スタン爺さん
「ほ、本当にレオパルドンを出せばこの50万ドルを好きにして良いのか?」
タクミ
「ああ、約束するよ。レオパルドンを出してくれればのギブ アンド テイクだ。出せよ……早く出せ!」
スタン爺さん
「だが断る」
誤字修正。MAXIM様、シュルツ様、kuzuchi様、karakuri7531様、Mr.ランターン様、まつ楽様ありがとうございます!
追記
前回の被害者になる予定だった人:水木しげる。紙芝居が儲からないからアパート経営でもするか、という時にどのアパートが良いか入れ知恵を貰い、生活が安定。余暇を全て紙芝居作成に費やし始めた為女神の思惑にまるで乗らなかった。
「仲が悪いのかって? いいや? ただ、いつも会う度に喧嘩しているよ。勿論私の方が勝つがね」
「そう、喧嘩さ。作品を語る時は互いに前のめりになっていって、こんな風に途中から胸倉を掴み合うんだ。君のイメージと違うかい? でもこれが僕の持つタクミという小娘のイメージさ」
「あいつは溢れる才能を持っているのに、短気で馬鹿で自分を過大評価している節があるせいでそれらを全て溝に突っ込んでる。そしてそれをまるで気にも留めていない」
「まるで君から見た私のようだろう? だから嫌いになれないんだ」
スタン・M・リード 日本製スパイダーマン、米国逆上陸に対するインタビュー
「よっと」
バーベルを頭の上で掲げながら私は前に設置したTVから流れる映像を見る。TVアニメ『Xメン』の記念すべき第一話である。制作は元ダズミー・スタジオ、現在はエキサイトアニメーションって単純な名前になっている。まぁこれについては分かりやすくイメージしやすいものならって事で話していたらマーブルエキサイトから名前をもってきたらしい。
うん。まぁ、ダズミースタジオ、割とあっさり買収しました。過去作の権利系統は抜きで完全に制作設備やらだけをね。制作スタッフとは個別に契約を交わしてそのまま全員雇用の方向でいったんだけどさ。
企業買収なんて前世でもやった事なかったから身構えてたんだけど、ビックリする位お金かからなかったよ。完全に整理対象になってたらしいし、スタッフも薄給当たり前でさ。
私が提示したジャブ位のお給金でスタッフのまとめ役の人が泣いて喜んでて、思わずそこから2割増位にしちゃった。だって最初のお給金、パッパの会社の新卒の給料に色付けた位だったんだよ?
完全にオワコンみたいな扱いで、ダズミーの初代が亡くなってからは会社内でも穀潰しとか税金対策みたいな扱いだったらしいから、初めて会社に訪問した時は上を下への大騒ぎで必死に私の心象を良くしようとしてきたんだよね。
50近いおじさん達が私みたいなちんちくりんにへーコラして来るんだ。流石に居心地悪くなったけど、向こうの必死さが伝わってきて無下にするのも悪かったしさ。誠意が伝わったから、ってその場は普通にしてもらって後日契約の話を持っていったら、さっきの話になったんだ。精神的には同年代だからつい感情移入しちゃったよ。ぐすん。
こんな状況の彼等、元ダズミーのアニメーター達だけど、実を言うと彼等はこれでもまだ大分マシな人たちだ。何せ給料があるんだから。60年代以降、TVの発展と共にこれまでアニメの主流だったアニメ映画は陰りを見せ、殆どの制作会社は窮地に陥った。TVで流すアニメーションを作る為の制作費が捻出できないからだ。
TVで毎週1回、30分放送ってさ。鉄腕アトムから出来た流れなんだけど、あれ出来たの完全に手塚治虫大先生の才覚によるもの何だよね。普通は毎週あの値段と時間で作れないから。止め絵とかの手法を使って安く早く作れるように神様レベルの人が知恵を振り絞った結果があれだからさ。
アメリカの場合は、トムとジェリー作ってた人達がリミテッドアニメーションの手法を使って行う筈だったんだけどね。彼等、50年代でアニメーターを引退してたんだよね。なんでかなぁ(震え声)
「ファッキンゴッド!」
「お、おい。急にどうした」
「ごめん、つい心の本音が漏れ出した」
ぜってぇあいつの仕業だよなぁ、顔も覚えてないけどそんな気がする。あ、変な事を口走ってるのは割とストレス溜まってるからだヨ。裸になって体中にゴテゴテと検査器具を貼り付けてるせいで指定された動きしか出来ないからさ。つい体の変わりに口が動いちゃうんだ。
『タ、タクミ。次は、200kgだ。本当に大丈夫なのか?』
『あ、ごめんごめん。大丈夫だよ先生。じゃあ始めよっか』
さて、話を戻すとマーブルエキサイトとエキサイトアニメーションの二社は現在、私が出資した会社の系列グループとして統合。大本の会社の名前は私の名前とこの世界だと誕生しそうにないとあるアニメ会社から持ってきて『タック・ミー』にしようと思ってたんだが、諸事情あって安直にエキサイトプロダクションって名前に決まった。というのも。
「なぁ、匠。やっぱり961プロダクショ」
「駄目です。名前以外でって言ったでしょ?」
パッパの言葉を遮って答えるとパッパがガクリと項垂れた。そう、私が自分の会社を立ち上げると伝えたら、この男が何か急にアップし始めてきたのだ。この人も割と目立ちたがりだからな。スタン爺さんと気が合うみたいだし、私が映画作ったら出たがりそうな気がする。
このエキサイトプロダクションは、平たく言えば私が出資した私の持つ権利一切を管理するための企業だ。プロダクションって名前だけどそれ以外の仕事は基本ない。従業員数は私を含めて4名。基本的な事務作業や権利関係については弁護士さんや外部の事務専門の企業に丸投げしているので、この3名は事務所の維持と電話番みたいなものだ。
後は、一応私とパッパの緊急時の護衛さんでもある。警備会社は別口で雇っているよ? でももっと身近な部分で守ってくれる人が必要なんだよね。特にパッパはね。
『オッケーだ、タクミ。今日の分はこれで終了だよ』
『はーい』
『服を着たら私の部屋に来てくれ。君の意見も聞きたい』
『りょうかい』
ハー、疲れた。パッパに手伝って貰いながら全身の器材を外し、両手をグルグルと回して固まった筋肉をほぐす。籠に入れた服を身に着ける。実はこれ、防刃効果がある洋服だ。
正直、この世界のアメリカの治安の悪さはヤバいの一言だ。ちょっと口論してた奴らが3言目に銃を取り出した時は思わず手に持っていたコーラを投げつけて止めたからな。あいつら激高してたけど相手が私だと気づいた瞬間に服についたコーラを舐め始めて凄く気持ち悪かった。本当に気持ち悪かった(大事なことなのでry
流石にこれを放置するのはヤバいと思ったので、TVとかに出る時に「お前らキレたからって銃持ち出し過ぎ。男なら拳で語れよ」って言ったんだけど。それが原因かいきなりボクシングの人気が一気に上がってちょっとビックリした。
まぁその発言のボクシングの方でなんかマイキー・バイソンって「…いや、微妙に違う?」的な名前のスター選手が爆誕したのもあると思うけどね。タイトルマッチの時に曲を使わせてくれって言われたからOK出したら、なんか試合会場で歌う事になったらしくて今調整中だ。
後、この銃を簡単に使うな発言が琴線に触れたのかスティービー・ワンダーかディラン? っぽい大御所さんにめっちゃ褒められて、「今度一緒に仕事しようぜ」って言われたので曖昧な返事を返してたらいきなりマイコー達に拉致られた。
流石に身近な相手に手荒な真似をする事もできず大人しくニールさんに抱えられて行った先は大御所から全米16傑から大勢の歌手が集まったスタジオで、その場で歌詞を渡されてボトムズ+大御所演奏による『We Are The World』の合唱である。マイコーから引き継いでのオオトリだぜ、歌う直前まで震えてたわ。
直前まで何も知らされて無かった旨を伝えると、全て計画的なものだった。このチャリティー企画は割と早い段階で出来てたんだが、スポンサーになったTV側が「これ黙っていきなり行えば面白いんじゃないか?」とか言い出して私はこの世界初のドッキリ番組の餌食になった訳だ。
その番組の最後に「恵まれない子供達への募金の呼び掛け」を行ったら相当な額が貯まったらしいから怒るに怒れん。番組中に撮影の様子から通しの歌声まで映像付で流したら大反響だったらしく、このエピソードも含めての宣伝効果でこのチャリティーレコードは世界中でめちゃめちゃ売れたからね。
『さ、タクミ。これが君の協力で得られた数値だ』
『おお。改めて見ると凄いね。人間じゃないわ』
『いいや、人間の範疇だよ。全ての数値がその道のトップアスリート並みになっているがね。勿論君の年齢に限定すれば史上初の測定値だ』
教授の言葉にそれ、つまり成長したら人類レベルを大きく超えるって事かなと思ったが何も言わずに口をつぐんだ。聞かない方が良い事も多いだろう。
教授はその後も先程行われた身体検査の感想と体の動きについてを確認してきたので、実際に動いた際に何処の筋肉がどの位動いているのかを伝えるとビックリしたような表情を見せる。
何せ生まれてすぐから意識があったからさ。何処の筋肉をどの位動かしたらどれ位動けるのかは把握しとるのよ。何も出来ない赤ん坊の頃は娯楽としてだったけど、ある程度大きくなってからはいつでも親元から逃げ出せるように準備してたらいつの間にか癖になってたんだ。
みたいな事を言ったら教授が急に涙を流しながら抱き締めてきた。小声で神様への祈りとか色々言ってるけど間違ってもあのファッキンゴッドには祈らないようにしてくださいね? 流石にあれは四文字の方とは別だと思うけどね。一応念の為。
『取り乱してしまって済まない。つい、その。孫娘の姿が君に重なって』
『気にしてませんから大丈夫です』
暫くしてから落ち着いたらしい教授に頭を下げられた。研究者の割に随分人情味のある人だなぁ。私としては助かるがね。
後、黒井パッパは私を引き取ってくれた方なんでそんな睨まんで上げてください。はい、逃げ出したのは別の相手ですから。所で結果はどうでした?
『ああ。ミオスタチン関連筋肉肥大ではなかったよ。だが、信じられない程の密度と効率的な動きをする筋肉だ』
『あ、良かった。流石にムキムキマッチョになるのは嫌だったから』
『ハハハ。君が男ならきっと残念がるだろうな。是非これからも協力して欲しい』
教授から握手を求められたのでそれに応じる。勿論力は大分セーブしてね。この人はとある大学で人体について研究してるって人だ。うん、何をしているのかって?
いや、私の体ってさ。言わばあのクソ神様からの貰い物だからね。大学に用事があったからそのついでに検査して貰ったんだ。私の身長、130位なんだけど体重は50超えてるんだよね。明らかに重すぎるから何か変な病気かなと思ったら超密度が凄いねで終わったというさ。肩透かしというか何というか。
『入学したらまた顔を見せてくれ、君ならいつでも歓迎するよ。学科は何処になるんだい?』
『コンピューターについて学ぼうと思ってます』
『成程、目の付け所が良い。あの分野はこれから大きく発展するはずだ』
まぁその前に一度日本に帰らなきゃいかんのだがな。ビザが切れそうだし。流石にこんだけ成果出してれば米国政府も芸術家用のビザで入国させてくれるだろう。
あ、そうそう。
『ではまた来年。我が校始まって以来の最年少入学おめでとう、タクミ』
私、大学生になります。
企業買収終わりました(ダイジェスト風)
史実でもこの時期は不振らしいので、それ以上にアニメ関連が不遇なこの世界では、という奴ですね。
この世界の夢の国はテーマパークとTVとの融合を柱に発展していきます(90年代の名作達はつまり)
クソ女神様のやらかし日記
クソ女神
「母国の為に沢山映画を作ったのに戦争犯罪者扱いなんて可愛そう。あ、発明家としても評価されてるんだ! 支援して豊かにしてあげないと!」
↓
「ゴジラとキングコングの映画がない……?」
タクミ
「(声にならない悲鳴)」