようと、戦兎は試みた。
そして、幸いにも内部データが奇跡的に残っていたため、復元後は比較的容易くデータを覗くことができた。
しかし、それを見た瞬間_______戦兎の胸中には、怒りの感情でいっぱいだった。
リバースドライバーは、言わずもがな変身用のドライバーである。
どうやらフルボトルではなく、それを模して作られた、『擬似ボトル』とでも言うべきボトルを装填して、変身するようである。変身すると、理論上はビルドドライバーによる変身者の能力を大幅に上回る戦闘力を手に入れ、スクラッシュドライバーのライダーすらも凌ぐとすら思えるスペックを誇る。
しかし問題は、その変身者に課せられるデメリットにあった。
まず、変身中に装着者は、肉体の表細胞を変質させられる。それも_____スマッシュと言っても差し支えないほどに。
これにより基礎能力が底上げされるのだが、同時に副作用として、肉体の細胞が劣化し、所謂肉体の早期老化が懸念されるのだ。さらにその細胞劣化は回数を重ねるごとに進行速度が早くなり、最悪の場合死に至る可能性もある。
また、ドライバーの連続使用による依存性、精神の汚染。またスクラッシュドライバーと同じく、好戦的な気質を剥き出しにされるというデメリットもある。
しかし、これほどのデメリットがあっては、いざ使えても早死にするだけである。
そのためこのドライバーの使用には、適合するための改造手術が必要となる。
ハザードレベルを最低でも4.5にまで引き上げた上で、肉体のハザードレベル上限を7.0まで耐えられるよう、魔術的措置を施す。
さらにこのドライバーの使用には、CR-ユニットとの併用も想定しているために脳波のコントロールも必要とされ、頭部には頭蓋骨を切り開いてから脳内に制御チップも埋め込まなければならないのだ。
こうする事で、少なくとも細胞劣化は防ぐことができ、継続的に戦闘が可能となる。______自らの寿命を、何十年と犠牲、否、ドライバーの使用料として先払いすることで。
しかしこの手術を施してすら、あくまでも適合が出来たら使える、というレベルなのである。
不適合者とみなされたものは、変身こそできるものの_____その副作用を一気に受けてしまい、結果として早死にする、という事だった。
「そん、な…………」
落ち着きを取り戻した戦兎の説明を聞き、士道は戦慄した。
そのあまりにも、人の道から外れたとしか思えないような、非人道的なシステムが、目の前に存在すると言う事実に。
そのシステムを、自らの妹が何度も使用していた、という事実に。
「………これ、を。真那が、使ってた、ってのか?はは、じょ、冗談、だろ………?」
「……………」
「冗談って、言ってくれよ…………!なぁ、戦兎…………ッ!!」
震えた声で言いながら、戦兎の肩を掴む。
しかし顔を上げると、戦兎もまた、怒りに染まった表情をしていた。いつもの、飄々とした掴み所のない様子などでは無く、目の前で見た、非人道的な所業の代物に、明確な怒りを持った様子だった。
「………俺だって、冗談だって思いてえよ……!こんなものが、あるって事実も……………こんなもんを、作ったやつがいるって事実も…………ッ!!」
そう言って、再び拳を振りかざし、リバースドライバーを叩き飛ばした。壁に当たって、ドライバーが床に転がる。
「………俺は、こいつを作ったやつの正体を突き止める。……いや、もう大方、検討はついてるんだけどな」
そう言って顔を上げた戦兎の顔は、決意に満ちた表情をしていた。
「お前は、琴里とのデートに集中しろ。………今回は、お前がやらなきゃ駄目だ」
「………ああ、そうだな。でも、お前は______!」
「俺の事は気にすんな。_______もう、あんな物を生み出させちゃいけない」
そこにあったのは、愛と平和の為に戦う正義のヒーローと_______平和を願う、科学者の矜持を持った者だった。
◆
都内のビルにある、広い一室で。
男が、銃を持ってそこに立っていた。近くには、紫色のサソリ男_____マッドクラウンの姿があった。
「さてと______実験を、始めるとしようか」
そう言って、男は手元の銃______【リバースチームガン】を右手に構え、左手に握った黄色のボトルを、スロットに装填した。
【BEE ALTERNATIVE………】
「______
声とともに、その引き金を引く。
【LIQUID MATCH………】
低くくぐもった音声とともに、銃口から蒸気が放たれ、まるで凝結するかのように、男の身体に収束し、装着される。
【BEE……NASTY……BEE】
蜂の羽音のような不快音と共に、その蒸気が晴れ、姿が露わになろうとする。
【REBIRTH!!】
最後に蒸気が霧散して、その姿が現れる。
蜂の目のような複眼と、流体状のアーマー。
胸元から伸びたパイプのような管と、右腕部にある蜂の針。
『よし、こんなものかな……?』
不気味な声で、男が自らの身体を確認しながら言う。
この時既に、戦いの火蓋は落とされていた。
どうでしたか?
最近雑になってきてる気がして、申し訳なく思います。ただでさえこの章はオリジナル要素が多くて、しかも設定の矛盾とかないか調べながら書かなきゃいけないし、最近高校が忙しくなってきたし、疲れるしで、これからも投稿ペースが落ちる可能性があります。あと、クオリティの方も、保証できるとは言い難いです。
それでも皆さんの応援とモチベーションがある限りは、続けるつもりです!もしふらっと更新が途絶えても、多分またふらっと帰ってくるので安心してください。
あと、そろそろ息抜きがわりの作品を一つ(原作は未定)、そして仮面ライダー龍騎×ダンガンロンパの小説を書こうかな、と考えています。
投稿する時になったら活動報告にて報告させていただきますので、よければチェックの方よろしくお願いします!
それでは次回、『第32話 その真相へのチェイス』、をお楽しみに!
よければ高評価や感想、お気に入り登録よろしくお願いします!