デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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桐生「互いに互いを生き残らせようとする精霊、耶倶矢と夕弦は、その思いのすれ違いから、結局二人で戦いを始めてしまう。止めようとしたその時、俺たちの行方を阻んだのは、機械人形のバンダースナッチと、リバースドライバーによる兵隊ライダーのデウストルーパー、そして神大針魏と____自らを最強の魔術師(ウィザード)と名乗る、エレン・メイザース、もとい仮面ライダーマイティだった」

万丈「まさかあのドライバーが量産されてるとはな………これからどうすんだよ」

桐生「そりゃあ決まってるでしょ。どんなに強い敵が来ても、この俺が倒すだけだ!万丈は眺めてるだけでいいよ」

万丈「おい、何だよそれ!」

桐生「ヒーローの座はそう簡単に譲らねえよ。お前は隅っこで震えながらママ〜って泣いてればいいのさ」

万丈「馬鹿にすんじゃねえよ!俺の強さはアレだぞ、え〜っと、一騎父さんだぞ!」

桐生「ん〜?一騎当千の事かなぁ?またまた間違えるとは馬鹿だなぁー!?」

万丈「バカってなんだよ!せめて筋肉つけろよ!」

桐生「さて、こんな万丈がいなくても全く問題のない、第50話をどうぞ!」

士道「あっ戦兎」

桐生「なんだ?」

士道「今回は俺がメインになるっぽいから、そこんとこよろしく」

桐生「えっ?」






第50話 真夜中のライダーバトル

真夜中の深い森の中。

 

そこには今、明らかに異常な光景が広がっていた。

 

兵隊のような姿をしたライダー【デウストルーパー】と、歪な人型の兵器【バンダースナッチ】が、計二十体。

 

そしてそれと交戦している、赤と青のライダー【ビルド ラビットタンクスパークリング】、水色のドラゴンライダー【クローズチャージ】、金色のロボットライダー【グリス】。

 

そして______

 

 

『______プロフェッサー・シンギ。あなたはあの金のライダーの相手でもしていてください。私は____この赤いライダー、アライブと、プリンセスを』

 

「分かったよ。最強の魔術師(ウィザード)さん?」

 

 

______赤のライダー【アライブ】と、精霊【夜刀神十香】、そしてそれと相対する、黒いドラゴンライダー【マイティ】だった。

マイティの側に控えていた科学者【神大針魏】は、マイティの指示を受けると、肩をすくめながら立ち去った。

 

そしてマイティが、十香を庇うようにして立つアライブの方へと向き直り、歩み寄ってきた。

 

「…………ッ!」

 

アライブが交戦の構えを取る。

そしてマイティは一度立ち止まると、少しの間顎に手を当て何かを考えた。そして手を離すと、その手を顔の前まで持って行き、四本の指を立てた。

 

「っ?」

 

『____宣言しましょう』

 

 

『_____貴方は、四手で詰みます。仮面ライダー、アライブ』

 

 

 

 

「オラァッ!どうしたァッ!」

 

グリスは押し寄せるデウストルーパー隊五人を相手に、孤軍奮闘していた。

相手の方が圧倒的に数は上だが、しかしグリスは怯まず、寧ろ闘争心を一層滾らせ、敵を迎え撃っていた。

 

「こんなんじゃァ……全然足りねェぞォッ!」

 

チャァージボォトルッ!

 

そこでグリスが取り出したのは、戦闘の寸前に戦兎から託されたボトル____【フェニックスフルボトル】を取り出し、スクラッシュドライバーへセット、レンチを下げた。

 

潰れなーいィッ!チャァージクラッシュゥッ!!

 

「オリャァッ!」

 

フェニックスボトルの成分から生成された炎弾が、グリスの右腕から射出される。勢い良く発射されたそれらはトルーパーの群れに直撃し、うち三人を変身解除へと追い込んだ。

 

「くっ…………」

 

「どうしたぁ?こんなもんかぁ?」

 

怯むデウストルーパー隊の残る二人を前に、グリスが挑発しながら言う。流石にこの惨状を見せられた後では、DEMのトルーパー隊でも思わず怯んでしまった。

すると。

 

 

君たちは下がりたまえ。私が相手をしよう

 

 

木々の間から、銃を構えた男____【ナスティシーカー】が現れた。

 

「てめえは………確か、あん時の………」

 

やあやあさっきぶりだねぇ、猿渡一海。いや……仮面ライダーグリス

 

「ッ?何?」

 

グリスが訝しげな声を上げるが、それを無視し、銃撃をしながら接近してきた。

 

「くっ……」

 

まずは挨拶がわりだ!どうも、ナスティシーカーとでも呼んでくれ

 

「へっ、何だよ……ッ!楽しめそうじゃねえか………ッ!」

 

ツインブレイカーッ!ビィームモードッ!

 

ツインブレイカーを取り出し、こちらもビームモードで射撃をしつつ、接近する。

ナスティシーカーとグリスの戦闘が、開始された。

 

 

 

 

「四手だと………?」

 

マイティと対峙したアライブは、その突然の宣言に、戸惑いを隠せなかった。

 

『ええ。あなたを試すのなら、この程度でしょう』

 

と、あくまでも不遜に、冷淡に告げる。

そしてアライブを誘うように、くい、と左手の指を曲げてみせた。

 

「っ、舐めるな……ッ!」

 

その言葉に、アライブも黙ってはいられない。

 

ALIVE LASTER!SLASH VERSION!

 

「ハァッ!」

 

「ッ、士道!」

 

十香の制止を無視し、アライブラスターを構え、マイティへと向かう。

マイティはあくまでも落ち着き払った様子で、避けようともせずにアライブの正面へと立つ。そして、上段から振り下ろされたアライブラスターの斬撃を______

 

「なっ……!?」

 

『____カウントスタート』

 

低くかがみ、持ち手の部分を抑え、軌道をずらして躱した。

そしてカウントスタートの声とともに、アライブの腹部目掛けて、強烈な拳打を打ち込んだ。

 

「ガハッ………!?」

 

『_____一手

 

そしてアライブが怯んだ隙を、マイティは逃さない。

そのまま姿勢を戻し、前屈みになったアライブの顎めがけて_____

 

「ガァ……ッ!」

 

『___二手目

 

ハイキックをお見舞いし、アライブへ宙へと蹴り上げた。

ドライバーの出力によるためか、素のキックでアライブは結構高く蹴り上げられてしまった。

 

「ぐっ………!」

 

BLAST VERSION!

 

しかしアライブは腹部と顎の痛みに耐えながら、手に持っていたアライブラスターをブラスター形態へと変形させ、地上のマイティへと銃撃をした。

が_____

 

『ふん______』

 

マイティはつまらなそうに鼻を鳴らし、背に装着された巨大な剣を抜き、簡単に弾いた。

 

「だったら………っ!」

 

SLASH VERSION!

 

「ハァッ!」

 

落下の勢いも利用し、ブレード形態へ変形させたブラスターで、マイティめがけて切り込む。

しかしマイティは動じず、冷静に剣を構え、ブレードを防いだ。

 

「これならどうだ……ッ!」

 

FEVER TIME!

 

そして地面に着地しつつ、スピリットフルボトルを素早くブラスターへ装填し、グリップのトリガーを引く。

 

オシコーメッ!ONE BURST!!

 

「オリャァッ!」

 

炎のエネルギーを纏った刀身を、力任せに押し込む。

しかしそれでもなお、マイティは動じず_____

 

『_____こんなものですか』

 

「なッ!?」

 

なんと必殺技を発動した状態のアライブラスターを押し返し、剰えそのまま反撃の斬撃を叩き込んだ。

 

「グァァッ!!」

 

三手目。_____次で最後です。興醒めでしたね』

 

マイティはブレードを下ろしながら、腰のリバースドライバーを操作し、アブソーブチャージャーを一度引いた。

 

 

STAND BY

 

 

「ぐっ………くぅ………っ!」

 

「シドー!危ない!シドーッ!くっ、邪魔をするなッ!」

 

苦しむアライブに十香が叫び、助けに行こうとするが、バンダースナッチ隊に行く手を遮られ、向かうことが出来ない。

そしてマイティはアライブの下まで辿り着くと、首根っこを掴み持ち上げた。

 

「くあっ……あ………!」

 

『これで四手目_______チェックメイトです

 

そして手に持ったレーザーブレードを一度地面に突き刺し、空いた右手で、リバースドライバーのチャージャーを押し込んだ。

瞬間、アライブを放り投げ、黒いエネルギーがこもった右脚を突き出し______

 

 

MIGHTY FINISH

 

 

「ぐっ、ぁぁぁぁあッ!?」

 

アライブを蹴り付け、後方へと吹き飛ばした。

そして数度地面を転がった後、アーマーが粒子と化して変身が解除される。

 

「シドーッ!?」

 

「ガハッ………ぐッ…………!?」

 

「ッ、よくもォォッ!!」

 

その様を目の当たりにした十香は怒りのままに、バンダースナッチ隊を退け、マイティへと向かっていく。

鏖殺公(サンダルフォン)を振りかぶりながら、目にも留まらぬ速さでマイティの脳天へと叩き付ける。

 

だが_____マイティはそれを、地面から抜いた剣で、易々と受け止めた。

 

『おや、そんなものですか?』

 

「く………ッ!」

 

苦悶じみた声を発し、十香が連続の斬撃を振るう。

しかしそれらの攻撃は全て防がれ、マイティのアーマーには傷一つ付いていなかった。

 

「はぁッ!」

 

『……………こんなものですか』

 

「な____なんだと!?」

 

幾度目かの剣戟を受け止め、マイティが小さなため息を吐く。

 

『カウントをするまでもありませんね。終わりにしましょう』

 

言って、マイティが巨大なレーザーブレードを十香に向かって振り下ろす。

 

「く_____」

 

十香がその一撃を受け止めようと、鏖殺公(サンダルフォン)を構える。が_____

 

「え…………?」

 

次の瞬間、呆然とした声が、士道と十香の喉から同時に漏れた。

 

しかしそれも当然だろう。何故なら、エレンの斬撃を受けた瞬間______十香の構えていた鏖殺公(サンダルフォン)の刀身が、いとも容易く()()()()()しまったのだから。

 

「なん、だと………」

 

短い苦悶の一瞬後、マイティの攻撃は十香の身体を軽々と吹き飛ばした。

 

「くぁ………っ!」

 

そして数度身体を地面に擦り、十香がうつ伏せに倒れ伏す。それから一拍遅れて、砕かれた鏖殺公(サンダルフォン)が、光の粒子となって消えた。

 

「十、香………ッ!くそっ、動け、よ………ッ!」

 

士道は必死の思いで叫ぶと、十香の元へと向かおうとした。

だが_____身体は、全く動かなかった。指一本程しか、士道の身体は言うことを聞かなかったのだ。恐らくは先のマイティの攻撃によるものだろう。まるで全身が麻痺したように、力が全く入らない。

 

しかも士道の進行方向上に二体のバンダースナッチが現れ、道を塞いでいた。倒れた十香の方にも、幾多ものバンダースナッチが群がり始めていた。

 

『興醒めです。早く昏倒させて、 空中艦【アルバテル】へと運び込んでしまってください』

 

言うと、マイティは十香にも興味を無くしたように、指を鳴らし顔を背けて、腕組みをする。

そして倒れ伏したままの十香の両腕を、左右から二機のバンダースナッチが掴み、その身体を持ち上げる。そしてぐったりとした十香の方にもう一体の人形が歩み出たかと思うと、その額に爪の生えた手を近づけていった。

 

「ぐ______ぁ………ッ_____」

 

十香が、苦しそうな声を発して身を捩る。

 

「十、香……ッ!くそッ………やめろ………ッ!」

 

必死の思いで叫ぼうが、人形達は動きをやめない。そうこうしている間に、十香の喉からは悲鳴と苦悶が混じり合ったような、痛々しい声が響いてきた。

 

 

「______なんで、だよ…………ッ!」

 

 

目の前で十香が、あんなにも苦しんでいるのに。

 

目の前で、蹂躙されているのに。

 

 

「なんで…………身体が動かねえんだよ_____ッ!なんで、立ち上がれねえんだよ________ッ!」

 

 

士道はその悔しさに、拳を握った。爪が食い込み、血が溢れ出る。

途方も無い無力感と、絶望感が、頭の中を蹂躙する。

 

このまま、黙ってみているしかないのか_______

 

 

 

「_______そんな、訳…………ッ!」

 

 

 

そんな訳、あるか。

 

十香の言葉が、いつも士道を励ました。

 

十香がいたから、立ち上がってこれた。

 

十香が_______士道の明日を、創ってくれた。

 

 

 

 

『私を救ってくれた_______私のヒーローの、シドーだぞ!』

 

 

 

ついさっき十香が言った言葉と、浮かべた笑顔が、脳裏に浮かぶ。

 

そうだ。俺は、十香のヒーローに、ならなきゃいけない。そう、十香が信じてくれた。

 

だからこそ______

 

 

「こんな、ところで_______倒れていい訳、無えだろ…………ッ!!」

 

 

身を裂くような思いで、全身に力を込める。

 

 

「十香_______!」

 

 

立ち上がれ!立ち上がれッ!

 

今、この一瞬だけで良い。生涯一度でも構わない。

 

この言うことの効かない木偶の坊の身体に、立ち上がれるだけの力を_______

 

 

十香を、救う力を________!

 

 

「十香ぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ______ッ!」

 

 

_____その時。

 

 

 

士道の中で、何かが、燃えた。

 

 

 

________ブォォォォォォォオォォォオッ!!!

 

 

 

「_____ッ!?」

 

『何?』

 

 

その瞬間、士道を中心として、周囲に、熱風が吹き荒れた。

士道と十香を囲っていた人形が、その熱風によって吹き飛び、火の粉が落ちた葉へと燃え移る。

 

 

「ぐっ………おぉ………ッ!」

 

 

そして、その中心部にいる存在_____士道は、立ち上がった。

 

全身がボロボロで、血に塗れながらも______それでも、立ち上がった。

 

前を見据えた、その顔には______

 

 

『ッ、何!?』

 

 

まるで血管か何かの回路のような模様の紅い線が走り、その双眸は、炎のように紅く染まっていた。

 

そして士道の目の前に_____一本のボトルが、現れた。

 

 

紅いカラーに、戦斧の意匠が施された、妹の_______琴里の力が内包された、【カマエルエンジェルフルボトル】だった。

 

目の前に現れたそれを、勢い良く掴む。

 

 

『キュルッキュイーッ!』

 

 

そして手元へ収まったアライブガルーダを持ち、カマエルエンジェルフルボトルを、勢いよく振った。

まるで炎が燃え盛るような音が鳴り、キャップを閉める時に、一際大きく燃えた。

 

そのままボトルを、ガジェット形態へ移行したアライブガルーダへと挿しこみ、【アウェイクンスターター】を押した。

 

 

 

【激焦ゥッ!】

 

 

 

威勢の良い音が聞こえたと同時に、リビルドライバーへセットした。

 

 

 

アライブカマエルッ!

 

 

煉獄の炎のような燃え盛る音と、鳥の鳴き声が混ざった待機音が流れる。それと同時に【ボルテックレバー】を回し、エネルギーを溜めた。

そのまま士道の前後に高速ファクトリー、【スナップリアライズビルダー】が展開され、燃え盛る炎を纏ったアーマーが形成される。

 

 

 

【Are You Ready?】

 

 

 

「変身ッ!!」

 

 

 

覚悟を込めたその一言とともに、燃え盛るアーマーが士道を挟み込み、上部から燃え盛る鳥状の追加装甲が装着された。

 

 

 

【Get Up Flame!!Dead Or ALIVE-KAMAEL!!イェイイェーイィッ!!ブゥアアァァッ!!】

 

 

 

 

「______ハァァァアァァーーーッ!!」

 

 

______そこにあったのは、まさに炎の化身だった。

 

 

燃え盛る火焔のような赤と、焦げたような黒。

 

そして羽衣のように靡く、肩と腰から伸びた帯。

 

そして右手に持った______炎熱を纏った、巨大な戦斧。

 

 

その名を______仮面ライダー、アライブカマエルと呼んだ。

 

 

「シ、ドー………?な、なぜ、琴里の天使を、シドーが………!?」

 

十香が驚いた様子で、アライブカマエルの方を見てきている。

しかしそれも無理からぬ事だろう。何しろ突如熱風が吹き荒れたかと思うと、アライブが姿を変え、その手に琴里の天使、灼爛殲鬼(カマエル)を持っていたのだから。

 

『天使………?【イフリート】の物と同じ………?何故、あなたがそんなものを_______』

 

マイティが困惑と好奇の入り混じった声音で呟く。

同時に、先の熱風によって倒れ伏していたバンダースナッチの内四体が起き上がり、アライブへと向かってきた。

 

「ッ、シドー、危ないッ!」

 

十香が叫ぶ。

しかし今のアライブにとって、その警告は皮算用だった。

 

「_____ハァッ!!」

 

裂帛の気合いで叫び、手に持った灼爛殲鬼(カマエル)を横薙ぎに振るう。

火焔を纏ったその刃は、向かってきたバンダースナッチ全てを、纏めて斬り裂き、焼いた。

 

『まさか、バンダースナッチを一撃で………』

 

それを見たマイティが、アライブの方を見つめてくる。

 

『五河士道_____仮面ライダーアライブ。あなたは一体何者です』

 

「ただの______人間だッ!ハァッ!」

 

そう答えると、灼爛殲鬼(カマエル)を両手で持ち、凄まじいスピードでマイティへと迫った。刃に纏った火焔の火の粉が、風に舞う。

マイティはアライブの攻撃をレーザーブレードで防ぐが、その威力に、苦悶の声を漏らす。

 

『くっ_____この、パワーは………ッ!』

 

「ハァァァ………ッ!!」

 

アライブが気合を入れて叫びながら、灼爛殲鬼(カマエル)を振り、レーザーブレードを振り払う。

そして一度距離を取り、まるで自身の身体の一部であるかのように、軽々と灼爛殲鬼(カマエル)による連撃を繰り広げる。

マイティもブレードを構えるが、防御が追いつかず、数発程アーマーに喰らった。

 

『____この私に、触れるなど………ッ!残ったバンダースナッチ隊、彼を捕らえなさい!』

 

マイティが手を掲げ、アライブに向かって振り下ろす。

残ったバンダースナッチ六体が、一斉にアライブに襲いかかってきた。

 

「この…………ッ!」

 

アライブは灼爛殲鬼(カマエル)を構え直し、そこでグリップエンド部に増設された、ボトルの装填部を見つけた。

急いでガルーダからカマエルボトルを引き抜き、グリップエンド部に装填する。

 

 

ENGEL MATCH!Ready Go!

 

 

「ハァァア………ッ!」

 

灼爛殲鬼(カマエル)の刃に、より一層巨大な火焔が発生する。

纏った炎は、刃の周りでまるで竜巻のように渦巻いた。

 

 

KAMAEL BREAK!!

 

 

「ダァァアッ!!!」

 

 

そのまま回転し、バンダースナッチ隊の半分を斬り裂き、爆散させた。

しかしその攻撃を掻い潜った残り半分の三体が、アライブの右手へと腕を伸ばし_____

瞬間。

 

「え………?」

 

突如、バチっという音が鳴ったかと思うと、頭部から火花を散らして、身を捩った。

 

「なんだってんだ………?」

 

マスクの下で訝しげに眉をひそめる。今まで滑らかに駆動していた機械人形が、突然電池の切れかけた玩具のように不恰好な挙動を始めたのである。

それを見て、マイティが何かに気づいたように、耳に手を当てて唇を動かした。

 

『バンダースナッチ隊の反応が乱れています。何かありましたか?』

 

そして、呻くように喉を震わせる。

 

『_____遠隔制御室(コントロールルーム)に被弾?どういう事ですか。…………ッ、空中艦と戦闘?そんな指示を出した覚えは______』

 

「ッ、今だッ!」

 

この機を逃すわけにいかない。

アライブは灼爛殲鬼(カマエル)を放り投げると、ボルテックレバーを思いっきり回した。

 

 

Ready Go!

 

 

『っ、しまっ_____』

 

その音に気付いたマイティが回避の構えを取るが、もう遅い。

 

「ハァァアァア………ッ!」

 

キックの構えを取ったアライブの右脚に、無数の炎のリング【イフリートリング】、そして背後にはエネルギー体の【アライブガルーダ・ライジング】が現れ、高らかに鳴き声を鳴らした。

 

「ハァッ!」

 

そして飛び上がり、右足の炎のリングを射出、キックの軌道上に一直線に並んだ。

そのまま空高くに飛翔したまま、アライブガルーダ・ライジングの勢いと共に、【イフリートリング】を通りながら、ドロップキックを放った。

 

 

EFREET FINISH!!

 

 

 

「オリャァァァァッ!!!」

 

 

『ぐっ、くぅ………ッ!』

 

防御の姿勢をとったマイティに、正面から渾身の一撃を放つ。

ある程度押し切り、地面へと着地する。そのままイフリートリングによってより燃え盛ったアライブガルーダ・ライジングが、マイティを捉えたまま吹き飛ばした。

 

『ぐぁッ!』

 

「十香!今だ、逃げるぞ!」

 

「む、むう!?よく分からんが、分かった!」

 

言って、十香を抱えて森の方へと走っていく。

 

『!逃しては、いけません。追ってください!』

 

後方からマイティが声を発すると同時に、残った活動可能のバンダースナッチが向かおうと頭部を向けてくる。が、すぐに壊れたマリオネットのように手足を出鱈目に動かすと、その場に倒れ伏した。

 

『く……何を、しているのですか……っ!』

 

マイティは焦れるように舌打ちをすると、傷ついた身体を引きずるように走り出す。

が、そこで。

 

『うぐっ!?』

 

地面に開いていた穴に足を取られ、その場にすてーん!と転んでしまった。同時に戦闘のダメージがドライバーの許容量をオーバーしたからか、変身が解除される。

 

「な、何故こんなところに落とし穴が………!?っ、まさか、例の女子高生たちの、高速穴掘り術の______」

 

さらにその際、一体のバンダースナッチがエレンの方にもたれ掛かるように倒れこむ。

 

「え、う、うわっ!?」

 

変身が解除されてしまった事が災いし、エレンは不意打ちを受けるような格好で重そうな機械人形の下敷きになり、

 

「こ、こんな馬鹿な………わ、私は最強の………魔術(ウィザ)_____むきゅう………」

 

珍妙は声を上げて、それきり動かなくなった。

 

 

 

 

「____はぁっ、はぁっ…………」

 

それからしばらく進み、アライブと十香はようやく遠く離れた安全地帯へと逃げられた。

十香を下ろし、自身も変身を解除する。

 

「大丈夫か、十香………」

 

「う、うむ。私は大丈夫だ……。それより、シドーは?」

 

十香が何故か僅かに顔を赤くしながら、大丈夫かと訊いてくる。

 

「ああ、俺なら______」

 

大丈夫、と答えようとして、言葉が途絶えた。

突如、身体が鉛のように重くなり、意識が海の底に落ちたように曖昧になる。

全身がぐらつき、足元が覚束なくなる。

 

「ぁ……………」

 

「シドー?シドーッ!?おい、しっかりしろ、シドー_______!」

 

そんな十香の声が耳に届くと同時に_______

 

士道は、意識を手放し、その場に倒れ伏した。

 

 

 

 

その頃、耶倶矢と夕弦の元へと向かっていた、ビルドとクローズチャージは_____

 

「ハァッ!」

 

「オリャァッ!!」

 

妨害をしてきたデウストルーパーを相手取り、戦っていた。

ビルドはドリルクラッシャーを、クローズはビートクローザーとツインブレイカーを構え、敵を斬り、撃ち、蹴り倒していった。

 

「邪魔、するなよッ!」

 

 

Ready Go!VOLTEX BREAK!!

 

ヒッパレーッ!ヒッパレーッ!MILLION SLASH!!

 

 

ダイヤモンドフルボトルを装填したドリルクラッシャーと、ビートクローザーの必殺技で、デウストルーパーを三人吹き飛ばす。

 

『ぐあッ!?』

 

デウストルーパー隊が苦悶の声をあげながら地面を転がり、変身を解除される。

これで敵は全て倒した。後は、耶倶矢と夕弦の元へと向かうだけ。

 

「よし、行くぞ万丈!」

 

「おう!」

 

_____その時。

 

 

『…………ッ!』

 

 

「何?」

 

「あん?」

 

変身を解除されずに倒れていたデウストルーパー隊の一人が、突如立ち上がり、二人の前に立ちはだかった。

そして______一本の黒いボトルを、取り出す。

 

「………ッ、まさか!」

 

そのボトルを見た瞬間、ビルドはハッとなった。

まさか、あれは_______

 

そのトルーパーは取り出したボトルを、リバースドライバーへと挿しこみ、そして________

 

 

 

 

【OVER FLOW】

 

 

 

「ッ、おい戦兎、これって………!」

 

かつて一度だけ聞いたその音声を聴き、クローズも何かを察したようだった。

 

「ああ、恐らくな……………ッ!」

 

ビルドが身構えながら、相手を見据える。

 

 

『ァ、アァ…………アゥァ………………』

 

 

相手のトルーパーは全身から火花を散らし、やがてその全身が異形の姿へと変化していく。

 

全身のアーマーが砕け、筋肉が盛り上がり、その体表は硬くゴツゴツした_____甲殻類に似た物に置き換わり。

 

白と黒の煙を全身から吹き上げながら全身を生々しく変化させていくその様は_____かつて、崇宮真那に起こった現象と、()()()()()()()

 

 

______そして、完全に変化を遂げた、その姿は。

 

 

 

顔からは丸く巨大な眼が突き出、肥大化した肉体の表面は、ゴツゴツとした突起がついた、硬い甲殻に覆われ。

 

背中からは無数の手足のような突起が生え、両腕は_____まるで()のような巨大な(ハサミ)へと置き換わっていた。

 

その姿を認識した瞬間、ビルドは何かに悔しがるように言った。

 

 

「………オーバースマッシュ………ッ!」

 

 

「嘘だろ………ッ!?」

 

 

ビルドとクローズの目の前に、二体目のオーバースマッシュ_______クラブオーバースマッシュが、現れた。

 

 

 




どうでしたか?
今回はアライブメインになっちゃいましたね。
次回ちゃんと、戦兎と万丈の活躍を書きますので!

とまあそれは置いといて。

遂に!アライブの強化形態、アライブカマエルが登場しました!
十香の力の強化形態は、近いうちに登場しますので、お待ちください。あ、変身の時に現れた赤い血管みたい、と書かれている模様は、漫画版仮面ライダーの本郷猛の手術痕や、エグゼイドの宝生永夢がパックマンの映画のラストで浮かび上がらせていたやつと似たような奴と思ってくれればいいです。

アライブカマエルの姿は、こんな感じです!


【挿絵表示】


所々に赤いインクの跡がありますが、気にしないでいただけると嬉しいです。
ガルーダのカラーリングは変わらない感じです。

あ、マイティさんはカマエルの初登場補正でやられただけで、今後は強大な敵として立ちはだかり続ける予定ですので、ご期待ください。
素のアライブは第45話の後書きに載ってありますので、よろしければご参照下さい。

そして現れました二体目のオーバースマッシュ、クラブオーバースマッシュです!次回はこいつと戦兎、万丈が戦います!

それでは次回、『第51話 アシタノ絆を投げ出さないから』を、お楽しみください!

最近感想少なくて寂しい…………もっと感想くれても、ええんやで?


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