鷹月夕矢は想い続ける   作:こうが

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まだ、小ネタが挟める場面がない。しかも、くめゆって題材にすると意外に難しいのね(´・ω・`)

そろそろ、戦闘シーンが書きたいなぁ(´ω`)


1話  今度こそ傍に

芽吹が戻ってきてから、結構な日にちが経った。季節は移り変わって、夏の日差しが和らぎ始めていた。時間が経つにつれ、芽吹もゆっくりではあるが、帰ってきたときよりも元気になっているように感じた(まぁ、何かを悩んでいるのは相変わらずだが……)。

 

(なんだかんだで、元気になってくれてよかったな)

 

芽吹の変化を、嬉しく感じながらリビングに入る。

 

「やけに、ご機嫌じゃない。やっぱり、芽吹ちゃんが戻ってきたからかしら?」

「当たり前だよ、好きな人が帰ってきたんだ。嬉しくないはずないだろ?あと、俺が昼飯作るから」

「毎回思うんだけど、別にいいのよ?無理しなくても」

「いいんだよ、俺がやりたいって言ってんだから。母さんは休んでて」

「……じゃあ、お願いするわね」

「ああ、任せろって。ちょいと鍛練しに行くよ、それが終わったら昼飯作るから。なんかあったら呼んでくれな」

「ええ、わかったわ」

 

母さんは渋々ながらも、俺の言葉に頷いてくれた。それを確認した俺は、家の敷地内にある弓道場へ向かった。なんであるかは、分からないが親父曰くこの家に昔からあるものらしい。

 

「自分で言ったんだろうが、悲しませてどうする……」

 

弓を引きながら、ポツリと呟く。今この家には、俺と母さんの二人しかいない。理由は簡単で、親父が亡くなったからだ。

 

親父は、一言で言えばお節介な人だった。

 

何に対しても興味を持たなかった俺に色々なものを勧めてきた。多少うざくは感じたものの、嫌ではなかった。

 

それと、親父はよくこう言っていた「男は、大事な人を守れるように強くあるべきだ」と。だから、なのかは知らないが、俺が小さい頃から、様々な技術を教えてきた。体術、剣術、槍術、など色々なことを教わった。弓道もその一つだ。

 

そんな親父は、大赦という神樹様を祀っている組織に所属していた。

 

あの人は、落ちた家柄と呼ばれた鷹月家を再興させたいとずっと言ってた。それが、息子である俺と母さんの幸せに繋がると思っていたかららしい。しかし、俺と母さんは再興なんて、どうでもよかった。俺達が望んでいたのは、三人でずっと一緒にいることだったのだから。なのに……

 

親父は……大赦での仕事の最中、事故にあい亡くなった。今はかなり良くなったが、母さんもひどく悲しんでいた。

 

(勝手に、逝くんじゃねぇよ)

 

呟きと共に、矢が飛んでいく。的の真ん中に向かって一直線に矢が突きささって、甲高い音が道場内に響き渡る。すると、道場の戸が開かれた。

 

「夕矢、ちょっといい?」

「母さん、どうかした?」

「お客さんがね、来てるの。とりあえず……玄関に来て」

「?ああ、わかったよ」

 

呼ばれるがままに、家に戻って玄関へと向かうと……。

 

「芽吹?……と、あんた誰だ?」

 

そこには、どこか動揺している様子の芽吹と、奇妙なお面を付けた女性がいた。それを見て、大赦から来たのだとわかった。

 

(相変わらず、気味の悪い仮面だな)

 

「突然の訪問、申し訳ありません。鷹月夕矢。今日は貴方に用があって伺わせていただきました」

「大赦から?もしかして、親父のことで何か?」

「いいえ、違います。あなたのお父様のことではありません」

 

すると、一拍置いてから目の前の女性は俺に言った。

 

「鷹月夕矢。人類を守るお役目のために、貴方の力が必要になりました」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

(今さら、大赦が私に何の用なの?)

 

大赦の使いの言われるがままに、車へ乗り込む。そんな中、私は俯きながらずっとそれだけを考えていた。

 

勇者選別を、三好夏凜に敗れ不合格の刻印を押された自分になんの用なのだろうか。今さら、呼び出された理由がわからない。

 

「芽吹、大丈夫か?」

「え、ええ……大丈夫。問題ないわ」

「そうか。所で、なんでこんなことになってるか。分かってることとかあるか?」

「それは、こっちが聞きたいくらいよ。なんで……今さら……」

 

(それに……)

 

一番の疑問は、私の横に座っている幼なじみのことだった。何故、夕矢まで?

 

そう私が考え込んでいると、夕矢が私の顔を心配そうにこちらを見つめていた。

 

「な、何よ、そんなじっと見て……」

「大丈夫だ、心配することはない。安心しろ、俺も付いてる」

「……」

 

ホントに、この馬鹿は。昔からそうだ、いつもいつもそうやって私に踏み込んでくる。

 

(でも、こいつのそういうところに助けられてるのも事実なのよね)

 

勇者になるための、全てを犠牲にした二年間。それを否定されて、選考に選ばれず勇者にもなれず、昔言われた通りの車輪の下敷き(落ちぶれた)になり、何も得られないどころか何もかも無くし地元に戻ってきた私を、こいつは昔と変わらない様子で、接してくれた。

 

(悔しさが、消えたわけでもあの結果を認めた訳でもない。だけど、夕矢のお陰で救われた部分もある)

 

「ねぇ、夕矢」

「なんだ?」

「ありがとね、色々と」

「気にすんなって、好きな女の子を支えるのが男の役目だろ?」

「……はぁ」

 

まぁ、変わらなさ過ぎて困る部分もあるのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

そうして、俺と芽吹が連れてこられたのは大束町にあるゴールドタワーと呼ばれた場所だった。

 

現在、俺と芽吹の二人は大赦の使いである女性と共にエレベーターで、展望台へと向かっていた。窓の外からは、海が見えるがその日は曇りで、海面は銀色にくすんでいた。沈黙に耐えきれず、俺は質問する。

 

「そろそろ、何が目的なのか。教えてくれてもいいんじゃないですかね、大赦の使いさん?」

「もうすぐです」

「それ、何回目だよ……」

 

車の中でも、同じことを聞いたが何度もこの返答ばかりを、返された。大赦内で親父の後輩である人と、知り合いなのだが、その人はここまで機械じみた喋り方はしていない。すると、横から芽吹に耳打ちされる。

 

「……諦めた方がいいわよ、この神官はそうなったらそれしか言わないから」

「……そうか。てか、芽吹、お前。この人のこと知ってたのか?」

「ええ……まぁ、一応ね」

「着きました。さぁ、こちらです」

 

大赦の使いがそう言うと、展望台に到着した。芽吹の発言が気になったが、それはあとにしよう(今すぐにでも聞きたい所だが)

 

そして、エレベーターの扉が開き俺の目に飛び込んで来たのは……。

 

「?なんで、女の子がこんなに集められてんだ?」

「!」

 

俺や芽吹と、同年代くらいの少女達だった。入った瞬間に全員からの視線を向けられる。居心地が、悪すぎて横にいた芽吹に話しかけようとすると、彼女は何故か目を見開き拳を握りしめていた。

 

「どうし「これで、全員揃いましたね」……」

 

よし、あの人には俺と芽吹の会話の時間を奪った償いをさせよう。そんなことを、考えていると神官はさっきからは想像できないくらいにペラペラと語りだした。

 

「これより、あなた達に世界の真実を教えます」

 

それから、色々なことを聞かされた。ここにいるのはかつて、勇者?というお役目の候補生だった子達だということ。旧世紀に人類を襲ったのはウイルスではなく、バーテックス?とか呼ばれる天の神?だかが寄越した尖兵だとか。んで、それを防ぐために地の神の集合体である神樹が、人類を守るために四国に、結界を張ったとか。だが、このままだといずれ神樹様の寿命は尽きて……四国は滅びるだとか。

 

すべてが、自分が小さい頃から学校で習ったものと違った。

 

後ろに見えるスクリーンでは、時々何か妙な服装でその……バーテックス?だかと戦っている少女たちの姿が見えた。

 

(なんだよ、あれ?ボロボロじゃないか、ひでぇな……)

 

「事態を打開するため、我々人間は自ら打ってでなければなりません。そのために、天の神が異界へと造り変えた壁の外を徹底的に調べなければなりません。そのお役目を勇者適正の高い、あなた達に任せたいのです」

「いやいやいや、無理無理無理無理。あ、頭痛が痛くなってきたので帰りますです。はい」

「加賀城さん、帰ろうとしない。危険なお役目を生身でやらせたりなどはしません。あなた達には、性能を抑えて汎用性を増した、戦闘用装備__『戦衣』を支給します」

 

そう神官は言う。加賀城っていうのか、面白い子だな。にしても、呼ばれた理由が俺にはホントに理解できない。なので、痺れを切らし俺が手を上げて質問しようとすると

 

「すいません、質問よろしいでしょうか?」

「なんでしょう」

「お役目が必要なのは分かりました。なら、そこにいる彼は?男性では、勇者になれない。なのに何故、男である彼がここにいるんですか?」

 

気の強そうな少女が、俺の代わりに疑問の声をあげた。それと同時にまた俺に視線が集中する。

 

(もし、男が勇者?だかになれないなら、俺ここにいる意味ホントにないじゃないか)

 

「あなたの疑問はもっともです。そうでしたね、彼のことは先に言うべきでした」

 

ホントだよ。目的も分からないのに、ここまで黙って聞いていた俺を褒めてほしいもんだね。まぁ、芽吹が近くにいるから構わないが。

 

「彼は、『特例』です。男性にも、関わらず高い勇者適正を持っている」

『!?』

「夕矢……どういうこと?あんた、知ってたの?」

「知るわけないだろ、初耳だよ。こんなこと……」

 

俺以外の全員が、顔を驚愕の色で染めている。芽吹に問われた俺はそれしか言えない。

 

「鷹月夕矢。あなたにもその高い勇者適正を活かして、お役目についてもらいたいのです」

「鷹月……?」

「?」

 

気の強そうな少女と目が合う。知り合いだったか?なんか、ずっとこっち見てる気が……。まぁ、今は置いておくか。

 

「つまり、俺にもその『戦衣』ってやつを着て戦えってことか?」

「はい」

「一つ質問、いいか?」

「なんでしょう」

「芽吹が二年もいなくなってたのは、あんた達が関係してるのか?」

「ええ。彼女も、勇者適正が高く候補生として参加していただきました」

「そうか……」

 

横にいる芽吹へと、視線を向ける。二年前、彼女が地元を出ていったあの時に、俺は傍にいることはもちろん見送ることすら出来なかった。

 

「芽吹」

「何?」

「お前は、これを引き受けるのか?」

「当たり前よ……」

「そうか、なら」

 

強く拳を握りしめている幼なじみの姿を見て、俺も覚悟を決める。この役目を、引き受けなければ俺はまた芽吹と離れ離れになる。

 

だったら答えは一つだ。

 

「俺もやりますよ。その御役目ってやつ」

 

(さっきの映像を見た限りじゃ……この御役目ってのは危険だ。なら、傍にいて芽吹を守んないとな)

 

こうして、俺は『防人』という御役目に付くことを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鷹月夕矢」

「なんです、神官さん?」

 

ある程度の話が、終わって落ち着いて来た頃、後ろからあの女性神官に声を掛けられた。

 

「貴方には、もう一つ用があります」

「用って?」

「貴方は『特例』です。その為、貴方専用の防人システムを調整する必要があります。なので、一度私と共に大赦本部へ出向いていただければと」

「……分かりましたよ。じゃあ、少し時間をくれます?」

「分かりました」

 

断りをいれてから、芽吹の傍に寄っていく。

 

「芽吹」

「夕矢……なんで、断らなかったの?あんたは勇者候補でもない。なら戦う理由がな」

「芽吹がいる。それが俺の理由だ」

「ちょっ……ゆ、夕矢……こんな所で!?」

「俺はお前と二年も離れちまった。だから、今度はお前の傍から離れる気はない」

「バッ!?や、やめなさい!周りに人がいるのに!!」

「ん?ああ、悪かった」

 

顔を真っ赤にしながら、俺の胸ぐらを掴んだ芽吹によく分からないがとりあえず謝る。

 

「鷹月夕矢、そろそろ」

「分かりましたよ。そんじゃ、また後でな。芽吹」

「……はいはい、後でね」




そろそろ、鷹月くんに「上からの方が見渡せる」とか「速すぎて見えなかった?」とか言わせたいわ~(^ω^)
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