万丈「ハット………何つった?」
桐生「マッドサイエンティストね?狂ってる科学者って意味」
万丈「うーん…………あ!お前のことか!」
桐生「おいちょっと待てどういう事だよそれ!言っとくけど俺は天っ才物理学者ですから!あんな趣味悪いやつと一緒にしないでほしいね!」
万丈「人が寝てる時に刀ぶっ刺そうとしたり辺り構わず武器振り回そうとする奴なんてどう考えてもイかれてんだろ!」
桐生「失礼な!ちゃんと試したい〜って許可をとったじゃん!」
士道「いや、それ許可とは言わないと思うぞ?ほら、知らない間に俺凄いことになってるから!というわけで!第38話、どうぞ!」
「やめろ______折紙!」
『そこを退いて、士道』
硝煙が渦巻く遊園地の一角で、仮面ライダーアライブ_____五河士道と、鳶一折紙______デウストルーパーが、互いに対峙していた。
先刻、折紙が放った攻撃により、周囲の人々は皆避難しており、今この場には、士道と折紙、そして琴里しかいなかった。琴里が初撃を防いだとわかるや否や、折紙はさらに無数の銃口を琴里に向け、一斉に鉄の礫の雨を降らせた。
幸い士道が即座に変身して攻撃を防いだ事で琴里に実害は無かったものの、初撃を防いだ際に、琴里が霊力を解放してしまったのである。ただでさえ危険な状態なのに、その上霊力を解放してしまったらどうなるか______想像に、難くなかった。
『ようやく見つけた_____私の、仇。邪魔を、しないで…………ッ!』
「嫌だ______琴里が殺されるのも、お前が琴里を殺すのも、嫌だッ!だから_____俺が、お前を止めてみせるッ!」
そう言い、再びアライブラスターを構え直す。
が、それよりも先に______
「うわッ!?」
折紙が腕を軽く振ると、アライブの身体は芝生の上へと転がされて行ってしまった。
そして次の瞬間、アライブが立っていた位置から、凄まじい爆風と爆音、強烈な振動と衝撃波が辺りに撒き散らされた。
「やめろッ!折紙!」
懇願するように叫びながら、ブラスターモードのアライブラスターを折紙の方に、躊躇いながらも撃つ。
「なっ………!?」
が、当たらない。折紙の周囲に張られた
そしてその間にも、爆風は絶えず吹き抜ける。
地上の物を討滅し尽くす絶対的な意思で固められた爆砕の使徒は、一瞬のうちに遊園地の一角を壊滅させた。まるで空間震が起きたかのように抉れ、何も無くなってしまっている。
あまりにも凄まじい威力。今まで何度もASTの戦闘を見てきたが_____これほどまでの破壊力を持つユニットは、見たことがなかった。
「琴里!」
思わず、名を呼ぶ。
が、そんな士道の懸念を振り払うように、上空から小さな声が聞こえてきた。
「ふん……随分と行儀の悪い武器ね」
そこには、傷一つない琴里が、悠然と浮遊していた。
『く______指向性
折紙がマスクの下で苦々しげな息を吐き、再び声をあげ、ミサイルを発射する。
だが、それらを撃ち抜くように。
『な______』
無数の光線が、向こう側から放たれた。
折紙が振り向き、アライブもその方向を向く。
すると。そこには。
「_____よう。クライマックスには間に合ったみてーだな」
「戦兎!」
『桐生、戦兎…………』
ビルドに変身し、右手にホークガトリンガーを持った、桐生戦兎の姿があった。
心なしかどこか疲れたような様子だが、すぐに折紙の方へと顔を向けた。
『はぁ……っ、はぁ………っ、はぁ………っ』
余程脳を酷使したのだろう。マスク越しに、荒い息が聞こえてきた。瞬間、ビルドが折紙の腰に取り付けられたベルトを見て、戦慄したように声をあげる。
「ッ!おい!今すぐそのベルトを外せッ!そのベルトは危険なんだッ!」
『邪魔を……しないで………!』
だが、そんなビルドの忠告に聞く耳を持たず、折紙は再びミサイルで攻撃を仕掛けようとする。しかも、今度はそれだけではない。
『_____指向性
折紙がその文言を唱えると同時に、琴里の周囲に球状の結界が形作られた。
「ん_______?」
琴里が眉をひそめる。アライブの視点から、すぐにそれは知れた。あれは先程、アライブを庇ったような結界では無い。
ビルドもまたその知識が、今琴里に張られた結界がどんな代物かが大体予想できた。
「ッ、させるかっての………!」
そしてミサイルが放たれる。
ビルドがホークガトリンガーで迎え撃とうとするが、驚くべきことに、ミサイルが全てガトリンガーの弾丸をすり抜けるように軌道を描き、結界の方へと向かっていった。
「マジでっ!?」
ビルドも驚愕の声をあげる。そして同時に、それがどれほど恐ろしいことかも分かった。
あの銃弾の雨の中、ミサイルを一発も被弾させることなく飛ばすのは、殆ど不可能だ。特にガトリングのように、無数の弾丸が一斉に射出される武器で迎え打たれては。
それこそ_____ミサイルの弾道をリアルタイムで調整でもしない限りは。
「まさか、あいつ______」
だが、そんなビルドの声を遮るように、ミサイルが琴里の周囲の結界を通り抜け、その全てを被弾させた。
今度は二人とも、顔を覆わずに済んだ。理由は単純。球状の結界内で全ての弾丸が炸裂し、その爆風を範囲外に一切漏らさなかったからだ。
だがそれだけに、中がどんな様子なのかは、想像に難くなかった。あれだけのミサイルを受けるだけでも相当なダメージだというのに、その爆風を狭い範囲内で幾重にも浴びたらどうなるか。ライダーシステムはおろか、精霊でもただでは済むまい。
『ぐっ………うぁっ………』
折紙が再び苦悶の声をあげ、頭を押さえるようにする。同時に琴里の周囲の結界が空気に溶け、中に蟠っていた濃密な空気が細く消えていった。
だがその煙が掻き消えたところで、折紙がカッと目を見開いた。
無理も無いだろう。何しろ煙が消えた場所に、真っ赤な焔の塊が浮遊しており______
「ぷはっ」
小さな吐息と共に、身体のあちこちを煤けさせた琴里が顔を出したのだから。
「やってくれるじゃない。見たことない機体ね。新型かしら?」
言いながら琴里が軽く手を振り、全身から炎を這わせて傷を回復させていく。
だが______その瞬間。
「…………っ、あ_______」
急に琴里が顔を歪めると、側頭部を押さえながら苦しげな声を発する。
「く………力を、使い、過ぎ………」
「ッ、琴里!」
その症状には、見覚えがあった。
一度目は、一昨日の学校の屋上で。
二度目は______つい先ほど、ウォーターエリアの片隅で。
押し寄せる破壊衝動に意識を喰われる琴里の姿である。
命の取り合いをしているこの状況において、それはあまりにも大きな隙であった。そしてその好機を、折紙が見逃すはずもない。
「【クリーヴリーフ】_____解除・展開!」
折紙が叫ぶと同時に、レイザーブレードの刃が本体から射出され、光の帯となって琴里に絡みつく。
「ぐ………」
「指向性
折紙が再び唱えると、またもや琴里の周囲に球状の結界が生成される。だが、今度放たれるのはミサイルではなかった。折紙は身をよじりながらドライバーを操作し、ウェポンコンテナの両端に備えられた巨大な砲門を琴里に向け_____
【STAND BY】
「討滅せよ_______【ブラスターク】!」
【ARMED ATTACK】
その声と、電子音と共に、至近距離から魔力光の奔流が放たれた。兵器や武器に詳しくないアライブにも、それがどんなに恐ろしい威力を持つかが容易に知れた。
ビルドにも、その攻撃の規模、熱量、その他情報から、それがどれ程の代物かを、一瞬で理解した。
その光が琴里の周囲に張られたバリアに触れ、それにヒビが入る。
地面に光が触れた瞬間、凄まじい爆発が起こり、小さなクレーターを作った。
「琴里_______!」
アライブが喉を潰さんばかりに絶叫を上げる。だがその魔力光が、全てを掻き消した。
『………っ、………っ、ぐぅ……………っ』
折紙が憔悴した様子で砲を下ろし、胸を押さえる。一方的に攻めているのは折紙なのに、ダメージを受けているのは寧ろ折紙の方のようである。
だが_____その瞬間に、折紙の背後に
「な_______」
折紙が驚愕に顔を歪め、応戦しようとブレードを構えるが、遅い。
「______【
焔の刃が蠢動し、折紙を襲う。
『きゃ………ッ』
押し殺すような悲鳴と共に、折紙がアーマーを斬られ、巨大なユニットごと地面に叩きつけられる。琴里はその様子を冷たい眼差しで見下ろすと、右手に握った
『く………防性
折紙が奥歯を噛み締めて言うと、折紙の周囲に展開されていた
次の瞬間、
『く、ぁ______っ!』
どうにか攻撃は防いだものの、折紙の脳には既に強大な負荷がかかっているようだった。苦しげに眉根を寄せ、呻き声を上げる。
だが、琴里は攻撃の手を緩めることなく、何度も何度も、焔の刃を燃え上がらせ、鞭で打ち付けるように戦斧を振り続ける。
「あらあら?さっきまでの威勢はどうしたの?私を倒すんでしょう?私を討つんでしょう?なら早く飛びなさい。切っ先を、銃口を、私に向けなさい。じゃないと_____ふふふ、あなたが死んじゃうわよ?」
「………ッ!琴里!」
「やめろっ!」
琴里の言葉に、アライブは悲鳴じみた声をあげ、ビルドは琴里を止めようと、二人がいる方へと駆けて行った。
_____が。
「______ふん、邪魔よ」
琴里が凄絶な笑みを浮かべたかと思うと、その焔の戦斧を大きく振り上げ、ビルドへと切っ先を向けた。
「ッ、ガ、ハァッ…………ッ!」
その攻撃はビルドのアーマーを容易く削り、戦兎は地面に打ち付けられ変身を解除されてしまった。浅く切られた胸や腕から、血が流れ出ているのが分かる。
「っ、戦兎ッ!」
アライブが戦兎の元へ駆け寄るが、琴里はすぐに視線を戻して、折紙へと攻撃を加える。幾度も幾度も、折紙の
『…………っ、か、は______』
そして何度目の斬撃だっただろうか、遂に折紙の
「………あら、もう終わり?つまんないの」
琴里が冷めた声でそう言うと、手に持った戦斧を離し、そして、
「【
巨大な戦斧から刃が霧散し、巨大な砲へとその姿を変える。
そして琴里は、折紙に向けてその砲門を突きつけた。
「あなた、殺すけどいいわよね?_____答えは聞かないけど」
「琴里ッ!止めろ!琴里ッ!………くそっ!」
「っ、士道、だめだ………っ、ぐ………!」
喉を潰さんばかりに叫びながら、戦兎の制止を振り払って琴里と折紙の間に割って入ろうとする。
【BLAST VERSION!】
アライブラスターを変形させ、ブラスターモードへと切り替える。しかし幾ら最大出力で放ったとしても、あの砲が撃つそれには叶わないだろう。だが、少なくとも折紙が逃げるくらいの時間稼ぎはできるはずだ。
だが、折紙は苦しげに肩で息をしながらも、怯えることなく琴里を憎々しげに睨みつけていた。
『【イフ_____リート】………ッ!』
折紙が言うと、琴里は不機嫌そうに表情を歪めた。
「………嫌な名前を知ってるわね。どこで調べたのかしら」
しかし折紙は苛烈な語勢を直すことなく、続けた。
「そうやって………殺したの?五年前………私の、お父さんとお母さんを_____ッ!」
「え________」
琴里が、今までと明らかに温度の違う声を発した。
◆
「……良かった、容体が安定した」
フラクシナス艦内医務室。
ベッドに横たわり、静かに息を立てている万丈を横目に、彼のデータを観測していた令音は、一つ息をついた。
先ほど戦闘後に気を失った万丈をフラクシナスで回収した後、すぐにこの医務室へ運ばれ、令音がその面倒を見ていたのだ。
幸いにも身体に何らかの悪影響などは見受けられず、ダメージが入っているため治療は必要だが、それほどの時間は要さない程度だった。
「………それにしても」
しかし令音はそれらのデータから視線を外し、ある項目を凝視した。
それは恐らくフラクシナス、いや、それどころかラタトスクでも_____彼女にしか分からない、あるデータだった。
「……まさか、バジンまでとは、ね…………」
そのデータを目にした瞬間、令音はある種の気怠さや憤りを感じたような溜息を吐き、やがて思案顔になった。
「……彼らは………一体、何者なんだ。精霊の事を知っていた件といい_______」
_______
令音はしばし考えてから、やがて後で考えようと思考を放棄した。今の状態では、あまりにも分かることが少なすぎた。
ただ一つ言えるのは______彼らは令音にとって、敵であるという事だった。
◆
琴里は、呆然と声を発していた。
「何、を______」
言いながら、頭痛を堪えるように左手で頭を押さえる。その声とその顔は、士道たちの知る琴里のものだった。
『五年前。今から五年前。天宮市南甲町に住んでいた私の両親は、炎の精霊______あなたの手で殺された。あなたは、私の眼の前で、二人を灼いた………ッ!忘れるものか。絶対に、忘れるものか。だから殺す………駆逐する。私が、この手で、あなたを殺すッ!イフリートッ!』
裂帛の気合と共に、琴里の身体が吹き飛ばされる。それは折紙の力が増したというよりは、琴里の身体から力が抜けているような様子だった。
「琴里………っ!」
士道が、アライブが名を呼ぶも、反応は無い。地面に叩きつけられた琴里は、ただ呆然と目を見開き、カタカタと歯を鳴らすだけだった。
「そん、な………私、は______」
折紙は即座に
『今度は、外さない。______指向性
折紙の言葉と共に、琴里の周りを結界が取り囲む。
守る為の物でなく、閉じ込め、致死の攻撃を与えるための殺意の檻。
「…………ッ!」
「ッ、おい、士道っ!」
士道は思わず駆け出した。幾らライダーシステムでも、あの光線は防げない。さらに琴里の力を失った今の状態では、致命傷を食らっても再生することさえ叶わない。きっと琴里の前に身を晒しても、共に撃ち抜かれるのが落ちだろう。
だが、足を止めることはできなかった。理由なんか単純だ。たった一つのシンプルな答え。
可愛い妹が危機に瀕している。たったそれだけでお兄ちゃんが、仮面ライダーアライブが駆けつけるには、十分すぎる理由となった。
『【ホワイト・リコリス】、臨界駆動………ッ!』
折紙が、巨砲を琴里へと向ける。だがアライブは構わず、ブラスターモードのアライブラスターを構え、琴里を守るように仁王立ちになった。
「折紙!止めろ!止めてくれッ!」
『っ、邪魔をしないでと、言ったはず。士道』
「そんな訳にいくかよッ!」
アライブが叫ぶと、折紙がギリと奥歯を噛み、マスクの複眼を鋭く光らせた。
「_____はぁ、最っ悪だ」
そしてそこへ身体を押さえながらも、戦兎がやってくる。
「戦兎!お前、身体………」
「こんくらいどうって事ないって」
そう言いながらも戦兎は腕を押さえ、苦しげな表情を浮かべていた。
『桐生、戦兎………ッ!』
「………まあ俺も、大事な仲間を傷つけられたく無いし、それに______お前が琴里を殺すのなんて、そんな事させないし、見たくもない」
戦兎は折紙を鋭く見据えながら、言い放つ。
『………士道には、言ったはず。私は両親の仇を討つために今まで生きてきた。五年前、あの炎の街を抜けてから、私の人生はそのためだけにあった。私の命はそのためだけにあった。イフリートを_____五河琴里を殺す事こそが、今の私の存在理由』
「…………ッ」
そう言う折紙の声を聞いて。士道の脳裏に、とある少女の台詞がぐるぐると渦巻いた。
(慣れていやがりますから)
崇宮真那。自称、士道の実の妹。
(だから、私は殺し続けるんです。あの女を。ナイトメアを。時崎狂三を。それだけが、私の存在理由。それが、私の生きる目的)
幾度も幾度も精霊_____狂三を殺し、もう元に戻らないほどに身体も、心も擦り減らしてしまった少女。彼女が見せた、疲れ切った表情と声音、そして暗く淀んだ瞳を思い出して、士道は唾液を飲み込んだ。
何故今真那を思い出したか_____それも単純だった。
目の前の仮面の少女が、それと重なって見えたからだ。
「駄目、だ………」
アライブが、士道がポツリと言う。
「駄目なんだ…………お前は、殺しちゃあ………!一つでも命を奪ったら…………その引き金を引いたら______お前はもう、後戻りできなくなる………!」
そのたった一度で、折紙は、真那になってしまう。
心が摩滅して、もう二度と元に戻らなくなる。
人の絶望に敏感な士道だからこそ、分かる。今折紙が指をかけたその引き金が、最後の鍵であることを。
「俺は____そんなお前を、見たくない………!」
しかし折紙は砲を下さず、依然としてその仮面の下で鋭い視線を向ける。
『……っ、例えそれでも、構わない。私の手で、イフリートが討てるなら………!』
「く_____」
アライブは爪が食い込まんばかりに拳を握りしめた。
だがそれと同時に、脳裏に一つの引っ掛かりが生まれた。
炎の精霊、【イフリート】。折紙が言った、その呼称に。
「_______、ぁ………」
詭弁にも近い言動。くだらない言葉遊びと言われても反論できまい。だが、それは小さくても、一つの可能性だった。どんなに細くても士道の目の前にある一本の糸だった。
「折紙………一つ聞かせてくれ」
「………士道?」
折紙は答えない。だがその沈黙を肯定と受け取り、アライブは続けた。
「お前が仇と狙うのは______【イフリート】、なんだよな?」
『そう』
「焔を操り、全てを焼き尽くし、死の淵からさえ蘇る………炎の精霊なんだよな!?」
『そう』
「俺の妹_____五河琴里じゃあなく、炎の精霊イフリートなんだな!?」
『………何を言っているの?』
「ッ、お前まさかッ!」
折紙がマスクの下で眉を歪め、戦兎がアライブの質問の意図に気づいたように、声をあげる。
『イフリートと五河琴里は同一の存在のはず。貴方は何を_______』
「いいから答えろ!お前の仇は炎の精霊イフリートで、人間である五河琴里じゃないんだな!?」
アライブが叫ぶと、折紙はしばし押し黙ってから声を返してきた。
『_____あなたの言うことは不可解。確かに私の仇は炎の精霊イフリート。人間ではない。でも、五河琴里は精霊。その条件は成立し得ない』
折紙が静かに言う。士道は、ごくりと唾液を飲み込んだ。
『そこを退いて、士道』
「駄目だ………それはできない。今のお前の言葉を聞いたら、尚更な」
『………どういうこと?』
アライブの言葉に、折紙がしかめた様子で返す。
「頼む。少しでいい。俺と琴里に時間をくれ。そうしたら______」
『認められない。今が、イフリートを討つ最大の好機…………!退かないのなら________」
折紙が、砲門を構え直す。士道を、戦兎を貫き、琴里を消し尽くすように。
「く_____」
折紙の言葉が、分からないわけではない。寧ろ、間違っているのは士道の方なのだろう。
大切な人が殺されたのなら、その相手を恨むのは至極当然の事だ。
それこそ______自分の手で殺したいと思うくらい。
きっと折紙が今ここで琴里を殺したなら、士道は折紙が琴里に抱いたのと同じ感情を心の中に抱き続けることになるだろう。
どれだけ口で許すと言おうが、どれほど上部を取り繕うが、自分の意思とは関係なく、きっと心の一番奥で、冷たい怨嗟がこびりついてしまう。
だからこれは、綺麗事だ。
でも_____例え偽善と言われようが、自分勝手と言われようが、道理に合わぬと言われようが、それでもアライブには、士道には、口をつぐむことが出来なかった。
「両親を殺されたお前にこんなこと言っても、綺麗事と取られるかもしれない。きっと俺だって、父さんや母さんや琴里が殺されたなら、きっと相手を死ぬほど憎むと思う。矛盾してるって事は分かってる!でも俺は………それでも、俺は………!可愛い妹が目の前で殺されようとしてるのを無視なんてできないし、友達が絶望に浸るのを、黙って見ることもできねえんだよ…………ッ!」
『……………っ』
折紙が、どこか苦しげな唸りを上げた。
だが一瞬顔を伏せたかと思うと、再び顔を上げてきた。
『それでも………私は______!』
折紙が言うと同時、士道達の周囲に、見えない壁が生成された。
「!こ、れは_____」
「
アライブと戦兎が顔を歪めて声を上げた。先程士道に対して展開されたものと同じ、つまりは衝撃から対象を守るための結界である。
その意図を理解して、士道は喉を潰れんばかりに震わせた。
「止めろ、折紙ィィィィィィィィィィ______ッ!!!」
「止めろォォォォォォォォッ!!」
『う、あ、ああぁぁぁああぁぁぁぁ________!!!』
折紙が、二人の声を搔き消すように叫びを上げ、砲の照準を琴里に合わせた。
だが、その時。
「______させるかッ!」
上空からそんな声とともに______折紙の構えた二門のうち、右側の一門が綺麗に切断された。
『…………!?』
折紙が困惑したようにマスクを震わせる。
そして戦兎たちが上空を見上げると、そこには。
「十香!」
「うむ、無事か。シドー、セント、琴里」
水着の上に淡く光る光のドレスを纏い、大きな一振りの剣を握った十香だった。
どうでしたか?
また遅くなった上に原作そのママみたいになってしまった______最近スランプ気味です。
今更なんですが、原作琴里編のラストって、構成上戦兎達を絡ませづらいんですよね。だからオリジナル要素が少なくなる、けど物語を進ませなきゃいけない。だから原作と同じ部分が多くなってしまう。それをどうにかしようとして結局そのままになって、結果投稿が遅れる。というジレンマが発生しています。
八舞編はオリジナル部分多くなると思いますので、ご了承お願いします。多分次回で琴里編終わりですが、相当原作と似た感じになると思います。低クオリティで申し訳ない_____
申し訳程度の要素ですが、こちら、ラビットザドキエルのイメージ画像です。
【挿絵表示】
拙い手書きですが、取り敢えずはこんな感じということで。
あ、あと最近Twitter始めたので、そちらもよろしくお願いします。
https://mobile.twitter.com/Ym4NGK2mqk8BnPD
それでは次回、『第39話 兄妹アイが止まらない』、をお楽しみに!
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