デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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一海「精霊にしてアイドルの誘宵美九と、仮面ライダーアライブこと五河士道。両者の思惑が交錯する中、天央祭はついにステージに突入。耶倶矢、夕弦、戦兎を加えてメンバーで、士道たちはステージに臨み歌い切るのであった」

万丈「なんでかずみんがあらすじ紹介してんだよ!」

一海「戦兎達はステージに立ってる最中だろうが。ていうか問題はその後だよ。なんだよ仮面ライダーアヴェンジャーって。また新しい仮面ライダーかよ」

折紙「その通り」

一海「うわびっくりした!なんだこいつ」

折紙「ようやく私も仮面ライダー。これで士道と一緒」

万丈「一緒ってなんだよ」

一海「てかお前、変身してる時めっちゃ苦しそうだったけど大丈夫か?」

折紙「問題ない。全身骨折したような痛みと頭がガンガンするくらい」

万丈「それ全然大丈夫じゃねえだろ!」

一海「こんなとこいないで病院行け病院!」

折紙「それはできない。今私は戦闘中」

万丈「じゃあどうやってあらすじ紹介してんだよ!だーもう!なんだかよく分かんねえけど第63話どうぞ!」

一海「あ、それとあとがきに詳しいこと書いてあるが、今回からまた前と同じ不定期スタイルに戻るらしいぞ。勝手だが、そこんとこよろしくなー」




第63話 引き裂くソングと蘇る牙

「…………」

 

今しがた撃墜した、バンダースナッチと呼ばれる機械人形の残骸が地面に落ちていくのを視界の端に捉え、息を吐く。

そしてすぐさまギリと奥歯を噛み締め、脳内で指令を発する。

 

「………士道には、指一本、触れさせない………!」

 

全て(こわ)す。目の前に立ち塞がるもの、全て。

脳に膨大なまでの情報量が、滝のように押し寄せてくる。それらを全て処理し、相手を屠る。全身を巡る痛覚も、今は感じないほどであった。

視界内のデウストルーパーとバンダースナッチに狙いを定め、定点随意領域(テリトリー)を限定展開。精度は低いものの、それでも足を止めるくらいはできる。その隙にコンテナから、雨のようにミサイルが放たれた。

 

バンダースナッチ二体の破壊を確認。デウストルーパーはギリギリで逃れたようだが、このミサイルは最初からトルーパーを堕とす事を前提としていない。

間髪入れずドライバーを操作し、レーザーカノン砲へエネルギーが贈られる。

 

 

【STAND BY AVENGING DESTOROY】

 

 

「ハァ_______ッ!」

 

レーザーカノンの砲門から、スパークを放つ、柱のような黒いエネルギーが放出される。

ミサイルを間一髪で避けたデウストルーパー隊も即座に対応しきれず、二名程が変身解除され、ユニットから黒煙を噴いて落下していった。

 

『くそッ、くそッ、一体何なのよあなたハ!』

 

バンダースナッチが、トルーパー隊が、次々と撃墜されていく。数で押そうが、全てはミサイルと黒雷に消える。

白い彼岸花と、黒の復讐者を倒す手立てが無い事にジェシカ、否、【レッドトルーパー】は苛立ち、恐怖する。

 

「破壊する………全て、破壊する………ッ!」

 

この身に付けたドライバーの影響か、アヴェンジャーとホワイト・リコリスの攻撃は弱まるどころか、熾烈さを増す一方だった。

バンダースナッチなど、最早唯の動く案山子だ。通常のCR-ユニットであれば脅威ではあるが、ホワイト・リコリスとリバースドライバーの前では物の数ではない。

 

『撃テ!撃テ!』

 

トルーパー隊がひたすらにレーザーと弾幕を展開、そしてデュアルスレイヤーによるボトル攻撃を仕掛ける。視界を埋め尽くさんばかりの攻撃が、アヴェンジャーに迫ってきた。

 

「アアアアァァァァ______ッ!!」

 

その弾幕を普段の彼女からは想像もつかないような咆哮を上げながら、左右のブレイドユニットより黒雷を発生させ、撃墜していく。

防ぎ切れなかった弾薬は、随意領域(テリトリー)を防御特化させ防ぐ。この程度なら何発食らおうと_____

 

「………っ!?」

 

そう思った瞬間、アヴェンジャーの視界がぐらりと揺れた。

一瞬随意領域(テリトリー)が乱れ、ホワイト・リコリスの装甲に何発かの弾薬が炸裂する。とはいえライダーシステムの恩恵もあってか、その衝撃は全て吸収された。

だが、次の瞬間_____

 

「ぐっ………!?あっ、がぁッ…………!!」

 

先程から全身を巡っていた鈍い痛覚が、急にその激しさを増し、アヴェンジャーの、折紙の肉体を蝕んだ。まるで、鋭利な刃物で全身の血管を切り刻まれたような激しい痛みが、折紙を襲う。

さらに全身のアーマーからは火花が散り、複眼部の『ホワイトヴィジョンアイ』から送られる映像が乱れる。

 

『……………ン?』

 

そんな折紙の様子を不審そうに見ていたレッドトルーパーが、仮面の下でピクリと眉を揺らす。

 

『あ_____はハ。はははハッ!______そろそろ、タイムアップみたいネ』

 

「そん、な…………っ!?」

 

次の瞬間、折紙の全身を包んでいた装甲が消え失せ、変身が解除された。

更にはドライバー内部のボトルが砕け散り、中の成分が液体となって滴っている。

元より耐久性の低いオルタナティブフルボトルで、更に適合手術無しの強引な変身だったのだ。ボトルにかかる負荷は相当なものだろう。

 

と、その時。目元と口元に何かぬるりとした感触が生まれ、視界が赤く染まった。

視線を敵から外さぬまま手で拭ってみる。すると、手のひらにべったりと血が付着したのが分かった。どうやら、目と鼻から血が流れていたらしい。

 

「ガハッ………!?」

 

そして続くように、口から血を咳出してしまう。思わず手で覆うと、掌は元からその色であったかのように真っ赤な血に染まった。

 

「これ、は………」

 

次いで強烈な頭痛と目眩に襲われながら、折紙は呻くように言った。

この感覚は初めてではない。______活動限界である。

このまま戦闘を続行すれば、折紙は死ぬ危険すらある。ホワイト・リコリスのみ使ったのであれば、まだ身体障害に留まったかもしれなかった。だが、ライダーシステムの無茶な仕様のツケだろう。既に全身はボロボロで、意識を保っている事すらやっとであった。

 

さらにレッドトルーパーの後方の空に、いくつものシルエットが現れた。バンダースナッチだ。

そのボディには欠損が全く見られず、どうやら折紙が撃墜したものではなく、どこからか送られた増援らしい。

 

『ふフ。さぁ形成逆転ヨ。よくもやってくれたわネ。_____ただで済むと思うなヨ』

 

「………く」

 

折紙は全身を巡る激痛と頭痛、赤く染まる視界の中、ギリと葉を噛み合わせた。

 

 

 

 

『そして、ステージ部門第一位を栄冠を手にしたのは………やはり強かった!王者・竜胆寺学院ッ!!』

 

『おおおおおおおおおおおおおおおお__________ッ!!』

 

天央祭、一日目結果発表。

天央セントラルステージは、大歓声に包まれた。

 

それもそのはずだ。今、全てのステージ、および投票の結果が発表されたのである。

そして結果として______士道達は、ステージ部門で敗れた。

 

「し、シドー……」

 

士道が放心していると、十香が。モニタに表示された順位に視線をやりながら声を発してきた。その表情は不安の色に染まり、僅かに指先も震えている。

 

「ま、負けてしまった………のか………?わ、私が、歌ったから………」

 

「!ち、違う!十香のせいなんかじゃない!」

 

士道が首を横に振るも、十香の今にも泣き出してしまいそうな表情は晴れなかった。まるで士道の言葉が聞こえていないかのようである。

 

「ふふ、ふふふふー……ほうら、ね。私の言った通りでしょう?仲間なんかに、しかも一人は男に期待しすぎるからこんな事になるんですよー」

 

「美九……」

 

未だ続く司会者のアナウンスをBGMに、美九がニヤニヤと笑いながら近づいてくる。

 

「くっ、ふふふ………ハハハハハハッ!」

 

すると今まで黙っていた戦兎が、突然笑い声を上げた。

 

「せ、戦兎………?」

 

「何ですかあなた急にー。ちょっとその臭い口を今すぐ閉じて下さいよ。今私は士織さんと話してるんですからー」

 

「い、いや、悪いな。ただ、結果ってのは最後まで聞くもんだぞ」

 

「え?」

 

と。

戦兎がそう言った瞬間、司会者が今までで一番大きな声を張り上げた。

 

『_____と、いうわけで!天央祭一日目の総合一位は、来禅高校に決定いたしましたぁぁぁぁぁぁッ!!』

 

「…………へ?」

 

美九が、呆然と目を丸くする。

それは士道達も同じだった。唯一戦兎だけが、全てを分かっていたかのような顔で笑いながら、「どーもどーもー!」とか言いながら観客に向かって大手を振っている。

 

『なんとも意外な結果になりました。ステージ部門では他を寄せ付けない圧倒的なパフォーマンスで一位を掻っ攫った竜胆寺ですが、どうやら今年は展示部門や模擬店部門が振るわなかったようですね』

 

「え………?え………?」

 

美九が、意味が分からないと言った様子で顔を左右に振る。

 

『その隙を、ステージ部門二位に付けた来禅が衝いたという訳ですね。特に模擬店部門のメイド&執事カフェの得票数が凄まじい!審査の際に物議を醸したという話ですが、実行委員の熱心なプッシュが功を奏した形になりますね!』

 

「は、は………」

 

士道は力無く笑った。

まさか、こんな場面で亜衣麻衣美衣に助けられるだなんて、思いもしなかった。

 

「シドー!」

 

十香が表情をガラリと変えて飛び付いてきた。それから一拍遅れて耶倶矢と夕弦も駆け寄り、戦兎が背後から笑顔を浮かべて士道の頭に手を置く。

 

「かかか!当然だな!我らの手にかかればその程度容易いものよ!」

 

「同調。その通りです。夕弦たちが向かう所に敵無しです」

 

「ああ、俺たちが創った勝利だ」

 

そうしてもみくちゃにされる内、士道はようやく実感が胸に広がっていくのを感じた。

 

______勝った。

 

勝った、のだ。

 

美九に。竜胆寺に。

 

『______それでは、今から表彰を行います。代表者は前に出てきて下さい』

 

司会者がそう言い、三組の出演者を前方に促す。

が_______

 

「………ふざけないでください。何です、これ_____」

 

背後から、震えた美九の声が聞こえてきた。

 

「おかしいでしょう………?私が負ける訳ないじゃないですかー……」

 

美九はフラフラとした足取りで、前方へと歩いて行った。

 

「私は_____誘宵美九なんですよ?私は……私は………ッ」

 

「………美九」

 

士道は胸に手を置いてから、静かな声で呼びかけ、歩いて行った。

が、そこで美九がビクッと身体を震わせる。

 

「やめてよ………わ、私は勝ったもん………ちゃんとかったもん!あの子達が………あの子達がちゃんとしてないから!」

 

「………そんなこと言うもんじゃないぞ。竜胆寺の生徒だって、一生懸命やったはずだ」

 

「し、知らない!そんなの知らないです!私は……私は、勝ったのに……!」

 

「確かにお前は勝ったな。でもそれは、お前一人だけだ」

 

美九の言葉を遮るようにして、戦兎が歩み寄ってくる。美九は戦兎の姿を、憎々しげに見つめた。

しかし戦兎は、続ける。

 

「俺たちは、来禅は。一人で戦ってたわけじゃない。確かに一人では、お前に勝つことは無理だったかもしれない。だからこそ助け合い、一緒に支え合う相手が必要なんだ。そしてその相手を……仲間って言うんだ」

 

「……な、かま………」

 

美九が忌々しげに呟き、渋面を作る。戦兎の言葉に続けるように、士道が頷いた。

 

「ああ。俺たちは確かに、歌でお前に敵わなかった。……でも、カフェや、他の出展物を用意してくれた生徒たちが、俺たちに足りない部分を埋めてくれたんだよ」

 

「な、何よ………それ。仲間……?ははっ、人間風情が、そんな事、出来る訳………?」

 

「出来たんだよ。そんな人間風情の小さい力でも、共に創った絆で一つに繋がれば、大きな力になる。………な?人間って………面白いだろ」

 

士道がそう言って笑う。

すると、美九は、俯かせていた顔をゆっくりと上げる。

 

「………だったら、私だって、証明してあげますよ。仲間?絆?そんなもの、私の前じゃ無意味だって…………ッ!」

 

そして顔をバッと上げると、両手を大きく上げた。

 

 

 

「________破軍歌姫(ガブリエル)!!」

 

 

 

美九が会場全体に響き渡るような絶叫を上げたかと思うと、次の瞬間、美九の足元の空間に放射状の波紋が広がっていった。

 

そしてその声に呼応するように、まるで聖堂に設えられているかのような、巨大なパイプオルガンが顕現した。

周りもそれが演出の類でない事に気付いたらしく、辺りをどよめきが包んでいく。

だが美九はそれらを意に介する事なく、光り輝く鍵盤を手元に顕現させた。

 

その天使が一体どのような意図で呼び出されたのかは分からない。だがそれが、その場にいる人間にとって破滅的な状況を作り出すであろう事は容易に想像が付いた。

 

「まさか………!ッ、だとしたら、まずい…!夕弦!」

 

「えっ……?」

 

戦兎が何かに気付いた様子でハッとした表情になると、最寄りにいた夕弦の耳を、ポケットから取り出した何かで塞ぎ、抱き抱えるようにして後ろへと下がった。

 

「美九!待て!話を聞いてくれっ!」

 

士道が止めようと駆け寄ったが、遅かった。

 

 

「歌え!詠え!謳え!_____【破軍歌姫(ガブリエエエエエエル)】ッ!!!」

 

 

______その瞬間、その世界(ステージ)は、歌に包まれた。

 

 

 

 

『______基礎顕現装置(ベーシック・リアライザ)並列駆動。魔力充填開始。収束魔力砲【ミストルティン】用意。目標____天宮スクエアセントラルステージ』

 

空中艦フラクシナスは今、混沌とした空気に包まれていた。

令音が士道たちのステージを見た美九の精神状態についての解析を詳しく行いたいという連絡を受け、四糸乃を一海に任せて戻ってきたが、その時既に、艦内は異様な雰囲気と化していた。

 

 

「____あっはははは!バーカ!美九お姉様を騙した報いよ!死ね!死んじまえ!その命、神様に返しちゃいなさい!」

 

 

艦長席____ではなく、四つん這いになった神無月に腰掛けた琴里が、何かに取り憑かれたかのような様子で、モニターに向かってそんな罵詈雑言を吐く。

モニターを見ると、そこには士道や戦兎達が映されていた。側には万丈や一海の姿も見受けられる。だがよく見ると、士道達は何故か、四糸乃と耶倶矢に囲まれていた。しかもただ囲まれているだけでなく、四糸乃と耶倶矢は天使まで顕現させていた。

 

そしてステージの奥には、そんな二人に守られるように、誘宵美九の姿があった。

 

どう見ても緊急事態である。だがそんな事など知った事ではないように、クルー達は琴里と同じように中指を立てたり親指を下げたりしながら、口々に士道を罵っていた。唯一無事だったのは、令音を除いてはクルーの一人である椎崎のみだ。

 

だがその二人も、正気を失ったクルー達によって組み伏せられ、身動きが取れない状況にいた。

 

更に先ほど流れた、無機質なアナウンス。二人は同時に、コンソールに向かいながらカラカラと笑う琴里と、それに腰掛けられ恍惚とした表情を浮かべる神無月に目をやった。

二人に気付いたのか、視線を向けて、ニィ、と唇の端を歪める。

 

「_____セット完了。あとはこのボタンを押せば_____ドッカーン!」

 

爆発を表現するように両手を広げ、琴里が叫ぶ。そのあまりにも無邪気な仕草に、椎崎の顔は青ざめた。

 

「じ、冗談ですよね……?」

 

「あっはは、面白いこと言うのね椎崎。本気に決まってるじゃない」

 

冗談めかすように言って、琴里がバッと腕を高く上げる。

 

「………く」

 

令音は自身を組み伏せている箕輪を一瞥したのち、椎崎に目をやった。

このままでは_____

 

と、そんな思考を遮るように、令音の耳にとある音が聞こえてきた。

艦橋のドアが開く音。床を蹴る音。そして______

 

「ふげ………ッ!?」

 

いきなり現れた人影に鳩尾を打たれ、昏倒する琴里の声が。

その人影は倒れ込んだ琴里の身体を支えると、神無月の後頭部を踏みつけて気絶させ、面倒そうにぽりぽりと頭を掻きながら言ってきた。

 

「全く、何なんですかこのアラームは。人が折角ぐっすりスヤスヤ夢の中に居たってのに、もうちょっとくらい静かにできねーんですか?折角良いとこだったってのに」

 

いやに特徴的な口調で彩られた声で、一人の少女が立っていた。

崇宮真那_____AST三尉にしてDEMの出向社員。そして、士道の実妹を名乗る少女だ。

 

「それで。話を聞く限り、何だか琴里さんがトチ狂っていやがったようなので一発お見舞いしてやったわけでしたが………オーケイでした?」

 

「………ああ、ファインプレーだ。できれば、私たち以外のクルーも気絶させて貰えるとありがたい」

 

「そりゃまあ、構わねーですけども」

 

真那はそう言うと、琴里の身体を床に落ち着け、瞬く間に艦橋のクルー全員を昏倒させてしまった。

 

「ふぅ、いっちょ上がりです」

 

パンパン、と手を払い、真那が令音に視線を向けてくる。

 

「で………一体何があったんです?」

 

「………まだ確証はないが、精霊の攻撃によるものだ。相手の精神に干渉してくる類の物だろう。恐らくは『音』に霊力を乗せて」

 

「はー……そりゃまた厄介なものが」

 

と、辟易するように言いながらモニターに目をやった真那は、小さく息を詰まらせた。

 

「に………兄様ッ!?それに……戦兎さんと、万丈さん!?」

 

どうやら艦橋内に気を取られすぎて、モニター内の状況に気付いていなかったらしい。モニターに駆け寄り、ダンダンと地団駄を踏む。するとモニタ内で、戦兎と万丈が、ビルドとクローズに変身した。

 

「って、え、えええええええッ!!」

 

どうやら、彼ら二人がビルドやクローズの変身者とは知らなかったらしい。真那が驚愕の声を上げる。

 

「い、一体どういう事ですかこれは!なんで兄様があんな危険なところに!それにどうして兄様の友人の二人が、ビルドとクローズなんでいやがりますか!?」

 

「………落ち着きたまえ。彼らは味方だ。そして今敵対しているのが、件の音を操る精霊だ。_____こうなったら、やむを得ない」

 

そういうと令音は、艦橋での自分のいつも座っている席に向かい、足元のスペースから何かを取り出した。

銀色に光る、それなりの大きさのアタッシュケースである。それを持って真那の元へ行き、口を開いた。

 

「______君に、頼みたい事がある」

 

 

 

「はぁっ……はあっ……」

 

『はははははハ!ここまでよく凌いだわねェ。でも、もう終わりヨ!』

 

レッドトルーパーの高笑いが、激しい痛みに苛まれた脳に響く。

先程まで折紙は、デウストルーパーとバンダースナッチ相手に、手負いの状態で凌いできていた。だが、それももはや限界だ。

ホワイト・リコリスは中破状態であり、まともに使える武装はベルトのサイドに取り付けられた【デュアルスレイヤー】のみ。しかしそれもボトルが壊れた以上、決定打は望めない。

それに何より、折紙自身の肉体も限界に達していた。目、鼻、口からの出血は更に酷くなり、ついには耳からも出血が始まっている。さらに先ほどよりは和らいだとは言え、全身を継続的に襲う鈍痛が、思考を遮っていた。

 

対して敵の数は圧倒的。デウストルーパーが五人、バンダースナッチが少なく見積もっても二十。

 

圧倒的戦力差と、機体の損傷に肉体の摩耗。これ以上は本当に死ぬかもしれない。

だがここで折紙が離脱すれば、士道がDEMに拉致される事は明白であったし、何よりこのまま彼女らが素直に折紙を逃すとは考えられなかったのである。

それを示すように、折紙の周囲をデウストルーパー隊とバンダースナッチが、取り囲むように展開した。

 

『ふフ。本当はもうちょっと可愛がってあげたいとこだけど、こっちも時間が押してるのでネ。終わらせちゃいましょウ』

 

言って、折紙に指を突き付けてくる。

それに合わせて、周期に展開していたバンダースナッチが一斉に動き、右腕に携えていたレーザーカノンを向けてくる。

 

「………く」

 

回避行動を取ろうとするも、もう限界だった。肉体が悲鳴をあげ、視界は既に真っ赤に染まり切り、意識が朦朧としていく。

 

結局………自分は無力なままだった。

 

顕現装置(リアライザ)を用いても、最強装備のホワイト・リコリスを使っても、挙句には無茶をしてライダーシステムに頼っても、折紙は士道を守れなかった。

 

______私にもっと、力があれば。

 

何者をも寄せ付けぬほどの、圧倒的な力があれば。

 

「士、道………!」

 

「さあ、やっちゃっテ」

 

ジェシカの声に応じるように、バンダースナッチが引き金を絞ろうとする。

 

だが、その瞬間。

 

折紙の霞む視界を何かが通り抜けたかと思うと、レーザーカノンの砲身が、綺麗に切断された。

 

砲身に充填されていた魔力が、砲身を巻き込み爆散、金属片が撒き散らされる。

非常事態を認知してか、バンダースナッチが頭部をあちこちに向ける。

 

『な……一体何事ヨ!?』

 

しかもそれだけではなかった。

再び折紙の視界を青いシルエットが通り抜け、次の瞬間にはバンダースナッチの頭部が宙を舞っていた。

 

『な_____!』

 

レッドトルーパーの狼狽と共に、折紙を囲っていた数機のバンダースナッチが一斉に機能を停止し、バラバラと地面に落ちていく。

 

「これは………一体………」

 

折紙が朧げな声で呟く。

するとその声に応えるように、折紙の前に蒼い機械の鎧を纏った人間が現れる。

見た事のないタイプのCR-ユニットである。両手両足胸部を覆う流線型の装甲と、背に搭載された巨大なスラスターパーツ。

そしてそれを纏った人間の顔を見て、折紙は思わず息を詰まらせた。

 

「真那____?」

 

「お久しぶりですね、鳶一一曹」

 

その少女が振り向き、折紙に視線を向けてくる。

それは間違いなく、かつて折紙と共に戦った士道の妹、崇宮真那だった。

 

時崎狂三との戦いで未知のアンノウンに変身し重傷を負った後、入院先の病院から姿を消して、そのまま行方知らずと聞いていたのだが____

 

「なぜ、こんなところに。それに、それは………」

 

「細けー話は後です。今は兄様を助けるのが先決でしょう?大丈夫。あいつらは私に任せやがってください」

 

そういうと真那は何かを取り出し、顔の横に持って行った。

 

取っ手のような物が側部についた、青と銀色の、ベルトのバックルの様な物である。

どこかリバースドライバーに似ているが、全くの別物であると言えた。

 

「ビルド____戦兎さん。少し、お借りしやがりますよ」

 

そう言ってバックルを腰に持っていくと、銀色のベルトが自動で巻き付く。

 

 

 

【モデライズドライバー!】

 

 

 

『それハ………』

 

レッドトルーパーが戸惑ったような声をあげる。

真那はベルトを【ウェアードバインダー】により装着すると、今度はボトルを手にした。

ビルドか使うそれと形は同じだが、上下のパーツが青いのが違かった。

その、狼の意匠が施されたボトル_____【ウルフマテリアルフルボトル】を、数回振り、成分を活性化させる。

そしてキャップを閉じると、ベルトのレバー____【ジェネレイトチャージャー】を引く。

するとベルト上部の中心部が斜めに開き、真那はそこにボトルを差し込んだ。

 

 

 

ウルフ マテリアル!

 

 

 

軽快な音声が鳴ると、そこから狼の咆哮と疾走感のある待機音声が流れた。

そこから真那は両手を顔の前で十字にクロスさせ、叫ぶ。

 

 

「変身!!」

 

 

叫ぶと同時にクロスさせた手を下へ開き、左手で右部のチャージャーを押し込んだ。

 

 

 

【ARMOR UP!!】

 

 

 

押し込まれ、内部へとボトルの成分が送られたドライバーが、内蔵された変身用顕現装置(リアライザ)を起動させる。

瞬間、真那を中心として複数のリングが現れ、それらがまるで真那を閉じ込めた、フルボトルのような小型ファクトリー、【アームモデリングビルダー】を生成した。

 

だが、それも一瞬。内部で次々と脚、腕、胸のアーマー、【WMプロテクションアーマー】が創られる。

そして真那がアンダースーツに包まれ、それらのアーマーが順番に装着されていく。最後にマスク、【WMヘッド】が装着され、後頭部から狼の尾のようなパーツが、生えるように生成された。

 

やがてファクトリーが弾ける様に消え、その姿が露わになる。

 

 

 

【HOUNDING BEAST!!ウルフ・オブ・ファングッ!!ハァッ!!】

 

 

 

______蒼き狼の戦士が、そこにいた。

 

銀と黒に輝く、稲妻が走ったような形状アーマーに、黄色に光る少し吊り上がった、小さな涙のようなラインが入った複眼。

 

デモリッシュとは違う、新生、崇宮真那の仮面ライダー。

 

 

「……ふむ、中々良い着心地でいやがりますね。快・感って感じです。名前は………そうですね。仮面ライダー……ファング

 

 

戦兎が創り出した新たなるベルト、【モデライズドライバー】によって生まれた、全く新たな仮面ライダー、ファング。

 

 

「……私の牙は、荒っぽいですよ」

 

 

その牙が今、大事な物を守るため、眼前の敵を屠らんとしていた。

 

 

 




どうでしたか?

ということで。すいません。毎週日曜(というか月曜)の0時に投稿するって言ってたんですが、やっぱ前と同じで書きあがり次第投稿するスタイルに戻します。

理由といたしましては、自分の性格の問題もあるんでしょうが、定期にするより書き上がったらすぐに上げる方が楽だと思ったからですね。更新まで待つのが楽しみな読者さんには申し訳ないですが。
勝手ではございますが、前と同じスタイルで更新していくので、よろしくお願いします。

そして今回。
無茶して変身したので原作よりヤベーイ事になってる折紙さん。オディガヴィドカラダヴァボドボドダ!
アヴェンジャーはまた活躍がある予定ですので、よければ楽しみにしていってください。

そして、またまた出ました新ライダー、仮面ライダーファング!

これもずっと出そう出そうと思ってたライダーですね。真那さんがこれに変身した事によって、出番も原作よりかは増えると思われます。真那ファンの人もそうで無い人も楽しんでいってください!
変身エフェクトに関してはドライブのやつに近いので、ドライブの変身エフェクトで再生すると近いかと思われます。
ベルトの構造は、マッハドライバーにゴーストドライバーの取っ手をプラスした感じですね。

そしてこちらが、仮面ライダーファングのイラストになります!


【挿絵表示】


拙いのとCR-ユニットが無い事にはちょっと目を瞑って欲しいです。そこまで描けなかったんや(涙目)
あとベルトが今考えてる形と描いてた時に考えてた形とで少し違うので、今度また別でベルトのイラストは出したいと思います。

ファングの解説については次回載せたいと思います!

それでは次回『第64話 奪われたヒーロー』をお楽しみに!

最近感想少なくて寂しい………(露骨な誘導)
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