万丈「おい!なんだよその雑な括り!もっと丁寧に説明しろよ!」
桐生「気にすんなって元からこんなもんだし」
万丈「そんな訳ねーだろ!せめて名前出すとかよー!」
桐生「えー、じゃあ、筋肉バカ?」
万丈「ちげえよ!そこはプロテインの貴公子だろ!」
桐生「文句が多いなぁ。というわけで、こんな万丈がいなくても全然問題ない、第48話をどうぞ!」
万丈「大有りだわ!俺ほんとに泣いちゃうからね?」
「______仮面ライダーグリス、ここに、再誕………!」
変身した一海______仮面ライダーグリスは、悠然と構え、前方のシーカー、リキッドスマッシュらを見据えた。
「一海、さん…………」
「ん?よぉ。なかなかイカしてんじゃねえか、アライブってやつ」
軽い口調で言いながら、前方へ向かい、構える。
そして右手を握ると、装甲からゼリー状の物質が噴き出し、腕の甲に纏わり付いた。
【ツインブレイカーッ!】
スクラッシュドライバー専用武器、【ツインブレイカー】である。杭状の【ライジングパイル】が突き出た【アタックモード】となり、左手を添えるようにパイルへ置く。
『………ほう、面白い』
「何処の誰かは知らねえが…………こっちは久し振りの祭りでウズウズしてんだ」
ツインブレイカーを突き出すように構え、さながら獲物を狩る獣のような眼光を、マスク越しに光らせる。
「_______俺を、満たせろよ………… !」
短く、しかし力強く言い、グリスは、敵へと向かった。
「オラアァッ!!」
突き出したパイルでアッパーカットを決め、相手を潰し、向かってくる敵を、蹴り、殴る。
液体の体を持つリキッドスマッシュは、その身体をまるで粘土のように歪ませ、その場に四散、蒸発した。
「足りねェなァ…………全然足りねェぞォォッ!!!」
稲妻のように鋭く、獣のように貪欲に、重く、早く、貪るように討つ。
まるで飢えた肉食獣のように、満たされない欲を満たすように、グリスは敵へと向かう。パイルで穿ち、拳で打ち、脚で蹴り砕く。
アライブも交戦するが、グリスはさらに圧倒的だった。
経験が違うのもあるが、グリスは今、久しぶりの
「誰が俺を………満たしてくれンだよォォォッ!!!」
【シングルッ!シングルブゥレイクゥッ!!】
ロボットゼリーをツインブレイカーに装填し、鋭角なゼリー状のエネルギーを前方へと飛ばす。リキッドスマッシュはエネルギーに突き刺され、三体が纏めて爆散した。
「ハァァ………ッ!」
【Ready Go!】
一方のアライブも負けじと、ボルテックチャージャーを強く回し、エネルギーを両脚へと溜める。そして後方に現れたエネルギー体、【アライブガルーダ・ライジング】を纏い、空中からドロップキックを放った。
【SPIRIT FINISH!!】
「オリャァァァーーッ!!」
『ァグゥァアァィイァァ………!』
アライブのキックを受けたスマッシュが、爆散し蒸発する。
そしてアライブは向きを変えると、シーカーの方へと向いた。。
「ハァッ!」
アライブラスターを構え、アライブがシーカーへと迫る。
シーカーは構えたミストブレードで刃を受け止め、互いに向かい合う形になった。
『おっと、野蛮だなぁ』
「お前……一体何が目的なんだ!」
『いずれ分かる事さ。それより一つ……気になることがあるねぇ』
「何っ?くっ……!」
ブレードを跳ね返されたが、再度距離を詰め、シーカー目掛けて斬りつけようとする。
____ガキィッ!!
再びブレードが交差し、睨み合う形となる。
その時、シーカーが言葉を発した。
『_____君、本当に
突然、そんな事を聞いてきた。
「何………!?」
余りに突拍子のない質問に、アライブが混乱する。シーカーはブレードを構えたまま、続けた。
『元々人体実験を受けていた、桐生戦兎や万丈龍我は兎も角……少し前までただの高校生だった君に、何故精霊を封印する力、ライダーシステムを扱う力があるのか………疑問は沢山あるねぇ』
「ッ、それは………!」
その問いに、アライブは言葉を詰まらせた。
考えてみれば疑問は幾つもあった。これまでにも疑問に思ったことはあったが、それを本気で考えようとはしなかった。だからこそ今、こうして相手から言われて初めて、思わず、考えてしまったのだ。
______自分は、何者なのだろうかと。
そして先日、修学旅行へ行く前に、折紙を呼び出した際にから言われた言葉が、脳裏をよぎった。
『____士道、あなたは、人間?』
あの時は人間だ、と言った。その時の折紙の質問の意図は、士道が持つ再生能力の事について疑問に思っていたからだったのだ。
しかしその再生能力とて、元は士道の持つ封印能力によるものである。
その力はどこから来たものなのか、そして何故、人体実験でネビュラガスを投与されていない、投与され得ない自分が、ライダーシステムを扱えたのか。
その答えは、戦闘の最中には見つけられなかった。
「ッ、しま………!」
『フフ、油断したねぇ』
その答えを考えるより先に、シーカーがブレードを跳ね、斬りつけてきたからだ。
「ぐあッ!?」
勢いに負け、後方へと吹き飛ばされてしまう。ブレードを構えたシーカーが、こちらへとにじり寄ってきた、その時。
『ぐっ………何?』
アライブよりも後ろから、無数の光線がシーカーを撃った。
「よォ。俺を放ったらかしにして、随分楽しそうじゃねえか?」
グリスだった。
残っていたスマッシュを一掃し、ビームモードへと切り替えたツインブレイカーを構え、アライブの救援に来たのだ。_____どちらかというと、次にやり合う相手を探したようにも見えたが。
『あの数をもう片付けたのか。流石に、もうエネルギーも少ない_____』
シーカーはブレードを一瞬見ると、ブレードをしまい、リバースチームガンを取り出した。
『今のところは引いておこうかな。二対一では流石に分が悪い』
「ッ、待て!」
『それでは、See You Next Time』
そう言い残すと、シーカーは引き金を引き、その場から消えていなくなった。
グリスとアライブのみになり、二人はそれぞれゼリーとボトルを引き抜き、変身を解除した。アライブの変身解除と同時に、ガルーダが何処かへと飛んでいく。
「ったく、何なんだ?あいつ………」
「……………」
一海が胡散臭げに呟き、士道はただ黙って、シーカーに問われた事の答えを、考えていた。
◆
「痛ってえ………ちっくしょ、ちったあ手加減しろっての………」
万丈は頭にできたたんこぶをさすりながら、海辺に設営されたトイレへと向かっていた。ちなみにバレーは戦兎達のチームの勝利に終わり、戦兎がいい気味だと言わんばかりに煽ってきたのだ。
ちなみにその後、耶倶矢が気絶してたのにトイレなんて危ないと手伝おうとしてきたので、強引に振り払ってきた。
『……大丈夫かい、バジン』
と、右耳に令音の声が聞こえてくる。万丈は疲れた様子で、口を開いた。
「まあな………そっちは、どうなんだ?」
『……正直、まだ何とも言えないな。あとは二人の対抗心をどれほど______』
と、令音が不意に言葉を切った。
「令音さん?おーい、バグってんのか?」
眉をひそめてインカムを小突くが、何の反応もない。
するとその直後に、トイレの脇から耶倶矢が顔を出してきた。
「耶倶矢………?お前、なんでこんなとこいんだよ」
「くく………愚問だな」
「あぁ?愚問だかクモンだか知らねえけど、早くみんなのところ…………」
そう言ったところで、万丈はハッとなり叫んだ。
「だ、だから手伝いはいらねえって言ったじゃねえかよ!」
「は………?」
耶倶矢は一瞬キョトンとした後、顔を真っ赤に染めた。
「な、あ、あんなのその場のノリで言っただけに決まってんじゃん!本気にすんじゃねーし!バカなんじゃないの!」
「バカってなんだよ!お前が言い出したんじゃねーか!あとせめて筋肉つけろよ!」
「何それ、意味分かんないし!な、なんで私があんたの………その………」
耶倶矢がそこで顔を俯かせ、言葉を詰まらせる。
「とッ!とにかく、用件は別にあるの!」
「な、何だよ………つーか」
そこで万丈は、一つ気になっていたことを思い出し、耶倶矢に訊いた。
「お前、その喋り方のままでいいのか?」
「あ」
耶倶矢はしまった、という顔を作り、すぐさま咳払いをして、格好いいポーズを取ってみせた。
「くく………我が道化芝居に謀られたな。我が手のひらで踊る龍の姿は非常に滑稽であったぞ」
「…………」
「………なーによ、その目は」
耶倶矢がぶー、と唇を尖らせてくる。万丈は疑問符を浮かべながら頭を掻いた。
「いや、なんでわざわざ無理してそんな訳わかんねえ喋り方してんのかなと思ってよ」
「無理してないし!てか、訳わかんなくないし!龍我が理解できてないだけだし!」
「はぁ!?おい、どういう事だよそれ!てか、戻ってんじゃねえか!」
「は…………っ!」
耶倶矢は愕然とした表情を作ると、はあと息を吐き、小声で呟いてきた。
「………だって、あれじゃん。私、精霊だし。こう、超凄いじゃん?だったらやっぱそれなりの威厳というかさ、そういうのが必要なわけじゃん?」
「………別に、要らねえと思うけど」
万丈は眉根を寄せてうむむと唸った。正直あの喋り方は、威厳云々より何を言ってるのか分からなかったのだが。
「要るわよ。せっかくこんな格好いい出自と、悲劇的な環境が用意されてるのよ?やっぱそれなりの人物像じゃないと」
「思いっきり間違えてる気がするけどまあ……お前が良いならいいんじゃね?それで、用件ってのは何だよ」
万丈が言うと、耶倶矢は首肯してから続けてきた。
「なんかめんどくさいからこのまま続けるけどさ、今、私があんた、夕弦が戦兎を、どっちが先に落とすかでバトルしてるわけじゃん?それで、明日までにはその決着も着く」
「確か、そうだったな………て、お前、まさかズルしようってんじゃ………」
耶倶矢が自分に根回しをしに来たのかと思い、眉をひそめる。
_____だが耶倶矢は、全く予想外の台詞を吐いた。
「________龍我。あんた明日_____私のこと、盛大に
「………は?」
全く想像してなかった言葉に、口を開けて固まる。
「は、じゃないでしょ。何その間抜けな顔」
耶倶矢が可笑しそうに笑いながら、肩をすくめて続ける。
「だって、悩むことなんかないでしょ。夕弦、超可愛いじゃん。確かに愛想はちょっと無いかもしれないけど、従順だし、胸大きいし、もう男の理想とベストマッチ!したような超萌えキャラじゃん。戦兎だってきっともう落ちてるよ。あんただってきっと私より、あいつの方がお似合いでしょ。だからあんたが私をフれば____」
「ちょ、ちょっと待てよ!何言ってんだかさっぱりだ。ちと整理させてくれ」
万丈は混乱する頭をどうにか整理して、耶倶矢を制止した。彼女の言っていることが分からない。
否、言葉の内容は、多少は理解できるし、フる、という事がどういう事かも分かる。だがそれは____
「お前ら確か………この勝負に勝った方が生き残れる、とか言ってたよな」
「うん。正確に言うなら、勝った方が八舞の主人格になって、もう片方の人格は消えるって話なんだけどね」
「だったら、なんでだよ………」
万丈が喉を絞るように言うと、耶倶矢は頭を掻きながら困ったように笑った。
「………そりゃ、私だって消えたくない。あんたの秘密だって、全然暴けてないし。けど、それ以上に_____私は、夕弦に生きて欲しいの。もっと色んなものを見て、もっといろんな世界を見て、思いっきり楽しんで欲しいの」
「………っ、お前」
万丈が苦しげに呻くも、耶倶矢は構わずに言葉を続けた。
「っていうか、あんたらが乱入してこなかったら、あの時全て解決してたんだからね。あそこで私が怪物に単身挑んで、『やーらーれーたー』ってダウンして、っていう流れだって出来たのに」
耶倶矢がビッ、と万丈に指を突きつけながら言ってくる。
「っ、だったら、俺たちのどっちかを先に落とした方が勝ちってのは………」
「ああ、あれ?そりゃ戦兎は落ちるでしょ。夕弦と方が可愛いし、惚れないわけない。この勝負だったら、まず間違いなく夕弦が勝てるでしょ?………それに」
そう言うと、耶倶矢が少しだけ申し訳なさそうに言った。
「………聞いちゃったからさ。龍我って、恋人いたんでしょ?」
「はっ?な、なんで、それ………」
「令音から、さっきのバレー勝負の景品でね。やむなく別れたって話だけど、今でも凄い大切に想ってるそうじゃない」
どうやらあのバレー勝負の後、令音が細部を誤魔化して耶倶矢に伝えたようだ。
「………それは」
「だからそんなあんたを私が取っちゃったら、彼女さんにも申し訳ないしねー。ていうか」
すると耶倶矢が一瞬で万丈の目の前まで移動し、万丈の唇を塞ぐように人差し指を立ててきた。
「別に龍我の意見は求めてないし。あんたはただ明日、耶倶矢なんかいらない、大っ嫌いです。もう近寄らないでくださーいって言えばいいのよ。…………でないと、この島ごとあんたの友達や仲間、全員吹き飛ばしてやるんだから」
言葉の途中で耶倶矢が目を細くし、声を低くして喉を鳴らしてくる。
万丈はごくりと息を飲み、緊張でその場に立ち竦んだ。
耶倶矢がふっと表情を緩め、足を引いた。そして身体の向きをくるりと変え、やたらと格好いいポーズをとる。
「くく………ではさらばだ、
言って、耶倶矢が去っていく。
万丈はその場に立ち尽くして、硬く拳を握りしめた。
あの時耶倶矢は笑って、夕弦に生きていてほしいと、そう言った。
______だったら、何で。
「………あんなに、泣きそうな顔で笑ってんだよ。こちとらそんな顔見るために、仮面ライダーやってるわけじゃねえんだよ…………ッ!」
その、自分を殺してでも夕弦を生かそうとする、耶倶矢の悲壮なまでの覚悟が_____重く、万丈の心にのし掛かった。
◆
「万丈のやつ、遅っせえなぁ。まだトイレ籠ってんのか?」
一方の戦兎は、海岸の自販機で、飲み物を買っていた。先ほどのビーチバレーに勝利したはずなのだが、不思議と勝った実感が無い。恐らく後半の記憶がないからだろう。とりあえず万丈の事は煽っておいた。
アイスコーヒーの缶を買い、戻ろうとしたその時。
「制止。戦兎、止まってください」
「ん?」
背後から話しかけられ、戦兎は後ろを向いた。
夕弦の声だった。いつの間にか自販機の側で、戦兎の背後に立っていた。
「どうしたんだ?みんなのところ行かないのか?」
「応答。戦兎に少し話があって来ました。……耶倶矢はいないですね?」
「ん?ああ、そういや耶倶矢もどっか行ったな。………て、おいおい、まさかズルしようってのか?正義のヒーローはそんな頼み事は引き受けられないぞー?」
「否定。違います。明日、私達の勝負の決着の件で、お願いがあります」
「お願い?」
缶コーヒーを開けて飲みながら、戦兎が訊く。
「肯定。その通りです。………単刀直入に言います」
夕弦は深く首肯すると、まるで何という事もないように、言葉を続けた。
「請願。戦兎、この勝負で、私の事を
「________え?」
その、あまりに突拍子も無い言葉に、頭の中がひどく混乱した。手にした缶コーヒーが地面に落ち、液体が砂に溢れて染みる。
「どういう、ことだよ、それ………」
「要求。どうもこうもありません。それよりも、お願いします。明日絶対に、私のことを盛大にフッて、耶倶矢を勝たせてあげて下さい。約束です」
夕弦が頭を下げ、懇願してくる。それよりも戦兎の頭の中は、まるで絡まった糸のように、ぐちゃぐちゃに混乱していた。
「なんでそんな事………だってお前ら、どっちかが負けたら____」
「応答。負けた方が消え、勝った方が生き残る。簡単なルールです。それならば勝者は、耶倶矢を置いて他にいないでしょう。悩む余地はありません。耶倶矢の可愛らしさは、戦兎だってよく分かってるはずです。多少強がりなところはありますが、一途ですし、面倒見は良いですし、触れれば折れそうな華奢な肢体をぎゅっと抱きしめた時の快感はもう天国としか言いようがありません。きっと耶倶矢が龍我の恋人になれば、きっと幸せになれるはずです」
「……お前、まさか」
戦兎が言うと、夕弦は目を伏せて頷いた。戦兎が考えている事は、もう何度も熟考したと言わんばかりに。
「耶倶矢こそ、真の八舞に相応しい精霊です。龍我もこの一日でよく分かった事だと思います。耶倶矢は私なんか足元に及ばないほど魅力的です。選ばない道理なんかありません」
「でもお前ら、あんなに競って…………」
「解説。耶倶矢はああ見えて、恥ずかしがり屋です。ああでもして焚き付けないと、自分からあんなアピールはできません」
「……………」
戦兎が無言になると、夕弦は戦兎に歩みを寄せ、耳元に囁くようにして言ってきた。
「念押。明日、私を嫌うといってください。さもなくば、戦兎の友人や仲間たちに不幸が訪れることになるでしょう」
そんな脅し文句まで残して、夕弦は去って行った。
戦兎はただその場で、立ち尽くすしかなかった。
どうでしたか?
仮面ライダーゼロワンが発表され、とても楽しみです。ゼロワンドライバーは発売日に買います。
京アニの件は………怒りを通り越して、悔しいという他ありません。Twitterでも呟きましたが、犯人は死ぬまで罪を償うべきだと思います。そして被害者の方々やその親族の方々、重ねてお悔やみ申し上げます。
こうやって書くことしかできませんが、いつかまた立ち上がって、素晴らしい作品を作ってくれることを、いつまでも心から待っています。
それから無いとは思いますが、感想欄で京アニの件についての書き込みは、なるべくやめてほしいです。これはあくまで私が個人的な思いを書いただけだし、感想欄はあくまでも作品の感想を書くところですので、お願いします。
意見があればTwitterの方で、お願いします。
それでは次回、『第49話 たった一度与えられた、命はチャンスだから』
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