龍我「いよいよ戦兎達を救出に行くのか!よし、腕が鳴るぜ!」
夕弦「奮起。早く助けに行きましょう!」
一海「みんなやる気だな。ま、俺もだけどよ」
龍我「にしても戦兎のやつ、今頃どうなってんのやら……」
一海「案外あいつのことだから、割とピンピンしてるかもな」
龍我「ああ、確かに!」
士道「みんな信頼してんだなぁ……ん、どうした夕弦」
夕弦「否定。みんな、希望的観測が一番危険です。きっと今頃はDEMの手によって………!」
↓以下、夕弦の妄想
『くっ……殺すんなら殺せ!』
『ふっ、そうはいかんなぁ。楽にはせん。たっぷりと楽しませてもらう……!』
『な、何をし……う、うわぁぁぁぁぁあっ!!』
夕弦「………焦燥……!戦兎が危険です!早く行かねば!」
一海「お前今何想像してた」
士道「まあ、夕弦の言い分もわかるし、第69話行くか。どうぞ!」
月とまばらな星の下、士道達は目の前に聳え立つビル群を睨め付けていた。
「ここに、十香と戦兎が………」
「如何にも、って感じだな」
士道達がいるのは、天宮市東方に位置するオフィス街の一角だった。時間が時間なだけに人通りの少ない道と、まばらに明かりがついた高層ビルによって、奇妙な雰囲気を放っていた。
「ここから先一帯は、DEMの関連施設ばかりですの。見えるビル群は、全て系列会社の社屋や事務所、研究施設などですわ。そして………」
狂三がそこで一度切り、中央に見える一際大きい建物を見据える。
「あの中央に見える大きな建物が、第一社屋ですわ。そのどこにいるかまでは、残念ながら探れませんでしたけれど」
「あそこに、十香達が………」
「戦兎……!」
士道と万丈が呟くと、狂三が四人に向かい、口を開いた。
「手筈を確認しますわよ。まずはわたくしと士道さん達が第一社屋に向かいます。そして、目的のビルに到着次第、敷地内に『わたくしたち』を呼び、他の施設を襲撃いたします」
「騒ぎに乗じて、敵の懐に入り込むって訳か。そして、敵の戦力も分散させて……」
「戦兎達の警備を手薄にする、か。なるほど、分かりやすくていいぜ」
万丈が不敵な笑みを浮かべて、拳と掌を打ち付ける。
狂三の作戦は単純ではあるが、効果的な手段だ。何より、敷地内に突然何千という軍勢を出現させることのできる狂三でなければ、実現不可能な作戦である。
「しっかしまあ、こんなトンデモな物量作戦を実行できるって、ほんと精霊ってのはインチキ染みてんな」
「うふふ、褒め言葉と受け取っておきますわ。それでは_____」
と、狂三が続けとようとし______言葉を止めた。
否、正確に言うならば、もっと大きな音に、声がかき消された。
__________ウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ____________
「動揺。これは………!」
「空間震警報……っ!?」
士道が顔をしかめながら叫ぶ。
そう。精霊が出現する前兆、空間震の発生を感知して発される広域警報だ。
「どういう事だ!また精霊が来んのかよ、このタイミングで!」
一海が冗談じゃない、とばかりに叫ぶ。
信じられないタイミングだ。ビル内にいた人々などが、一斉にシェルターへの避難を始める。
「いえ、そういう訳では無さそうですわね。少なくとも、空間震が発生する際の空間の揺らぎは全く感じませんわ」
だが。狂三が小さく目を細めながら言った。
「ど、どういう事だ?」
「恐らく、これはDEM側が鳴らしたもの。となれば_______」
「ッ、危ねえッ!」
と、そこで狂三が士道と夕弦の襟首を、一海が万丈の襟首を掴み、そのまま左右に飛び退いた。
そして瞬間_____先程まで士道達が立っていた場所に光の奔流が突き刺さり、爆発を起こして大穴が開いたのである。
「うっそぉーん…………」
万丈が信じられないとばかりに呟く。
「_____目撃者を減らして、大暴れするつもりかもしれませんわね」
「おいお前ら!あれ見ろ!」
言いながら狂三と一海が、空を仰ぐように顔を上げる。
それを追うように視線を上げ____三人の表情が強張った。
空には、月と高層ビルをバックにして、全身にCR-ユニットを纏った銀色の人形の軍団が、浮遊していたのである。
「【バンダースナッチ】……!?」
士道が言うと同時、バンダースナッチが手にしたレーザーカノンの銃口を一斉に士道達に向け、躊躇いなく引き金を引いてきた。
慌てて五人は回避行動を取り、放たれた魔力光から逃げる。
「【
と、限定礼装を顕現させた夕弦が、左手に握ったペンデュラムを振るい、次々と突風を巻き起こす。
すると、空を舞っていたバンダースナッチはバランスを崩し、ウイングや手足を分解させて、鉄塊となって地面を落ちていく。
「おお……ありがとう、夕弦!」
「………いえ、まだですわ。後続隊が来ますわよ」
狂三が油断なく敷地の奥の方を睨みながら声を発する。
すると前方の建物の入り口のみならず、可変したビルの壁面などから、先ほどとは比べ物にならない数のバンダースナッチや、デウストルーパー隊、通常の
「な……!?」
「うっそだろ………っ!」
「ふざけろ………っ!」
士道、万丈、一海が狼狽に染まった声を上げる。予想はしていたが、まさかこれほどとは。
「『わたくしたち』!」
反応するように狂三が叫ぶと、いつの間にか真っ黒に色付いていた地面から、狂三の分身体が何人も這い出てきた。迫り来る敵を迎え撃つように、影から二丁の銃を抜き、陣形を組んでいく。
「よし、こうなったら俺も………!」
この状況を見て、黙って見ているわけにはいかない。士道達も加勢すべく、それぞれベルトを取り出し、腰にあてがう。
「ガルーダ!」
『キュルッキュイッ!』
士道の手元にガルーダが収まり、ボトルを挿してベルトへセットする。
アライブへ変身。万丈と一海も同じように、クローズチャージとグリスへ変身した。
そして空中戦へ加勢しようと、ウイングを展開しようとしたその時、狂三が手で制した。
「待ってくださいまし。人形や兵隊、
「わ、分かった!」
狂三の考えにアライブは頷き、改めてウイングを展開する。
クローズチャージもクローズフォンにフルボトルを装填し、マシンクローザーへと変形させる。
「ほらかずみん!お前も乗れ!」
「あぁ?おう」
そしてシートに跨ると、グリスに後ろに乗るよう促す。
グリスが乗り込んだのを確認すると、クローズがハンドルを握り込んだ。
「夕弦!」
「応答。はい!」
夕弦も頃合いを見て、空中から離脱。アライブ達の元へと合流した。
「さあ______振り切りますわよ。【
狂三が影から短銃を引き抜き、撃つ。
そして同時に、アライブと夕弦が一直線に飛び、クローズとグリスを載せたマシンクローザーが、フルスロットルで前方へと駆けた。
ミサイルやレーザーが飛び交う戦場の只中を、三つの飛影と一つのマシンが駆け抜ける。
弾薬を躱し、爆風を抜け、とにかく前へ、前へと飛んでいく。クローズとグリスが乗ったバイクも器用に爆風を避け、爆心地を駆け抜けていく。
やがて爆心地を抜けると、狂三が足を踏みしめて進行を停止。アライブ達もそこで停止し、一度変身を解除した。流石に先程の全速力飛行でエネルギーを消耗してしまった。危険ではあるが、一度変身を解除して、生身の状態に戻る。
「大丈夫ですの、士道さん」
「ああ、なんとかな。……時間が惜しい。行こう、みんな」
士道が皆へ問うと、揃って頷いた。
「ええ。第一社屋はこちらで_____」
と、狂三が進行方向へ向かおうとしたその時。狂三の身体が一瞬黒く染まり、その場から消滅した。
「な_____っ!?」
一瞬の出来事に、思わず呆然となる。
と、そこで一海が、狂三の後方へ向かい____
「______おい、誰だお前」
鋭い視線を向けて言った。
士道がその方向に顔を向けると、そこには、銀のアーマーに包まれた足が見えたのである。
「____何だよ、あれ………」
万丈が、呆然と呟くように言う。
鋭角的なフォルムに、狼を模したマスク。そして右手には、巨大な
そして腰に装備された、今まで見たことのない、しかし、どこか見覚えのあるシルエットのベルト。そう、それは______
「動揺。___仮面、ライダー…………?」
夕弦が言う。
そう。それは正に______士道達にとって、新たなる仮面ライダーに他ならなかった。
そのライダーは右手に構えた武器を降ろし、ベルトに手を掛けた。
「やれやれ_____ようやく見つけましたよ」
しかし、そのライダーが発したと思しき高い声を聞いて、士道と万丈はぴくりと眉を動かした。
そして変身が解除され、アーマーが粒子となって消えると、さらに視線を上____顔の方へと向けた。
「あん……?……女……しかも、小せえ」
「同意。しかも、どこか士道に似ている気がします」
一つに括られた髪に、気の強そうな双眸。そして、左目の下の泣き黒子。どこか士道に似た顔立ちの少女である。
「おい士道、あれって………」
「ああ……真那、か……?」
その顔を見て、士道と万丈は目を丸くした。
そう。それは、士道の実妹を自称する少女_____崇宮真那だったのである。
そして士道と目を合わせた瞬間、キリッとしていた顔をぐにゃっと歪め、その場に膝を突いて士道に抱き着いてきた。
「兄様ーッ!」
「わ、わっ!?」
士道は、突然の真那の抱擁に驚き。
「なっ…………に、兄様ァッ!?」
「驚愕。なまらびっくりです………!」
一海と夕弦は、真那が放った『兄様』という単語に驚いた。夕弦の方は何故か北海道訛りになっていた。
士道は一瞬面食らったものの、すぐに落ち着きを取り戻し、その肩を押さえて身体を引き剥がす。
「ま、真那……真那だよな!?怪我は大丈夫なのか!?」
「はいです!真那は全力全快に回復でいやがります!」
真那が力こぶを見せるように腕を曲げる。今の状況に見合わぬあまりに明るい声に、全員揃って調子を崩されてしまった。
「ま、真那。お前、まだDEMにいるのか?それで、俺たちを倒しに………」
「ああ、それならご安心を。私、DEM辞めまして」
「へっ?でも、それならそのベルトは……」
「ああ、これはビルド………戦兎さんからの借り物で、今は【ラタトスク】に世話になっていやがってます」
「っ、戦兎の!?それに、ラタトスクって………ええっ!?」
突如出てきた戦兎の名前に、士道が驚愕する。士道だけではない、万丈たち三人もだ。
しかもラタトスクに世話になっているという情報に、頭が混乱する。AST、ひいてはDEMとラタトスクは水と油、決して交わることの無い価値観の組織だ。
だが、そこで士道に、一つの可能性が思い当たった。もし、
「真那。お前、まさか______」
士道がその可能性を口にしようとした、その時。
「______きひひ、相変わらず手荒な歓迎をして下さいますわね」
「っ、ナイトメア!」
ビルの壁に広がった黒い影から、歪んだ笑みを浮かべた狂三が顔を覗かせた。そしてその姿を確認するや、真那が警戒した様子で睨みつける。
「まさか、あのくらいでわたくしが殺れると思いまして?」
「これは残念ですね。もう少しでその不快極まる薄ら笑いを消してやれたのに」
「愉快な事を仰いますのね。わたくしの気まぐれと偶然で命を拾われたあなたが。恐怖で記憶を失ってしまいまして?」
「お、落ち着け二人とも!」
突如始まった応酬に、士道が間に入って宥める。
するとその様子を見ていた万丈を、一海と夕弦が肘で小突いた。
「おい、いい加減に説明しろよ龍我。なんだあのガキっ娘。変身してたし、士道の事を兄様〜、って呼んでるし。ギャルゲーのヒロインかよ」
「同調。しかも、時崎狂三と何やら剣呑な雰囲気でした」
「ああ、あいつは真那って言って、どうも士道の妹らしい」
「ハァ?あいつの妹は五河琴里だろ。まさか、生き別れの兄妹、なんて使い古された設定言うんじゃねえよな?」
「あながち間違ってねえかもな。琴里は義理の妹だろ?で、あいつは実の妹名乗ってて、どうやらあの女を狙ってるらしい」
「疑問。それなら何故士道の妹を名乗る人物が、時崎狂三の命を狙っているのですか?」
「いやだからそれは_____」
「ナイトメアと協力!?どういう事でいやがりますか兄様!」
と、三人の会話を遮るように、真那の声が響いた。
ふと視線を戻すと、既に狂三の姿は無く、真那に言い詰められる士道の姿があった。
「いや、これには深い訳があってだな……」
「どんな訳ですか!ふんっ。どっちにしろ、これで良かったんですよ。あの悪魔と協力なんて、代償に何を要求されるか分かったもんじゃねえです」
「真那、お前な……」
「あぁ、そんなことより!兄様、これを」
そこで真那が何かを思い出したようにポンと手を叩くと、腰のポーチから、小さな電子機械を差し出してきた。見ると、それは普段士道が通信に使用しているインカムだった。
真那からそれを受け取り、右耳に装着する。
「ああ!そこにいる皆さんも」
「えっ?お、おう」
万丈達もインカムを受け取り、装着する。するとしばらくしてから、ばつの悪そうな声が聞こえてきた。
『………みんな、聴こえる?』
「琴里!?正気に戻ったのか!」
「おお、琴里!」
『キュルッ!』
名を聞かずとも声で分かる。琴里だ。
琴里もまた美九の演奏を聴いてしまい、四糸乃や耶倶矢たちと同じように美九の信者となってしまっていたはずだった。
『ええ、何とかね。……その、悪かったわよ。死ねとか、なんとか、言ってたみたいだけど……本心じゃないから』
言われて、士道は「ああ」と小さく頷いた。そういえば美九に洗脳されてた時、そんなことを言っていたような気もする。
「分かってるよ、そんな事。それより、どうやって美九の洗脳を?」
士道が問うと、それに答えるように今度は令音の声が聞こえてきた。
『……一度気絶させた後で、真那に
「なるほど。………って、そうだ」
一度話を切ろうとして、思い至る。士道は先程言いかけた話を、令音に問うた。
「令音さん。………どうして真那が、別のライダーに変身しているんですか。真那に、
「っ………」
士道がそれを言うと、真那が身体を強張らせる。それを見て士道は一瞬心が痛むが、それでも士道は確認したかったのだ。
______真那の身体は、DEMによって改造手術が施されている。
ハザードレベルの上限引き上げや、CR-ユニット使用に伴う魔術的措置。それにより、真那の体は五年ほどしか生きられない身体になってしまっているのだ。
その事は琴里や令音も知っているはずである。それを知った上で戦わせたなら、それは______
『……ああ、話したよ。彼女が自分の身体の事を知らないのは、あまりに残酷過ぎる』
「それは……分かります。でも、それならなんでまた____」
「待て」
と、そこで一海が話に入る。
「俺たちにも聞かせろ。話が追いつかねえ」
『……いいだろう。君たちも知っておくべきだ。時間も無いから、手短に話すが_____』
そこで令音は一海、そして夕弦に真那の事について話をした。
それを聞いた一海はしばらく押し黙り_______
「………ふざけんじゃねぇッ!」
ビルの壁に、思い切り拳を打ち付けた。ハザードレベルによってか、壁にヒビが入る。
一海の脳裏に浮かんだのは、かつての仲間______自らをカシラと慕っていた、三羽ガラス。
彼らもまた、自らの命を危険に晒すような実験を受け_____結果として、命を散らせた。
だが、彼らはあくまでも一海の為を思い、自らの意思で実験を受けたのだ。
しかし、話では真那は違う。望まぬ改造を受け、その事実を知ってすらいなかったのだ。
人を実験台としか思っていない、DEMのその所業に_____流石の一海も、怒りを堪える事は出来なかった。
夕弦も同じく、信じられないとばかりに口元を押さえ、蒼白な表情になっている。
と、そこで壁に背を預けていた万丈が口を開いた。
「でも……だったらなんで、あいつはまた変身してんだよ」
『……やむを得ない事情があったんだ。それに、そのベルトについてなら心配しなくていい』
「……どういう事ですか?」
『……それはリバースドライバーのデータを解析し、セイが開発したベルトだ。変身や戦闘に伴う副作用は無い。その上、彼女に蓄積された余剰なネビュラガスも少しずつ除去する効果もある。少なくとも、戦闘によって彼女が死んだり、寿命を減らされるリスクは無いだろう』
「……っ!」
令音から告げられたその言葉に、士道は安堵した。
いや、まだ安心し切れる訳では無いが、少なくともあのベルトは、使っても問題ないという事だ。無論、戦闘をさせないというのが一番だが、今の状況ではそうも言ってられない。
「戦兎………あいつ………っ!」
万丈が笑みを浮かべる。
戦兎が残した思わぬ置き土産に、士道達の決意は固くなる。だからこそ、絶対に助けださねばならない、と。
『……で、ここからが本題だけど』
すると、琴里が話を切り出した。一度咳払いをし、続ける。
『士道、あなたどうしてそんなところにいるの?しかも狂三と一緒になんて。それに、どうして戦兎がいないのよ』
「ああ、それは……」
士道は手短に、琴里が美九に操られてから起こった事を説明した。マッドクラウンの正体が殿町宏人であったこと。そのクラウンとエレンに、十香と戦兎が攫われてしまったこと。狂三がその救出に協力してくれたこと。そして_____二人がこの施設内に囚われているらしいことを。
それを聞いた琴里はしばらく押し黙ると、重苦しい声で告げてきた。
『……駄目。危険よ。認められないわ』
その意外な答えに、盛大に眉根を寄せる。
「っ、何言ってるんだよ!DEMがどんな組織か、分かってる筈だろ!そんな組織に十香と戦兎が攫われて、一体何をされるか分かんないんだぞ!」
『言われなくても分かってるわよ!』
「だったら何で!」
『そんな危険な組織に乗り込もうとしている兄を止めちゃいけないっていうの!?少しは自覚してよ!あなたの命の勘定には、いつも自分が入ってないのよ!』
「だからって、十香と戦兎を放っておけってのかよ!」
『そうは言ってないでしょ!でも、それはもっと準備をしてから_____』
「そんな眠たいこと言ってられるかよ!それに、今は何人もの狂三が足止めしてくれてる!もうこれを逃したら次は無い!それに……!」
そこで一度言葉を切り、万丈たちの方を向いた。
「____今の俺は、
『ッ………!』
そう。今は万丈、一海、夕弦、真那。そして狂三という仲間がいる。
信頼できる____仲間たちが。
「頼む、琴里!俺は……俺達は、絶対に十香と戦兎を助け出して見せる!狂三が作ったチャンスを、無駄にするわけにいかない!だから………!」
『……ああっ、もうっ!ライダーってのは、どうしてこうも分からず屋ばっかなのよ!』
インカム越しに、琴里が苛立たしげにガンッ!と椅子の手すりを叩く音が聞こえた。
そして、呆れと諦めを盛大に含んだ声が聞こえてくる。
『どうせ、言ったって聞きゃしないんでしょ……』
「良く分かってるじゃないか」
『伊達に十年も妹やってないわよ』
溜息を吐くと、琴里が言葉を続けてくる。
『恐らく、社屋内は
そこで琴里が一度言葉を切る。何故だろうか、士道の脳裏には、いつも通りの強気な笑みを浮かべる妹の姿が見えた。
『フラクシナスから、士道にプレゼントよ』
「へっ?」
突然、そんな事を言われたかと思うと_____
突如、インカムからそんな電子音が聞こえ、瞬間。
「う、うわっ!」
士道の眼前に粒子が広がり、やがてそれは一つの形を創った。
銀の差し色が走る真っ赤なボディに、鳥類を模したような鋭角なフロントカウル。中央にはフラクシナスでも見かけたラタトスクのエンブレムが描かれ、全体的にどこかスマートな印象を受ける。さらにグリップ部には様々なボタンが配置され、中央部にはモニターの様なものも配置されていた。そして後部には、ヘルメットも配置されている。
間違いない、バイクだ。それも、普通のバイクでは無い。
「こ、これは………」
『戦兎が使っていたバイクを基に、私たちラタトスクの技術部が開発した、士道もとい、仮面ライダーアライブの専用マシン。その名も、【アライブチェイサー】よ!』
「アライブ、チェイサー……」
「おお!カッケェじゃねえか!」
琴里が告げたその名を呆然と呟きながら、その車体に触れる。まさに新品同然といった様相で、車体も輝いて見えた。
万丈が賞賛し、一海達も感心した様子で「おぉ〜」「感嘆。かっこいいです」と賛辞を述べてくる。
『仮面
「いや……十分すぎる。悪いな、琴里」
『本当よ。聞き分けのない兄を持った妹同士、苦労が絶えないわね、真那』
琴里が言うと、真那はあははと肩を竦めた。
「ええ。とはいえ、ここで尻尾巻くような軟弱者、真那の兄様とは認めねーですけども」
真那の反応に、琴里が幾度とも知れぬため息を吐いた。
『……いいわね。やるからには中途半端は許さないわよ。十香と戦兎を助け出し、士道も、万丈も、一海も、夕弦も、真那も全員無事。それ以外は成功とは認めないわ』
皆それに答えるように、力強く頷いた。
すると琴里が、士道以外に向けて言葉を続ける。
『みんな、士道を____うちのバカ兄を、よろしく頼んだわよ。それと、絶対に二人を助け出すのよ』
「ああ………絶対に、戦兎と十香は助け出す!」
「あそこで高みの見物決め込んでる奴らに、一つ教えてやるさ。俺たち仮面ライダーの流儀ってやつをな」
「同意。勿論です。戦兎達は絶対に助け出します」
「任されやがりました。私も、戦兎さんには言わなきゃならねー事が出来ましたから………。それに、兄様は絶対に守ります!」
『キュルッキュイーッ!』
皆の言葉に、思わず苦笑する。………本当に、頼もしい仲間達だ。
早速琴里達から送られた専用マシン、アライブチェイサーに乗り込み、ヘルメットを被る。
すると琴里が、気を引き締めるように言い紡いだ。
『さあ____私達の』
「ああ____俺たちの」
ヘルメットのバイザーを下げながら、応ずるように続ける。
同時にそう言い、士道はバイクのハンドルを握り込んで、第一社屋へと顔を向けた。
どうでしたか?
いよいよ士道達の逆転劇が始まります!
そしてついに出せました士道の専用マシン!その名もアライブチェイサー!
本当のこと言うと、もっと早くに出しとくべきだったも軽く後悔。ま、まあ色々ドタバタしてたから、開発が遅れたってことで。あと士道がバイク動かせるのかについてですが、夏休みの間に念の為、という事で免許を取得した、という設定です。その後に琴里達ラタトスクがチェイサーを開発しました。
この回のシーン原作でもすこなポイントで、書いてる時楽しかったです。
そしてすいません、次回のタイトルですが、まだ未定です……。
次回更新まで楽しみにしててください!すいません!
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