もうゆ゛る゛ざん゛!!
「俺さー、今更ながらに思うんだけどよー……」
志村新八の家――つまり志村邸の居間でテーブルを囲む、銀時、近藤、新八。
心の準備を整えて、録画した最終回を視聴しようと昼頃集まった三人。
すると、銀時がテーブルに頬杖を付きながら向かい側の新八と近藤に語り掛ける。
「制作陣てかばんが嫌いなのか?」
「えッ?」「ん?」
新八と近藤は怪訝な表情を浮かべ、
「銀時。それはいくらなんでも邪推が過ぎるぞ」
隣に座る桂小太郎が窘める。
「いやお前なんでいんの?」
銀時はチラリと自分の横隣りに座る長髪にツッコミ入れると、桂は腕を組みながら答える。
「さすがにどんな爆弾が飛び出すか分からん最終回を一人で見るのはな……誰かと一緒に見た方がいくぶんか気持ちが楽になるかもしれんだろ」
「いや、お前には白いペンギンのフレンズだかゴーストだか分からん奴がいるだろ。そいつと一緒に見ろ」
「エリザベスにあんなアニメを見せられるか。しかも前に言っただろ。エリザベスはショックのあまり部屋に引きこもっているんだぞ」
「いいじゃないですか銀さん」
とここで新八が話に割り込む。
「桂さんだってあのアニメに怒りを感じて物申したい一人なんですから、気持ちを分かち合いましょう。のけものにしないで一緒に見ましょう? ね?」
「むしろ俺はコイツと気持ちを分かち合いたくねェんだけどな……」
と銀時は言って近藤にチラリと見る。
「おいゴリラ。お前は良いのか? 前回は体が言う事効かねェってことで見逃したのかもしれねェけどよ、今回はさすがに捕まえたらどうだ」
「見逃そう」と近藤はキッパリ言う。
「おい警察」
「俺としても桂を捕まえたいのは山々だが、今は一人の
「近藤……」
桂は嬉しそうに宿敵の組織の長の名を呼び、近藤はフッと笑みを浮かべながら握りこぶしを見せる。
「桂よ! 今は真選組と攘夷志士と言う垣根を超え、のけもの最終回に立ち向かう時だ!!」
「おう!!」
近藤と桂は立ち上がりガッツポーズを絡めて固い絆を結び合う。
そんな二人を冷めた表情で見ていた新八は言う。
「銀さん。この人らしょっちゅう呉越同舟してるんで言うだけ無駄です」
新八の言葉を聞いて銀時はため息を吐く。
「まぁわかった。もう好きにしろ」
「ところで新八くん?」
近藤は座り直し腕を組みながら新八に顔を向ける。
「今後の事を考えてお妙さんも一緒に視聴した方が良いんじゃないのか? 後で気になって一人で見るより誰かと一緒に見た方がダメージはいくらか緩和されると思うぞ?」
「いや……」
と新八は言いにくそうに答える。
「姉上はまだダメージが残って……とにかく負のオーラが凄いんで近づかない方がいいです。前に僕も一緒に見ようって、勇気を出して誘ったんですけど『心が落ち着いてから見たいの』って真っ黒い笑顔で言われました……」
「そ、そう……」
近藤は顔を真っ青にし、思い出したように銀時へと顔を向ける。
「は、話は戻るが、なぜ2の制作陣がカバンちゃんを嫌いだと思うのだ?」
「考えてみろ。サーバルから記憶消すわ、ボスを完全に物扱いするわ、無能になるわ、人から貰った物を切り裂くわ、フルルが落ちても完全に無視するわ、今の今まで無慈悲な扱いとキャラ改悪をしてきたんだぞ。あれだけやられたら公式がかばん嫌いだからああしたんだと勘ぐられてもおかしくないだろ」
「あぁ、確かに……」「否定できんな……」
新八と近藤が悲し気な表情でうんうんと納得していると桂が答える。
「いや違うな銀時。さきほども言ったがそれは邪推だ。ただ単に物凄く描写が雑になり、あまりにもお粗末な出来になっただけだろう」
「桂さんの言う通りですね」と新八も意見を変える。「よくよく考えたら雑な作りになったからかばんちゃんだけじゃなくて1期フレンズたちのキャラもおかしくなったワケですし」
「確かにそうだな……」
と近藤は腕を組み目を摘むって天井を仰ぐ。
「俺の好きなトキちゃんのキャラもちょい役だったのにおかしかった。だってオーディションでトキちゃんが歌を披露したいからじゃなくて流されたようにじゃぱりまん求めたのは今になって考えるとおかしいからな」
「特にひっでーのはサーバルだしな」と銀時。「IQが上下しまくって笑顔でセルリアンと戦う姿見せられたら1期の面影が完全に消え失せるレベルだぞ。まぁ、多少は再現できてる部分もあるかもしれねェけどよ」
「いやあのサーバルちゃん別個体じゃないですか?」
と新八は首を少し傾げなら言う。
「きっとかばんちゃんを見たことあるだけの別個体ですよ。あとカバンさんも実は別人説を僕は推します」
「いや、かばんさん別人説は俺は割と無理があるから、止めるわ。だけどサーバル別個体説は全力で推すぞ。最終回はきっと打ち切りエンドだ。かばんとサーバルの関係を一切言及することなく終わったなら1期のサーバルはどこかに居る、もしくはちょっと別行動してて出番なかったって解釈で好意的にゲテモノを見終える事が出来る」
「なるほど。好意的か……」
近藤は腕を組みながらうんうんと頷く。
「つまりはどんな最終回なら心穏やかに受け入れるか迎えられるかを妄想するのか……。なるほど今の俺たちには大事な事だな。心の準備として必要なことだろう」
「良いですねそれ!」と新八は乗り気になる。「 1期と2期を別物にできる妄想!! さすがに怒ってばっかじゃ体に悪いですもんね!!」
「そう言う事ならば、まずは俺が許せる最終回を言わせてもらおう……」
と近藤は腕を組んで得意げに語りだす。
「あれだけ伏線や謎を残しているのだ。そのどれだけが回収されるとしても、この調子では大型セルリアンとの決戦とキュルルちゃんの正体とビーストとの和解とサーバルちゃんとかばんちゃんの言及が限度だろう。後の伏線はどうなるかは分からんな」
「俺はぶっちゃけ大型セルリアンとの決戦くらいだと思うな」
銀時は頬杖を付きながら気だるそうに言う。
「11話で何にも謎の解明も伏線回収もしなかったアニメだぞ。なら大型セルリアンをワンパンでぶっ飛ばしてせいぜい俺たちの旅はこれからだエンドだろ。もうそれなら怒るくらいで許してやる。ただしサーバルとかばんが1期の二人でした展開ならマジで許さねェから」
「いや怒るくらいでってそれ以上があるんですか?」
と新八が恐る恐る尋ねると銀時は声音を低くして。
「呪う」
「こわッ! でも分かります!!」と新八は頷く。「ソードマスター展開とかしてサーバルちゃんとかばんちゃんの事には触れて欲しくありませんから。でも僕的にはサーバルちゃんがかばんさんの事を思い出して三人の旅を再開しよう、なら許します。ちなみに三人に何があったかは作られるか分からない次回作で、展開でも許します。これならたぶん怒る事もないと思います」
「あッ、それなら俺も許すかも。別人説が一番いいけど、せめてサーバルとかばんとボスのトリオを元に戻すならマジで怒りとか湧かねェかも」
「俺も俺も! 俺もそれなら怒りを抑えられるぞ!」
と近藤がノリ気で賛同する。
最終回を始めずにそんな妄想を話し合っている三人を見ていた桂は、
「いい加減にせんか貴様らァーッ!!」
クワッと表情を変化させて一喝する。
三人は言葉を止めてゆっくりと桂へ顔を向ける。
桂は立ち上がり、鋭い眼差しを銀時たちへと向ける。
「黙って聞いていれば都合の良い妄想をベラベラと語りおって!! そんなに最終回が怖いか!! それでも武士か貴様等!! 大の男が揃いも揃って情けない!! 現実を見んか現実を!! 俺には貴様らが最終回を恐れているようにしか見えんぞ!!」
「桂さん……」「桂……」
新八と近藤は桂の言葉に少し感銘を受けな表情となり、銀時も少なからず感心してしまう。
「ヅラ……お前……」
「ヅラじゃない桂だ!! いいか! 今まであらゆる説が流れた!! かばんちゃんとかばんさん別人説!! サーバル別個体説!! パラレルワールド説! 所詮そんなものはただの妄想だ!! 俺たちが向き合うべきは
桂小太郎。普段はただのウザい電波長髪野郎で通っている男が此処まで真摯にけものフレンズ2と言う悪魔に向き合おうとしている事実にさすがの銀時も感心、
「なぜならアレはただの〝二次創作〟だからだ!!」
しなかった。
一番現実を受け入れてないのは
「ヅラ。現実逃避すんな」
と銀時が言うと桂は声を荒げる。
「ヅラじゃない桂だッ! 俺は逃避していない!! アレが金と人員が掛かった二次創作であると言う現実をしっかり受け入れたのだぞ!!」
「桂さん止めましょう。聞いてて悲しくなります」
と新八は憐みの眼差しを桂に向けるが狂った長髪はもう暴走機関車のように止まらない。
「そうだッ!! 二次創作なんだッ!! アレが二次創作ではなくなんだと言うのだ!! それならば俺だってあらゆる面を許せるぞ!! プロが作ったとは思えない
桂は両手で頭を抱えてぶんぶんと長髪を振り乱す。
「あああああああッ!! 二次創作としては批判が多い出来ではあるが俺は許そう!! なぜなら二次創作は自由な世界!! IFの世界を作って楽しむ世界なんだ!!」
「か、桂!! 落ち着け!! 落ち着くんだ!! お前の気持ちはわかった!! 分かったから!!」
さすがに見ていられなくなったであろう近藤が必死に声を掛ける止めようとする。
だが正気を失ったように桂は瞳をグルグルさせて抱えた頭をブンブンと縦に横に振りながら壊れたように話し続ける。
「あ、アハハハハハ!! お、お前らは気付かないのか!! あの二次創作はサーバルちゃんとかばんちゃんとボスのバットエンドを描いた二次創作なんだ!! 6話でかばんさんの態度がそれを物語っているではないか!! 少し悪趣味かもしれんが俺は全然かまわないよ!! だってそうだろ!! 二次創作の世界じゃ良くあることだ!! なにをそんなにムキになる!! 素人が作った作品の一つなんだぞ!! 気に入らないキャラの存在を無くしたり、扱いを悪くしたり、扱いきれないのかどうか知らんがキャラが改変されたり、とにかく素人が集まり自由に表現された世界なんだぞ!! 素人が思いついた自由なIFなんぞ!! 『まぁ、こんなもんだな』、っで受け止めればいいじゃないか!! そもそもこんな二次創作を受け入れられんが所詮は二次創作だ!! だから俺は敢えて受け入れられる!! なぜなら色々なたのしー! 二次創作はまだまだあるからな!! けものフレンズは不滅なんだ!!」
「どんだけねっとちほーにおめェは入り浸ってんだよ! つうか言ってる事無茶苦茶じゃねェか! 攘夷活動はどこ行った!」
と銀時がツッコミ入れ、桂は頭を抱えながら答える。
「だってねっとちほーはたのしー! もん!! 二次創作が俺のオアシスだもん!!」
「もん、じゃねェよ腹立つな!! どんだけ現実を受け入れたくねェんだおめェは!! 戻って来い!!」
「いやだァァァァァ!! お前がアレを二次創作と認めるまで俺は最終回なんて見ないィィィィィ!!」
桂が頭をブンブン横に振って必死に抵抗する。
もう良い大人がしていい態度ではないが、仕方ない。よっぽど精神的に耐えられなかったのだ。だから別アニメとかに逃げたりしたいのだろう。
「そ、そうですね!! に、二次創作って自由な世界ですよね!! わ、分かりますよ!!」
怒る銀時とは対照的に新八は必死に肯定しながら桂を鎮めようと努める。
「僕もねっとのちほーを巡ったから知ってますよ!! ハーレムラブコメの女の子キャラが主人公以外の他作品キャラをやオリキャラを好きになったり、主人公の存在がなくなったり、とにかく好きと言う思いが色々な表現方法になったのを僕も見てきました!! 全部を許容しろとは言いませんけど、表現方法によって住み分けすればいいですもんね!! バットエンドだって表現の一つですもんね! でもその反対にキュルルがいない作品やオリ主人公や他作品キャラによるイエイヌちゃん救済作品も出来たんですもんね!! 二次創作どんとこいです!! 大歓迎です!! いっぱい愛と好きと優しさに溢れた作品で心を癒せばいいですよ!!」
「そうそうそう!! そうなんだそうなんだそうなんだッ!!」
と桂はヘッドバンキングのように頭を縦にブンブン振って必死になって肯定する。
「だからこそ二次創作は素晴らしい!! そしてかばんちゃんとサーバルちゃんとボスの旅は終わってなんぞいないんだ!! 頼むから!! お願いだから!! 誰かアレを二次創作だと認めてくれ!! せめて実は並行世界でしたと数ある未来の一つであると――!!」
「ヅラ……」
銀時が言葉を遮り桂の肩をポンと叩く。
さすがにかつての戦友の言葉だからなのか、桂は大人しくなりある言葉を紡ぐ。
「ヅラじゃない……フレンズだ……」
「いやあんた攘夷志士でしょ」
新八がさり気にツッコミ入れ、銀時は真剣な表情で語り掛ける。
「おめェの気持ちは良く分かった。よっぽど好きだったんだなぁ……けもフレが。だからこそ、そんなおめェに言わなきゃならねェ言葉がある」
そこまで言って銀時は一旦言葉を止め、やがて口を開く。
「アレ二次創作じゃなくて〝公式〟が生み出した正史だから。いくら否定しても住み分けなんてできねェぞ」
「ッッッ!!」
悲鳴すら上げずに桂はブシャー!! と吐血して机に突っ伏す。
その様子を見た新八と近藤は数瞬の間、呆然としていたがすぐさま。
「いや……あんたなに死体蹴りしてんですか!!」と新八はツッコム。「桂さん可哀想過ぎるでしょ!! あんたはキュルルですか!! つうか今の発言はあまりにも聞き捨てなりません!!」
「誰がキュルルだッ!! そっちも聞き捨てならねェぞおい!! あんな外道と一緒んにすんな!!」
と銀時が怒ると近藤が新八に賛同の意を示す。
「そうだそうだ!! 俺だってな、正直言ってアレをけものフレンズ公式って認めたくないんだぞ!! 二次創作か別作品て解釈で今まで耐えていられたんだ!! そんなことはっきり言われたら心が締め付けられて悲しくなるぞ!!」
「落ち着けお前ら!」
二人の怒涛の文句を聞いた銀時は語尾を強くし言い放つ。
新八と近藤が黙るのを見計らってすぐさま銀時は語りだす。
「俺もよ、アレをけものフレンズと認められねェし認めたくはねェ。けものフレンズ2なんて題名を口にするだけもマジでむかっ腹が止まらねェ!!」
「ならなんで――!!」と新八。
「だからこそだ!! だからこそ俺たちはアレをけものフレンズと認識した上で評価しなきゃならねェんだ! でなきゃなにも始まらねェんだ!! だって1期の続編として評価しなきゃならねェから!!」
銀時の熱い語りを聞き、新八と近藤は黙り込む。
「さすがに俺も最終回は何が来るのか分からず尻込みしていた! だが! 認めたくねェがヅラの言葉で目が覚めた!! こうなったらとことん最後まで見てやろうじゃねェか!! 〝虚無〟で固められた最悪な最終回を最後まで視聴してやろうじゃねェか!!」
「「虚無……」」
近藤と新八が呟き、銀時は「そうだ!」と熱い演説をかます。
「今までの話を見れば分かるはずだ!! 回収されず増えていく伏線と謎! ことごとくぶち壊された1期の要素にけものフレンズでやっちゃならねェNG集!! 素人でも分かるような雑な作りをやって来た連中が作る最終回なんて容易に想像できんだろうが!! どんな下回りになるかなんて簡単に予想できんだよこっちは!!」
「そ、それこそが……」
「最悪の虚無回……」
新八と近藤が言葉を発し、銀時が「そうだッ!」と熱く告げる。
「最悪の虚無回。つまりまったく伏線と謎が回収されない『俺たちの旅はこれからだエンド』だ!! どうせ大型セルリアンとニセフレンズ倒してなんもかんも終わりだ!! かばんとサーバルについては触れもしないに決まってるぜ!!」
「そ、そんなバカな!!」
とここで近藤が待ったをかける。
「1期をあれほどプッシュアップしおきながらサーバルちゃんにかばんちゃんにも触れずに最終回を迎えるだと!? そんなことがあると言うのか!? そんなことをすれば俺たちの心をビーストだぞ!!」
「そうですよ!!」と新八も続く。「それじゃあかばんちゃんもサーバルちゃんもボスも可哀想ですよ!! 三人にあれだけ惨たらしい事しといてなんの落としどころも設けないってマジで神経疑うレベルですよ!! マジで怒りが収まりません!!」
「バカかおめェら!! その逆だ!! かばんさんの正体もサーバルの正体も分からないエンドでいいんだよ!! そうなればこっちの勝ちだ!!」
「「えッ!?」」
驚く新八と近藤に銀時は身振り手振り使って勝ち誇ったように告げる。
「まだあの二人が1期のかばんかサーバルか確証は得られない段階だ。6話だってあんなふわふわな表現じゃまだ確定材料には早ェしな。そしてそんな描写をもうこのアニメじゃする気がねェのはもう透けて見える」
「た、確かにそれは俺も思った事だ……」
と近藤が同意を示し、新八が眉間に皺を寄せる。
「でも、それでなんで僕たちの勝ちに?」
「バッカおめェ! 考えてみろ!! つまりアレはかばんちゃんじゃなくてかばんさんと言う別人ってことにできんだよ!! きっとちっさい頃もかばんさんて呼ばれてたに違いない!!」
「なにその強引な現実逃避ィィィィ!?」
「そしてキュルルにくっついたサーバルも別個体です!! かばんさんとサーバルは昔お友達だけどサーバルだけ記憶失いました!! ただし!! 1期のかばんちゃんとサーバルとはまったくの無関係の別人です!! だからかばんさんもサーバルにちゃん付けしなかったんです!! だからラッキービーストも物扱い!! 無能な上に平気で人から貰った物を切り刻めるのです!!」
「すッ、すごい!! 今までのキャラ崩壊に辻褄を合わせる事ができる!!」
と近藤は銀時のとんでも説に納得しかけているが新八がすぐさま反論する。
「い、いや1期のフレンズ勢はどうすんですか!? 博士やアライさんもフェネックちゃんは!? 1期要素もりもりなんですよ!!」
「あいつら全員もれなく別個体です!! アライさんなんか声がおかしかったし!!」
「ええええええええええええええええ!?」
「よしそれでいこう!!」
と近藤は銀時の説を押し始める。
「いやいやいやいやいやいやいや!! それだと僕らの今までの怒りはなんだったんですか!? つうかあんた桂さん並に現実逃避してんじゃねェか!! いや確かに辻褄は合いますけども!! 銀さんも現実逃避してないで現実受け入れて下さいよ!!」
「じゃあお前は二人の事言及された挙句にかばんちゃんと1期サーバルちゃんバットエンド&キュルルにNTRエンドでいいんだ~。そっかそっか」
「伏線&謎ぶん投げ俺たちの旅はこれからエンドいいじゃねェかコノヤロォォォォォォ!!」
あっさり掌返す新八はテーブルをバンッ!! と叩きながら立ち上がるのであった。
新八の反応に応えるように銀時も勢いよく言葉を返す。
「そうだ新八ィィィィ!! 俺たちは今まで2の全てを乗り越えてきたッ!! ギスギスも暴力もキャラ改悪も茶番もイエイヌもガッカリも!! 全てを乗り越えてきたッ!! もうけものフレンズとしてやっちゃダメな要素なんてひっっっっとつもやり残してねェんだこのアニメには!! やってくれる!! あの2の製作陣ならやってくれる!! きっとサーバルちゃんもかばんちゃんも全ての要素を忘れた虚無エンドをやってくれるはずだ!! 信じろ!! プロを信じろ!! その手腕でなにも得られない物語を作ってくれるはずだ!!」
「うっしゃァァァァァ!! 勇気出てきたァァァァァァ!!」
もうヤケクソ気味に録画機器を動かし始める新八。
「銀時ィィィィィィィィィ!!」
とここで今まで机に突っ伏していた桂がガバリと起きる。
「俺も覚悟を決めたぞォッ!! こうなったら何も考えてないと言われ続けた脚本に掛けるしかないッ!! 俺たちのなけなしの希望をかけるんだッ!! もう物語の出来など知ったことかッ!! すべては虚無エンドに掛かっているぞ!!」
「そうだヅラァァァァァ!! その虚無エンドの時こそ、おめェの愛と優しさと好きが詰まった二次創作で反撃する時だァァァァァ!!」
「見ていろ脚本よォォォォォォ!! 二期フレンズたちみんな救済してくれるわァァァァァァ!!」
録画機器を操作する新八はガバっと振り向き目を吊り上げながら吠える。
「皆さん祈りましょう!! せめて僕らだけでもフレンズたちに幸が残っていることを祈るんです!!」
するとすぐさまテレビの前に集まった銀時も桂も近藤も祈りを始める。
「余計な事すんなよ脚本んんんんんん!!」
と銀時は両手を合わせて祈りを捧げ、
「俺たちにせめて1期と別物にするだけの力を残してくれェェェェェ!!」
近藤はお祓い棒を左右に振って気合の念を送り、
「神よ俺に勇気をォォォォォォ!! 何もない虚無エンドをォォォォォォッ!! とにかくなんもなしエンドだ!! 大ボス倒してはい終わりにするんだ!! 終着点はなんでもいいから!! とにかくサーバルちゃんとかばんちゃんを頼むから巻き込まないでくれェェェェェ!! 後は俺がなんとかするからァァァァァ!!」
桂も天に向かって両手を上げて精一杯の念を神に送っている。
「視聴行くぞオラァァァァァァァ!!」
新八が勢いよく再生ボタンを押し、ついに問題の最終回が始まる。
*例によって台本形式になります。
*最 終 回 視 聴 開 死
銀時「くっそォォォォォォ!! 例によって糞雑描写が俺たちに襲い掛かるゥゥゥゥ!!」
新八「キュルルは何でスイートルーム行かないの!!」
近藤「耐えろォォォォ!! 耐えるのだァァァァァァ!!」
桂「リョコウバトがなんか遠回しに厄介者キャラにされてるように見えるが俺は耐えてるぞォォォォ!!」
四人共テレビの前に正座してとにかく祈りながら見ていた。
*ビーストセルリアンが登場し、簡単に倒される。
銀時「よしよしよし!! ちゃんと伏線回収したな!! 偉いぞ!!」
近藤「なんかすっごいあっさり倒されたけどこのアニメで初めて伏線回収を見た気がするぞ俺は!!」
新八「近藤さん!! このアニメ一応は伏線回収したりしてます!! なんの意味もなかったけど!!」
『セルリアンの強さは、人の思い入れの強さで変化するのです』
銀時「どっちだよ!! セルリアンの強さはコピーしたフレンズと同等じゃなかったのか!!」
新八「銀さん!! むしろこれは喜ぶべきことです!! これならサーバルちゃんの記憶蘇りと言う設定無視したハッピーエンドも夢じゃありません!!」
桂「よくやった脚本!! そのまま設定破壊しまくってサーバルの記憶を戻してくれ!! そしてカバンちゃんとの旅を再開するのだッ!!」
近藤「サーバルの記憶戻れ!! サーバルの記憶戻れ!! サーバルの記憶戻れ!! サーバルの記憶戻れ!! サーバルの記憶戻れ!! サーバルの記憶戻れ!!」
*キュルルが亀裂を飛び越えるシーン。
近藤「ォわァッ!! 見てられん!! カバンちゃんの木登りと重みが違い過ぎるゥゥゥ!!」
新八「近藤さん耐えてェェェェェ!!」
『パークの危機だからー』
*フェネックが軽めのチョップでセルリアンを倒す。
銀時「うっわッ! ショッカー戦闘員ってめっちゃ強かったんだな!!」
桂「銀時落ち着けェェェェェ!! きっとフェネックのチョップ80万tなんだッ!!」
『大好きなんだァァァァアアアアアアアアアアアア!!』
銀時・桂
「「こ ろ す!!」」
銀時と桂が立ち上がりテレビを破壊しようと動き出すが、新八と近藤が押さえつける。
新八「銀さん落ち着いてェェェェェェェ!! テレビを壊してもキュルルは壊せません!!」
近藤「桂耐えろォォォォォォォ!! アレは人間の皮を被ったロボットだと思うんだァァァァァァァ!!」
*ビーストがセルリアンたちを次々に倒していく。
近藤「おォ!? アムールちゃんもついに救済され――ってねェェェェェ!! ただの無差別兵器じゃんあれ!!」
*カラカルとサーバルが自分たちの偽物を倒すシーン。
『さっすが人の手下やー!』
銀時・新八・桂・近藤
「「「「ああッ!?」」」」
*瓦礫に埋もれるビースト。
桂・近藤
「「グボロシャァァァァアアアアアアアアアア!!」」
桂と近藤は口から血と吐しゃ物を吐き出し、
新八「くゥゥゥゥゥ!!」
新八は血涙流し、
銀時「斜め下……あったよ……」
銀時は茫然自失だった。
*ビーストが埋もれているであろう瓦礫の上でライブすると言い出す。
銀時「フレンズを異常者にすんじゃねェェェェェエエエエエエエエエ!!」
新八「狂ってる上に猟奇的過ぎるゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウ!!」
桂・近藤
「「もう嫌だァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
なんやかんやで良かった良かった感を出しながらエンディングまで近づく。
「やったァァァァァアアアアアアアア!! あと5分!! もうすぐエンディングだァァァァァアアアアアアアアアア!! かばんちゃんサーバルちゃんは大丈夫だァァァァァ!!」
ついに終わる事に対して新八は涙してはしゃぎ、
「耐えた耐えた耐えた耐えたぞォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!! 」
近藤もまた無事(?)にラストを迎えられる事に涙を流し、
「うっしゃァァァァアアアアアアアアアアア!! どうだ見たか!! なんの謎も伏線も回収されたなかったじゃねェか!! 罵詈雑言言ってやるぜ!!」
銀時は吠え、
「アムールよ……俺が必ず救い出してみせるぞ……」
桂は拳を握りしめながら思いを馳せる。
新八はもうエンディングが始まったと言わんばかりに語りだす。
「いや~……けものフレンズ2って1期とは似ても似つかぬ別物でしたけど、まぁ別のパークのお話って事だったんですかね……」
「おいおい」と銀時は笑みを見せながら答える。「別のパークは言い過ぎだろ。きっと1期と同じパークだけど登場人物たちは全員別人なんだよ。まぁ、良いネタにはなったな」
桂はフッと笑みを浮かべながら腕を組む。
「ただのクソの結晶体だったが、光るキャラもいたかならな。これからの二次創作が楽しみだ」
「ならば、俺も付き合おう。最高の救済二次創作を仕上げてみせるぞ」
近藤も桂の肩に手を置いて笑みを浮かべる。
そんなこんでめでたしめでたし。
「「「「アハハハハハハハハハ!!」」」」
喜びを分かち合う四人であった、
『ねッ? 私たちも……そうだったのかな?』
『えッ?』
「「「「えッ?」」」」
だが、最悪なラストが最悪な展開で実現されてしまう。
聞き捨てならないセリフを聞いて動きを止める四人が画面を注視すると。
『また会おうね!! …………サーバル』
「おい」
と銀時が呟く。
「……やめろ。やめろ。やめろ!」
『うん。約束だよ。かばん〝ちゃん〟』
そして流れるOP。
ズガァン!! テレビの脳天に木刀が叩きつけられ、テレビが上からグシャリと凹む。
そして、画面が止まり今まで最後の希望を願っていた四人は壊れたテレビを見下ろしながらついに、
「「「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」
発狂した。
『あとがき』
*活動報告の内容と同じものです。
最近落ち着いてきたなー……と思っていたんですが、たまたま12話の公式集合ビジュアルが酷いと言う話を見かけました。
それで確認してみたら……本当に酷かった……。
かばんさんが仲間外れにされていた……。
もう12話の時点で手遅れだったのに、12話の公式集合ビジュアル死体蹴りかますと言う徹底ぶりです。
本当に『いい加減しろ』と思わせるような事しかしないのはもう公式として酷いを通り越してます。
アレはどう考えても悪意あるとしか思えないレベルで酷かった。
見た時はうわッて声が出て、本当に1期好きな人を怒らしてるもしくは本当に公式は1期嫌いなんだとしか思えない、もうそんなレベルで酷い絵を見せられました。
まさかたった1枚の絵で怒りを再点火されるとは予想だにしていませんでした。
あれがもし悪意無しの物だったら本当にプロ失格としか言いようしが浮かびません。