殺戮者が斬る!   作:またたび猫

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皆さんお久しぶりです‼︎
今回はクリスマスが近いので頑張って投稿を
させてもらいました‼︎


『お気に入り』や『投票』更には『栞』、そして
『他の作品』を見てもらえたら嬉しいです‼︎


後、新しく書き直しして投稿させてもらいました。
応援してもらえると豆腐のようなメンタルが
元気になります‼︎


お知らせがありますのでもしよければ
下を見ていってください‼︎







【注意】

今回のお話は残酷過ぎる内容とサイコパスに近い
様なヤバさを表現したお話です。もし、それでも
良ければ是非お願いします‼︎

『何があっても責任は取れませんので自己責任で
お願いします。』



悪鬼なる者と無力なる現実

「だ、誰か……」

 

 

薄暗く消毒液などの薬品などが蔓延して更には

様々な場所に血溜まりや飛び散った血が壁や天井

などあり狭い部屋で聞こえるか分からないような

今にも掠れそうな声で

 

 

「たす…助け…て……」

 

 

 

誰もいるはずのない部屋に誰かに助けを求める

ように血が付着してる天井を見上げて縋るように

虚な瞳で手を伸ばしていた。

 

 

 

そんな時、

 

 

 

 

 

「助けてほしい?」

 

 

 

「えっ……?」

 

 

助けを求める子供の前に現れた人物は子供に

一言聞く。その言葉が予想外だったのか驚いた

表情をしていた。

 

 

 

「どうする? それとも、このまま薄暗い部屋に

居たいのか?」

 

 

 

「そ、それは……」

 

 

 

目の前の人物は『自分のことは自分で決めろ』と

言われている気がした。

 

 

「わ、私は…ーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ……ッ‼︎」

 

苦しそうな声を上げた人物は膝を地につけて

ドクドク…ととても痛々しい血塗れの右肩を

押さえていた。更には血塗れ右肩から一筋の血液が

ダラダラと流れて右手に握っていた刀にも着いて刃

にまで滴り落ちている中、視線を目の前に向けて

『目の前にいる人物』に向けて『憎悪が宿った瞳』

で睨みつけていた。

 

 

弱い……

 

 

『この程度か…程度なのか? お前の僕に対する

憎しみは、絶望は、嘆きは、苦しみは、怒りは

そしてーー』

 

 

 

 

だが、苦しそうな声を上げた人物の前立っている

人物は対しことはないと言ったように涼しい顔を

しながらも残念そうな声で言いながら漆黒の刀を

くるりと綺麗な円を描くように一回転させて鞘に

収納して懐から漆黒のナイフを取り出してギュと

握って一歩、また一歩とコツコツと音を立てて

歩いてゆっくりと近づいてきてアカメに向けて

容赦なく振りかざしくる。

 

 

「ぐっ‼︎」

 

 

弱過ぎる……

 

 

苦しそうな声を上げた人物の身体はもう満身創痍の

状態のせいなのか攻撃を受けるのもやっとの状態で

あるのか傷口から血がボタボタと流れてあ目の前の

人物はそれを見逃さなかったなかのか一旦、距離を

離し闇夜に紛れながらも懐から更に漆黒のナイフを

三、四本投擲してそして夜の暗闇を利用して足音を

消して暗闇の中を移動している中、そして刀で投擲

したナイフが全部弾かれたのを確認した後、目の前

まで移動しており上げて苦しそうな声を出した人物

の首筋へと無理矢理押し込んでいく

 

 

そしてーー

 

 

『憎悪や復讐心が宿った心と刃はこの程度なのか?

それとも取るに足らない事だったのか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

『なあ、アカメ…?』

 

 

これは、とてもじゃないが…弱すぎて全然、

話しにならない…むしろ勝負以前の話だ……

 

 

今のお前に刀では大人気ないようだな……

それどころか今のお前にはナイフだけで充分だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カイドウ…‼︎ カイドウゥゥゥゥウウウ‼︎」

 

 

アカメはカイドウの名前を呼びながら愛刀村雨

を構えて憎む相手カイドウ目掛けて走りながら

切り掛かっていく。

 

 

「葬る‼︎」

 

 

そう言って頬を狙った突きをする。

だが、カイドウは漆黒のナイフで村雨の軌道を

僅かにずらしていく。

 

 

「葬る‼︎ 葬る‼︎ 葬る‼︎葬る‼︎ 葬る‼︎ 葬る‼︎葬る‼︎

葬る‼︎ 葬る‼︎ 葬る‼︎ 葬る‼︎ 葬る‼︎ 葬る‼︎」

 

 

 

アカメは更に刀の斬撃を増やすがカイドウは

左右交互にアカメの刀の斬撃をナイフなどで

容易くいなしていく

 

 

 

嗚呼、やっぱり……やっぱりだ……

 

 

 

その時カイドウは『ある一つの確信』を

得ていた。

 

 

 

 

それはーー

 

 

  

 

ガッカリだ……ガッカリだよ、アカメ……

 

 

 

それは『前よりも弱くなっているとーー』

 

 

お前は……お前は前よりも弱くなっている。

 

 

「葬ーー「馬鹿の一つ覚えみたいに吠えるな」」

 

 

「がっ‼︎」

 

 

アカメ斬撃を繰り出そうと村雨を振り下ろした

瞬間、カイドウは漆黒のナイフで村雨の刃を

滑らせて軌道をずらした後、アカメの腹部に

思いっきり力を込めた蹴りを入れる。

 

 

「ぐっ…うっ……」

 

 

そしてアリアが住んでいたであろう屋敷の壁に

打ち付けたせいか立てずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい‼︎ これ、まずいんじゃないのか⁉︎」

 

 

「確かに…これは本当にやばいなぁ……」

 

 

 

タツミが慌てながらもレオーネに言う。

 

 

レオーネも額に一筋の汗を流しながらも

内心焦っていた。

 

 

(まさか…あのアカメが何も出来ずにここまで

追い詰められるなんて……)

 

 

アカメはナイトレイドの中ではかなりの強者だ。

だが、あのカイドウという青年はそのアカメの

彼女の攻撃をあの剣捌きを軽々と捌き、そして

あそこまで追い詰めている……

 

 

「いいか…タツミ、何があっても絶対に

動いちゃダメだからな…」

 

 

「ね、姐さんは……?」

 

 

タツミは心配そうに恐る恐るレオーネに

聞くとレオーネは苦笑いの表情になって

 

 

「アカメの援護に行ってくるよ。

それに…今のアカメはほっとけないからな……」

 

 

「とにかく、何があっても動くなよ…」とタツミ

に二度念を押す言葉を言った後、レオーネは

アカメとカイドウと呼ばれた青年がいる所へと

向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

「何故だ…何故お前はそんなにも脆弱に……

『脆い鈍のような刃』になってしまったんだ…」

 

 

 

一歩、アカメの前に近づく

 

 

 

「なにがお前を弱くさせてる? なにがお前を縛り

続けている? なにがお前をそこまで愚かになって

更には堕落させ子供のように見苦しく縋り付く?」

 

 

 

もう一歩、近づく

 

 

 

するともう目の前には座り込んでしまい

立てなくなったアカメの前にいた。

 

 

 

そしてナイフの鋒を『アカメの左目のギリギリ』

に躊躇いなど一切なく向けていた。

 

 

 

「それともーー」

 

 

 

カイドウはそう言うとアカメに向けていたナイフを

背後に投擲して更に鞘に収納していた漆黒の刀を

いきなり抜刀をして背後も見ずに振り返って刀を

縦へと振りかざした。

 

 

 

「ぐっ…‼︎ あがっ…‼︎」

 

 

すると背後からとても痛々しそうな声が

聞こえてきた。

 

 

「こいつのせいか?」

 

 

「レオーネ‼︎」

 

 

「大丈夫だ‼︎ 問題ない‼︎」

 

 

 

アカメは叫んだ。何故ならレオーネの太腿には

カイドウが先程投げた漆黒のナイフ一本が痛々しい

ぐらいに深々と刺さっていていたからだ。

 

 

 

(この程度の傷口どうということはない……)

 

 

レオーネは太腿に深々と刺さっているナイフを

引き抜いて捨てた後、ゆっくりと立ち上がろうと

するがフラフラな状態で立ち上がろうとするが

その姿を見ているカイドウは溜息をついて

 

 

 

「それを見て本当に大丈夫なら、な…」

 

 

 

べちゃりーー

 

 

 

カイドウがそう言った瞬間、べちゃりととても

生々しい音が右から聞こえてきた。

 

 

 

そしてレオーネは『ある違和感に気付いた。』

 

 

(えっ…?)

 

 

 

それはーー

 

 

 

 

 

『右腕が……右腕が、ない…?』

 

 

 

(う、嘘、だろ……ッ‼︎)

 

 

気がつけばレオーネはカイドウの漆黒の刀に

斬られていた。そしてその斬られた刀傷の痛みや

違和感などは全く感じなかった。しかしその感じた

痛みは肩から下まで斬られた傷口であって右腕の

痛みはカイドウに言われるまでは全くもって

気が付かなかった。

 

 

 

「う、うががぁぁぁぁぁぁああああ‼︎」

 

 

レオーネは右腕を切断されたのを理解した瞬間、

右腕の激痛がレオーネを襲う。尋常じゃない激痛

どころか切断された右腕から大量の血液がポタポタ

と音を立てる中、レオーネはとても苦しそうに苦痛

に満ちた表情をして膝を地に付けて悲鳴を上げて

その場で蹲っていた。

 

 

 

そうレオーネの右腕、正確には右腕の関節辺りが

綺麗に切り取られたその切断された右腕からは

ポタポタと大量の血が滴り落ちてレオーネの足元

の周囲は小さくはあるが血の水溜りが出来ていた。

 

 

 

「もういい‼︎ 私を置いてタツミを連れて一緒に

逃げろ‼︎  レオーネ‼︎」

 

 

アカメがレオーネにそう叫ぶがレオーネは

逃げる気配が全くない。

 

 

 

「い、嫌だね……仲間を見殺しにして自分だけ

のうのうと生きろなんて死んでも嫌だね…ッ‼︎」

 

 

レオーネは右腕を押さえながらアカメの前に

立ってアカメを庇うように戦闘態勢に入っていた。

 

 

 

「そうか……だったらーー」

 

 

するとカイドウはレオーネにそう言った瞬間、

 

 

「ここで屍を晒して死ね」

 

 

そう言った後、カイドウは視線をアカメに移して

 

 

 

『そうすればアカメがもう一度『復讐者』に

戻り前よりも更に刃は憎しみが込められ鋭い

殺意の刃になる筈だ。』

 

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

カイドウはそう言った後、一瞬にしてレオーネ

の間合い入り込んで刃をレオーネの首元に当て

ようと下から振り上げる。

 

 

 

「くっ‼︎ 」

 

 

 

だが、間一髪だったからかカイドウの刀が振り

上げるられる瞬間、刃とレオーネの顔がギリギリに

なるぐらいの紙一重でなんとか斬撃を避ける。

 

 

「ほう…避けたか……」

 

 

「ふん、 当たり前だろ…お前が思っているほど

私はヤワじゃないからな……」

 

 

自分の振るった刀の刃で右腕を切り落とされた重症

の状態でありながらも紙一重で避けて此方を睨み

つけ怒りや憎しみなど殺意の宿った瞳の視線を

向ける人物ーーレオーネに少し興味を持っていた。

 

 

「そうか…じゃあ、これならどうだ?」

 

 

カイドウはレオーネの不意を突いて刀の鞘で

レオーネの溝に思いっきり打ち込む。

 

 

「ぐっ…あ、あがっ‼︎」

 

 

するとレオーネは蹌踉ながらもカイドウから

ゆっくりと距離を取りながらも苦しそうな顔を

しながらも殴られた胸元を押さえていた。

 

 

「さて、どうする…アカメ? 早くしないと

この女を微塵切りにして殺してーー【ガチン‼︎】」

 

 

 

苦しそうな表情をしていたレオーネの元に近づいて

いたカイドウはレオーネを蹴り倒して切断された

右腕を足蹴にしてレオーネを首筋に冷たい刃を

当ててアカメに聞こうとした瞬間、カイドウの

首筋辺りに鉄と鉄がぶつかり合う金属の鈍い音が

聞こえた。

 

 

「あ、アカメ……?」

 

 

レオーネはアカメに声を掛ける。

しかし、レオーネはあることに気が付いた。

それは目の前にいるアカメの姿はとてつもない

雰囲気と気配を感じたからだ。

 

 

「カイドウ……」

 

 

「なんだ?」

 

 

アカメは顔を俯かせたまま傷だらけのフラフラ

な状態の身体であったが必死になってなんとか

して立ち上がった。

 

 

「貴様にとって『私の存在』はなんだ……」

 

 

 

そしてアカメがカイドウにそう質問すると

 

 

「なんだ、そんなことか?」

 

 

カイドウは溜息を吐きながら光がない冷たい瞳

をアカメに向ける。

 

 

『僕にとってお前という存在は『器』だ』

 

 

「器だと…?」

 

 

カイドウのその『器』という言葉を聞いた瞬間、

アカメの肩がピクリとさせて反応する。

 

 

「そうだ、お前を…『お前達』を拾ったのは僕が

頂きへと至る為に必要な器だと思ったからあの時

『君達』を助けんだよ?」

 

 

そうカイドウは言うとケラケラとアカメを嘲笑う

様に笑った。

 

 

 

「この、クズ野郎が…ッ‼︎」

 

 

レオーネは苦しそうな表情をしながらもカイドウを

睨みつけて顔を真っ赤にさせていた。

 

 

「…………」

 

 

カイドウは視線をレオーネを向けて漆黒の刀の刃を

レオーネの横腹を突き刺す。

 

 

「が、がはっ…ッ‼︎」

 

 

 

「レオーネ‼︎」

 

 

「うるさい。それに君は僕をクズだと言ったけど

君達も『正義』や『平和』のためにって言ってる

けど『同じクズという名の同類』だと思うけど?」

 

 

 

カイドウはそう言った後、レオーネを突き刺した

漆黒の刀を引き抜いて視線をアカメに向ける。

 

 

 

「しかも何も疑わず純粋な笑顔を僕に向けるあの時

のアカメ姿を見ていて本当に滑稽だったよ」

 

 

その笑う顔はまるでーー

 

 

 

 

 

 

『まあ、そのせいでお前のーー「黙れ‼︎」』

 

 

 

 

 

『悪魔のような笑みだった』

 

 

 

 

まさに邪悪、光を映さない漆黒ような瞳と口元は

三日月のように口角を上げて不気味な笑みを作り

ながらアカメを見ている。

 

 

「もう良い……貴様はーー」

 

 

 

アカメはそう言った後、アカメは俯いた顔を

上げた。

 

 

 

「今すぐここで葬ってやる(殺してやる)……ッ‼︎」

 

 

私は何処かで彼を信じていたのだろうと……だが、

駄目だ…目の前の奴(悪鬼)をこの手で切り刻み

息の根を止めなければこの身の憎悪が、憤りが

収まらない。それどころかあの悪鬼を最後まで

信じた愚かな自分自身に憤りを感じてしまい正気

を保つ理性が焼き切れてしまう……

 

 

 

今のアカメのその瞳には今までない程の『殺意』を

向けながら村雨を構えて刃をカイドウに向けて

 

 

「カイドウゥゥゥゥウウ‼︎」

 

 

アカメはカイドウの名前を叫びながら村雨を

カイドウに向けて振り下ろした。

 

 

だが、

 

 

 

「はぁ…やっと殺す気なっててくれたか……

だがーー」

 

 

 

カイドウはアカメの攻撃を軽々と避けた。

 

 

「感情任せに刀を振っているせいで単調的で

隙だらけだぞ? アカメ。」

 

 

 

「うるさい‼︎ 黙れ‼︎」

 

 

カイドウは煽るようにアカメにそう言った後、

アカメは叫びながら先程より更に憎悪に満ちた刃

と瞳を向けるがカイドウはそんな憎悪の瞳と刃を

大したことがないと言った表情をした後、アカメ

の首をがっしりと掴んだ。

 

 

「ぐっ…がぁ‼︎ 」

 

 

アカメが苦しそうな表情をしながらもカイドウに

憎悪の瞳を向けてながらも右手に握っていた村雨

を更に強く握り締めていた。

 

 

「君が僕に憎しみを抱いてくれるおかげで自分が

生きているんだという感覚を感じ味わえ更なる

高みへと近づける」

 

 

(こいつは…こいつは…絶対殺してやる…ッ‼︎)

 

 

例え…差し違えようと…‼︎

 

 

アカメは村雨で自分自身の首を締め付けている

カイドウの右腕を愛刀の村雨で切り捨ててやろう

と考えていると

 

 

 

「アカメを離しやがれ‼︎ 

このクズ野郎がぁぁああ‼︎」

 

 

 

カイドウが声がする方へ視線を向けると背後には

 

 

「バ、バカ…野郎……ッ、あれ程言っただろう…」

 

 

レオーネは血塗れの体でうつ伏せの状態で

苦しそうにゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

 

『タツミ』

 

 

レオーネがそう言った後、タツミは剣を構えながら

剣の鋒をカイドウに向ける。

 

 

「い、命の恩人の姐さんやアカメを…見殺しに

なんてできるわけないだろう……ッ‼︎」

 

 

タツミがレオーネにそう言うと

 

 

 

「少年…いや、タツミ……だったか?

地に付している彼女の言う通り止めといたほうが

良い……それに今のお前の力で彼女達を守れると

思うか?」

 

 

 

「えっ…?」

 

 

カイドウの言った瞬間、タツミは一瞬にして理解

した。『目の前にいる人の形をした恐るべき者』、

まさに『異形』と呼ぶにふさわしい敵に剣を向けて

みて未熟な自分でも分かる。現に自分が持つ剣の手

が震えてしまっている。

 

 

 

「それ以前にーーー」

 

 

 

カイドウは視線をタツミに向けて話した瞬間、

一瞬にして消えていた。

 

 

「なっ‼︎ ば、バカな…ッ‼︎ 消えただと…ッ‼︎」

 

 

 

タツミは間抜けな声を上げて必死になりながらも

周囲を見渡してカイドウを探す。

 

 

 

そしてーー

 

 

 

 

 

 

『身の程を弁えろ……半端者め』

 

 

 

「あっ…がぁ‼︎」

 

 

タツミが背後を振り返ればカイドウがいてタツミ

は剣を振りかざそうとするとカイドウの回し蹴り

が早かったのかタツミの腹を思いっきり当たり

タツミの身体が勢いよく吹き飛ばされた。

 

 

「さて、これで静かになったな」

 

 

カイドウはタツミにそう言った後、視線を

レオーネに向けて一歩、また一歩進めた。

 

 

 

そしてレオーネの首筋の頸動脈にレオーネの血で

染まった冷たい漆黒の狂刃の刃を当てる。

 

 

 

「アカメだけは生かしてやるからお前達は安心

して首を刎ねられて死んでくれ」

 

 

カイドウはレオーネにそう言って首筋に当てていた

漆黒の刃はまるで死の宣告を告げる狂気の刃に見え

その刃は少しずつと上に上げられていきレオーネの

首筋目掛けて振り下ろそうとする。

 

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

「ッ‼︎ これは……」

 

 

 

カイドウは素早くレオーネから離れて二、三回

刀を振る。

 

 

するとキン‼︎ キン‼︎と高い音と小さな火花が

この屋敷の主人や誰もいなくなった大量の死体と

人間の血塗れの真っ暗な屋敷の庭の中で響き渡り

飛び散った。

 

 

「ちょっと‼︎ うそでしょ⁉︎」

 

 

屋敷の屋根の上から少女の声が聞こえたタツミ

は視線を屋根の上に向けると両手で銃を持って

汗を流し驚いた表情をしたピンクの髪の女性が

いた。

 

 

あり得ない…本当にあり得ないわ…だってこんな

にあっさりと私の撃った弾丸を全て真っ二つに

切り捨てられるなんて……ッ‼︎

 

    

「そこか」

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

ピンクの髪のツインテールにまとめている勝ち気な

性格少女は初めてのことだったのか少し戸惑った

表情を浮かべているとカイドウが氷のような冷たい

一言を発して視線をピンクの髪の少女に向けた

瞬間、ピンクの髪のツインテールにまとめている

少女の身が【ゾクリ‼︎】と寒気を感じた。

 

 

寒いからじゃない。カイドウを見て人間の本能

だろうかとてつもなく寒気を感じる。

 

 

ピンクの髪の少女が考えていると

 

 

「敵を目の前にして考え事とはなぁ…随分と

余裕があるんだな…小娘?」

 

 

「しまっ⁉︎」

 

 

少女が驚いた表情を浮かべて死ぬ覚悟をした

のだろうか瞳をギュー‼︎ と瞼を強く瞑って

いた。

 

 

 

 

するとーー

 

 

 

 

 

ガチーン‼︎

 

 

 

(えっ…?)

 

 

少女は内心驚いていた。

何故なら自分はもう助からないと思って諦めて

死を受け入れようと覚悟をしていたというのに

いつまで経ってもカイドウの刀が自分の身体に

当たり切り捨てる気配はない。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

『大丈夫か、マイン?』

 

 

カイドウとは違う男性の声が聞こえてきた。

 

 

『あ、貴方は…ブラート‼︎ どうして此処に‼︎』

 

 

マインは驚いていた。何故なら目の前にいるのは

白い鎧を身に纏った槍を持っていた筋肉質の大男の

男性。ブラートは自分達がいる悪臭が漂い蝿が飛ぶ

血肉で染まった悪趣味な屋敷の庭の中、自分達とは

反対側に居たはずだったからだ。どれだけ急いでも

時間がかかる筈だからだ。

 

 

「約束の時間になってもマイン達が来ないから

嫌な予感がして急いできたんだよ」

 

 

ブラートは槍を構えながら視線を目の前に向けて

マインと会話する。

 

 

「しかし…覚悟はしていたけど……まさか、

『狂刃のカイドウ隊長様様』がいるなんてなぁ…」

 

 

 

ブラートがカイドウを睨むように視線を向けて

そして周囲を見る。血塗れでうつ伏せになって

倒れているレオーネや身体中に傷だらけで横腹を

押さえているアカメや唇や口の中を切ったから

だろうか口から一筋の血を流して倒れているタツミ

に向けながら再度視線をカイドウに向ける。

 

 

「これは、お前がしたのか…?」

 

 

ーーカイドウ。

 

 

ブラートがカイドウにそう聞くとカイドウは

 

 

 

「ああ、そうだ…お前の言う通りだよ、

『百人切りのブラート』」

 

 

ブラートは元は帝国の有能な軍人だった。

だが、随分前に消息を絶ったと噂を聞いている。

 

 

理由は予想が付く。それは帝国が腐っていること

だろう…そして『あの人物』を連れ去られたから

ナジェンダに革命軍にスカウトされて諸悪の根源

である大臣、オネストをアカメの言葉を借りるなら

『葬る』為だろう。

 

 

「なんで…こんな惨いことをしたんだ…ッ‼︎」

 

 

ブラートには許せない光景だったのだろう。

『誇り』も『矜持』などが全くないのは目の前

の光景を見ればすぐに分かる。

 

 

 

「何故…? 随分とおかしなことを聞くんだな、

ブラート」

 

 

 

弱っている者の身体にあの漆黒の刃で容赦など

一切なく何度も突き刺した傷口とカイドウが

持っている血の滴る漆黒の刃を見て一瞬にして

理解した。

 

 

 

 

『理由なんてない。ただ敵を切り捨てるだけ』

 

 

 

 

そしてーー

 

 

 

 

 

『生きるか死ぬかのギリギリのスリルを味わい

心を満たす為だと』

 

 

 

ただ、それだけだった。

 

 

 

ブラートがそう考えていると

 

 

 

「カイドウ…カイドウゥゥゥゥウウ‼︎」

 

 

 

視線を向けると傷だらけで血塗れなアカメが

愛刀である村雨を杖代わりにしてフラフラで

大量の出血多量で今にも死ぬかもしれない状態

でカイドウを睨み付けながら血で濡れた両手で

村雨をギュ‼︎と握りしめてながら憎悪の雄叫び

を上げながら構える。

 

 

 

するとーー

 

 

 

ピィーー‼︎ ピィーー‼︎ ピィーーー‼︎‼︎

 

 

背後から笛のような音が聞こえた。

 

 

 

「おい、通報があった屋敷はこの屋敷か?」

 

 

「はい‼︎ 間違いありません‼︎」

 

 

どうやら帝国の警備隊がアリア邸の入り口にいる

ようだった。

 

 

「ちぃ…」

 

 

こんな時にタイミングよく警備隊が来るなんて

あり得ない……考えられるとしたらあの家畜、

大臣が『何も知らない幼い陛下』を使って裏で

根回しでもしたのだろう…本当に不愉快な奴だ。

 

 

 

「ヤバイわ‼︎ 警備隊が近くにいるみたいだけど

どうするのよ‼︎ アカメとレオーネが傷だらけで

動けない状態で一体、 どうやって逃げるのよ‼︎」

 

 

マインが慌ててブラートに聞くとブラートは何か

決意したのか視線をマインに向けて

 

 

「マイン、全員を連れてここから逃げろ…」

 

 

「ちょっと‼︎ 自分で何を言っているのか

分かっているの⁉︎ ブラート‼︎」

 

 

マインは驚き戸惑っていた。何故なら帝国の将軍、

『エスデス』や『ブドー』などといった『人の枠を

超えた二人の将軍達と同じぐらい要注意人物』だと

ボスであるナジェンダが何度も言っていたからだ。

 

 

「なぁに、心配するなよ‼︎

上手く逃げ切ってやるからよ‼︎」

 

 

ブラートはニヤリと笑いながらマインに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、そ……ッ‼︎ 急いでブラートとマインの

援護に行かないと‼︎」

 

 

レオーネは血塗れで重症の中、更にはうつ伏せ

の状態でブラートは眺めながらとにかく必死に

なって立ち上がろうとするが

 

 

「ぐっ‼︎ がっ‼︎ がはっ‼︎」

 

 

 

身体が動けない。それどころか、警備隊が

もう近くまで来ている。もう駄目だ。助からない…

 

 

レオーネは自分の死を覚悟していると

 

 

「姐さん、大丈夫か⁉︎」

 

 

 

レオーネの近くに『男性の声』が聞こえてきた。

 

 

 

『ラバ…か、』

 

 

レオーネがそう言うとラバと言われた髪の色は黄緑

で、左目は前髪で隠れている男性がレオーネを心配

そうな表情を浮かべながら応急処置をしていた。

 

 

「痛いだろうけど…我慢してくれよ」

 

 

 

「私のことはいい…ッ‼︎ それよりも、アカメを

止めてくれ‼︎」

 

 

「大丈夫だよ。アカメの所にはブラートと

マインちゃんだけじゃないから」

 

 

ラバはそう言っておんぶする。

 

 

「姐さん……」

 

 

ラバがレオーネを呼び真面目な表情をしていた。

 

 

「ど、どうした…?」

 

 

レオーネが心配そうな表情でラバに聞くと

 

 

「お…」

 

 

「お?」

 

 

『お、重い…ッ‼︎』

 

 

ラバがそう言った瞬間、ラバの頭に今迄にない程の

痛みが頭に伝わってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、行ってくるぜ‼︎」

 

 

 

「ッ‼︎ 待って‼︎」

 

 

ブラートはそう言って純白のマントを翻して

カイドウ元へ向かおうとするとマインは何か

気が付いたのかブラートのマントを握り締める。

 

 

 

「だ、だけど早く助けに行かないと‼︎」

 

 

 

ブラートは慌てた表情を浮かべながらマインに

言うと

 

 

 

「大丈夫よ。『彼女』も来たみたいだから、

それにすぐに撤退できるように準備しといて

ちょうだい」

 

 

「それって、どういうーー」

 

 

ブラートがどういうことか疑問を聞こうとした

瞬間、マインが右腕を上げて人差し指をカイドウ

に向けてるとブラートも視線をそちらに向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、煩くて鬱陶しい狙撃の銃弾がやっと

止んだようだな…」

 

 

 

カイドウがそう言って漆黒の刀を肩に置いて溜息

を吐いていると

 

 

 

「あの…すみません……」

 

 

「ん?」

 

 

カイドウは背後から聞こえる声に反応して

振り返った。

 

 

 

すると目の前には『チャイナドレスに身を

包んだメガネを掛けた女性』が立っていた。

 

 

 

「貴方が、狂刃のカイドウさんですか…?」

 

 

 

チャイナドレスに身を包んでメガネを掛けた

女性がカイドウに冷たい声でそう言うと右手には

べったりと『血で真っ赤に染まった巨大な鋏』を

ガリガリと地面に引きずりながら持っていた。

 

 

 

「ごめんなさい…今から貴方を殺します」

 

 

 

チャイナドレスに身を包んでメガネを掛けた女性

が両手で巨大な鋏を掴んで戦闘態勢を取って

構えていた。

 

 

 

「そうか…じゃあーー」

 

 

カイドウがそう言った瞬間、チャイナドレスに

身を包んでメガネを掛けた女性が予想外だった

のか眉をピクリと反応していた。

 

 

 

「せいぜい必死に無様に足掻いて」

 

 

 

そしてーー

 

 

 

カイドウは漆黒の刀を握りしめてチャイナドレス

に身を包んでメガネを掛けた女性に視線を向けて

ゆったりと歩みを進める。

 

 

 

「ッ‼︎」

 

 

 

チャイナドレスに身を包んでメガネを掛けた

女性は驚いていた。

 

 

何故なら

 

 

 

「どうした? 顔色が真っ青になっているぞ?

先程のように余裕を持った表情をしたまえ」

 

 

 

【帝具】『万物両断エクスタス』の使い手

 

ナイトレイドのシェーレ。

 

 

 

カイドウが笑顔でシェーレにそう言うとシェーレは

一瞬にして背筋からゾクリと寒気を感じて更には

冷や汗ダラダラと流れて一向に止まらない。

 

 

それどころか自分の名前さえも知っているのだから

嫌な予感が頭の中に過ぎる。

 

 

もしかしたら帝国のましてやオネストたちの勢力に

『自分達の情報』がバレてしまったのではと心の中

は風船のように少しずつと膨らんでいく。

 

 

「少し喋り過ぎたな……」

 

 

カイドウは【はあ…】と溜息をついて「さてと…」

と言って漆黒の刀を構えて

 

 

「遊びは終わりだ…望み通り殺してやる」

 

 

「ッ‼︎」

 

 

カイドウはそう言った瞬間、シェーレは

戸惑っていた。

 

 

(な、なんなのこれ…ッ‼︎)

 

 

 

何故ならカイドウの異常な威圧を感じて手を

震わせながら少しずつ視線を逸らさず

後退っていた。

 

 

そんなシェーレを見たカイドウはまるで血に飢え

血を吸い上げ狂気に染まった漆黒の刃をの構えた

状態で突っ込もうしているとシェーレは帝具である

万物両断エクスタス構えていると

 

 

「ーーッ⁉︎」

 

 

 

き、消えた…⁉︎ 一体、どこで…?

 

 

 

シェーレが内心焦っていると

 

 

 

「こっちだ…薄鈍」

 

 

 

「そ、そんな‼︎」

 

 

 

シェーレは背後に声が聞こえるので振り返る

と信じられないと言った表情を浮かべていると

 

 

 

「お前に用はない…早々に去ね」

 

 

 

カイドウはシェーレに漆黒の刀を容赦なく向けて

そして切り捨てようとするが、さすがは帝国を

震わせる暗殺集団ナイトレイドといったところ

だろうかギリギリだが万物両断エクスタスで

重い斬撃を防ぐ

 

 

 

「ぐっ‼︎」

 

 

 

シェーレが苦しそうな表情と声で出して

カイドウから距離を置こうと離れるが

 

 

「逃がさん」

 

 

カイドウはそう言って更にシェーレとの

距離を詰める。

 

 

(まずは一人目…ッ)

 

 

カイドウはそう思い更なる斬撃を繰り出そう

とすると

 

 

 

「もらいましたッ‼︎」

 

 

 

シェーレは意図的に今のこの状況を狙っていたのか

待ってました言わんばかりに万物両断エクスタスを

何の躊躇いなく力任せに振るう。

 

 

 

そう、彼の漆黒の刀よりも私の帝具エクスタスの

方が距離をリーチを取ることが出来る筈だ。

 

 

 

シェーレはエクスタスの刃を広げてカイドウに

向けて胴体を切り捨てようとしていた。

 

 

 

しかし

 

 

 

「鈍いな、欠伸が出る……」

 

 

 

カイドウは溜息を吐いて軽々とシェーレを

赤黒く染まった鋏の刃を避ける。

 

 

 

「う、嘘…ッ‼︎」

 

 

シェーレが信じられないといった表情をしたいた。

何故ならカイドウの胴体を真っ二つに切り捨てた

と確信していたからだ。

 

 

なのに、カイドウはそんなシェーレが振るう赤黒く

染まったエクスタスの刃の攻撃ををギリギリの距離

で身体を横にして何事もなかったように平然と

避けたからだ。

 

 

(避けられた…ッ‼︎ 早く距離を取らないと‼︎)

 

 

シェーレが急いで距離を取ろうとするが

 

 

「逃がしてやるとでも思うか?」

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

カイドウはシェーレのそんな行動を予想して

いたかのように少し先回りされていて声に

ならない声を出していた。

 

 

「邪魔だ。少し静かにしてろ…」

 

 

カイドウは回し蹴りをしようとするが

 

 

「静かにしているのはあんたの方よ‼︎」

 

 

マインがそう言って叫びながらカイドウに向けて

銃何度も発砲する。

 

 

「くだらん、子供騙しの小細工を……」

 

 

 

カイドウはシェーレから離れてマインが発砲した

大量の雨のような弾丸を漆黒の刀で切り捨てる。

 

 

「なめんじゃないわよ‼︎」

 

 

マインは「ギリっ…」歯軋りをした後、そう言って

更に銃弾をカイドウ発砲する。

 

 

「マイン……」

 

 

シェーレは息を切らしながらマインの名前を呼ぶと

 

 

 

「大丈夫か、シェーレ」

 

 

 

シェーレは自分の名前を呼ばれてびっくりしながら

も上を見上げると

 

 

「ぶ、ブラート…?」

 

 

目の前には自分と同じ同業者であるナイトレイドの

一人であるブラートがいた。

 

 

「シェーレ、撤退だ」

 

 

「そう、ですか…分かりました。撤退しましょう」

 

 

 

シェーレがそう言った後、何かを思い出したのか

 

 

 

「ブラート、アカメは一体、どうするのですか?」

 

 

 

シェーレがそう言うとブラートは一瞬、戸惑った

表情をしたがすぐに表情を戻して

 

 

「安心しろ‼︎ 俺が無事に連れて帰って来る…ッ‼︎」

 

 

 

ブラートは笑顔でシェーレにそう言った後、

ブラートはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、嘘でしょ…? こんなこ、ことって…‼︎」

 

 

マインの額からダラダラ汗を流していた。

 

 

 

何故なら

 

 

 

 

 

「もう終わりか? なんともーー」

 

 

 

 

「ふざけんな‼︎」

 

 

 

 

パァン‼︎ パァン‼︎ パァン‼︎

 

 

 

 

どうして…どうして…どうしてッ‼︎

 

 

 

「どうして死なないのよ‼︎」

 

 

 

 

カラン、カラン、カラン…

 

 

 

マインが叫んだ瞬間、何かが落ちる音が三つ

聞こえた。

 

 

 

「なんとお粗末でつまらない狙撃だ…」

 

 

 

カイドウはマインに視線を向けてそう言った。

 

 

 

大臣(肉塊)から帝国を震え上がらせる最悪の

暗殺集団、ナイトレイドの話を聞いた時には

楽しみにしていたけど、これほど弱いとは……

 

 

 

(もうこれ以上付き合う理由はないな)

 

 

 

カイドウは内心そう呟きながらマインの狙撃される

弾丸の雨を刀で何事もなかったかのように切り捨て

ながら『ある場所』に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、ぐっ…うっ‼︎」

 

 

アカメは身体中にある切り傷のせいか戦闘態勢

どころか立ち上がるのが困難だった。

 

 

(は、早く‼︎ 早く立たないと…ッ‼︎)

 

 

 

それでもアカメは愛刀である村雨を杖のようにして

生まれたての子鹿のようにプルプルと足を震わせて

いた。

 

 

そんな中

 

 

 

 

「ほーう、まだ、生きていたのか……」

 

 

 

カイドウは目の前のアカメを冷たい瞳で見ながら

そう言った後、一歩一歩と歩いてアカメの元へと

向かう。

 

 

何故だ…何故、殺せないんだ…ッ‼︎

 

 

そして何より奴は自分をいつでも殺せる筈なのに

手を抜かれていて相手とすら思われずにいるのだ…

なんたる屈辱‼︎ これ程の屈辱があるだろうか…ッ‼︎

 

 

 

「手を抜かれて更には手加減をされて屈辱か?」

 

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

 

カイドウはアカメに視線を向けてそう言うと

アカメにとってはとても不愉快だったのか顔を

憎悪に歪ませながら殺意を込めた刃の鋒を

カイドウに向けていた。

 

 

 

「殺すか殺されるそんな時に主導権を握れず

今目の前で地に伏している弱者であるお前が

 

 

僕を殺す?

 

 

国を正す?」

 

 

カイドウは自分自身に刀の鋒に向けている

アカメにそう言ってアカメの近くきた後、

 

 

 

「巫山戯るな…」

 

 

「ぐっ…‼︎」

 

 

カイドウは右手でアカメの首元をガシッ‼︎と掴み

締め付けると憎しみがこもった瞳で睨んでくる

アカメを目にしてもカイドウは更に話しを続ける。

 

 

「そもそも、『心の正しさ』は誰が見決める?

そして何の権限があってそれ等を『善悪』と

決めつけるのだ?」

 

 

カイドウが冷たい声で『正しさ』や『善悪』に

ついてアカメに問うと

 

 

 

「………るな」

 

 

 

「ん? なんだ? 言いたいことがあるなら

今ここではっきりと言えばいいだろう?」

 

 

カイドウは悪魔のような邪悪な笑みを浮かべて

アカメを挑発していた。

 

 

「ふざけるな‼︎」

 

 

アカメはカイドウの腹部に容赦なく蹴りを入れる。

 

 

 

だが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから何度も言った筈だぞ?」

 

 

感情に身を任せるな、とーー

 

 

カイドウはそう言ってアカメの足首を掴んでいて

呆れと落胆した表情をしながらアカメを見て

 

 

「がっ‼︎ がはっ…ッ‼︎」

 

 

アカメをアリア邸の壁に叩きつけた。

 

 

そのせいかアカメは身体が動かせなかった。

 

 

「アカメ…何故、殺せないか分かるか?」

 

 

カイドウはアカメにそう言ってアカメの胸元を

掴んで自分自身に引き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずい‼︎ カイドウの野郎‼︎ アカメのところに

向かいやがった‼︎」

 

 

ブラートはカイドウがアカメのところに向かって

行くのを見て慌てた表情を浮かべながら急いで

アカメの元に向かわねばと槍をクルクルクルと

綺麗な円を描くように回してながら槍を構え直す。

 

 

「マイン、すまないが俺もアカメのところに

行って回収してくる‼︎」

 

 

「分かったわ。 レオーネもラバが回収したから

後はアカメを回収すれば撤退できるわ…

頼むわよ?」

 

 

「ああ‼︎ 言われなくても分かっているぜ‼︎」

 

 

ブラートはマインにそう言って屋敷の屋根から

降りた。

 

 

しかし、今の場所からアカメのところまでの

距離では確実に間に合わないと分かっている

ブラートは『ある決意』した。

 

 

「クソォォォォオオ‼︎ ヤケクソだぁぁああ‼︎」

 

 

ブラートがそう叫びながら細いバルコニーの

手摺りになんとかギリギリ飛び移り

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

「間に合えぇぇぇぇええええ‼︎」

 

 

 

ブラートはバルコニーの手摺りを足場にして

更に勢いを上げる。

 

 

そして目の前には

 

 

 

 

 

「ッ‼︎ ぶ、ブラート…だ、と…?」

 

 

 

アカメとカイドウの二人がいた。

 

 

そしてブラートがすぐに来るなんて思って

いなかったのか少し驚いた表情を浮かべいた。

 

 

 

「ーーちぃ‼︎」

 

 

 

そして鞘から漆黒の刀を抜刀して構えた。

 

 

 

そしてーー

 

 

 

ガチーーン‼︎

 

 

 

漆黒の刀と刃が赤く染まっている槍が

ぶつかり合って火花が散っていく。

 

 

ブラートは叫びながら更に槍に力を入れる。

 

 

「くっ‼︎ クソォォォォオオオオ‼︎」

 

 

こんなチャンスは二度とないだろう…例え

殺せなくても最後に一矢報いられれば…ッ‼︎

 

 

パキッーーッ‼︎

 

 

 

「ーーッ‼︎」

 

 

『アカメの復讐の執念の結果』なのかそれとも

『ブラートの命をかけた執念の結果』だろうか

分からないがカイドウの使っている漆黒の刀に

亀裂がピシリと入っていた。

 

 

 

カイドウが使っていた漆黒の刀にヒビが入ったのを

見て少し驚いた表情をしているのが分かった。

だからーー

 

 

そして、遂にーー

 

 

 

パリーーン‼︎

 

 

狂刃の漆黒の刀を粉砕した。

 

 

そして傷だらけのアカメを背中に背負って

カイドウがいるその場を離れた。

 

 

一分一秒でも早く離れなければ…‼︎

 

 

でないと殺される…‼︎ 刀を破壊できたとはいえ

相手は『エスデス』や『ブドー』に『並ぶ最凶の

人物なのだ。』それに目の前結果はただ運が良く

奇跡が重なって起きたに過ぎないことは自分自身

でも分かるからだ。だから逃げなければ‼︎

 

 

ブラートは全力で逃げている時、『ある違和感』

に気付く

 

 

 

それはーー

 

 

 

 

 

(追って…こない…?)

 

 

ブラートが恐る恐ると背後を振り返ると

 

 

「………」

 

 

カイドウは折れた漆黒の刀ただ眺めるように

見つめていた。

 

 

だが、

 

 

 

 

(チャンスだ…ッ‼︎)

 

 

むしろ好機だ。俺達に興味がないならむしろ

その方が『生存する確率』が更に上がるという

ことなのだから

 

 

 

だが、新たな問題がブラートを困らせる。

 

 

 

「ぶ……ー……と…」

 

 

 

「あ、アカメ…?」

 

 

 

ブラート恐る恐るとアカメに声掛けると

 

 

「…ブラート……ッ、頼みがある……」

 

 

「た、頼み…?」

 

 

何故か分からないが…いつものアカメとは

違う気がした…

 

 

『カイドウを……カイドウをこの手で

葬らせてほしい…‼︎』

 

 

 

……は? 何を言っているのだ…?

 

 

「アカメ‼︎ 何言ってるんだ⁉︎

そんなの駄目に決まってんだろ‼︎」

 

 

俺達『ナイトレイド主戦力の複数人でカイドウを

相手しても顔色一つ変えずに何事もなかったかの

ように平然している『怪物』…いや、『化物』

なんだぞ‼︎ 』勝てるはずがない‼︎

 

 

「ブラートこそ一体、何を言っているんだ‼︎

あのロクでなしの悪鬼の漆黒の刀が折れて獲物が

ない今こそ葬るチャンスじゃないか‼︎」

 

 

ブラートがアカメを落ち着かせようと言うが

アカメはいつものように冷静な状況判断が出来る

ような精神状態じゃないとブラートは一瞬にして

理解した。

 

 

 

『アカメはカイドウに執着しているのだと』

 

 

 

「ブラート‼︎ 勝機を見定められなくなるなんて

失望したぞ‼︎ ブラーー」

 

 

バシン‼︎

 

 

 

アカメの右頬に鋭い痛みが走った。

 

 

 

「いい加減にしろ‼︎」

 

 

「ッ‼︎」

 

 

「それに周りを見てみろ‼︎ お前には他の奴らが

傷だらけでいる仲間達の姿が見えねえのか⁉︎」

 

 

ブラートがアカメにそう言うと周りを見る。

 

 

そこには傷付いている傷だらけのナイトレイドの

仲間達がいた。それどころか入り口には警備隊達

が今にも入ってきそうな雰囲気も気づいた。

 

 

 

「ブラート…すまない……冷静じゃなかった」

 

 

アカメの言葉で内心ホッと安堵していた。

 

 

これ以上戦い続ければいくら帝国を震え上がらせた

暗殺集団ナイトレイドであっても死者が間違いなく

出でしまうだろう。それ以前に刀を破壊したとは

いえ、まだカイドウ手のうちが分からないのだから

手が出せない。

 

 

「撤退するぞ」

 

 

ブラートはそう言った後、アカメを抱えた状態で

バルコニーなどを足場に使って屋敷の屋根の上に

飛び移っていく中、アカメは視線をカイドウに

逸らさず向けていた。

 

 

二度と忘れないようにーー

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

いつかこの屈辱を注ぎこの刃をあの男の首筋に

向けて復讐を果たすためにアカメは心でそう復讐心

と決意が混ざり表情は悔しさに歪ませながら唇を

噛み締めていた。

 

 

『いつか、あの悪鬼をこの手で葬る為に…ッ‼︎』

 




【お知らせ】

今回『クリスマス』や『正月』、そして
2020年最後なので今迄出してきた作品の新しい
お話をそれぞれ一つずつ投稿しようと出来るだけ
頑張ってみます‼︎


因みに最初に投稿予定の作品は『白き大罪の魔術師』
の最新話を投稿しようと思っています。

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