万丈「これでお前も晴れて仮面
琴里「そう言う貴方だって、つい最近まで自分のマシン持ってなかったじゃない」
万丈「今持ってるから問題ねーし!」
一海「そーだぜ。俺だって自分のマシン持ってねーんだからな!」
万丈「かずみん、もしかして結構気にしてんのか?」
一海「べ、別に!強化フォーム来たのが本編終盤でその上すぐ死んだとか、ライダーのくせにマシン無いとか、そんなの全然、気にしてねーんだからな!」
琴里「思いっきり気にしてるじゃない。ていうか、本編って何?」
士道「まー、その辺は置いといて。取り敢えず、俺のカッコいいバイクアクションが見れる______」
琴里「士道の下手くそなバイクシーンを見てしまう、第70話をどうぞー」
士道「おい琴里!何だよそれ!」
万丈「あっ、それと今回で70話目だ!みんな、応援ありがとな!」
「おやおや、もうお出ましかい?思ったより早かったねぇ」
薄暗い研究室で、眼前のモニターに広がる映像を見て、男____神大針魏はほくそ笑んだ。
そこに映っていたのは、無数の精霊_____時崎狂三の分身体と交戦するバンダースナッチ、デウストルーパー隊、
そして、その隙を突いてDEM第一社屋へと向かう、士道ら五人の姿。中でも士道は神大が見たことの無い、赤いオートバイに乗り込んでいた。
「あんなバイクまでいつの間に。しかも……あれは、真那クンかな?」
更に特筆すべきは、そのメンバーの中に見慣れぬCR-ユニットを装備した、崇宮真那の姿もあった事だろう。どうやらジェシカ・ベイリーの報告通り、本当にDEMを裏切ったようだ。
と、そこに。
「おっ、もうあいつら来たのか!」
やけに陽気な誰かの声が、研究室に響き渡った。
神大はその人物を声で確認すると、モニターから視線を外さないままで言った。
「せめて部屋に入るときはノックをしてくれ。クラウン_____いや、
「そいつは悪かったな。でも別にいいだろ?思春期の男子高校生じゃあるまいし」
「その姿の君がそれを言うのかい?」
そこでようやく神大がモニターから視線を外し、その人物_____マッドクラウンこと、殿町宏人の方を見る。
来禅高校の制服を着て、逆立った髪をくしゃくしゃと掻く姿は、誰がどう見ても普通のそこいらにいる、今彼が言った思春期の男子高校生に見える。
誰が想像できるだろう。そこにいる彼が_______今モニターに映る、五河士道達を苦しめた怨敵の正体であるとは。
「それで、どうするんだよ。いきなり
そう言って殿町が指差したのは、椅子に座った一人の男だった。
顔を伏せられ、手足は拘束されている。ボロボロの黒い外套を着込んでおり、指一本たりとも動く気配がなかった。
「いや、アレは後々使うよ。今すぐに使ったら、面白くないだろう?それに………」
そこで一度切った神大は、キーボードを操作してモニターの映像を切り替える。
そこには、薄暗い空間に佇む、巨大な影が映されていた。その中心には、何やら人影のような物が映っているように見える。
「……小手調べには丁度いいのがいるからね。それを超えられてからが本当のお楽しみだ」
そう言う神大の言葉は、この社内に侵入される事を望んでいるとも取れる_____否、そうとしか聞こえない言葉だった。
モニターの映像を再び外のものに切り替え、机に置かれた濃色の銃、リバースチームガンを手に取る。まるで新しい玩具を与えられた子供のような顔で、スチームガンとモニターを交互に見つめた。
「私はもうしばらくこの戦いを見ていることにするよ。君も準備してくれ」
「ああ、そうさせてもらうさ」
そう言うと殿町はヒラヒラと手を振り、研究室を後にした。
その時通りすがった椅子に座らされた男に向けて、怪しげな微笑みを向けながら。
◆
________ブォォォォォォォォオオオオオ_______!!!
終わらない爆撃の雨の中を、風を切り裂くマシンが爆音と共に駆け抜ける。
何度かミサイルが直撃しそうになるも、マシンの周囲に張られた
すると、すぐ前方で爆発が起こり、視界が爆風と炎で真っ赤に染まる。
しかし士道はマシン_____アライブチェイサーを駆り、その爆風を飛び越えると、装着していたリビルドライバーによって変身する。
爆風を抜けると同時にアーマーが装着され、続けて青のバイクと、上空から二つの影が飛び出してくる。
クローズチャージとグリスが乗り込むマシンクローザーと、CR-ユニットを装備した真那、そして霊装を限定顕現させた夕弦だ。
上空から破壊を降り注ぐミサイル、レーザーの雨の中を、どうにかこうにか抜けることが出来た。何度かミサイルに当たっていたのだが、それらは全てアライブチェイサーに搭載された防御機能により防がれていった。
この戦場の只中をノンストップで走り切れるスピードといい、夏休みに免許を取ったばかりのアライブが扱える操作性といい………改めて、琴里達から贈られたマシンの性能に舌を巻く。
『____そこよ、みんな』
と、インカムから琴里の声が聞こえてきて、アライブ達はマシンを停止させ、顔を上げた。
そこに聳え立っていたのは、辺りの建物よりも一層巨大はビルだった。階数は少なくとも二十はあるだろう。正面入り口と思しき扉には、非常事態を察知してか頑丈そうなシャッターが下されている。
アライブ達はバイクから降りると、扉の前に立った。マシンクローザーは元のスマホに戻ってクローズチャージの手元に収まり、アライブチェイサーは粒子となってフラクシナスへと転送される。
「よし、ここは任せろ」
言って、グリスが腕をブンブンと回す。
そしてシャッターの前に立つと、取り出した茶色のボトル______【ゴリラフルボトル】を軽く振り、ドライバーに装填してアクティベートレンチを下げた。
「オラよッ……と!」
左手をシャッターに翳し、右手で握り拳を作ると、そこにゴリラの腕の様なエネルギーが形成され、ぐっと拳が握り込まれる。
そしてシャッターに向けて殴り付けると、厚さ三十ミリはあろうかというシャッターがひしゃげた鉄塊と化し、巨大な穴と化した。
「おら、行くぞー」
「……ベルトの音声のクセがすげーですね」
「あ、ああ……」
真那の一言に苦笑し、全員がシャッターを潜ろうとするグリスの背を追う。
と、そこでアライブは、身体が奇妙な浮遊感に包まれるのを感じた。これは確か、
「真那?どうして
アライブはその先を最後まで言う事が出来なかった。見えない手に押されるように、いきなり身体を突き飛ばされたのである。否、アライブだけでは無い。先頭に立っていたグリスを除く、クローズチャージと夕弦もだ。
瞬間。正面入口がぐわんっ、と歪むと同時に、視界に目映い光が満ち_____凄まじい大爆発が巻き起こった。
「なっ………!?」
「はぁっ!?」
「衝撃………!」
爆風に煽られ、ゴロゴロと地面を転がされる。
「真那!!」
「おいかずみん!無事か!?」
「……はいはい、大丈夫でいやがりますよ」
「痛ってぇ………死ぬかと思った」
アライブとクローズが名を呼ぶと、濃密な煙の中から真那とグリスが飛び出してきた。どうやら
その姿に一瞬安堵しかけるも、煙の中から見えた真那の表情を見てそれを改める。真那の顔に浮かんでいたのは、緊張と……微かな怒りの色だった。戦士の、表情だった。
すると辺りに充満していた濃密な煙を裂くようにして、大穴の空いた研究所の内部から、巨大な金属の塊が姿を現した。
「な、何だよあのデカブツ!」
「………っ!まさか………」
クローズチャージが突如現れたその巨影に、驚愕の声を上げる。
そしてその姿に、アライブはマスクの下で目を見開いた。
そう。その
「【ホワイト・リコリス】………!?」
「……士道、知ってんのかアレ!」
そう。煙の中から姿を現したその巨体は、かつて折紙が琴里を斃す為に纏った巨大な討滅兵器であったのだ。
ただ一つ違うのは_____そのボディが雪のような白ではなく、鮮血のように赤く染め上げられている事だった。
「………よくご存知でいやがりますね。ですが少し違えーです。DW-029R【スカーレット・リコリス】。実験用に作られた【ホワイト・リコリス】の姉妹機です」
真那が吐き捨てるように言ってから、忌々しげに顔を歪めた。
「イメチェンですか?昼に見た時から随分と印象が変わったじゃねーですか。小憎たらしい顔が台無しですよ_____ジェシカ」
言って、【スカーレット・リコリス】の搭乗者に視線を向ける。
そしてアライブ達も、釣られるようにその搭乗者の方へと顔を向いた。だが、その姿を認識した瞬間、彼らの脳裏に戦慄が走った。
「なっ………!?」
理由は単純で、その搭乗者である彼女は今手足、胸部、額や顔に至るまで、全身の各所に包帯を巻き、更には身体の一部がまるで枯れ木のように老化し、歪な雰囲気を漂わせていたのである。
「あはハ!マナ。マナ。タカミヤ・マナ!それトも、カメン・ライダー・ファングゥゥゥ?どウ?どォウ?私の【リコリス】ハ!これで私は負けないワ。あなたにハ。あなたなんかにハ………!」
_____もう、人として決定的な何かが、完全に壊されている。
全身を包帯に巻かれ、体の一部が老化し、満身創痍の身体となっても尚、ジェシカはカラカラと笑っていた。歪なる誤った力を持ちながら、それを嬉々として受け入れている。まるで、何かに取り憑かれたかのように、狂ったような笑いを浮かべていた。
「まさか、あれがリバースドライバーの副作用………!」
「……そうみてーですね。私もああなるかもしれなかったと思うと、ちょっと寒気がしやがります。……馬鹿なことを」
真那はそう言うと、一歩足を前に踏み出した。
「ジェシカ!今すぐ【リコリス】を停止させやがりなさい!分かっていやがるでしょう!?それはあなたに扱えるような代物じゃねーです!」
「あはははははははハ!何を言っているノ?今はとてもいい気分ヨ。だって_____」
ジェシカが視線を鋭くし______右手に、黒く染まった、水瓶のような意匠が施されたボトルを握りしめた。
「っ、まさかアレは…………!!」
そのボトルを目にした瞬間、アライブ、クローズチャージ、真那の表情が旋律に染まった。
「やめろ!そのボトルは_______!」
アライブが急いで止めようとするも、もう遅かった。
ジェシカは黒のボトルをリバースドライバーに装填すると、チャージャーを操作した。
「____アアアアアアァァァァァァァァァ________ッ!!!!」
瞬間に、ジェシカは人とも獣ともつかぬ叫びを上げる。
そして包帯に包まれた肉体が、まるで血の様に赤く染まった液体に包まれ、徐々に肉体が変化していく。
リキッドスマッシュが出現する時と似ているが、明らかに違う。
全身が濁流のような流体の形状に変わり、まるで全身から血を流しているかのようなラインが走っていく。
更には全身から無数の血管のような触手が伸びたかと思うと、それらは【スカーレット・リコリス】に取り付き、呑み込むように変貌させていった。
「そんな…………」
「ジェシカ………っ!」
________最早、決定的に人では無かった。
全身は血塊のように赤黒く染まり、血管のような触手が全身から生えている。【スカーレット・リコリス】も最早その原型を残しておらず、その表面からは肉塊で造られた
さらにはジェシカがいる場所は、胴が膨らんだ円筒状の物へと変貌し、その上の中心に空いた空洞に収まって上半身と手のみが突き出ている状態だった。それはさながら神話に登場する、壺から現れた悪魔か。
その名を________アクエリオスオーバースマッシュ 変異体。
人でも機械でも無い恐ろしい者へと変貌を遂げたジェシカ_____アクエリオスオーバースマッシュは、その悍ましい相貌を妖しげな笑みに歪ませた。
化け物のような怪声を発して、真那に視線を向けて両手から血のような粘状の液体を放出する。
その液体は地面に放たれると、人と動物が合わさったように形作って行き、複数の群体となって出現した。
「ッ、
それはアライブ達が戦い慣れた相手_____スマッシュだ。さらに言うならば、その形状はナスティシーカーやマッドクラウンが呼び出す液体のスマッシュ_____リキッドスマッシュにそっくりである。
「く………厄介でいやがりますね」
真那は毒づくと、青と銀のベルト____モデライズドライバーを取り出した。
そして腰に持って行き、ベルトを巻き付かせる。
『ギャァァァァァア!!』
そしてアクエリオスオーバースマッシュが呼び出した【リキッドスマッシュ・スカーレット】の攻撃を交わしながら、【ウルフマテリアルフルボトル】を振り、斜めに開いたベルト上部のスロットに装填する。
そして右手を顔の横に持って行きグッと握り、叫んだ。
真那がチャージャーを引いた瞬間、オーバースマッシュの背後の彼岸花が開き、無数の弾幕が発射される。
が、それらは真那の周囲に発生したフルボトル型ファクトリー【アームモデリングビルダー】によって全て防がれ、一瞬のうちに真那の肉体をスーツが多い、次々とアーマーが装着されていく。
最後に後頭部に狼の尾を模した【バトリングスタビライザー】が生成され、弾幕の爆炎とともに姿を現した。
ファングへと変身した真那は、そのままノーモーションでオーバースマッシュに肉薄し、右手を構える。
下部から展開したブレードを蠢動させ、斬りつける。
だが、相手はその行動を予想していたらしく、左手のレイザーブレードだったと思しき円筒部からエネルギー刃を出現させ、それを受け止めると同時、背面から血管状の触手を伸ばしてファングの胴に巻き付かせ、後方へと投げ飛ばした。
「くっ………!」
何とか背面のスラスターで姿勢を保つも、すぐさま取り巻きのリキッドスマッシュ・スカーレットが追撃に来る。
だが、その瞬間。
金色の影が割るように入ったかと思うと、ファングに迫って来ていたリキッドスマッシュを一撃の元に叩き伏せ、残る追撃のリキッドスマッシュを蹴り付け、遠ざける。
「……おい、俺を差し置いて何楽しんでんだ……コラ」
「……あんたは…………」
「よお、大丈夫か?ガキっ娘」
ファングを一瞥しそう言う、ロボットみたいなライダー。
グリスだ。右手にはツインブレイカーを構え、左腕を慣らすように回し、明らかな臨戦態勢を取っている。
するとグリスがアライブ達の方を向き、叫んだ。
「お前らは先に行け!ここは俺たちに任せな!」
「ッ!………分かった。行くぞ、みんな!」
アライブが一瞬の逡巡の後に応え、クローズらを引き連れてビルに走って行った。
グリスはそれを見送ると、敵に顔を向け、得物であるツインブレイカーを構えた。そして顔は敵に向けたまま、ファングに問う。
「行けるか?ガキっ娘の新入りライダー?」
「………当然でいやがります。あと、ガキっ娘は余計です!私もう十四でいやがりますよ!」
「何言ってやがる。充分ガキじゃねーか。俺二十九だぞ………って、んな話してる場合じゃなかったな」
グリスが気合いを入れるように掌に拳を打ち付けると、オーバースマッシュと取り巻きのリキッドスマッシュに顔を向ける。
そして変身時に取るポーズのように、挑発するように敵に指を指し、言う。
「______来いよ、ミス・ブラッドレディ。心火を燃やして、相手になってやるぜ」
言うと、グリスはマスクの下で不敵な笑みを浮かべた。
◆
三人はグリスとファングにあのオーバースマッシュを任せ、滅茶苦茶に破壊されたビルの入り口に足を踏み入れた。瞬間、インカムから聞こえていた琴里の声がノイズに呑まれ、何も聞こえなくなる。
だが、それでも行くしかない。三人は先へ先へと進み、二階、三階、四階、五階と駆け上がっていく。
「令音の話が本当なら、ここのどっかに戦兎と十香が捕まってんだよな!?」
「ああ!その筈だ!」
息を荒くしながら言いながら、アライブ達はひたすら進み続ける。
_____ここに、十香がいる。
十香を救う。あの少女の無垢な笑顔を、理不尽に奪われてなるものか。
そして、戦兎も救い出す。今まで彼に、自分たちは助けられて来た。
だからこそ、今度は自分達が助ける番だ。
その想いを胸に、三人は何十階と連なるビルを進み抜けていく。
が、そう簡単に行く筈もない。
「______侵入者を確認!」
「おい貴様ら!何者だ!一体どこから_____!」
「くそっ………!」
「そう簡単には行かせちゃくれねえか……!」
「回避。ふっ______!」
廊下の先から、デウストルーパーと思しき二人の姿があったのである。室内であるからか、手にしていたのはハンドガンのような軽火器とレーザーブレード、そして腰に下げたデュアルスレイヤーのみである。
彼らはアライブ、クローズチャージ、夕弦の姿を認識すると、すぐに
だが、そんな事で足を止めるわけにいかない。三人は一度顔を合わせると、すぐに敵へと向かっていった。
「うぉぉぉぉぉぉおおおおお_______ッ!!!」
「あああぁぁあぁぁぁぁぁぁ________ッ!!!」
「奮起!はぁぁぁぁぁぁぁあ_____ッ!!!」
雄叫びを上げながら、走り抜けていく。
それぞれ武器を手に、眼前の敵へ決死の覚悟で立ち向かっていく。
大切な者を、取り戻す為に。
どうでしたか?
グリスの挑発するシーンは、役者つながりで少し音也を意識しました。あんまそれっぽく無かったかも知んないですけど……。
中途半端なところで終わってしまいましたが、次回からまた盛り上がっていくので、ご期待ください!
あの最後の方書いてて思ったけど、なんかルパパトみたいな感じになったな。最近見始めたからだろうか。
というか第六章の美九編、今までで一番長い回になったなぁ。六巻と七巻纏めてるから当然といえば当然なんですけど。
それでは次回、『第71話 悪辣なるハザード』をお楽しみに!
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