デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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桐生「仮面ライダービルドにして!天っ才物理学者の桐生戦兎と愉快な仲間達は!士道の妹である琴里が精霊であると言う、驚愕の事実を知ってしまう」

万丈「まさか琴里が精霊だったとはな………つか、あれ熱くねーのかな?」

桐生「それはほら、炎の精霊って言うくらいだし、なんとかなってるんじゃない?」

万丈「仮にも自称天才物理学者がそんなほわほわした感じでいいのかよ」

桐生「自称ってなんだよ!れっきとした天!才!物理学者ですから!」

万丈「だったらあれ説明してみろよ!」

桐生「いーよ説明してやるよ!いいかまずは______」

士道「だぁーもう後にしろ!あらすじ紹介終わるから!と、言うわけで!第32話、どうぞ!」





第32話 その真相へのチェイス

「ここ………でいいんだよな」

 

「ああ、多分マップだとここで合ってる」

 

 戦兎達と共に、士道はスマホのマップと目の前の大きな建物とを見比べながら、小さく呟いた。門には『自衛隊天宮病院』と記されている。どうやらここで間違いなさそうだった。

 

「あいつ………無事だといいけど」

 

「………あのスマッシュになったことで、後遺症とかが残ってなきゃいいけどな」

 

「ま、大丈夫だろ」

 

「お前な、そんな気楽に言うけどよー」

 

 一昨日の戦闘で、真那は正体不明のスマッシュとなり、その時に大きくダメージを受けていたのだ。搬入されるのなら直近の自衛隊病院だろうと踏んで、様子を見に来たのである。

 と、三人で病院に入ろうとしたその時、戦兎のスマホからアラームが鳴った。

 

「……こんなタイミングでスマッシュかよ。……悪いな士道。先行っててくれ」

 

「あ、ああ。大丈夫か?」

 

「当ったり前でしょ。どこかの新参者と違って、こっちはベテランよ?ベテラン」

 

「…………」

 

 士道を軽い調子で煽れるくらいには、大丈夫そうだった。ヘルメットを被りなおして、バイクにまたがる。

 

「ほら、行くよ万丈。士道、妹さんの事、ちゃんと見舞ってやれよ?」

 

「ああ。じゃあ、また後で」

 

「おう」

 

 軽く返すと、戦兎は万丈を後方に乗せてバイクで駆けて行った。

 そして俺は再び向き返すと、病院の門を潜った。

 

 

 ◆

 

 

ライオン!電車!

 

Are You Ready?

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

 ライオン電車フォームにビルドアップしたビルドは、専用武器である【カイゾクハッシャー】を取り出して、眼前のスマッシュに狙いを定めた。電車型攻撃ユニットである【ビルドアロー号】を海賊船型攻撃ユニットである【ビルドオーシャン号】から引き絞り、エネルギーをチャージする。

 

 

各駅電車ー!急行電車ー!快速電車ー!海賊電車ー!

 

 

 

 音声とともに、カイゾクハッシャーの先端部に電車状のエネルギーが充填される。海賊レッシャー状態だと緑と青のエネルギーが、今回はライオンの黄色と電車の緑のエネルギーになっていた。

 

 

発車ーッ!

 

 

「ハァッ!」

 

「アガァァァアーーッ!!?」

 

 そしてビルドアロー号を離し、エネルギー弾を離す。エネルギーは縦横無尽にスマッシュを攻撃し、その身体を爆散させた。

 

「よしっと。万丈ー、そっちはどうだー?」

 

「おー!こっちも終わったぞー!」

 

 エンプティボトルで成分を回収しながら、先程まで二体目のスマッシュを相手取っていたクローズチャージに問う。どうやら向こうも終わらせたようで、近くには爆散したスマッシュと、ツインブレイカーを掲げたクローズチャージの姿があった。

 

「よし、んじゃ早く、病院戻って………」

 

 ボトルの成分を抜き終わり、そう言おうとした瞬間。

 

 

 _______ガガガガッ!!

 

 

「ッ!?」

 

 何処からか、無数の銃弾が飛んでくる。それを紙一重で回避し、ビルドはカイゾクハッシャーを構え直す。クローズチャージも気づいたのか、ツインブレイカーを再び握り直した。

 

「誰だ!?」

 

 

______ああ、流石に当たってはくれないよねぇ

 

 

 ノイズが掛かったような声とともに、その姿が現れた。

 

 

 まるで()のような複眼と、無数の導線が敷かれたマスク。

 

 額部と胸部から伸びる、先端が細く尖ったパイプ管。

 

 そして、胸部の蜂の模様と、右手に備えられた鋭く太い針。

 

 

 右手には銃_____リバースチームガンが握られ、全身から水蒸気のようなものを発していた。

 

 

「お前____誰だ」

 

 ビルドが警戒を緩めることなく、武器を構えながら眼前の蜂男に問う。

 

 

私かい?そうだねぇ…………まあ適当に、ナスティシーカー(不快な探求者)、とでも呼んでくれたまえ

 

 

 大仰に手を挙げそう言った後、眼前の男______ナスティシーカーは右手に持ったリバースチームガンを構えた。

 

「ッ、来るぞ万丈」

 

「ああ」

 

フフッ、実験を始めようか

 

 芝命めいた口調でそう言うと、ナスティシーカーは引き金を引いて銃撃を繰り出した。ビルドとクローズチャージはそれを回避し、得物を構え攻撃を仕掛ける。

 

「ハァッ!」

 

「オリャァッ!」

 

 ビルドがカイゾクハッシャーから持ち替えたドリルクラッシャーで、クローズチャージが右手のツインブレイカーで攻撃を仕掛ける。しかしナスティシーカーはそれらを右手のリバースチームガンと、左手に握ったブレード_____【ミストブレード】でそれぞれ受け止め、また弾き返した。

 

「ぐあッ!?」

 

「何ッ……!?」

 

おっと、すまない。戦いには不慣れなものでねぇ、どうも力加減が分からないんだ

 

 軽い調子でそう言うと、シーカーはミストブレードをリバースチームガンにセットし、大型ブレード、【バスターモード】へと変形させた。

 

「野郎………ッ!」

 

 クローズチャージが立ち上がり、ツインブレイカーにドラゴンフルボトルとドラゴンスクラッシュゼリーを装填する。

 

 

シングルッ!ツインッ!

 

ツインブゥレイクゥッ!

 

 

「オーリャァッ!!」

 

 突き出したパイルの先端に、エネルギーが集中する。一点集中させたそのエネルギーを、高速回転させながらシーカーへと叩き込んだ。

 しかし、シーカーはさして驚いた様子も無く、手元のブレードを操作し、軽く構えた。

 

POISON MIST……CHARGE

 

 低い音とともに、ブレードから紫色の毒気を帯びたような液状エネルギーが放出される。それはツインブレイカーのエネルギーとぶつかり、その攻撃を相殺させた。

 

「な、嘘だろッ!?」

 

驚くのはまだ早いよ

 

「何………ウッ!?」

 

 シーカーが言い終わるのと同時に、クローズチャージが苦しんだ様子で胸元を抑える。

 

「万丈!?お前………ッ!」

 

 その様子を見たビルドが、シーカーへと攻撃を再開しようとする。ドライバーのボトルを入れ替えた。

 

 

ライオン!掃除機!

 

BEST MATCH!

 

Are You Ready?

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

(たてがみ)サイクロンッ!ライオンクリーナーッ!イェアッ!!

 

 

 ライオンクリーナーフォームへとビルドアップを完了させ、シーカーからブレードを分解させて繰り出される銃撃を、左腕の【ロングレンジクリーナー】で吸い込みつつ右腕の【ライオメタルクロー】で接近戦を仕掛ける。

 

「お前………一体何者だ……ッ!」

 

もう君達が知っている者だよ………あ、そういえ、ば!

 

 そこで何かを思い出したようにいい、ライオメタルクローの攻撃を銃撃で遠ざける。幸い当たったのはライオンアーマーの方であり、武器による物理攻撃をほぼ通さないためダメージは入らなかった。

 そこで、シーカーがビルドに問いかける。

 

君たちさ、()()()()の事、気にかけてるだろう?

 

 その質問をされた時、ビルドの胸にふつふつと怒りが蘇ってきた。

 

「ッ!やっぱり、お前は………!」

 

まあまあ、落ち着きなさい。それにしても………君、彼女を本当に人間だと思っているのかい?

 

「何………?」

 

 心底不思議そうな声音で、シーカーが問いかける。そして、そのまま言葉を続けた。

 

だって、そうだろう?彼女はあのドライバーの装着者になるために改造手術を受け、ネビュラガスを投与され、あまつさえオーバースマッシュに覚醒した。………その時点で、彼女はもう人間じゃあない

 

「ッ……黙れッ!」

 

 立ち上がり、その言葉を続けさせまいと攻撃を仕掛ける。しかしシーカーはそれをミストブレードで受け止め、言葉を続けた。

 

仮面ライダービルド、クローズ………君たちとて同じ穴の(むじな)だろう?ネビュラガスの人体実験を受け、兵器となった存在だ。そう考えれば彼女とて………兵器が少し強くなったと割り切れば、ほら、どうということはないだろう?

 

「ふざけるなッ!元はと言えば、お前達がやった事だろうッ!こんな………人を弄ぶような真似をッ!」

 

私が行ったのは意義あることだ!手が伸ばせる空論を可能性にし!現実へと昇華させた!君とてそうだろう!?桐生戦兎ォッ!目の前に可能性があるならば試す………それが例え、兵器であろうが戦争であろうがッ!科学者とは、そう言う生き物だッ!

 

「違うッ!科学者は兵器を生み出す存在じゃない!人々の幸せを願って、平和利用のために力尽くすのが科学者だッ!」

 

それは君の綺麗に過ぎる価値観でしかない!自らの才能をどんなことであれ試したいと思う欲求に、一体、何の間違いを見出せようか!?

 

 そう言い切ると、シーカーはビルドの攻撃を跳ね返した。ビルドが後方へ吹き飛ばされるのと同時に、シーカーは変身を解除する。

 

 

 ______そこに現れた姿は、神大針魏、その人だった。

 

 

「まあ、いいさ。君の言う綺麗事が、どこまで通用するか………少し気になるところではある」

 

「やっぱり………お前だったか………ッ!」

 

「てめえ………ッ!一回ぶん殴らせろやァッ!」

 

 変身を解除され、既にクローズドラゴンによって毒を中和された万丈が堪えきれない様子で、神大へと向かう。

 だが針魏はスチームガンを構え、こう言った。

 

「まあ、精々足掻くがいいさ。真に正しいのがどちらか…………決着をいずれ」

 

 そう言い残すと、針魏はスチームガンの引き金を引き、蒸気を発して消えていった。

 

「待ちやがれッ!………くそッ!」

 

 万丈が地団駄を踏み、近くの木に拳を打ち付ける。

 しかし変身を解除した戦兎は、今までと違う、落ち着き払った表情をしていた。

 

 かつての戦兎であれば、打ちのめされていたかもしれない、針魏の、もといシーカーの言葉。

 

 しかし戦兎は先の言葉によって、より闘志を燃やしていた。

 

 針魏とは、決着をつけなければならない。

 

 

 ひとりの科学者として。仮面ライダーとして。

 

 この時、互いの矜持をかけた、二人の科学者の戦いの、火蓋が落とされた。

 

 

 ◆

 

 

 士道は、絶句していた。たった今目の前で、鳶一折紙が話した、その言葉に。

 

 当初予定していた真那との面会は、断られてしまった。何でも特殊な機械を使うとか何とかで、無理だと言ってきたのだ。食い下がろうとした時、現れたのが折紙だった。

 折紙も搬送されていた為、いるのは勿論なのかもしれないが、その後なし崩し的に、折紙の病室まで行く事になったのだ。その途中途中でハプニング(もとい、折紙からの精神的疲労を伴う接触)があったものの、一先ずは落ち着いた、ところだった。

 

 問題は、その後に折紙から聞かれた、『炎の精霊』______即ち、琴里についての詳細な話だった。

 

 当然士道もぼかして話したのだが、その後に彼女が、こう告げたのだ。

 

 

 

 _______()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なのだと。

 

 

  そして、現在に至る。

 折紙は一切の逡巡もなく、そう言葉にして言い切ったのだ。それを聞いた瞬間に、士道の動悸が激しくなって、息が苦しくなるのを感じた。

 

 

「_____ずっと、ずっと探してきた。ずっと、ずっと探し続けてきた」

 

 士道の狼狽に気付かぬ様子で、折紙が続ける。

 

 

 

「やっと見つけた。ようやく見つけた。

 殺す。殺す。絶対に殺す。私が、この手で。

 私の五年間はこの為に、その瞬間のためだけにあった。

 この瞬間のために、ASTに入った。

 この瞬間のために、顕現装置(リアライザ)を手に入れた。

 この瞬間のために、業を、技能を身につけた。

 全ては、犯人を倒すために。

 全ては、炎の精霊をうつために。

 全ては、【イフリート】を殺すために」

 

 

 

いつもの様子からは考え付かないほどに雄弁に、呪いの言葉を並べ立てる。

表情は無味、声は平坦。クラウンのように大仰に身振りをしているわけでもない。なのにその言葉は、聞いているものの心臓を締め付ける途方も無いほどの怨嗟が籠っていた。

 

その後、折紙はその精霊____【イフリート】について、五年前に起きたことを、ぽつぽつと語り始めた。

 

両親が、火災に巻き込まれた事。その両親も、最初は生きていたこと。しかしすぐに精霊が現れ、両親を目の前で殺したこと。朦朧とする意識と霞んだ視界によって、その姿を正確には見取れなかったこと。後に、その火災の原因となったのがその精霊_____イフリートだと知ったこと。

五年前の出来事のはずなのに、彼女は一切の淀みなく言い切った。まるで、つい先日にその出来事を経験したかのように。

 

「_____こんなところ」

 

折紙が締めくくった時、士道は自分の心臓が、やたらうるさかったと思った。

士道が求めていた情報______その精霊と、琴里の決定的な相違点は、結局聞き出せなかった。琴里が折紙の両親を殺しただなんてこと、信じられなかったのである。

 

士道が縋るように一歩足を踏み出した、その時。

 

『_____ご面会中の皆様におしらせします。本日の面会時間は終了しました。院内におられる方は、速やかにお帰りいただきますようお願いします。繰り返します______』

 

廊下からそんなアナウンスが響いてきて、士道の思考は遮られた。

 

「どうしたの?」

 

折紙が首を傾げてくるが、士道は静かに首を振った。

 

「い、いや_____何でもない。お大事にな、折紙」

 

折紙がこくんと頷いてくる。士道は逃げるようにそそくさと病室から出た。

 

 

______きっと、怖かったのだろう。

 

______折紙の口から、五年前の精霊が琴里であるという証拠が出てしまうのを。

 

 

「……………」

 

出来るだけ音を立てないよう扉を閉め、廊下に視線を落として歩きだし、病院を出た。

 

すると、そこで。

 

 

「____気付いちゃいましたぁ?五年前の精霊が、妹さんだってことに」

 

 

今の士道にとっては不愉快極まりない、声が響いてきた。

戦兎から既に話は聞いた。その声は、学校で何度か聞いたことのある声だった。

 

「神大、針魏………ッ!」

 

名を呼ばれたその男は、長髪を揺らして士道の方へ振り向いた。

 

「やぁやぁ士道クン。真那クンの見舞いはいいのかい?彼女、大変なことになっているんだろう?」

 

「誰のせいだと思っているんだ…………ッ!」

 

戦兎から、それも全て聞いた。目の前の男が、真那に改造手術を施したと言うことも。

 

そして_____おそらくこの男が、リバースドライバーを作り出し、真那に渡した男であるという事も。

 

 

針魏はしばらく顎に手を当て、「んー?」と唸ったのち、士道に寄ってきた。

 

 

「真那クンが倒れたのは、オーバースマッシュになったことが原・因で………」

 

 

何かを思い出すかのような素振りをしながら、士道の周りを回る。

 

 

「それは彼女がリバースドライバーを使った所為だ・か・ら…………」

 

 

そして士道の前に立ち、軽く胸をタッチする。

 

 

「つまり!彼女にドライバーの適合手術を施した所為………ハッ!」

 

 

そこでパチンと手を叩き、士道に指を指した。

 

 

全部私の所為だ!ハハハハハッ!士道クン、全部私の所為だ!

 

 

「ッ!」

 

その言葉に、士道は衝動的にボトルを握り拳を振りかぶっていた。

 

「おっと、危ない危ない」

 

針魏はその拳をひらりと躱すも、士道は唸るような声を上げた。

 

「お前………ッ!」

 

「野蛮だねえ、君も。殴られたら痛いし、私はここでお暇するよ。それじゃあね」

 

針魏はそう言うと、手をヒラリと振ってその場を後にした。

士道はしばらく黙った後、その場に崩れ落ちた。

 

「俺は…………どうすればいいんだ…………っ」

 

 

 

 

 




どうでしたか?
突然ですが、スピリットフルボトルを描いてみました。拙さ全開ですが、参考程度にどうぞ。


【挿絵表示】


お目汚しになったのなら申し訳ありません。まあ大体こんな感じです。描けたらエンジェルフルボトルとかも描ける範囲で描きます。

戦極遼馬のあの台詞を、針魏に言わせたかったので、後半にねじ込みました。一応意味がないわけではないので、文字数稼ぎではありませんよ決して。

それでは次回、『第33話 戦争(デート)へのエクスペクト』、をお楽しみに!

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