ポケモンリーグ準優勝者の育て屋ライフ   作:片倉政実

7 / 7
どうも、好きなバトル形式はシングルバトルの片倉政実です。
それでは、第4話を始めていきます。


第4話 穏やかな日々と特訓の誘い

 翌日、イクトがロイ達や両親達と一緒に朝食を食べていた時、ロイはイクトに視線を向けながら声をかけた。

 

「ピカ、ピカピカピカチュ?」

「ん、今日か? そうだな……昨日の夜も言ったように一度クレイン達を迎えに行きたいかな。あいつらだって研究所にいるポケモン達には会いたいだろうからさ」

「それじゃあ、ご飯の後はすぐにあっちに戻るの?」

「そうしようかな。迎えに行くなら早い方が良いし、俺達が留守の間に準備をしてくれる人達にも挨拶を──」

 

 その時、テーブルの上に置かれていた『ポケフォン』の画面からナビの男性のホログラム映像が浮かび上がり、イクトに向かって恭しく一礼をした。

 

『イクト様、ルイス様よりお電話が来ておりますが、いかが致しますか?』

「ルイスさんから……? わかった、繋いでくれ」

『畏まりました』

 

 そして、男性の姿が消えると、画面には笑みを浮かべる短い金髪の男性が映し出された。

 

「ルイスさん、お久しぶりです」

『おう、久しぶり。昨晩、ボスからお前達の話は聞いてたんだが、元気そうな姿を見られて安心したぜ』

「ルイスさんもお元気そうで何よりです。ルイスさんは今も『ベイカー・コーポレーション』にいるんですか?」

『ああ。ボス達と一緒にムショを出た後、今度はまっとうな社員として働こうとしてたんだが、ボスからお前達の育て屋のサポートの仕事を任せられてな。今は他の奴らと一緒にポケモンの世話や開業に必要な物の準備をしてるわけだ』

「そうだったんですね。あ、それじゃあ昨晩のメールもルイスさんが?」

『あれはドクターとブリーダーの資格を持ってる奴らが書いた物で、俺は統括役として文面のチェックをしただけだよ。まあ、メールじゃなく電話で報告が欲しいって言うなら、あいつらにもそう伝えるけど?』

「あ、それは大丈夫です。いざという時に確認出来る方が良いので」

『ん、わかった。それで、本題に入るんだけどさ。さっき、お前のとこのミュウツーとセレビィが来て、クレイン達を連れていったんだ』

「レイとリーチェが?」

 

 イクトが不思議そうに言うと、ルイスはコクンと頷いた。

 

『ああ。お前達がクレイン達とも『ロンドフェスティバル』を楽しみたいっていうのを聞いて、迎えに来たって言ってたぜ。だから、もう少ししたらそっちに行くと思うから、しっかりと迎えてやってくれ』

「わかりました。わざわざありがとうございました」

『どういたしまして。んじゃあ、『ロンドフェスティバル』をしっかりと楽しめよ。後、ボス達によろしくな』

「はい」

 

 そして、ルイスとの通話が終わると、ロイはイクトの顔を小首を傾げた。

 

「ピカ、ピカピカッチュ?」

「んー……そうだな、そういう事ならあっちに戻るのは止めにして、『ロンドフェスティバル』が終わるまでここにいる事にしようかな。ルイスさんからも『ロンドフェスティバル』をしっかりと楽しめって言われたし、こっちにいる間に何か育て屋業に使えるアイデアが浮かぶかもしれないしな」

「メル。メル、メルメルメル?」

「ん……その間、スクルやブレイブ達はどこにいれば良いのかって?」

「ノーン」

「そうだな……レドやシオンみたいにロッカ博士のところで預かってもらおうかな。本当なら全員家で面倒を見たいけど、それは流石に難しいだろうし、博士のところならあいつらに何かあった時にすぐに対応してもらえるだろうからな」

「ピカ。ピカ、ピカピカピカチュ」

「ああ。あいつらの事を出迎えるためにも早く食べてしまおうか」

 

 イクトのその言葉にロイ達が頷いた後、イクト達は『ロンドシティ』に滞在している間にしたい事や『ロンドフェスティバル』についての話をしながら再び朝食を食べ始めた。

 

 

 

 

 それから約一時間後、ロッカ博士の研究所へ行くためにイクト達は両親達に声をかけてから外へ出ると、歩き慣れた道をのんびりと歩き始めた。

 

「それにしても、今日も良い天気だな。こんなに良い天気なら、みんなひなたぼっこや二度寝でもしてるんじゃないかな」

「ピカ。ピカ……ピカ、ピカピカピカチュ?」

「バトル大会に出る時のメンバーか……昨日も言った通り、みんなに公平にチャンスをあげたいから、実力以外も判断基準になるような試験をしたいよな。

 それに、その大会のバトル形式が何かもわかってないから、それをアーサーさんに訊いておかないといけないし」

「メル、メルメル?」

「そういう事だな。ポケモンにもシングル向きの奴やダブル向きの奴がいるから、その辺はしっかりと考えていきたいな。まあ、中には元々はシングルバトルをメインにしてたけど、気の合う相棒を見つけたからそいつと一緒にダブルバトルも始めた奴もいるけどさ」

「ノーン……」

「ああ。だから、出来るならシングルバトル部門とダブルバトル部門の二つがあればベストだな。そうすれば、色々な奴にチャンスをあげられるからさ」

 

 そんな会話を交わしながらイクト達が歩いていた時、前方から肩にラピスを乗せたシアとリアが歩いてくるのが見え、イクト達は嬉しそうな笑みを浮かべながら三人に向かって走り始めた。

 

「シア、ラピス、リアさん!」

「あっ、イクト君!」

「おはよう、みんな。今から博士の研究所?」

「はい。みんなにも会いたいですし、『ロンドフェスティバル』でのバトル大会についても話し合いたいですから」

「バトル大会……たしかにそうだね。私は出場メンバーを大体決めたけど、イクト君達は決めるのが大変そうだよね」

「そうかもしれませんけど、全員に等しくチャンスをあげたいので、しっかりと話し合いたいと思ってます。もっとも、バトル形式についてはまだわからないので、そこをアーサーさんに聞いてからになりますけどね」

 

 そう言いながらイクトが苦笑いを浮かべていたその時、街頭の電光掲示板に穏やかな音楽と共に『ベイカー・コーポレーション』のロゴマークが映り、それが消えると同時に今度は真剣な表情を浮かべるアーサーの姿が映し出された。

 

『皆さん、お久しぶりです。『ベイカー・コーポレーション』の社長のアーサーです。先日は私欲のために会社の人間や私を慕ってついてきてくれた人間達を使って、皆さんに不安と恐怖を与えてしまいました。本当に申し訳ありません。

 私は常日頃から人間とポケモンの関係性について考え、お互いの事を思い合いながら生活出来る世界を目指して、日々様々なアイテムや技術の開発に努めてきました。

 そして、とあるトレーナー達の旅に同行した際にも見られたポケモンを道具同然に扱うような人間が少しでもいなくなるようにしたいと考えていましたが、今回そんな私の思いが暴走し、多くの方々に危害を加えてしまったという罪は、この先も決して忘れず、もう二度とこのような真似をしないように自身を戒めていきます。

 私を止めてくれたトレーナー達、そしてこんな愚かな私を今でも社長として慕ってくれる社員達のためにも私は今度こそ全トレーナーとポケモンのために力を尽くして参ります。

 皆さん、この度は本当に申し訳ありませんでした』

 

 画面内のアーサーが頭を下げ、周囲はシーンと静まり返っていたが、やがて一つ二つと拍手の音が聞こえ始めると、それに続いて住民達は拍手を送りながら次々と画面に向かって声をかけ始めた。

 

「良いぞー、アーサー社長ー!」

「今度こそは頑張ってくれよー!」

「アーサー社長ー! これからも応援してますねー!」

 

 そんなアーサーに対しての激励の言葉にイクト達は顔を見合わせてから嬉しそうに笑い合った。

 

「アーサーさん、やっぱりみんなから好かれてるんだな」

「そうだね。アーサーさんが刑務所にいた頃も色々な人から応援の手紙が送られてたようだし、アーサーさんも『ベイカー・コーポレーション』もこれからまた頑張っていけそうだよね」

「もちろん、今回の件でアーサーさんや『ベイカー・コーポレーション』に対して不信感を抱いた人はいるみたいだけど、アーサーさん達の頑張り次第ではそういう人達もまた信じてくれるだろうし、私達も何かお手伝い出来る事があったら、アーサーさんに力を貸そうか」

「はい」

「うん!」

 

 リアの言葉にイクト達が頷きながら答えていると、画面内のアーサーは静かに頭を上げ、コホンと一度咳払いをすると、穏やかな笑みを浮かべながら再び口を開いた。

 

『さて、それでは次は皆さんも楽しみにしているであろう『ロンドフェスティバル』についてのお知らせです。

 この度、『ベイカー・コーポレーション』は、『ロンドシティ』の市議会との合同企画として『ロンドフェスティバル』でのポケモンバトルの大会を行います。

 大会では、今のところシングルバトルの部とダブルバトルの部を設ける予定で、一日かけて予選を行った翌日にトーナメント戦を行う予定ですが、皆さんからのご要望があれば、トリプルバトルやローテーションバトルといった別地方で行われている他の形式も取り入れようと考えています。参加資格などは特に無いので、どなたでもお気軽に参加して頂けます。

 そして、当日は新人トレーナー用のバトル講習会やポケモンとのふれあい講座なども行う予定ですので、バトルをしてみたいけど自信が無いという方やポケモンともっと親しくなりたいという方も楽しめると思っております。

 更に現在『ベイカー・コーポレーション』では、バトル大会への参加、バトル講習会やふれあい講座の講師を様々な有名トレーナーに打診しており、既にある一名からバトル大会への参加をして頂ける事になっています。詳細は明かせませんが、もしかしたらあなたの推しトレーナーが参加するかもしれませんので、楽しみに待っていて頂ければ幸いです。

 さて、そんなイベント達に参加したいけど、参加方法がわからないよというそこのあなた。本日より配信される『ポケフォン』用のアプリである『LFN(ロンドフェスティバルナビ)』から参加登録が出来ます。

『LFN』は『ロンドフェスティバル』で行われるイベントの詳細や会場のマップなどを見る事が出来、会場内にあるチェックポイントを通る事でスタンプを得られるスタンプラリーや特定の画面を見せる事で会場内の出店等の商品を割引き出来るクーポン機能などもあります。『ポケフォン』をお持ちの方なら、誰でも無料でダウンロード出来ますので、是非ダウンロードしてみて下さい。

 尚、『ポケフォン』をお持ちで無いという方もご安心ください。当日、会場の入口付近にて紙のマップやスタンプラリーの台紙などを配布する予定ですし、バトル大会などへの参加も『ロンドフェスティバル』のホームページや『ベイカー・コーポレーション』の本社又は支社の入口に置かれている参加登録用紙に記入してそれを受付に渡す事で行えます。

 皆さん、今年からの『ロンドフェスティバル』はまたひと味違った物になりますので、期待していて下さい。それではこれで放送を終わります。ご清聴ありがとうございました』

 

 そう言ってアーサーが頭を下げると同時に電光掲示板には再び様々な企業の商品のCMなどが流れ出し、住民達はどこかワクワクした様子で会話をし始めた。

 

「バトル大会の他にも色々なイベントを考えてるんだねぇ……そういえば、さっきバトル大会に有名トレーナーから参加をしてもらえる事になったって言ってたけど、それってイクト君の事かな?」

「あはは、どうでしょうね。たしかにポケモンリーグで準優勝という成績は収めてますけど、色々な人から推してもらえてる程の有名人かというと……」

「そう? 実はこんなサイトもあるんだけど……」

 

 そう言いながらリアは『ポケフォン』を操作し、あるサイトの画面を表示すると、それをどこか誇らしげにイクト達に見せた。

 

「……『イリストレーナーナビ』?」

「こんなサイト、あったっけ?」

「この前新しく出来たサイトみたいだよ。『イリス地方』でスゴい成績を収めたトレーナー達の名前やエースポケモン達が載ってて、一ヶ月に一回人気投票も行われてるんだって」

『へー、そうなんだ』

『それで、このサイトを見せてきたって事は、イクトもこのサイトで紹介されてるって事?』

「うん。最終進化系じゃないロイをエースにしてジム戦やポケモンリーグでのバトルを勝ち上がって来た事や他のトレーナー達とはまた違った戦い方をしてるのがポイント高いみたいで、人気投票では常に上位にいるみたいだよ。そして、誇らしい事にシアも載ってるんだなぁ、これが」

「え、私も?」

「うん。それもシアも人気投票で上位にいるんだ。いやぁ、可愛い妹とカッコいい義弟(おとうと)が色々な人から好かれてお姉ちゃんは嬉しいよ、本当に」

「もう、お姉ちゃん……私とイクト君はただの友達だよ」

「そうですよ、リアさん」

「ふふ、そっか。私としては二人がそろそろそういう関係になっても良いと思うんだけど、そこは二人にお任せするよ。さて、それじゃあロッカ博士の研究所へ行こうか。元々、イクト君達を誘うためにお家まで行こうとしてたわけだしね」

 

 そのリアの言葉に全員が頷いた後、イクト達は様々な話をしながらロッカ博士の研究所へ向けてゆっくりと歩き始めた。

 

 

 

 

 それから数分後、イクト達がロッカ博士の研究所に着くと、入口付近で座りながらうとうとしていたレドが少し眠そうな目でイクト達をチラリと見た。

 

『……お前達か。おはよう』

「ああ、おはよう。だいぶ眠そうだな、レド」

『ああ。昨日の夜は、シオンと一緒に他の奴らからの質問責めにあってたからな。少しだけ寝不足なんだ』

『あはは、なるほどね。それじゃあ他のみんなももしかして眠たそうにしてたり?』

『いや、シオンやフォード、ダスクなんかはさっき特訓するとか言ってたぜ?』

『ほう、特訓か。やはり、皆バトル大会には出たいのだな』

『そうだろうね。イクトのポケモン達は、一部を除いてバトルするのが大好きだし、話をする時も結構バトルの事が多いから』

「でも、それだけやる気になってるのは良い事だよな。そういえば、お前はどうするんだ?」

 

 イクトからの問いかけにレドは軽く欠伸をしてから答えた。

 

『……個人的には出たいが、今回はパスだな。『ロンドフェスティバル』中に何かあった時、俺みたいに飛べるポケモンが控えてた方が色々助かるだろ』

「まあ、そうだな。それじゃあその時は頼りにさせてもらうぜ、レド」

『ああ、任せとけ。そういえば、少し前にレイとリーチェがクレイン達を迎えに行ったみたいなんだが、それについて何か聞いてたか?』

『うん。ルイスさんから連絡が来てたよ』

『それなら良いか。んじゃあ、俺は少し眠らせてもらうな。けど、何か用事があって別の街に行きたいとかがあったら、その時は遠慮無く声をかけてくれ。もちろん、シアやリアもな』

「うん、わかった」

「その時は頼らせてもらうね」

『おう。んじゃあ、おやすみ』

 

 そう言ってレドがすやすやと寝息を立て始めた後、イクト達はその姿を見てクスリと笑ってから研究所の中へと入っていった。そして、研究所のスタッフ達と挨拶を交わしながら奥へと入っていくと、研究室のドアがゆっくりと開き、中からロッカ博士が出てきた。

 

「あら……みんな、おはよう」

「おはようございます、ロッカ博士。さっき入口で眠そうにしてるレドに会いましたよ」

「あはは、やっぱり眠そうにしてたのね。シオンと一緒に他のポケモン達から色々訊かれてるようだったから、そうかなとは思ってたのよ」

『でも、シオンはフォード達と特訓をしてるんですよね?』

「ええ。でも、無理をしても良くはないし、イクト君達の方から少しは休むように言ってもらえると助かるわ」

「わかりました」

 

 イクトが頷きながら答えていると、ロッカ博士はイクト達を見回してから不思議そうに首を傾げた。

 

「ところで、今日はどうしたの?」

「研究所にお世話になってるみんなに会いに来たんです。『ロンドフェスティバル』が終わるまではいるつもりなので、その間にみんなともっとふれあおうと思ってます」

「ふふ、それは良いかもね」

「後、『ロンドフェスティバル』で行われるバトル大会のメンバーも決めていこうかと思ってます。今のところ、シングルバトルとダブルバトルの二つがあるみたいですけど、もしかしたら他にも増えるみたいですし、どうせ参加するなら全ての形式に出てみたいので」

『そして目指すは、全部での優勝、だね!』

「ああ。ウチのみんなはバトルが好きな上に負けず嫌いなところがあるからな。それくらいの意気込みでいかないとだな」

 

 イクトとロイが拳を軽くぶつけ合いながら笑っていると、その姿にロッカ博士達は安心したように笑みを浮かべた。

 

「イクト君、だいぶ前みたいになってきたわね」

「はい。あの頃は本当にショックだったみたいで、たまにバトルに付き合ってくれたんですけど、それでもどこかいつものイクト君らしくない感じでしたから」

「でも、今ではこんなにバトルに対してやる気だし、これなら心配はいらないかもね」

「そうね。あ、そうだ……イクト君、今日もウル達の研究をさせてもらっても良いかしら?」

「良いですよ。それと……レイ達がクレイン達を連れてきた時なんですけど、レドやシオンと一緒にウルの仲間達とエースの仲間達も研究所で預かってもらっても良いですか? 本当なら、家で面倒を見たいんですけど、流石に多すぎると母さん達も大変かなと思って」

「ええ、もちろん良いわよ」

「ありがとうございます。それじゃあ……ウル、エース、今日もロッカ博士の研究の手伝いをよろしくな」

『うん!』

『承知した』

 

 そして、イクトがロッカ博士にウルとエースが入ったバスケットを手渡していたその時、イクト達の背後から幾つかの足音が聞こえ、イクト達が揃って背後を振り返ると、そこにはシオン達の姿があった。

 

「お前達か。おはよう」

『はい、おはようございます、皆様』

『おはよう、みんな』

『皆さん、おはようございます』

「特訓中って聞いてたけど、何かあったの?」

『はい。主殿さえ良ければ、私達の特訓に付き合って頂けないかと思いまして』

「お前達との特訓か……もちろん良いぞ。でも、どうやって特訓するんだ?」

『俺とダスク、シオンと誰かが組んでダブルバトルがしたいんだ。なんだかんだで俺とダスクが組む事も多くなって、ダブルバトル用の戦術を考えるようになったからな』

「なるほど。そういう事ならちょうど良かったよね。バトル大会はダブルバトルの部もあるみたいだから、その練習にもなるよ」

「はい。よし……それなら、今からやるか。それじゃあシオンと組むのは……」

『はいはーい! 僕がやりたーい!』

「ふふ、わかった」

 

 イクトが笑いながら答えた後、ロッカ博士に視線を向けると、ロッカ博士はコクンと頷いた。

 

「バトルフィールドなら遠慮無く使って頂戴。こうして使ってくれるのは、貴方達くらいだからむしろ使ってほしいくらいよ」

「ありがとうございます。それじゃあ行こうか、みんな」

 

 その言葉に全員が頷いた後、イクト達はバトルフィールドへと向かった。そして、イクト達とフォード達がそれぞれ位置に着くと、フォードはやる気に満ちた様子でイクト達に話しかけた。

 

『さて、久しぶりのお前達とのバトル、楽しませてもらうぞ』

『ふふっ、楽しむのは良いけど、全力で来ないと負けちゃうからね?』

『それはもちろんわかっています。ですが、皆さんも私達のコンビネーションをなめていると、痛い目に遭いますよ?』

『ならば、そうならぬようにするまで。主殿、ロイ殿、参りましょう』

「ああ!」

『うん!』

 

 イクトとロイが揃って返事をしていると、ロッカ博士は審判の位置に着き、双方を見回しながら声をかけた。

 

「それじゃあ、審判は今回も私が務めるわね。ルールは2対2のダブルバトル、どちらかが先に全員戦闘不能になった時点でバトル終了とします。両者とも準備は良い?」

「はい!」

『大丈夫です!』

『問題ありません』

『俺も大丈夫だ』

『私も同じく』

 

 イクト達が各々の言葉で返事をすると、ロッカ博士はそれに対して鎮かに頷いた。

 

「わかったわ。それでは……バトル、スタート!」




第4話、いかがでしたでしょうか。
今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それでは、また次回。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。