『傭兵、聞こえるか?まもなく作戦領域に到達する。今回の任務は、我々の工作員が敵施設に侵入する際の陽動、つまりは囮だ。手段は問わない。できるだけ派手に暴れてくれ』
無線から声が聞こえてくる。華の無い男の声だ。彼は少しだけ、うんざりしながら返答を返す。
「了解。終わったら、ちゃんと迎えに来てくれよ?」
『貴様の機体が無事だったなら、な』
「そうかい。できれば、あんたじゃなくて、とびきりの美人に出迎えてもらいたいもんだがね」
『無駄口はそこまでだ。降下を開始する』
「はいよ、やってくれ」
巨大なヘリから、大型の人形(ひとがた)が切り離された。人型機動兵器アーマードコア、通称AC。ローター付きのコウノトリから放り投げられたそれは、赤子と呼ぶにはあまりに凶悪過ぎた。
「エクリプス、戦闘を開始する!」
ブースターを吹かして砂漠地帯を駆ける。
目標の施設に近づくと、巣をつつかれた蟻のように敵が沸いて出る。
「うーん、砲台が数箇所に、防衛型が十数機。狙撃型もいるっぽいな」
施設の規模に対して、敵の数が多い。その理由は彼にはわからない。傭兵に作戦の全てを語るような奇特な者などはいはしない。ただ、この状況、この数では。
「………ぬるいな」
彼、傭兵エクリプスには、易し過ぎた。
「まずはご挨拶からだ。これでもどーぞっと!」
黒に近い濃紺の機体が、右腕のガトリングを乱射する。
機体名、ホープイーター。
重量二脚型の機体で、腕にはガトリングとAC用の大型シールド。ハンガーには実体型のブレードとショットガンがそれぞれ保持されている。
そして肩には、牙を剥き出した黒円に後光が描かれたエンブレム。
中距離での撃ち合いから、密着状態での殴り合いに対応した機体だ。
「そらそらそら!こっちは目立たなきゃいけないんだ、もっと撃ってこいよ!」
ガトリングが空薬莢を大量に吐き出しながら、獲物を喰わんと呻きをあげる。
その間も敵は撃ち続けているが、彼は機体を不規則に揺らし、撃ち込まれる弾丸のほとんどを回避している。鈍足である重量二脚型も、操縦士の腕次第で触れざる陽炎と化す。わずかに届いた弾も、前面に出されたシールドによって防がれる。
「ん、そろそろ大体こっちに来たか?んじゃ、潰していきますか!」
それまで一定の距離を保っていた機体が、一気に敵へと接近する。
まるで示し会わせたかのように、防衛型兵器のシールドが限界を迎え、パージされる。操縦士の焦りすら感じられるようだった。
「ふっっ飛べぇ!!」
左脚に付けられたシールドによる蹴り。見た目どおりの質量とブースターによる加速を加えられた一撃は、正に必殺。
身を守る盾を失ったその機体は、一瞬にしてスクラップとなった。
「1機撃破ぁ!」
すぐさま旋回。回避機動をとりつつ、ついでとばかりに近くのミサイル砲台に射撃。
さらに防衛型の背後をとりながらガトリングを連射。たったそれだけで、GOLEM(ゴーレム)の名が付けられたそれは次々と物言わぬ人形となり、黒煙を上げる。
「まだまだ、次はどいつだ?」
狙撃型が連続して射撃を行うが、当たらない。それどころか、接近される。再度の蹴りの一撃。砲身は潰されたが、幸運にも機体は生きている。
しかし、そこまで。
「悪いな。仕事なんだ」
高速で連射される鉛の牙が、獲物の腹を食い破る。
鉄屑となった敵に銃を向けるその姿は、正に自身の機体名を体現するが如く。
希望の光を喰らい尽くす黒き月が、そこに立っていた。
「まだまだ、こんなんじゃ満腹にはならないなぁ!」
弾幕を張り続ける防衛型達に飛びかかる。数機の防衛型が見上げると同時、機体の肩から無数のロケットの雨が降り注いだ。誘導性能を持たない代わりに高い威力を持つそれは、容易に複数の防衛型からシールドを引き剥がした。
「狙いが甘いぞ素人ども!」
ハンガー起動。大型シールドが機体の肩に固定され、代わりにショットガンが握られる。
「撃つなら、これくらいやってみろぉ!」
一斉射撃。
機銃弾と散弾による金属の暴風が、理不尽なまでに周囲を凪ぎ払う。
残った者は、いない。
もはや、彼にとって、敵は銃のついた棺桶に過ぎなかった。
『おい傭兵、聞こえるか!?』
不意に通信が入る。残念ながら、またあの男の声だ。
「なんだ?こっちはもう、あらかた終わったが……」
『そちらに向かうAC1機を確認した!恐らくは敵だ!』
「…マジかよ。こりゃ釣られたか?」
『こちらの作業も残りわずかだ。足止めを頼む!』
「了解、やってやるよ!」
その場を放棄して、迎撃に向かう。
「素人レベルが来てくれれば楽なんだが………さて、どうなるかな?」
書きたかったから書いてみた。
見てのとおり素人ですが、とりあえずやれるだけやってみるつもりです。
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