タクミは超人血清を打たれていたことが判明。
嘘です。
結構ディープな話になるんですが、昭和の話だったらこの辺りは触れとかんと不味いだろうなと思ったのでハッチャケました。
誤字修正。五武蓮様、kuzuchi様、sk005499様ありがとうございました。
追記
前回の被害者:円谷英二。戦争犯罪者として特撮の現場から遠ざけられた時に、本来なら売れなかった筈の発明品が大当たりしそれを元手に起業。特撮の現場から遠ざけられる。
「身長128cm、体重58kg。この数字だけを聞いた時、君はどう思う?」
「凄まじい肥満体だと思ったなら正常だ。とんでもない筋肉だと思ったならまだ常識の範囲だ」
「そのどちらでもない物を見た時に私が思ったことはただ一つ」
「この娘の体には神が宿っている、だったよ」
~とある大学教授の講義にて~
『なんと! これから世界戦を戦うマイキーが会場に……あれはタクミ、あれはタクミです! タクミ・クロイを肩車しながらマイキーがリングに向かって行きます!』
試合前の世界ヘビー級王座挑戦者に肩車される10歳児が居るらしい。私です。
いや、言いたい事は分かる。分かるよ。これからリングで戦う予定のマイキーからはすっごい雄臭い匂いがプンプンしててヤバげふんげふん。つい40女の頃のノリが出ちまったぜ。
うん? 勿論こんな入場の仕方予定してるわけがないじゃないか。これから試合させる選手疲れさせてどうするんだよ。
今回の世界戦では私はマイキーの依頼を受けて応援として前座を務める事になっていた。のだが、まぁ勿論
という訳で本来、私はマイキーに手を引かれて会場入りし、そしてリングの上で王者を迎えて彼に抱擁の一つでもやって健闘を祈り、一曲歌ってリングから降りるという「ボクシ……プロレス?」的な流れを行う予定だったのだ。勿論カメラは全周囲に設置し、世界中がこの一戦を見守っている。というか見守らせる。
いくら銃社会とは言え引き金が軽すぎるこの世界のアメリカ社会に対して、私なりに考えた一つのアプローチなんだ。己の肉体を武器とする人間が絶大な人気を持てば、喧嘩に銃を持ちだすのはチキン野郎的なノリにならないかな、というさ。ノリが軽い? それ位のノリでやらないと絶対に浸透しないんだよ。肩がぶつかったからって銃で撃ち合いを始める国だぜここは。ロアナプラも真っ青だ。
まぁその必死こいて考えた流れは全部この男がぶっ壊したけどね。当初の予定通りにこの男が待つ控室に行った私を、彼は「ようタクミ、今日は頼むぜ!」とにこやかに抱擁した後に何故か小脇に担いで、驚く周囲を他所にそのまま会場へと向かって歩き始めやがったのだ。
流石に会場入りする際に「これで歌えるわけねぇだろ」と伝えたらスタッフの人も不味いと思ったんだろうね。マイクを渡されて肩車に切り替わった。この男は乙女の純情を何だと思っているのか。
今日の衣装は観戦も含める予定だったからジーンズに革製のジャケットという完全ロックスタイルだったから良かったものの、これスカートだったらどうする気だったんだこいつは?
ちょっとこのまま転蓮華してやろうか悩むわ。というか試合前の選手でなければした。一回位なら誤動作で済むかもしれんしね。
まぁ、マイキーへの報復はまた今度にして、今は前座の仕事に切り替えだ。実は前座って初めてなんだよね。ライブでは基本トリだし、先に出てくる時は大体他のアーティストとのコラボ的な曲だし。というか普通のライブ以外で歌うってのが初めてなんだよね。ほら、レコードと全米横断ウルトラライブで忙しかったからさ。
『ハロー!』
『『『ハロータクミィ!』』』
マイキーの肩の上でマイクを使って語り掛けるとぶわっと周囲から挨拶が飛んでくる。初めてきた場所では毎回これやるんだが、今回も反応は良好だ。お、何名か急いで肩に赤い布を巻きつけてやがる。でも惜しい、右肩なんだよねそれ。でも嬉しいぜ。ファンサービスは歌手の大事な務めだからな。
ビシッと指さしてやると会場内がそちらに目線を向けて、ぶわっと盛り上がる。勿論その後に自分の右肩に指を戻して笑いを取るのは忘れない。こういう細かいパフォーマンスが場の空気を盛り上げるんだ。
何せこの会場はこれから男と男が魂をぶつけ合う会場だ、きっちり場を盛り上げて試合の時に最高潮へと持っていく。これが前座の心意気ってもんだろう。
リングの上に立つと、チャンピオンのトレバーさんが登場BGMを……流さずに走り込んできた。おお、めっちゃ怒ってる。けど周囲はこれもパフォーマンスと思ってるみたいですっごい歓声が上がる。それにチャンピオンが「えっ?」みたいな顔で周囲を見ながら勢いよくリングに飛び込んできたので、ひょいっとマイキーの肩から飛び降りてトレバーさんに向かって両手を広げて抱き着く。
『トレバーおじさん! 頑張ってね!』
『お、おお。も、もちろんだ!』
『悪いのは全部マイキーだから』
『そりゃねぇぜタクミ』
面食らったチャンピオンの表情にとりあえず責任問題は回避したと判断し、ついでにマイキーへの責任擦り付けも行う。というかお前のせいだろうが! 段取り考えろやゴルアァ! とばかりに睨みを利かせるとマイキーが明後日の方向を向いた。あんたみたいな大男がしても可愛くないんだよ。
【会場の皆さま、お待たせしました。これよりタクミ・クロイ嬢による両選手への応援メッセージソングをお聞きください】
そのアナウンスが流れた瞬間に、会場内に居た観客達が総立ちで拍手を始めた。事前通知無しだからブーイングの嵐が来る可能性もあったんだが、どうやら最初の段階は問題なく突破したらしい。さて、後は場を白けさせないように適度に盛り上げるだけだ……今日、虎の目を失わずに戦い抜くのはどちらになるかな?
実に楽しみだ。
『日本に帰る?』
『うん。ビザが切れそうだし、それに向こうでのライブもあるからね』
『……その間の打ち合わせは?』
『……てへぺろ』
スタン爺さんとX-MENのプロデュースについて語り合って居た時。互いの胸倉を掴み合いながら話し合っていると唐突にパッパが『所でスタン老には伝えているのか?』と尋ねて来たので、そう言えば言ってなかったなぁと20年ほど早くてへぺろを披露するも通じなかったようだ。
いや、待って。話を聞いてくれ。正直1月しか戻らないんだからそれほど穴も開かないし調整も可能なんだよ。今話し合ってるこれもようはそっちの分の事前調整みたいなものだしさ。何かヒートアップして一番カッコいいヒーローについて語り合ってたけど!
爺と一緒にめっさ怒られました。やっぱり駄目だったね、パッパも割と真面目な人だからさ。
先日のマイキーの世界タイトル奪取戦以来何かと日本とのやり取りでストレス溜まってたのもあるみたいだし、もうちょい労ってやらないといかんかな。向こうも向こうで結構問題があるみたいだし、高木さんと二人で胃を痛めてるって言ってたし。
しょうがない、ここはスーパースター・タクミさんの
なんて言っていたのが悪かったのだろうか。
「黒井タクミ、脱税の容疑で逮捕する!」
「は?」
思わず、といった様子で呆けた声を出したパッパの腕を取り、捜査令状らしき物を手に持った私服の警察官はパッパの腕に銀色に光る手錠をハメた。
「……はぁ?」
今度の呆けた声の主は私だ。東京国際空港のターミナルには私の帰国を待っていたらしいファン達が詰め掛けきており、この周囲の人口密度だけが異常に上がっている。しかし、先程まで五月蠅いとわめきたい程に騒がしかったターミナルのフロアーはこの一連の流れを受けて一気に静まり返り、時折困惑したような声が漏れ聞こえてくる。
「〇時〇分黒井タクミ容疑者確保。直ちに移送を開始します」
『はああぁぁぁ!?』
これは周囲に居たファンや報道陣に私とパッパ、そして私達と一緒についてきたスタッフの中でも日本語の出来る人達の声だ。ボトムズの他のメンバーはこのいきなり始まった三文芝居に困惑を隠せず、近くに居た通訳代わりにスタッフに事情を問いただそうとしているが彼も混乱している様子だった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
そのまま連れていかれそうになるパッパの裾を掴むと、警察官だろう私服の一人が気の毒そうな顔で私を見て、腰を落として私と目線を合わせた。
「ごめんな、お嬢さん。お嬢さんのお父さんはとっても悪い事をしてしまったんだ。これからおじさん達とお父さんで話し合いをしないといけないから、お家で家族の人と待っていてくれないか?」
「……パッパ悪い事したの?」
「してない! 私は会社からの給与以外は一切受け取ってないし税の支払いは全て会社経由で行っている!」
うん、知ってるけど念の為って奴だよ。金のトラブルで身を持ち崩した奴なんて腐るほど居るんだからさ。実はどっかに愛人がいてそちらの生活費に幾らか抜いてる位はあるかもと思ってたけどこの様子なら本当にないのか。しかし黒井タクミぃ? 私はアメリカで自分の会社経由で税金を払ってる筈なんだがな。外国税額控除が上手くいっていなかったのか?
一先ずこのままだと流石にパッパが哀れすぎるので両手首を合わせて親切そうな警官の前に突き出すと、怪訝そうな目で私を見る警官に向かってにっこりと私は微笑んだ。
「黒井タクミ10歳です。お縄をどうぞ」
「……はい?」
目を丸くするその警官と私の様子を、近場で固唾を飲んで事のあらましを見ていた国外の派遣報道員らしきオジサンがパシャリとシャッターを切った。それを皮切りに周囲が瞬く間にフラッシュの嵐に包まれていく。固まってしまった警官から手錠を奪って自分の手に嵌めながら、明日は号外かねぇと私は暢気にカメラに目線を向けて笑顔を振りまいた。
本当に日本の警察はかつ丼を出すのか。その謎が解き明かされる時がついにやってきたのだ。実費だったはずだけどちょっと楽しみである。
「いや~、日本の検察は強敵でしたね」
「強敵もクソもあるか! 高木の奴も一杯食わされやがって!」
一杯と言えばかつ丼美味しかったです。検察の人(警官だと思ったら微妙に違ったみたい)の分もお大尽して頼んだんだけど流石は都心。高い分美味い。
とはいえこれは高木さん悪くは無いんじゃないかな? 検察の車でタクシー代わりに送ってもらいながらパッパは散々っぱら会社と検察と高木さんに文句を言い続けている。運転手の若い職員さんも涙目である。
あ、結果から言うと誤認逮捕でした。というか誤認っていうよりはもっとでっかい問題だったんだよね。すっごい簡単に言うと私は貰ってない報酬の分で追加徴税を食らって、その分の脱税としてパクられたみたい。意味が分からないよね?
大まかに纏めると、私は基本的に音楽関係はパッパと契約して行っているんだ。私が作った音楽を契約元であるパッパのいる会社が制作・販売を委託するって方式だね。実は日本に居た当時から私は一個人事業主だったんだよ。
で。当然パッパの会社は制作したレコードの利益分から私への報酬を用意して支払わなければならないんだけどさ。日本で販売している分が2割位払われてなかったんだよね。2割とは言え私の売り上げから考えれば普通に億の単位らしい。
何か支払いの途中で中抜きが行われていたらしくて、私のレコード販売からこっち、予想される販売枚数とそこから上がってくる数字が少しずつ、確実に大きくずれてきていたらしいんだけど、その事に気付いた高木さん……日本でパッパの代理人として動いてくれていた人が、完全な部署外であるにも関わらず経理関係を内偵してくれていたのだ。
そして、この1年の間の日本販売分が中抜きされているって事が発覚した。
当然パッパはこの事に激怒。何せ私との契約はパッパが主導して、というか結構無理言ってパッパと契約していることになってるから、その報酬が貰えないって事はつまりパッパも責任を負わされる立場になるわけだ。
ここまでが帰国1月前の段階ね。当然この間にもパッパと高木さんが動いて中抜きされた資金の行方と責任の所在について会社側とあーだこーだしていたんだけどさ。
「だからって10歳児に全責任をおっ被せようとするのは会社としてどうかと思うんだけどね」
「……一連の騒動の責任を取らせた後に俺は辞表を提出する。あの会社とはもう縁切りだ」
「良いの? 将来の社長候補って呼び声高かったんでしょ?」
目をつぶった後に低い声でパッパがそう言った。確認するように尋ねると、パッパは苦笑を浮かべて首を横に振る。あの会社はもう御仕舞だろうと。
「考えが古すぎる。お前への対応もそうだが、企業コンプライアンスという物をまるで理解していない……いつまでも戦後の気分のままで居続けているんだ。あいつらは」
私への対応というのは、まあ。大体ご想像がつくと思うだろうが脱税容疑の件だね。中抜きをした分を「我々はちゃんと支払った。黒井タクミがその分を脱税しているのだ」ってふんぞり返ったわけだ。無理筋すぎだろと思ったけど、官憲側も何か通しちゃってるから多分そういう事なんだろう。
後で聞いたら高木さんの調査した資料もヤのつく自由業の方に強奪されそうになったらしい。そちらは何故か銀さんが高木さんを助けたらしいんだけど、高木さんの声が震えてたらしいから相当怖い目にあったみたいだ。これ、多分だけどほとんどがそっち方面に流れたんだろうね。
向こうも無理して確保しようとしただけはあり、高木さんが体を張って守り通してくれた資料は会社側(と自由業さんと無理押しした役人さん)には結構致命的なものだったみたい。お陰で私とパッパは割かしあっさりと嫌疑が晴れて釈放される事になった。
私の持つ口座の残高履歴と実際に振り込まれる予定だった金額が明らかに違うんだから当たり前だよね。そもそもこっちの口座は私振り込まれっぱなしにしてるから触ってないし。税金もアメリカ側で稼いだ分で支払ってるからね?
「所でこの騒動でツアーライブなんて大丈夫なの?」
「やらなかったら今度は騒動どころか暴動になるぞ。お前の要望があった武道館の特設ステージは準備が終わっているし、1万枚のチケットがあっさり売り切れたそうだからな」
「そっか……うん。なら良いや」
こちらでも武道館はミュージシャンの聖地になってくれそうだ。よすよす、と頷いて私は窓の外を見る。離れる前は何とも思わなかったが、この東京の街並みは前世を知る者からすれば少し寂しい。前世のこの時期は、もう少し街並みに活気があったように感じたんだがな。これは、ニューヨークを見て来たから思う事だろうか。あちらは日本ほど壊滅的に何もなかったわけではなかった。ニューヨークの街並みからは前世の空気を少し感じる事が出来たから、日本の街並みを比べてしまって寂しく思うしまうのかもしれないな。
……黄昏るのは止めよう。私の日本での滞在期間は1月の予定だ。いきなり出鼻をくじかれる事になったがこれは変わることは無い。まずはライブだ。ビートルズの来日の代わりになる位ド派手に日本人に本場のロックをぶちかましてやる。
次に、日本国内でのコミック……漫画の販売と流通を担う会社を作らなければならない。と言っても今回はあくまでも土台を作る程度で、本番はアメリカの方でメディアミックス商法が成功してからの話になる。出来れば今回の滞在のうちに幾つかの出版社に渡りをつけたいところだ。
アニメに関しては恐らくまだ時期尚早……というかX-MEN次第だろう。初放送から数か月たったが米国では動くストーリー漫画としてかなり人気を博してきている。今までのアニメは一発単体の話ばかりだからな。毎週何時にアニメを見る為に子供がTVを、という今の状況にまだ戸惑いがあるようだがすぐに馴染むだろう。グッズとコミック本体の販売も順調なようだし。
後、何気にこのX-MEN、歌と声優がクソ豪華なんだよな。というかパッパの会社の支社に所属するアーティスト達に全部やってもらってるんだ。予算節約の為に超一流のアーティストを惜し気もなくアニメ声優にするクソ会社があるらしい。これは縁切りもやむ無しだね。
……皆を私のプロダクションに移籍させよう。米支社のメンツには希望を取って、転職の斡旋かウチへの転職を聞いて回ってみるか。何だかんだ彼らのお陰でこの1年、慌ただしい状況を乗り越えてこれたんだから。
「まぁ、差し当たってはこの場を切り抜けてからだね」
窓の外。背後から近づいてくる黒塗りのセダンを見ながら私はパパの肩口を掴む。
「運転手さん。ブレーキかけて伏せて」
「えっ」
「ブレーキ!」
全力で圧をかけて叫ぶと、飛び上がるようにして運転手さんがブレーキを踏む。サイドブレーキに手を伸ばして力任せにブレーキをかけ、そのまま運転手の肩を掴んで引き倒す。
その直後に乾いた音が響いたかと思うと車の窓ガラスが割れて散乱し、私たちの頭に降り注ぐ。すれ違いざまに行うつもりだったのだろう。数発撃ち込まれた後に黒塗りのセダンは一瞬迷うように止まった後、慌てたようにアクセルをふかしてその場を立ち去って行った。ナンバーは覚えたんだが、多分偽造だろうなぁ。
「……た、匠?」
「ん。もう顔上げて大丈夫よ……運転手さんも災難ね。巻き込んでごめんよ」
「い、いえ……」
魂が抜けた様な表情を浮かべる二人を急かして車から降ろす。私は兎も角パッパも運転手さんもガラス片で傷がついてるな。消毒しないと不味いかもしれん。とりあえず無線機があるらしいから警察を応援に呼んでもらうとして……周りの家々からこちらを覗き見るように人が出てくるのを眺めながら、私はため息をついた。
脱税と中抜きが発覚して次は口封じ、もしくは脅しか……どうやらまだ日本は戦後から抜け出てないみたいだ。ハードな1ヶ月になりそうだなぁおい。
マイキー・バイソン:元ネタはストリートファイターのバイソン(の元ネタ)。
虎の目:Eye of the Tiger ロッキー3のメインテーマ。この世界にはロッキーが無かったらしい。なかったらしい。
外国税額控除:二重で税金を支払わずにすむよう設けられている制度。出来ない国もあるらしいが日米間は問題ない。
かつ丼:自費になるらしいですね。
昭和の芸能界:所属タレントへの給料がすごく低いイメージがありますがその通りなので問題ない(違) タクミの契約は当時の芸能界の常識では考えられない物だったりします。
あ、Twitterで更新報告始めました。
クソ女神さまのやらかされた日記
クソ女神
「奥さんを出稼ぎで働かせて自分は変な小説や手紙を送ってばかり……ちゃんと仕事をして奥さんを幸せにしないと!」
↓
「ああ、窓に! 窓に!」
???
「物理的な干渉を封じる事が出来たのは幸いだった。無垢なる邪悪……とでも名付けるとしよう」