デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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桐生「どーも久し振りーっ!!仮面ライダービルドにして、誰もが羨む天っ才物理学者の、桐生戦兎でぇーすっ!!」

万丈「いきなりテンション高えよ!でも、本当に久しぶりだな」

桐生「まあ告知してたとはいえ、これだけ多くの読者を待たせてしまったわけなんだよ!だからこそ、最初はテンション高めで行った方がいーじゃん!いーじゃんすげーじゃん!」

士道「ほんっとうにテンション高えな………あ元からか。まあ何はともかく、これから更新を再開していくから、よろしくな!」

桐生「さぁーてそれじゃ、そろそろ本編の方、イッテイーヨッ!」

士道「イッテイイ、ってさ」

万丈「それじゃあ、第46話をよろしくな!」





第46話 デレさせなければ生き残れない!

日が明けて、修学旅行二日目。

戦兎達は、或美島北端部に位置する赤流海岸に来ていた。

 

本来であれば観光客で賑わうはずのその海岸にはしかし、一人も人影が見当たらなかった。

だが、それも当然だろう。戦兎と万丈、そして士道は更衣室に向かう所を令音に呼び止められ、一海が乗っていたレンタカーでこのプライベートビーチにまで連れてこられたのである。

なんでも()()()()()()()()をする上でクラスメートが邪魔になる可能性が高いとかで、昨日のうちにわざわざ手配していたらしい。

 

「はぁー、凄いなこりゃ」

 

「でっけえなぁ………」

 

空は快晴。強烈な太陽が海を照りつけ二人の目を細めさせた。

しかし中身は大人の二人は、恐らく一般的な海水浴場で遊んでいるであろう活気溢れる若人達とは違い、何とも老人のような口調でそう言った。最近の激務プラス昨日の風呂場での一件で、精神的にはまだ疲れが残っている事もあるのだろう。身体的な部分は持ち前のハザードレベル(若干低下してはいるが)と、十分な休息をとったので普通に元気だった。

 

「……なあ万丈知ってるか?海って塩分が多いと人が浮く事もあるんだぜ」

 

「へぇ、マジか」

 

などと、これからの事を憂いて気分転換の為に、何とはなしに話題を振る。万丈も興味半分に聞いているようだ。

 

「ああ。アルキメデスの法則っつてな、塩分が水の密度より高いと………って、お前に言っても分かんねえか。悪いな、万丈」

 

「おい!何だよそれ!まるで俺が馬鹿みてえな言い方じゃねえかよ!」

 

「そのものズバリでしょうが」

 

「俺にだって分かるぞ!その………アルミメールの法則!」

 

「うーん惜しい!三文字惜しい!奮闘したな、万丈」

 

「おいおい、褒めんなよ」

 

「皮肉ってんだよ馬鹿」

 

「誰が馬鹿だ!せめて筋肉をつけろ!」

 

「それ毎回聞いてるけどあんま意味変わんねえからな」

 

と、いつも通りのバカな会話をする。相変わらず乗せられやすい性格だ。そのうち人を(おだ)てて物を買わせる詐欺かなんかに引っかかるんじゃなかろうか。

すると、二人の右耳のインカムから、眠たげな声が響いてきた。

 

『……セイ、バジン。耶倶矢と夕弦が着替えを終えたようだ。準備はいいかい?』

 

その声に、ふざけていた二人の空気が引き締まる。深呼吸をして、応答をした。

 

『……昨日説明した通り、二人にはインカムを渡してある。一海とシンは、君たちのデートに支障がないよう、護衛とサポートを任せているから、安心して望んでくれ』

 

「り、了解」

 

「………おう」

 

そのような説明をされても、正直安心するどころか不安しかなかった。これがただの攻略ならそこまで緊張しなかったろうが、昨日最後に令音から、このような説明があったのだ。

 

 

曰く、今回のデートは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という、ややこしい上に不安要素しかない作戦を説明されたのだ。

令音が言うには、今回は今までと状況が違うため、今までとやり方を変えるのだという。そして期間は明後日______つまり、修学旅行の最終日までに、二人の霊力を封印するという。

昨日の昼にも令音と二人の間で取り決めが交わされたらしく、明後日までには必ずどちらかが相手を落とす、という事になったのだ。

 

 

『……彼女らへのアドバイスと君たちとの会話が混線するのを防ぐ為、一度回線を閉じる事になる。……バジンは今回が初だが、大丈夫かい?』

 

「………まあ、なんとかやるさ」

 

令音からの問いに、万丈が答える。昨日の夜から変わらず、やはり万丈はあまり乗り気では無いようだった。

重要な任務ではあるが、こればかりは簡単に割り切れるというものではない事は、戦兎にも分かった。ちなみに令音には昨日のうちに、戦兎が話を通してある。

 

『……君には君の思いがある事も分かるが、今だけは我々に協力してくれ。昨日は大変だったようだが、今日はこちらからある程度セーブするよ。では、作戦開始だ。彼女らの水着姿を褒めるのを忘れずにね』

 

その言葉を最後に、令音からの通信が途絶える。

すると同時に、後ろから二人分の声が聞こえてきた。

 

「くく……こんなところに隠れていたか。龍我よ」

 

「発見。見つけました、戦兎」

 

確認するまでもなく、それが誰か分かった。二人でゆっくりと振り向く。

そこには予想通り、耶倶矢と夕弦が立っていた。耶倶矢は山吹色のレースに飾られた濃い青のビキニ、夕弦は濃い赤地に青のレースのついた、兎のワンポイントが付いたビキニを身につけている。______クローズとラビットタンクの色をイメージしたのだろうか。

 

しかし双方とも、確かに良く似合っていた。こんな少女二人が浜辺を歩いていたら、思わず声をかける男も少なくないだろう。

 

「お、おう。似合ってるじゃんか。それ、クローズとビルドをイメージしたのか?」

 

「ま、まあ、良いんじゃねえか?」

 

令音に言われた通り戦兎と万丈が水着姿を褒めると、耶倶矢が驚いた様子で顔を赤くして目を見開き、夕弦がキョトンとした様子で自分の装いを見下ろした。

だがすぐにハッとした様子で、耶倶矢がうでくみしてくる。

 

「く、くくく…………そ、そうであろうそうであろう。よく気がついたな。だが勘違いするなよ。このような衣服なぞ、我の魅力の前には霞も等しいわ」

 

「謝辞。ありがとうございます。とても嬉しいですね。ですが、こうも簡単に見抜かれると、少し悔しいです」

 

次いで、夕弦が首肯しつつ、少し悔しそうに言ってくる。

すると今度は耶倶矢が、万丈を見て顔を赤らめる。

 

「ん?どうした耶倶矢」

 

「へっ!?あーいや、その………く、くく。流石は龍騎士。その肉体もまた、壮健に鍛え抜かれていたという訳か………」

 

「翻訳。耶倶矢は龍我の筋肉を見て照れているんです」

 

「ちょっ、夕弦!何言って……何を言うか!」

 

夕弦に言われて、若干話し方がブレながらも反論する。それを聞いて戦兎も、改めて万丈の身体に注目する。

成る程、確かに万丈の筋肉は、普段から鍛えてるだけあってかなりの物だ。腹筋は割れているし、彼の良く自慢する大胸筋も硬く引き締まっている。若返った事で多少のダウンはしているだろうが、それでも凄まじい筋肉だ。普段は半ば馬鹿にしているが、思わず感心してしまった。

と、そこで。

 

「……ん?」

 

「確認。はい」

 

不意に耶倶矢と夕弦が眉を動かしたかと思うと、二人がそれぞれ耳に手を当てる。よく見ると、彼女らの耳には戦兎たちのものと同種類のインカムが見受けられた。

 

「くく………成る程、承知した」

 

「了承。理解しました」

 

戦兎は思わず苦笑してしまった。慣れない動作だからだろうか、二人してインカムに気を取られているのが、なんとも可笑しい光景だったのである。

程なくして、耶倶矢と夕弦がインカムから手を離し、戦兎と万丈に向き直ってきた。

 

「龍我よ。常闇に身を置く我には、この天よりの光(ゾンネンシャイン)は少々堪える。我が身に、聖光を阻む瘴気の加護を施す事を許すぞ」

 

「は?」

 

「通訳。日焼け止めを塗ってください、と言っています」

 

「ああ………そういう事かよ」

 

夕弦の言葉を聞き、万丈も理解したようだ。

すると、今度は夕弦が戦兎の方へと向き直る。

 

「請願。戦兎、夕弦にもどうか、塗って頂けませんか?」

 

「へ?お、俺?」

 

夕弦からの言葉に、思わず聞き返してしまう。

だってそうだろう。日焼け止めを塗るということは、つまり______

 

「ふ………では頼んだぞ、龍我。我の背中は貴様に預ける」

 

耶倶矢が、なんか明らかに使う場面を履き違えている言葉を吐きながら、日焼け止めローションを万丈に手渡してくる。次いで、夕弦も同じように渡し、言ってきた。

 

「依頼。お願いしますね」

 

一体どこからこんな物を、と思ったが、戦兎たちのすぐ近くにパラソルやらレジャーシートなどが置かれた休憩スペースが設営されているのが見えた。多分用意したのは令音だろう。

 

二人は視線を交じらせると、パラソルの陰にうつ伏せに寝そべった。そしてトップスのホックを外し、その白い背中を戦兎と万丈に晒す。

 

「えー、あー…………」

 

「おい戦兎、どうすんだよ」

 

隣り合わせで寝転んだ二人の背中を見やり、戦兎と万丈は視線を交えた。

これを塗るという事は、直接少女の肌に手を這わせねばならないという事だ。いくら作戦とはいえ、流石に躊躇われる。

 

すると焦れたのか、耶倶矢と夕弦がインカムに触れて小さな声を発し始めた。

 

「おい、龍我が乗って来ぬぞ。話が違うのではないか?」

 

「質問。何がいけないのでしょうか」

 

「………っ、やべっ」

 

戦兎は眉をひそめた。万丈はまだどうするべきか決めあぐねているようだ。

今日の狙いは、令音のアドバイスに信憑性を持たせる事にあるのだ。ここで二人が二の足を踏んでいては、作戦が破綻してしまう。

 

「よ、よし、じゃあ塗るぞ!……………万丈が」

 

「は?おい、なんで俺が先なんだよ!」

 

最初の役を投げてきた戦兎に、万丈が抗議の声をあげる。

すると、戦兎が万丈に詰め寄った。

 

 

↓以下、パントマイムでお送りします。

 

(後で・バナナと・プロテイン・やるから・話・合わせて!・お前・経験者・だろうが!)

 

(もう・引っかかんねえよ!・同じ手に!)

 

(だったら・後で・追加で・カップ麺の・特上サイズ・奢って・やるから!)

 

(………分かった!)

 

 

 

意思疎通終了。

このやり取りをする度に買収料が増えている気がするがそれは置いておき、万丈の快い同意もあって、まずは耶倶矢の方に塗る事になった。

 

「よ、よーし。今から塗っからな………」

 

「くく…………さあ、早くせよ。我に瘴気の加護を!」

 

「……瘴気だか障子だか分かんねえけど、取り敢えず………」

 

万丈はその場に跪くと、手にローションを適量取り、耶倶矢の背中に触れた。瞬間______

 

「っ、ふぁ………っ」

 

なんて今までにない甘い声を出しながら、耶倶矢が全身をビクッと震わせた。

 

「!わ、悪い。冷たかったか?」

 

「だ、大丈夫だ。早く、しろ…………」

 

「お、おう………ったく、やりずれえったらありゃしねえな」

 

万丈はやはりどこか割り切れないような表情で、しかしちゃんと手を動かした。

だが万丈が手を動かすたびに、耶倶矢がくすぐったそうに身を捩りながら、「あ……っ」だの「んん……っ」だのと、やたら官能的な声を響かせてくる。

 

隣にいた夕弦もまた、耶倶矢のそんな様子を見て「おお……」と感嘆の声を発していた。が、すぐにハッとした様子で眉を動かし、戦兎の方へ顔を向けた。

 

「請願。戦兎、夕弦にも早く、お願いします」

 

「へっ?あ、ああ………」

 

戦兎もハッとなり、ローションを手で取って夕弦の背に塗り始めた。今までこういった事をしたことが無いからか、動きはどこかぎこちなかった。

 

「痙、攣。う………ぁ、っ」

 

すると夕弦が、小刻みに鼻から息を吐きながら、押し殺したような声を発してくる。

そして戦兎が少しずつ慣れ始めた手つきで、背筋に沿うように手を動かす。やはりそこは大人だからか、だんだんと戦兎にも少しではあるが、余裕のようなものが出てきた。

そして手を動かしていくと、遂に耐えきれなくなった夕弦が身体をビクンと跳ねさせた。

 

「あ、悪い……」

 

「驚……嘆、とても、上手です………戦兎」

 

「り、龍我だって、凄いんだからね!ほら、早く!」

 

「あ?お、おう………」

 

ようやく呼吸を整えたらしい耶倶矢が反論し、万丈に続きを促す。

 

結局この後、耶倶矢と夕弦は息も絶え絶えの状態に、戦兎と万丈は精神を削られた状態になりながらも、なんとかローションを塗り終えることができた。

 

ようやく耶倶矢と夕弦の呼吸が整った頃、二人のインカムから通信が入ったらしい。同時にインカムを押さえ、小さく頷き始めた。

 

「ふ、ふむ、次は………スイカ割り………?二人に目隠しをさせて…………?」

 

「確……認。フラフラにした後、ぶつからないように進行方向上に待機して………?」

 

「ちょっと待て!何しようとしてんだ!つーか通信内容言ってる時点でこっちにモロバレだからな!?」

 

たまらず戦兎が叫びを上げようとした時_____ピクリと眉を動かした。

二人のそれとは別に、どこからか声が聞こえた気がしたのである。

すると万丈が、戦兎を指で突いた。

 

「おい戦兎、アレって………」

 

「え?」

 

万丈が指した方向は、海だった。そしてそこに____

 

「_____セント!リューガ!」

 

「って、十香!?」

 

「どんなスピードで泳いでんだよ!」

 

そこには、物凄いスピードで滅茶苦茶なフォームになりながら、水しぶきを立ててこちらに泳いでくる十香の姿が見えた。

 

 

 

 

十香と戦兎達が遭遇する、少し前の事。

海辺の彼らの様子を見つめる、二人の人影があった。

 

「_____ちっくしょー、あいつらだけいい思いしやがってよー………俺もみーたんと海で遊びてぇ………」

 

「し、仕方ないですよ。ていうか、みーたんって誰?」

 

双眼鏡片手にいたのは、一海と士道だった。

士道は水着と上着、一海はアロハシャツに短パン、麦わら帽子にサングラスと、完全に旅行を楽しんでいる観光客の格好である。だがこれらの衣装を用意したのは、勿論彼らではなく、令音である。万が一に備えての、一応の変装だ。

 

「ったくよぉー、こんな格好用意させといて、遊ばせねえってのも酷だよなぁ………」

 

「あ、あはは………」

 

一海は愚痴をこぼしながらも、彼らの周囲に邪魔がないか、確認している。

今回耶倶矢と夕弦を攻略するにあたって、士道と一海に与えられた役目は、ビーチの見回りである。最近のスマッシュ関連の騒動により、令音一人では不測の事態に対処しきれない可能性が出てきたのだ。

そこで、今二人を攻略している戦兎、万丈の代わりに、ライダーに変身できる二人がこの役目を預かった、というわけである。

 

しかし士道としてはこの任務、少々気まずい思いがあった。

 

かつて戦兎達の仲間だったというこの男、猿渡一海。

悪い人ではないのは分かるが、やはり年上という事もあってか、どうにも緊張してしまう。そのせいか初めて会ったときから、あまり会話が交わせていないのである。

 

しかし、ここでこうしていては拉致があかない。士道は思い切って、口を開いた。

 

「………あの、少しいいですか?」

 

「あん?どうした」

 

一海が視線を海岸に向けながら、応答してくる。

 

「………その、猿渡さん」

 

「…あー、苗字でさん付けってのは、ちっと慣れねえな。名前で呼び捨てで構わないぜ。もしくはかずみん」

 

「は……?あ、じゃあえっと、一海、さん」

 

「まださん付けかよ。戦兎達のことは呼び捨てじゃねえか」

 

「ぐっ……そ、それはほら、見た目がアレだから、というか………」

 

そう言えばそうだ。最近忘れかけていたが、戦兎達はアレでもちゃんとした大人である。ついフランクな感じで話していたが、気をつけないといけないのだろうか。

まあ、本人たちは特に気にした様子もないし、大丈夫だろう………多分。

 

と、心の中で結論付けて、本題に入る。

 

「それで………一海さんも、仮面ライダー、なんですよね?」

 

「あー?まあ、戦兎達とはドライバーが違うけどな。………つーか」

 

と、そこで一海が、視線を士道に向けた。

 

「お前もじゃんかよ。最近入った新入ライダー」

 

「そんな入社したての会社員みたいな……」

 

「細けえ事は気にすんな。確か、アライブ、だったか?お前のライダー名」

 

そう言うと、一海は士道に向ける視線を、替えた。

まるで相手を値踏みするかのような、そんな目だ。そんな視線を当てられたからか、思わず身体に緊張感が走ってしまう。

 

「………なあ、士道」

 

「な、何ですか?」

 

「……お前、何のためにライダーになったんだ?」

 

「えっ?」

 

「あるだろ。ライダーになったからには、戦う理由の一つや二つくらいよ」

 

「………」

 

その言葉とともに、一海の視線がより一層深まったものになる。士道を試しているのだろうか。

しかしその問いに対する答えを、今の士道は持ち合わせていた。

 

 

初めて変身した時。

 

狂三の一件で、戦兎に叱責された時。

 

そして_____十香の言葉。

 

 

それらの度に、心の中で定め続けた事だ。

そして気づけば、言葉が勝手に口から出てきた。

 

「………俺、許せなかったんです」

 

「何がだ?精霊に対してか?確か、現れるたびに世界を破壊する、とかなんとか言ってたな」

 

その言葉に、思わず語気を強くして言う。

 

「____それは、彼女たちの意思じゃないッ!………だから、なんです」

 

「あん?」

 

「………精霊は、自分から世界を破壊することを望んでないのに、ASTとかから、攻撃されて………憎しみばかりを浴びせられて、その度に絶望するのが………見過ごせなかったんです」

 

「…………」

 

その言葉を、一海は視線を士道に向けたまま、ただ、黙って聞いていた。

そして士道は視線を落とし、軽く握った拳に向ける。

 

「それで、もう、絶望させないように………彼女達の笑顔を守りたいって、そう思ったんです。その為の力が、欲しいって」

 

「…………」

 

「だから、俺は十香……精霊の少女です。その子や、他の精霊を救いたい。そして、その笑顔を守りたい。………これが、俺の戦う理由です」

 

「………成る程な」

 

聞き終わると、一海は視線をフッと緩め、士道の肩に手を置いて、口を開いた。

 

「………見失うんじゃねえぞ、その覚悟をよ」

 

「えっ……」

 

「お前が言った、その覚悟。それがある限り、お前は確かに仮面ライダー(ヒーロー)だ。けどな、一度でもそれを見失ったら、そいつはただの兵器と同じだ。ただ闇雲に力をぶつけるだけの、殺戮マシーンになっちまう。お前が守りてえと思ったものを見失わねえ限り、お前は、()()()()()()()()()()だ」

 

「…………」

 

その言葉が、ストンと胸の中に入った。

 

 

守りたいものがあるから、力を使う。

その覚悟があるから、仮面ライダーでいられる。

 

これを、忘れちゃいけない。

そう胸に決め、士道はギュッと、拳を握った。

 

「……ありがとう、ございます」

 

「気にすんなよ。ただのお節介だ」

 

「………一海さんは、あるんですか?戦う、理由」

 

ふと、気になった。というか、最初にそれを聞こうと思っていたのだ。

それを聞くと、一海さんはどこか懐かしそうな、しかし悲しげな瞳を見せながら、言った。

 

「……ああ、あるよ。今も昔も変わらねえ、戦う理由がな」

 

そう言うと、一海は再び海岸へと目を向けた。

ポケットの中に突っ込んだその手のひらには、三つのドッグタグが握り締められていた。

 

 

 




お待たせして、本当にすいませんでした!

今回からまた投稿を再開していくので、よろしくお願いします!
なんか数週間書かないだけで、こうも文章力下がるんだなぁって痛感いたしました。徐々に回復させていくので、どうかご容赦下さい。

それでは次回、『第47話 ハートに火を点けて』、をお楽しみください!

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