デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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桐生「仮面ライダービルドにして!天っ才物理学者の桐生戦兎は!今日も今日とて地球の愛と平和を守るため、スマッシュと日夜激闘を繰り広げているのであった!」

万丈「なーにが激闘だよ。全っ然分かんねえじゃねえか」

桐生「そこはほらー、尺の都合って言うの?ほら文章的に書ききれないしさー」

士道「開始数秒でメタ発言するのそろそろやめようぜ?」

真那「そうでいやがりますよ。折角の読者さんが離れちまうっすよ?」

桐生「ちょ、恐ろしいこと言うなって!ただでさえ最近投稿ペース下がってきて離れないか心配なんだから!」

士道「そういうところな?」

万丈「ていうか、前回の最後!なんだよアレ。気になって仕方ねえよ」

桐生「っと、そうだった。と、言うわけで!第41話をどうぞ!」




第41話 テンペストと再会、友よ

短く息を吐いて、崇宮真那はゆっくりと目を開けた。

長い間目を使っていなかったからか、モザイクがかかったように視界がぼやけ、身体にも力が入らずに、全身が鈍く痛んだ。

 

「ここ……は………」

 

一瞬、自分の喉から発された声が、誰のものか分からなかった。

数分かけて真那は身体の感覚を取り戻し、自分の置かれている状況を確認した。

白い部屋と、大きいベッド。身体中に包帯が巻かれ、左手には点滴、口元には酸素マスク、胸元には電極が取り付けられている。

真那は思わず苦笑した。どこからどう見ても重体患者のそれである。

 

「なんで、私は、こんな………」

 

そこまで言って、真那は目を見開いた。酸素マスクをむしり取り、痛む身体を無理矢理起こす。そして首を回し、棚の上に置かれたデジタル時計に目をやった。

 

_____14:00 7/12 WED

 

「七月……十ニ日……!?」

 

そこに記された日付を見て、真那は息を詰まらせた。

 

それは真那が【ナイトメア】_______時崎狂三と来禅高校の屋上で戦い_____あの謎のボトルの力で、暴走してしまった日から、一月と一週間が経過していたのである。

 

そう。あの時真那は天使を顕現させた()()の狂三の前に敗れ去り、どうしようもなくなり、神大針魏から渡された、あの黒いボトルをドライバーに挿し_____

 

「化け物、に、なりやがったんですよね…………」

 

そこまで思い出し、思わず自分の腕を眺める。

 

今ここにある自分の身体は、既に人のものではなくなっているかも知れない。

 

その考えが頭の隅にちらついた時、真那はどうしようもない不快感を覚えた。これではまるで、あの時崎狂三と同じではないか。自分が討ち滅ぼそうとしていた存在と似たような存在になるなど、これ以上ない皮肉だ。

 

そしてそこでようやく、真那は初歩的な事に気が付いた。

 

「なんて………私、死んでねーんでしょう…………」

 

確かに体は痛むし、目は霞む。全身の感覚器は本調子どころか、鈍りすぎてベッドの上にいる感覚すら希薄だ。

 

だが_____生きている。

 

あの人喰い【ナイトメア】の前に敗れ、あんな名状し難い異形の存在に成り果ててもなお、真那は人間の姿で生存していた。

だとすると、余計に訳が分からなくなる。真那が暴走した時点で、戦況は最悪だった。高校の屋上には狂三の分身体が溢れ、その最奥には、彼女の天使と、側に_______

 

「………あれ、誰、でしたっけ……………」

 

目覚めたばかりで記憶が混濁しているのかもしれない。

確かに狂三の側に、誰かがいた気がするのだが、それが何だったのか、()()()()()()

 

真那は痛む頭に手を置いた。真那が生存していると言うことは、あの状況がひっくり返されるような何かがあったということである。もしや、途中で来た、ビルドとクローズが_______

 

「………え?」

 

と、思案わ巡らせていた真那は、不意に声を発して眉をひそめた。

病院の扉が開き、黒のスーツ姿の人間が数名、入ってきたからだ。

 

「_____崇宮真那だな」

 

「……何者でいやがりますか、あなたたちは。医者や看護師にしては(くれ)ーですね」

 

真那が視線を鋭くするも、黒服の男たちは微塵も動じなかった。

 

「一緒に来てもらおう。手荒な真似はしたくないが、抵抗するならその限りではない」

 

「………ああ?」

 

真那は顔を不機嫌そうに歪めると、言葉を発した男を睨みつけた。

 

「誰に口を利いているのか分かっていやがるのですか?手荒な真似?この私に?ハッ、出来るものならしてみやがれってんです」

 

言って、真那はその場に立ち上がり、身体を鳴らすように右手をスナップした。

 

数秒後、病室から無機質な、何かの射出音が聞こえた。

 

 

 

 

七月十七日、月曜日。飛行機に揺られることおよそ三時間。士道達来禅高校二年生一行は、太平洋に浮かぶ島に到着していた。

 

「お、おお………!」

 

空港から外に出た十香が、目をまん丸にして両手をプルプルと震わせた。だが、それも仕方ないかもしれない。何しろ今彼女の視界には、首を動かさないと把握しきれないような絶景が広がってきたのだから。

大海原が広がり、天と地を分かつように水平線が伸びている。空は快晴。太陽が燦々と降り注ぎ、海を美しいグラデーションで彩っていた。

 

「こ、これが………海か!」

 

叫び、その大きさを測るかのように、両手をバッと広げてみせる。

しかし当然その小さい両腕に収まるはずもなく、さらに興奮した様子で小さく肩を震わせながら身体を反らす。

 

「はは、元気だな」

 

「ま、多分初めて見た海だろうしね」

 

士道と戦兎が、十香の所作に苦笑しながら肩をすくめる。

 

士道達、来禅高校二年生は今、この或美島という島に、修学旅行へと来ていた。

当初は沖縄行きの予定だったのだが、急に行き先が変更になったのだ。詳しい事は生徒である士道達には分からないが、まあ海が無くならなかっただけ良しとしよう。

 

ちなみに、その部屋割りや、行く途中の飛行機で十香の折紙との間で一悶着合ったことや、飛行機で偶然万丈の近くの席になった亜衣が、話しかけようとして出来ずに悶々としていたり、士道の鞄からアライブガルーダが抜け出して亜衣麻衣美衣の玩具にされていたりと途中で色々あったのだが、完全な余談である。閑話休題。

 

十香程で無いにしろ、士道や戦兎とてこんな絶景を前にして何も感じないほど感受性は乏しくない。景色を見渡し、深呼吸して身体を伸ばす。

 

「んー……」

 

「しっかし、立派な海だなぁー………考えてみりゃ、俺もほっとんど海見た事ねえなぁ」

 

元の世界で起こったスカイウォールの惨劇によって、そんな暇も無かったのだ。恐らくその事件の前や、【葛城巧】だった頃にもあまり無いだろう。あっても子供の頃くらいだろうか。

 

「ふぁ……ぁ」

 

とそこで、あくびが一つ溢れた。

集合時間が朝早かったのもあるがそれ以上に、戦兎はまたも前日寝ずに作業していたので、睡眠が取れていないのだ。

なので飛行機の中で寝ようとしたのだが、例によって十香と折紙で一悶着あり、その喧騒が少し離れた戦兎達の席まで聞こえてきたので、寝るに寝れなかったのだ。あと、そんな状況でスヤスヤ寝てた万丈のいびきで寝れなかったのもある。

 

「ん………?」

 

と、そこで近くにいた万丈が、妙な声を出して辺りをキョロキョロと見回した。

 

「ん、どした、万丈」

 

「……いや何つーか、誰かに見られてるような気がしたんだ」

 

「はい?」

 

と、戦兎が首を傾げた瞬間、カシャリという音が、後方から聞こえてきた。

 

「わっ!?」

 

突然の事で、思わず顔を覆ってしまう。どうやら士道と十香も同じようで、顔を覆っていた。チカチカする目を細めながら光の方向を見ると、そこに大きいカメラを構えた女性が立っていることが知れた。

淡い色の金髪を風になびかせた少女である。明らかに東洋人とは違う発揮とした目鼻立ちと、白い肌が特徴的だった。

 

「えっと……あなたは?」

 

戦兎が困惑しながら訊ねると、少女がカメラを下げて視線を向けてきた。

 

「失敬。クロストラベルから派遣されて参りました随行カメラマンの、エレン・メイザースと申します。今日より三日間、皆さんの旅行記録を付けさせて頂きます。無遠慮な撮影、申し訳ありません。気分を害されたようでしたら謝罪させていただきます」

 

「あ、いや、別にそんな」

 

そういえば、旅行写真を撮るためにカメラマンが随行すると言われていた気がする。まさか外国人で、しかも戦兎達と(少なくとも外見上)そう歳の変わらない少女とは思わなかったが。

 

「お邪魔をしました。では」

 

と、四人が物珍しそうにその容貌を見ていると、エレンがもう一度ぺこりとお辞儀をして、皆の方へと歩いて行った。

 

「シドー、何だったのだ、あやつは」

 

「さぁ……?」

 

十香が腕組みをしながら、士道に尋ねる。

 

「ま、これでお前の言う見られてる気がするってのは、正解だったわけだ」

 

「あ?お、おう………」

 

戦兎の声に万丈は歯切れ悪く答え、再び首を左右に振った。

 

「……まーだ視線が残ってる気がすんだよなぁ………」

 

「え?………はぁ、まったく自意識過剰も大概にしなさいよ」

 

「おい、何だよそれ!」

 

と、戦兎と万丈がいつものやり取りをする。_____四人は、その時気づかなかった。

 

彼らの視線の、反対側で。

 

雲が、空が、見えない腕に攪拌されたように、渦を巻いていたからだ。

 

 

 

 

「ああもう、置いていかれちまったじゃねーか。ほら、急ぐぞ万丈」

 

戦兎は足早になりながら後方を振り返り、未だに首を傾げている万丈に声を投げた。

あの後も万丈が気になると言って辺りを探っていたところ、いつの間にやら学校のみんなが移動してしまっていたのである。士道と十香には先に行くよう言ってある。

 

「わ、悪い。でも、マジで誰かに見られた気がしたんだよなー……」

 

万丈が小走りしながら、すまなそうに言ってくる。戦兎はやれやれと息を吐いた。

 

「そりゃあんだけ騒いでりゃ嫌でも見られるってもんだろ?」

 

「まあ、そういうもんか………」

 

万丈が一先ずは納得したように言って、押し黙る。

 

「全く、自意識過剰も程々にしとけよ?」

 

「だからちげーよ!つか、それ言ったらお前の方がよっぽどそうじゃねえかよ!」

 

「ああ?んだとぉ?」

 

「いっつも自分のこと天才とか何とか言ってよ!」

 

と、そこでまたいつものやり取りが始まった。

 

「俺はマジで天っ才だから!あと()()じゃなくて()()()だから!」

 

「どっちでも同じだろこのナルシスト発明馬鹿!」

 

「んだとこの筋肉プロテイン馬鹿!」

 

互いにメンチを切って睨み合う。互いに硬い表情の中、

 

「あ………?」

 

不意に万丈が怪訝そうに声を上げ、戦兎の顔を押しのけた。

 

「おい!何すんだ____」

 

「なあ、おい、あそこ」

 

「なんだよ」

 

「あれ………人じゃねえか?」

 

「え?」

 

そう言って万丈が指差した方向。

そこには、うつ伏せの状態で全身ボロボロになった、ひとりの男が倒れていた。波に打たれ、全身海水でびしょ濡れになっている。さらには出血しているのだろうか、砂の一部が赤く見える。

 

「っ、まずい!万丈!」

 

「お、おう!」

 

戦兎は万丈に呼びかけ、急いで男の側へと駆ける。

あのまま放置していたら大変な事になるのは目に見えていたし、何よりあのまま放置するのは、戦兎自身が許さなかった。

 

「おい、大丈夫か!万丈、腕貸せ!」

 

「わ、分かった!」

 

必死に呼びかけながら、ひとまず波の届かないところまで運ぼうとする。どうやらまだ体温はそこまで低下していないようで、身体は比較的暖かかった。

だがこの暑さだ。脱水症状の危険性もある。一先ずは近くにある戦兎達が泊まる宿に連れて行き、そこから島の病院に運べばいいだろう。

そう結論付け、戦兎達が身体をひっくり返した、その瞬間。

 

「………っ!?」

 

「な…………!?」

 

衝撃が、戦兎を、万丈を襲った。

 

 

何かに痛められたわけではない。ただ、言葉では形容できない何かが、衝撃となって戦兎達の心に、記憶に、叩き込まれたのだ。

 

 

その手に掛けられた、赤、黄色、青の、三つのドッグタグを見て。

 

 

そのボロボロになった、茶色い服を見て。

 

 

そして_____その、ひどく見覚えのある、もう見ることはついぞ無いだろうと思っていた、顔を、見て。

 

 

「_________一海(かずみ)……………!?」

 

「______()()()()………何で………!?」

 

 

____猿渡一海(さわたりかずみ)

 

かつて戦兎達と共に戦いそして______散っていった、仲間だった。

 

 

______だが、疑問が口から出るよりも前に、今度は肉体に衝撃が走った。

 

「ッ、なんだ、これ………ッ!」

 

「う、うお………ッ!?」

 

戦兎達の身体を、いきなり途轍も無い勢いの疾風が襲ったのだ。

そして段々と、驚くべき速さで辺りの様子が、様変わりしていく。

 

青い空は灰色に曇り、凪は烈風と化す。穏やかな水面は荒れ狂う大波へと変わり、砂埃が舞った。

 

時間にして恐らく一分と経たずに、周囲の光景は一変した。

地鳴りのような風音と、辺りの木々をバサバサと揺らす、台風もかくやという暴風。

 

そして今戦兎達がいるのは、浅瀬とはいえ海だ。今の大波が荒れている海に、生身のままいるのは非常に危険である。

 

「ッ、万丈、行くぞ!ここにいるのは、まずい!」

 

「わ、分かった!しっかりしてろよ、バカずみん………ッ!」

 

万丈が一海を背負い、姿勢を低くして進む。そうでもしなければ、風に煽られ転倒しかねないからだ。しかも万丈は背中に一海を背負っているため、負担がある。下手すれば飛ばされるかもしれない。

 

「最っ悪だ………!天気予報じゃ、快晴じゃなかったのかよ………っ!」

 

戦兎が恨み言を吐く。天気予報では、少なくとも修学旅行中の天気は三日間とも晴れだったはずである。無論それが百パーセント的中するとは思っていないが、幾ら何でもこれは可笑しい。

いっそ変身してやろうか、とも思いながら、戦兎達は最初に向かう資料館へと歩を進めた。

 

 

______そして、どれくらい歩いた頃だろうか。

 

 

「あ………?」

 

「おい、なんだ………あれ」

 

戦兎と万丈は、不意に眉をひそめた。

荒れ狂う空の中心。

 

_____そこに、二つの人影が見えたからだ。

 

「あれは………」

 

戦兎達は、ハッと息を詰まらせた。

 

空を飛ぶ人影など、二通りしか心当たりがない。

 

つまりは_____精霊と、ASTの魔術師(ウィザード)

 

 

「まさか、戦ってるのか!?」

 

「………いや、空間震警報が鳴ってない以上、ASTは来ないはずだ…………多分な」

 

空を飛ぶタイプのスマッシュか、とも思ったが、いくらスマッシュでもこの暴風の中では空中で姿勢を保てないだろう。

 

もしあの人影が精霊だとするなら、放ってはおけない。だがその確証は無いし、何より今は一海を避難させ、応急処置を施すのが先決だった。

 

「とりあえず後だ。今は先を急ぐぞ」

 

「お、おう」

 

万丈にそう言い、資料館へと向かっていく。

 

だが。

 

『_______!』

 

 

戦兎達は、息を詰まらせた。上空で幾度と無く激突を繰り返していた二つの影が、一際大きな衝撃波を伴ってぶつかり合った瞬間、今までと比較にならないほどの凄まじい風が吹き荒れたのである。

 

「う、うわ………ッ!!」

 

「やべ、飛ばされる………ッ!」

 

吹き飛ばされぬよう二人で足を踏ん張り、身体を丸めるような姿勢になる。

と、上空で激突した二つの影は、互いに弾き飛ばされるように地面へと落下した。

丁度、戦兎と万丈を挟んで左右に。

 

するとその瞬間、辺りに吹き荒れていた大嵐がふっと弱まった。

 

「え…………?」

 

「あん…………?」

 

否、止んだというのは語弊があるだろう。正確に言い表すのなら、戦兎と万丈の周囲______もっと言うなら、地上に落ちてきた二つの影の周りだけが、台風の目のように穏やかな無風状態だったのである。

 

 

「く、くくくくく……………」

 

 

やがて右手から声が聞こえ、そして、二つの声が聞こえてきた。

 

 

「_____やるではないか夕弦(ゆづる)。流石は我が半身と言っておこう。だがな、最後に勝つのは我だ」

 

「_____反論。最後に勝つのは、耶倶矢(かぐや)ではなく夕弦です」

 

 

_____二つの台風(テンペスト)が、戦兎達の前に、現れた瞬間だった。

 

 

 




どうでしたか?
一応補足しておくと、ハザードーベルの上がったはずの真那が普通にやられたのは、麻酔銃撃たれたからです。肉弾戦じゃ多分誰も勝てないですからね。

そして………ついに登場しました!かずみん、又の名をカシラこと、猿渡一海です!

ですが彼が変身するのは、ちょっと後になりそうです。八舞編中には変身しますが。

それともうTwitterにはあげましたが、こちら十香の、サンダルフォンエンジェルフルボトルです。


【挿絵表示】


あくまでもイメージはこんな感じ、というものです。作るの自体は簡単でした。

それでは次回、『第42話 二人で一人のダブルタイフーン』、をお楽しみに!

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