「レオパルドンはダメか~』
(この辺りイラスト・杏仁豆腐風)
「ゴリラ!」
(この辺りイラスト・天野喜孝風)
「私達は『ボトムズ最低野郎』」
(この辺りから塩山紀生)
百の顔を持つ女。その名は黒井タクミ。
今回はロボロボしてません()
誤字修正。lukoa様、五武蓮様、山田治朗様、さーくるぷりんと様、kuzuchi様ありがとうございました!
追記
前回の被害者:なし。史実でもこの頃に大体消えてる。強いて言えばビートルズだけどビートルズは()
事前に確認して大丈夫だと思ってたんですが曲名だけでも危ないかもしれないと指摘を受けました。確かにギリギリを責めすぎたかもしれませんし運営に逆らうつもりもありません。なのでちょっと修正しておきました!
>FAQに曲名はOKとあったと教えてもらい確認。曲名を入れました。
ここから第2、第3の黒井タクミが生まれる事を願っているわ
ああ、といってもコミックやTVの企画までやれって事じゃないわよ?
~キャロル・ウェイマス ウェイマス音楽学校設立記念のスピーチにて~
『ニューヨークへ行きたいか!』
ウワアアアアアア!
『タクミと音楽をやりたいかぁ!』
ウワアアアアアアアアア!
熱狂的な観衆の声に後押しされるように黒井パッパの演説もヒートアップしていく。何をしているのかって? そらあれですよ、TV番組を作ってるんです。前々からボビーおじさんに『タクミちゃんの魅力を活かした良い番組を作りたいんだ!』って度々言われてたからじゃあ丁度いいや、と提案してみたらこれが関係者に大ウケ。早速やってみようという事でご覧のありさまだよ。
まぁ、あれだ。最初の一言でもわかると思うけど、ノリは大陸横断のアレと同じ感じだな。ただ、内容は別にアメリカ人を国内旅行させる訳ではない。最終目的地がニューヨークってだけだ。
処でスター発掘って単語に聞き覚えはあるだろうか。そう、民間に居る一芸持ちの奴らを広く世に知らしめるために行われるアレである。中にはまぁあくまでも民間レベルの連中が多いんだが、あれでマジのスターになった奴も多いから侮れないんだ。日本ならスター誕生!出身の人の名前リスト一回見たらビビるぞ。
何でこんな話してるかというと、今現在私がやっていることがこれだからだ。スター誕生パクって埋もれてる連中を発掘してるわけだね。下は一桁から上は50を超えた爺さんまで。この広い米国内で燻っている才能を掘り起こして世に知らしめるのだ。
いやね。実は
多分もう3000万枚位売れてると思う。最初は200万枚で泡食ってたパッパも最近は「億までは遠いなぁ」とか言い始めたし慣れって怖いわ。個人名義の方もまだ出せば売れる状態続いてるし、ちょっと自身の音楽活動については自粛モードに入ってる。私に余裕があっても周りが潰れたら意味がないからね。
マイコーの最高記録が6~7千万枚売れたって話だからもうちょいイケるんじゃないかな〜と思ってたんだが、よくよく考えたらここ数十年こんな規模でレコードが売れる事が無かったんだ。そもそも大量生産の用意が出来てないわけだな。
「うーん。働けど働けど仕事は楽にならず。じっと手を見る」
「『一握の砂』か。良く知っているな」
最近定宿にしているホテル最上階でのんべんだらりとパッパの持ってくる審査結果の山を見ていると、ついつい言葉にしてしまったらしい。石川啄木は居たんだな。この歌しか知らんけど歌詞作ってる時に言い訳にしてる読書っ子って設定を補強するためにも読んどくべきだろうか。一回読んだら全部記憶できちゃうから、後で脳内再生できるしね。
ちょっと前まで忙しそうに飛び回っていたパッパが何故私とのんびりしているのかというと、純粋に部下が出来て今は私のマネジメントに専念している状態だからだ。私の動きが鈍るとパッパにも暇が出来るんだよね。
最近は黒井父として有名人枠にも入ってるらしく、そこらを歩くことも出来なくなったそうだし丁度いいとばかりに有給の消化がてら私とのんびり骨休めである。
パッパの所属している会社の株式はガンガンストップ高を更新しまくってるらしいから会社自体はめちゃめちゃ忙しくなってるんだが、流石にこの半年の間に事務作業を行うための人員が本社から送られてきたので会社内部の仕事は部下に任せ、今はもう完全にアメリカにおける企業の顔。渉外専門って感じで色んな所に顔を出しているみたいだ。
「パッパ、そう言えば向こうの仕事は長らく戻ってないけど大丈夫なの?」
「ああ。そっちは高木が何とかしてくれてるし、小まめに連絡も取ってるからな。あっちは今も凄い騒ぎらしいぞ」
「あの人がねー」
仕事に対してはかなり厳しい目線で見るパッパがそんだけ認めてるって事は本当に優秀なんだろうね。私の印象だと、初めて会った時の夢破れて草臥れたお兄さんって印象が強いんだけどね。
優し気な印象なんだけど、投げ槍っていうかね。私のジャグリングを見ても死んだ目でボーッとしてるから思わず「負けないで」を歌ってあげたら急にお目々キラキラして手を握って口説いてきたんだ。
「口説かれたのか?」
「情熱的だったよ」
その時の様子を話してあげるとパッパ大爆笑である。何でも、ちょっと前までこれは、と見込んでた歌手が駄目になって、二人揃って落ち込んでた時期らしい。特に高木さんは専属プロデューサーだったから余計に。
「音無琴美を失って、アイツは魂を失っていた。そんな奴がある日、目に力を滾らせて出社してきていきなり俺に頭を下げたんだ」
「……それが私を引き取った時の話?」
「ああ。金の卵どころか既に磨かれた巨大なダイヤモンドを見つけた。お前の力を貸してくれ、と泣きついてきたんだ。大の男に縋り付かれて大変だったよ」
私を膝の上に乗せてそう語るパッパの声は、揶揄しているような口調ながらどこか得意げで、誇らしいようでもあった。男のツンデレねぇ。前世でも今世でも腐女子属性は無かったけど……成程、確かにコレはイジりたくなるわ。ぐへへへ。おばちゃんに馴れ初めを語っても、ええんやで?(にっこり)
スター発掘番組がなんか参加者が多すぎて各州開催になりました。な、何を言ってるか分からないと思う、私も頭が可笑しくなりそうなんだ。仕事を減らす為の人材発掘ついでにホイッとTV局に投げた企画が何でこんな大規模な選考会みたいになってるんだ?
『そりゃあ各州でも優勝賞金1万ドル、仮に全米優勝となれば10万ドルにタクミの作った曲をプレゼントだからねぇ。私も審査員で無ければ参加したかったよ』
『いつの間に賞金なんかついてるんですかねぇ』
主席審査員として今回の企画に関わるキャロルおばさんに詳細を訪ね、返ってきた回答がこれである。思わず声が震えたわ。アメリカなんか今50州あるんだぞ。まさか全部に回れって事じゃないよな?
「流石に全部にお前を回らせるつもりはない。お前の出番はニューヨークで行われる本戦。各50州の代表による戦いの審査と、優勝者への商品の授与だけだ」
「元々楽曲提供だけだったと思うんだけど、賞金はどったの?」
「儲け過ぎた」
あっ、察し。黒井パッパの渋面を見るにこれどっかから突っ込まれたパターンだな。後は税金対策? まぁ、細かい所はともかく持ち過ぎて足引っ張られるのも嫌だししょうがないか。必要経費だと割り切ろう。
それに、よくよく考えればこれはかなり良いかもしれない。この世界のミュージシャンは大体一部の例外を除いておしなべて金が無い。悲しいくらいに皆貧乏で、かつての栄光を夢に見ながら日々生きてるような状態だった。
そこに、いきなり彗星の様に現れたボトムズ。現れてからは米国の音楽チャートを独占。アルバム売上は見た事もない数字になり、その姿は貧困に苦しむミュージシャン達に在りし日の記憶にあるスーパースターを彷彿とさせただろう。彼等は思った筈だ。羨ましいと。自分にもチャンスがあれば、と。心に燻る思いを抱いたろう。
そんな所に、この賞金付きのTV番組がぶん投げられる訳だ。燃えるだろうさ。これで燃えない程度の情熱しか持たない奴は最初からお呼びじゃない。私が求めてるのは私がこねくり回して整えた土壌に芽を出し、一気に花開く
居るはずなんだ。この広いアメリカには。芽が出ずに消えていったレジェンド達がどこかで、それでもまだ夢を諦め切れずに藻掻いている筈なんだ。
そして、そいつらの影に隠れて日の目を見る事が出来なかった隠れた天才達もまたどこかで自分の番が回ってくるのを待っている筈なのだ。舞台も整えた。理由も付けた。名声だって得られるかもしれない。なら後は演るだけだろう。
「うん。これが良いね。これでいこう」
「そうか……勝手に追加してしまってすまなかった」
「良いよ。会社勤めの悲しい現実だもんね」
「その通りだが、お前の年齢で言われると違和感しかないな」
パッパの苦笑にへらへらと笑い返して、私は彼の手にある企画書をヒョイっと奪い取る。あっと声を上げてパッパが企画書を奪い返そうとするが、悪いねパッパ。
やると決めたんなら私はトコトンまでやるのだ。トコトンまでな。
『各州のTV局に電話窓口を設置して電話投票?』
『うん。お金が足りないなら私のポケットマネーから出してもいいけど』
『いや、それは会社で用意する。しかし急にどうした?』
『あのままだとねぇ。審査員の好みに振り過ぎちゃうからさぁ』
いや、まぁ確かに審査員の好みに寄ってても技術がしっかりしてれば良いんだがな。今回はちょっと違う方法を取らせてもらおうと思う。
変更点は二つ。各州で行うスター発掘番組の審査方法と大会の数だ。あ、大会の数が変わるなら三つか。
まず、審査の方法だ。最初の州大会への参加はデモテープによる振り分けだ。こいつは審査員とTV局の職員に行って貰い、明らかに技量に劣る連中はここで落とす。
次の段階が本番のTV放送前の二次オーディション。ここで本格的により分けを行うのだが、ここからは観客を参加させて審査員5割、観客5割の得点を用いて上位16組まで絞り込む。
方法としては単純で、それぞれの投票者は手元に参加者のグループ分(個人も居るが)の数の小さな玉を事前に渡されている。そして、自分が「このグループの音楽をもう一度聞きたい」と思ったグループが居たら、これを椅子に設置されたレールに流すのだ。
流された玉は最下段に設置された箱の中に集められ、この数が一般参加者からの得点となる。ここでの最高は参加者100人からの100点。
また、審査員も方式は同じだが彼等は5名。彼等からの点数はそれぞれ20点の配点になり、5名全員の得点を得られればこれも100点。つまり200点が最高点となる。
仮に同点が多くて16組以上が残りそうな時は、審査員の手持ちの余った玉を好きなグループに投票したりする形で対応する。
そして、ここからが本番。TV放送の始まる州大会の本戦だが、途中までは一つ前の二次オーディションと一緒だが、最後が違う。
電話投票による、追加点数の加算だ。
「電話投票では16組の順位を聞いて貰うんだ。先着100名までね。そしてそれぞれの順位で得点を変える。一位は勿論100、最下位は0」
「それは……大きく順位が動くな。何故そんな制度を?」
「TV映えもアーティストに必要な才能だよ。特にこれからはね」
後、大どんでん返しは盛り上がるのだ。これは流石に口にはしないがね。九分九厘勝ちが決まったと思った時の最後の一刺しが勝負の行方を決める。そりゃあ盛り上がるだろう。次の日には口々にその時の事を話す筈だ。
そして口コミでこの番組の話は広まり、次の四大会、各州優勝者による東西南北大会へと視聴者の期待は移って行き、其処の上位四組による決勝大会は最も新しい伝説の舞台になるだろう。
『タクミ、君はTVの世界でも伝説のプロデューサーになれるよ』
『まだ始まる前だよ、ボビーおじさん』
『分かりきっている事だよタクミ。いつかはリンゴが木から落ちるようにね』
私が渡した企画書を食い入る様に眺めた後、感極まった様にボビーおじさんは私の腕の下に手を回して抱き上げた。そのままハグに移ったんだけど、おじさんタバコ臭いわ。この体になってからやけに匂いに敏感なんだよね。でも嬉しそうだから我慢我慢。
総合プロデューサーとかいう新しい役職に就いたボビーおじさんはその持てる全権を用いてオーディション大会の準備を整え、告知の内容を変更。東西南北の大会からは上位8組に賞金を用意し、決勝大会に参加したグループはその演奏を複数のネットワークのTV局により全国放送される事になる。
賞金も大幅増額し、決勝に残ったグループは全てその時点で1万ドルの賞金を獲得し、上位になれば更に増額。優勝賞金も何と100万ドルである。マジモンのミリオンダラーだ。
ここまで賞金が跳ね上がったのは、この100万ドルが契約金代わりになるからだ。こんなドル箱を野ざらしにする訳もなく、優勝者はウチの会社から私の楽曲によるレコードデビューが内定するからな。この金を受け取った瞬間から契約という枷がハメられる訳だ。
まぁ、ウチの会社はアーティストの取り分がかなり多めなので独立以外に外に出る事はないだろうがな。この辺りは私が全力でパッパに交渉してある。アーティストに報酬を出し渋ってたら業界を育てるなんて無理だ。また、死の60年代に逆戻りしてしまう。
スターダムに伸し上がった人間はな、派手に金を使う事を求められるんだ。その姿に夢を見て今日の少年少女達は明日のスターを目指して研鑽に励むんだからな。とはいえマイコーのネバーランドは流石にやり過ぎだと思うけどな。節度ある贅沢をしないと。
『という訳で、成功を期す為に最高級ホテルのホールを借り切って決起会を行うよ!』
『ハハハ。日本には面白い風習があるな。ドラムも持ち込んで良いのか?』
『おっと。ならあたしもギターを持ち込むわ。アンプは……ホテルマンにチップを弾まないとね』
『大きなホテルなら備え付けの機材もありそうだねぇ。お嬢、先にチェックしとくよ』
日本の文化の押し付け? わたしにほんじんだもん!
と子供らしい我儘を発揮して関係者各位を集めて決起会を行った。微妙に意味が違う?
良いんだよ。要は「これから大変だけどわたしたちともだちだよ! 協力しようね!」って念押しする為の会なんだ。間違いなくTV系の参加者はこっから半年位の間寝る間も惜しむレベルでクソ忙しくなるからな。ここの払いは私持ちだ。タンと食って英気を養って欲しい。
その分、最高の感動は保証するからさ!
そして、半年後。私の予感は最高の形で現実の物となった。
「やっぱりね。ふふっ、うふふふふ」
呆然とした様子でステージに魅入られている他の審査員達の姿を横目に見ながら、私は笑いが止まらなかった。孤独な戦いが終わる。そんな予感を胸に感じながら、私は動きやすいように上着を外して審査員席から立ち上がり、ステージに向かう。
ポゥッ!
ステージ上の『彼女』が曲の節に感極まったようにそう叫び、私の歌に合わせてダンスを踊っている。経験が足りないからだろう。本来ならば磨かれていた筈のその動きは粗削りで、だがその分だけ若々しさに溢れていた。
ファッキンゴッドめ、性別が違うから見逃していたな。きっと。きっときっと何処かに居ると思っていた。奴の杜撰な弾圧を逃れた誰かが、きっと居ると思っていた。
「待ってたぜ、マイコー」
ステージ上の彼女と目があった。その視線に呼ばれているような気がして、私はひょいっとステージの上に上がる。スポットライトの下で私と彼女は視線を交わす。
今夜は熱い夜になりそうだ。
謎の黒人女性:とんでもないレベルで無茶ぶりされる事をまだ彼女は知らない。
タクミ:今回何もロボロボできてないわーと思ってたら音楽関係全部振れる相手見つかったった!次はコミックやな!
クソ女神様のやらかし日記
クソ女神
「うわ、このジョン・レノってジャン・レノのパクリみたい。凄い魂の輝きなのに勿体無い!素行も悪いし神学校にでも入れてしっかり躾しとこ!(使命感)」
↓
「あれジョン・レノンだったわ。テヘペロ」
タクミ
「くぁwせdrftgyふじこlp」