デート・ア・ビルド(更新休止中)   作:砂糖多呂鵜

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士道「仮面ライダーアライブこと五河士道は、万丈、夕弦と共に、ハザードフォームとなった戦兎の救出に成功!しかしそんな俺たちの前に、あの神大針魏が立ち塞がる!」

万丈「次から次によく出てくるなぁ。これ本当に十香のとこ辿り着けんのか?」

士道「愚痴言ってたって仕方ないだろ。だからあのウザい無駄ロングヘアマッドサイエンティストの相手は任せたぜ万丈」

万丈「辛辣だな!え、お前そんな毒舌だったっけ」

士道「ここまでやっと来たのにまた邪魔して来てイラついてんだよ察しろよ」

万丈「あ、おう。じゃなくて!お前仮にも主人公だろ!もっと言葉遣い直せよ!」

士道「うるせぇっ!こちとらこの美九編いつ終わるか分からない不安の中必死にやってんだ!あらすじ紹介の中で愚痴の一つくらい零したって良いだろうが!」

万丈「それ作者の心情だろうが!何ヤケ起こして熱く語ってんだよ!」

士道「いいだろ別に!つーわけで第73話、どうぞ見てくれクソがッ!」

万丈「とうとうクソがって言いやがった!もっとコブラートに包めよ!」

夕弦「補足。コブラートではなくてオブラートです。読者の皆様、見苦しい物をお見せしました。こちらは本編と一切関係ありませんので、どうぞ本編の方を最後までご覧ください」





第73話 それぞれのバトルフィールド

_____あHaハ!aハははははハッ!!

 

「くっ______」

 

迫り来る血色の弾頭を、空中で旋回して回避する。

 

ファングと、ジェシカ_____だった、アクエリオスオーバースマッシュ 変異体との戦闘は、空の上で展開されていた。

 

敵のオーバースマッシュが放った弾頭は、爆破すると血のように赤い爆発を引き起こす。その妙に生々しい色に生理的嫌悪感を覚えながらも、右手に構えたファングクラッシャーで以って撃ち落とす。

 

しかしすぐさま前方から肉塊のような触手が飛び出し、ファングへと迫ってくる。

 

 

【エッジ・ファング!】

 

 

ファングクラッシャーのモードを切り替えると、展開したブレードで触手を斬り落としていく。しかし再生能力を備えているのか、斬り落とした触手は程ないうちに再生し、際限なくファングの肉体を貫かんと迫ってくる。

 

「ちっ、キリがねーですね………っ!」

 

毒づきながら、ファングはドライバーからウルフマテリアルボトルを取り出すと、ファングクラッシャーのボトルスロットに装填した。

 

 

【SLOT ONE!】

 

 

音声と共に、エレキギター調の待機音が流れる。

構えてトリガーを引くと、ブレードから牙のような蒼いエネルギー刃が放出された。

 

 

【シングルテアーッ!!】

 

 

「ハァッ!」

 

放たれたエネルギーは、槍のように迫った触手を一気に斬り刻んだ。

しかし、それで終わりではない。爆風の向こうから、オーバースマッシュがその鮮血のような色の全身を覗かせていたからだ。

 

はhAハハ!無駄Yぉ!!

 

狂ったような笑い声を上げながら、オーバースマッシュが赤黒く染まったミサイルや魔力砲、レイザーブレイドを一斉にファングへと向けてくる。

 

「どうやら、まともな判断力も残ってねーようですね………」

 

 

【ブラスト・ファング!】

 

 

ブラストファング状態で牽制射撃をしながら、スラスターを小刻みに駆動させて飛行する。

とにかく一撃が重い攻撃。一瞬でも気を抜こうものなら、すぐに擂り潰されてしまうだろう。酔ってしまいそうなほどの濃密な魔力が、全ての攻撃に込められていた。

これはオーバースマッシュ化による影響のみではない。恐らくだが、ジェシカは全身に改造手術を施されている。

 

_______真那が何年もかけて施されたものを、ごく短時間のうちに。

 

「く____」

 

一体どれほどの事をすれば、一日と経たずにこれほどの化け物へと変貌するのかは分からない。だがその果てが、彼女にどれほどの深刻な影響を及ぼしているかは容易に想像が付く。

実際、眼前のオーバースマッシュはファングを倒すことのみに執心し、味方への被害も厭わずに滅茶苦茶に弾薬を放ち、触手を放ち、エネルギー砲を放ってくる。周辺のDEM施設は、その余波でどれほど爆発したか分からない。

 

「く、このままでは……!」

 

こreデ、終ワRIヨォッ!!

 

オーバースマッシュが再び狂ったように笑うと、ミサイルハッチから赤黒いミサイルが無数に放たれた。

ファングは急いで旋回姿勢を取るも、どこまでも追跡してくるミサイルはただ距離を取っただけでは意味が無い。かといって、迎撃の為に姿勢を戻そうにも、オーバースマッシュは壊れ切った正気の癖にこちらの動きを逐一細かく認識しているため、少しでも隙を見せようものならすぐさま向こうからも追撃が来るだろう。

 

「_______オッラァァッ!!」

 

と、そこでファングとミサイルの間を、一条の光が突き抜ける。

次の瞬間、先頭のミサイルがその光によって爆発、空中で更に誘爆を引き起こし、ファングを追っていたミサイル全機が爆発した。

 

さらにその隙を縫うようにして、地上から金色の影が飛び上がってくる。

グリスだ。オーバースマッシュが召喚したリキッドスマッシュ・スカーレットはその全てが液体に帰され、周囲には激しい戦闘が会ったことを示す煙や破壊の痕が残っていた。

 

「俺を無視して、楽しんでんじゃねェぞコラァァァッ!!」

 

可動した肩部から勢いよくヴァリアブルゼリーを噴出させ、スラスターのように上空へと舞う。長時間の滞空はできないが、それでも彼女らの戦闘域に一瞬でも入り込むには充分だ。

 

ツインブゥレイクゥッ!!

 

ツインブレイカーに装填したゴリラ、ユニコーンのボトルのエネルギーがパイルの先端に集約し、大鎚の如き質量を持ったドリルが顕現した。全身を捻って勢いを付け、オーバースマッシュ目掛けてエネルギードリルを高速回転させる。

 

「その図体じゃあ、接近戦は無理だろッ!!」

 

舐ぁァmeルなァッ!!

 

しかしグリスが一撃を放つより先に、オーバースマッシュがグリスの腹部を貫かんと、高速で触手を突き出してくる。今攻撃態勢を取っているグリスには、まともにそれを食らうほか道はなかった。

 

だが、そこでやられる程グリスは容易くない。

 

「見えてんだよッ!!」

 

 

ディスチャァージボォトルゥッ!潰れなーいィッ!ディスチャァージクラッシュゥッ!!

 

 

なaッ!?

 

オーバースマッシュから放たれた触手は、グリスの腹部に突如出現した結晶体に阻まれ、弾かれることとなった。

彼が使ったのは、ダイヤモンドフルボトル。全ボトルで最高の硬度を誇るその能力は、スクラッシュドライバーで使えば最強の盾を生み出すボトルとなる。オーバースマッシュの攻撃でも、必殺技でもないなら防ぐのは容易い事だ。

 

Oノォぉれeぇェッ!!

 

「食らいやがれッ!!」

 

そして反撃が失敗したオーバースマッシュに、グリスの一撃が叩き込まれる。

ゴリラの超パワーと、ユニコーンの貫通力が合わさったツインブレイカーの一撃は、オーバースマッシュの肉体に大きく突き刺さり、飛び散った肉塊が粘液と化してあちこちに張り付く。

やがて攻撃の威力によって、オーバースマッシュは地面へと叩き落されるのだった。

 

 

 

 

クローズと耶倶矢対、ナスティシーカーの戦いは、クローズ側が攻勢に出て始まった。

蒼炎を纏った拳を突き出し、シーカーのガスマスクを象ったようなフェイス目掛けてパンチを繰り出す。

 

「うぉらぁッ!!」

 

……甘いね

 

が、クローズの繰り出した拳は空を切り、先程までシーカーが立っていた場所には、蜂の群体の幻影が残るのみだった。ブブブ、と不気味な羽音を立てて、霧のように霧散していく。

 

「何……ッ!?」

 

鬼さん、こちらだよ

 

「な……っ!?ぐぁっ………!」

 

背後から声が聞こえたかと思うと、そこには眼前に居たはずのシーカーが、ブレードを構えて立っていた。

クローズがすかさず体勢を変えようとするも、ブレードによって右腕が斬り付けられる。その細身な腕に似合わぬ力で放たれた斬撃は、クローズから距離を離す程の威力を持っていた。

 

「ふん、後ろが留守であるぞ!」

 

その隙を突くように、耶倶矢が顕現させた颶風騎士・穿つ者(ラファエル・エル・レエム)を構え、突風とともに飛び上がって突貫する。精霊の霊力の風と共に放たれた一点集中の一撃は、仮面ライダーの一必殺技にも匹敵しうる程の力を秘めている。まともに当たれば、やられるのは必至。そしてクローズに意識が向いている今ならば、シーカーとて対応しきれない。その筈だった。

が。

 

精霊【ベルセルク】。君たちへの警戒だって、怠っちゃいないさ

 

【FULL BOTTLE……CYCLONE……EFFECT SLASH】

 

 

「なっ………!?」

 

スチームガンと合体させたブレードにボトルを装填しトリガーを引くと、羽先から竜巻のような風が引き起こり、耶倶矢の一撃を遠ざけ、さらに斬撃によるダメージを食らわせた。

 

「耶倶矢ッ!!」

 

「馬鹿な……我の風を、上回るだと………!?」

 

いくら精霊とは言え。封印されて力も弱まり、片割れである八舞夕弦もいない、今の君一人の攻撃を御する事など、訳ないさ。それに……

 

シーカーはブレードガンを掲げると、それをじっくりと舐め回すよう見る。

 

君達との戦いに備えて、私の方も色々と()()をしていたからねぇ。来ると分かっているなら、幾らでも対処のしようはあるという訳さ

 

「へっ……それが、どうした……うぉらぁぁッ!!」

 

ビートクローザーを構えクローズが立ち向かい、再びシーカーへの攻撃を再開する。

しかし、クローズの攻撃はことごとく躱され、先と同じく蜂の幻影目掛けて虚しく剣先が空を切るのみだった。

 

万丈龍我、もとい仮面ライダークローズ。君の攻撃は直線的で分かりやすい。更に、先ほどの戦闘による疲労も回復し切っていないだろう?剣先がぶれぶれだ。そんな攻撃を避ける事など、子供の投げたボールを避けるよりも簡単さ

 

「くそっ、舐めやがって……っ!」

 

ハハッ、君からそんな三下腰巾着のようなセリフが聞けるとは思わなかったよ

 

そして、最後に打ち込まれた剣撃を、シーカーはブレードで受け止める。

渾身の力で放たれるクローズの斬撃を、シーカーはまるで児戯のように軽々と弾き避ける。今までの戦いからは想像も付かない、圧倒的にシーカーが優位な戦いだった。

 

「これで……終わりだぁッ!!」

 

【ヒッパレーッ!SMASH HIT!!】

 

ビートクローザーのグリップエンドを弾き、必殺技を発動する。

蒼炎を纏った刃がシーカーの眼前まで迫るが、しかしシーカーは変わらずクローズの一撃を易々と止めてみせた。

 

「なっ………!?」

 

やれやれ、いい加減飽きて来たよ………ふん!

 

「くっ………!」

 

シーカーが受け止めたブレードを振るい、クローズと距離を空ける。

ゆらゆらとスチームガンを持ち上げたシーカーが、ビーオルタナティブボトルを装填する。銃口に黄色いエネルギーが収束し、蜂のような奇妙な羽音が鳴り響く。

 

そろそろ終わりにしようか………!

 

「な________」

 

 

【ALTERNATIVE BREAK……BEE……!!】

 

 

シーカーの指が動き、引き金が引かれる。

瞬間、クローズ達の視界は閃光に染まった。

 

 

 

 

『撃て!容赦するな!』

 

「邪魔なんだよッ!!」

 

アライブ達が階段を上がり続けてしばらく経った頃。眼前に近接火器で武装したトルーパー隊が待ち構えていた。もう美九を引き連れていた事は伝わっていたのだろう。以前よりも武装は強化されていた。

トルーパーから放たれた弾丸をアライブは手にしたアライブラスターと灼爛殲鬼(カマエル)で薙ぎ払い、被弾も厭わず前へと進んでいく。

 

「うぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

『な、なんだこいつ、無茶苦茶だっ!?』

 

『ひ、怯むな!総員で囲んで………う、うわぁぁッ!?』

 

ブラスターと灼爛殲鬼(カマエル)の二刀流による回転斬りで、囲んでいたトルーパー達を一掃していく。

 

「ぐぅ____っ」

 

無論、デメリットが無いわけではない。先程から灼爛殲鬼(カマエル)を持っていた方の手を起点に、じわじわと痛みが全身の内側を回っているのだ。

そしてその痛みを、アライブの内に眠る琴里の回復能力が癒していく。全身を痛みが伝わる度に、地獄のような高熱と共に癒されていく。さながら天国と地獄のようなループに、何度も意識が飛びそうになりながら堪えていく。

 

だが、ここで足を止める訳にいかない。ブラスターを支えにもう一度立ち上がると、再び歩みを再開させた。

そんなアライブの様子を見てか、美九が忌々しげにフンと鼻を鳴らす。

 

「……無様ですねー。なんでそうまでして頑張るんです?」

 

「言っただろ……俺は、十香を助けなきゃならない。十香がどんな目に遭ってるか分かんねえんだ。………俺が、こんな所で立ち止まって、モタついてなんかいられるかよ」

 

アライブはそう言って、赤いスーツに包まれた拳を握りしめた。

その様子に、美九がぴくりとわざとらしく嫌悪感に溢れる表情を作ってくる。

 

「あーあーあー。お寒いですねぇ。何ですかそれー。悲劇のヒロインを助ける自分に酔ってるんですかぁ?そんなコスプレまでして、もう正義の味方に憧れる歳でもないでしょうにぃ」

 

嘲るように肩をすくめ、美九が続ける。

 

「あっはは、もしかしてあれですかー?自分の命より十香さんが大切とか言っちゃった手前、引っ込みが付かなくなってるんですかー?いいですよー別に。人間の醜さはよぉく知っていますから、今更失望なんてしません」

 

「…………」

 

だがアライブは反応を示さず、ただ黙々と廊下を歩いて行った。

 

「ちょっと!何無視してるんですかぁ!」

 

美九はそれが気に入らなかったのか、声を荒げてアライブを追い越し____そして、何かを思いついたようにポンと手を叩いた。

 

「_____ああ、そうだ。じゃあこうしましょう。今ここで、十香さんの事は諦めるって言ってくださいよぉ。そうしたら、私の『声』で、あなたの好きな女の子をいくらでもあなたの奴隷にしてあげます。どうですー?悪い話じゃあないでしょう?」

 

美九のその言葉に、アライブは心の奥底から激しい激情が昇るのを感じた。

胸の内に、ドス黒い不快感が広がっていく。今美九の機嫌を損ねるのは得策ではない。_____そんな事は分かっているが、今の発言だけは、どうあっても許せるはずがなかった。

 

「………ふざけんじゃねぇッ!!十香に、代わりなんているもんかよッ!!」

 

「………ッ」

 

抜き身の刀のような鋭い剣幕に、美九な小さく肩を震わせた後、いきり立つように語気を強めてきた。

 

「ふ、ふんッ、いつまでも見栄張ってんじゃないですよ!どうせあなた達の『好き』とか『大切』だなんて、たかが知れてる程度のものでしょう?代わりを用意してあげるって言ってるんですから、それでいいじゃないですか!何でそこまでするんですか……ッ!!」

 

強制をするような調子で美九が言ってくる。アライブを惑わそうとするだけと言うには、それはあまりにも余裕のない口調だった。

アライブは一度変身を解除すると、美九の方を真っ直ぐと見据えて口を開いた。

 

「………確かに俺は、正義の味方って名乗れるほど立派な奴じゃない。目の前にある物を守るので精一杯な、半人前もいいところだ」

 

そう。自分など、戦兎や万丈、そして一海達に比べたら、全然大した事はない。今はまだ、背中を追いかけるのが精一杯だ。手の届く物を守るだけで、他の助けを求める多くの人を、救うなんてできやしない。

 

だが、それでも。

 

「それでも俺は_____十香を助ける。十香の笑顔を、救う為にな。正義の味方になれなくても、目の前にある笑顔を守れるように」

 

「……笑顔?ハッ、何ですかそれ。そんな安っぽい物のために、無様に地べたを這いつくばってまで助けに行くっていうんですかぁ?それは十香さんが精霊だからですかぁ?安っぽい『大切』っていう建前のせいですかぁ?」

 

「……人間だ精霊だなんて、そんなの関係無い。ただ誰かの苦しむ顔が見たくない、笑顔が見たいと、そう思ったからだッ!!」

 

力強く、自分にも言い聞かせるように、叫ぶ。その言葉に、美九は一層顔を歪めた。

そして更に、言葉を続ける。

 

「……その笑顔を守るためだったら、俺は喜んで地べたを這いつくばってやる。どんなに無様に倒れたって、また何度でも立ち上がってやるよ。それが俺の………仮面ライダーとしての覚悟だ」

 

どこまでも真っ直ぐに、美九を見据えてそう言い紡いだ。

掛け値無しの士道の本心を聞いた美九は、まるで理解が出来ない、いや。理解する事を拒んでいるかの様に、再び語気を強めて言葉を放った。

 

「何が……何が仮面ライダーですか!何が覚悟ですか!馬鹿じゃないですか!?どうせそんな言葉、安っぽい感情を隠す為の嘘に決まってます!人間が、そんな風に生きられるはずが無いんです!」

 

「美九、お前は勘違いしてる。人間は、そんな奴らばっかりじゃ_____」

 

「う・る・さぁぁぁぁいっ!人間なんて私のおもちゃたんです!男は奴隷!女の子は可愛いお人形!人間に、それ以上の価値なんてありません!」

 

美九が断ずるように叫ぶ。まるでそうでもしなければ、自分自身が否定されてしまうとでも思っているかのようだった。

 

「美九、お前………」

 

士道は眉をひそめた。狂三の影の中で聞きそびれた言葉が、頭を掠める。

 

「なんで____なんでお前はそんな風に男を嫌うんだ!なんで女の子を物のように扱うんだよ!なんで人間を、そんな風に見てしまうんだ!」

 

「はッ、そんなの決まっているでしょう?人間なんてその程度の______」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

美九の言葉を遮るように言い放つ。

美九が、言葉を切って息を詰まらせた。

 

「______ッ!?」

 

美九が驚愕に見開いた目を士道に向けてくる。士道はその目を見据えながら続けた。

 

「もともと人間だったお前に、【ファントム】____ノイズのような姿をした何かが、精霊の力を与えた。……違うか!?」

 

「…………!」

 

美九が肩をビクッと震わせる。が、否定はしなかった。

狂三が、ここに至るまでの道中で、士道達に話してくれた事が、それだった。

 

美九の家で発見した____別名義のCDと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から読み取った情報。

 

美九が、琴里と同じように、何者かによって精霊にされた人間である事。

 

そして、かつて別の名前でアイドルとして活動していたことがあるという、過去。

 

「……あなた、どうしてそれを」

 

たった今美九が鋭い視線で睨み付けたことが、何よりの証拠だった。

 

「知り合いに情報通がいてな」

 

とは言え、士道とて全てを知っている訳ではない。あれらの物品から狂三が読み取れたのは断片的な情報が多く、未だ分からない事は山ほどあったのだ。

もし、美九が元々人間であったというのであれば。

 

何故、同じ人間をモノとしてしか扱うことができないのだろう。

 

男嫌いなだけでなく、女の子に対してすら、まるでアンティークドールを愛玩するような接し方しかしない。人間を自分と同じ生き物として扱おうとしない、途方も無い違和感があったのである。

 

当初士道は、それを生まれ持った『声』の力によって、歪んだ価値観が形成されたからだと思った。

だが美九が人間だったとするならば、十数年もの間に人間社会で培った価値観が、どうしてこうも歪んだものとなるのかが分からないのだ。

 

一体どれほどの事を経験すれば、あそこまで人間に無機質的な感情を持てるのだろうか。

 

「同じ、人間じゃないか。だったらもっと______」

 

士道が言いかけると、美九はギロリと鋭い視線を送り、憎々しげに叫ぶ。

 

「ふざけないでください……、あなたに、あなたに一体何がわかるって言うんですか!」

 

「……分からないから、知ろうとするんじゃないか!」

 

「っ………!」

 

士道のその言葉に、美九が口をつぐむ。士道は再び、ゆっくりと口を開いた。

 

「美九……お前に、過去に一体何があったんだ」

 

「……ふんっ、なんで私がそんな事」

 

「美九」

 

士道が詰め寄るように言うと、美九は面倒そうに吐息した。

 

「しつこいですねー。ふん………」

 

 

言って______美九は。精霊の歌姫は。ぽつぽつと、吐き捨てるように語り始めた。

 

 

 




どうでしたか?
結局今回も時間空けてしまってすいません。毎回後書きで謝罪しててすいません。

美九編長ぇ…………長ぇよぉ………。

なんとか原作読んでると美九の暴言シーン書くのがしんどくって……でもこの先があると信じて、これからも頑張ります!

あとリライズ神すぎる。みんなも見て、どうぞ。

それでは次回、『第74話 歌姫のバイゴーン』、お楽しみに!

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