殺戮者が斬る!   作:またたび猫

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皆さんお久しぶりです。今回は田代哲也さんの
新作の『怪人麗嬢』の発売記念として小説第三弾、
『アカメが斬る!』を初めて投稿させていただき
ました。本当にありがとうございます。これからも
『ロクでなし魔術講師と死神の魔術師』や更には
『ロクでなし魔術講師と白き大罪の魔術師』、
そして最後に『落第騎士と幻影騎士の英雄譚』を
最後まで読んでもらえたら嬉しいです。


後、『意見』や『感想』、『評価』、『しおり』
や『投票』なども是非、よろしくお願いします‼︎



『結果次第で良かったら続けるかもしれませんし、
悪かったら削除するかもしれません。』


因縁邂逅編
再会を斬る


人が次第に朽ちゆくように国もいずれは滅びゆく

 

千年栄えた帝都すらも今や腐敗し生き地獄。

 

人の形の魑魅魍魎が我が者顔で跋扈する。

 

天が裁けぬその悪を闇の中で始末する――――

 

 

 

 

 

 

 

 ――――帝都。

 

千年前、時の始皇帝が統一、建国した帝国の首都。

中心には荘厳な宮殿がそびえ、宮殿を取り巻く

ように都が展開している。

 

 

 

けれど千年という長きに渡って繁栄してきた

帝国は、腐敗の一途を辿っていた。

 

 

まるで末期の病魔の如く国を貪る

悪、悪、悪……。

 

 

苦しみ、絶望し、涙を流す民衆達。

けれど、彼等の言葉が聞かれる事はない。

 

 

横行する腐敗政治は止まることを知らず、

人々は圧政の中苦しみ続けるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……何度来ても相変わらずの胸糞悪い

趣味だな…帝国は…」

 

 

 

 

 

帝国の宮殿で漆黒の刀を腰差して紺色の軍服を

着ていた。一人の少年は悪態をつきながら帝都の

宮殿の廊下を歩いていた。

 

 

 

 

そして青年は玉座の前の扉について

 

 

 

「失礼します。召喚の声に応じ来ました。」

 

 

 

青年は扉を開けてそう言うと

 

 

 

「おおぉ‼︎ よく来てくれましたねぇ‼︎」

 

 

 

一人の青年は玉座の間に入ると目の前にはかなり

肥え太って更に左手には齧った後のとても大きな

骨付き肉を持っていてそして右手で青年の肩を

ぽんぽんと肩を叩きそして大袈裟に両手を広げて

高笑いする。

 

 

 

「国境の砦から遠路遥々と……よく‼︎

よく来てくれましたね‼︎ これで安心ですよ‼︎

陛下‼︎」

 

 

 

「うむ。確かに大臣の言う通りだ‼︎

これからも其方の働きに期待しているからな?」

 

 

 

 

「陛下にそのような言葉を言って貰えて

ありがたき幸せです……」

 

 

 

 

青年は膝地につけて傅きながら視線を王座に

向けると玉座に座っていたのはまだ幼い少年

だった。聞いていた通りだが……予想以上に

子供だった。見た目も、雰囲気も。

 

 

 

 

「うむ‼︎ 其方の逸話などは大臣から色々と

詳しく聞いていたからな‼︎」

 

 

「…色々、ですか……?」

 

 

 

青年は傅きながらも皇帝陛下の言葉を聞いた瞬間、

身体をピクリと反応しながらも視線を皇帝陛下に

向けると皇帝陛下は青年に満足そうな邪悪で悪魔

笑みを浮かべていた。すると青年は次に大臣に視線

を向ける。だが、それは皇帝陛下に向けた視線では

なく冷たく、光なき瞳で大臣を睨みつける。だが、

大臣はそんな視線を見て面白そうに「ヌフフ〜‼︎」

と笑みを浮かべる。

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

「陛下。私めの提案ではありますが…彼に

逆賊討伐の任務を与えてはどうでしょうか?」

 

 

「む? それは一体、何故だ。大臣?」

 

 

皇帝陛下は意味が分からないと言った表情を

しながら大臣の言葉に頭を傾げる。

 

 

「今まで彼は今迄遠くの国境の守備や革命軍達を

一瞬にして殲滅させる程の功績を残したとはいえ

守備していて物足りない様です。更に国境線の砦

からここ、帝国までのかなりの長旅ですから身体

などがかなり疲れているでしょうからねぇ?」

 

 

大臣はニヤニヤと邪悪な笑みを青年に向けて左手に

持っていた大きい骨付き肉をブチブチと肉を噛み

ちぎりながら他の将軍達がいる中、皇帝陛下に

大袈裟な演技をしながら進言して言う。

 

 

「うむ、確かに……」

 

 

(こいつ…まさか…)

 

 

そんな中、大臣のそんな表情を見た青年は一瞬

にして理解した。

 

 

 

『こいつは自分を駒として利用する気だと』

 

 

 

 

(貴方は絶対に私の為に働いてもらいますよ。

ヌフフフ〜…)

 

 

と言ってると理解した瞬間、青年はとにかく適当

な理由をつけて一分一秒でも早く急いでこの玉座

から離れようとする。

 

 

「大臣。貴方の気遣いには感謝しますが…

「うむ、そうだな‼︎大臣の言う通りだ‼︎」」

 

 

「…へ? へ、陛下……? 一体、何を……?」

 

 

青年は低い声で大臣を睨みつけながらも青年は

このまま皇帝陛下に守備していた国境の砦に戻ると

言おうとすると途中で皇帝陛下は無邪気な笑顔で

大臣に頷きながら青年の話を無視して更に話しが

進む。

 

 

(不味い…ッ‼︎ このままでは‼︎)

 

 

青年は額には一筋の脂汗をたらりと流れて今の

大臣と皇帝陛下の会話をどうしたらいいのかと

必死になって思考を巡らせているがどうやら

手遅れみたいで

 

 

「では、其方には帝国の国境の守備沿いの任務は

本日を持って解く‼︎ そして其方には新たな任務

として革命と言って我が国家に仇なす暗殺集団、

逆賊、『ナイトレイド』を一刻も早く殲滅せよ‼︎」

 

 

将軍達や大臣がいる中、皇帝陛下は大臣の言われる

ままに玉座から立ち上がりカリスマのある高らかな

宣言が響き渡った。

 

 

「ま、待って下さい‼︎ 陛下‼︎ 僕は…」

 

 

「おやおや…? もしかして 貴方は陛下の命令が

聞けないのですかなあ?逆らうのですか?それは

つまり、貴方は陛下が貴方に向けたお言葉を無下に

すると言うのですか? 陛下に忠誠を誓えないとは…

おお‼︎ とても嘆かわしい事ですぞ‼︎」

 

 

大臣は持っていた大きな骨付き肉をガブリと

勢いよくかぶり付いてボロボロと涙を流して

泣いていた。もちろん、その涙は嘘泣きである。

そんな大臣の発言を聞いていた他の将軍達が

ざわざわと周りが騒ぎ始める。

 

 

(この肉の塊が……)

 

 

青年が大臣に殺意ある瞳で睨みつけるとが大臣は

更に嬉しそうに「ヌフフ〜…」と笑いだけだった。

 

 

「其方は…其方は余の言葉が聞けないのか…?」

 

 

玉座に座っていた皇帝陛下は不安そうな顔を

しながら玉座から立ち上がって青年の顔を

見ていた。すると他の将軍達がざわざわと

騒ぎ始める。

 

 

(不味いな……)

 

 

青年は内心焦っていた。もし、ここで皇帝陛下の

機嫌を損なえば間違いなく自分は帝国の反逆者と

して認識されてそこの肉の塊(大臣)が自分の都合

のいいように罪をでっち上げられてしまうのを

知っていた。故に思考を錯誤するがしかし、いくら

考えてもいい名案は全くもって浮かばずそんな中、

皇帝陛下は更に不安そうな表情を浮かべているのを

見た瞬間、青年は拳をギュッと握って覚悟を

決める。

 

 

「…分かりました……陛下のお言葉、ありがたく

受け取らせて頂きます。」

 

 

「聞きましたか‼︎ 陛下‼︎ 陛下のカリスマある

お言葉によって彼は陛下の素晴らしさに理解

したのです‼︎ 流石は陛下です‼︎‼︎」

 

 

白々しい……この人の形をした家畜は陛下の前で心

にもない戯言をペラペラと並べて……自分が望む

結果になるようにワザと言葉巧みに仕向けたくせに

よく言える……

 

 

「おお‼︎ そうか‼︎ それでは其方のこれからの

働きに期待しているぞ‼︎」

 

 

「了解しました…陛下……」

 

 

青年が傅いている中、玉座に座って無邪気で満面の

笑みで笑っていたが少年だがそれでも帝都の皇帝

である。相応のカリスマがある。だが、まだ幼い

ため、大臣であるオネストの指示や助言で政治を

行う。完全な傀儡というわけではないがオネストに

全幅の信頼を置いており、基本的に彼の意見を優先

していた。

 

 

 

 

「では、陛下。僕はこれにて失礼しま…

「待って下さい」」

 

 

 

青年が去ろうと言葉を紡ごうすると自分の言葉を

遮る様にある人物が割り込んでくる。そして青年が

振り返ると

 

 

 

「どうしたのだ。大臣?」

 

 

 

キョトンとした表情で陛下は遮った大臣に

質問する。

 

 

 

「実は陛下にお願いがありまして…実は彼と会う

のは久しぶりなので出来れば日頃の彼の功績を

労ってあげたいのです‼︎」

 

 

 

大臣が最もそうな言葉を並べて皇帝陛下に十八番

の嘘八百の演説を大袈裟にする。

 

 

 

 

 

 

「うむ、 そうだな‼︎ では、大臣に任せるぞ‼︎」

 

 

 

「ヌフフ〜お任せ下さい。陛下‼︎

それでは、私達は一緒に行きましょう。」

 

 

 

 

「そう、ですね……それが、陛下のお望みと

あらば貴方に従いましょう…大臣。」

 

 

 

 

青年は大臣にそう言って大臣と共に皇帝陛下がいる

玉座の部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ど、土竜だぁぁぁあああ!!」

 

 

 

荷運びをしていた男の声が街道にてこだまする。

男の目の前には、オケラのような巨大な化物。

《一級危険種 》土竜。それが目の前に現れた

のだから。

 

 

 

 

「こ、こんな街道に土竜が出るなんて

聞いてねぇぞ‼︎」

 

 

 

「と、とにかく逃げるぞ!!」

 

 

 

 

もう一人、仕事仲間である男が荷を置いて逃げる

ように言った。彼らとて自分の命の方が大事で

あろう。

 

 

しかし、逃げまどう二人の間に一つの影が映った。

 

 

 

「人助けと名前売り同時に出来そうだな!」

 

 

 

「お、おい!お前も逃げーーー」

 

 

 

「一級危険種土竜…相手に不足はないな…」

 

 

 

男はその影に向かって叫ぶがもう遅い。

土竜は大きな手をその影に振り下ろした。

 

 

だがーーー

 

 

 

 

 

 

 

振り下ろした土竜の手は、細切れになって大量の血

を出しながら落ちていった。その光景を見た荷運び

の男達が息を飲んだ。

 

 

 

子供だ。右手に真っ黒な剣を持った子供が、

そこに立っているのだ。土竜は痛さのあまり

呻き声を大きく上げるが、すぐさま自分を

このような目に合わせたソレを睨む。

 

 

 

『グオォォオオオ!!』

 

 

 

 

「怒ったな」

 

 

 

少年がそう言うと残った手で再び攻撃をする

土竜だが、その影はするりとソレを避け反対の

手同様細切れにする。そして、肩に跳躍し土竜の

頭を見据えた。

 

 

 

「終わりだ!」

 

 

 

刹那、凄まじい斬撃の嵐が土竜を襲った。

その影が地面に着地した時には、もうすでに

土竜は地に伏せていたのだった。

 

 

 

「まぁ、こんなもんか」

 

 

 

「少年!!凄いじゃないか、危険種を一人で!」

 

 

 

男達は、戦闘が終わったのを見てか木の陰から

出てきた。なんともいい笑顔だ。自分たちの生活

がかかっている物が帰ってきたのだから、それは

嬉しいはずだ。

 

 

 

「ああ、まぁな。一応帝都で一旗上げる気だしな。

これくらいできねぇと」

 

 

 

「ッ!!帝都...か」

 

 

 

少年のその言葉で、男の顔が曇る。

 

 

 

「どうした?」

 

 

「少年、君が思っているほど帝都は良い場所では

ない。土竜。これなんかよりタチの悪い化物が

一杯いるんだ……」

 

 

 

「なんだよ...街中で危険種でも出るのか?」

 

 

 

「人だよ…人だけど心は化物…そんな連中

ばかりなんだ…」

 

 

 

 

 

「忠告は有り難いけど今更引き返す訳にも

いかねーよ。俺が…俺達が…帝都で稼いで

村を救うんだ!」

 

 

「そうか…これから俺たちも帝都に向かうが

一緒に行くか?助けてもらった礼も兼ねて」

 

 

 

「お、そりゃ助かるよおっさん‼︎」

 

 

 

すぐにため息を一つ吐く。倒れた馬車を起き

上がらせ男達はそれに乗り込んだ。

 

 

 

「あ、そういや名前聞いてなかったな」

 

 

 

 

「ん?俺か?俺はーーータツミ。

帝都で有名になる男だからよろしく‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌフフフ〜…どうですか?

一応、一流のシェフに用意させたのですがお口に

合いましたか?出来れば久しぶりに貴方の作る

料理を食べたいものです。」

 

 

 

「……………」

 

 

 

その後、青年はオネストと共に玉座の部屋を

出てオネストと共に食事をしていた。

 

 

 

 

オネストは肉の塊や干し肉などをガツガツと食べて

話しをするが青年は焼き魚を箸で少しずつと食べて

一向に話そうとすらしていなかった。

 

 

 

「やれやれ…だんまりですか……」

 

 

 

オネストはそう言うが青年を面白い物でも見る

様に「ヌフフ〜」と邪悪笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

「まあ、貴方は元々、あまり口数が少ない人

でしたからねぇ…【ガチャン‼︎】」

 

 

 

 

大臣が話していると青年は虚ろな瞳でオネストを

睨みつけて箸を皿の上の近くに力強く置いていた。

 

 

 

 

 

「さっきからベラベラと御託はいい…さっさと要件

を言え。無いのならば帰らせてもらうぞ…」

 

 

 

 

青年は席を立ってその場から立ち去ろうとすると

オネストはニヤニヤと邪悪な笑みを青年に向ける。

 

 

 

「酷いですねぇ…私としては久々に貴方の顔を

見たかったって言うのは本当だったのですよ?」

 

 

 

「ふん、白々しい…はっきりと言ったらどうだ?

僕を『自分の駒として利用してやる』って、そして

何故、国境の砦から帝都に呼び戻し任務の任を

解た? 返答次第では……」

 

 

 

 

「おぉ〜恐ろしいですね‼︎ 怖いですね‼︎

流石は『狂刃の…【ヒュン‼︎】

 

 

 

グサッ‼︎

 

 

 

 

オネストが青年と話していると青年は大臣にナイフ

を投げつけて壁に刺さっていた。そして青年の逆鱗

に触れたのか青年は大臣を睨みつける。

 

 

 

 

「…大臣…そんなに死にたいって言うなら

お望み通り今すぐ挽肉にしてやるぞ……」

 

 

 

 

青年が大臣に向けている瞳はまさに『憎悪』。

まるで敵として見るような瞳を向けていた。

 

 

 

 

「ヌフフ〜そんなに睨んで殺意を周りに広げない

でくださいよ? 他の者がとても怯えて息すらも

出来てないみたいですしぃ?」

 

 

 

 

 

オネストからそう言われて青年は気が付いたのか

料理長や料理人、更にはメイド達などが青年の殺意

に当てられて息すら出来ずに「はぁ、はぁ……」と

苦しそうに膝をついて悶えていた。

 

 

 

 

 

「…そうだな……」

 

 

 

 

 

青年がそう言うと先程の恐ろしい殺意は消えて安堵

する者や倒れる者、更には泣いて怯える者達が

いた。

 

 

 

 

 

「私が貴方を呼んだのはただ一つ、最近、巷で

有名な『ナイトレイド』という目障りで邪魔な

害虫共を討伐してほしいのですよ」

 

 

 

オネストはそう言ってナプキンを使って口元を

拭いて邪悪な笑みを青年に向けて浮かべる。

 

 

 

「だったら、他の将軍(ドS将軍)や暗殺部隊、

もしくはあんたの周りで媚びていた無能な腰巾着

の貴族共に頼めばいいだろう。あいつなら嬉々と

してやるだろう?」

 

 

 

青年は溜息つきながらオネストに言うがオネストは

溜息をついて困った表情で

 

 

 

 

「私もそうしようと思ったのですが殆どの無能な

腰巾着共はほんの数日でナイトレイドに殺されて

しまったのですよ。それに頼みの綱の『彼女』は

今、北の異民族討伐に向かっていて戻すのは無理

なんですよ。そして最近では、周りに群がる将軍達

も最近の革命軍の勢いににビビって亡命する者すら

増えてきて信用出来ないんですよ。なので貴方を

国境近くの砦から帝都に呼び戻した訳なのですよ」

 

 

 

 

 

 

「なるほど…だからあのドS将軍が北の異民族を

討伐して帝都に戻って来るまで僕が繋げってか?

僕があんたの指示に「はいそうですか」と簡単に

従うと思うか? だとしたら残念だったな…僕は

あんたの指示は受けないし、駒になって言いなり

になる気もないし、更にはメリットすらない。」

 

 

 

やはりか…時間を無駄にした。と言わんばかりに

興味のなくなった表情をして二度目の溜息をついて

光なき瞳の視線をオネストに向けて

 

 

 

 

「じゃあな、オネスト。 他を当たれ……」

 

 

 

「…ヌフ、ヌフフフ……‼︎」

 

 

 

 

「…何がおかしい……? ついに気でも狂ったか?」

 

 

 

青年はオネストにそう言って早歩きで扉の前の

ドアノブに手をつけて回そうとすると青年の背後

から「貴方にメリットですか?そうですねえ…

メリットならありますよ?」と人を不愉快させる

オネスト声と笑いが微かに聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

『彼女が動いていると言ってもですか?』

 

 

 

「ッ‼︎」

 

 

青年がオネストの言葉を聞いた瞬間、ピクリと

僅かだが体が反応する。

 

 

 

「なん、だと……?」

 

 

 

そして青年はオネストの一言で少し驚いた表情を

浮かべていた。

 

 

 

 

「ヌフフ〜やっぱり、勿体ぶって正解でしたねぇ。

どうです? 『誰よりも貴方を最も尊敬し最も死ぬ

ほど憎んでやまなかったあの彼女』がですよ。

どうです? とても面白いと思いませんか?」

 

 

 

 

オネストはそう言って狂気染みた笑顔と涎を

ダラダラでと流して青年に聞くが青年はつまらない

と言った興味無さそうな表情をして

 

 

 

 

「ふん、そんな事どうでもいい…」

 

 

 

 

「おや? それはどういう事ですか?」

 

 

 

オネストは少し驚いていた。青年に『彼女』の話し

になると彼は怒りを露わにすると思っていたのに

それどころか興味なさそうな表情でただ一言、

『どうでもいい…』と切り捨てたのだ。故に

オネストは彼に興味を引かれた。

 

 

 

「あいつと僕の見ている世界感が違った。ただ、

それだけの事だ。それにあいつは僕の獲物だ…

必ず、僕が殺すと決めている。それにあいつを

『復讐者』にする為だけに今まで育てて更には

『あの事件』を起こしたのだからな……」

 

 

 

 

 

「おお‼︎ 怖いですね。ですが、その言葉からするに

それはつまり……」

 

 

 

 

 

 

「あんたに従うのは癪だが、ナイトレイド討伐の

指示だけは従ってやる。」

 

 

 

 

 

「ヌフフ〜…では、よろしくお願いしますよ。

『カイドウ隊長』?」

 

 

 

「ふん、頼まれる筋合いはない……それで、

要件はそれだけか? では、失礼する。」

 

 

 

 

カイドウと呼ばれた青年はドアノブを回して

扉を開ける。

 

 

 

 

 

「あ、そうだ……一つ言い忘れてた。」

 

 

 

「おや? 何ですかな?」

 

 

 

オネストは笑いながら言った瞬間、

 

 

 

 

「ぎ、ぎゃああああああああ‼︎

痛い‼︎ 痛い‼︎ 痛いーー‼︎」

 

 

 

 

オネストはいきなり叫び始めた。何故ならオネスト

の頬には深い傷口が出来ていて赤い水滴がポタポタ

と地面に流れ落ちる音がした。

 

 

 

それは血だった。先程、投げたナイフが気付かない

うちにオネストの頬に当たっていたのだ。

 

 

 

 

 

「大臣。貴様の趣味にとやかく言うつもりはない。

だが、人の神経を逆撫でしたりする相手はちゃんと

選んだ方が良いぞ。 良いな?」

 

 

 

カイドウはオネストにそう言って長テーブルの上

にあったフォークとオネストの目の前にある干し肉

の料理にぐしゃりと鈍い音を立て突き刺してそれを

見たオネストは「分かった。分かりました‼︎」と

真っ青にして鼻水を垂らしながら泣き叫びながら

許しを請うとカイドウは哀れと思ったのか

 

 

 

 

「今回はこれくらいにしてやる。

次は無いと思え……」

 

 

 

 

カイドウはオネストにそう一言を言った後、

オネストがいる部屋を後にした。

 

 

 

 

「は、ははは…私とした事が判断間違うとは……

次はほどほどにした方が良いかもしれませんね…

でないと、私が彼に本当に惨たらしく殺されて

しまうかもしれません……」

 

 

 

 

オネストは苦笑いしながらそう呟いた後、先程、

カイドウがフォークで目の前で突き刺したが

肉の塊の料理を食べる気になれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ!!」

 

 

 

圧巻した。感動と言っても良いほどだろう。

それほどまでに、俺は帝都に心を奪われた。

 

 

 

「ここが帝都かぁ〜、ここで出世すれば村なんて

買えるかもな」

 

 

 

タツミの目的はただ一つ。ここ帝都で出世し、

自分の村を救うということだった。実はもう二人

ほど連れがいたのだが、事情から村を出るのが

俺の方が遅かったのだ。一応あちらも目的地は

帝都だから、会えれば良いんだが...

 

 

 

「ここ広いしなぁ〜。ま、イエヤスもサヨも強いし

大丈夫だろう!とにかく兵舎を探すか!!」

 

 

 

心を躍らせながら、タツミは人が集まる道を

進んでいった。そのタツミの言葉に耳を澄ませる

人間がいると気づかぬままにーーー

 

 

 

 

タツミが兵舎向かうと帝国の兵隊希望のゴロツキ達

が兵舎に集まっていた。

 

 

 

「アーーーお前も入隊希望者か…んじゃ、

この書類書いて俺ん所持ってきな」

 

 

 

「……これって一兵卒からスタートってこと?」

 

 

 

 

タツミは納得出来ずに受け付けの柄の悪い男に

質問する。

 

 

 

「当然だろ? しかも大抵辺境行きだ」

 

 

 

「そんなのんびりやってられるか‼︎ 俺の腕を

見てくれ!使えそうなら隊長クラス辺りから士官

させてくれよ‼︎」

 

 

 

 

 

タツミがそう言うと気付いた時には兵舎から

追い出されいた。

 

 

 

「なんだよ試すぐらいいいだろ‼︎」

 

 

 

 

「ふざけんな! 兵士になるのすら抽選が必要

なんだ‼︎ この不況で希望者が殺到してんだよ‼︎

いちいち見てられっか!雇える数にも限界が

あるんだよ‼︎」

 

 

 

 

「え…そうなの?」

 

 

 

「分かったらどっか行けクソガキ‼︎」

 

 

 

受け付けの男はタツミに怒鳴り散らして兵舎の

扉をバタンと音を立てて閉める。

 

 

 

 

(だったら騒ぎを起こして名を売るか?

でも捕まるかもしんねーし…)

 

 

 

タツミは地面に足組しながら考えていた。

 

 

 

すると

 

 

 

「ハーイ。お困りの様だな少年、お姉さんが力を

貸してやろうか?」

 

 

 

 

(これが帝都か…‼︎)

 

 

 

タツミはそう言って金髪の女性の胸を見て

心の中で呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間が飛ぶが夜、タツミは一人道を

歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてかだって?簡単に言うと騙された。

騒いで兵舎を追い出された後、通りかかった

金髪の美人なおっぱいのお姉さんに「隊長にして

もらうように頼んでやる」と言われ、そのワイロ

で金を全部渡してしまったのだ。すれば後は簡単。

現在このように無一文に早変わりだ。

 

 

 

 

(あっんのクソおっぱい!!

次あったらアレむしり取ってやる!!)

 

 

 

男性らしからぬ最低な考えを持っていた

タツミであった。しかし本当にどうしたものか、

このままじゃ餓死する。サヨにもイエヤスにも

あってねぇってのにーーー

 

 

 

「はぁ、前途多難すぎるだろ俺」

 

 

 

タツミががっかりしていると

 

 

 

「どうされたのですか?」

 

 

 

声が掛かった。

大人しく優しそうな口調で尋ねる金髪の少女。

品のある服装と兵士を連れていることから

上流階級の者であろう。

 

 

タツミは躊躇いがちに泊まる宿がないことを

伝える。

 

 

すると、

 

 

 

「では、是非私の家にお泊まり下さい!」

 

 

少女は嬉しいそうにそう返した。

 

 

 

その提案に申し訳なく思い断ろうとするも、

少女は「是非是非」と引く様子はない。じゃあ

それなら、と遠慮がちに少女の招待を受けることに

した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日ーーー

 

「なぁ、おっさん」

 

「おっさんというなお兄さんと呼べガキ」

 

「ガキって言うな。いやそんな事より...」

 

「お嬢様!!お待ちを!!」

 

 

「お嬢様少し抑えて!!?」

 

 

「あれってなんの修行だ?」

 

 

 

 

青く晴れ晴れとした天気。現在、アリアの付き添い

という事で屋敷の兵と共に街へ繰り出していた。

いや、そこは問題じゃない。問題はその量だ。

俺は背後に積まれた荷物の山を指差す。

 

 

 

「これおっさん達の給料の何ヶ月分

くらいっすか?」

 

 

 

「言うな。むなしくなる」

 

 

 

 

横で目を閉じる兵の一人である男、俺命名

おっさん。おっさんが言うには女というものは

誰しもあんな感じらしい。サヨなんかはすぐに

決めていたので、この光景が不思議だ。

 

 

 

「にしても本当よく買いますねアリアさんは」

 

 

 

「まぁな...お嬢様にも事情はあるんだろうよ」

 

 

 

事情?

 

 

 

「んな事より上見てみろ」

 

 

 

「上?」

 

 

 

おっさんに言われ、俺は上を向く。すると

気づかなかったが、そこには大きな宮殿が

そびえ立っていた。

 

 

 

「デケェ!?」

 

 

 

「あれがこの国を仕切る皇帝のいるとこだ。

...いや、違うな。今の皇帝は子供だ。本当に

この帝都を支配しているのはーーー大臣。

それがこの国を腐らせる元凶だ」

 

 

「ッ!!じゃあ、俺の村が重税で

苦しんでいるのも...」

 

 

 

「帝都じゃ常識だな...それにあんな連中もいる」

 

 

 

 

「ナイトレイド?」

 

 

そう言って、おっさんは後ろにあった顔つきの

張り紙を指差した。そこには《ナイトレイド》と

そう書かれた手配書があった。

 

 

 

「この帝都を震え上がらせる殺し屋集団だ。

名前の通り、ターゲットに夜襲を仕掛けて始末

する。主に富豪や重役をターゲットにしている。

だから、用心だけはしておけ」

 

 

 

「はい、もしもの時はアリアさんを連れてでも

逃げます」

 

 

 

「あら、なんの話?」

 

 

 

 

すると、アリアがひと段落入れたのかこちらに

戻ってきた。背後には兵達が更に多荷物が

持たされている。更にアリア達は次なる店へと

向かっている。タツミは前方が見えない程の包みを

抱えてひい、ひい、と疲労を隠せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜ーーー

 

コツコツと静かな廊下に足音が響く。

 

 

 

「ふふっ、やっぱり日記をつけるのは

やめられないわね」

 

 

 

アリアの母は、そう言いながら手に持っていた

小さな日記帳を眺める。

 

 

コツコツ、コツコツその音だけが響く。

しかし次の瞬間だった。

 

 

 

「え?」

 

 

 

ジャキンッと、まるで金属を擦り合わせたような

音が鳴った。

 

 

その音の正体は、ハサミ。巨大なハサミ。

そして、それで切ったものはーーー自分自身

だった。

 

 

 

「すいません」

 

 

 

血が綺麗な廊下に飛び散る中、

一人の女性がそう言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「ぐ…う…た…助けて…娘が…娘がいるんだ‼︎」

 

 

 

アリアの父が自分の首を絞め殺そうとする

金髪の女性に命乞いをする。

 

 

 

「安心しろ、すぐ向こうで会える。」

 

 

 

だが、そんな命乞いを許さないと首を絞める

手の力を更に強くする。

 

 

 

「娘まで…情けはないのか⁉︎」

 

 

 

 

「情け…? 意味不明だな」

 

 

 

アリアの父は金髪の女性にそう訴えるが金髪の

女性はアリアの父の言葉を鼻で笑ってそう言った

後、【ゴキン】と音を鳴らしてアリアの父の首を

へし折った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜。何者かの殺気に気づいたタツミは

ベットから飛び起きた。

 

 

 

「なんだ…殺気⁉︎」

 

 

 

その時、タツミの脳裏に浮かんだのは昼間警備兵

の男との話が思い出されていた

 

 

「帝都を震え上がらせている殺し屋集団だ…帝都の

重役達や富裕層の人間が命を狙われている」

 

 

 

その時、外の様子を確認するため窓の外を確認した

時彼等はいた。

 

 

 

満月を背にして、彼等は標的の屋敷を見下ろす

ようにいた。

 

 

ナイトレイドの襲撃である。

 

 

 

「富裕層だからってここも狙うのかよ⁉︎」

 

 

 

屋敷の異常に気づいた警備兵はすでに行動を

起こしていた。突如襲来したナイトレイドへの迎撃

に向かうため屋敷の警備兵の中では、タツミが強い

と一目見ただけで分かった腕利きの3人が向かって

いった。

 

 

 

「俺はどうする⁉︎加勢に行くか…護衛に行くか」

 

 

 

タツミは考える間も無く、すぐに護衛に行動を

移した。何故なら迎撃に向かった屋敷の警備兵3人

が瞬く間にナイトレイドに殺されてしまったからで

ある。彼が護衛に行く決意をしたのはせめて恩人で

あるアリアだけでも助けねばという考えから

であった。

 

 

 

〈せめて、せめてアリアさんを守らないと!〉

 

 

 

 

屋敷の裏口の道を最短ルートで探していた

タツミであったが、屋敷が広かったため時間が

掛かりはしたものの運良くアリアとその護衛を

務めていた者に合流できた。

 

 

 

だが、そこでアリアの護衛を務めていた警備兵の

男から異常を察知した帝都の警備兵が来るまでの

間ナイトレイドの連中を食い止めてくれと頼まれ

なし崩し的に引き受ける形になってしまった

タツミ。そこに追ってきたナイトレイドの追っ手

である少女とあわや戦闘となるかと思われるも、

少女はタツミを無視して護衛とアリアに向かって

いった。護衛の警備兵が手にしていたマシンガン

で少女に発砲するも、少女の斬撃の方が圧倒的に

速く一足にて必殺の間合いに入ると一閃すると

護衛の警備兵は上半身と下半身が泣き別れして

絶命してしまった。

 

 

 

「ヒィッ」

 

目の前で人が真っ二つにされた光景を見てしまい

腰がぬけてしまったアリア目の前には、そんな

惨殺死体を作り出した暗殺者がいた。

 

 

 

「待ちやがれ!」

 

 

 

アリアを守るためにタツミが少女に斬りかかる

 

 

 

「お前は標的ではない、斬る必要はない」

 

 

 

尚も表情を変えずに少女は淡々という

 

 

 

「でもこの娘は斬るつもりなんだろ」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「うん⁉︎」

 

 

 

「邪魔すると斬るが?」

 

 

殺気は感じられないが警告をするようにタツミに

聞いてくる

 

 

 

「だからって逃げられるか!」

 

 

 

タツミが覚悟を決めて、叫ぶ

 

 

 

「そうか、では葬る」

 

 

 

瞬間、少女の殺気が倍増されビリビリとタツミ

の肌に突き刺さる。

 

 

 

 

明確に相手の少女はこちらの事を殺すと言った。

今まで感じたことのない殺気に気圧されるタツミ

であるがアリアを守ると決めた以上絶対に負ける

わけにはいかなかった。

 

 

 

 

(少なくとも、今の俺に勝てる相手じゃない。

けど、そんなこと気にしてられない!)

 

 

 

(そもそも女の子一人救えない奴が村を

救えるわけがない!)

 

 

 

その瞬間同時に飛び出していく二人。

 

 

 

最初の一撃を受け止め、お互い鍔迫り合いに

もたれるも、タツミはすぐに剣を振り上げ少女に

一太刀を浴びせようとする。それを軽い身のこなし

で上にジャンプして回避する少女は続けてタツミに

蹴り技を与える。

 

 

 

(ま、まずい!)

 

 

 

蹴り技によってダメージを受けたのではなく、

体制を崩されたことでタツミが無防備な状態に

なってしまった。

 

 

そこへアカメの突きが繰り出された。

 

 

 

ザシュ

 

 

 

アカメの帝具村雨の一撃を食らってしまい力なく

倒れるタツミだが、まだ息はあり多少突きの衝撃

は残っていたもののダメージは無かったタツミ

 

 

 

(来い、油断してこっちに来やがれ)

 

 

 

「…」

 

 

〈先程の刀の感触は、人体ではなかった

この男油断できない〉

 

 

 

「へ、油断して近づいてもこないのかよ」

 

 

 

「手応えが人体ではなかった」

 

 

 

タツミが胸元のシャツから取り出したのは木彫り

の人形のようなもので、誇らしげにかかげながら

 

 

 

「村の連中が守ってくれたのさ」

 

 

「葬る」

 

 

 

「ちょっと待って。お前ら金目当てかなんだろ

この娘は見逃してやれよ。戦場でもないのに罪も

ない女の子を殺す気か!」

 

 

 

タツミがアカメにそう言うが

 

 

 

 

(ダメだ、コイツ全く話を聞いてねぇ!)

 

 

 

そして少女の刀がタツミを斬ろうとし、

タツミが死を覚悟した瞬間

 

 

 

「待った」

 

 

 

少女の後ろから別の人物が現れ少女を引っ張った

 

 

 

「何をする」

 

 

 

 

「まだ時間はあるだろ、この少年には借りが

あるんだ返してやろうと思ってな。」

 

 

 

 

タツミには嫌でもその人物に見覚えがあった。

 

 

 

「あんた、あの時のおっぱ!」

 

 

 

その人物はタツミが最初に帝都に訪れた時に金を

騙し取り、野宿をする羽目になった原因である

レオーネだった

 

 

「そうだよ美人のお姉さんだ」

 

 

 

レオーネはタツミに笑顔を向けウインクして

みせそういった

 

 

 

「少年、お前罪もない女の子を殺すなといったが

これを見てもそんなことが言えるかな」

 

 

 

レオーネが屋敷の倉庫の前に立つと凄まじい

動物の脚力でそれを蹴破った

 

 

 

「見てみろ、これが帝都の闇だ」

 

 

 

 

倉庫の中にあったのは夥しい数の凄惨な

死体で溢れていた。

 

 

 

手足がちぎれているもの、目玉がないもの、

凄まじい数の拷問器具にはどれも元の色が

分からないほどに血で染まっていた。全員が

苦悶の表情を浮かべており、想像を絶するもので

あったことが窺いしれる。

 

 

 

「な、なんだよコレ…」

 

 

 

「地方から来た身元不明の者達を甘い言葉で

誘い込み己の趣味である拷問にかけて死ぬまで

弄ぶ。 それがこの家の人間の本性だ。」

 

 

 

 

そんな隙を突き、アリアが静かに逃げ出そうと

するのをレオーネは見逃さずすぐにアリアを

捕まえた。今のレオーネの表情は先程とは違い

殺し屋の顔に戻っていた

 

 

 

「この家の人間がやったのか」

 

 

 

 

「そうだ、護衛達も黙っていたので同罪だ」

 

 

 

「う、嘘よ‼︎私はこんな場所があるなんて

知らなかったわ‼︎ タツミは助けた私とコイツら

とどっちを信じるのよ‼︎」

 

 

 

ナイトレイドの下調べで既にアリアが関わっていた

ことはわかっていたがまだ嘘をつこうとする様子に

レオーネは蔑みの眼差しを向ける。

 

 

そんな時、倉庫の檻から声が聞こえてきた。

 

 

 

「タ、タツミだろ、俺だ」

 

 

 

「イエヤス⁉︎」

 

 

 

そこにいたのはバンダナが特徴的な村の

ムードメーカー的な存在であったイエヤスが居た。

今のイエヤスは身体中に斑点模様があり誰が見ても

異常があるのは明らかであった。

 

 

「俺とサヨはその女に声を掛けられて、

飯を食ったら意識が遠くなって気がついたらここに

いたんだ。その女がサヨをいじめ殺しやがった」

 

 

 

 

アリアを睨みながら言うイエヤスの表情は親友の

命を奪った者に向けられる憤怒の形相であった。

 

 

 

「何が悪いって言うのよ‼︎ お前達は何の役にも

立てない地方の田舎者でしょ!家畜と同じ、それを

どう扱おうが私の勝手じゃない‼︎だいたい、その女

家畜のくせに髪がサラサラで生意気すぎ、私が

こんなにクセッ毛で悩んでるのに、だから念入り

に責めてあげたのよむしろこんなに目を掛けて

貰って感謝すべきだわ!!」

 

 

 

タツミの目の前で自分の罪状をまくし立てる

アリアの表情は醜悪そのものであった

 

 

 

「最後に一つ聞きたい、サヨはサヨは何処だ」

 

 

 

そう倉庫の中のどこにもサヨはいなかったのだ、

タツミはアリアが自らの罪状を言っていた後半

あたりから何も聞いていなかった。もうすでに

タツミはアリアを殺すことに決心がついていた。

 

 

 

「知らないわよ、そんなの。それより私に恩を

感じてるならはやくコイツらを殺しなさい!」

 

 

 

「善人の皮を被ったサド家族か邪魔して

悪かったなアカメ」

 

 

 

「葬る」

 

 

 

「待て」

 

 

 

「まさか、またかばう気か?」

 

 

 

「いや、俺が斬る」

 

 

 

タツミは憤怒の表情でアリアを斬り伏せた。

その瞬間、アリア「あ」と小声で言った後、

その場に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオーネは「ふぅん…」呟いてタツミを見ていた。

 

 

 

 

(憎い相手とはいえ躊躇わず斬り殺したか…)

 

 

 

レオーネが感心していると

 

 

 

 

 

「へへ…さすがはタツミ…スカッとしたぜ……!

ゴフッ」

 

 

 

「! どうしたイエヤス!」

 

 

 

イエヤスの容体がおかしくなったのに気付いた

タツミは急いでイエヤスの元へ向かう。そして

イエヤスの体を持ち上げて声を掛けるがアカメが

やって来て

 

 

 

 

 

「ルボラ病の末期だ…ここの夫人は人間を薬付けに

してその様子を日記に書いて楽しむ趣向があった…

ソイツはもう助からない」

 

 

 

助からない…? 誰が? イエヤスが? 嘘だろ?

どうして?

 

 

 

タツミがそう考えていると

 

 

 

 

「…タツミ」

 

 

 

と小声だったがいつも聴き慣れているイエヤス

の声が聞こえた。そしてイエヤスは更に話しを

続ける。

 

 

 

「サヨはさあ…あのクソ女に最後まで

屈さなかった…カッコ良かったぜ…」

 

 

 

 

やめろ…やめてくれ‼︎そんな最後の別れ

みたいな言葉を言わないでくれ‼︎

 

 

 

 

 

「だからこのイエヤス様も最後は…カッコ良く…」

 

 

 

イエヤスはタツミにそう言うと一言も

発さなくなった。

 

 

 

「もう気力だけでもってる状態だったな…」

 

 

 

アカメがタツミに一言、言うが今の

タツミには全く聞こえておらずただ一言、

 

 

 

「……どうなってんだよ帝都は…」

 

 

 

 

 

タツミはそう呟いた後、イエヤスの遺体を

抱きしめて涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと...アカメでいいのか?」

 

 

 

「ああ、なんだ」

 

 

 

「さっきはすまなかった。

事情を知らなかったとはいえ攻撃してしまって」

 

 

 

 

俺はアカメに向かって頭を下げる。女性の腹を

蹴り、地面に叩きつけたのだ。それ相応の事を

されても文句は言わまい。しかし、その返事は

予想していないものだった。

 

 

「なら、仲間になれ」

 

 

「....へ?」

 

 

「おぉーアカメ、ナイスアイデア!!確かに

かなり...いや、とてつもなく強かったよな少年」

 

 

「は?ちょ....」

 

 

 

なんだ、勝手に話が進んでいってるぞ!?

 

 

 

「んじゃ、とりあえず運ぼうか。

私はこの少年運ぶから」

 

 

「うん」

 

 

「お、おい離せ!?」

 

 

 

「大丈夫だ。後で死体は私が持って行くから」

 

 

 

だが、そんな申し出も受ける事なく俺は他の

仲間がいるところへと連れて行かれる筈だった。

 

 

 

 

「おいおい…そんなつれない事を言うなよ?

せっかく偶然とはいえ、会えたんだからもう少し

付き合ってもらおうか。そこの『暗殺を革命や正義

と称して掲げている』巷で有名な暗殺集団の

ナイトレイドさん?」

 

 

 

「誰だ‼︎」

 

 

レオーネは叫ぶが姿は見えない。だが、アカメは

その声に聞き覚えがある。

 

 

 

『絶対に忘れてはいけないあの人の声。』

 

 

 

 

アカメは一歩、また一歩と歩き始めてそして

徐々に走り始める。

 

 

 

「おい‼︎ 戻ってこい‼︎ アカメ‼︎ アカメーー‼︎」

 

 

 

レオーネが叫ぶ様にアカメを呼ぶがアカメには

全く届いておらず、更には腰あった愛刀の村雨を

何の躊躇いなく抜刀している。

 

 

 

(この声といい…この様な戦法をするのは

間違いなくあの人しかいない‼︎)

 

 

 

 

 

アカメは村雨を構えて何のためらいもなく

振りかざした。その瞬間、暗闇の中、金属が

【ガチン‼︎】とぶつかり合う音がして火花が

散った。

 

 

 

そして漆黒の刀を持った『ある人物』の姿が

あった。

 

 

 

 

『久しぶりだな…アカメ?』

 

 

 

 

「カイドウーーーーー‼︎‼︎」

 

 

 

カイドウは無表情で冷たい声でアカメの名前を

呼ぶとアカメは殺意と憎悪が混ざったような瞳を

カイドウに向けて睨みつけながらカイドウの名前を

叫び再び火花が散りながらもお互いの刀の刃が

ぶつかり合った。




読んでいただき本当にありがとうござました‼︎
これからも豆腐の様なメンタルの自分ですが
これからもなど応援をよろしくお願いします‼︎

後、近いうちに投稿するかもしれません。
『ロクでなし魔術講師と白き大罪の魔術師』や
多分、『ロクでなし魔術講師と死神の魔術師』
を出す予定です。



投稿終わった……疲れた…(( _ _ ))..zzzZZ

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