万丈「ようやく俺の出番だったな!見ろ!この仮面ライダーグレートクローズの………」
桐生「はい早送りー」
万丈「おい早送りすんな!折角の俺のマジカッコいいシーンが見えねえだろうが!」
桐生「どうせ小説だし別にいいでしょ」
万丈「そういや俺が変身した後、グレートクローズのボトルが消えたんだけど、戦兎なんか知らね?」
五河「なあ、それあらすじ紹介の場で言っていいのか?前回せっかく読者さんから指摘してもらったのに?」
桐生「まあそれについては悩ましいところだったけどねー。今後ちゃんと本編でも触れるから大丈夫だと思うよ。ていうか士道。いたんだ」
五河「居たわ!いやさっきまで話してなかったけども!」
万丈「つーわけで、俺のマジかっこいい活躍が_____」
桐生「見れないビルドが主役の第6話をどうぞ!」
万丈「無えのかよ!」
「_____という訳だ。理解できたか?」
「………お、おう」
万丈がフラクシナスに転送されてから一時間後、一通りの説明が終わった。
なぜこんなに時間がかかったのかと言うと、簡単な理由で万丈が話を理解するのに時間がかかったからである。しかもただ説明したのではより時間がかかると見越して、大分簡略化して説明したのだ。 最初は琴里達が一から説明しようとしていたが、万丈相手だと朝まで掛かりそうだったので戦兎が説明役を買って出たのだ。
「ま、まあ要するに、その精霊ってやつをあいつが助けて、俺たちはそれをサポートする、ってこったな?」
「まあ有り体に言えばな」
と、万丈が理解したところで、向こうからあくびが聞こえてきた。転送後にこうして説明を開始してから、さっきから待機していた琴里だ。最初は琴里が説明しようとしていたのだが、ここはこの馬鹿と長い間いた自分の方がいいと、戦兎から言い出したのだ。
さっきからずっと見張りのためいたのだが、説明に時間がかかったため軽い眠気に襲われていたのである。
「お、終わった…?…………ねえ、彼、ほんとに二十三歳なの?」
「戸籍上の数値ではそうなるな。精神年齢はそれよりいいとこ十くらい下だ。猿未満チンパンジー以下のバカだ」
「誰がバカだ!せめて筋肉つけろ!」
と、いつも通りの少しズレたやり取りの後、琴里が質問をした。
「で、本題に入るけど………万丈と桐生は、同じ世界から来た、ってことでいいのよね?で、戦いの最中になんらかの原因で、二人揃ってこの世界に飛ばされたと」
「ああ。恐らくな」
その原因が詳しくは分からないが、恐らくはパンドラボックスで新世界を創ったときに、何かしらの要因によってこの世界に飛ばされてしまったのだろう。万丈を助け出そうとしたあの時、とてつもない暴風に襲われたのを覚えている。
どうして身体が縮んでいるのかは分からないが。
「それで、あんたもスマッシュの退治に協力してくれるってわけね?」
「ああ。ここに匿ってもらえるってんならな」
万丈も最初は琴里に対して戸惑っていたが、もう慣れたようだ。こういう所をあまり気にしないのは懐が大きいのか、それともただの馬鹿か………確実に後者だと、戦兎は思った。
「………今なんか俺のこと馬鹿にしなかったか?」
「気のせいでしょ」
「まあ、ひとまずのあんた達の待遇は決まったわね。じゃあまずは…………」
言うと、琴里はさも当然かのように、
「編入手続きと戸籍の用意、済ませちゃいましょうか」
「「へ?」」
◆
次の日の、来禅高校にて。
士道が現実から程遠い不思議体験を済ませた翌日。戦兎の仲間だという万丈龍我に会い、その後も別室で知らないおじさんに事態の説明がなされ、さまざまな書類にサインをしてからようやく家に帰れた。
風呂に入る気力も無く、気づけば朝である。
______結局、戦兎に話そうと思っていたことも話しそびれてしまった。
気怠い感覚を強烈に覚えながらも、なんとかいつも通りに登校した、その日の朝のHRでの事である。
「今日は何と!このクラスに転入生が二人来ます!」
士道のクラスの担任、
「転入生?この時期に?」
「誰か聞いたか?転入生が来るって」
「マジ引くわー」
士道としても初耳である。その上二人も来るとなると……………二人?
「あれ?」
二人、というワードが、強烈に士道の脳内を反芻する。確か、自分は昨日二人の友人が出来たはずだ。しかも、本人から聞いた本来の年齢はともかく、今の外見年齢は高校生くらいの二人が。
「では、入って来てくださーい」
タマちゃん先生が促すと、ドアが開き、何故か三つの人影が入ってきた。
最初に入ってきた一人は、制服の上着を脱いで腰に巻き着崩した、編み込んだ茶髪が目につく男子。
二人目は制服の内側にブレザーを着込み、上着のボタンを外した、兎耳のような跳ねっ毛が特徴的な男子。
三人目は白衣のポケットにツギハギの熊のぬいぐるみを入れ、長い前髪と分厚い隈、メガネを掛けた女性。
そしてその三人に共通して言えるのは、全員昨日知り合った人たちという事で_______
「万丈龍我だ。よろしくな」
「初めまして。天っ才物理学者の桐生戦兎ですっ♪」
「……今日付けでここの副担任となった、村雨令音だ。担当教科は物理。よろしく頼む……」
その自己紹介を聞いた途端、士道はその場で思いっきり噴いた。
◆
「どういう事だよ二人とも!」
休み時間。二次元について話してくる殿町を放っておいて、俺は戦兎と万丈に問い詰めていた。
「どう、って。簡単な事だよ。俺と万丈は転入しました。高校生になりました。士道のクラスメイトになりました。以上、証明終わり」
「つーかお前、あの自己紹介どうにかなんなかったのかよ。中身おっさんなのに痛えぞ」
「いいじゃん別に。あとお前チャック空いてる」
「え?マジか!?」
「いやそういうことじゃなくて!」
さっさと終わらせて、すぐに雑談に入ろうとする二人を制止する。ちなみに万丈のチャックは本当に空いてた。しかも割と目立つ感じで。
すると、戦兎もようやくちゃんと話し始めた。
「まあ本当のこと言うと、お前の妹から頼まれてね。俺たちの今の外見はこれだし、高校生として士道の近くにいた方が都合がいいからって。戸籍やら何やらもラタトスクがでっち上げたってさ。ま、この馬鹿の猿みたいな頭が人間並みになるなら、別に良いとは思うけど」
「誰が馬鹿だ!せめて筋肉つけろ筋肉を」
と、からかうような口調で言ったものの、戦兎も内心、満更では無い気分であった。
何故なら《葛城巧》としてはともかく、《桐生戦兎》としては初めての学校生活である。勉強云々は確かに些かつまらないものにはなりそうだが、学友達との交流や新しい生活は、戦兎としても期待したい所だった。
「あ、あの!」
と、会話の途中、万丈の後ろから声が聞こえた。士道のクラスメイトの仲良し三人組、亜衣麻衣美衣だ。
「ん?どうしたんだよお前ら」
「あ、えっと。万丈君に、ちょっと用があって。ここじゃ話しづらいから、廊下で」
「万丈に?」
「………まあ何だか分かんねえけど、ちょっと行ってくるわ」
「お、おう」
こうして万丈は、三人に連れ出されてしまった。あの三人と何か接点でもあったのだろうか?
◆
「「「ありがとうございました!」」」
「は?」
呼び出された直後、突然三人の女子に頭を下げられてしまった。なんだなんだ?
「ちょ、ちょっと待て!何で急に頭なんか下げんだよ!」
「あの時、あの化け物から庇ってくれて、お礼もせずに………」
「あの、怪我とかありませんでしたか!?」
「というか、あんなマジ引くパンチどうやって出したんですか!?」
と、矢継ぎ早に言葉を言われる。万丈は無い頭をフル回転させ、必死に考える。
「化け物……庇った……………………あっ!」
と、思い付いたように手を打ち、三人を指差す。
「お前ら、あん時スマッシュに襲われてた!」
ようやく合点がいった。この三人は、万丈が来た時にスマッシュに襲われてた、あの三人組だったのである。万丈は知らぬ事だが、避難命令が解除された直後に、三人はスマッシュに襲われていたのである。
「はい!ってスマッシュ?」
「あ、ああいや、何でもねえ」
「(あっぶね、戦兎に無闇に言わないように言われてたんだった)」
この世界には、スマッシュという名称は呼ばれていない。下手に情報を出したら怪しまれるし、恐怖心を煽る事にもなる。故に無闇に言わない方が良いだろうという判断だった。
「ていうか、お前らこそ怪我なかったか?」
「はい。というか、万丈くんこそ怪我しなかったの!?あんな化け物に挑んだのに!」
「鍛えてっからな。フンッ」
言って制服をたくし上げると、右腕の筋肉を強調するよう曲げる。
三人が「ほぉ〜」と感嘆の声を上げると、万丈は再び口を開いた。
「つーか、一応同じクラスメイトなんだし、敬語はやめてくれ。なんかムズムズするしよ」
「あ、そうだね。じゃあ、改めてよろしく。私は山吹亜衣」
「私は葉桜麻衣」
「藤袴美衣でーす」
「おう、よろしくな」
ちなみにこの後、この三人と万丈はよく行動を共にするようになるのだが、それはまた今後のお話である。
「おーい戦兎、士道、話終わったぞー」
と、万丈が教室に戻った時には、戦兎と士道の席がもぬけの殻だったことも付け加えておこう。
◆
一方その頃二人は、村雨解析官、もとい村雨先生によって、東校舎四階、物理準備室にいた。(ちなみに本人から言われたため、二人とも令音さんと読んでいる)
「……何ですか、この部屋」
「東都先端研究所の研究室レベルだぞ、これ」
「いやそれどこだよ」
「元俺の職場」
というやり取りを挟んではいたものの、やはりそこは一般的な学校の物理準備室からは程遠い場所であった。いくつものコンピュータやディスプレイ、その他の何が何だか分からない機械で埋め尽くされていたのだから。
「……部屋の備品さ?」
「いやなんで疑問形なんですか!ていうか、ここって物理準備室でしょう?元いた先生はどうしたんですか!」
「うわ、これ俺の使ってたやつよりスペック高いじゃん」
士道が令音に訊いた時にはもう、戦兎は部屋のパソコンで一番スペックの低そうなパソコンに触れていた。それでさえかつて戦兎の使用していたパソコンよりスペックが高いのだから、いったいこの部屋にはどれほどのスーパーコンピュータがあるんだろう。
「……ああ、彼か。うむ」
戦兎がパソコンから手を離したと同時に、令音があごに手をやり、小さく頷く。
「「……………」」
「……………」
「「……………」」
「……………」
そのまま、数秒が過ぎた。
「……まあ立ち話もなんだ。座りたまえ」
「「うむ、の次は!?」」
いっそ尊敬するレベルのスルースキルだ。万丈も身につけるべきだろう。
令音は先に部屋の奥へと進み、最奥部に置かれていた椅子に腰掛けた。
ついで、士道と戦兎の間を通るようにして、学校見学の名目で高校に来ていた琴里が部屋に入っていく。
そして、慣れた様子で白いリボンで括られた髪をほどくと、ポケットから取り出した黒いリボンで髪を結び直す。
「_____ふぅ」
その瞬間、琴里を取り巻く雰囲気が変わった気がした。
気怠げに制服の首元を緩め、近くの椅子にどっと座り込む。
そして、琴里は持っていた鞄から小さなバインダーを取り出す。中には、綺麗に様々な種類の、琴里の好物のチュッパチャップスが並べてあった。
まさかの飴専用ホルダーである。幻聴だろうか、琴里が飴を取り出した瞬間、どこぞの世界の破壊者がカードを取り出した時のような、『ブゥン!』という音が聞こえた気がした。
取り出した飴を口に入れると、未だに部屋で立ち尽くしていた士道と戦兎、主に前者の方に見下すような視線を向けた。
「いつまで突っ立ってるのよ士道。もしかしてカカシ志望?やめときなさい。あなたの間抜け面じゃからすも追い払えないと思うわよ。ああ、でもあまりの気持ち悪さに人間は寄ってこないかもしれないわね」
「「……………」」
あまりの変貌っぷりに、士道と戦兎は一瞬のうちに部屋の隅まで退避した。
「どうしよう戦兎!これが思春期ってやつか?兄に反抗したくなる年頃なのか……!?」
「まさかここまで綺麗に変わるとはな………さっきのあのあまりに有り得ない琴里を見たときから、おかしいとは思ってたが………」
「ど、どうすりゃいいんだよ!あれ完全に女王様じゃん!知らねーよ!俺あんな妹知りたくなかったよ!」
「大丈夫だ。まずはこれ以上道を踏み外さぬよう、俺たちがしっかりしないと…………」
「あんた達さっきから丸聞こえなんだけど!グレてる訳じゃないって何度も言ってるでしょうが!刻むわよ!」
「「すいません………」」
と、一喝されたので、とりあえず座る。
「(………そういえば
と、少し懐かしいような気分になる。確か一回ノコギリが飛んできたときがあったっけか。あの時は、いやあの時に限らずいつも本気で恐怖を感じた。
「………じゃ、早速調きょ……ゲフンゲフン、訓練を始めましょう」
「てめえ今調教って言おうとしたな」
「士道マジで大丈夫なのか?中学生がこんな口汚い言葉使って」
「うんやっぱもうだいぶ手遅れなんじゃないかと思い………」
「あんたらいい加減にしないと本気ですり潰すわよ?」
「「すいませ………ってえ?すり潰す?」」
日常生活の場においてあまり人に対して使われないであろう言葉を二人揃ってオウム返ししながら、二人揃って恐怖を覚えた。
「……君達の真意はどうであれ、シンとセイ、特にシンの方には最低限クリアしてほしいことがある」
令音が急に切り出した。ちなみにシンというのは士道の呼び名である。が、もう一つの方は聞き覚えがなかった。
「ええっと、
「……君の事だが?」
「…………」
と、ごく当たり前であるかのように言うので、もうそれでいいと思った戦兎であった。『戦兎』の『せ』の字しか合っていないが。
「……まあ、それは置いておいて。クリアしてほしいことって何ですか?」
「……単純な話さ。女性への対応に慣れておいてもらわなければならないんだ」
「女性への対応……ですか」
「……ああ」
令音が頷く。なんというか、そのままコロッと眠ってしまいそうだった。
「……対象の警戒を解き、ひいては好意を持たせるためには、まず会話が不可欠だ。大体の行動や台詞は指示を出せるが……やはり、本人が緊張していては話にならない」
「女の子と会話って……流石にそれくらいは」
「どうかしらね」
と、いきなり琴里が士道の頭を押し、ぎゅっと令音の胸に押しつけた。
「……………ッ!?」
「…………ん?」
「はい?」
令音が不思議そうに声を発し、戦兎は疑問の声を発した。士道は顔を真っ赤にし、慌てて狼狽している。
「………ッ、な、なななななにしやがる…………ッ!」
「なるほど、これがラッキースケベってやつか」
「絶対ちげーだろ!!」
「はん、ダメダメね」
琴里が嘲るように肩をすくめる。
「わかったでしょ、こういう事。これくらいで心拍を乱してちゃ話にならないの」
「いや、これだいぶ特殊なケースだと思うぞ…………」
少なくとも戦兎はこんな事態フィクションでしか見たことがない。一体どういう経緯を得たら女性の胸に顔を埋めるという事態になるのか。
しかし琴里は聞く耳持たず、やれやれと首を振ってくる。
「こういうことも想定しておけって言ってるの。だからこそ訓練するって話なんだから」
言って、琴里が腕組みする。一方、戦兎は二人の説明に疑問を呈していた。
「ちょっと待て。精霊との対話役ってのは士道が引き受けるんだろ?俺がやったって意味がないんじゃないのか?」
「……スマッシュの出現が確認されていない場合は、状況にもよるが君に士道のサポートをしてもらうことになる。それに、もし万が一の場合には、君にも精霊との対話役をしてもらう必要がある」
「え?俺?」
「……ああ。君も、何故か特別だという事が先日分かってね。急遽予定を変更したんだ」
「………なるほど………?」
まだ説明を聞かなければならない事があるようだが、少なくとも一通りの説明は理解できた。今のところはそれで納得するしかないだろう。
戦兎に説明を終えると、令音がパソコンの電源を入れ、座面を操作する。
すると、画面上に何故かやけに洒落た文体の『ラタトスク』というロゴが表示され、その後ポップな音楽と、髪の色がカラフルな女の子と共に、『恋してマイ・リトル・シドー』というロゴが見えた。
「いや訓練ってギャルゲーかよ!」
「なんだこれ。ギャルゲー?」
「……ああ。セイは知らなかったか。まあ、君は率先してこういう物をやるとは思えないしね。簡単に言えば、恋愛シュミレーション、という奴だ。女の子と会話をしたり、デートをしたりすることで好感度を上げる、と言うものだよ」
「あ、あー……なんか、聞いたことはあるな」
確か、戦兎の世界でも流通はしていたはずだ。ただ、興味がなかっただけで。
「……まあ、百聞は一見にしかず、だ。君もやってみたらどうだろう?これはシンの方のソフトの開発段階で出来た試作品だが、一応の訓練にはなる筈だ」
そう言って機器を操作する。画面にはさっきと士道のゲームと微妙に違う画面が映し出された。
「はあ……」
まあ戦兎も、葛城巧だった時でさえ恋愛経験が全く無い。今後精霊と接触する機会があるなら、こういう経験もしておくべきだろう、と自分に言い聞かせ、マウスでスタートボタンを押した。
「ああ、士道の方はミスをしたらペナルティあるからね。昔書いた黒歴史の公開とか」
「何でっ!?」
隣の士道の悲鳴を聞きながら、戦兎はゲームを開始するのだった。
______これが、地獄の始まりになるとは知らず。
はい、どうでしたか?
グレートクローズの件、ご指摘ありがとうございました。 ついでにあんな雑なやり方で描写してすいません。今後きちんと本編でも触れますので。
デート・ア・ライブ二十巻読みました。今回も今回とて感動し、次回がとても気になる終わり方でしたね。ちなみに、この小説は、私の当初の予定通りのストーリー展開で進めます。最新刊によるストーリーの変更はありませんのでご注意下さい。
よければお気に入り登録や高評価、感想の方よろしくお願いします。
次回、第7話