万丈「てか、前回なんで神大のやつ水着買いに行ってたんだよ」
神大「おや、私を呼んだかい?」
桐生「うわぁビックリしたぁっ!なんでこっち来てるのさ」
神大「まあいいじゃないか。そういう空間なんだし」
真那「そういう話題やめやがってくださいこのマットサイエンティスト」
神大「おや、私は真那クンに随分嫌われてしまったようだね?まあ、そこらは今後の本編で話すとして、私はここで何を話すべきかな?」
万丈「そういやあんたどんな水着選んだんだ?」
神大「これだが?」
前回のマッスルフィーバーと同じフォントで→『ブルルルラァァァッ!!』
一同『なんでそのチョイスにした!?』
神大「私の趣味だ。いいだろう?と、言うわけで、第34話をどうぞ見てくれたまえ」
桐生「ああ!また言われた!」
「_____ああ、ありました。これですね」
水着騒動の後、士道は神無月と共に、フラクシナスのブリーフィングルームへとやって来ていた。
事の発端はつい先程、休憩スペースで起こったことである。
士道が一息ついていたときに、ふと、考えたのだ。
_____五年前の精霊が、本当に琴里であるのかどうかを。
あんな大火災を起こした精霊が琴里であるとは、士道にはどうしても思えなかったのだ。手前贔屓と言われればそれまでかもしれないが、それでも兄として、士道は琴里を信じたかったのだ。
さらに厄介なことに、五年前の記憶を手繰ろうとしても、てんで駄目だったのだ。まるで、糸の先端を掴んだら、すぐに途切れて残りの糸を全く引き寄せられない、ような感覚。
そんな折に、偶然立ち寄った神無月副司令にこの旨を話したところ、五年前の天宮市大火災の映像を見せてくれる、と言ってくれたため、飛びついてきてしまったのだ。
「すいませんね、手間取って。副艦長室の端末でしたら、もう少しスムーズにいけたのですが」
「いや、それは構いませんけど………ここにその映像が保管されているんですか?」
「いえ、映像そのものはフラクシナスには保管されていません。今し方、本部のデータベースにアクセスしたところです。副艦長室の端末は画面がそこまで大きくありませんから、ここの方が、細かな映像を見るには適しているんです_____と、来ましたよ。画面を」
神無月が言うと同時、円卓の中央に設えられていたモニターに、映像が映し出された。
街の一区画を空撮で捉えた映像である。しかし、画面一杯に広がった真っ赤な炎の絨毯は、いっそガス田か火山の火口とでも言った方が適切と思えるほどの有様だった。とても数時間前まで人が生活していたとは思えないような、まさに地獄である。スピーカーからはヘリの駆動音とレポーターの男性の声、そして時折混じる凄まじい爆発音が聞こえてきており、画面が微かに揺れた。
「………く」
士道はその想像以上の光景に、思わず眉根を寄せた。よもやあの大火災が、ここまでの物とは思っていなかったのである。
「_____さ、もうすぐです」
と、神無月が静かな声で言ってくる。
ヘリが旋回し、徐々に高度を落としていく。それと同時に画面がズームアップし、滲んだようにぼやけていった。少しずつピントが調整されていく。
「______、あれ、は」
そして次の瞬間、画面端に映ったものを見て、士道は喉を震わせた。
街の中心部。
他の場所とは決定的に違う、そこにあったはずの家々が完全に燃やし尽くされ、焦土と化した場所に、見覚えのあるシルエットを見つけたのである。
古い映像である上に、様々な悪条件が重なったことで非常に解像度が粗くなっている。だが、士道がそれを見間違えるはずがなかった。
「琴里………」
そう。これは一昨日来禅高校の屋上で目の当たりにした、霊装を纏った姿の琴里だった。
その足元に、小さな影が倒れている。
「あれは_____俺?」
そして。
「_________え?」
士道は、そんな小さな声を発した。
二人の前に、『何か』が存在していた。
普通であれば、ただ画面に入ったノイズか何かとしか思わないだろう。
だけど、違う。あれは、あの影は______
「…………ッ」
瞬間、士道は両手で頭を抑え、その場に跪いていた。
「士道くん?どうかしましたか?」
神無月の問いに答えず、士道は画面を凝視し、唇を開いた。
「
「誰って………どれのことですか?」
「これ、です。琴里と、俺の前にいる………」
そこで、士道は初めて気が付いた。
_____何故自分は、このノイズとしか思えない影を、人だと認識したのか。
そして次の瞬間、更なる衝撃を全身が襲った。
そんなノイズと、向かい合うようにして。
「あ________」
何かの煙か影のような
そしてそれを見た瞬間_______士道の頭の中に、ナニカの奔流が凄まじい勢いで流れ込んできた。
な_____を お_____には______い_______だ
______は________ない 今______に_______るゥ?
ハハハハハハハハハハァァァァァアッ!!!!
「アアアアアアアアアァァァアァ__________ッ!!」
士道はその声が響いた瞬間、耳がつんざくような悲鳴を上げ_______
「あ_______」
「士道君!?士道君ッ!」
その場で倒れ、気絶した。
◆
「折紙!?あんた、退院したなら早く連絡しなさいよ」
士道達と別れてから、自宅へ戻る前に天宮駐屯地のCR-ユニット格納庫に顔を出すと、AST隊長である日下部燎子がそんな声を上げてきた。どうやら何かしらの搬入チェックをしていたらしい、作業ズボンと黒のタンクトップに、クリップボードとペンを握っていた。
「非常に重要な案件に巻き込まれていた」
「重要な案件?ていうか何よそれ」
燎子が眉を撥ね上げ、折紙が右手に持っていた紙袋を指してくる。それを持ち上げると、折紙は静かに唇を開いた。
「これは千金に値する贈り物であり_____同時に、敗北の苦渋を刻んだ忌まわしき物」
「は………?な、何よそれ」
燎子が怪訝そうに折紙の持った紙袋を凝視してくる。まあ中身は士道に買ってもらった水着なのだが。
「私はプリンセスを許さない」
「いや、なんでそこでプリンセスが出てくるのよ」
燎子が頰に汗を垂らしながら言ったところで、無骨な搬入車両が、巨大な装備を引いてゆっくりと近づいてきた。
「おっと。ほら折紙、あんたもちょっと避けなさい」
折紙が燎子の方へと歩く。その際に、ちらりと搬入された装備に目をやると、保護用のシートが被せられた、全長五メートルはあろうかという巨大なユニットだった。
「これは?」
「んー、新しく配備された実験機よ。DW-029・討滅兵装【ホワイト・リコリス】。大型レーザーブレード【クリーヴリーフ】二本に、五〇.五cm魔力砲【ブラスターク】二門、換装可能な大容量ウェポンコンテナ【ルートボックス】を八基。AST一個中隊の火力を一個人にぶっ込んだような頭イかれたユニットよ」
説明が終わると、さらに燎子がその近くからアタッシュケースを持ち上げた。
「それは?」
「……これも送られてきた装備の一つ。真那が使っていた、あの仮面ライダーのドライバー。あれの量産タイプの試作品だって。こっちは詳しい概要が不明なんだけどね」
「…………」
折紙は無言で、その巨大すぎる兵装とそのドライバーを交互に見やった。
「これらを使えば、【イフリート】を倒すことが可能?」
「は?何言ってんの。これらはあんたには扱えないわよ。権利的にも、技術的にもね。DEM社から直接送られた、実験機の試作品だもの。ま、一応理論上ではこのユニット一つで精霊を倒せるレベル。ドライバーと併用すればそれはもう恐ろしい事になるらしいけど………DEMの専属
「………そんな代物が、何故ここに」
「ん、どうやらDEMのお偉いさんが、もしかしたら真那だったら扱えるかもしれないって寄越したらしいわ。ドライバーも、真那に性能チェックをして欲しいからだって。ま、肝心の真那がおねむじゃあ宝の持ち腐れよね」
「そう」
「ていうか、イフリート?五年前に現れたっていう炎の精霊がどうかしたの?五年前に一度確認されてから現れてないん______」
と、不意に燎子が言葉を止め、何かを思い出したようにパチンと指を鳴らした。
「ああ、そうか。あれが【イフリート】か」
「………っ、どういうこと?」
「一昨日、あんたと真那が高校の屋上で、【ナイトメア】と戦ってた時現れたのが、その【イフリート】なんじゃないの?炎の精霊なんでしょ?」
「_______っ!」
折紙は息を詰まらせると、燎子にずいと顔を寄せた。
「なぜ一昨日、炎の精霊が現れたことを知っているの」
「なぜってそりゃ………映像で見たから」
「…………!」
目を見開く。まさかこんなにも近くに、【イフリート】の手がかりがあったとは。
「日下部一尉」
「な、何よ」
「お願い。その映像を見せて____今すぐに」
◆
五河家にある、居候中の万丈の部屋にて。
「出来たーッ!おいおい万丈万丈!」
「はいはい万丈だよ………で、何が出来たってんだよ」
「何って、決まってるでしょうが!俺の、発・明・品!」
強引にドアをこじ開け、いつにも増してハイテンションな戦兎が取り出したのは、四角い筐体に、何やら爪のような部品が取り付けられた、白と水色の物体だった。
「ビルドの新武器!その名も、【アイスボックロー】ッ!クローモードとチェーンソーモードと、ガンモードの三種類に変形可能な、このハイテク武器!ねッ!?凄いでしょ!最っ高でしょっ!?天っ才でしょッ!?」
「だーもう分かったからうるせえよ!」
「早く試してぇーなぁーッ!」
「ッ!」
瞬間、万丈が距離を取った。新武器を開発した後になると、この男は何をしでかすか分からない。流石の万丈と言えども、付き合いが長ければ大体察しがつくようになっていた。
そしてその予想通り、戦兎は万丈の方に目を向けると、アイスボックローを構えながらにじり寄ってきた。
「試したい…………早く試したい………!」
「試すな試すな!つか、そんなんやってていいのかよ。明日琴里と士道のデートをサポートしなきゃいけねーのに」
「それと俺の発明どっちが大事か言ってみろ!」
「ぜってえサポートの方だろうがっ!」
普段は突っ込まれる側の万丈が、戦兎に突っ込むというあまりお目にかかれない光景。しかし戦兎がこういう感じで暴走した時は、わりかし珍しくもない光景なのである。
すると戦兎も多少落ち着いたのか、一つ息を吐いてからアイスボックローを仕舞った。
「はあ、分かったよ。ま、それに関しちゃ別に心配してないけどね」
「あ?どうしてだよ」
「仮にも十何年も一緒に過ごしてきた妹だぞ?琴里の趣味趣向は、士道が一番分かってるんだし、俺たちの出る幕はないだろ」
「………まぁ、確かに」
言われてみればその通りである。寧ろ、余程のことがない限りは戦兎達が足を引っ張るかもしれない。それに基本的には令音からの指示もあるので、それほど戦兎達が準備する程のことは無かったのである。
そう、デート
「問題は………」
外部からの妨害だろう。
マッドクラウンや神大_____もといナスティシーカーからの妨害や、鳶一らAST。いざという時の実働隊員である戦兎達が目を光らせるべきところは、そういった外部からの妨害工作である。
特に注意すべきなのは前者だろう。ASTはともかくとして、クラウンや神大からの妨害は戦兎達でなければ食い止め切れない。琴里とのデート中は士道は変身できないため、戦兎達がそれらを引き受けなければならないのだ。
しかし、今の戦兎達の戦力で、果たしてクラウンやシーカー相手にどれだけ立ち回れるか_____その懸念があったからこそ、こうして新型武器を作ったわけなのだが。
「いざとなったら………」
______奥の手を使うしかない。
そう思って戦兎は、ポケットの中に入れた、白と水色のウサギのボトルを握り締めた。握ると、仄かな冷たさが手に伝わってくるようだった。
どうでしたか?
今回は準備回的な感じなので短めです。あとビルドの新武器はゲイツリバイブのジカンジャックローが名前のモチーフですが、見た目は別物です。
次回は士道のデートは原作とほぼ同じになるので、戦闘場面を入れるかもしれません。もしかしたらオリジナルのデート部分も入るかも分かりませんが。
最近は二日に一回のペースで安定しかけていますが、もしかしたらずっとこのままかもしれません。毎日投稿ができなくなる可能性があるので、ご了承のほどよろしくお願いします。
それでは次回、『第35話 ラストデートの始まり』、をお楽しみに。
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