伊井野ミコは告らせたい~不器用達の恋愛頭脳戦(?)~   作:めるぽん

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またも間が空き申し訳ございませんでした(^_^;)
今回は交流会の時と同じくオムニバス形式でお送りします。


第15話 生徒会は下見したい

石上とミコ、2人が約束を交わした奉心祭の夜から月日は流れた。

石上は明言しなかったし、ミコも口には出さなかった。

だが、あの夜の約束は2人の中では暗黙の了解で『1年後の告白を待つ事』と理解していた。

……つまり逆を言えば、『1年後までは関係は大きく進展しない』という事実を示す事にもなる。

それ故、藤原家にて行ったクリスマス(奇祭)や、年明けの行事でも特に事は動くことはなかった。

 

だが、秀知院学園高等部2年生の3学期には大きなイベントが有る。

そう、修学旅行である。

 

今回は、その修学旅行の話……

ではなく。

 

「は?生徒会の2年生組で修学旅行の下見?」

 

「うん……何でも、『秀知院学園の生徒会たるものそれくらいは任せても良い』って……校長先生が」

 

寝耳に水の言葉を聞かされ戸惑う小野寺と、困惑しながらも事情を説明するミコ。

 

「まぁあの校長先生、割とはっちゃけた所有るからな……」

 

合いの手を入れる石上もまた、つい先程校長からミコと共に説明を受けていた。

何でも、『自主性を重んじる秀知院だからこそ、学生視点で事前に必要な情報を集めてきて欲しい』との事だ。

結局のところ単なる思い付きである側面が大きいのであるが、上手い具合に現在の生徒会には2年生が3人居るので試みを試すにはちょうど良いだろう、との事で決まったらしい。

 

────そんなこんなで、石上とミコ、小野寺の3人は今!

北海道・札幌に来ていた!

 

「……で、伊井野」

 

「なに?麗ちゃん」

 

少し離れた場所で移動疲れを紛らわす為の伸びをしている石上に聞こえないよう、小声でミコに話しかける小野寺。

 

「私も来ちゃったけどさ、良かったの?おジャマじゃなかった?」

 

意味有りげに石上の方へ目配せしながら尋ねる。

 

「な、なんでおジャマに?そ、そんな事無いわよ。い、石上と二人きりなんてドキ……じゃなくて、嫌すぎて間が持たないから麗ちゃんが居て助かるよ」

 

ミコの受け答えはしどろもどろで、本心で無いのは明らかだった。

……もっとも、石上と二人きりでは間と心臓が持ちそうにないので、間に入ってくれる小野寺が居て助かるという所は事実ではある。

 

「そっか、サンキュ。ま、色々と頑張るわ」

 

小野寺は、今回の下見旅行での自身の役割をきっちりと把握していた。

石上とミコ、不器用な二人の仲を邪魔しない事は勿論、

二人共イベントでテンションを上げて盛り上がれるタイプではない為、そういった需要を満たせる情報を集めるのは自分の役割だと認識していた。

 

「さてと。んじゃ、これからどうする?」

 

ひとしきり伸びを終えた石上が二人に近付き話しかける。

 

「飛行機の中で話した通りよ。まずはホテル周辺の各地を三手に分かれて、各々必要な情報をリサーチしてくるの。私達なら出来るでしょ?」

 

ミコが石上と小野寺を見ながら言う。

 

「まあ、ホテル周辺なら大丈夫だろ……けど、伊井野」

 

「な、何よ?」

 

急に真面目な顔つきで自分の方を振り向く石上に、ミコは一瞬ドキリとする。

 

「……変な所行くなよ?」

 

「な、何よ変な所って!?アンタと一緒にしないで……」

 

ちょうどその時、3人の近くを派手な若い女性達が大声で喋りながら通り過ぎて行った。

 

「ねぇ、すすきののクラブに平野●耀くん似のオトコが居るっぽいよ〜」

 

「マジ?行こ行こ!」

 

……言うまでもなく、ミコの視線はその声が聞こえてきた方向に釘付けとなっていた。

 

「……石上、やっぱ私伊井野についてこうか?」

 

「……そうした方が良いかもな」

 

「い、いや大丈夫よ!?行かない!そんな所行かないから!」

 

「……どーだか」

 

こうして、期待と一抹の不安が入り交じる中。

3人の修学旅行の下調べがスタートした。

 

 

①伊井野ミコは超食べたい

 

俺の名前は小田島三郎……しがない中間管理職だ。趣味はラーメン屋巡り。

今日は出張先の北海道にあるラーメン横丁にある店へ足を運んだ……

 

「いらっしゃいませ!ご注文は?」

 

若い店員の元気な声が店の中に響き渡る。

注文は勿論、この店一番人気の味噌バターラーメン……

 

に決まっている!!

 

「味噌バターラーメン1つ」

 

ここ北海道は札幌まで来ておいて、他のラーメンを頼むのは。

よっぽど他のラーメンが好きか、通ぶったにわかのどちらかと相場は決まっている。

時にはド定番が最適解という事もあるのだ。

 

──そんな事を考えていると。

店の戸がガラガラと開けられ、一人の小柄な少女が入って来た。

まるで知り合いの誰かに見られていないかを気にするかのようにきょろきょろと辺りを見回しつつ戸を閉める。

アレか?『自分のイメージと合わないラーメン屋に居る事が知られたらどうしよう』という女心か?

見た目通り可愛いお客さんだ。ラーメン屋に不慣れなお嬢ちゃんだろう。

 

「いらっしゃいませ!ご注文は?」

 

「えーっと……」

 

店内のをきょろきょろと見回す少女。恐らくメニューを見ているのだろう。

すると視線がある一点に止まり、ぱあっと輝く笑顔を見せた。

 

「えっと、みそバターラーメンの……チャレンジメニューで!!」

 

それを聞いた小田島は、ブーっと吹き出した。

 

ば、バカな!?チャレンジメニューだと?

店内に貼り出してあるポップを見てみると、

 

『麺だけで1435g!30分以内に食べ切れたら無料&寸志贈呈!』

 

とある。

俺にはとても喰えた量じゃないが……それをこの小柄なお嬢ちゃんが?

 

まさかこの娘も……『喰える(こちら)側の人間』なのか?

あの黒リボンの少女のように……

いやしかし、あのレベルの女神に愛された奇跡の少女など滅多にお目にかかれるものではない。うら若き乙女に喰える(こちら)側の人間がそう多いとも考え難い。

お腹を空かせてきたのかもしれないが、こんな小柄な少女の空腹程度では収まるモノじゃないぞ?

 

だが、そんな小田島の心配を他所にその少女は目をらんらんと輝かせて巨大ラーメンが来るのを心待ちにしている。

そして、時が経つこと16分ほど……

 

「お待たせしました!チャレンジメニュー・超超超超大盛りテラMAXみそバターラーメンです!」

 

「ふわあ……」と恍惚している少女の前に、巨大なみそバターラーメンの丼が置かれた。

丼の大きさは通常の数倍、バターも5個も6個も麺の上に置かれている。

見ているだけで胸焼けがしそうだと小田島が考える中、その少女は目の前に置かれた麺をかっ喰らおうとした。

が、何かに気付くと慌てて居直し、あろう事か丁寧に手を合わせて「いただきます」と言ったではないか。

 

なんて事だ。このチャレンジメニューは量に対して時間は決して多いとは言えない!

既に店員はストップウォッチを動かし始めたというのに、なんという余裕だろうか!?

まさかこの娘……見た目によらず大食いだとでも言うのか!?

 

──小田島の予想は、10分後には確信に変わった。

何せ、あれだけ大量に有ったはずの巨大ラーメンが。

今やもう、半分も残っていないのである。

そしてその少女の麺をかっ喰らう勢いは、全く衰えるところを見せない。

 

小田島はその光景に絶句していた。

 

確かに、近頃の大食い界はよくよく考えてみれば一見そぐわないような小柄な女性が多い。

『イメージ通り』な大柄の男は、あくまで常識の範囲内での『大食い』に収まる事が殆どで、

大食い競争の番組に出て終盤まで勝ち残る異次元レベルの大食いは、得てしてイメージに合わない華奢な女が多いというものだ。

頭では分かっていたつもりだ……だが、実際に目の当たりにするのとしないのとでは、やはり大きな差が有る。

 

この可愛らしい少女の腹の中に、どんどんラーメンが吸い込まれていくその様は妙な迫力が有る……。

いや、それよりも何よりも、なんと美味そうに食べるのだろうか。

普通の胃袋では、食べ切る事に必死でこんな量を最後まで味わって食べる事など不可能だ。

だがこの娘は、食べ始めから今に至るまで、ずっと幸せそうな表情でラーメンを食べている!

味わって食べる余裕がある証だ!

あの量を味わって食べられるとは……大食いの特権だな。

 

小田島は、過去へと思いを馳せていた。

 

──俺にもあったな、そんな時代が。

部活帰りの腹ペコな時なら、替え玉を2つも3つも頼んで完食出来ていた時代が……

今では胃がその量を求めていない上に、血糖値を気にしてそんな量は喰えやしない……

──俺は、どうしておっさんになっちまったんだ……

 

小田島は、あの『黒リボンの少女』と会った時と同じように涙を流した。

そして、衰えた自分に脇目も触れず、完食へのラストスパートを突っ走る少女へと心の中で声援を送り出した。

そうだ走れ!振り向くな!!

その膨大な量を以てして尚全て味わって食べられる!それは大食いの人間の!そして俺が失った若者の特権だ!!

 

──そして、その少女は華奢な腕で精一杯持ち上げた巨大な丼を下ろし。

「ごちそうさまでした!美味しかったです!」と、輝かしい笑顔で言い放った。

 

「完食おめでとうございまーす!」と店員の賛辞の声が高らかに店内に響く。

小田島やその他の居合わせた客も思わず我を忘れて拍手を贈り、少女は照れくさそうに「あ、ありがとうございます!」とお辞儀している。

 

「すいません、チャレンジメニュー完食出来た方に写真撮影をお願いしてるんすけど、良いっすか?」

 

スマホを持った店員が少女に声をかけるが、少女は「あ、あの……ちょっと恥ずかしいので……いいです」と断っていた。

小田島は内心舌打ちをした。

せっかくの快挙なのだから、堂々としていれば良いのにと思ったからだ。

 

──しかし小田島は数分後、彼女の言葉の意味を知る事となる。

その少女の素晴らしい食べっぷりに触発され、『今日はもう1杯行ってみるか』と、横丁の中の隣の店に入った小田島が見たものは。

その店でもチャレンジメニューを食し、既にほぼ食べ切っていた少女の姿であった。

 

──これは、確かに恥ずかしがるのも分からなくもない。

大食い具合が自慢になる我々男と違い、女は大食いである事を隠したがるものだ。

となれば、完食後の写真撮影は拒否するしかないだろう。

──何せ、横丁の中のどの店に行っても彼女の写真が載っていようものなら知り合いに高確率でバレてしまうからな。

 

小田島は、夏に会った黒リボンの少女と、今日ここで出会ったおさげの小柄な少女に想いを馳せ。

これからのラーメン界の担い手には困らなさそうだ、と独り勝手に満足するのであった。

 

 

 

②小野寺麗は少しだけ……

 

「────ふう。コースの下調べはこんなところかな」

 

札幌のとあるスキー場にて、コース全体をひと通り滑り終えた小野寺がゴーグルを上げてひと息ついていた。

今回の修学旅行の目玉の一つであるスキー。

昔からちょくちょくやっていたとの事で、初心者から上級者までそれぞれに適したコースを小野寺が下調べにやって来ていたのだ。

スキー経験も有り運動神経の良い小野寺に滑られないコースは無いので、全てのコースの調査が一人で出来るのだ。

 

──しっかしまあ。

このスキー場にあいつらみたいな熱々な奴ら連れてきたら、雪溶けちゃわないかね?

 

……小野寺の言う『熱々な奴ら』とは、勿論石上とミコの2人の事である。

 

もうさ、伊井野が石上の事好きなのはバレバレだけど。

石上の方も、伊井野の事好きっしょ?

伊井野ほど分かりやすくはないけど、あいつもあいつでしょっちゅう伊井野の事見てるし気にかけてるし。

多分、どっちかが告れば即くっつくと思うんだけど。

お互い変なプライドとか心配事が有るのかね?

伊井野は……多分今まで言ってきた事が事だけに言い出せないぽいね。

石上に対して散々あれこれ言ってきてたし、そもそも男女交際に対しても『過度な接触禁止』っつって取り締まって来た手前、そりゃ告白しにくいっしょ。

石上の方は……まあ単純に自信が無いんだろーね。そもそもアイツが自信有りげな所見たこと無いし。

『僕なんかが伊井野に釣り合うのか』とか思ってそう。

私から見れば、お前じゃなきゃ誰が伊井野とくっつくんだよ、って感じなんだけど。

いっつも伊井野の事気遣ってフォローしてやってて。

つばめ先輩に惚れてた頃からそうしてたんだから、好きな相手への『点数稼ぎ』の為にそうしてる訳じゃなさそうだし。

どっちかが頑張って動けば、すぐくっつくと思うんだけどなー。

……いや、案外どっちも動く為の計画を練ってたりして。

早ければ今度の修学旅行とか。

いや、今回の下見でとか。

……もしかして、私と居ない今この瞬間にも2人で居たりとか……?

 

いや、無い無い。

んな事出来るくらい動きが早かったらとっくにくっついてるっつーの。

私もちょくちょく煽ってみるけど、これまた息ピッタリに否定して動かないし。

 

……ま、私もあんま人の事言えたモンじゃないんだけどね。

客観的に見て、多分自分は石上辺りの人間に言わせれば『リア充』『ギャル系』に見えるんだろうけど……

ぶっちゃけ、これまで付き合った事すら無いし。

このメイクも、オトコ受けがどうこうってんじゃなく気に入ってるからやってるだけ。

つーか、好きになれるオトコが居ないのね。

こういう見た目してるからかもしれないけど、自分に声かけてくるオトコってさ……

 

「──ねえねえ、いま一人?」

 

…………あー、頭ん中で考えてたら来たよ。

そう、こういうチャラくて遊び慣れてそうなヤツばっかなんだよね。

 

「ねぇ、今一人っしょ?どっから来たの?良かったらオレ達と一緒に行く?」

 

……断ってとくけど、私はカルいわけじゃない。

付き合うならよく人柄見てからにしたいし、こんな行きずりのオトコとちょっと話しただけでそんな気持ちになる訳ねぇじゃん。

見た目良くたって、中身がある程度分からないとそんな気にはなんない。

全部、とは言わないけど、ある程度中身知って『もっと知りたい』って思ってからじゃん?

 

「──ねえねえ、無視?無視はやめてくんないかなーオレのピュアハート傷付いちゃうから」

 

それを聞いて、もう一人の男が『どこがピュアなんだよ』とげらげら笑う。

 

ほんと、どこがピュアなんだよと言ってやりたい。

ナンパしてくるようなヤツって、殆どが『遊び』慣れてるヤツでしょ。

その場で見た目良い娘捕まえて色々ちやほやしてヤる事ヤってはいさよなら、ってヤツ。

『未経験』が良いとは言わないけど、フラフラした遊び人は絶対ヤダ。

 

「ねえねえ、スキー教えてあげるからさ、来いって」

 

無反応を貫く小野寺に、男の片割れがさりげなく体を寄せ、腕を絡め取って来る。

 

「……迷惑なんですけど」

 

ここまでされたら流石に無視する訳には行かないので、小野寺は冷たい視線と声を送る。

 

「おっ良いね気の強い娘。オレ気の強い娘好みだよ?」

 

「そうそう、キミみたいな娘に『色々と』楽しい事教えてあげるのが楽しいんだよね」

 

……あー、コイツらちょっとヤバいかも。

スマホ出して110かけて画面見せてやるか。そうすりゃ流石に逃げるっしょ。

 

そう思った小野寺だが、スマホを出した途端、小野寺の意図を察した男が素早く小野寺のスマホを引ったくった。

 

「いや今スマホとか良いからさ〜、オレらとおしゃべりしようよ」

 

……フツーにひったくりなんですけど?

あーもう、目立つのヤだしスマホ持ち逃げされるリスクも有るけど、大声出して助け呼んでみる?

 

小野寺が対処に思案し出した、その時──。

 

「あの……ちょっと」

 

「あん?」

 

ナンパ男の片割れに手を置く男が一人。

 

「その人に手出したらマズいっすよ」

 

「(え……?)」

 

スキーウェアにゴーグルを付けていて一見すると分からないが、その声はどう聞いてもあの男であった。

 

「は?何がマズいんだよ?つーか誰だよテメエ」

 

割って入って来た男に肩を怒らせ突っかかるナンパ男の片割れ。

 

「いや、僕はただの通りががりですけど……さっきその人、めっちゃムキムキの人と腕組んで歩いてましたよ。ナンパとかしたら目ぇ付けられるんじゃないですか?」

 

互いに驚いた顔を合わせる2人のナンパ男。

 

「ま、マ?ガチで言ってる?」

 

「……マジのガチです。一緒にタピってかなりイチャこいてましたよ。とりあえずそのスマホは早く返した方が良いんじゃないですか?」

 

再び顔を見合わせた男達は、『わ、悪かったねちょっと話して欲しくてさあ』などと言い訳しながらスマホを小野寺に返すと。

『じゃ、じゃあ今日はなんか都合が悪いみたいだから?また会えたらそん時に教えてあげっから!』などと震えた声で別れの言葉を吐きつつ、そそくさと滑って行った。

 

後には、呆然とした表情の小野寺と謎の男の2人が残されたが、

ナンパ男達が離れて行った事を確認すると、この場を収めてくれた謎の男も『じゃ、僕もこれで』と去ろうとした。

 

……が。

 

「石上」

 

小野寺が、ハッキリとした声の調子で謎の男……もとい石上を呼び止めた。

 

「……な、何でバレt「声で分かるでしょ」

 

ため息を一つ吐き、観念したようにゴーグルを上げるとそこには小野寺の見知った顔が有った。

 

「アンタもここ来てたんだね」

 

「……ん。まあね」

 

「……まあ、あの場を助けてくれたのはサンキュ。けど私スキー場行くって言ってたじゃん?どうしてアンタもここに居んの?」

 

「……いやその、生徒会副会長として、スキーの1つも滑れないと格好が付かないと言うか、なんというか……」

 

「あーね。だからこっそり練習しに来たって訳か」

 

石上の言葉はあながちウソには聞こえない。

だが、どこかウソっぽいところも感じる。

伊井野はともかく、石上ってそう『生徒会副会長として云々かんぬん』言う系じゃないっしょ。

スキーくらい滑れないとカッコが付かないって言ったのは多分本当だろーけど。

カッコつけたい理由は、生徒会副会長だから、とかじゃなくて。

……多分、イメージ的に滑れなさそうな誰かさんをエスコートしてやりたいとかじゃないかなー。

 

……はー。しゃーないな。

 

「……ま、助けられた恩も有るし?もうひと通り調べ終わったし、バレたついでに私が教えてやっても良いけど?」

 

「……え」

 

「何?私じゃ物足りなみがヤバい?」

 

「い、いや、ヤバくはないけど」

 

どーも私と話すとちょっと挙動不審になるところがあんだよね。

今までが今までだけに、多分私みたいなタイプは苦手なんだろうけど。

今好きなのは、私とは違うクソ真面目ちゃんでカワイイアイツなワケだし?

 

「んじゃ、さっさと行くよ。初級者コースで教えてやっから、ほら」

 

「あ、ああ」

 

石上は、小野寺に言われるがまま初級者コースへ歩き出そうとした。

 

……ところが小野寺は、前を行こうとする石上の背を、見つめる事数秒。

 

「ちょっと待てって」

 

「え?」

 

小野寺に呼び止められた石上が振り返る。

 

「……またさっきのみたいなバカに声かけられるのもウザいし。初心者コースに着くまでだから。……ほら」

 

そう言うと、小野寺は普段のクールな表情のまま。

先程ナンパ男に掴まれていたその腕を、石上の腕に絡ませて。

自分の身体を、石上に預けた。

 

「ちょ、ちょっ!?小野寺さん!?」

 

「まーたさん付けしてるし。要らないって言ったじゃん」

 

「い、いやそのなんか急に……」

 

「つーかテンパりすぎて草生える。初心者コースまでのウザいオトコ避けって感じでよろしく頼むわ」

 

「え、えー……」

 

石上には、明確に断る理由は見当たらなかった。

見られたくないアイツは、多分今頃ラーメン横丁で幸せに包まれてるだろうし。

何より、小野寺の言う事も一理無いことも無いからだ。

隣に腕を組み合った男が居れば、まず間違いなくナンパ避けにはなるだろう……

 

「……しょ、初心者コースまでだぞ」

 

「そう言ってるっしょ。ほら早く歩く」

 

そう言って、2人はゆっくりと歩き出した。

 

 

……今、好きなオトコなんて居ない。

…………けど、もし。

もし、伊井野がコイツを好きな事を知らなかったら。

もし、コイツも伊井野を好きな事を知らなかったら。

多分一途で、絶対気遣いが出来て、案外勇気もあるコイツは。

『そういう相手』として……ワンチャン、ワンチャンだけど……有った、かも。

 

あ、安心して伊井野。

横から掻っ攫うような真似はしないから。

んな事したら絶対ドロドロ不可避でしょ?そんなんマジ勘弁だから。

 

でもまあ、そろそろ私も探すとすっかな?

見た目はもうちょいイケてる感じのが良いけど。

中身は……コイツに近いような奴をさ。

 

 

 

③石上優は明かしたい

 

各自ひと通りの下調べが終わったその日の夜。

修学旅行時に宿泊予定の大きなホテルに、3人は宿泊していた。

……もちろん、男女で部屋を分けてある。

夕食は美味しかったし、下見である事を世間話の中で明かした人の良さそうな女将からは『あらぁ〜若いのにエラいのねぇ』と褒められたりした。

風呂も広く、大浴場に隣接する露天風呂もまずまずの大きさと居心地であり、

懸念の1つであった覗きもほぼ不可能であることが分かり、石上は胸をなでおろした。

 

──そして、深夜。

修学旅行の深夜といえば、見回りの教師の動向に気を配りつつ、皆で一部屋に集まって語り明かす……というのが定番であるが、下見である今回はそんな事は出来ない。

では、素直に眠るのかといえば……そうでは無かった。

一人男部屋に居る筈の石上は今。

ホテルの屋上で、夜空を見上げていた。

 

「…………はぁー」

 

ため息を1つついた石上だが、別に落ち込んでいる訳ではない。

東京よりずっと綺麗に見えるここの夜空を目の当たりにし、思わずため息が出てしまったというだけだ。

 

……あの約束を交わした夜も、方向性は違えど綺麗な夜空だったな。

あんな約束、したはいいけど。

ほんとにあと10ヶ月ちょい後の奉心祭までに、アイツに並び立てる男になれるんだろうか?

……まあ、なれようがなれまいが前に進むしか道は無いんだけど。

ああ言った以上、もう下手な事を考えずに王道を往くのが最善手のはずだ。

一応、もう『仕込み』も始めてる。

やるんだ。やるしかないんだ。

──アイツと、一緒になる為には。

 

そんな事を、石上が考えていると……。

屋上に繋がるドアが、ガチャリと開いた。

驚いて石上が振り向くと、開いた扉の先には。

誰であろう、今石上が頭の中で考えていた人物・伊井野ミコが立っていた。

 

「い、伊井野?どうしてここに」

 

「……トイ……いや急に目が覚めちゃって、外に出たらアンタがソロソロとどこかに行くのを見かけたのよ。何で夜更かしなんかしてるのか、気になっただけ」

 

そう言いながら、ミコは石上の方に歩いて来た。

 

言い直しはしたが、要するに夜中にトイレに行った帰りに僕の姿を見付けて後をつけてきたって事だろう。

……タイミングが良いのか、悪いのか。

 

「で、アンタは何しにこんな所で夜更かししてるのよ?」

 

「……東京より空が綺麗だと思ってさ。誰も居ない静かな屋上でじっくりぼんやり眺めるのも良いかなぁって思っただけだよ。旅行本番じゃ抜け出してこんな事する訳には行かないだろ?」

 

「そりゃまあ、そうだけれども」

 

『コイツも案外ロマンチストな所あるのね』などとミコは考えつつ、風邪を引かれても困るので石上に警告しておく事にした。

 

「星を眺めるのも良いけど。この時期だから風邪には気を付けなさいよ?じゃあ、私は戻るから」

 

本当ならば、ここで石上の隣にでも座って自分も付き合うべきなのかもしれない。

けれど、この前あんな約束をした以上。

ここで動いてしまうのは、なんだか得策ではないような気がした。

それに、自分もそうそう身体が強い訳じゃない。こんな所で長らく夜更かししてしまえば、言った自分が風邪を引いてしまうかもしれない。

ここは大人しく、部屋に戻って眠ることにしよう。

 

そう考えた上での、ミコの行動であった。

────しかし、人生とは思う通りに進まないものである。

扉の取っ手に手を掛け、扉を開けるべく捻ったミコが気付いた事は。

いつの間にか、扉にカギがかけられているという驚くべき事実であった。

 

「え……えっ……?」

 

ガチャガチャと取っ手を捻り続けるも、頑として扉は開かない。

 

「何やってんだよ、手がかじかんで動かせないのか?」

 

見かねた石上がミコの背後にやってきて手を伸ばす。

 

「ち、違……あっ」

 

ミコがあっ、と声を出したその瞬間には。

取っ手を離そうとしたミコの手に、石上の手が覆い被さる形となった。

 

「「あっ」」

 

2人の声が重なる。

その日は、確かに寒い北海道の冬空。

しかし、そんな冬空の下でも感じる、確かな温かさが……そこには有った。

 

「わ、悪い伊井野」

 

「う、うん……」

 

2人共慌てて手を離し、視線を明後日の方向に向ける。

何だか、お互いの顔を見てはいけない気がした。

そこにある相手の顔が、どんな顔か……お互いに、何となく分かっていたような気がした。

 

その場にしばし流れる沈黙。

やがて、気まずい沈黙に耐えきれずにミコが口を開く。

 

「で……ど、どうするのよ。何でか、閉まってるんだけど」

 

「あ……ああ、そうだな。どうするか……」

 

扉にカギがかけられているのは、先程ミコの手に触れて察した。

かじかんでいる訳でもないのに開かないとなれば、カギが閉まっているに違いない。

 

2人は知らないが、2人が話している間に、見回りに来たホテルの人間が屋上への扉を閉めたのだ。

本来ならば屋上に誰も居ない事を確認してから閉めるべきだったのだが、

運悪くこの日は見回りの人間も疲れで注意力が散漫であり、確認もせずにうっかりカギをかけてしまったのだった。

 

「……けど、どうするって言ってもなあ」

 

石上は考え込むも、特に打開策を見出だせない。

多くの人が寝静まっているこんな時間なのだ、大声で扉を叩いて騒いでも迷惑なだけで人が来てくれる確率は限りなく低い。

 

「……何も、考えつかないわよね」

 

ミコもまた、お手上げ状態であった。

そういう時は、とりあえず周囲を調べてみれば何か見つかるかもしれない、という事で2人で周囲を探ってみるが……

 

「伊井野、そっちどうだった?」

 

「……そう聞くって事はそっちは何も見つけられなかったのよね。こっちも同じよ」

 

その答えを聞いた石上はため息をついた。

屋上は貯水タンク程度で他には何も無く、警報装置のようなものも見当たらなかった。

 

「じゃあ、やっぱり……」

 

こうなるともう、2人の脳内に最初に浮かんだ『最後の選択肢』を取る他無さそうであった。

 

「一晩明かすしかないだろうな。ここで」

 

そう、朝になり屋上へのカギが開けられるその時まで待つ他無さそうだ。

 

「幸い、夜食もどきと水分は有る」

 

不幸中の幸い、元々夜更かしする気で来ていた石上はお菓子とジュースを持って来ていた。

 

「……それなら、何とかなるかもね」

 

少し前向きになったそのままの勢いで、2人はその場で朝を待つ事にした。

 

しばらくは共に星を眺めたり、他愛もない話をしていたが……

やはり、2人共そうトークが上手い訳ではない上に、今は互いに互いを意識していて気まずい距離感。

『じゃあ、無理にでも寝るか』という流れになるのはそう遅くはなかった。

 

……が、忘れてはいけない。

雪が降っていないのがせめてもの救いとはいえ、ここは真冬の北海道。

そんな寒空の下で眠ろうとしても、つまり……

 

「(さ……寒っ……)」

 

こうなるのは必然であった。

元々筋肉量が同年代の女子の半分程度しかないミコにとって、寒いのは大の苦手であった。

しかし、現状既に石上が上着を貸してくれている。

『お前の方が寒いだろ、無理すんな』と貸してくれたこの上着を既に身に纏っている以上、これ以上に暖かくなる方法など有りはしなかった。

 

……いや、1つだけある。

 

だが、ミコは頭に浮かんできたその方法をぶんぶんと頭を左右に振って霧散させた。

 

いやいやいや、それは無いわよ。

本や漫画の読みすぎなのかな?こんな方法が浮かんでくるだなんて。

現実であんな事、やる訳ないのに。

あんな……あんな方法、あまりにスケベェすぎるわよ。

そうよ、これは寒すぎて頭がぼーっとして変な事が浮かんできた、それだけ。

それだけなんだから。

決して、心のどこかで石上にあんな事してほしいとか、そういう訳じゃないんだから……

 

ミコは、小刻みに震える身体をしゃっきりさせようと気合を入れ直した。

 

すると。

 

「……なあ、伊井野」

 

石上が、ミコの背中の向こうから声をかけてきた。

 

「な、何よ、石上」

 

応えるミコの声は、少し震えた声である。

 

「やっぱり、上着有っても、寒い……よな?」

 

「だ……だいひょ……大丈夫よ。こ、これきゅ……これくらい……」

 

「……大丈夫じゃねえだろ」

 

そう言って石上は、いつの間にかミコのすぐそばまで近づいてきていた。

 

「なあ、伊井野。もし良かったら、だけど……嫌なら、ハッキリ言ってくれていいけど」

 

一旦言葉を切り、そして意を決して言葉を続けた。

 

「その……雪山の遭難とかでよく有るだろ?その……お互い身体を寄せ合って、身体を暖めるってヤツ。その……もしお前が、嫌じゃなければ、だけど……そ、その。試して……みるか?」

 

ミコは石上の申し出に、驚いて石上の方を振り向く。

石上の表情は、照れの感情で満ち満ちていた。

 

……これは、決して卑しい気持ちで言ってる訳じゃない。

上着有っても身体を震わせてる、こんな情けない私の事心配して。

私に貶されないかを心配しながら、申し訳無さそうに言ってる。

 

……アンタから、そんな事言われたら。

私は、こう答えるしかないじゃない。

 

「……うん。お願い」

 

ミコは、自分の顔もまた赤くなるのを懸命に堪えつつ……自身の背中を差し出した。

 

「じゃ、じゃあ……隣、良いか?」

 

「隣に来なきゃ出来ないじゃないの。ほら、早く来なさいよ」

 

そして石上は、自らの背中とミコの背中を合わせ。

服越しではあるが、2人は密着する事となった。

 

「(……あったかい)」

 

合わさる背中から、確かな温もりを感じる。

流石に地肌同士は色々とマズそうな為、下に着ていたシャツ1枚同士を隔ててはいるが、石上の体温が伝わってくる。

女の自分とは全然違う、硬い身体の感触と高い体温。

ただ、背中を合わせているだけのこの瞬間にも、ミコは石上優から『男性』というものを感じずにはいられなかった。

 

どうしよう?どうしようどうしようどうしよう?

ただ、背中を合わせてるだけでこんなにドキドキするのに。

もし……もし。

合わさるのが、背中じゃなくて……違う面だったら。

いったい、自分はどうなってしまうのだろう。

 

ドキドキして、目が覚めてしまっている。

しかも、背中を合わせて少しはマシになったはずなのに……相変わらず、寒い。まだ、震えは止まらない。

 

せっかく、石上が気を遣ってくれてるのに。

早く落ち着きなさいよ、私の身体。

こんな……こんな身体。

いくら食べても、太りはしないけどおっきくもならない、こんな小さな身体。

こんな身体じゃなければ……石上に心配かける事も無かったのに。

 

寒さだけでなく、悔しさがミコの身体の震えを一層激しくした。

 

……そして、そんな震えは背中を合わせる石上にも当然伝わっていた。

 

伊井野。まだ、寒いのか……

そうだよな。背中合わせるだけじゃ、大して効果無いよな。

……正直、『これ以上』は、僕もどうなるか分からない。

正気を保てず、おかしな事に走ってしまう可能性も否定出来ない。

けど、今はそんな心配をしてる場合か?

すぐそこで、大事な人が寒くて震えてるのに。

僕がやらないで、どうする?

 

石上は、心の中で改めて決意を固め直した。

そして……合わさっていた背中をそっと離し。

ゆっくりと、ミコの方を振り向いた。

 

「……石上?」

 

ミコが、頭だけ石上の方を向いて話しかける。

 

「なあ、伊井野。これ以上……これ以上が嫌だったら、ハッキリ言ってくれていい。気に入らなければ蹴っ飛ばしてくれても良い。けど……下見旅行を頑張ったお前を、このまま放っとけない。だから……」

 

石上は、震えるミコの身体を掴み、ゆっくりと自分の方に向かせ直した。

 

「ちょ、ちょっ……」

 

ミコは、石上の意図せんとする事が分かり慌てた。

 

──ダメよ。ぜったいダメ。

これ以上……これ以上は……

 

しかし、慌てながらも石上の目を見つめるミコは。

石上のその目に、卑しい気持ちは宿っていない事を目の当たりにした。

 

しばし、互いに無言で見つめ合う石上とミコ。

石上は、決してこれ以上は動かない。

ミコには、その理由が分かった気がした。

あくまで、選択権を私に委ねるつもりだ。

自分からやって、私が嫌がる事が無いように。

 

──どうして。

どうしてアンタは、そこまで優しいのよ。

私の事なんか好きじゃない頃から。つばめ先輩に惚れてた頃から。

私が気付かないだけで、アンタはずっと優しかった。

今も、セクハラとか変態呼ばわりされるのを承知で。

私が心配で、こんな事を申し出てくれてる。

 

────そんなアンタの、優しくて温かい気持ちに。

私が答えないわけに、行かないじゃない。

 

ミコは、ゆっくりと。

同意の意思を示すように、石上に抱き着いた。

背中合わせなどとは、全く違う暖かさが石上から伝わってくる。

石上の体温。感触。鼓動。全て、余すことなく伝わってくる……

身長差がある故に、石上の胸元にミコの頭がうずまるような形に落ち着く。

 

「な、なあ伊井野。寒く……ないか?」

 

「……うん」

 

もう、寒さなど頭から吹っ飛んでいた。

こうして、信頼出来て、大好きな相手に。

身体を預ける事の、何と温かく、幸せなことか。

ミコは今、幼い頃、父親に無邪気に抱き着いてじゃれていた頃を思い浮かべていた。

まだ、父親が今ほど忙しくなかった頃。

また舌っ足らずなほど幼い自分が抱き着くのを受け止めてくれた、昔の記憶……

 

「(……えへへ)」

 

ミコの頭の中は今、幸せで満ち満ちていた。

石上の胸に頭を預けていると……不思議と、ドキドキより安堵感が溢れてきた。

もう、寒空の下で夜を明かす事に不安なんてない。

 

だって、今私は。

こんなに、幸せで落ち着いていられるんだもん……

 

ミコは、この短い時間の間にもたらされた幸福感と安堵に身を任せ、そのまま眠りにつくことが出来た。

 

そして、夜が明けた。

 

朝が来て割とすぐに、扉が解錠され2人は部屋へ戻ることが出来た。

 

『石上も居なかったけど、2人でどこへ消えていたのか』と詰られるミコ。

そして、石上はというと……

 

 

「(あ────────助かった!乗り切った!!はぁ─────…………)」

 

自室で、脱力感と安堵感に溢れて倒れ込んでいた。

 

石上だって、思春期の男子である。

同い年の女子と。ましてや、好意を抱いている相手とシャツ越しとはいえ密着して。

やましい気持ちが起きないなど、有り得なかった。

男の自分とは違う、どこまでも柔らかい肌の感触。

最近、いよいよ藤原先輩クラスに近付いてきた、2つのたわわな果実。

肌に伝わってくる全ての感触が、石上の理性をいたずらに刺激し続けた。

少し手を動かせば、成長目覚ましいあの果実に手が届く──。

そんな悪魔の囁きが聞こえてきたのは、一度や二度ではない。

だが、石上は耐えきった。

伊井野は、あくまで暖めてほしくて僕に身を預けているのに。

それをいいことに、それ以外の行為に及ぼうとする事の、何と最低な事か。

伊井野の信頼を裏切る訳には、絶対に行かない。

アイツと一緒になる為にも。僕を救ってくれたアイツの為にも。

石上は、持てる理性の全てを動員し悪魔の囁きと一晩戦い続け、そして打ち克ったのであった。

 

 

かくして、3人の下見旅行は少しの波乱を含んで幕を閉じたが。

本番がどうなったかと言うと。

 

ミコから事の顛末を吐かせた小野寺が、学校にてうっかり2人の出来事を漏らしてしまった為に。

2人のカップリングネタが学年中に広まり、本番の数日前には教師の耳にも入り。

2人は好奇の目に監視され、動く事は出来なかったそうだ。

 




〆切(?)が延び延びしてしまい申し訳ございませんでした(^_^;)
次回は3週間以内には投稿予定です!
アニメ2期決定!アニメ派も石ミコにハマれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(願望)

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