作者バンドリ沼にどんどんハマっていってます。
「ベース?」
「そう!」
「なんでまた」
「お前あの一件以来辛そうな顔ばっかしてんじゃねえかなって」
「・・・それを忘れさせるためにベースやれってか」
「野球辞めてから何かに打ち込んだことってないだろ?」
そうだ、俺が野球を辞めてから何かに本気で打ち込んだものなんてない。 当たり前だ何かに本気で打ち込んだとしても心にぽっかりと空いた何かは戻ってこないからな。
「で、どうする?やるか?」
「やってみるよ。」
「おお!お前ならそう言ってくれると信じてたよ!」
「質問なんだけどさ」
「なんだ?」
「ベースって何?」
「・・・そういやお前楽器弾くの初めてだったな」
何かしらの曲は聴くけど楽器を弾くってのは初めてやることだ。将平はギターを中学生の頃からやってるとのこと。 腕前はプロ級と言われた事があるらしい。
「で、ベースをやるにあたって必要なものが5個ある。」
「うん」
「1個目は当たり前のことだがベース、2個目はアンプ、3個目はピック、4個目はベースを入れるケース、そして最後に5個目は……『諦めない心』だ」
「4個目まではなんかわかるけど5個目は意味わからん」
「楽器を弾くのはそれなりの覚悟が必要って事だ」
ベースってそんなに大変なの? でもやるって言ったからな…… それなりの覚悟はするさ 家の近くに楽器店あったかなぁ……
「なあ将平」
「なんだ?」
「ここら辺に楽器店ってあったか?」
「あるんじゃね?」
「いやお前も知らんのかい」
「だって俺生まれた時から家にギターあったし…」
そうだった、将平の父さんは昔ギターを少しやってたって言ってたな。一度将平の父さんのギターを聴いたことがあるがギターを少しやってた程度のレベルじゃなくて、プロのバンドでも組んでたんじゃないかって思ってたな。
「明日休みだし楽器店行こうぜ」
「そうだな」
翌日俺と将平はこの街にあるショッピングモールに来ていた。しかしでけえ。富士見にあるらら〇ーとと良い勝負だぞこれ。
「将平…… 帰っていいか?」
「来たばっかだぞお前」
「こんなでかいとは思わねえだろ」
「あっれー?龍世くんと将平くんじゃん☆」
「あ、今井先輩こんにちは」
「もー、アタシの事はリサって呼んでって言ったじゃん♪」
無理です。無理なものは無理です。呼べるわけないでしょ先輩なんだから…… 今井先輩には悪いけど。名前で呼べるわけないでしょ。 親しくないのに。いやまあ親しくはしたいけど。
「なーんか失礼なこと考えてなーい?」
「イエベツニ」
言えない… こんな美人に名前で呼べるわけないなんて口が裂けても言えない
「龍世、声に出てる」
「えっマジ?」
「マジ、その証拠に」
将平が指をさした先には顔を真っ赤にしている今井先輩がいた。
なんで顔赤くしてんすか…
「り、龍世くんはそんな事無意識で言っちゃうの…?」
「声に出てるなんて誰が分かるんですか」
「そっ、そんな事より龍世くんと将平くんはなんでここにいるの?」
「実は俺ベースを始めることになりまして」
「えっ」
「そこにいる将平が『ベースやってみないか』って言ってきたんで断る理由もないかなと思いまして。」
「ふーん、それで今日は楽器店に行く途中ということ?」
「そうなりますね」
「ついていってもいい?」
「もちろん!」
「ちょ!将平!」
「いいだろ。それに経験者がいた方がどれ選べばいいのか分かるぞ」
「経験者って誰だ?」
「リサ先輩」
「はい?」
今井先輩がベース経験者?んなアホな……
と思ってたけどそういえばどっかの雑誌で見たことあったな…… 確かバンド名は…… Roseliaだっけか…… ん!?Roselia!?
「・・・今井先輩」
「んー?」
「俺にベースを教えてくれませんか?」
「いいよー☆でも、1つ条件があるなー☆」
「その条件とは」
「名前で呼んで?」
「えっ」
名前で呼ぶ?マジで?ハードル高くない?俺がチキンなだけか。
「リ、リサ先輩」
「よろしい☆」
「珍しいな。お前が誰かに教えを乞うなんて」
「うるせえ」
初めてやるものなんだから誰かに教えを乞う必要があるだろ。あと、いま… じゃなかったリサ先輩のベース聴いてみたいし。
「それじゃ、楽器店へレッツゴー!☆」
「おー!」
「お、おー」
テンション高すぎでは? ついていけない……
そんなこんなで楽器店に着いた。
「ベースのコーナーはどこだ……?」
「あっちじゃね?」
「早く行こっ!」
この先輩テンション高いな…… 教え子が出来たからテンション上がってんのかな……
「ベースを教えて欲しいって言ってくれたのが嬉しいんだよ☆」
「心読むのやめてくれませんか」
「気にしない☆」
いや、気にするんですが…… 将平はギター見に行ってるし……
あいつのギター愛は凄まじいからな楽器店に来た時点で単独行動を取ることは分かってる。
ただ今は一緒にいて欲しかった。
リサ先輩と話すこと思いつかないし……
「龍世くんはベース触ったことないんだっけ?」
「はい。聴くことはあっても触ることなんてなかったんで。」
「そうなんだ」
将平の父さんの演奏は聴いたことがあってもベースを触るっていうことなんてなかった。弾いたら弾いたで『才能がある』だの『天才だ』だの言われる。そう言われるのが嫌だからあまり楽器は触らなかった。
「ベースのコーナーここですね」
「龍世くんは初心者だからまずは初心者セットからだね」
「リサ先輩こいつに初心者セットは不向きです。」
後ろから声が聞こえた。将平がギターコーナーから戻ってきたのだ。
「そうなの?」
「ええ、龍世は天才なんです」
「将平、それ以上は言うな」
将平がリサ先輩に言ったことは本当の事だ。俺は思い出したくもない嫌なものだ。
これのせいで何度苦労したことか。カラオケで歌を歌えば100点を取るのは当たり前。それが影響していじめをうけることなんて日常茶飯事。まあ、気にしてなかったしいいんだけどね。
「龍世くんは……その時どう思ってたの……?」
「別に気にする必要もなかったんでスルーしてましたよ。」
「そう……なんだ……」
俺のちょっとした過去の話に言葉が詰まるリサ先輩。そのいじめをうけたのは小学生の時だから中学生になったらそんな事は起きなかった。
「暗い話は辞めにしましょう。俺達はベースを探しに来たんですし。」
「うん。そうだね!」
「さっき将平に言われた通り俺は天才っていうやつらしいんで初心者セットは割に合わないんですよ。」
「日菜と同じなんだ……」
日菜先輩と同じ?どういうことだそれ
リサ先輩によると日菜先輩も天才と呼ばれる部類の人でそれが原因でお姉さんと喧嘩をしたことがあるという。
「俺と同じだったんですね。」
「そう、龍世くんと同じだったの」
日菜先輩と俺の共通点が見つかったところで
本題に入る。
「で、龍世どのベースにするんだ?」
「これにするよ」
俺が指をさした先にあるのはGibson EB Bass 2017
こいつを一目見た瞬間に『こいつでいこう』と思った。
「これ結構高くないか?」
「そうか?」
「お前の金銭感覚おかしいんじゃねえか?」
値段を見てみると、86,800円。結構高いなこれ。
「うーん、まあいける値段かな」
「そんなにお金持ってんのかよ」
野球辞めてからずっと貯めてたんだ。それなりにあるさ。
「決めた以上これにするよ。」
「すいませーん!」
店員さんを呼ぶ。
「試し弾き出来ますが、試し弾きしますか?」
「一応してみます。」
店員さんに言われて試し弾きしてみる。
うん、良い音だ。
「これにします」
「ありがとうごさいます。学割はどうしますか?」
「あ、学割効くんですね」
「はい」
「じゃあ、学割使います。」
学割を使って値段がちょっとだけ安くなった。
あとは何が必要なんだろうか。
リサ先輩に聞いてみよう。
「リサ先輩。あと何が必要なんですか?」
「うーん、ピックとアンプかなー?」
「アンプは俺が貸すからピック買うべきだと思うぞ。」
アンプは将平が貸してくれるとのこと。持つべきものは友達だね!
「じゃあ、ピック買ってくるか」
「ちょっと待って」
「リサ先輩?」
「ピックならアタシがあげる☆」
「えっ」
「お金もうほとんどないでしょ?買うより師匠から貰ったほうが安上がりでしょ?☆」
有難いけど…… 有難いけども、リサ先輩のピック…… どうか新品であれ……
「使いかけだけどこれでいい?」
「あっ、ありがとう……ごさいます……」
使いかけ…… リサ先輩の使いかけって…… リサ先輩はそれでいいのか……
「いーのいーの☆」
「いいんですか」
「素直に貰いなさい☆」
有難く使わせていただきます。
さて、これでベースをやるための機材は全部揃った。
「リサ?」
「あれ?友希那じゃん」
友希那? Roseliaのボーカルか…… Roseliaのベースとボーカルがこの場にいるの珍しいな。と思っていると
「あなたは?」
「俺ですか?俺は内海龍世です。羽丘学園1年です。」
「そう。私は湊友希那。」
興味なさそうに答える湊先輩はどこか悲しげで、寂しそうだった。これで終わりのはずだった。リサ先輩の発言がなければ。
「そうだ、友希那。龍世くん達にRoseliaの演奏聴いてもらおうよ」
「「・・・はい?」」
俺と将平は驚きの声を上げる。
嘘だろリサ先輩。俺達素人にRoseliaの演奏聴かせるって。
この日から俺の高校生活は平穏な日々を過ごせない。忙しい日々になっていった。
感想、評価待ってます!
最近、頭の中でバンドリの楽曲が流れてくる……