伊井野ミコは告らせたい~不器用達の恋愛頭脳戦(?)~   作:めるぽん

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時間空いて申し訳ありませんでした(^_^;)
時系列は夏休みまで進みます。冒頭から途中まではみんなのアイドル視点。



第19話 生徒会のお2人は『プール』に行きたい

ドーンだYO♪

コイバナの匂い嗅ぎつけて 迷える後輩導きます!

ラブ探偵チカだYO!

 

とつぜんですが……最近、私気付いちゃったんです。

きっかけは、この前秀知院の高等部に遊びに行った時の事……

 

 

ミコちゃん、おさげやめて髪下ろしてから、グッとオトナっぽくなったんですよね。

しかも……見る度に、大きくなってるような気がします。

えっ?身長の事じゃないですよ?身長は1年生の時からずっとカワイイままのような気がします。

そこじゃなくてですね……その、なんというか、2つのまあるい球体というか、なんというか!

私も姉様程じゃないけど大きいと自負してます。けど、もううかうかしてたら追いつかれ追い越されちゃいそうと感じるくらいに成長してますよミコちゃんのアレは!

 

なので、そんなカワイさを残しつつオトナっぽくなりつつあるミコちゃんに、思わず尋ねたんです。

 

「ミコちゃんって、好きな人とか居ないんですか?」って。

女の子は、恋をするとキレイになるって言いますし!

 

……そしたらですね、面白い反応が返ってきました。

私、『え、そんなの居ませんけど』って無表情で返ってくるのを半ば予想してたんです。

けど、ミコちゃんの反応はこうでした。

 

「えっ!?そ、そ、そんなの居ません!!」

 

急にあたふたして、顔もちょっと赤くして。

そうです……これって、どう見ても『居ます』よね?

居ないのなら、私が想像してたようなリアクションが返ってくるはずなんです。

ミコちゃん!一体どこの馬の骨なんです!?

私のカワイイおも……いや後輩をかどわかした不届き者は!

このラブ探偵が、その男を見定めちゃいますよ〜!

 

……と、そんな事を考えてたら。

 

「ちーっす。あ、藤原先輩来てたんですか」

 

私の天敵にして好敵手・石上くんがやって来ました。

石上くんもいつからか髪型が少し変わって、こざっぱりしたり、みんなで一緒に写真撮った時みたいにキチっと分けた髪型になったりして、陰キャくん感がちょっと減りましたよね。

そんな石上くんは、私の知る限り、ミコちゃんとは犬猿の仲だったはずの石上くん。

でも、この前『会長として頑張ってるアイツを労いたい』なんて言って、ミコちゃんへのプレゼント選びに付き合ってくれって言われたんですよね。

思えば、前々から嫌ってる割には案外ミコちゃんの事気にかけてあげてましたよね。

……思い遣りがあって良い事だとは思うんですが、つばめ先輩にフられたのはひょっとしてミコちゃんに構いすぎたのが原因なのでは?なんてちょっと思ってます。

傍から見れば、結構ミコちゃんに構ってますもんね石上くん。

 

 

そして、私が驚いたのは。

そんな石上くんを見るミコちゃんの視線ですよ!

来た時から、「い、石上!?」ってなんかやたら驚いてて、あれっ?とは思ったんです。

まあ、私の勘違いですよねー、ラブ探偵の目もたまには曇りますよねー、しょうがないですよー。

なんて考えながら、「何を話してたんですか?」と聞いてきた石上くんに、「ミコちゃんに『好きな人って居ないんですか?』って聞いてたとこなんです」と答えたんですよ。

……そこで、私の『まさかの疑念』は、確信へと変わったんです。

だって、もう信じるしかないじゃないですか?

「そんな人居ませんから』と言いつつ、顔をちょっと赤くしたまま、石上くんの方をチラっ、チラっと伺うように見てるんですもん……!

 

このラブ探偵に、生まれてこの方数度しか味わった事のない衝撃が襲いかかりました!

まさか、まさかミコちゃんが。

あれだけ嫌ってたはずの石上くんを!

散々に貶してたはずの石上くんの事を……!

 

じゃあ、じゃあ!

私が見てきたアレって、ひょっとして『ツンデレ』ってヤツなのでしょうか!?

ホントは好きなのに、素直になれなくて思わずツンツンした事を言っちゃうって噂のアレ……!

じゃあ、私達の前ではああでも、一人になった時なんかは『どうして素直になれないんだろう……』なんて悩んでたりしてたんですか!?

それって……それって……

可愛いすぎますよ、ミコちゃ〜ん!!

かわいい!カワイイ!!可愛い!!!

 

けど、オドロキはそれだけじゃなかったんです……

私の答えに身体がピクッと反応したの、私見逃しませんでしたよ、石上くん……?

それに、「そ、そうですよ。コイツクソ真面目だし、そんな相手なんて」と言う石上くんの視線はどこか不安げに泳いでました……

 

あれ?あれあれ?

これって、もしかして……?

 

えっ?じゃあ、なんですか?

まさか石上くんの方も、『ツンデレさん』だったって事ですか?

表ではミコちゃんに素っ気ない態度だったくせに、裏では何かと気にかけてあげてたのはそういう事なんですか!?

えっ?じゃあこの前の『労ってやりたい』って言ってたプレゼント選びも。

ほんとは『そういう事』だったんですか!?

 

これは……これは!!

 

面白すぎますよ!!!

 

表では『アイツの事なんて』って言っておきながら!

でも、裏ではお互いに好き合ってるだなんて!!

でもでも、表での態度が態度なだけに恥ずかしくて踏み出せてなくて!!!

どうして、今までこんな面白いのを見逃してたんでしょうか!?

このラブ探偵チカ、一生の不覚です……!

 

けれど、今気付けたのならそれでオッケーです。

これを知った私が、やるべき事はただ1つです。

 

 

2人をくっつけて、まとめてイジれるおもちゃにしてしまう事です!!

 

……誰ですか?デブリボンだとかどこかのタコを殺す教室で聞いたセリフだとか言う人は!

 

まあいいです。とにかく私は頑張っちゃいますよ!

まずは……

 

「お姉ちゃん!石上せんぱいと小野寺さんと圭誘っといたよ!」

 

「グッジョブです萌葉!」

 

萌葉から、早速喜ばしい返事が届きましたよ!

そう、実は私達姉妹は、この夏とあるプールに出かけるのですが。

そこに石上くんとミコちゃんも誘っちゃおうという魂胆なのです。

 

ですが、普通には誘いません。

まずは『生徒会のみんなも一緒に』と、敢えてミコちゃんだけ除いたみんなを誘うのが第1段階。

妙に鋭い所のある石上くんですが、これなら疑われはしないでしょう!

そして第2に……

 

 

 

「え?みんなでプール……ですか?」

 

「はい!みんなでワイワイ水遊びしましょう〜!」

 

私が直接、ミコちゃんを誘います!

ミコちゃんは私を尊敬してくれているので、まず断りはしないでしょう!

 

「良いですね!たまには息抜きもしたいですし。私もご一緒します!」

 

うんうん、にこやかな返事が頂けました。

ですが……

 

「今回は女子会です!みんなで大胆な水着を見せあっちゃいましょうミコちゃん!」

 

そう……ここからがキモなのです。

 

「え?そ、それはちょっと……」

 

ミコちゃん、もじもじしてます。

勿論、女子会だなんてウソです。石上くん誘ってありますから!

けれど、こう言っておく事に意味が有るのです。

 

「大丈夫ですよミコちゃん!ミコちゃんのスタイルならどんなの着ても似合いますよ〜!」

 

ミコちゃんを抱き寄せ、ぎゅーっとしてなでなでします。

 

「そ……そうですか?えへへ……」

 

照れてます。照れ笑いしてます、ミコちゃん。相変わらずチョロカワイイです。

 

「女子会ですから!ミコちゃんをやらしー目で見てくる人が居たら私達がブロックします。だからカワイイ水着を着て来てくださいね!」

 

「はい!」

 

……よし、これでこちら側のセッティングは準備OKです。

あとは……

 

 

 

「え?伊井野が来れなくなった?」

 

「うん、なんでもその日、『やっぱり外せない用事が有る』んだってさ」

 

石上くんの方にも、ガセネタを仕込んでおきます。

実行役は小野寺さん! 

萌葉曰く、『石上せんぱいってどうも小野寺さんに頭が上がらないというか、及び腰というか、一歩引いてるというか』だそうなので、萌葉が事情を話して協力を取り付けてくれました!

 

「どんな用事って聞いても、なんか深刻そうな顔で『教えられない』つて。だから、伊井野の前ではプール行く事話題にしちゃダメだよ?残念がるだろうからさ」

 

「…………ああ、そうだな」

 

小野寺さんの話を聞いた萌葉いわく、凄く心配そうな、どこか残念そうな、そんな顔をしていたそうです。

これで準備は整いました……!あとは、10日後をお楽しみに、ですね!

 

 

 

 

そして、とうとうその日が来ました!

 

美しい夕焼け。人もそんなに多くない。

絶好のプール日和ですね!

 

そして、もうみんな揃ってます!

私と姉様と萌葉、それに生徒会の皆。

そして、案の定……言い合いをしてる人物が2人。

 

「伊井野!?お前来れないんじゃ……」

 

「い、石上こそなんでここに居るのよ!?今日は女子だけって聞いて……」

 

あ、石上くんとミコちゃんが同時にこっちを見ました。

けれど、私は知りません。なんの事かは知りません。知りませんったら知りません〜。口笛吹いてやり過ごしまょう〜。

 

私に問い詰められない事が分かると、2人は大人しくなりました。

────そう、これが私の狙いだったんです。

お互いにお互いが来ないと思って油断している所に鉢合わせてしまうドッキリ!

覚悟できてない分、ドキドキ度は普段の倍のはずですよ〜!

その証拠に。

石上くんもミコちゃんも、お互いもじもじしつつお互いをチラリ、チラリと盗み見てるのがバレバレですよ〜!

あぁ、ほんと……

お可愛いです!私の後輩はどうしてこんなに可愛いんでしょう!?

ミコちゃんは言うまでもないですが、普段はナマイキな事言ってくる石上くんもなんだかんだ不器用でチョロくてカワイイってもんです!

さあ2人とも!このままのドキドキの勢いで行くところまで行っちゃいなさ〜い!

 

……それにしても、今日の石上くんはどことなく挙動が不自然なのが少し気になりますね……ミコちゃんの水着姿、そんなに刺激的だったんでしょうか?

 

 

 

……と、藤原は石上の様子を不審がっていた。

思惑通りミコへ向く視線が多めとはいえ、いつもより視線がきょろきょろと落ち着かない。

こんなにそわそわした人だったでしょうか?と藤原は不思議がっていた。

……だが、それも無理はない。

石上にとっての『ドッキリ』は、ミコと鉢合わせられた事の他にもう1つ有ったからだ。

それは────

 

「(ここって……そういうプールかよ……!)」

 

石上は、自分の迂闊さを呪っていた。

 

大体、集合時間を聞いた時には頭に浮かべるべきだったのだ。

普通、市民プールやレジャー施設のプールで遊ぼうという時に、夕方5時半になど集合するだろうか?

萌葉ちゃんは、『夕方の方が空いてるからですよ〜』なんて言ってたが。

これ、絶対意図的に隠そうとしてただろ。

僕を誘おうと発案したのが萌葉ちゃんか藤原先輩かは分からないが。

本当の事を言えば、僕が尻込みして来ないだろうという事を分かってたんだ。

そして、その見立ては正しかったと思う。

最初からそう聞かされてたら、多分僕は乗らなかったと思う。

────リア充女子の魔窟、『ナイトプール』に来い、だなんて……

 

 

【ナイトプール】!

普通の市民プールやレジャー施設のプールとは違い、夕方〜夜を主な営業時間とし、

泳ぐ事ではなく、きらびやかでロマンチックな雰囲気と自撮りをまったり楽しむ事を目的とした、新しい形のプールである!

そしてその特徴からして、ナイトプールの客層はと言えば。

9割が自撮りを楽しむ女子グループ、もう1割が映える空間でイチャつく事を目的としたカップルといった具合である!

それ故、『オシャレな人以外お断り』なリア充空間になりがちであり。

ましてや、石上のような陰キャ男子には完全にアウェーな空間!

もはや魔物の巣窟、いや、その巣窟の中でもとりわけ凶悪なラストダンジョン級の場所であった!

 

心の何処かにリア充への苛烈な妬みが息づいている石上にとって、ナイトプールなど格好の批判の種であった。

 

バカじゃなかろうか、市民プールの何倍もの入場料払って、インスタ映え(笑)の為に自撮り(爆笑)しに行くとか。

で、『そんなに加工するんならそもそもわざわざナイトプール行く必要無くね?』ってくらいゴリゴリ加工してから自慢げにアップロードするんだろ?あーあ、アホらし。

 

とはいえ、いざ来てみれば、それなりの入場料を取るだけあって、そう悪い場所でもないのである。

ほぼ全ての要素が『SNS映え』の方向性に特化したものとはいえ、

色鮮やかながら眩し過ぎず派手過ぎない照明が夕闇を美しく照らし出し、更に時間毎にその照明の色は変化し飽きを感じさせない。

背後にスカイツリーが映るよう計算されたフォトスポットや、設置されている独特な形の浮き輪やフロートや、プールの中を彩る光る玉が織りなす空間は一種の芸術性を持つと言っても過言では無い。

オシャレや自撮りにご執心な年頃の女子でなくとも、訪れればその光景に『おぉ……」と感嘆が漏れるくらいには良いスポットなのである。

 

────しかし、石上にとって。

いや、カップルで来ているわけではない男性にとっては、避けて通れないかなり重要な問題が存在するのだ。

先程も言った通り、ナイトプールの客層は9割が女子のグループ、もう1割がカップルである。

つまり、客の9割5部は女性と言ってしまって差し支えない。

しかも、年齢層は10代、20代の若い女性に絞られている。

更に決定的なのが、『自撮りを目的としている』『圧倒的に女子の多い空間』『ナンパの心配が無い』という事で、

海や市民プールに比べ、思い切った水着を安心して着用している女子が多いのだ。

カップルで来ている男性なら、ひたすら彼女に視線を集中していれば良い。

だが、カップルで来ているわけではない男性の場合、視線のやり場に困ってしまうのである。

更に石上の場合、一緒に来ているメンツも問題であった。

元より企画していた藤原3姉妹に、小野寺麗・白銀圭……そして、伊井野ミコ。

6人の美少女が、ナイトプールで浮かない為に気合の入った水着を着て石上の傍に居るという状況。

勿論誰かが彼女という訳でもないので、誰に視線を集中する訳にも行かず。

それ故、石上はどこか問題無く視線を向けられる所は無いかと辺りをキョロキョロ見回す羽目に陥っていたのであった。

だが、このナイトプールは都内に複数存在するナイトプールの中で1、2を争う人気のナイトプール。

客もそれなりに多く、どこもかしこも水着の若い女性だらけという状況であった。

ハッキリ言ってしまえば、気晴らしにはっちゃける事も出来ない陰キャな上に、女性と『契ってない』石上にとっては、辺り一面目の毒な光景であった。

 

なんだよ。どうすりゃいいんだよ、コレ。

僕はいったい、これからの時間どこを見てどう過ごせっていうんだ。

 

────普通に考えれば、一番見たいのは……

 

石上は、バレないよう細心の注意を払いながら、ミコの方をちらりと見る。

藤原に『女子会』だと騙され、『大胆な水着を』とリクエストされたが故に選んだ、布面積の少ない、スタイルがハッキリ現れる大胆なオレンジのビキニ。

普段決して見せることの無い、スラリとした細い両の腕に、程良い肉付きの太腿。

更に……今や藤原千花ととほぼ同じ大きさまでに成長した、胸部の2つの瑞々しい果実。

どれを取っても、思春期である石上を強く強く惹き付けるものであった。

だが、それをいいことにこのままミコに視線を向け続けてしまえば!

 

『(せんぱぁい……伊井野先輩の方ばかり見ちゃって。これだけ水着の美少女が居るのに伊井野先輩しか見てない。やっぱり伊井野先輩の事が好きなんじゃないですか〜?お可愛いですね〜)』

 

『(えっ?石上くんそうだったんですか?

私が居た頃は散々面倒くさいだのうるさいだの言ってたクセに!?じゃあアレ全部照れ隠しだったって事ですか!?

石上くん……お可愛いですね〜)』

 

何かを悟ったようなニマニマ笑みを浮かべる藤原姉妹が、脳内に鮮明に浮かび上がる。

 

これは避けねばならない。

しかし、かと言って他の女子に視線を向けてしまえば!

 

『(石上……アンタ女なら誰でも良かったのね?もういいわ、私より背が高くて、おっぱい大きい人でも見て興奮してれば良いじゃない。通報されても知らないから。この変態。スケベ。エロエロ大魔王。ほんと……生理的に無理)』

 

溢れんばかりの軽蔑の意のこもった視線を向けてくるミコの痛烈な声が、石上の脳内に響く。

 

ちくしょう!どうしたら良いんだ!

 

石上は、頭を抱えながら下を向いた。

 

……一応、こうしてずっと下を向いてれば刺激的なものは見ないで済むけど。

そんな事をしていればこの場を全く満喫出来ていない事が明白であり、それでは場の空気が悪くなるし誘ってくれた萌葉ちゃんにも申し訳が無い。

いったい、どうするべきか……

 

そんな事を石上が悩み思案していると。

 

「どうしたんですか石上くん?」

 

反射的に、声のした方を振り向くと。

眼前に、肌色の谷間が飛び込んできた。

 

「!?」

 

慌てて顔を上げると、そこには不思議そうな表情をした藤原が立っていた。

 

「い、いやそのですね……こ、こういうプールとは聞いてなかったからちょ、ちょっと戸惑ってるというか」

 

 

石上がやや上ずった声で藤原に答える。

 

「え〜良いじゃないですか。このプールオシャレでキレイですし!それに普通のプールに比べたら空いてるんで快適ですよ〜」

 

「まあ、そりゃそうですけど……」

 

「それに、石上くんもこういう場所に慣れておくべきなんです!将来カノジョさんに一緒に行こうって言われてもビビって行けないではカッコ悪いですよ!」

 

……一理無くはないけど。

それにしたって、心の準備ってものがあるでしょうが。

例えばラストダンジョンに挑む時だって、レベルや装備を万全にして心の準備を整えてから突入するものなのに。

今はまるで、『ちょっくら遠出するか』とだけ言われて、装備もレベルも心の準備も無いまま魔王城に連れてこられた気分だ。

 

そんな複雑な気分が顔に出たか、藤原姉妹長女・豊実も声をかけてきた。

 

「ゴメンね〜石上くん。千花ったらちゃんと伝えなかったみたいで」

 

一行の中で最年長という立場に相応しい気遣いとフォローである。

……ただ、1つマズい点が有るとすれば。

彼女の着る水着が、思春期男子の目のやり場には欠片も気遣ってない格好であるという所である。

眩しく艶めかしい肌を惜しげも無く大胆に露出し、ひときわ目を惹く千花以上の胸部の巨大な果実は、その布面積の少ないトップスでは覆い切れておらず、横からこぼれているといった有様。

当然、石上の挙動不審にますますブーストがかかったのは言うまでもない。

 

「い、いえあのその、だ、大丈夫です……はい」

 

湧き上がらざるを得ない見たいという欲を必死で抑え、豊実に背を向けつつ答える石上。

共に全くその自覚が無い長女と次女は、二人して頭の上に『?』マークを浮かべていた。

────だが、そんな藤原姉妹の中でもこの女だけは別である。

 

「せんぱぁい、どうしたんですか〜?」

 

萌葉がいたずらっぽい笑みを浮かべながら、石上の腕に抱き着いてくる。

 

「ちょ、ちょっ!」

 

腕に感じる女子の身体の感触に、石上の心臓が一瞬跳ね上がる。

 

「何慌ててるんですかせんぱい?これくらいフツーのスキンシップですよ〜」

 

んなワケないだろ!スキンシップでこれって!

……いや、リア充女子なら有り得るのか?

……っていやいや!漫画やアニメの世界じゃあるまいしやっぱり有り得ないだろ!どういうつもりだこの藤原三女!?

 

そんな動揺と困惑を隠せない石上の様子を見て、萌葉は心の中でにんまりと笑う。

天然の気がある姉二人と違い、男心に機敏である萌葉は、石上の挙動不審の理由も察していた。

しかし、それを分かった上でやっているのである。

目的は、単に石上のあたふたする様がおもしろくてからかいたいというのが1つ。

そして、もう1つもっと大事な目的は……

 

萌葉が、石上をイジりつつ横目でミコをちらりと伺う。

案の定、ミコは露骨に石上から目を逸らしつつ、頬を膨らませて面白くなさそうにしていた。

 

そう、今回千花と萌葉が企んでいるのは。

『ミコの嫉妬心を煽って関係を進展させちゃおう作戦』である!

自分達が石上にベタベタする様を見せ付け、『このままではいけない、私も』と嫉妬心を爆発させて関係をグッと進展させる目論見である!

萌葉の提案で、千花と豊実は敢えて普段通りに石上と接し。

自分は少し『狙って』石上をからかってみるという今回の作戦。

その豊満なボディで無意識に男をドキマギさせる長女・次女と、小悪魔的にドキマギさせる事に長けた三女。

三姉妹の織り成す無慈悲な三重奏が、石上を呑み込みつつあった。

 

 

 

「いぇーい!ほら石上くん、もっと笑ってくださいよ〜?インスタに上げて同級生ビックリさせるんですから〜」

 

「何してんすか藤原先輩……」

 

藤原に引っ張ってこられた石上は、2人フロートの上に座りながら藤原のスマホで写真を撮られていた。

ちなみに、フロートの種類は『ピザの一片を模したフロート』である。

女子の多くはもっとおしゃれな、例えばアコヤ貝を模したフロートなどを選ぶ。そちらの方がおしゃれで『SNS映え』するからだ。

『面白そうです』という理由で珍奇なフロートを選ぶ辺りはいかにも彼女らしかった。

どうも、同級生に『彼氏と来ました』的なドッキリを仕掛けたいそうだ。

そもそも自分なんかで彼氏役が務まるのだろうかという懸念は有ったものの、発起人本人が選んで納得しているならまあ良いだろうと石上は考えていた。

石上にとってはそれよりも、もっと差し迫った問題が有った。

 

距離が、近い。

 

元々結構遠慮無しにくっついてくるタイプであった藤原だが、それがこんな場面でも変わらないというのは驚いた。

普段は多少くっついてこられても、しょせんは制服越しなのでそうドキドキはしないし(良い匂いはするが)、問題は無い。

だが、プールに居る今は違う。

ほぼ下着同然、露出度の高いビキニを来た少女がくっついて来たら。

当然、接触する事になる。

普段は触れるどころか見ることも珍しい、乙女の柔肌に……

おしゃれなライトに照らし出された美麗な肌が、直に自分の肌にくっついて来る感覚。

未だ女性と『契った』事のない石上にとって、初々しい経験であった。

 

「ふ、藤原先輩……そ、その。近すぎです、距離が」

 

胸の鼓動が早くなり、藤原に対してのことばの切れ味が大幅に鈍る石上。

そんな石上の反応を見た藤原は、ニマニマ笑みで石上の頬をうりうりと突く。

 

「あれれ〜?石上くんひょっとしてこれくらいの事でドキドキしちゃってるんですか〜?相変わらずクソザコ極まれりですね〜」

 

普段はニブチンな藤原も、この時は『ミコを嫉妬させる』という目的の為に、『自分にドキドキしているのか』とカマかけの言葉を言ってみる。

まさかそれが、当たっているとは露知らず……

 

藤原に対し、かぐやに次いで散々なあだ名を授けてきた人物である石上だが、

内心では、藤原をそれほど悪くは思ってはいない。

会長に『救済』され、生徒会入りした直後の事。

カリスマ溢れる生徒会長、大財閥のご令嬢であり副会長という両者が混在する空間に圧倒されている自分に、

『よろしくお願いします〜』と無邪気にくっついて来たこの人の無邪気さに……救われたという事を否定出来ない。

色々と残念な中身ではあるが、外見は非常にハイレベルである事も然りだ。

性格にマッチしているピンクの長い髪、やや童顔で大きい目、そして順調に成長を重ねた……胸部の2つの瑞々しい果実。

その全てが非常に身近に有る現状に、ドキドキしない訳がなかった。

しかも、胸の果実にいたっては……本人は果たして知ってか知らずか、さっきからちょくちょく、むにむにと右腕に当たっている。

思春期男子たる石上の理性は、『当たる』度に強く刺激されていく。

 

そして、人知れず戦う彼に追い打ちをかけるかの如く……

 

「あー、写真撮ってる〜。おね〜ちゃんも混ぜてよぉ」

 

長女、豊実が藤原の横……ではなく、何故か藤原と反対側の石上の左隣に陣取る。

 

「ちょっと姉様!姉様が混じったらドッキリにならないじゃないですかー」

 

「もう何枚か撮ってるでしょー?おね〜ちゃんもたまには妹と交流したいんだからぁ。良いよね、石上くん?」

 

「あっえっえっとそのえっと……は、はい」

 

豊実もナチュラルに身体をくっつけて来るので、石上の挙動不審っぷりは右肩上がりに急加速していく。

そして、トドメと言わんばかりに……

 

「石上せんぱいキョドりすぎ〜。面白っ」

 

いたずらっぽい笑みを浮かべた萌葉が、石上の背後から彼の頭の上に上半身を寄り掛けてくる。

 

石上の若い理性は、もはやはち切れる寸前であった。

何せ、右からは藤原のFujiwaraカップなモノが。

左からはそれを上回るサイズと柔らかさのモノが。

頭上からは姉2人よりは小ぶりだが弾力の強いモノが。

三者三様に豊満に育った柔らかい物体が、戦車級の圧力をかけて来ているのだ。

もうこのままでは、いつ『決壊』してもおかしくはないと、全身が……特に、ある一部分が叫んでいた。

 

「す、すすすすみません!僕ちょっとトイレ行ってくるんで!ちょっとジュース飲みすぎちゃったなって!失礼します!!」

 

色々な意味でやんわりとした拘束を解きながら、石上は脱兎の如く三姉妹から離れて行った。

 

「あらら……ガマンさせちゃったのかな〜?ゴメンね石上くん」

 

何も気付いていない豊実が、頬に指を当てて顔を傾けながら申し訳なさそうに呟く。

 

「そうだね〜、色々と『ガマン』させちゃったかもね〜」

 

その一方で、石上が逃げて行った理由を察している萌葉はニヤニヤ笑っている。

 

あー、おもしろっ。石上せんぱいってほんとウブだよねー。

普段はクールというか、ナナメに構えた陰キャっぽいのにこういう所がクソザコっていうかなんというか。

……オモチャにするなら、あーいう人も面白いかもねー?

まあ、せんぱい狙ったら伊井野せんぱいに怒られそうだからやんないけど。

 

石上の預かり知らぬところで、萌葉は改めて石上をからかっていく事を決めたのであった。

 

そして、藤原はと言うと。

ある人物に対して、ずっと視線を定めていた。

その人物は、石上が走り去っていった方を小走りで追いかけて行く。

 

ふふふ。思惑通りに動いてくれますねミコちゃん!

ミコちゃんのヤキモチは、十二分にぷくーっと膨れ上がったはずです!

ミコちゃんが石上くんにどんなアプローチをするのか、楽しみです!

 

藤原は、計画の推移が順調である事に満足していた。

 

────だが、しょせんは恋愛経験の無い素人があくまでお遊びで考えた計画である。

人生が順風満帆に行っている人間ほど、見落としがちである。

計画に『イレギュラー』は付き物である、という事実を……。

藤原達の計画は、イレギュラーに対してまったくの無策であった。

……もっとも、今回の場合、たとえ何らかの策を講じていても無意味だったかもしれない。

何故なら、ここに立ちはだかったイレギュラーは、そこらのイレギュラーとは比べ物にならない『魔王』とも呼ぶべきものだったからだ。

 

 

 

三姉妹から脱兎の如く逃げ出した石上は、充分な距離を取った事が分かると足を止めた。

走っている間は、いっその事本当にトイレに駆け込んでしまおうと考えたくらいだった。

無論、用を足すつもりではない。

残りの時間を落ち着いて過ごす為、誰にも邪魔されない場所である『儀式』を行おうと思案していたのだ。

その儀式を行ってしばらくは賢者の如き冷静さを得られる、特別な『儀式』である。

しかし流石に情けないと思い直したのと、次女と三女はともかく『経験』が有ってもおかしくなさそうな長女辺りに、洗い流せども僅かに残った臭いで悟られてしまったりする可能性も有る事を考えると、このまま理性と格闘して踏みとどまるのが正解だと思った。

もし『儀式』が悟られてしまった日には、キモがられ嘲笑われ無慈悲な言葉が飛んでくるのは確実だろう……

 

そして、その理性が克った判断が正しかったと痛感する出来事が、足を止めた直後に起きた。

 

「あれっ!?石上くん……だよね?」

 

聞き覚えのある声が聞こえたので、声のした方を振り向くと。

 

「……え?柏木先輩?」

 

露出度の高い黒いビキニを着て、右手にスマホ、左手にソーダフロートの注がれたグラスを持った、柏木渚が立っていた。

 

 

 

 

「……なるほど、浮気ですか」

 

石上は最初不思議に思った。この人がここに来るなら、恐らくあの翼先輩と一緒に来るはずなのに何故、と。

しかしどうも話を聞く限り、その翼先輩が浮気をしていたらしく現在激おこ中という事らしい。

 

……まあ、その根拠はと問うと『マキと楽しそうに話してた』というだけだったので、確実にこの人の面倒な勘違いに過ぎないけど。

そもそも、あの翼先輩に浮気する気概が有るとは思えない。

未だに覚えてる、僕らの前でもお構いなしに散々この人とちゅっちゅちゅっちゅしてた事。

あんな熱々だったのにそう簡単に乗り換えるか?頼りなさげではあったけど軽薄には見えなかった。

この人もそれがどこかで分かってるから、すぐには別れず距離を置く程度に留めてるんじゃないだろうか。

 

まあ、触らぬ『神』に祟り無し、だ。

ここは早いとこズラかった方が……

 

そう思って、気分を害さぬよう、さり気なくその場を離れようと試みたが……

 

「……あっ。待って、石上くん」

 

何かを思い付いた様子の柏木が、石上の手首をぎゅっと掴んできた。

 

「な、何ですか?」

 

石上は、柏木の表情に嫌な予感を感じ身構えた。

何故ならその顔は、いけない事を思いついてしまい満悦するような表情だったからだ。

 

「ねぇ、石上くん。翼に仕返ししたいからさ……」

 

石上は、三姉妹から逃げた挙げ句より厄介な人物に捕まってしまった事を悟った。

 

 

 

 

「はい、チーズ!」

 

「は、はい」

 

石上と柏木は、大きな雲を模したフロートに2人で腰掛け柏木のスマホで写真を撮っていた。

 

「ほら石上くん、もっと楽しそうに笑って!翼に送りつけてやるんだから!」

 

「と言われましても……」

 

冷や汗をかきながら曖昧に返事をする石上。

そう、柏木は『石上と2人楽しそうな写真を送り付けて、翼に仕返し&妬かせ』ようと企んでいるのである。

 

なんか、喧嘩中なのを良い事に間に割って入る間男みたいな事をしてるようでとてもじゃないが心からは笑えない。

しかも……

 

「遠慮しなくて良いから。悪いのは翼だから、ね?今だけ彼氏のフリしてよ?私も彼女になりきるから」

 

そんな事を言って、布面積の小さいビキニしか着ていないその身体をぐいぐいと密着させてくるのだ。

 

かぐやを『恋愛経験豊富』だと思い込み相談しに来た頃は、それほど抜群のプロポーションという訳ではなかった彼女。

しかし、成り行きで翼と付き合い出してから、女として愛された結果か……みるみる内に成長し、今や藤原と並ぶ程にたわわに育った果実を備えている。

その身体を無遠慮にぐいぐい押し当ててくるものだから、当たる、当たる。

腕に、たわわな柔らかい物体が。

しかも『彼女のフリ』という建前の元、藤原姉妹以上に積極的に密着してくるものだから、石上のピュアな心臓に確実にダメージを与えつつあった。

 

「え、えっとあのそ、そのですね先輩……ちょっと近すぎる気、気が……」

 

柏木に抱いている得体の知れない恐ろしさと、肌に直に伝わる柔らかい感触への当惑が混じり、もはやしどろもどろな話し方しか出来ない石上。

 

「ふふっ。今だけ彼女なんだからこれくらい普通でしょ?石上くんってウブなんだね」

 

絵的には美少女の微笑み……のはずなのに、やはりどこか恐ろしさを感じる笑みを見て石上は戦慄する。

 

いやいや、今だけって。本当は彼氏でも何でもないんだぞ!?

そんな男にどうしてここまてぐいぐいとひっつけるんだこの人!?

あれか?やはり『神』だからか!?『神ってる』人間にとってはこの位ならなんでもないって事なのか!?

それともあれか?『神』が人間と接するのにどうして緊張しようがある?みたいな理屈か!?

やっぱ神のお考えになることは僕なんかには分からない!

 

石上の脳内は混迷を極めつつあった。

 

「ひょっとして……石上くん。まだ……女の子と付き合った事無かったりする?」

 

「……ええ、まあ」

 

正直それは『未経験宣言』に等しかったが、石上はそういう所は聞かれた場合は敢えて隠さない事にしている。

『経験者』から見ればそういう嘘は容易にお見通しらしく、見透かされたら虚しく恥ずかしい事この上ないからだ。

 

「ふふ、やっぱりね。伊井野さんとはまだなんだ」

 

「ええ……えっ!?ちょ、ちょっ!?なんで伊井野が……」

 

石上は慌てて取り繕うも、既に柏木は全てを悟ったような笑みを浮かべていた。

 

「隠さなくても良いよ?1年の頃から知ってたんだから。『この2人ホントに仲悪いのかなあ』って、ね」

 

「……い、いや別に僕は伊井野のこt「好きなんでしょ?」

 

「い、いや好きなんかj「好きなんでしょ?」

 

「は……はい」

 

笑顔で無言の圧力をかけて来る柏木に屈し、石上はあっさりと認めてしまった。

 

やっぱ怖いよ、この人。嘘ついたら後でどうなるか分かんねぇ。

 

「でも伊井野さんに嫌われてるんじゃないかってのが怖くて、なんだかんだズルズル行って3年の夏……そうでしょ?石上くん」

 

「……ええ、まあ」

 

ホントは、去年の後夜祭で告白するはずだったんだけど。

 

「自信が無いの?石上くん」

 

「……まあ、満々とは言えないですね」

 

俯きながら答える石上。

 

「……………………ふーん」

 

柏木の作った妙な間に、石上は胸騒ぎを覚えた。

そして、その胸騒ぎの正体はすぐに分かってしまった。

観察眼に長けた石上には、それがすぐに分かった。

こちらを見つめる柏木の目付きが、先程に比べどこか艶めかしく、より悪戯っぽい事に……

 

「…………ねぇ、石上くん」

 

いつもより甘い声ながら、どこか末恐ろしい響きを含んだ声で柏木が囁く。

そして、自分の右脚を石上の両の脚の間に、挟ませるようにねじ入れる。

 

「え、ちょっ……」

 

そうなれば当然、太ももから否が応でも伝わって来る。

水に濡れた柏木のとても柔らかい右脚の太ももの感触が、自分の両の太ももから……

 

「石上くんウブで可愛いし、口も堅そうだから」

 

自らの太ももの柔らかさをじっくり味わわせるようにゆっくりと艶めかしく動かしながら、柏木が石上の首の後ろに両腕を回す。

 

「オンナの子に対する『自信』……付けさせてあげちゃおうかな?なーんて……」

 

まさにサタン、いや、もはや同じ『悪魔』でもサタンではなく『サキュバス』の如き色気を漂わせる柏木の言う事の意味する所を、石上が分からない理由などなかった。

 

今日1日中ひたすら刺激された、石上の男性としての本能が……限界を迎えつつあった。

 

────石上の心は、決まっていた。

石上は、少し強めに柏木を押し────

 

……おかしい。押した力以上に、自分の身体が柏木から離れていく。

それになんだが手首が痛い……?

 

不思議に思った石上が、痛む手首の方をちらりと見ると……

 

「伊井野!?」

 

そこには、憮然とした表情のミコが自分の手首を強く握り締め、引いていく姿が有った。

 

 

 

 

 

柏木から充分に引き離された所で、ようやくミコは歩みを止めた。

 

「……悪い、助かった伊井野」

 

正直、石上はあの『誘い』には乗る気にならなかった。

 

あのまま誘いに乗っても、後々遺恨しか生まないだろう。

そもそも、僕は好きでもない人とああいう事をしようとは思わない。

────僕がそういう事をしたいと思うのなら、その相手は……

 

だが、石上から礼を言われたミコの返事は、石上の予想だにせぬものであった。

 

ミコは石上の方にくるりと振り向くと、妙に不思議そうな顔をして語りかけてきた。

 

「えっ?あなたどうして私の名前知ってるんですか?」

 

「……は?」

 

ど、どうしたんだ伊井野。

 

「いや、伊井野、僕だy「あなた誰ですか?私の知り合いには居ませんよね?」

 

石上の言葉を遮るようにミコが畳み掛けてくる。

 

「急にどうしたんだよ伊井野、石上だよ石上。大丈夫か?」

 

もしや、日頃勉強頑張り過ぎた反動とかで突発性のアルツハイマーにでもなったのだろうか?

 

石上は心配になって、真面目な口調でミコに問う。

 

「言っときますけど、私は目の前で風紀が乱れるのが見過ごせなくて貴方を引き離しただけですから。私の知り合いに、胸の大きな美少女達ににベタベタされて鼻の下伸ばして、挙げ句偶然会った先輩といかがわしい事をしようとする無節操な人は居ませんから」

 

……あれ、これって。ひょっとして。

 

「……伊井野、怒ってr「それじゃあね。ムッツリドスケベエロ魔王さん」

 

ミコは分かりやすく顔の周りに怒りマークをいくつも浮かべつつ、石上に強烈にピシャリと言い放ちその場から早歩きで去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やらかした」

 

石上は独り、ベンチに腰掛けうなだれていた。

 

せっかく、予想に反して伊井野が来てくれたのに。

藤原先輩達や柏木先輩に、良いように流されて。

もっとハッキリ断れば良かったんだ。

『誰に見られてるとも分からないですし、勘違いされたらお互い困りそうなんで』とか言えば、藤原先輩達や柏木先輩もそう悪い顔はしなかったろう。

それを、攻められるがままベタべタくっつかれて。

 

……実は、心の何処かで喜んでたんじゃないのか?

あの藤原先輩達や柏木先輩が、無防備に肌や胸を押し付けてくるのを、本能的に喜んで受け入れてしまってたからこそ。

ハッキリ断れなかったんじゃないのか?

……情けない。情けなさ過ぎる。

これは天罰なんだ。情けなくされるがままに流されかけてた、僕への天罰だ。

 

────とはいえ、それはそうとしても、このまま終わる気なんてさらさら無い。

だって、そうだろ。

一番一緒に居たい人と、ちっとも過ごせないどころか勘違いされたまま終わるだなんて……嫌すぎる。

今、僕が為すべきことは1つ。

伊井野を探して、釈明して謝る事だ。

 

石上も、この数年で成長した。もはや、いつまでも悩みに足枷を填められる人間ではないのだ。

石上は、瞳に決意を灯しすくっと立ち上がった。

 

 

 

「あ、小野寺、圭ちゃん」

 

プールサイドを迷惑にならない程度の小走りでミコを探していた石上は、小野寺と圭に遭遇した。

 

「……石上、アンタやっちゃったね」

 

小野寺が、やや呆れ顔で石上を見つめてくる、

 

「……まあね」

 

全てお見通しな小野寺に、石上はやや俯きながら答える。

 

「伊井野ならあっちに居たよ。けどさ、ありゃヤバいって。ちょっと話したけど、笑顔なのに何か怖いオーラ出てんの。アンタが行ったら無事じゃ済まないかもね」

 

「げ……」

 

石上は思わず身震いした。

 

怖い物無し(※と石上は勝手に思い込んでいる)な小野寺が怖いって、どんだけ怒ってるんだよ、アイツ……

 

「まあ、別に付き合ってる訳じゃないから怒る筋合いも有るとは言えないんですけどね。分かりやすいですよね、伊井野先輩も石上先輩も」

 

圭が石上をじっと見つめながら会話に入ってくる。

 

「えっ、それってどういう」

 

「両想いなのバレバレだからねアンタら」

 

小野寺が、圭の代わりに答えた。

 

「は!?りょ、両想い!?い、いや伊井野が僕の事をなんて……」

 

「先輩が伊井野先輩を好きなのは否定しないんですね」

 

クールな表情を保ったまま圭がズイっと近付いてくる。

 

……あ。

あっ……

 

「もうさ、とっとと告れって。『僕が一番好きなのはお前なんだよ!』とか言えば伊井野なら秒でオチるでしょ」

 

い、嫌すぎる。

こんな、『流れでの告白』とか嫌すぎる!

第一、僕はもう『用意』している。

それに相応しい場所と時を……

 

「と、とにかく!伊井野はあっちに居るんだな?じゃ、じゃあ僕は行ってくるから!このままアイツ怒らせたままだと、休み明け以降の生徒会の業務にも支障が出るかもしれないから!」

 

尤もらしい理由を繕い、石上はとっととこの場から去ろうとした。

だが……

 

「ストーップ、石上」

 

小野寺が、走り去ろうとする石上を呼び止める。

 

石上は振り向くが、小野寺はじっとこちらを見つめたまま、何も言わない。

しびれを切らして用件を問いただそうとした所、小野寺が圭の手を引きながら無言のまま歩み寄って来た。

 

「な、何だよ」

 

石上の眼前まで来た小野寺は、石上の眼をじっと見つめながら口を開いた。

 

「アンタさ。眼の前に水着の美少女2人が居るのに何もないワケ?」

 

「えっ……」

 

意外な用件に、石上は面食らった。

いや、そういう所で毅然とした態度を取れず伊井野を怒らせたのに、そういう事言う訳ないだろ?

……まあ、小野寺の言う事はあながち間違ってはいないとは思うけれど。

 

石上は、努めて厭らしい視線にならないように小野寺と圭の姿を見た。

 

小野寺はさすがジュエリーブランド会長の娘だけあって水着もオシャレギャル感抜群だし、圭ちゃんもスラリとしたプロポーションがある種の美すら感じさせる。

2人とも、海や普通のプールならナンパ連発待ったなしだろう。

……けど…………

 

「どことは敢えて言わないけど。藤原先輩や伊井野に比べて、物足りない?」

 

ギクッ。

 

「あーね。アンタってそうなんだ?そういや、みんな『大きい』もんね。つばめ先輩、藤原先輩、伊井野……あーね?」

 

小野寺の言わんとする事を、圭も遅れて理解した。

 

「……石上先輩、副会長がセクハラですか?」

 

圭が、同い年の萌葉に比べると小ぶりさが目立つ胸部を手で覆い隠しながら石上を睨めつける。

 

「ちょ、僕は何も言って……」

 

「はいはい、まあせいぜい伊井野に愛想尽かされない程度にしときなよ?じゃ、私達は行くから頑張りな、おっぱい星人」

 

「……ヘンタイ」

 

応援の言葉と静かな軽蔑の言葉をそれぞれ送りつつ、小野寺と圭は去っていった。

 

……なんか釈然としないけど。

とりあえず、伊井野の居る方は分かった。早く行かないと。

 

石上は、小野寺に教えてもらった方角へ小走りで駆け出した。

 

 

 

私、何やってんだろ。

せっかく、予想に反して石上が来たのに。

……ほんとなら、私ももっと恥ずかしがらずに迫ってみれば良かったんだ。

藤原先輩や、偶然来てた柏木先輩に、良いように石上を取られちゃって。

私がやった事と言えば、コソコソと後を尾けながら様子を伺ったのと。

とんでもない事をしようとしてた柏木先輩から、石上を引き離した事くらいで。

せっかく石上が居るのに、何も良い事が出来てない。

彼女でもないのに、勝手に嫉妬して怒って。

面倒くさい女って思われたかな?

どうしよう?どうしよどうしよどうしよ?

 

ミコがそう悩んでいると。

 

「伊井野?」

 

プールサイドに座り込むミコの背後から、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

 

石上は、その姿をすぐに見つける事が出来た。

小さな背中を丸めて独りプールサイドにしゃがみ込むその姿は、寂しさを感じずにはいられなかった。

 

ほんとは、みんなで楽しめたはずなのに。

こんな寂しい思いをさせたのは、僕の責任だ。

 

石上は、思い切って声をかけた。

 

「伊井野?」

 

その声に呼応するように、一種ミコの身体がピクッと反応したものの、こちらを向いてはくれない。

 

「……何よ。ムッツリドスケベエロ魔王さんが私に何の用?こっちには藤原先輩みたいな胸の大きい人や、柏木先輩みたいなスケベェな人は居ないわよ」

 

……やっぱ、根に持ってる。

だけど、ここで引き下がる訳には行かない。

 

「なあ伊井野、聞いてくr「嫌。ムッツリドスケベおっぱい星人エロ魔王の言う事なんか聞く耳もっても仕方ないでしょ」

 

「……いや、あn「あっち行きなさいよ!ムッツリドスケベおっぱい星人エロエロ大魔王!」

 

……取り付く島もない。つーかだんだん蔑称が増えてってないか?

 

……いや、それでも僕は引き下がる訳には行かない。

このままじゃ、僕だけじゃなく伊井野だって今日という日を楽しめなくなる。

────こうなったら、もう、そうするしかない。

キモがられてもいい。もう、言葉を飾ってる場合じゃない。

今日1日の、僕のストレートな気持ちを。

伊井野に、ぶつけてみるしかない。

 

石上は、大きく息を吸い込んで……そして、叫んだ。

 

「……僕が!僕が一番水着姿を見たかったのは!お前なんだよ!伊井野!!」

 

それは、嘘偽りの無い石上の純粋な本心。

ミコが来たと分かってから、ずっと思い、考えていた。

普段のガード万全な格好とは大違いの、大胆かつ可愛らしいオレンジのビキニを着たミコ。

網膜に焼き付いて離れないくらい、見ておきたいと心から願う光景だった。

 

石上の魂の絶叫に、周囲の女性から注目が集まる。

そのおおくは、苦笑いしたり軽蔑したり、あるいは『あらあら……』といった笑みを浮かべる余裕の有りそうな女性も居た。

 

「ちょ、ちょっとアンタ何言ってるのよ!大声では、恥ずかしい事!」

 

顔を真っ赤にしたミコが、慌てて立ち上がり石上の口を手で塞いだ。

空いたもう片方の手は、石上の胸板をポカポカと殴りつけている。

その光景が微笑ましく、照れ隠しの意図が透けて見えるのが分かり、周囲の見る目も微笑ましいものを見るような目に変わってきた。

中には、指笛を鳴らして囃し立てる彼女連れの男性の姿も見られた。

 

そんな周囲の雰囲気を感じ取り今になって恥ずかしくなった石上が、ミコに声をかける。

 

「い、伊井野。悪かったからさ、続きは向こうで話さないか?」

 

「……う、うん」

 

そう言ってあまり人気の無い方へ向かう自分達に対し、歳上の女性から『頑張ってね〜♪』だとか、遊び慣れてそうな男性からヒューヒューと指笛で囃し立てられたりするのが石上には恥ずかしかった。

 

 

 

 

 

 

 

「……伊井野の言った事、間違ってないかもしれない」

 

「えっ?」

 

めぼしいフォトスポットが無い、人気のほぼ無いプールサイド。

少し距離を置いてプールサイドに座り込む2人の沈黙を先に破ったのは石上であった。

 

「僕、心の何処かで喜んでたんだ。理由は分からないけど、藤原先輩達や柏木先輩にくっつかれて。口や態度では戸惑ってたけど、柔らかくて良い匂いがするって、たぶん心の何処かでは喜んでたんだ」

 

「…………」

 

男としての性を打ち明けられ、ミコは気難しい表情になる。

 

「だから、お前の言う通りムッツリスケベのエロ魔王なのかもしれない。だから、風紀を乱してお前が怒るのも無理はないよな。悪かった、伊井野」

 

尤もらしい理由で謝ったが、石上はそこまで鈍くはない。

かつて『何故怒っているのでしょうクイズ』の問を全て的中させた石上は、ミコが何故怒っているのかも薄々勘付いていた。

 

いくらなんでも、こんな所に来てまで風紀がどうこう騒ぐようなヤツじゃない。よっぽどの事がない限りは。

僕の痛々しい思い込みじゃなければ。

伊井野は。伊井野はきっと。

他の女にくっつかれてた僕を……

 

けれど、それを口にしてはミコの立つ瀬が無い。

だから、話を円滑に進める為に尤もらしい理由を付けたのだ。

 

あとは、ミコの反応を待つのみ。

石上は、固唾を飲んでミコの出方を窺った。

 

ミコは、すぐには返事をしなかった。

数十秒、1分。沈黙が続くにつれ、その場の空気は重く張り詰めていく。

石上の緊張も、同じ具合に高まっていく。

 

そして、2分ほど経ったとき────。

 

「……さっきの、本当?」

 

「え?」

 

さっきの、とは、どの言葉だろうか。

 

「……わ、私の水着が一番見たかったってやつ!本当!?」

 

「……あ、ああ」

 

頬を赤らめながら石上の顔を見つめ問い質してくるミコに、石上の胸が高鳴った。

 

ミコはまた、しばし沈黙した。

だが、その間ずっと何かもじもじするような。言うか言わざるべきか迷っているような、そんな様子に見えた。

だが、漸く肚は決まったようだ。

ミコは顔を上げると、決意のこもった眼差しを石上に向けた。

 

「じゃ、じゃあ。そんな事言うんだったら」

 

ミコは、恥ずかしさにもじもじしながら言葉を続ける。

 

「……私にも、くっついてよ」

 

「……えっ?」

 

き、聞き間違いか?

 

「……わ、悪い、もう一回」

 

石上の不甲斐なさに、ミコは怒りを露わにして食ってかかった。

 

「だから!そ、そんなに私の水着見たかったって言うなら!ふ、藤原先輩達と同じように……私にも、く、くっつける……でしょ」

 

聞き間違いではなかった。

ド天然の藤原先輩達や、何考えてるか怖くて分からない『神』の柏木先輩ならともかく。

伊井野が。あの真面目で風紀に口うるさい伊井野が。

そんな……事を……

 

「……出来ないの?」

 

石上の顔を見上げながら、不安気な眼差しを送るミコ。

 

────もう、僕に選択肢なんて無いだろ。

伊井野が、そう言ってくるんだ。

ここでやらなきゃ、男じゃない。

腹を括れ、石上優。

 

「じゃ、じゃあ……良いんだな?」

 

「う、うん」

 

石上は、座ったまま身体をミコの方に近づけていき……

2人の腕と腕が、微かに触れ合った。

 

「「あっ……」」

 

触れ合った瞬間、2人から同時に声が漏れる。

藤原達のように胸を押し付けられたり、柏木のように艶かしく太ももを挟まれた訳でもない。

それでも、何故か。

ミコと触れ合ったこの瞬間、石上は今日一番の胸の高鳴りを感じた。

 

ヤバい。ヤバいヤバいヤバい。

どうして、こんな緊張するんだ?

どうして、こんなドキドキするんだ……?

 

これが。

好きな人と、触れ合うって事なのか。

……いや、去年海に行った時も、もっと大胆な触れ合いしてたけど。

あれは偶然の産物、成り行きというか。

でも、今のコレは。

お互いに、同意の上で……

 

更に、そんなドキドキする石上を他所に、ミコがじんわり、ゆっくりと距離を詰めてくる。

今度は、腕だけではなくお互いの太もも同士が触れ合う。

より柔らかい部分が触れた事で、石上の心臓の鼓動は更に速くなっていく。

 

ど、どうすりゃいいんだ?

こういう場面で、何を話せばいいんだ?

 

もはや、沈黙が辛い。何か話して発散したい。そういう段階まで来ていた。

だが、幸いな事にミコが先に沈黙を破ってくれた。

 

「見て。石上」

 

「え?」

 

ミコが指差す方に顔を向ける。

すると、今の今まで緊張とドキドキで気付かなかったが。

いつの間にか、照明が先程までとは違い、その場全体が美しいエメラルドグリーンのライトで彩られていた。

ナイトプールは、時間によってライトアップの度合いが変わったり、また色が変化したりして来場者に飽きを来させない工夫が盛り込まれているのだ。

 

ミコは、眼前に広がる光景をうっとりしながら眺めていた。

その横顔を、石上がじっと見つめているのも知らずに。

 

大きな瞳を潤ませ、恍惚の相を浮かべるその表情は。

今日、他の何よりも、石上の心を強く惹き付けた。

 

「綺麗だね、石上」

 

ミコはそう言うと、そのまま頭を傾け。

石上の肩に、コテッと自分の頭を預けた。

 

 

石上は、間違いなく心臓が驚きで2、3拍すっ飛ばされたと思った。

 

こ、コイツ。

僕の気も知らないで……。

何だよ、それ。

有り得ないだろ、それ。

どうして、そこまでどストライクな事してくるんだよ?

 

石上は、かつて妄想した事があった。

自分がいつか彼女が出来て、一緒に海に行った時。

人気の無い場所で、彼女が満足げな表情で自分の肩に頭を預けてくっついて。

ずっとそのまま、海を眺めて過ごす……などという、ピュアな夢の詰まった妄想を。

 

それが、今。

好きな女子が、突然それをやって来ている、この状況。

戸惑うのは勿論、喜びを禁じ得ないのも仕方の無い事であった。

 

矢継ぎ早に来る心臓に悪い展開に、石上は、もはや限界値を超えある種の開き直りの境地へと到達した。

 

なんか、色々あったけど。

もう、いいや。

伊井野も、悪くなさそうな顔してるし。

僕も、『夢』の1つが叶ったこの状況。

一緒に、楽しませてもらう事にしよう。

 

 

「ああ、綺麗だな」

 

『伊井野の方が』と言いそうになる気持ちをグッと抑え、石上は返事を返した。

 

 

 

そして、最早周りの目……と、一緒に来ていた者達の事もすっかり忘れ、成り行きで2人の世界に入ってしまった石上とミコは。

探しに来た小野寺と萌葉から背後から背を叩かれ声をかけられるまで、ずっとそのまま、2人並んで座り、眼前の非日常的で幻想的な風景を楽しんだという。

 

 

 

 

そして、後日。

計画の概ねの成功を萌葉から聞いた藤原が、喜びのあまりうっかりその事を漏らしてしまったとある相手は、「どうしてその地上の楽園(エデン)に私も誘ってくださらなかったのですか!?」と嘆いたという。




ミコのヤキモチを膨らせる為の他女子キャラとの触れ合いをどの程度にしようか最後まで迷って時間が伸びてしまいました(^_^;)
結局、イチャラブ至上主義な石上にとってはミコとのピュアな触れ合いがダントツ一番って事で。
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