万丈「なんだあいつ、変な格好してんな」
桐生「ちょっと、まだ読み終わってないんだから茶々入れないの。コホン。そして、そこに現れた空を飛ぶ謎の奴らと、謎のスマッシュ!そしてそこに現れた、我らが正義のヒーロー!仮面ライダー!」
万丈「あの空飛ぶ奴ら何なんだよ!あとなんでスマッシュがいるんだ!?つーかそれ自分で言ってて恥ずかしくないのかよ」
桐生「うるさいよ。俺だって分からないことだらけなんだから。天っ才にだって分からないことはあるの。と言うことで、どうなる第3話!」
万丈「俺の出番まだかな」
俺は、目の前の光景に、圧倒されてばかりだった。
いきなり空間震が起きたかと思いきや、妹は避難せずにどこにもいない、震源には剣を持った女の子、そして空から来た集団にいた、クラスメート。
すでに俺の日常を、完膚なきまでに壊すほどの衝撃が、立て続けに目の前で起こった。
そして、今も俺の眼の前で、信じられない光景が広がっていた。
「な、んだよ、それ…………桐生……………」
先程妹を、琴里を探す道中で会った、おそらくは同年代の少年、『桐生戦兎』が、いきなり赤と青がごちゃまぜになった、変な物に
桐生はこちらを振り向くと、一言、言った。
「仮面ライダービルド。愛と平和の為に戦う、正義のヒーローだ。以後、よろしく」
「仮面、ライダー…………」
それが俺の、ヒーローとの出会い。
そして俺の、本当の始まり。
◆
変身した戦兎は、五河からの質問に短く答えると、スマッシュの方へと向き合った。
「ウォォォォ!」
敵のスマッシュが、巨大な腕を振りながら迫ってくる。振り下ろされた腕を、ビルドのタンクの装甲、【パンツァーチェストアーマー】が弾く。
お互いに距離を取ると、今度はビルドが仕掛ける番だ。
ラビットのアーマーの左足に搭載されたバネ、【ホップスプリンガー】が伸縮し、驚異的なジャンプ力で以ってスマッシュへと肉迫、タンクアーマーの右足、【タンクローラーシューズ】でキックをお見舞いする。キャタピラ状のパーツによって、スマッシュはより遠くまで飛ばされた。
「っつぅ……硬てー装甲だな。よし!」
装備を展開するためのスナップライドビルダーを展開し、主武器である【ドリルクラッシャー】を取り出す。
立ち上がって反撃をしてきたスマッシュに対して、ブレードモードのままドリルクラッシャーを斬り付ける。ドリルの回転とともに、スマッシュの装甲が削れる。
「あらよっと!これでも食らえ!」
スマッシュの攻撃を躱し、ラビットのアーマーのホップスプリンガーで蹴りつける。
ドリルクラッシャーを素早くガンモードへと切り替え、すかさず射撃を食らわせる。連続攻撃が効いたのか、スマッシュは地面に吹き飛ばされたまま動かなくなっていた。
「さてと。これでフィニッシュだ」
ビルドドライバーのボルテックレバーを回転させ、ボルテックチャージャーを駆動、エネルギーを生み出す。白いグラフが現れ、X軸がスマッシュを拘束した。
「ちょーっと、待っててね」
そしてその隙に、ビルドがY軸の方向へと走り抜ける。その先でビルドが思いっきり地面を蹴ると、地面が抜けその穴にビルドが吸い込まれた。
だが直後にそのまま地面が盛り上がり、白いグラフのY軸に沿うようにビルドが飛び、ライダーキックを放つ必殺技_______
「ハァァァァァアアッ!!」
タンクローラーシューズの無限軌道により威力を強化され繰り出されたキックが、スマッシュを蹴りつけ、削り取る。
そしてそのまま膨れ上がったエネルギーは、スマッシュを勢い良く貫いた。
「グォォアァァァーッ!!」
断末魔をあげながら、スマッシュは爆発した。
◆
「…………す、すっげぇ………本当に、勝っちまった…………」
半ば呆然と呟きながら、五河は目の前の光景に呆然としていた。それは上空の人間たちや、鳶一も例外ではなく、皆が倒れたスマッシュと、ビルドに注目していた。
しかし五河が周囲を見渡すと、先ほどまでいた黒髪の女の子は、いつのまにか姿を消していた。どうやら、さっきの化け物が現れたゴタゴタのうちに、姿を消していたらしい。
「さて、と」
ビルドはそれを意に介することなく、ビルドフォンから白い無地のボトル、【エンプティボトル】を取り出す。今は動けていないスマッシュだが、このままではまた動き出し、暴走する可能性がある。
そのために、スマッシュの成分をこのボトルで採取し、成分を浄化することで、スマッシュをようやく
「ほいっと」
エンプティボトルのキャップを開け、スマッシュに向ける。すると。スマッシュから粒子のようなものが溢れ、ボトルの方へと集約されていった。
全ての粒子、もとい成分がボトルに採取されると同時に、スマッシュは一人の男へと戻った。
「う、うぅ…………」
呻き声をあげ、体が少し動いているところを見ると、どうやら命に別状はないようだ。
「これで良しっと。にしても、なんでスマッシュがいるんだ…………ん、あれ?」
手元のボトルに目を落とし、ビルドは首を傾げた。
通常スマッシュから成分を採取したばかりのボトルは、【スマッシュボトル】と呼ばれるボトルに変化し、中心部が膨らみ、蜘蛛の巣状の模様が入るはずだ。そしてそのボトルを、かつての世界の仲間である
ところが今戦兎の手元にあったのは、蜘蛛の巣が描かれたスマッシュボトルではなく、既に浄化された状態のボトル____即ちフルボトルだったのだ。
ボトルの種類は、茶色い色とゴリラのような模様から、どれなのかは分かった。かつて使用していた、【ゴリラフルボトル】だろう。
「なんでボトルが浄化済みの状態になってんだ?そもそも、どうしてこの世界にもスマッシュが現れたんだ………?」
「動かないで」
一人思案に耽るビルドの背中に、ガチャリという音と共に銃口が突き付けられた。そして気がつくと、上空を飛んでいた人達が、いつのまにかビルドを包囲している。
「え、ええっ?」
「もう一度言う。動かないで」
「お、おい!お前ら、何してんだよ!」
「五河士道、安心して。危害を加えるつもりはない」
五河が口をつぐむ。ビルドは観念したように手を上げ、その場に立ち尽くした。
「まずを礼を言う。助けてくれたことには、感謝している。ありがとう」
「え?あ、いやいや、正義のヒーローとして、このくらいは当然ですから!」
上げた手を戻すと、ビルドは調子に乗った様子で言い放った。
「………ふざけてるの?」
その戦兎の態度が、彼女らを煙に巻こうとしているように見えたのか、鳶一が目つきを鋭くする。
するとビルドのふざけた様子の声が、少し真面目なものに変わった。
「いいや、こっちは至って真面目だよ」
「____そう。とにかく、助けてもらった事には礼を言う。でも、一先ずはこちらの指示に従ってもらう。さもなくば、貴方を拘束しなければならなくなる」
礼を言われたかと思いきや、さらに銃口を深く突き立てられる。すると、前にいたリーダー格の女性が、目の前に歩いてきた。
「え、ええと、貴女は?」
「私は陸上自衛隊、AST部隊長、
「あんのうん…………?あぁ」
それがスマッシュを指し示していることは、すぐに分かった。確かにこの世界の人たちにとって、あれは未知の生物、未確認生命体そのものだ。それを
にしても、こっちの世界では正体不明なスマッシュを、所属不明機の呼称から取るとは、中々上手いネーミングセンスの持ち主がいるようだ。
「見たところ、貴方はあのアンノウンに対して、慣れた様子だった。それにその妙な格好や、アンノウンから流れた粒子状の物質と、それを吸収したその容器。関連性があると見て間違い無いわね?」
「………ああー………」
言うべきか言わないべきか、少し悩んだが、この状況では素直に話さないと解放されないだろう。ビルドの能力を使えば、この状況を打開することも可能だが、得策とは言えない。何より先の説明を聞く限り、ここで話さないとこの先面倒なことになるのは目に見えた。
「あれは______」
と、口を開こうとした瞬間。
ビルドの身体が、謎の浮遊感に襲われた。
「へ?」
そして次の瞬間、ビルドの、桐生戦兎の姿は、そして五河士道の姿は、綺麗さっぱり消失していた。
◆
「…………はっ!!」
と、戦兎は寝癖を立てながら、目を覚まし、
「お、気がついたか!」
という声を出した隣にいた少年、五河士道の存在を確認し、
「……ん、君も目が覚めたようだね」
五河士道とは違う声を聞き、軍服姿で眠そうな顔をしている謎の女性の姿を確認した。
「……気分はどうだい?」
「え?あ、はい、大丈夫です。えっと………」
「……ここで解析官をしている、
条件反射的に敬語で返事をしたが、戦兎は未だに戸惑っていた。目の前の人が、日常生活ではあまり聞き慣れない役職を言ったことも含めて。
どこかの医療機関にでも搬送されたのか、とも思ったが、周囲を見渡して考えを改める。何故ならこの部屋には医療器具やベッドなどがあるものの、天井には鉄骨やパイプなど、おおよそ病院の病室ではお目にかかれないような物が剥き出しになって配管されていたからだ。
「五河、ここどこよ」
「いや、俺もさっき目覚めたばっかで、何が何だか…………」
五河もこの状況をイマイチ把握しきれていないようだった。すると、目の前の村雨令音と名乗った人物が、思い出したように言った。
「……ああ、ここは《フラクシナス》の医務室だ。転送した時に気絶していたので勝手に運ばせてもらった」
「《フラクシナス》?それに、気絶って………あっ」
そう言えば、あの妙な空を飛ぶ人たちに問答された時、答える寸前で変な浮遊感に襲われて、目が覚めたらここにいたんだった。
「まさか、あれはあんたの仕業か?」
ここで目覚めた件といい、さっきの《転送》というワードといい、恐らくは目の前の人の仕業だろう。でなければ説明がつかない。いつの間にか変身も解除されているし。
「……厳密には、私の所属している組織の仕業さ。だが、どうも私は説明下手でね。詳しい話は、
「彼女?」
「……付いてきたまえ」
フラフラしながら、カーテンを開いてドアまで歩み寄る。思わず心配になってしまいそうなほどふらふらな足取りだった。困惑しながらも、ひとまず体を起こして五河とついて行く。道中で三十年寝れてなく、夥しい量の睡眠薬を躊躇いなく飲んでいた時は本気でこの人死ぬんじゃないかと思った。睡眠薬の過剰摂取は後遺症、下手すれば死ぬので、それとなく控えるよう忠告した。
「……ここだ。さ、入りたまえ」
そんなこんながありながらも着いたのは、通路の突き当たりにある小さな電子パネルの付いた扉の前だった。一瞬後に、電子パネルが軽快な音を鳴らして扉が滑らかにスライドする。
村雨解析官に促され中に入ると、そこは船の艦橋のような場所だった。半楕円形の空間が広がり、中心には艦長席と思しき椅子がある。そこから降りた階段の下に、コンソールを操作する数名のクルーと思しき人達が見受けられた。
「……連れてきたよ」
「ご苦労様です」
艦長席の横に立っていた長身の男性が軽く礼をする。ウェーブのかかった金髪に、日本人離れした鼻梁。映画か耽美小説の中にでも出てきそうな風貌の青年だった。
「初めまして。私はここの副司令、
「は、はあ……」
「ど、どうも」
二人揃って小さく礼をする。すると、目の前の神無月と言う人が艦長席に体を向け、話しかけた。
「司令、村雨解析官が戻りました」
神無月が声をかけると、こちらに背を向けていた艦長席が、ゆっくりと回転した。
「______歓迎するわ。ようこそ、《ラタトスク》へ」
『司令』なんて仰々しい呼び名からは程遠い幼い声を響かせながら、紅色の軍服を肩掛けた少女の姿が露わになった。
それは、どこからどう見ても…………
「(………なんで中学生がこんな所に?)」
と、思わずにいられないほど、どこからどう見ても普通の女子中学生だったのだ。
だが、その彼女の容姿に、戦兎はどこか引っかかるものを覚えた。
彼女は赤い髪で、黒いリボンで髪を留め、ツインテールにしていたのだ。
「赤い髪に、ツインテール………まさか」
一つの可能性に至り、思わず隣の五河に振り向く。すると、案の定彼は心底驚いた様子で、
「琴里………!?」
そう呟いた。
赤髪にツインテール______それは五河が先刻まで探していた妹___【五河琴里】と全く同じ特徴だったからだ。
デート・ア・ビルド
「あれが精霊、プリンセスよ」
黒髪の少女の正体!
「アンノウンなんて上手いこと言ったものだわ」
なぜこの世界にスマッシュが!
「あんな顔は、見たくない」
士道の決意!
「助けたいと思う気持ちに、理由なんかあるかよ」
第4話 精霊プリンセス
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