夕弦「音読。仮面ライダービルドにして、天才物理学者の桐生戦兎と五河士道は、第六の精霊誘宵美九攻略の為、また何かと悪巧みをしていました」
戦兎「おいなんだよその悪意のある解釈!ちゃんと原稿通り読んで!ていうか原稿返して!」
夕弦「反抗。私を放って他の女の子に現を抜かした罰です。つーんです」
戦兎「可愛い顔しても駄目。ほら早く原稿渡しなさい」
夕弦「拒絶。謝罪と今度一緒にお出かけしてくれるなら渡してあげます」
戦兎「分かった!放ってたのは謝るから!一緒にお出かけも、どこにだって付き合ってやるからお願い!もう数ヶ月ぶりだからみんなに忘れられてないか怖いんだよ!!」
龍我「数ヶ月ぶりなのにこんな情けない姿でいいのか自称天才(笑)」
士道「主人公ってか、奥さんの尻に敷かれる駄目な夫だな」
戦兎「そこ好き勝手言うなよ!よし、やっと取れ戻せた………。コホン!そして、なんやかんやあって謎の少女、【士織】として誘宵美九に接近することになった士道!そしてその裏では、何やら神大達の思惑が動いているようだった」
耶倶矢「此奴ら、毎回何かと出てきては意味深なことばっか言っておるが、本当に話を進められるのか?」
戦兎「微妙に心配な事言わないで!一応この第六章で色々進むようだから!と言うわけで久しぶりのあらすじ紹介から始まった、第59話をどうぞ!」
それから、翌日の夜。
「………で、相手の言動にキレて啖呵切ってステージで対決することになったって?」
「………まあ、そういう事に、なった」
戦兎の部屋で椅子に座りながら、戦兎の言葉に士道は苦虫を噛み潰すような声で応えた。
事の発端は今日の放課後、再び誘宵美九と会うために、士道が単身竜胆寺学園(勿論女装した状態で)に乗り込んだ時であった。
美九のハンカチを返すという体で竜胆寺に向かい、何とか美九と接触する事には成功した。その後はそのお礼という事で、一緒にお茶に誘う事にも成功するなど、ここまでは順調であった。
問題はここからだ。
そこで色々と話が交わされ、彼女が精霊であることが本人の口から告げられ、士道も自分の性別は隠しつつ、精霊の力を封印することが出来ると伝えたそうなのである。そして、顕現による空間震の発生は危険であると伝え、自分に封印できないかと、士道は持ちかけたようなのだ。
だが、そこで美九の放った一言が、士道の逆鱗に触れた。
『死んじゃったらまた代わりのお気に入りを探すのに苦労しますしねー』
『確かにその子が空間震で死んじゃったら悲しいですけどー。ほら、彼女私のこと大好きですしー、私の為に死ねるなら本望じゃないですかー?』
_____これまで数々の修羅場を潜り抜けてきた戦兎が聴いても、中々に歪んだ倫理観の持ち主だと断言できる。
その言葉が心の底から出た言葉だとしたら_____彼女は、歪だ。そうとしか言いようがない。それが当然だと信じ、相手にとっても幸せだと心から思っている。
確かにそれを聴いた後には怒りだってこみ上げるし、もし万丈が聞いたなら最悪彼女に殴り掛かっていた事だろう。戦兎だって、どこまで冷静でいられたか分からない。
そしてその場で、士道は彼女にこう断言したのだという。
『_____俺は、お前、嫌いだけどな』
『世界の誰もがそんなお前を肯定しかしないなら………俺がそれの何倍も_____
かつて十香に言い放った言葉と真逆の言葉で以って、士道は誘宵美九に、これ以上無い程の宣戦布告を、しでかしたのだ。
「………確かに、お前の気持ちはよく分かる。誘宵美九が言ってることは無茶苦茶だし、倫理観なんてあったもんじゃない。けどな、それで冷静さを欠いたら駄目だ」
「でも………あんなの、可笑しいだろ!人を、自分の玩具か何かと勘違いしてる!だから………!」
「分かるけど、少し落ち着け。ただ熱いだけでも駄目だ」
「くっ…………」
「………ふふっ」
士道が上げた頭を、再び前に倒して項垂れる。
その時、先程までの、美九の言動に憤り熱くなっていた姿が、どうしようもなく相棒と重なって見え、少し笑みが零れた。
「な、何笑ってんだよ!」
「ふふっ、いや、悪い……。何つーか、お前と万丈って、似たもん同士だと思ってな」
戦兎のその発言に、士道が不機嫌そうな表情を浮かべる。
「何だよそれ………俺が馬鹿だって、言いたいのか?」
「そうじゃねーよ。………
初めてクローズに変身した時。
戦兎や美空を裏切っていた、石動惣一こと、エボルトの行いに憤った時。
戦兎が自身の過去について語られ消沈した時。
自身の運命を知りながら、それでもなお立ち上がろうとした時。
いつだって万丈は、自分を信じた者の為に立ち上がり、戦い、そして励ました。
自分がどうなるかなんて考えない。後先に何が待ち構えているかなんて、そんなものは後回しで。
今自分が出来ることを。今自分が心から思った事を。
その時その時に、全力でぶつける____どこまでも馬鹿で、一直線な奴。
その一直線さや、向こう見ずな所が____士道と、重なって見えた。
「………つまり、どういう事だよ」
「お前はお前のままでいいって事だよ。……とにかく、あそこまで啖呵切ったからには、絶対勝たねえとな。士道、勝負の日は確か、天央祭の初日だったな」
「あ、ああ。美九が自分からステージに立つって言ってて、俺もそうしろって」
「………ほんと、改めて聞くと無謀な勝負だな。相手はトップアイドルで、こっちは素人が少し齧った程度ときた」
「……仰る通りだよ」
誘宵美九から提示された、ステージでの勝負。
単純な勝率なら、誰がどう見たって誘宵美九の圧勝だろう。分が悪いどころの話ではない。相手は半年もその道で生きているプロ中のプロ。対して士道側は素人の寄せ集め。ハッキリ言うと、天央祭でのステージという場でなければ、そもそも相手とは勝負するレベルにすら値しないだろう。
「まあ、当日は琴里達がサポートしてくれるって言うし、こっちだって中途半端な事はしないつもりだけど……」
「成る程………ま、お前は自分のやる事に集中しとけ。俺も協力してやるからよ」
「え?でも………良いのか?」
「可愛い後輩ライダーがピンチって時に、先輩ライダーが助けるのは当然だろ?ここはこの天っ才物理学者が、勝利の法則を導き出してみせるからよ」
そう言い、ポンポン、と士道の肩を叩いて立ち上がる。
んー、と首を回すと、ポキポキと小気味いい音が鳴った。帰ってからずっとパソコンや基盤と睨めっこしてたので、少しリフレッシュしたかったところだ。
「……そう言うなら、頼む。正直なとこ、琴里達のサポートがあっても、勝てるかどうか不安なんだ。いや、別に琴里達を疑ってるわけじゃない。でも………」
「分かってるよ。ま、こっちも新アイテムの開発ばっかだと息詰まるしな。丁度良かったよ」
「そか、それなら良いんだ。………ていうか、また何か作ってるのか。今度はなんだ?」
「ま、それは完成した時のお楽しみって事で。今は誘宵美九との戦いに備えようぜ」
「……そうだな」
そう言い、二人は部屋を後にした。
戦兎の雑多になった机の上には、配線に繋がれた、まるで
「………てかさっきの話、やっぱよくよく考えると遠回しに俺も馬鹿って言ってなかったか?」
「………さて!明日に備えて俺はもう寝るとするか!」
「おい話聞け!万丈と同列扱いはいくらなんでも心外だぞ!!」
◆
「………あんたら、本気?」
低く響くような声を発して、燎子が目の前に居並んだ一団を睨め付ける。
陸自天宮駐屯地のブリーフィングルームには今、二十名ほどの人間がいた。
燎子の側に座っているのは既存のAST隊員たち。そして対面に並んでいるのは、DEMインダストリーの出向社員たちである。
社員達の真ん中に立ったジェシカが、ニィ、と唇の端を上げてくる。
「もちろン。信じられないのなら、署名付きの書類をご用意しましょうカ?」
「聞き直すわ。_____正気?」
無礼とも取れる燎子の問いに、しかしジェシカは愉快そうに笑みを濃くした。
燎子は憮然とした様子で顔を歪めると、手元に置かれた命令書に視線を落とす。
そこに書かれていたのは、にわかには信じられない作戦内容だった。
_______精霊《プリンセス》及び、仮面ライダー捕獲作戦。
現在、都立来禅高校に通っている少女・夜刀神十香が精霊。そして同校に通う少年、桐生戦兎が仮面ライダービルド、万丈龍我が仮面ライダークローズ、五河士道が仮面ライダーアライブであるという事が確認されたため、これを捕獲するというのである。又、現在正体不明の金のライダー(DEM所属の科学者である神大針魏氏曰く、仮面ライダーグリスと呼称するらしい)も、同じく捕獲対象となっている。
とはいえ、ここまでは分からない話ではない。確かに夜刀神十香という少女が精霊【プリンセス】に酷似しているという話は前々から聞いていたし、もし霊波反応が確認されたのであれば放っておくこともできない。
仮面ライダーに関しても、今のところその行動目的やテクノロジーなど、殆どが謎に包まれている。DEMが保有するライダーシステムと同じ技術で創られたらしいという事と、精霊を守るべく行動している、またアンノウンを撃破し、謎のボトルで人に戻せるという事くらいしか、現在ASTは情報を掴めていない。もし彼らを捕獲することが出来たなら、聞き出せる情報は沢山ある。
「百歩譲ってここまではいいとしましょう。私たちとしても、精霊が学校に通ってるだなんて危険な状況を見逃すわけにはいかない。仮面ライダーも、知りたいことは山ほどあるしね」
言ってから、書類にダンと手を突く。
「でも、これは何?」
「これ、というト?」
「すっとぼけんじゃないわよ。_____作戦決行日、九月二十三日土曜日。場所が天宮スクエア天央祭会場………!?一体何考えてんのよこれは!
燎子は悲鳴じみた声で叫んだ。
恐らく、その日最も人間が集まるであろう天央祭の会場。そこに押し入り、衆目の前で夜刀神十香と仮面ライダーを捕獲せよというのである。
しかもその実行部隊はDEM出向社員達のみで構成され、燎子ら既存のAST隊員は周辺の警戒や情報統制なぞと裏方に配置され、現場にすら近づけないのである。これでは彼女らの暴走を止める事もできはしない。
「意味が分からないわ!ここまでのことして、一体何のつもりよ!」
しかしジェシカは燎子とは対照的に静かに息を吐いてきた。
「これはセレモニーなのよ。我々から、親愛なる怨敵への挨拶。これから始まる戦いの
「は………?敵?挨拶?何を言って………」
ジェシカは燎子の言葉を最後まで聞かず、ニヤついた顔のまま席を立った。
「別に、納得してもらわなくても構わないワ。作戦に依存があるのであれば上へ訴えテ。もし撤回されたのであれば、我々もそれに従うワ」
「あ、ちょっと待ちなさい!」
燎子が制止すると、ジェシカは不意に足を止めた。_____が、すぐにその行動が燎子の言葉を受けてのものでないと分かった。ジェシカが、何かを思い出すようにこちらに首を回してきたからだ。
「______そうそう、言い忘れてたワ。今回の作戦、鳶一折紙一曹にはしらせないようにネ」
「折紙?一体なんでよ。あの子はASTの重要戦力よ?わざわざ外す必要は_____」
「今回の件においてはそれが邪魔になる可能性があるって言ってるのヨ。それに、どうせ既存の部隊の皆さんは実戦に参加しないワ。そう大した影響はないでしょウ?」
「っ、こっちの編成にまで口出される覚えは無いわよ」
「勘違いしないデ。これは私の一存ではなく上からの命令ヨ。____ではでハ。ご機嫌よウ」
言って、ジェシカが部屋を出て行き、他のDEM社員達もそれに続いていった。
「ぐ………ッ!何なのよ、一体……!」
燎子は悔しさと無力感を拳に込めると、一気にテーブルに叩き付けた。
その際、そこに置かれていた書類がひらひらとその場に舞い、うち数枚が床に落ちる。
と_____そこで。
『五河士道』と名の記された書類に視線を落とした燎子は、「……ん?」と眉根を寄せた。
「………そういえば、士道って、どこかで………」
行ったところで、先ほどのジェシカの言葉が思い出される。
「折紙が………参加禁止_____って、あ」
燎子は目を見開いた。
五河士道。それは、折紙が言っていた『恋人』の名前だった。
どうでしたか?
久し振りなのと次の回の繋ぎもあって、今回ちょっと短めになってしまいました。
現在第1話から第4話までが加筆修正済みです。これからも順次かけていくので、よろしくお願いします。
しかし改めて最初の頃の自分の話読んでると、文章力の無さが際立って見えますね……いや、今もあまり変わってないかもしれませんが。
それと、いよいよデアラ22巻の発売日が決まりましたね!いよいよデアラ本編も完結ですか………なんだかとても寂しいというか、感慨深いというか。
あ、デアラは終わっても、この作品は続けていくつもりですので、よろしくお願いします!
それでは次回、『第60話 歌はデートの後で』をお楽しみに!