ただくめゆ成分なしなので、オリキャラ同士のあれこれは興味ないなって方はブラウザバック推奨です!(マーベル成分は今回はないけど次回とかからはあるかも)
ま、とりあえず!ゆったりと…見ていってくださいな〜。
第一話
よく覚えている。怯えた母の顔、だいじょうぶだいじょうぶといいながらぼくを抱きしめてくれていた。
『どうして…こんな事を!』
少し離れた所から父が叫ぶ声がする。なぜ、なぜ、とかなしそうにつぶやいている。
『お前達のような■■の一族が当たり前のように外に出れて…なんで俺たちが』
知らない声がする。そのあとザクッと音がする。綺麗な部屋にはあかい液体が飛び散った。
なんどもなんどもザクッザクッと音がする。その度、大丈夫よ私が守るから…と母がぼくだけじゃなくてじぶんにも言い聞かせるように呟いていたのも覚えている。
やがて、音が消えた。
『やっと■んだか』
その一言を聞いた瞬間、母の目から涙がこぼれた。かなしいの?かなしいの?
ごめんなさい、ぼくがなにもできないばっかりに。
『あの女も殺した方がいいんじゃないか?』
知らない声がまた聞こえる。こちらに静かに寄ってくる。
『隠れて…お願い、あなただけでも』
そう言って母はぼくとは反対側の方へ歩いていった。
直後、またザクッという音がした。また、また、あの音。
やがて音が消える。今度はこんな声がする。
『子どももいるはずだ。そいつも見つけ出して■せ』
見つからない為にどこかへ隠れようとした。でも、間に合わなくて。
すぐに捕まった。目を血走らせた大人達がぼくを取り囲む。
『■せ、■せ、こいつもきっと』
『何人の教徒が襲われたか!思い知れ!■■の一族が!!』
『抉り出せ!抉り出せ!そいつの■■を抉りだせ!』
ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ…掻き回されて、傷つけられて、そのせいで右目から光は失われた。
これは、ある日の惨劇…僕が僕で亡くなり、俺になった日。
大嫌い、大嫌い。こんな世界、大嫌い。
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「ん、んん…?」
ピピピと、甲高い音をひっきりなしに鳴らしてくる携帯を掴む。
「はぁい」
『はぁいじゃないよ、バッチリ寝坊してるじゃないかよ、お前』
「おー我が友、天城よ。わざわざ俺を起こしてくれたのか…嬉しいぞ」
軽口を叩きつつ起き上がる。とりあえず目を覚まそうと、洗面所に向かう。
『たくっ…昨日は一丁前に明日は絶対に遅れない!なんて言いやがるからちょっと信じてみればこれだよ…この万年遅刻魔め』
「ぷはぁ〜……いやいやぁ、そんな褒めるでない〜」
『褒めてねぇよアホ、そんで?どうなんだよ、今日は結局来るのか?お前』
割と真面目に心配してそうな天城の声。俺にとって唯一の友はなんと優しいことか。
「流石に、これ以上休むのはまずい。だから、行くよ…もう少ししたら」
『そっか、まぁ事故らない程度にゆったり来いよ。待ってるからな』
「天城…俺の事をそんな大事に思って…あ、切れてる」
気づいた時には携帯からプープーっという音がしてた。全く天城の奴め、何を今更照れる必要があるのか。ま、その事については後で弄ってやるとしよう。
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通学路とは違う道、たまたま見つけた近道を通り学校へと向かう。
狭くなったりボコボコしていたり通りにくい所もなくは無いが、鍛錬している俺にはそんなに関係なかった。
「楽ちん楽ちんっと」
バク転、からの着地。ふむ、今日は調子が良いねぇ…とても。
走り続け、延々と足を止めず進む。鍛錬の賜物だろう、全く息が上がらない。
(…天城はまた弁当を分けてくれるだろうか。美味しいんだよなぁ、アイツが作ってくれる唐揚げ〜)
なーんて事を考えていたら、いつの間にか学校に着いていた。
「よーし、今から行けば授業にも」
と言いかけて止まる。学校の時計を見る限り、授業時間は後20分もない。ならば…
「すまない、天城……だが、安心しろ、お弁当はしっかりもらいに行くからな!」
教室へは向かわず、俺は一直線にとある場所に向かった。
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〜一方その頃〜
「へくしっ!」
「なんだ、天城。風邪か?」
「……いや、風邪ではないと思うが。何だろうな、悪寒がしてよ」
「悪寒?」
「あぁ、これは…弁当の中身が消える感じだ」
「どんな感じだよそれ…ほら、んな事良いからここの問題教えてくれって」
「あーはいはい。……にしても、あのバカ遅いな。そろそろ来るって言ってたような気がするんだが…まさか」
「あのバカ…って言うのは、もしかして鷹月くんのことかしら?」
「あぁ、そうそう…あのバカ刀、夜…ん?」
「その話、詳しく聞かせて貰っても良いかしら。天城くん?」
「げっ…『朝緋』委員長…」
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カツンカツン、と自分の足音だけが響く。階段をゆっくりと上がり、目的地を目指す。
向かう先は一つ。屋上である。
屋上にて寝っ転がり空を眺める、それが俺にとっての日課の一つとなっているのだ。
錆びついてるドアノブを捻り、ドアを開く。開いた先に広がっていたのは、雲一つない青空だった。
「ふむ…」
誰もいない屋上にて伸びをする。誰もいない為、何も気にせず寝っ転がる事が出来る。
「…落ち着くな」
ぼんやりと空を眺めながら、そんな事を呟く。人が多い場所が苦手な俺としては、ここは絶好の場所であった。
「……」
眼帯に触れる。出来ることなら、両目でこの綺麗な空を見たかったな、と思う…思ってしまった。
「今更、何考えてんだか」
鼻で笑う。このバカにしたような笑いは自分に向けてのものだった。
アホらしい願いだ。どうせ、そんな事本気で思ってない。何故なら、俺は…『全てに興味が湧かないのだから』
そう、興味なんてない。両親、右目…この二つが失われたあの日から、僕は死んだ。
「代わりに」
今の俺がある。誰にも興味を持たず、何にも興味を抱かない。空っぽな自分が。
空っぽな自分には、この世界も空っぽにしか見えない。表面上は綺麗でも、その中身は薄汚れていて、とても汚い。
人を見た目で判断するな、という言葉があるが…それは世界にも言える事だ。
「やぁ、腐った世界よ。今日も『空』だけは綺麗じゃないか」
自然と、そんな言葉が口から漏れた。アホらしい、とさっきのように鼻で笑う。
「……アホらし」
「ええ、本当にね。授業も出ず、こんな所で油を売っていたなんて…ホント、アホらしいわよ?あなた」
おかしい、ここには俺しかいないはず。なのに、何故か、女の声がする。しかも、真上から。
「ふん、天城くんの言う通り。本当にここにいたのね、遅刻欠席常習犯の鷹月くん?」
こちらの顔を覗き込むように見下げている女がいた。その子はビキビキとこめかみに青筋を浮かべている。怒ってるね、なんでかは知らないけど。
「…何だんまり決め込んでるの。委員長である私が自らあなたを指導しにきたのよ?何か言ったらどう?」
と、言われましてもね。とりあえず、身を起こして相手の顔を見つめる。
「……何よ、じっと見て」
「いや、そのさ」
そもそもさ。
「君は、誰だ?」
「……………は?」
「いや、だから君は誰なんだろうなって」
「…ちょ、ちょっと待って!?あなた、もしかして私のこと知らないの!?同じクラスなのに!?」
「同じクラスだったのか。通りで聞いたことある声だと…ちなみに名前は?」
はーーーー!!!???と、腹の底から出た良い声が屋上に響き渡る。うむ、元気な子だ。
「あなた…本当に…はぁ」
「ん、なんだ疲れているのか。それじゃここで一緒に寝る?気持ちいいよ、ここ」
「あ、じゃあ遠慮なく〜……じゃないわよ!な、なんなのあなた!からかってるの!?」
「君が疲れてそうだったから提案しただけだが……気に障ったなら謝る、すまない」
あーもうなんなのこいつー!と癇癪を起こす女の子。どうやら相当疲れが溜まっているらしい。
「……お大事にな、ここは君に譲ろう。しっかり寝て、疲れを取るといい」
「やかましいわ!それと、君って呼ぶのやめて!私には、上代朝緋って名前があるんだから!」
仁王立ちで腕を組みながら、偉そうに彼女は自身の名を告げた。
「上代、朝緋…上代朝緋、上代朝緋!上代朝緋!」
「連呼しないで。はぁ…全く…聞いていた以上に変な子ね…あなたは。まぁ良いわ、とりあえず付いてきなさい。そろそろ授業も始まるし、今から一緒に行けば間に合うわよ」
と、言って俺の手を掴む彼女。その姿はやけに大人びて見えた。
「…かっこいいな、上代さんは」
「な、何よ急に…褒めたからって、これまでの遅刻欠席が消えるとでも」
「だが一つ忠告だ、男が見上げている時はスカートの中身に気を配った方がいい。色々と…見えてしまうからな」
…………………………………………………………。
一瞬。まさに一瞬の出来事である。
「変態…死すべし!」
「あっぶな!?何するんだ!?」
「うっさいわね!くぁー!もうっ!あったまきた!!そこに直れ!この変態野郎!!」
「ちょっ、待つんだ!そろそろ授業始ま」
「んなもん知るかぁ!そんな事より変態の指導が最初だっての!!」
さっきまでの優等生オーラをかなぐり捨てて叫ぶ朝緋。それから逃げる刀夜。
そう、二人の始まりは『これ』だった。酷い出会いだ…そう思う人もいるだろう。
でも、彼、彼女にとってこの出会いは…これから先のことを考えれば、運命の出会いとも呼べるものだったのだ。
これは、鷹月夕矢が生まれる前の物語。
彼の両親…刀夜と朝緋、二人が紡ぐ前日譚。
鷹月刀夜は愛を知る
第一話 『最悪』で『運命的』な出会い
あ、言い忘れてましたが…朝緋さんもメイン枠です。そして新キャラの天城くんだったり〜まぁ物語は始まったばかりですので、本編も見つつ、興味あるなって思って頂けたのであればこちらもゆったりと追っていただけたら嬉しく思います!約全12話程で終わる予定ですので、こちらもよろしくお願い致します。
それでは、また〜!