アカイトリ   作:青い内蔵

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第2話

一昔前の僕、詳しく言うと中二の頃の僕なら、飛び上がるほど喜んだだろう。

何せ、漫画の世界に来れた上に、特殊能力を所持している。

誰もが喜ばざる得ない出来事だ。実際今でも少し嬉しい。

 

だが、だがだ。

能力を持ったと言え、想像ていた出来事。

例えば主人公と仲良くなり、背を合わせ悪と戦う、だとか

可愛い女の子と仲良くなり、あわよくば、だとか。

そんなことは、天地がひっくり返ろうと有り得はしない。

憑依しない限り、生まれ変わったとしても、ドキドキは感じられないだろう。

 

僕の能力は【精神攻撃】。

人のトラウマを脳に強制的に思い浮かばせ、

人を不安にさせたり、発狂させたり、嫌な感情を抱かせたりさせるの能力だ。

進化すれば僕自身に最大の恐怖や憎悪を抱かせる事が出来るとの事だ。

地味に強い能力だが、精神攻撃耐性を持っている人物はうじゃうじゃいる。

そのくせ希少性が高いらしく、世界でも数少ない能力だと。

物理的な攻撃手段のない僕にとって、主人公と共闘など夢のまた夢だ。

 

 

 

そう自分に言い聞かせているが、嬉しいものは嬉しい。

こうしている今も、笑みを必死に抑えている。

むふふ、と笑いが込み上げてくる。

 

周りを見れば、様々な能力者達。

自分もこの能力者たちの一部分だ、と考えれば、気持ちが昂るのは仕方がない。

中二病の再発が危惧されるが、実際能力を所持しているので

中二病などでは無いのでは。

 

「青羽、自己紹介を。」

 

 

不意に苗字を呼ばれ、考え事から引っ張り出される。

あぁ……もう僕の番か。軽く返事をし、気持ちを整え立ち上がる。

ずっと人と話してなかったせいで、こういうのは苦手なんだ。

息を軽く吐き、最初の一言を紡ぎ出す。

 

青羽 鈴間(あおは すずま)です。趣味は……」

 

 

途中で詰まってしまった。何をどう言えばいい。

思い出せ、先人は何を言っていた。

妄想で埋め尽くされて、思い出せない。

周りを見れば、視線が集まっている。さらに緊張が高まっていく。

 

趣味、趣味、趣味…………。そうだな、ゲームが好きだ。

【アカイトリ】世界のゲームは面白いものばっかりだ。

前世には無い斬新なアイデアな物が多い。

これで行こうか。

 

 

「ゲームです。」

 

 

愛想振り撒け、笑顔で僕はそう言った。

周りの反応がいまいち良くない気がするが、当たり前か。

こういう場での自己紹介で、ゲーム大好きを公言すれば、

勉強を怠ってるやつというレッテルを貼られてしまうのは、一目瞭然だったろうに。

 

少し公開しながらも宜しくお願いします、と一礼して席に着く。

シン、と一瞬空気が沈むが、先生が仕切り直し、次へと自己紹介を促した。

あまり良いスタートダッシュとは言えない。

 

まぁこんな能力持ってる時点で、いい交友関係を築けるとは思っていないけど。

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