鷹月夕矢は想い続ける   作:こうが

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第10話!ゆっくり(過ぎ)ではあるものの、なんだかんだ10話!大満開の章にて動いてるメブが見られて作者は幸せですっ!ありがとう、製作陣の皆様ありがとう!!!

にしても、今年ももうそろそろ終わりですか…早いなぁ()


ふぅ……では、本編スタートです。弥勒さんが目立つぞ!キリッ


10話 名家の者達

 いつもと変わらぬ訓練の時間。俺は弥勒さんに(いつもの事ではあるが)執拗に挑まれ続けていた。

 

「や、やりますわね……流石、防人の副隊長まで上り詰めただけのことはありますわ」

「これで五回目……どうします?ここらでやめときますか?」

「ご冗談を。わたくしがこれくらいでは諦めない事をあなたが一番よく理解しているでしょうに」

 

 木銃を再び構え直す弥勒さん。いつもの事ながら、彼女のこのタフさには恐れ入る。しかし……

 

「では行きますわよ!てえやああああああ!!!」

「よっ」

「えっ?あ、みにゃー!!!」

 

 気合の声と共に勢いよく突っ込んでくる。それを木銃を使い、受け流す。勢いを殺しきれなかった弥勒さんは見事に壁に激突し、奇声を上げながらぶっ倒れた。

 

「あぅ〜ほ、星…星が見えましてよ〜わたくしのように燦然と輝いてる星が〜」

「なーにやってんですか、弥勒さん」

「さ、流石は鷹月さんです。わたくし渾身の突きを受け流すとは……この突きを攻略したのはあなたが初めてでしてよ」

「いや、この前も八番の子に受け流されてま「あなたが初めてでしてよ!」言葉被せんのやめてもらっていいすか?」

 

 弥勒ワールド全開の影響で多少頭痛がしてきたが耐える。どちらにせよ、そろそろ訓練が終わる時間……なのだが、ギリギリまでこの上級生は止まらない事をよく知ってる。

 

「まだ、やれますわよ」

「だろうな、わかってますよ。もう何度も相手してますから」

「流石は我がライバル。では、これまでが準備運動だったと言う事を教えて差し上げますわ」

 

 俺は、弥勒夕海子という少女の事を尊敬している。猪突猛進ではあるが、それでも強い信念を持っている。それはどこか、俺の愛してる人を連想させる。だから、人間としての彼女の事は好きではある。ただ────。

 

「全ては、弥勒家再興の為に!」

「再興……ねぇ」

 

 俺自身の問題なんだが、彼女の()()()()()は好きになれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ」

「お疲れ様です、弥勒さん。はい、スポドリっす」

「あ、ぁぁ……ありがとうございまふ…た、鷹月さん」

 

 意気消沈としている弥勒さんを尻目にスポドリを頂く。横にいるのはついさっきまで「わたくしは止まりませんわよー!!」とか言いながら、計30回以上の突きを俺に向かって放ってきた弥勒家の御令嬢。

 

「……大丈夫ですか?保健室行きます?」

「…何てことはありませんわ。しょ、少々、疲れただけです」

 

 明らかに少々じゃなさそうな表情を浮かべながら、スポドリを飲んでむせてる弥勒さん。どこまでも愉快な人だ、ほんとに見てて飽きない。

 

「お疲れ様、夕矢。……弥勒さん、どうしたの?」

「おお、お疲れ、芽吹。いやまぁ、いつものだ」

 

 「あぁ、いつものね」と若干呆れた様子の芽吹。いつもので伝わってしまう辺り、芽吹も弥勒さんの事が分かってきたらしい。弥勒さん、体力があるのは明らかなんだが気合が入りすぎて自身の体力の限界以上に鍛錬に打ち込みやすいタイプらしく、訓練が終わった後、こうなる事が多い。俺や芽吹と一対一で訓練するときは尚更だ。

 

「あら、芽吹さん!今度はあなたがわたくしのお相手をしてくださるんですの?」

 

 いつのまにか完全回復した弥勒さんが芽吹に詰め寄る。うっらやましいなほぼゼロ距離じゃねーか、俺に譲ってくれその位置。

 

「ちっ…違います。そもそも、訓練は終わりってさっき伝えたじゃないですか」

「あら、残念。……何故、夕矢さんはこちらを羨ましそうに見てるんですの?」

「ば、ばっかぁ!羨ましいなんて思ってねぇですよ!?今の弥勒さんと芽吹の距離感羨ましいなぁとか今すぐその位置変わって欲しいなぁとか思ってただけですってぇ!」

「矛盾が矛盾を呼んでますわね……芽吹さん、いつもお疲れ様です」

「ありがとうございます、弥勒さん。頭痛が止まりません」

 

 愛する人と先輩からの冷めた視線が身に沁みる。雑談している内に他の防人隊の面子が道場から出て行く。さて、この後の予定はどうしたものか。今日の訓練は午前中のみ、つまり今からは自由時間となる。

 

(ま、悩むまでもねぇよな!)

 

「芽」

「あ、鷹月さん、ちょっと」

「……なんですかぁ?(怒)」

「な、何でちょっとキレてるんですの?まぁ良いですわ……この後、少々お時間よろしくて?二人きりで話したい事があるので」

 

 突然の申し出に一瞬、固まるが特に断る理由はない。いやあるんだけどね?芽吹と一緒に過ごしたいし、芽吹と一緒に過ごしたいし!

 

(けど、えらく真面目な顔してるからな……)

 

 二人きりで話したい事……よく分からないけど、ここで断るのもどうかと思う。たいっっっっっっへん不本意ではあるが、今回は芽吹と過ごすのは諦めるか。今回過ごせなかった分、次の休みに芽吹に付きまと…傍にいれば良いだけ──いや、やっぱり(意思弱々)

 

「芽吹さん、あなたの夕矢さんを借りて行ってもよろしくて?」

「……あなたのって言い方やめてください。しかも、何で態々私に確認するんですか」

「なんでって……お休みですし、お二人で何か予定でもあるのかと思ったので。一応確認を」

「ないですよ、どうぞ好きに連れてってください」

「あるだろ芽吹!俺とデートを…!」

「連れてってください」

「はい、それでは鷹月さん行きますわよ」

「やーだー!俺は芽吹と休みを過ごすんだぁぁぁぁぁ!!」

 

 俺の抵抗も虚しく、弥勒さんにズルズルと連れて行かれた。あぁ……芽吹がどんどん遠くなっていくぅ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

〜弥勒さん視点in〜

 

 

 白い丸テーブル。白いチェアー。白い陶器のティーポッドとカップ。わたくし、弥勒夕海子は鷹月さんを連れゴールドタワーに近接する臨海公園で紅茶を楽し──

 

「メブキ、と、デート…シタカッタナァ」

 

 こ、紅茶を楽しみながら──

 

「あー、今頃芽吹ナニシテルカナァ」

「シャラッープ!ですわ!鷹月さん!このままでは折角の優雅なティータイムが台無しになってしまいます!」

「……俺はティータイムする為に連れてこられたんじゃないんです〜!弥勒さんが大事な話があるって言ったから仕方なく!仕方なくついてきただけなんですのよ〜!」

 

 見た事のない態度を取る下級生の副隊長。勢いに気圧されそうになるものの、コホンと咳払いをしてから持ち直す。

 

「確かに、その通りですわね。失礼しました、鷹月さん。いやはや、いつもの如くアルフレッドの淹れてくれた紅茶が美味しくてつい…」

「アルフレッド?」

「ええ、わたくし専属の執事ですわ」

 

 「ほえー」などと生返事をする鷹月さん。あっきらかに信じてませんわね、この方。まぁ、雀さんのように笑わなかったので良いとしましょう。

 

「さて、では本題にいきますわよ」

「へいへい」

「ヘイは一回にしてくださいまし」

「hey!」

 

 よろしい。言ったことをすぐ聞き入れてくれる後輩さんは好きでしてよ。……さて、ここからは切り替えてお話しするとしましょう。

 

「鷹月さん、貴方はご自分の家……鷹月家の事についてどこまでご存知ですの?」

「……というと?」

 

 鷹月さんの顔つきが変わる。さっきまでのやる気のなさそうな表情から一転し、鷹のように鋭い瞳がこちらへと向けられた。

 

「一度、名家の者同士としてお話をしたかったのです。故にこの休みの機会を頂いたのですわ」

「なるほど。ま、名家といっても今は堕落してますがね」

「それは弥勒家も一緒ですわ」

 

 弥勒家も鷹月家もかつては名家として名を馳せていた。しかし、現在ではその面影を感じさせない程に、両家ともに堕落。何故そうなったのか等の詳しい内容については弥勒家にある書物を漁っても知る事は出来なかった。

 

「鷹月さんは堕落した理由等について何かご存知で?」

「知らないっすね。大体の書物は親父が管理してたし、そもそも俺自分の家の事なんて興味なかったし」

「そうですか──鷹月さんのお父上というのは、鷹月刀夜さんの事ですわね?」

 

 私が名前を出すと、鷹月さんはあからさまに嫌そうな顔をすると共にこちらを怪訝そうに見た。

 

「そうです……って、なんで親父の名前知ってるんすか」

「一度だけですが、お会いした事がありますの。まぁ、わたくしがまだ小さい頃でしたのでそこまで深い関わりはありませんでしたが」

「……変に顔広いな、あのクソ親父」

 

 はぁ、とこれまた嫌そうに溜息を漏らす鷹月さん。あまり仲がよろしくなかったのでしょうか?

 

「お父上はお元気ですか?」

「あー……そっか、弥勒さんは知らない感じか」

「……何をです?」

「親父、2、3年前に亡くなりましたよ」

「……申し訳ありません、軽率でしたわ」

「いいんすよ、知らなかったんだし。弥勒さんが謝る事じゃないですから」

 

 それでも、と頭を下げた。少し重い雰囲気が流れてしまうが、気持ちを切り替え話題を振る。

 

「……所で、鷹月さんはわたくし達の祖先が過去にどのような働きをしたか、それについてはご存知で?」

「それは知ってます。弥勒家、鷹月家、そして…赤嶺家。その三家が神世紀72年の大規模テロ事件を鎮圧したってやつですよね」

 

 彼の言葉に頷く。神世紀72年に起きた大規模テロ事件──学校等でも取り上げられ、歴史の教科書でも載っている程の大きな事件。しかし、その詳細はどこにも記されておらず、弥勒家にある書物も全て大赦によって検閲されてしまっている為、知る手段はない。

 

「その通りです。現在ではどの文献を調べても、テロを鎮圧させたのは赤嶺家……としか書かれてはいません。ですが、わたくしはこの防人というお役目を全う…いや、それ以上の功績を出し必ず弥勒家の名誉を挽回してみせますわ」

「……名誉の為に命を賭けるんすか?」

「え?」

 

 突然の問い。彼と視線が交わる。その目は本気だ……どこか、怒りに近いものを感じる。いや、これは──。

 

「どういう事ですの?」

「言葉のままの意味っす。弥勒さんは、弥勒家の復興を目指してるんですよね?」

「ええ、そうですわ」

 

 キッパリと答える。それに対し、鷹月さんの目つきが更に鋭くなる。戦闘中や訓練の際にもそうだが、こういう時の彼は年下とは思えない程の圧を出す。

 

「……名誉の為とか、復興とか。そういうのを目標にして生きるのは悪い事じゃないとは思います。でも、その目的ばかりに縛られ生き急ぎ……その結果、本当に大事な事を疎かにしてしまい、最終的には──。俺はそんな人を見た事があるんすよ」

「私も、そうなってしまうのではないか……と?」

「断定はしませんよ。けど少なくとも俺はその人を見てから、そういった考えで動く人に対して……良い印象は持ってないっす」

 

 なるほど、と内心で頷いた。鷹月さんがわたくしと関わる際、弥勒家再興のお話が出てくるとやけに嫌そうな顔をするのはこれが原因でしたのね。

 

「忠告、ありがとうございます。しかし、私は自身の考えを変えるつもりはありません」

「……そう、すか」

 

 少し弱い声色で彼は反応する。その顔には未だ翳りがあるように見えた。

 

「わたくしは家とかつて多くの人々を救ったという事実を誇りに、そして名誉に思っているのです。祖先は英雄であり、わたくしにその血が流れている事を素晴らしくも思います。その信念は、誰にも否定させない。鷹月さんは生き急いでしまう……とおっしゃいましたが、元より私は急ぐ気はありません」

 

 勿論、弥勒家復興は夢でもあり目標。それを早く達成したいという気持ちがないわけでもないこともまた事実。ですが、それ故に──。

 

「出来ることを確実に、そして地道に。防人というこの部隊で、わたくしは目標へと近づこうと考えていますから。なので、余分な心配はご不要でしてよ」

 

 鷹月さんに向けてそう言い切る。きっと彼の先程の言葉は、わたくしを心配して言ってくれていたのでしょう。彼らしい不器用ですが、とても優しい気遣い。

 

(きっと、そんな貴方ですから……副隊長にもなれたんですわね)

 

 彼の根底にある強さ。それはきっと戦いの中だけでは測れないのだろう。

 

「あー、なんつーんだろうな」

「?、何がなんつーんですの?」

 

 歯切れの悪い言葉に首を傾げる。一息つく為、紅茶を飲もうとすると──。

 

「あー、その、俺弥勒さんの事結構…いや、かなり好きかもしんないっす」

「ブーーーーーーッ!!!」

「うっわ!ちょっ、何してんすか弥勒さん!?」

「そ、そそそ、それはこっちの台詞ですわ!どうしたんですの急に!?」

 

 な、なななんですの!?この人!?えっ?この方は芽吹さんの事が好きなのでは!?なのに、何故今わたくしに!?えっ?えっ?

 

「あなたには芽吹さんがいるでしょう!?な、なのに何故わたくしに」

「あ、そういうんじゃなくてね。人間的にかなり好きだなって」

「は、はぁ…」

「何というか、前々から思ってたけど弥勒さん本当にカッコいいと思いますよ。俺の問いに対する答え聞いた時は、ほんと感動したし」

「そ、そうですか?」

 

 急なベタ褒めに流石のわたくしも照れてしまう。なんなんですの、この方。

 

「そうですよ。その信念は誰にも否定させない……こんな言葉がすっと出てくる弥勒さんは本当に強い人だなって、俺は思います。絶対に叶えてください家の再興を」

「勿論、言われなくてもそのつもりですわ。その為にもまずは貴方や芽吹さんに勝たなくてはなりませんが。わたくしが勝利を掴み取る日もすぐそこですからね。首を洗って待っててくださいまし」

「それは楽しみだ事で。でもまぁ、そう簡単には負けてやりませんから」

 

 二人で顔を見合わせ、笑う。なんというか芽吹さんが彼と一緒にいる時、やたらと心地よさげにしているのが分かった気がした。

 

「そういや、お話ってこれで終わりな感じですか?」

「そうですわね……あ、でももう一つ」

「?」

 

 そうでしたわ。彼との会話に集中しすぎて、わたくしが個人的に一番気にしているお話をするのを忘れていました。

 

「鷹月さんは『残党』について知っていますか?」

「残党…?」

「ええ、因みにこの『残党』はわたくし達もよく知っている神世紀72年の事件とも関わりが深い事ですわ」

「もしかしてカルト教団の──」

「その通り。ここから先は、わたくし達──名家の者達が関わりの深い事ですので。出来る限り他の方々には喋らない事をお願いしますわ」

「了解っす」

 

 彼が頷くのを見て、話し始める。正直内容自体も不明瞭な事ばかりでなんとも言えないが……。あまり、いい話ではないのは確かであった。

 

 

 

 

〜弥勒さん視点out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

〜夕矢視点in〜

 

 

 

「失礼しました」

 

 頭を下げ、部屋から出ていく。少し用があり、俺は神官の部屋へと来ていた。

 

 弥勒さんとの二人っきりでの雑談を終えてからそこそこ時間が経った頃、ゴールドタワーに夕焼けの光が差し込んできている。その光を受けつつ、廊下を一人歩く。

 

「悩みの種が増えた…たくっ、もう堕落しているとはいえ…名家ってのはなにかと面倒だな」

 

 昼間に弥勒さんから聞いた話、あれが本当だとしたら実家が少し心配だ。俺が神官の部屋へと行ったのは、次の休みに実家へ向かう許可をもらう為だった。防人は外出する際、神官に理由等の説明などを態々紙に書いて提出しなければならないのだ。

 

 面倒ではあるが、これをしないと外出できないのも事実なのでみんな文句は特に言わず、このルールに従ってる。なんかルールのことばっかり言ってたら疲れてきたな……溜息出そう。

 

「はぁ〜」

「ひどい溜息ね、何?神官に文句でも言われた?」

 

 そこに女神降臨!最高のタイミングだぜ。芽吹がここにいるという事は、恐らく神官へレポートの提出だろう。

 

「おお、芽吹。違うぞ、ちとここに用があったんでな」

「用?何よ」

「次の休みに実家に戻ろうと思ってな。外出届け出してきたとこだ」

「なるほどね、でもなんで急に?」

「あー……まぁ、あれだ、実家の近くにある山で久々に鍛錬でもしようかと思ってな。ここで出来ない鍛錬もあっちなら出来るしな」

 

 半分本当で半分嘘だ。鍛錬したいのは本当だが、何より大事なのは自分の家が心配だからだった。あの家には今は母さんしかいない、故に弥勒さんの言っていた話が本当なら心配にもなるからな。

 

「……」

「ど、どうした…?芽吹」

「あんた、なんか隠してない?」

 

 な、何故わかった!?流石芽吹だぁ、完璧に俺の心を理解している。やはり俺達は結婚する運命にある!ってそれよりも──。

 

「な、なんの事か」

「そういえば、あんた弥勒さんと二人きりでどっか行って帰ってきてから少し変よね。もしかして、弥勒さんと何かあった?」

 

 こういう時の芽吹はやけに鋭い。俺だって芽吹に嘘は吐きたくないが……でも、弥勒さんには念を押されているし。

 

「あー、いや、そのぉ…」

「珍しく歯切れが悪いわね?……やっぱり私に何か隠してるの?」

 

 や、やめろ!芽吹……そ、そんな少し悲しそうな表情をするんじゃない!な、なんだ…さっきから芽吹がなんかあざといぞ。あざメブだ、あざメブ!めっちゃ可愛いなおい!(錯乱)

 

「決めたわ」

「えっ?」

「その日、私もあんたに着いて行く。前々からあんたが昔使ってたっていう鍛錬場行ってみたかったし」

「……マジっ?」

 

 なんという事だ。いつもなら芽吹と一緒だヒャッホーイ!って喜ぶところだが……今回は少し複雑である。

 

「何よ、嫌なの?」

「ぐぅぅぅ…芽吹、ちょっとずるいぞお前…」

「何がよ、ま、とりあえずそういうわけだから。次の休みの日、よろしくね」

 

 そう言って、芽吹は神官の部屋へと向かった。俺は一人ぽつんと廊下に取り残されている。我慢できず膝をついて蹲る。

 

(なしてそんな可愛いこと言うんだよ〜!そんな事言われたら断れねぇじゃんかよぉ……。ま、まぁ…でも、いいか。別に『残党』の話をしなきゃいいだけだもんな…うん、じゃあつまり実質鍛錬デートじゃね?えっ、やったぜ、急に嬉しくなってきた!)

 

「やったぜー!フォー!!」

 

 さっきまで蹲っていたのが嘘のようにハイテンションで自室へと戻った。自分でも情緒不安定じゃねえかって思うけど、本当に嬉しいんだからさ、仕方ないだろ?

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

〜夕海子の部屋〜

 

 

 

「彼には芽吹さんというパートナーがもう既にいる。故にわたくしは彼を専属の執事として迎え入れたいと考えておりますの!どう思います!?雀さん?」

 

「まずはその胡散臭いお嬢様設定無くすところから始めてみたらどうかな?」

 

「だぁぁ!相談相手間違えましたわ!やはり国土さんか山伏さんに聞いておけば!」

 

「うええ!?勝手に私を部屋に引きずり込んで置いてよくそんなこと言うね!?これだから、エセお嬢様は!」

 

「ダァー!言いましたわね!言いましたわね!それ言ったらもう戦争ですわよ!このみかん星人!」

 

 その後、隣の部屋の主である山伏しずくがシズクに人格が入れ替わり、夕海子の部屋に乱入した事で騒ぎは収まったという。(ようは二人ともシズクにしばかれた)




ユ「おおお!見ろぉぉぉぉ!芽吹ぃ!芽吹が動いて喋ってるゾォォォ!最高じゃねぇかぁぁぁ!!」

メ「横で叫ばない。亜耶ちゃんの声がよく聞こえないでしょ」

ユ「隠れて二人でデートしてたのか…俺とは遊びだったのね!芽吹!」

メ「遊びも何も始まってすらいないでしょ……ほら、続きを見、る?」

ユ「楽しいそうだなぁ〜ここ、ここの芽吹可愛いぞ!でゅふでゅふって!それに親父さんのことをパパって!いやー、こんな一面もあるのか、今度俺とデートした時にも見せてくれよ!」

メ「あんたの記憶を消す、いま、ここで」

ユ「ちょっ!?だめだ、あんな可愛いらしい芽吹の姿を忘れるなんて俺には!お、おい、芽吹、なんで銃剣構えてんだよ!?やめ、やめろぉぉぉ!!!(若干喜んでる)」

作者「後書きでイチャイチャするのやめてもらっていいすか?(半ギレ)はい、てな訳で今からはいつも通り解説です」


〜marvel小ネタ解説〜

「まだ、やれますわよ」
「だろうな、わかってますよ。もう何度も相手してますから」

 この会話というか弥勒さんの発言自体が軽い小ネタ。キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの台詞である「まだ、やれるぞ」を弥勒さん風にして入れてみました。会話の流れもアベンジャーズ・エンドゲームのワンシーンを意識してます。ちなみに「まだ、やれるぞ」を英語で言うと「I can still do it」です。気になったら調べてみてね!
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