デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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真那「アイドルにして精霊、誘宵美九とのステージ対決に、仮面ライダーアライブこと兄様は勝つ事に成功しやがります!ですが、その結果に納得いかなかった誘宵美九は、観客を洗脳。兄様を捕らえようとしてきやがります!そんな中、仮面ライダービルドの桐生戦兎さんと、夜刀神十香さんを捕まえるために、DEMのエレンと、マッドクラウンが現れます。そして、マッドクラウンの正体はなんと!兄様のご学友である、殿町宏人さんでいやがったのであった……」

折紙「何故あなたがあらすじ紹介をしているの」

真那「だって、兄様たち今逃亡中でいやがりますし、今まともにあらすじ紹介できるの、私達くらいしかいねーじゃねーですか………って、なんでそんな悔しそうな表情なんでいやがりますか?」

折紙「不覚……。ここで私も逃げておけば、追われる主人公とヒロインという美味しい展開だったのに」

真那「いや、貴方がヒロインだと追われるの兄様一人になっちまいますから。ヒロインからも追われる身になりやがりますから」

折紙「そんな事は無い。ただ共に逃げる途中にうっかり二人のムードが高まって、うっかり既成事実を作っても、それは致し方ない……」

真那「致し方無くねーですよ!さ!この小説が18禁指定になる前に、第65話をどうぞです!」





第65話 再会のナイトメア

_____それから、どれくらいの時間が経っただろうか。

 

雨が止み、夕日が沈み切り、辺りに闇が満ち始めた頃。ステージから逃げ延びた士道達は、天宮市の外れにある廃ビルの中の一室に身を潜めていた。

流石にメイド服のままでは動き辛い上に目立つため、道中広間で行われていたフリーマーケットで男物の服を購入し、着替えを済ませていた。無論、喉の変声機も外してあるため、もう完全に士道に戻っている。

 

そして身を潜めてからしばらくして万丈と一海が目覚めた為、しばらくしてから事のあらましを説明した。

 

「嘘だろ………っ!」

 

「…………くそッ!」

 

一海は拳を強く握り、万丈は行き場のない怒りをぶつけるように、柱を思いっきり殴った。

夕弦はもう流石に落ち着いたのか、窓の外を見回して追っ手が来ていないか警戒している。

 

「…………」

 

ちらと棚の上に置いた携帯に目をやる。

画面には、天宮市で起こった原因不明の大暴動を生中継で放送しているニュース番組が映し出されている。街を徘徊している市民の姿が、ヘリからの空撮映像で捉えられていた。

誰にも想像できないだろう。この数万人の人たちが、美九の命令一つによって士道達を探し回っているだけなどとは。

 

「………くそっ、さっきよりも増やしやがって………胸糞悪いな………!」

 

「…………」

 

一海が指摘した通り、画面に映る人の数は、明らかに先程より増えていた。

どうやら美九はステージの観客だけでは飽き足らず、どんどん尖兵を増やしているらしかった。【破軍歌姫(ガブリエル)】にどれだけの力があるかは分からないが、これではいつか見つかってしまうだろう。

しかもスピーカー越しでもその効果はあるらしく、暴動鎮圧のために向かった警官隊までもがその戦列に加わっていたのだ。

 

「…………っ!」

 

すると万丈が、痺れを切らしたように立ち上がり、どこかへ向かおうとした。

 

「待てよ。どこ行く気だ」

 

その万丈を、一海が制する。

 

「決まってんだろ……!戦兎を助けに行くんだよッ!!」

 

「今の状況じゃ無理だ!俺たちだって万全じゃねえ。いくら変身したって、数で押されちゃどうしようもねえだろ」

 

「………くそッ!!」

 

一海が説明すると、万丈は忌々しげに吐き捨てた。

そして士道もまた、ここで籠城してるしかない状況に怒りを覚えていた。

 

「こんなことしてる場合じゃないってのに………俺は_____ッ」

 

そう。助けなければならないのは戦兎だけではない。

マッドクラウンにどこかへ攫われてしまった十香を一刻も早く取り戻さねばならないのである。

あのDEMの仮面ライダーと連んでた以上、恐らくはDEM社へと十香は連れ去られたのだろう。精霊を殺すことを至上目的とし、各国に顕現装置(リアライザ)を提供し、あまつさえあんな危険なライダーシステムを開発した組織が、十香を丁重にもてなすとは考えられなかった。

 

さらにはラタトスクとも連絡が取れず、インカムを小突いてもノイズが聞こえるばかりだった。

 

そして士道の胸中にあったものは、それだけではなかった。

 

マッドクラウン_______殿町宏人の事である。

 

ずっと学校で連んでいた悪友が、今まで何度も士道達の邪魔をしてきた敵の正体だという事実に、まだ現実感を持てなかったのである。

あのDEMの魔術師(ウィザード)が変身した、仮面ライダーマイティと前からずっと行動を共にしていたような、会話と雰囲気。

きっと士道が考えているよりもずっと前から、DEMの手先だったのだろう。

 

そう思うと絶望感を覚えると同時に、今の今まで気付けなかった自分の阿呆さ加減に心の中で嘲笑した。

 

「………おーい、士道?」

 

「ッ、……万丈、悪い」

 

すると万丈の呼ぶ声で、現実に引き戻された。

そうだ、殿町の事だけじゃない。士道が解決すべき問題は山積みだった。

 

 

士道を狙う美九。

 

それに支配された四糸乃、耶倶矢。

 

天宮市を埋める人の群れ。

 

未だに連絡の取れないラタトスク。

 

士道達を逃がすために囮になった戦兎の安否。

 

そして、攫われた十香。

 

 

先の戦闘で傷を負った士道達には、あらゆる物が不足していた。

 

 

時間が足りない。

 

設備が足りない。

 

準備が足りない。

 

 

何よりも______士道に、力が足りない。

 

クラウンを、マイティを乗り越えて、十香を助け出せるほどの力が______

 

「俺は……」

 

奥歯を噛み締める。

 

「俺は______ッ!」

 

そして、士道が全身に蟠る無力感を声にして零した瞬間。

 

 

_______くす、くす、と。

 

 

誰かが、笑った。

 

「ひっ………お、おい、なんだ今の笑い声」

 

「だ、誰か脅かしてんのか……!?」

 

その気味の悪い声がお化けのそれにでも聞こえたのだろうか、若干怯えた様子で一海と万丈が呟く。

だが、その声の主はすぐに判明した。

 

暗い部屋の中に充満した影が蠢動したかと思うと、そこから、一人の少女が這い出てきたのである。

 

血のような紅と黒で構成されたドレスに、左右不均等に結われた黒髪。そして、左目に浮かんだ金の時計。

 

そして、作り物にしか見えない端整な貌は、愉悦とも嘲笑とも取れる生々しい笑みに彩られていた。

 

「テメェは…………っ!」

 

忘れるべくもないその顔を目にして、万丈は警戒心に彩られた声を発した。

 

「うふふ、随分と暗い顔をしていらっしゃいますのね」

 

「狂三………ッ!?」

 

 

________時崎狂三。

 

かつて士道たちの眼の前に現れた、『最悪の精霊』に他ならなかった。

 

 

 

 

「_____ご苦労だったね、エレンクン」

 

「………その気のない労いは結構です。プロフェッサー・シンギ」

 

エレン・メイザースは、横にいた男_____神大針魏の労いの言葉に、この上なく不機嫌な口調で返した。

その言葉を聞くと、神大は肩を竦めて言った。

 

「やれやれ、相当頭に来てるみたいだね。でも実際、君は良くやってくれたよ。______まさか本当に、仮面ライダービルドを捕獲して来てくれるなんてね」

 

そう言った神大の目の前には______頑丈な椅子に縛り付けられ、ぐったりとした様子の、桐生戦兎の姿があった。ついでに言うと彼らがいる部屋は様々な機械が置かれている、何かの研究室であった。

 

「本当に……?この私を、最初から疑っていたという事ですか?」

 

神大の言葉に更に機嫌を悪くしたのか、ジトッとした視線を向けてくる。

 

「別に君の腕を疑ったわけじゃあないさ。ただ、警告しておいたとは言え、()()まで持ち出されては流石の君でも勝敗が見当付かなかったからね」

 

「驚いたのは事実です。………が、所詮は少し強くなった程度でしたね。6カウントで倒れましたよ」

 

神大の言葉にエレンが返し、チラと側にあったモニターを見た。

 

そこには_______全身が真っ黒な装甲に包まれたビルドと、マイティが戦っている様子が映し出されていた。

 

「流石に自我を失うより前に、身体の限界が近かったか。まあ、まだ自我が残ってる状態だったら、君なら対処可能だったろうね」

 

「……何だか不愉快ですね。どんな状態であっても、私が負けるなどあり得ません」

 

「科学者にとって、()()()()()()()()()()()()()()()んだよ。君には理解できないかもしれないがね」

 

神大のその言葉に、エレンが更に不機嫌な様子になる。

それを見て肩をすくめると、神大は手元の台からある物を取り出した。

 

それは、ビルドから抜き取った赤い引き金______ハザードトリガーだった。

 

「っ…………!?」

 

そしてそのトリガーを目にした時______ほんの少し、神大は頭に、掠めるような痛みを覚えた。

それはかつて、仮面ライダーグリスと戦った時に味わった、痛みとよく似ていた。

 

 

「またか…………何なんだ、一体。不愉快な」

 

 

その痛みはすぐに消えたものの______神大は、そこに言い知れない不快感を覚えた。

 

 

 

 

「お困りの様子ではありませんの。____ねぇ、士道さん。少し、お話をしませんこと?」

 

「時崎、狂三………っ!?」

 

影から這い出た少女____時崎狂三は、妖しく笑いながらそう言った。

士道は驚愕と狼狽に目を見開きながら、喉を絞ってその名を呼んだ。

 

狂三はその士道の言葉に、ぴくりと眉を揺らしてから肩をすくめてきた。

 

「あら、違いましたか。____四糸乃さんと耶倶矢さんを精霊に奪われ、ご学友に裏切られ、戦兎さんは行方知れずになり、挙句に十香さんをDEM社に拐かされ……為す術もなく途方に暮れているように見えたのですけれど」

 

「な_____」

 

狂三の言葉に、士道は息を詰まらせた。

彼女の言ったことは、確かに、全て正しい。だが、いや、だからこそ意味が分からない。

 

「てめぇ……なんでそんな事知ってやがる………っ」

 

「あらあら、そんなに怖い顔をしないでくださいまし、龍我さん」

 

警戒心を剥き出しにした万丈の言葉に、狂三が可愛らしい仕草で微笑む。何故だろうか、それと同時に、狂三の足元に蟠った影が微かに蠢き、小さな笑い声がいくつも聞こえた気がした。

 

とここで、先まで黙っていた一海が口を開いた。

 

「おい、勝手に話を進めんなよ。誰だこの嬢さん」

 

そう言えば、一海は狂三の事を知らなかった。

士道が説明をする。

 

「時崎狂三。………【ナイトメア(悪夢)】って呼ばれてる、精霊だ。前に俺たちと戦ったことがある」

 

「何?………て事は、敵なのか?」

 

一海もその説明に警戒心を強める。だが狂三はそんな一海達の様子を見て、愉快そうに唇を歪めた。

 

「ふふ、落ち着いてくださいまし。_____少なくとも今わたくしに、あなた方をどうこうしようというつもりはございませんわ」

 

「何………?」

 

「そんなの、信じられるわけねえだろうが!!」

 

狂三の言葉に士道は眉根を寄せ、万丈は怒号を発した。

狂三の目的は、『士道を()()』事が目的だ。現に以前来禅高校で戦った際、彼女は十香を連れ去った張本人____マッドクラウンとつるんでいたではないか。

 

「ああ。____そんな言葉を、信じろっていうのか?だいだいお前は、前に殿ま____クラウンと一緒に俺たちを襲ったじゃないか」

 

「アレはあの時偶々利害関係が一致しただけの、一時的な協力ですわ。それに、わたくしが今この場で嘘を吐く理由がございまして?」

 

「む………」

 

言われて、士道は唇を引き結んだ。

確かにその通りである。狂三がその気になれば、士道達を殺すも喰らうも思い通りなのだ。変身したとて、数の暴力で押しつぶされて終わりだろう。

生殺与奪の権を握った相手に、わざわざ虚言を吐く必要は無い。もっとも彼女の場合は、安堵に緩んだ表情が再び恐怖に引き攣るのを見たいから、なんて理由でこちらを謀ろうとしている可能性が無きにしも非ずだが。

 

「………一体、何を話そうってんだよ」

 

「ええ。ですが、その前に_____夕弦さんもこちらに呼んでいただけませんこと?」

 

「夕弦も……?………分かった」

 

「お、おい、良いのかよ士道!」

 

「龍我、今はあの女に従うのが懸命だと思うぜ。話聞く限りじゃ、命握られてんのはこっちだ」

 

流石に踏んだ場数が違うのか、一海が鋭い視線で狂三を見据え、万丈を制する。

その様子を見て、狂三がくつくつと笑う。

 

「うふふ、そちらの方____確か、猿渡一海さん、でしたか。貴方は物分りが良いようですわね」

 

「………俺の名前まで知ってやがんのか」

 

狂三の揶揄う様な言葉に不快感を募らせたように、一海が舌打ち混じりに呟く。

だが、ひとまずは狂三と話さない事には始まらない。士道は一旦その場を離れると、ビルの屋上から周囲を見回していた夕弦をこちらへ戻してきた。

 

「不信。士道、大丈夫なのですか?彼女は」

 

「ああ。_____今のところはな」

 

「あらあら、そんなに警戒されるなんて。悲しいですわ、悲しいですわ」

 

と、わざとらしい口調で言いつつ、狂三はトントンとリズミカルに靴底で床を叩き、士道たちの方に近寄ってくる。

 

「本題に入りましょう。______十香さん達を、助けたくはありませんこと?」

 

「何………?」

 

狂三の言葉に、士道は思わず怪訝そうな声を発した。

そして夕弦は、狂三の言葉に含まれた言い方に、違和感を覚えた。

 

「怪訝。十香…………()?」

 

そう。少なくとも士道達がハッキリと連れ去られたのを目撃したのは、十香だけ。もし十香のみ助けることを指しているのなら、その言い方は不自然である。

もし助ける対象が、十香のみでないのなら、つまり_______

 

「どういう、ことだ……」

 

「そのままの意味ですわ。DEMに連れ去られた十香さんと______()()()()を、この手で救い出す、という事ですわ」

 

「ッ……!」

 

「…………そん、な………」

 

薄々、分かってはいた。

いくら戦兎であっても、あの状況下で無事に逃げられる訳がないと。そもそも無事であったなら、連絡の一つくらいは寄越すだろうと。

しかし、改めて口に出されたその事実に、自身の無力さを強く実感する。

 

「それで、どうします?士道さん達は、十香さんと戦兎さんをDEMインダストリーの手から救い出したくはありませんの?」

 

「そ、そんなの当然じゃないか!相手は精霊を殺そうとしてる組織だ。そんな奴らの元に、十香を置いておけるわけがない!戦兎だって……どんな酷い目に遭うか………!」

 

「ああ。士道の言う通りだ。でもよ……なんでお前がそんな事を訊くんだ?」

 

万丈がそう言い、狂三を鋭く見据える。

その言葉に、狂三は微笑みと共に返答した。

 

「うふふ、わかりませんこと?______わたくしが、あなた方に力を貸す、という事ですわ」

 

「な………!?」

 

「んだと!?」

 

狂三が発したその信じ難い言葉に、士道達は目を見開いた。

 

 

 

「んっ………ここ、は…………」

 

ぼんやりとした意識が、徐々に鮮明になってくる。

そして身体を動かそうとすると、何かに拘束されたように動かなかった。

不審に思い視線を下ろすと、自身は今金属製の椅子に座らされ、実際に手足を拘束されていることが分かった。

「ッ、そうだ、俺は………ッ!」

 

士道たちを逃がすために、囮になって_______

 

 

「______おお、目を覚ましましたか」

 

 

と、そんな戦兎の耳に、聴き慣れぬ声が響いた。

 

「ッ、誰だッ!」

 

「そう警戒しないで下さいよ。別に私自身はあなたをどうこうするつもりはありません」

 

物腰丁寧な口調のその声は、どうやら戦兎の前方から聞こえているらしかった。

よくよく見ると、戦兎が拘束されたこの薄暗い部屋は、何かの研究室のようだった。至る所に試験管や、培養液に浸された動植物など如何にもな内装が、科学者の戦兎から見ても薄気味悪く感じた。

 

そして声の主と思しき足音が、こちらに近づいてくる。

 

色素の抜け落ちた白髪に、病的なまでの白い肌。そしてラフそうなYシャツの上に、申し訳程度の白衣を羽織っている。

 

「お前は………」

 

「どうも。初めまして………ですかね?今の君に対しては」

 

と、妙に曖昧な返答で、その男は眼前に設えられた椅子に座った。

 

 

「_____私は機島械刃(きじまかいば)ここ(DEM)で科学者をやっています。____主に、()()()()()の研究と開発の担当ですね」

 

 

そう自己紹介をすると、男______機島は、怪しげな笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 




どうでしたか?
今回ちょっと遅れた上に短めですいません。狂三と士道達の会話シーンで万丈たちを介入させるのに手こずりました……。

デアラ原作がついに完結…………橘先生、お疲れ様でした!そしてありがとうございました!!
いやぁもう、読んでから満足感が凄かったですよ!あれを見るために今まで追いかけてきたと言っても過言ではないくらいの感動がありました。
まだ22巻買ってない人は、是非買って読んでみて下さい!

そして今回、新キャラが登場しました。
第二の科学者オリキャラ、機島械刃です。
彼について今は多くは書けませんが、取り敢えず彼もまた、色々と展開をかき乱してくれます。楽しみにしててください(ゲス顔)

それでは次回、『第66話 救出へのピース』をお楽しみに!

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