けものフレンズ2を見た万事屋+α   作:黒龍

4 / 10
11話はマシになると思っていた自分が居ました。


第4話:11話 世の中には理解できないモノがたくさんある

 なんやかんや10話はさほど荒れる事無く視聴を終了させた三人。っと言う事で11話の視聴に移るのだった。

 

*11話視聴終了

 

「なるほど~……つまりこの作品はちゃんと人間の業を表現していたんだな~。意外としっかりしたテーマを持ってるじゃねェか~」

 

 と銀時は笑顔で語り、次いで新八や近藤も笑顔で。

 

「はい~。それに~……フレンズたちが集まってニセフレンズを倒すのも良かったですね~」

「まったくだな~。いや~セルリアンを見事撃退したがまだまだ危機は去ってないから次回が楽しみでしょうがないな~」

 

 三者三様に笑顔で感想を語り合い、

 

「「「いや~次回が楽しみだな~!! アハハハハハハハハハハ!!」」」

 

 そして高らかに笑い合い、机に脚を乗せて、

 

「「「じゃねェだろォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」

 

 怒りを爆発させる。

 

「ぬォォォわァァァァアアアアアアアアアア!!」

 

 銀時は感情に任せてテレビに抱き着きそのままバックドロップをお見舞いする。

 ドガシャン!! と畳に叩きつけられ上下反対になり画面にヒビが入ったテレビを肩で息をしながら見下げる。

 しばしの沈黙の後、

 

「胸糞じゃねェけどなんだこりゃァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 銀時は天井に向かってありったけに叫び、とにかく思った事をぶちまけ始める。

 

「俺は一体何を見せられたんだおいッ!! 全員集合は様式美的なモンだからいいけど、それに至る過程が酷過ぎんだろ!! 虚無過ぎて逆に怒りと言うか何かが湧いた!! マジでよくわからん感情が爆発した!!」

「もうなんなのあのドナドナシーン!!」と言って新八は頭抱える。「ワクワクできねェよあんなもん見せられたら!! しかも無駄なシーンのおまけつきだし!!」

「ぬおおおおおおおお!?」

 

 と近藤は混乱したように新八同様に頭を抱えている。

 

「なんで1期と同じワクワク展開なのにこんな虚無感に襲われなきゃいけないのォ!? 少し期待してたのにッ!! フレンズ対ニセフレンズたちの合戦をちょっと期待してたのにィッ!!」

「そして相も変わらず整合性取れてねェんだよなこのアニメェ!!」と銀時は両の拳を握りしめながら天を仰ぐ。「ニセフレンズ倒すのには同等の力が必要とかなんとか言っといて結局ワンパンなんだぞ!! アレのどこが強敵なんだよ!? 棒立ち囲いするだけじゃねェか!! ショッカーの戦闘員ももうちょっと仕事するぞ!!」

 

 怒る銀時の語りを聞いて新八も「そうですよ!!」と同意しながら納得できないと言わんばかりに語る。

 

「1期すら無視するとかそんなレベルの酷さじゃ断じてありませんよコレ!!  1話内ですら整合性も取れないんですよ!! なんで浸水してるのにキュルルの走ってる場所に水がないのとか! BGMもSEも変じゃね!? みたいな描写と演出が雑なことは許すとしても、せめて1話内くらい整合性を守って欲しかった!! だって博士たちやイルカちゃんに手強いってはっきり明言させといてワンパンで倒すってどういうことなの!? 強敵感まるでないし!! これなら強いフレンズだけでいいのに戦いが不得意なフレンズを連れていく意味がまったくない!! いやけものフレンズでそれどうなのって話ですけど!! コレホントにプロが作った話ですか!?」

 

 近藤は「くッ!!」と苦しそうな声を漏らし、右手で頭を抱える。

 

「バカな俺ですらこのアニメを頭カラッポにしてみる事ができない!! かと言って俺たち視聴者が考えて理解を示そうとする度にことごとく足蹴にされてしまう!!」

「そうだな!! ある意味このアニメは頭カラッポにして笑えるよな!!」

 

 と銀時は怒鳴りながら豪語する。

 

「ドナドナのシーンと意味深フレンズ共のシーンは笑えたよな!! 強引に脳が思考停止させられたせいで!!」

 

 9話同様に阿鼻叫喚の感想の嵐の中、吐き出すだけ吐き出して若干冷静になってきた銀時は右手で顔を覆いながら語りだす。

 

「そもそも……あの……カラスみてェなフレンズ共の意味深シーンなに? アレは俺たちに何を伝えたかったの?」

「人間の業……だったんじゃないですか? よくわかりませんけど」

「いやだってよ、『人と関わったら迷惑する動物もいる。そこが人間の短所だ』的なこと言われて場面が移り変わってよ……いきなり火山噴火だぜ? アレでなにを察しろと? ……ホントにワケわかんなくてよォ……狂ったように笑っちまったんだよ……俺ァ……」

 

 言葉の最後にはなんだか悲しくなって涙声になる銀時。

 そんな銀時に見ていられなくなったのか近藤がすぐさま人差し指を立ててフォローに入る。

 

「ま、まぁアレはつまり……そう! イエイヌちゃんのこと言っていたんだ!! きっとスタッフもキュルルちゃんが問題ある主人公だと分かっていたんだ!! だからこその問いかけだったんだ!!」

「じゃあ……『イエイヌさんごめん』くらいの反省シーンがないとおかしくね……? そもそもなんで火山噴火のシーンになんの……?」

「…………」

 

 フォローできなくてか口を閉ざす近藤だったが、すぐさま新しいフォローを言い出す。

 

「そ、そう!! きっとニセフレンズの事を示唆していたんだ!! だから関わると迷惑すると――!!」

「いや、キュルルはあの時点でニセフレンズの事まったく知らなかったけど? つうかアレは夢なの? 夢じゃねェなら黒鳥共の言い分も分かんなくねェけど、それだと黒鳥共が海中にいる説明がまったくできねェよな。いや、そもそもニセフレンズがキュルルのせいでそれが人間の業って理論もどうなんだ? 書いた絵がバケモンになるって、ようは誰かにあげた花束が知らないうちに毒草に変わったみたいなもんだぞ? それのどこが業なの? 見た感じ意図して罪として描けてるシーンなんてなくね?」

「…………なんなんだ……あのシーン……」

 

 意味がまったく見つからないフウチョウコンビのシーンの必要性に近藤も真顔となって困惑してしまったようだ。

 すると新八も「僕も理解できず笑った一人ですよ」と言いながら両手で顔を覆う。

 

「フウチョウコンビのシーンもそうですけど……ドナドナシーンでも笑っちゃいましたよね……。面白くなかったのに……。なんで11話という最後の盛り上がりが入る話であんな無駄シーン入れたのか分かんな過ぎてワケわかんない笑いが漏れ出ましたよ……。別に面白いわけでないのに……」

 

 新八も悲しみにくれ始めたので、またしても近藤が慌ててフォローし出す。

 

「だ、大丈夫だ新八くん! あのドナドナはギャグシーンだ!! だから笑ったってなんの問題もないじゃないか!!」

 

 優しく肩に手を置く近藤に新八は冷めた声で。

 

「近藤さんは……フルルちゃんが落ちたシーンもギャグシーンだから笑えるって言えますか?」

「…………ごめん……無理……」

「そもそもなんであんな無駄なギャグシーンを『11話』にわざわざ入れたかわかりますか? 今までの謎も伏線もまったく回収されてないのに」

「………………」

 

 新八の問いを聞いて近藤は真顔になった後、

 

「…………なんで入れたんだ……あのシーン……」

 

 顔を斜め下に向けて暗い影を作るのだった。

 

「そもそも11話が半分くらい無駄だったんだぞ」

 

 と銀時が語る。

 

「いやそれどころか10話のラストもマジで無駄だったよなアレ……。キュルルが海に落ちて『主人公がピンチだどうしよー。でもなんの問題もなく助かったー。サーバルとカラカルとも合流できたー。よかったー』って、ふざけんなッ!! どこまで視聴者バカにすれば気が済むだおい!! マジでただただ無駄じゃねェか!!  なにがしたかったんだアレは!! ついでにイルカとアシカもキャラ崩壊してるおまけ付なのが尚のこと救えねェ!!」

「ホント無駄なシーンをきっちり描く割に謎解明と伏線回収はまッッッたくされないんですよね……」

 

 と新八は机の上に腰を下ろしながら疲れたような口調で語る。

 

「コレ、そもそも12話構成のアニメとして作ってないの丸分かりですよ。やってる事が長期アニメとか長期連載作品とかなんなら無限に連載続けられるネット小説みたいなもんなんですもん。いや、アニメ12話分かけてここまで話に進展ないのもどうかと思いますけど。それにしたって12話しか話数がないのに、あんだけ伏線と謎を残して更にセルリアンとの最終決戦まで残ってそれ全部を残したまま最終回迎えるんですよ? コレどう考えても全ての要素を消化して1話に丸々収めるって無理でしょ……」

 

 新八が疲れたようにテーブルの上に腰を掛けながらけものフレンズ2の現状を語り、

 

「伏線や謎の解き明かしやフレンズたちの合戦に少しは期待を込めていたんだが……それも打ち砕かれるとは……」

 

 近藤もテーブルの上に腰を掛けながら嘆くようにけものフレンズ2に落胆し、

 

「…………とりあえず、最終回は期待できないってことしか分からなかったな……」

 

 最後に銀時もテーブルに腰を掛けながら頭を垂れる。

 三者はとにかく疲れたと言わんばかりにため息を吐くのだった。

 その時、

 

「フハハハッ!! ようやく気付いたようだな!!」

 

 などと高らかな笑い声が居間の縁側から聞こえてくる。

 そして銀時、新八、近藤が縁側の方へと目を向けると襖を空け、縁側に勝手に入っている長髪の男の姿が目に映る。

 そして見覚えのあるその風体を見ていの一番に声を上げたのは新八。

 

「か、桂さん!?」

 

 桂小太郎。江戸を騒がすテロリスト集団――攘夷志士(穏健派)の長である。

 桂は縁側から居間に入って来るので銀時はあからさまに嫌そうな顔をする。

 

「おいヅラ。お前なに脈絡もなく登場してんだよ。つうかなにしに来たんだよ」

「ヅラじゃない桂だ。……いやなに。近くを通りかかったら、新八君の家から凄まじい怒声が聞こえてくるではないか。気になって様子を見に来たのだぞ」

「まぁ、確かに僕ら近所の迷惑とか考えずにめちゃくちゃ吠えてましたもんね……」

 

 新八の言う通り、銀時も感情の爆発に任せぎゃんぎゃん騒いでいた自覚は確かにある。

 銀時たちと対面する形で立つ桂は腕を組む。

 

「だがまさか、銀時や新八くん。果ては真選組局長までけもフレ2に怒りを爆発させているとはな。この品評の集い。一けもフレ好きとして是非とも参加せねばと思ってな」

「えッ? なに?」と銀時は片眉を上げる。「お前も見てたの? けもフレ。……まぁ、動物好きのおめェなら見てもおかしくねェか」

 

 ちょっと意外と思ったが桂は意外と肉球に命かけたりする男でもあるので特におかしいとこはないと自己完結させる銀時。

 桂は腕を組みながら表情を険しくさせる。

 

「俺もあのアニメには怒りを隠し切れなかったもんでな。一人のもふもふ&肉球好きとしては文句の一つも言ってやらんと気が済まん」

 

 そして桂はクワッと表情を変化させ拳を握りしめる。

 

「さぁ銀時!! 俺と共にけもフレ談義を朝までしようではないか!! そしてそのまま攘夷をしようではないか!!」

「帰れ」

 

 しかし銀時は素っ気なく桂を追い返そうとする。

 

「もう俺は言いたい事ほとんどぶちまけて疲れてたんだよ。だからおめェはあの白いペンギンのフレンズにでもぶちまけろ」

「なんだと!? 俺はお前とけもフレ談義でフレンズとなり、一緒にえどちほーを滅ぼそうと誓っていたではないか!!」

「誓ってねーよ!! 勝手にねつ造すんな!! つうか滅ぼすならせめて2を滅ぼしてくれ。とにかく攘夷のフレンズはとっとおうちに帰ってくんない?」

「フッ……銀時よ。語るに落ちたな」

「あん?」

 

 桂の意味深な発言に肩眉を上げる銀時。

 テーブルの近くまでやって来た桂はしたり顔で腕を組みながら語りだす。

 

「貴様は今、俺にイエイヌと同じ発言をしたのだぞ? おうちに帰れ、だと? フッ……やはりな。貴様は優しい世界ではないだとかあーだーこーだと理由も連ねて言っておきながら、結局は貴様自身にも優しさなどないではないか」

 

 桂はビシッと銀時に指を突き付ける。

 

「優しい心を持たぬ貴様にけものフレンズについて語る資格はないッ!! 貴様はフレンズではない!! ビーストだ!! 少しは作品を批判する前に自分を批判したらどうだ!!」

「じゃあ帰れ。語る資格ないから。つうか普段から人のことイライラさせるテロリストに対して優しさなんて持ち合わせていません。そしてまずはお前が自分を見直してくんない? いやマジで」

 

 銀時が冷たく言い放つと新八も冷めた目線で桂に語り掛ける。

 

「そもそも2のせいで僕らの心はもれなくビーストですから……。こんなん見せられたら優しさ消え去りますよ……」

「おいゴリラ」

 

 と銀時はテーブルに座って項垂れる後ろの近藤に話しかける。

 

「なんだ?」

「いや、なんだ? じゃねェよ。ヅラいんだぞ、仕事しろ」

「ヅラじゃない桂だ」

「とにかく、ゴリラ。げてもの品評会はもう終わりだから、とっと仕事したらどうだ?」

 

 銀時の言葉を受けて「そうだったな」とテンションがかなり低い近藤は気だるげに立ち上がる。

 立ち上がり桂に体を向けた近藤はすぅ~と息を吸い込んで、

 

「桂ァァァァァ!! 今捕まえて――!!」

 

 走り出そうと歩を進めたが、すぐさま力が抜けたように体の態勢が崩れて両手両足を畳へと付けて四つん這いとなってしまう。

 

「こ、近藤さん!? 一体どうしたんですか!?」

 

 いきなり両手両足を床に付ける近藤を心配してか新八が立ち上がり声を掛ける。一方の近藤は畳の床を見つめながら汗を流して動揺を見せている。

 

「な、なんだコレはァ……!? まるで体の自由が効かん!」

「分かったか近藤……」

 

 と言いながら桂は近藤に近づき、片膝を付いて優し気に彼の肩に手を置く。

 

「2の視聴により、心どころか貴様の体も悲鳴を上げているんだ」

「なんでだよ!?」と新八はツッコム。「アニメ見て身体に影響及ぼすなんて聞いたことねェよ!!」

「全身に響くこの倦怠感と鈍い痛みは……けもフレ2のせいなのか!?」と近藤。

「いや、それただ単に姉上にボコボコにされて体が悲鳴を上げているだけでしょうが!! 自分の落ち度をアニメのせいにすんな!!」

「かく言う俺もそうだ……」

 

 新八のツッコミを無視して桂は語りだす。

 

「けもの擬人化アニメとして最高だったけものフレンズを見て、まさに気分はたのしー! だった俺も続編には大いに期待していた。あの優しい世界にもう一度会えると。もふもふの楽園をもう一度楽しめると。なんか制作側にごたごたがあったらしいがそんな事は俺の知った事ではない!! 俺が興味あるのはけものフレンズなのだから!!」

 

 そこまで熱く語っていた桂は「だがしかし!!」途中から憎々しげに拳を強く握りしめる。

 

「俺が待っていたのは理想郷(ジャパリパーク)ではなく暗黒郷(ガッカリパーク)だった!! 似ても似つかないナニカを目の当たりにしてしまったのだ!!」

 

 そして桂は涙を流し出す。

 

「エリザベスが居る俺にとってあんな愛も優しさももふもふも肉球もない世界は耐えられなかった!!」

「肉球は元からなかったろ」と銀時。「まぁ、2にも一応はもふもふ要素あったし」

「俺が言ってるのは心のもふもふだ!! 断じてうすっぺらいガワだけ着せたもふもふではない!!」

 

 桂はまるでやりきれない思いを吐き出すように両の拳を握りしめる。

 

「2と言う悪鬼羅刹を見た俺は血涙を流し、同じけものたるエリザベスは泡を吹いて気絶してしまった!! 今もあまりの精神的ショックで部屋に引きこもってしまったんだぞ!!」

「いや、エリザベスのどこにけもの要素あるんですか」と新八。

「むしろあるのはおばけ要素だよな」と銀時。

 

 冷静にツッコム新八たち。ちなみにエリザベスとはおばQみたいな感じの風体の謎の存在である。

 桂は声を絞り出すように語りだす。

 

「俺と同じようにけもフレを見て、銀河間けもフレ商いを成功したと自慢した商いを生業とする男――坂本が居た」

「あいつなにやってんの!?」

 

 と銀時が昔の戦友の行動にツッコミ入れる中、桂は語り続ける。

 

「けもフレバブルがノリに乗って2製作による商い拡大に大いに息渦巻いていた坂本だった。だが2を見た瞬間に……」

 

『こんなもん商品にすらならブベラァァァァァァァ!!』

 

「血を吐き出し、挙句は笑顔とデカい声が消え意気消沈してしまった……」

 

 桂は拳を握りしめ、かつて旧友の惨状を語る。

 

「あいつから笑いもデカい声も奪うって相当だな……」

 

 冷静に冷めたツッコミをする銀時とは対照的に近藤は桂の言葉を聞いて顔を上げ、目を潤ませる。

 

「桂……。お前もまた……傷ついた一人だったのか……」

「そうだ近藤。荒れた俺たちの心は今やビーストだ。心からは一切の優しさは消え去り、永遠に2と言う牢獄に囚われ、『ねっとちほー』で暴れるだけの存在へと成り果ててしまうだろう」

「いや、それ要は2の不満をネットの世界に罵詈雑言としてぶちまけるって言ってるだけですよね?」と新八はツッコミ入れる。「なに壮大にしょうもないこと語ってんですか」

 

 新八のツッコミなどスルーして桂は「だがそれではダメだ」と言って首を横に振る。

 

「ただ口汚く罵るだけでは何も生まれない。ネガティブな感情は心や体に悪影響を及ぼし、いずれは『ねっとちほー』のセルリアンになってしまうだろう」

「『えどちほー』のセルリアン(テロリスト)がなに言ってんだよ。つうかねっとちほーのセルリアンのが大分マシだな」

 

 と銀時は冷めた声で言う。

 桂の言葉を聞いて近藤はまた項垂れる。

 

「なら俺はこの荒んだ心をどうすればいいのだ? お妙さんの『へいげんちほー』にこの荒れた心を癒してもらうしかないのか!!」

「おめェは姉上にエロい事したいだけだろ!!」と新八は怒鳴る。「やめろよ!! マジでやめろよ!! やったらねっとちほーにあんたのありったけの罵詈雑言と今までの犯罪歴並べて立ててやるからな!!」

「だからこそ、近藤。今の不毛な視聴は止めて新しい道を模索する時なんだ」

 

 と桂は言っては懐から何かを取り出す。それは何かのポスターだった。

 

「そ、それは……!!」

 

 近藤は目を見開き、桂はフッと笑みを浮かべる。

 

「ケムリクサ……。それこそが俺たちが今行くべき優しい世界だ!」

 

 クワッ! と豪語する桂に銀時と新八はジト目でお互いの顔を見合わせ、近藤は膝立ちとなってポスターを桂から受け取り驚きの表情を浮かべる。

 

「こ、これは!! けものフレンズだ!! 俺が知っているけものフレンズにそっくり(作画)だ!! なんかすっごい赤いけど!!」

 

 震える手でポスターを眺める近藤には桂はどや顔で説明する。

 

「フッ……当然だ。なにせそれはけものフレンズ(1期)の監督と制作が集まって出来た作品なのだからな。けもみみもふもふだって標準装備だ」

「なにィーッ!? 2は1の人たちが作っているのではなかったのか!?」

「んなワケねェだろ!!」と新八はツッコム。「作画も内容もあんだけ違って同じ制作が作ってると思えるワケないでしょ!!」

「近藤ッ!!」

 

 と桂は声を張り上げ、近藤の肩にバン! と両手を置く。

 

「2には優しさも愛は無かったとしてもケムリには優しさと愛ついでにけもみみもふもふもが詰まっているともっぱらの噂だ!!」

「いや見てねェのかよ」と銀時。

「当たり前だ!!」と桂は豪語する。「俺は『えどちほー』を火の海にすると言う大事な使命があるのだ!! アニメにうつつを抜かすのはその後でも遅くはない!!」

「おめェが一番愛と優しさを失ったビーストじゃねェか!! 見とけケムリなんちゃら!! そこで愛と優しさ取り戻してこい!!」

「だからこそもう心がビーストになるアニメの視聴は終わりにするべきなんだ!! 優しい心を取り戻せ!! このままでは俺のように怒りで我を失ってしまうぞ!!」

 

 桂の熱き説得(?)を聞き、近藤はしばし迷ったように顔と視線を逸らすが、やがて。

 

「桂…………すまんが、その提案には乗れん」

 

 近藤は乗せられた桂の手をどけてゆっくりと立ち上がる。

 近藤は桂に背を向け、語りだす。

 

「確かに愛、友情、優しさが詰まった素晴らしい作品は世にたくさんある。お前の言うケムリクサもそうなのだろう。2を見て心が荒んでいるからこそ、別の作品に移り心を静めると言う意見も分からなくはない。だがしかし、けものフレンズという作品を好きになり、なんだかんだ2をここまで視聴してきたのだ。最終話目前になって今更視聴を中断などできるワケがない。最後の最後まで見守ろうという意思が俺にはあるのだ」

 

 近藤の話を聞き、銀時は「そうだな」と言って座布団に腰を下ろす。

 

「もうなんだかんだ11話だ。ひでぇひでぇと言いながらここまで来たんだ。このアニメが最後の最後にどうなるのか確認しとかねェとさすがに気持ち悪いしな。批判するかしないかは別だけど」

 

 新八も「それもそうですね」と頷き、語る。

 

「今までめっちゃ批判してきましたけど、結局最終話目前にまで到達しちゃいましたからね。もう嫌なら別の作品を見ればいいって段階とっくに超えちゃってますよ。ソードマスターになろうが打ち切りエンドになろうが感想言って終わり感覚ですから。後はどうなるか、それだけ気が掛かりですしね」

 

 三人の意見を聞き、腕を組み納得したよな顔で。

 

「そうか……わかった。お前たちの決意のほどはしかと理解した。ならば、俺に言える事もない」

 

 と言って背を向け、縁側を通り庭に向かおうと歩を進める。だがしかし、桂は途中で足を止めて声を出す。

 

「一つ言っておくが、俺も最終回までは見守る派だ。だが、これから始まる最終回が本当に『最終回』なのかどうか、分からんぞ」

「「「えッ?」」」

 

 桂の意味深な言葉に新八、銀時、近藤は声を漏らし、桂は振り向かずに長髪を見せたまま語りだす。

 

「未消化の伏線と謎を多数残したまま最終回突入。それが何を指し示すか、よく考えることだ」

 

 そこまで言って桂は庭を抜け、志村邸を出ていくのだった。

 桂の言葉を聞き、銀時、新八、近藤はお互いに顔を見合わす。

 やがて銀時はため息を吐きながら、今までうちに秘めていたある予想を口にする。

 

「続編発表とか……ありそうだな……」

 




アレの11話を見ると本当に最終回一歩手前の展開と思ってしまうともう笑えて来ました……。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。