ついに発狂までしてしまった銀時たちは……。
「「「「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」」」」
半狂乱になった銀時、新八、近藤、桂はもう木刀も刀も足も使ってとにかくテレビを滅多打ちのボロボロにしていく。
もう壊す物がなくなり、見るも無残に解体されたテレビのパーツを見下ろしながら肩で息をする四人。
やがて、
「やりがったな2ィィィィィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
銀時が吼え、
「俺たちの最後の希望を無残に打ち砕きおってェェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
桂が怒りを爆発させ、
「こんな悪意ある作品みたことねェェェェェエエエエエエエエエエエエエエ!!」
新八が涙し、
「もういやだァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
近藤が嘆き苦しむ。
銀時が顔面中に青筋を浮かべまくりながらダムが決壊したように語りだす。
「そうかそうかそうかそうかァァァァァ!! そこまで1期を好きになった連中に喧嘩を売りたいのか2は!! よほど俺らの怒りを買いたいらしいなおいッ!! なら受けてやろうじゃねェかコノヤロォォォォォォ!!」
「もう擁護なんて絶対してやらねェェェェ!!」
と新八は全身の毛が逆立つかと思えるほどの怒りを露にする。
「上等だよ!! よほど僕らに罵詈雑言浴びせられたいらしいなおい!! 批判をもらいたいらしいな!! 嬉しいかコノヤロォォォォォォ!!」
続けて桂も感情を爆発させる。
「2と名のついた本家本元が!! 1期の内容を否定するだけに飽き足らずここまで無情な描写を描けるとは悪意ここに極まれり!! アニメと言うジャンルでここまで失望させられ怒りを感じたのは生まれて始めてだ!! まさか救いであった1期すらまともに正視できんほどに汚物に塗れさせられるとは思わなかったぞ!!」
近藤は頭を抱えて涙を流しながら天に向かって嘆きを発する。
「なぜだァァァァァァ!! なぜ素人ではなくプロの作家の手によって生まれた作品がここまで視聴者を傷つけられる!! いやプロだからか!? そもそもそこまで2は憎いのか!! そこまで1期もそのファンも2は憎いと言うのかァァァァアアアアアアアアアアアア!!」
四者共に怒りと悲しみを織り交ぜた言葉を爆発させ、呪詛の念を発し始める。
「そっちがその気ならやってやるッ!! 2が俺らにそこまで喧嘩売りたいなら買ってやらァ!! おら批判開始じゃァァァァァァァ!!」
銀時の宣言を皮切りに批判と言う罵詈雑言が始まる。
まず先陣を切るのは志村新八。
「チクショォォォォ!! さっきは見逃したけど言ってやるぞオラァァァァ!! キュルルのあのセリフはなんだ!! 」
『ここにいるみんな、それに僕も仲間でしょ』
「――ってどの面下げて言ってんだコラァァァァァァ!! お前はイエイヌちゃんにした仕打ちを忘れたのかおい!! そもそもリョコウバトさんはほとんどフレンズと初対面なのに仲間もクソもないんじゃボケェェェェェェェ!! そしてリョコウバトさんは仲間に拘る描写ほとんどなかっただろうが唐突過ぎんだよ!! そんでキュルル!! おめェなんて仲間じゃねェェェェェェ!!」
次に怒りを吐き出すのは近藤だ。
「そもそもなんだあの設定は!! 『セルリアンの強さは人の思い入れの強さで変化する』ってどこの情報なんだ!! まったくそんな研究してなかったぞ!! そもそもセルリアンはコピーしたフレンズと同等の力持つ設定はどこいった!! なんだこのアニメは!! 一体何を信用すればいいんだ!!」
「全部ワンパンだからわかるわきゃねェんだよんなもん!!」
とここで銀時が割り込む。
「そして一番納得できんのがキュルルのフレンズたちに対する思い入れのなさってことだけだ!! だってセルリアン全部雑魚じゃねェか!! サーカラセルリアンも結局ワンパンされる雑魚だったしな!!」
「その通りだ銀時ィィィィ!!」
桂がここぞとばかりに吠える。
「キュルルはフレンズのことなどまッッッッッたく大好きでもなんでもなかったのだァァァァァァ!! 奴の心の奥底には友達なんぞ一人もいなかったことが証明されたぞ!! なにせ思いの強さがまったくないんだからな!! せいぜい友達が居たといしてもサーバルとカラカルくらいなもんだ!! それすら雑魚であったがな!!」
「サーカラの戦闘力も変動し過ぎなんだよ!!」と銀時。「ざけんな!! 最初から本気出して戦いやがれ!! どんだけ舐めプすりゃ気が済むんだテメェら!!」
「そして一番許せないのがビーストの扱いですよ!!」
とやりきれない思いを震わせるように握った拳を震わせる。
「アレほんとなんなんですか!! 和解したかと思ったら無差別に襲ってくるし!! かと言ってキュルルは襲わねェし!!」
「そして一番の問題は最後の扱いだ!!」
銀時はこれでもかと怒りをぶちまける。
「俺的には1期を雑に扱い思い出をぶち壊した以上にアムールの扱いが許せねェェェ!! セルリアン掃討のMAP兵器に利用した挙句の果てには瓦礫の下敷きにしやがってェェェェ!! そんでなんであいつらなんも気にしねェんだ!! せめて声くらい掛けろや!! ヘラヘラすんなフレンズ共!! 瓦礫の上でライブすんな!! フレンズをサイコパスにすんじゃねェェェェェェ!! そんで『分かり合いたい』とかほざいてたキュルルが一番最悪な扱いしてんじゃねェか!! キュルルお前が一番そこを悲しめよ!! あいつマジでアムールトラをただの特攻兵器扱いしやがった!! そんで用がなくなったらさよならポイか!! けものフレンズがしちゃならねェことまたやりやがった!! 主人公はマジで外道じゃねェか!!」
「待つのだ万事屋!!」
とここで近藤が待ったをかける。
「1期OPが流れた時まではまだ時間があった!! もしかしたら、もしかしたら!! キュルルがアムールちゃんのことを悲しむシーンがあったかもしれない!!」
「お前はアレの続き見るつもりかァァァァァ!! 『のけものいない』っていう1期のテーマの一つに全力で反逆し、俺たちが好きだったOPまで汚されたアレの続きをマジで見るつもりなのかテメェェェェ!!」
「俺だってツライさんなのだ!! もう辛くて辛くてしょうがないのだ!!」
と近藤は涙を流しながら説得をする。
「だが最後の最後まで見ずして批判するのは俺たちの信念に反するのだ!! そこだけは曲げてはいかんのだ!!」
「アライさん口調止めて!! 違和感半端ないから!!」と新八。
「うっしゃおらァァァァァ!!」
銀時はヤケクソムーブする。
「新八ィィィィィ!! テレビの用意するぞォォォォォ!!」
「はィィィィィ!! もううちのテレビ何台目的だみたいなツッコミなど置き去り、新しいの用意しましょう!!」
そんなこんなで銀時と新八が持って来た新たなテレビを使ってエンディングの続きを見始める。
しかし、最後の最後までアムールトラに対する言及などなく『俺たちの旅はこれからだエンド』のままスタッフロールが流れ出す。
「あいつアムールのこと忘れやがったァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」
銀時は天に向かって吠え、
「あの悪魔がァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
桂は畳を力の限り殴り付け、
「もういやだこの主人公ォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
近藤は髪をかき乱しながら天に向かって泣き叫ぶ。
最後の最後まで胸糞要素満載の内容にスタッフロールを流しながら怒りの爆発を続ける銀時。
「カーッペッ!!」
と唾をテレビ画面に吐き出す銀時はそのまま吠え散らかす。
「あんのやろォォォォオオオオオオオオ!! あいつの中には友達を思いやる感情も大好きと思う感情もありゃしねェェェェェェ!! あるのはただただ悪意だけじゃねェか!! イエイヌとアムールのけものにして仲間だの大好きだの分かり合いたいだのよくまぁ薄っぺらいセリフ堂々と言えるもんだな!! 吐き気がする!!」
「ここまでクソッタレで邪悪な主人公と物語を俺はいまだかつて見た事がない!!」
と桂が言った事に対して銀時はビシッと指を指す。
「それだァァァァァ!! これ間違いなく悪意込められてやがる!! けものフレンズ2は悪意を念入りに込めた呪詛だったんだ!! そんなんじゃなきゃこんな汚物結晶体ができるはずがねェェェ!!」
「やはりそうかァァァァァ!! どうりでおかしいと思った!! そもそも前提が間違っていたのだ!! これは悪意が形になった物だったのだな!!」
「待つのだ二人共ォォォ!! そのような邪推はいかん!! 一旦冷静になるんだ!!」
ヒートアップする二人とは対照的に近藤が慌てて待ったをかける。
だが銀時の怒りはまったく収まらない。
「おめェは2の全話を見てまだ優しい心を保てんのか!! 凄いなおい!! でも俺は無理だッ!! 今までの話を考えてみたら怒りしか湧かねえぇ!! 1期を評価していた俺に2は何をしたか考えたらむかっ腹で気が変になる!! そもそも1期最終回の続きじゃねェってだけなら期待した味と違った程度で許せたんだよ!!」
「だがな!!」
と怒りの止まらない桂も怒涛の愚痴を爆発させる。
「6話で1期好きの我々の思い出に泥を塗ったのだぞ!! 例えるならそう!! 好きな店で好きだった牛丼の味を思い出したらいきなりその店の料理人が牛丼の思い出を泥味にしたような物だ!!」
「ヅラの例えは回りくどいがその通りだ!!」
「ヅラじゃない桂だ!!」
「そんで9話は何した!!」
と銀時はより強く言葉を吐き出す。
「ハンバーグ食ってたらいきなりゲロぶっかけられたんだぞ!!」
「11話に至ってはハンバーグが出るかと思って待ってみたらまさかの水が出てきよった!! だが12話を見た今ならこれでも許せたほどだ!!」
「そして12話に至ってはもうこの表現ですら足りねェが、ウ〇コだ!! ウン〇出された挙句にゲロをトッピングしてきやがったんだ!! んなもん口にすら入れられるどころか直視する事すら困難になる領域だぞ!! そしてとどめと言わんばかり昔の美味かったハンバーグまでウ〇コ塗れにしやがった!!」
「近藤ォォォ!! ここまでされてもまだ貴様には優しい心が残っているのだとしたら、お前は関わるんじゃない!! 怒りが伝染する前に避難するんだ!! 俺はとてもアレを見て怒らずに口を閉ざす事が出来ん!! 俺の怒りはとうに天元突破だ!! お前を気遣うほどの余裕すらなくなってきた!! このままではお前の言葉にまで反論しか述べられなくなる!! だがお前まで付き合う必要はない!! 怒りに支配される前に逃げるんだ!!」
「だ、だがしかしだ!!」
と近藤はなおも食い下がる。
「二次創作ならこれよりもっと悪意ある作品はある……はずかもしれない!! そう思えばいくらか気持ちも――!!」
「無理に決まってんだろ!! これ公式だぞ!!」と銀時。
「近藤、考えてみろ!!」
とここで桂が熱く説明を始める。
「二次創作を別の料理店と考え、公式は我々が一度通っていた好きな料理店であると!! 別の料理店が好き勝手に何をしようと我々は気にも留めはせん!!」
「だけどな!!」
と銀時が続く。
「食いに来た店が好き勝手やった挙句に提供されたモンがウ〇コとゲロだったらお前どう思う!? 味が違う程度なら許せても排泄物提供されて許せると思ってんのか!! 店潰そうとしてるか悪意あるようにしか思えねェよ!! 1期好きになった俺はこの感覚だぞ!!」
「同じくだ!! ファンである俺なんかはもう悲しくて涙しかでん!!」
桂は血涙を流しながら熱く拳を握りしめている。
近藤は言い淀んでしまっていたが、すぐさま言葉を震わせながらも言い放つ。
「も、もしかしたら2はう、ウン〇とゲロを料理と思って提供したのかもしれん!!」
「いやそれもどうなんだ!?」と銀時はツッコム。
「近藤さん……」
するとここで感情がまったく籠ってない声を出し、近藤の名を呼ぶのは新八。
新八は今まで話に入って来ず、ずっとスタッフロールが流れるエンディングを注視していた。
テレビから後ろに振り返る新八は色素の消えた瞳で告げる。
「コレ……たぶん最悪の悪意盛り込まれてる可能性ありますよ……」
*
四人がテレビに噛り付くようにくっ付きながら映像は巻き戻り、スタッフロールの終わりから始まる。
イエイヌが画面へと移り込む。
暗い部屋で手紙の束を眺めるイエイヌの姿が銀時の目に映り込む。
「「ッッッ!!」」
イエイヌの孤独のシーンを見てあまりの胸糞にか銀時と桂が思わず画面を殴り付けようとするのを近藤が慌てて二人の腕を抑えて止めに入る。
すると新八がチラリと銀時へと視線を向ける。
「銀さん桂さん我慢してください。問題のシーンがもうすぐありますから」
そして場面は移り変わり、イエイヌが折りたたまれた用紙を広げればある一枚の絵が映り込む。
『素敵な絵……』
そして最後に映るのは笑顔のサーバル、カラカル、キュルル。
「「ぬおおおおおおおおおおおおおおッ!!」」
もう我慢の限界とばかりに近藤の抑えを振り払って銀時と桂が拳を振りかぶるが、
「待ってくださいお二人共!! 問題はこの絵なんですよ!!」
声音を強くして新八が銀時の拳を止め、すぐさま映像が少し巻き戻り、キュルルが書いたであろうスケッチの絵を一時停止で見せる。
拳を握りしめキレる銀時と桂。
「なんだその落書きはァ!!」
「あのクソ主人公が書いたその意図が意味不明な絵がなんだと言うんだァ!!」
二人の質問に新八は感情の籠らない声で説明する。
「コレ、映ってるのは右端の女性ってたぶんミライさんです」
「ああん!? だから!?」と銀時。
「思い出してください1期を!!」
桂が血涙を流しながら怒りを露にする。
「1期の思い出滅茶苦茶にされたのに思い出せと言うのか!! お主まで外道になったか!!」
新八に必死に説明する。
「違います!! この人ってジャパリパークが崩壊する前のパークの職員してた人らしい設定が1期にはあったじゃないですか!!」
「あぁいたな!! 確か!!」と銀時は同意を示す。
「そしてかばんちゃんは崩壊したパークに現れたヒトのフレンズです。でもこの絵だと一緒に笑い合うサーバルにカラカルはパーク崩壊前からキュルルと一緒だった。これ見て何か思いませんか?」
「そんなんアレだろ!! サーバルはかばんと会う前からキュルルとともだ……ち……」
ようやくあることに気付いた銀時はだんだんと声の張りと言葉尻が弱くなって顔を青くさせ始める。
桂も気づいてか顔面を蒼白にさせる。
「ば、バカな……!? これが続編のすることだと言うのか……!!」
近藤は察せずに状況が分からないのか、困惑の声を漏らす。
「えッ? なに? ど、どういうこと?」
銀時は頬を引くつかせながら震える声で話し出す。
「ゴリラ……思い出してみろ……。サーバルが2期で受けた仕打ちを……」
銀時の言葉を受け、近藤は顎に指を当てながら答え始める。
「思い出したくもないが……まずはかばんちゃんの記憶を消され、いつの間にか別れさせられた後だったな……。まさに最初の悲しみ要素だったと言えよう……。そしてアレだな、IQが上下したりキャラがおかしかったりとにかく――」
「IQが上下したりとかキャラがおかしいなんて事はどうでもいいんだよ。問題はかばんとサーバルの関係性だ」
と銀時が近藤の言葉を遮るので、ゴリラ顔の男はまた不思議そうに首を傾げる。
「お前らは一体何に気付いたんだ?」
怪訝そうに眉間に皺を寄せる近藤の言葉を聞いて銀時は震える声のまま話し続ける。
「いいか? コレマジで気付いたらむかっ腹立つとか胸糞とかそんなレベルじゃねぇから覚悟しとけよ?」
と言って銀時は一息入れてから説明を始める。
「まずよ、2期でサーバルの記憶が消えた様子があんだよ。んで、パーク崩壊前の事とかたぶん忘れてるはずだ。するとだ。絵で分かる通りお友達だったキュルル様の事も忘れてんだよ」
「ふむふむ」
と近藤は頷き続くように桂が血涙を流しながら説明する。
「そして……あの絵の通りの解釈なら……かばんちゃんはキュルルより〝後〟にサーバルと友達になったのであり……キュルルからサーバルを奪ったキャラと言う扱いになるのだ……」
「…………はッ?」
説明を聞いて近藤はポカーンとした顔になるが、銀時はそのまま解説する。
「そして2期はなにしたと思う? 1期のサーバルからかばんの記憶を奪ってキュルルのお供にした挙句、思い出したか思い出さなかったわかんねェ演出入れた上でキュルルの奴を選ぶっつう最低最悪のシーンを見せてくれたんだよ。つまりな、最後の絵の通りなら昔の友達たるキュルルをサーバルは選びましたってことになんだよ。そっちの方が絆が上ってことにしたんだよ。友達に優劣付けさせたんだぞ」
「そんな内容をけものフレンズで……だぞ……!!」
桂は頭を垂れて唇を噛み締め、血涙を流し続ける。
「サーバルちゃんの涙を見せたシーンはマジで吐き気催しレベルで邪悪な演出なんですよアレ」
と割と冷静な新八が補足し、銀時が更に説明する。
「思い出したか思い出さなかった。それはどっちにしても最悪だ。思い出していたらサーバルは思い出しても尚キュルルを選び、思い出してなかったら心の奥底でサーバル泣かせながらキュルル選ばせたんだからな」
「つまりサーバルちゃんとキュルルの友情にはかばんちゃんは勝てないって意味になるんですよアレ。フレンズが友達を選んで片方は捨てるっていう最低最悪な解釈になるんですよアレ」
近藤もようやく意味を理解したのか目を陰で覆い尽くす。
銀時は近藤の様子に気付きながらも説明を続ける。
「そして最悪な事にな、どこもかしこも雑でまったく描写不足でぶん投げの癖して、キュルルがサーバルをかばんから取り戻すって描写は12話かけてちゃんと描写してやがんだよこのアニメ。しかも知ってから知らずか1期の要素をことごとくぶち壊すおまけ付だ」
「つまり2期はですね、12話かけてかばんちゃんとサーバルちゃんの仲を引き裂いて2期の主人公たるキュルルとサーバルの仲を完全復活させ、挙句は1期をこれでもかと完全否定して蔑ろにした悪意にまみれた最低最悪の作品って事なんですよ」
「挙句の果てにはサーバル、カラカル、キュルルのトリオが王道であり正史ってことで……」
「僕らが待ち望んだかばんちゃんとサーバルちゃんとボスの三人による旅は邪道であり外伝……つまりこの先は一生見られないって突き付けられたんです……」
「よくもまぁご丁寧に1期勢にとっちゃ最低最悪なモンを続編で見せてくれたもんだよ……。最後の絵がなきゃ、なんもかんも描写が雑で済んだんだけどなァ~……」
銀時は目を右手で覆いながらクククククと不気味に笑う。
「けものフレンズ2はよっぽど1期が嫌いらしいなぁ……。嫌いで嫌いでたまらないらしいなぁ……」
近藤と桂も目を陰で覆い、腕をぶらりとさせながら幽鬼のように立ち上がる。
新八は立ち上がり、俯き、銀時たちに背中を向けながら声を掛けてくる。
「銀さん……これは個人的解釈なんで制作側に悪意があるかどうかは断定できません。そもそもしちゃダメです。でも、僕は2を全体的に見て解釈したらもう悪意があるヘイト創作にしか見えなくなりました……。製作陣が意図してあろうがなかろうが、もうこの作品は僕の中では1期全否定作品になっちゃってます……。製作の意図しない方向で暴走した作品って結論にします……」
「あぁ……逆に頭が冷えた」
と言って銀時は軽く首を縦に何度も振る。
「俺も悪意あるとは言ったが、さすがにそこまで邪推して決めつけるのは止めだ。だが……2の存在だけは意図せずだろうがなかろうが1期全否定の内容になっているって事だけは譲るつもりはねェ……」
「なら……どうします?」
「けものフレンズ2にどんな思いが込められているかは知らねェが、俺たちが内容を見て1期が嫌いで憎くて消し去りたいって受け取っちまったんだ。なによりそんなモンにしか見えないモンに散々怒らせられ、傷つけられたしな」
銀時は右手で目元を覆う。
「なら、俺たちもこの怒りを作品に〝のみ〟にぶつける。製作だとか公式だとかもうどうでもいい。悪意断定とかメンドーな事はネットの連中に任せる。だがこの作品だけは許しておけねェ。俺はこのスタンスで行く。この気持ちに決着を……付ける為にもな……」
指の隙間から見える銀時の眼光はまさに――鬼だった。
『おまけ(アプリ版について)』
銀時はある行動をするべくここ数日は色々と行動に移していた。
そんな時、銀時は新八に呼び出され志村邸に向かい、新八の部屋へと赴いていた。
「おい、新八。なんか用か? またのけものがなんかやらかしたのか?」
「いえ、新しい胸糞はなかったんですけど……ちょっとネットである意見を目にしまして」
「ある意見?」
銀時が肩眉を上げ新八は「はい」と頷く。
「けものフレンズアプリ版てご存知ですか?」
「アプリ版? なんだそりゃ?」
「もう配信が終わったソーシャルゲームなんですけど、ネットのコメントで1期はアプリの世界を破壊したから1期も悪いって意見があったんです」
「へー、そうなのか? つまりアプリ好きな連中は1期当時の今の俺たちと同じ気持ちってことか?」
と銀時が首を軽く縦に振る。
「いや、それがそういうワケでもなくて……」
「えッ?」
「なんでも調べてみたらアプリ版とアニメって基本的には地続きじゃなくて別世界線って感じらしいです。そもそもアニメがパークが閉園した世界をベースにアプリと並行して作られた内容なんですって」
「へ~……なるほどな」
と銀時は顎を撫で、新八は説明を続ける。
「っで、アプリはアニメが始まる前に終わっちゃったみたいです。終わった後に放映されたアニメが荒廃された世界だったんで、アプリの続きがアニメでありパークぶっ潰したて解釈が生まれちゃったんじゃないかと……」
「じゃあ、俺たちと同じ気持ちってワケにはいかねェな。1期好きは過去も未来も使って否定されたワケだしな。そもそものけものは1期の正当な続編だしな」
「っで、僕も内容がちょっと気になったんで、ストーリー解説の動画あったから見てみたんです」
「へ~……んで?」
「い か り が こ み あ げ ま し た」
「へッ?」
銀時は呆けた声を出し、新八が歯を食いしばりながら拳をわなわなと震わせる。
銀時は尋常ねェな……、と思ってから冷静に新八へと問いかける。
「ちなみに怒りの原因はアプリか?」
新八は首を横に振り、銀時は一番最悪な予想を問いかける。
「じゃあ、2か?」
新八は大きくブン!! と頭を縦に振る。
「やっぱりか……」
銀時はため息を吐き、新八は話す。
「でもだからって動画は見なくていいです。余計に怒りが爆発するんで」
すると銀時はため息を吐き、新八の肩をぽんぽんと叩きながら少し優し気に話しかける。
「我慢して溜め込むな。俺もその動画見てやるから。そんで怒る要素あったなら俺も一緒に怒ってやる。うちに溜め込むな」
「止めてください! 銀さんこれ以上怒ったらホントに体に悪いですよ!」
「もうその段階はとうに超えた。他の奴はともかく、知った俺だけでもせめておめェの怒りを分かってやるから。なッ? お前だってうちに溜め込めきれなくて俺に教えにきたんだろ?」
「いや、1期好きの僕らの怒りは正当なモノだって主張したかっただけなんですけど……」
「と に か く! 気になったから見せろ! もう何が来ても別に構わねェから!」
「わ、分かりました……!」
銀時の圧に押されて新八はパソコンを弄り、件の動画を見せる。
銀時は座布団に座りながら動画を眺め、感心する。
「へ~……1期って結構アプリ版をリスペクトしてんじゃねェか。2期とはえらい違いだな」
「えェ……だから余計に1期が凄いなって思っちゃったワケで……」
「とは言え、結構良い物語だし、アプリ勢が1期の話を見たら怒んのも分からなくはねェな……」
「そこはアプリ版とアニメは別物って事だからちゃんと配慮はされていると思うんですよ。ただ、アプリ終了をパーク荒廃で表現したってコメントを見た時はなるほど、と思いましたね」
「そういう解釈する奴いるのか。中々斬新だな、それ」
新八の説明を聞いて銀時が感心していると動画に映ったある存在に目が向く。
「セーバル……ねェ……」
銀時がセーバル――つまりサーバルそっくりのフレンズ型のセルリアンの話を見始める。
「あぁ……なるほど……。コイツがぱっつぁんが怒っていた理由だな? 2にもいたしな、同じよう奴」
「はい……」
新八が力なく頷き、銀時はついにセーバルがフレンズとなってセルリアンの女王を倒す話まで見終える。
「セーバルとの友情……いいじゃん。女王すら消滅させず見逃してんじゃん。良いじゃん。優しい世界じゃん」
そして銀時はゆっくりと振り向き、パソコンに背を向けて新八へと顔を向ける。
「なるほど……セーバル……なるほど……」
銀時と新八はお互いに頷き、
「「あのアニメマジでふざけんなァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
畳に向かって思いっきり鉄拳を振りかざす。
銀時と新八はガンガン!!と畳を殴り続ける。
「チクショーチクショーチクショーチクショーチクショーチクショォォォォォオオオオオオオオ!! 2はアプリ版サーバルとセーバルの友情にまで泥塗ってんじゃねェか!!」
「2は一体どこにリスペクトがあるんだァァァァァアアアアアアア!!」
「マジでふざけんなよ!! マジでふざけんなッ!! 端折った説明と話でもセーバルとサーバルの友情で感動しちまったのに2のフレンズ型セルリアンをワンパン無双してるとこ思い出しちまったせいで感動から怒りに変動しちまったじゃねェか!! あのアニメどんだけ他の要素ぶち壊しにきてんだよ!!」
「別世界線と分かった上でも怒り感じるってホントになんなのあのアニメ!! アプリ版の内容知って良かったと思う気持ちすら踏み弄られた!! 良かった要素を知りたくなかったって思わせるアニメなんていまだかつて見た事ねェよ!!」
銀時と新八は怒りを吐露しながら勢いよく立ち上がる。
「新八ィィィィィ!! これは誰にも教えんな!! これ以上の被害者を増やすのはマズイ!!」
「はィィィ!! 僕らの心の中にしまっておきましょう!!」
「行くぞおらァァァァァァ!! あののけものと最後の決着を付けにいくぞォォォォォ!!」
「覚悟しろよけものフレンズ2ゥゥゥゥウウウウウウ!!」
銀時と新八は気合も新たに行動を開始するのだった。
『あとがき』
*活動報告の内容をコピーしたものです。
実は1期アニメはアプリ版の世界を壊したから許せないと言うコメントを見たので、私はアプリ版について調べて更には手頃だったストーリー解説動画も見てみました。
それで、1期がアプリ版を壊したから許せないと言う意見よりも1期はアプリ終了を上手いことアニメに取り入れたってアプリ版を知っている方々は思っているようです。
地続きではない、アプリ版とアニメは別物と言う人も多く見るので、アプリ版とアニメは違うものであると私も解釈することにしました。
これは解釈の問題なのでこれ以上言及するは止めておきます。
それで私にとって今一番の問題なのは……セーバルです……。
女王のお話の時のアプリ版サーバルとセーバルのシーンを見て良いと思った同時に、怒りが湧いてきて動画一時停止ました。
なんとか動画は見終えましたが、怒りが天元突破しそうな勢いになりました。
2の記憶が頭にこっぴりへばりついちゃった以上、これ以上アプリ版を知るのは危険と判断して見るのを止めました。