鷹月夕矢は想い続ける   作:こうが

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明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!……なんて挨拶をしてる場合じゃない……投稿が死ぬほど遅れて申し訳ありません。もう弁明の余地もないです……。エタる気は一切ないのでそこはご安心ください。

新年早々こんな感じですが、何卒よろしくお願いします。


8話 過去と今

「昔の夕矢?」

「うん!今なら、ユウ用事でいないし〜聞き時かなって」

 

昼食の時間、雀がそんな事を聞いてくる。それに便乗するかのように横にいた弥勒さん、しずくもその話題に食いついてくる。

 

「ふむふむ、たしかに気になりますわね。異常ともいえる愛情を芽吹さんに向ける彼の過去について」

「昔の鷹月、私も気になる」

「ここぞとばかりにノッてくるわね……亜耶ちゃんは」

 

視線を送るがそれこそ間違い、亜耶ちゃんからは『早く聞かせてください』という言葉がなくても、期待しているのが十分に分かる程の表情を向けられた。

 

「……逃げ場なし、ね。まぁ特に話すことってないんだけど」

 

気怠げに昔の事を思い返しつつ、話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『またあんた達ね、いい加減にしなさいよ、カッコ悪い』

『げっ!?楠だ!逃げろォー!!』

『ふん』

『あ、芽吹、ありがとう……また、助けられたね』

 

昔の夕矢は今と違って、気弱なタイプだった。その性格も相まって変に気の強い同級生からのちょっかいを受けることが多々あり、私は毎回のようにそれを追い払っていた記憶がある。

 

「ちょちょ!ちょっとまった!!」

「何よ、雀」

「気弱!?why!?あのユウが……あのユウが!?」

「すすす雀さん、驚く気持ちはわわかりますが!続きが気になるので静かにしてくださいまし!」

「……続けていいですか?」

「ははははい!どうぞどうぞ!」

 

驚くのも無理はないと思う、私ももし同じ立場だったら似たような反応をすると思うし。後、補足ではあるが……別にあいつの事が心配とかではなく、幼馴染のよしみとして助けているだけだ。

 

『毎回思うけど、あんた。なんでやり返さないの?』

『なんでって……やり返せなんて『誰にも』言われてないし』

 

あの頃の夕矢は決まってこう答えた。気弱で無口なだけなら、まだいい。昔のあいつの最大の短所は大体の行動が()()()()()()()()()()()()という点。

 

「えっと、つまり……どういうこと?」

「簡単に言うと、自分でこうしたいとか何かやりたいという気持ちがなかったのよ。普通、嫌がらせを受けたらやめてとか抵抗する子が大半でしょ?でもね、あいつはそれすらもしない程、自分の意思に対して鈍感だったの」

「なるほど……所で、鷹月さんが今のように若干ワイルドな雰囲気になったのは最近ことですの?それとも前?」

「確か……小学3年辺りからだったと思います。急に雰囲気が変わった時は、私も周りも驚きましたよ」

 

その時のこともよく覚えている。気弱だった以前の雰囲気は無くなって、口調も立ち振る舞いもガラッと変わった幼馴染の姿を。

 

「気弱な鷹月……ダメ、想像できない」

「今じゃ、芽吹先輩にべったりですからね〜」

 

満面の笑みを浮かべながらの亜耶ちゃんの発言に苦笑する。正直、しつこいとは思うが、何故か嫌ではないから困る。

 

「じゃあ……昔の楠と鷹月はずっと一緒にいたわけじゃない……?」

「確かに、ユウがそんな状態だったってことはメブとベッタリする必要もないしね」

 

「実際どうでしたの?」と弥勒さんが聞いてくる。私は、少し気恥ずかしくなりながら答えた。

 

「今と……変わらないわね」

「えっ?そなの?」

「ええ……思い出してみても、夕矢と一緒にいた記憶しかないし……」

「なぁんだ〜結局、昔からメブとユウはラブラブだったん……んぎゃァァァ!!」

「すずめぇ〜?目にゴミがついてるわよ〜?私が取ってあげる(怒)」

「ひぃぃぃ!!お助けぇ!メブゥ!!」

 

泣き喚きながらやめてくださいと懇願してくる雀の声を無視して、刑を執行する。

 

「今のは、加賀城が悪い」

「直球過ぎですわね、芽吹さんの行動パターンを予測すればそのような愚かな行動は取りませんわ」

「そんなこと言ってないで助け…ひぃやぁぁぁ!」

「……でも、反応を見るに芽吹先輩も何だかんだ夕矢先輩の事が好きですよね(小声)」

「……ダメですわ、国土さん。それは周りから見たら一目瞭然ですが、あえて指摘しない事が二人のためですの(小声オブ小声)」

「二人とも、どうかした?」

『いいえ、何も』

「そう、それじゃあそろそろ訓練だし。急ぎましょうか」

「ぎ、ギブギブ……(チーン)」

『あっ』

 

尊い一人の犠牲があった騒がしい昼休みを終え、訓練の時間となった。いつもなら鬱陶しくて仕方ないはずの幼馴染がいない事に、少し、少しだけだけど……寂しさを感じている自分がいた事がなんとなく悔しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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〜場所は変わり、大赦本部〜

 

 

「……くしゅん」

「ふふ、見た目は怖めな割にくしゃみは可愛いんだね」

「からかわないでくださいよ、真野さん」

 

薄暗い廊下を真野さんと一緒に歩いている途中、突然でかい(本人曰くでかい)くしゃみが出た。誰か俺のこと、噂してるな?まぁ芽吹だろうな、100パー芽吹だ、もう芽吹に決まってる。

 

「ふっ……んと、そんなことより、いきなり俺に用ってなんです?」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてないですよ……大赦関係の奴らは用件を言わずに人を連れてくるの好きなんですか?」

「確かに、まぁでも大赦って秘密結社じみている所あるし、割と好きかもねぇ〜」

「いや、そりゃ違うと思うんですが……」

 

秘密結社にしちゃ組織の名前が外に広がりすぎてるだろと、脳内でツッコミを入れる。前に話した時も感じたが、この人は何を考えているのかいまいち読めん。

 

「そんな怪訝そうな顔しないでよ、目的地には向かってるから」

「大赦に来たってことは……また、春信さんのとこでも行くんすか?」

「ううん、行くのはね、私の雇い主の所だよ」

「雇い主?」

 

話によると、真野さんにこの前俺を襲ってくるように指示した親玉さんが直々にお会いしたいらしい。正直、警戒が強まるばかりだが。

 

まぁ、晴信さんに聞こうと思っていた事だし、丁度いいとも言えるか。

 

「着いたよ」

「これはまた……」

 

これまで以上に陰気臭さがある場所に連れてこられる。やたら、照明は薄暗く……扉の横には変な置物がある。もはや、お化け屋敷だろ。俺の気持ちを察したのか、苦笑いしながらも扉をノックし部屋に入った真野さんに続く。

 

「蘆屋さぁ〜ん……連れてきましたよ〜」

 

部屋に入ると、こちらに背を向けながら書物を漁っている長身の男がいた。

 

「なんだい、真野。僕は今書物の片付けで忙しいんだ、新しいダイエット法の話なら、後にしてくれ」

「ダイエット?」

「あ、蘆屋さん!違います!彼、鷹月くんを連れてきたんですって!」

「……何!?あ、あの鷹月くんかい?」

「そうですそうで……って、あーれー!?」

「ま、真野さん!?」

 

蘆屋とかいう大赦の仮面をつけた奴が、真野さんを吹っ飛ばす。しかし、俺も真野さんを気にしている場合ではなかった。この蘆屋という男、そっちの趣味でもあるのか、体をペタペタと触り始めた。

 

「ふむふむ、なるほど……流石ですね、防人の力を使いこなしているだけはある。もしや……君、特殊な血清打たれて強靭な肉体を得てたりします?」

「よくわからないですけど一生のお願いです、俺から離れてください。さもないと大泣きします」

 

男に体をベタベタ触られた事で失神寸前の俺と、吹っ飛ばされて意気消沈としている真野さんを置いてけぼりにしながら、一人で話を進めていく。

 

「ぬっ、ああ、すまない。君に会えたのが嬉しくてね。申し遅れた、私の名前は蘆屋京二郎。以後お見知り置きを」

 

飄々とした様子で仮面の男……蘆屋京二郎は綺麗に頭を下げた。小休憩の後、俺と真野さんが復活した事で話が再開される。

 

「さて、この前は真野が手荒な真似をして申し訳ない。君の力を試す為に、少しばかり強引な手段に出た」

「それはもう良いですよ。でも、次俺の仲間を巻き込んだら……」

「承知しております、それに君や彼女らは人類にとって大事な存在ですから。これ以上、危害を加えるような真似はしませんよ」

 

やたらと仰々しい言い方にどこか不信感を覚える。多分、自分はこの男が苦手だ。

 

「……それで、蘆屋さんは今日俺に何の用で?」

「単刀直入に、システムを一度こちらに預けて欲しいのですよ」

「別にいいですけど……何故?」

「理由は単純、君の防人システムに不具合が見られたから。例えば、戦闘中に頭痛を感じたりしたことはありませんか?」

 

この前のか、なんて思っている間に蘆屋さんは仮面越しでも苦笑しているのが分かる様な反応をする。

 

「その反応からして、経験はあるようですね。なら、話が早い。今回そのような不具合があったのは私の不手際。ぜひ償いをさせて頂きたい」

「……別にそれはいいですけど、俺の防人システムの担当は春信さんじゃないんすか?」

「ああ、春信くん『も』担当ですよ」

「てことは…」

「一応、私が最終調整担当。因みに、君の防人システムを一から作り出したのも私です」

 

システムを作り出した。しかも最終の調整担当にも関わらず……へぇーつまり。

 

「最終調整でミスったんですね?」

「ンンンンッ!?」

「ゆ、夕矢くん!やめてあげて!この人、心は割と多分そこそこピュアだから」

「それどれくらいピュアなんですか?」

 

なんてアホやっていたら……時間が過ぎてしまうというよりも。俺が芽吹に会う時間もどんどん減ってしまうので、さっさとスマホを渡す。

 

「これで、いいんですよね」

「ええ……」

「あの、俺の顔になんかついてます?」

「ああ、いや……見れば見るほど、鷹月先輩に似ているなと」

 

その言葉を聞いて、手に力が籠る。正直……あまり良い気分はしなかった。

 

「蘆屋さんも、親父のことを知ってるんですか?」

「知ってるも何もあの人は僕と春信君、二人の上司でしたからね」

 

そう言われて思い出した。名前までは知らなかったが小さい頃、親父が自分には大事な部下が二人いると言っていた事を。

 

「なるほど、もう一人っていうのは蘆屋さんだった訳か」

「そういう事です。ほんとに、鷹月先輩には感謝してもしきれません。私が今こうしていられるのは彼のお陰ですからね」

「……そうっすか」

「聞いていた通り、お父様の事をあまり好いてはいないんですね」

「……」

「好き嫌いは当人の自由です、そこに私はとやかく言いません。しかし、これだけ覚えていてください。貴方のお父様はとても、素晴らしい人でしたよ」

 

その言葉に黙って頷くと、少し楽しそうに仮面の男は笑った。初めてだった、自分が初対面の相手に対して、ここまでの苦手意識を持つのは。

 

「さて、そろそろ良い時間だ。真野、彼をゴールドタワーまでしっかり送り届けなさい」

「お任せを!」

「急に呼び出して申し訳なかった、夕矢くん。これからも私は、君や他の防人達の活躍を期待していますよ」

「余計なお世話です……失礼しました」

「あっ、ちょっ!鷹月くん!?」

 

そそくさと、部屋を出ていく。その際に、嬉々とした様子で蘆屋さんは「また会おう」と呟いていた。

 

(……何かわからんが、気持ち悪いな)

 

得体の知れない感情を抱えながら、俺は大赦を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「はぁ〜…」

 

ゴールドタワーまで車で送ってくれた真野さんと別れ、今は自室へと向かっている。帰ってきた頃には、いつもはそこそこ賑やかな廊下も静まり帰っていた。気づけば夕方、窓の外からは夕日の紅い光が差し込んできている。

 

「……はぁ〜って何回目だよ、溜め息」

 

独り言を漏らす。やけにもやもやした気持ちと日中芽吹と一緒に過ごせなかった事から、かなりストレスが溜まっているらしい。

 

「あっ〜……早く芽吹に会いたい。って、ん?」

 

想いが通じたのだろうか、目線の先には何やら俺の部屋の前に佇んでいる芽吹の姿が見えた。瞬間、モヤモヤは消え去り、テンションが戻ってくる。

 

「おっす、芽吹」

「夕矢!?い、いつの間に帰ってきてたのよ!?」

「おう、今さっき帰ってきたとこだ。芽吹は?何で俺の部屋の前に」

「た、隊長として、副隊長の帰りを待つのは当然でしょう?」

「なるほど、流石は芽吹」

 

頭を撫でようとしたが、照れた様子の芽吹に手を払われた。昔に比べ、表情が豊かになった幼馴染を見るのはいつであって嬉しいものだ。

 

夕日に照らされた芽吹はいつも以上の美しさを醸し出している。できれば、写真に収めたい所だがやめておこう……んなことより。

 

「悪いな、ほぼ一日中いなくて」

「別に良いわよ、大赦から呼び出しを受けていたなら正式なものだし……」

「助かる、ありがとうな。所で芽吹、俺がいなくて寂しくなかったか?」

「別に」

 

即答ときた、これは流石に俺も泣いて良い気がしてきた。だがしかし泣いてはいけない、こんなのもう慣れたもの……。

 

「ただ……」

「ん?」

「いつも横で騒いでるあんたがいなかった分、少しだけ物足りなさがあった事は……認めるわ」

「芽吹?そ、それって寂しかったって事なんじゃ…」

「ち、違うから!ただ単純にいつも横で馬鹿みたいに騒いでるあんたがいなくて静かだったから!そこに物足りなさを感じた、そ、そういう意味で言ったのよ!だから、寂しい……とか、そういうのじゃ断じてない!」

「な、なんだよぉ〜……」

 

そういう意味だったのか……勘違いするとこだった。まぁ、だけど、少なくとも芽吹は俺がいた方が楽しい。そういう様に言ってる様にも感じたし、良いとしよう。

 

「心の声を口にする癖、少しは治したほうがいいわよ」

「別に聞かれて困るもんじゃないだろ?」

「あんたは良くても、私が困るのよ……」

 

寧ろ、自分にそんな癖があった事を今確認した。芽吹が困るのなら、全力で治さなければ。

 

その後も俺と芽吹の軽い雑談は続いた。お互いに昔よりも打ち解けている気がしたのは、恐らく気のせいじゃない。

 

なんだかんだで俺との会話を楽しんでくれている様子の幼馴染を見てそう思った。綺麗なオレンジ色に染まった夕日に照らされながら、愛すべき人との雑談という楽しい時間に俺は浸っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜雀の部屋〜

 

「全く〜メブも素直じゃないなぁ」

 

折角なら部屋の中で話せばいいのに、この感じだと他の部屋が近い子達にも会話筒抜けだと思うし。

 

「なんで、あの二人付き合わないんだろぉ〜。ん〜、みかん美味しい」




久しぶりの小ネタ解説!

君、特殊な血清打たれて強靭な肉体を得てたり……。

蘆屋が夕矢に向かって言った台詞。これはキャプテンアメリカの事を遠回しに表現してる台詞でもあり、当初は身長160cm・体重43kgと小柄で、喧嘩も強くなく、極めて病弱な身体で入隊したスティーブが、戦略科学予備軍SSR”が行った“スーパーソルジャー計画”での特殊な血清を投与する実験により、身長190cm・体重109kgの大柄かつ、健康的で強靭な肉体へと変貌した事……それが元ネタとなっている。もっとも夕矢はそこまでバッキバキの超人ではない。

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最後の最後で、夕矢くんとメブはイチャイチャしていくぅ!過去とか、新キャラとか、色々出てきていますが平常運転の様ですね、二人は(白目)
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