※本編未登場キャラもいます、分かる人だけ見ましょう。
著しいキャラ崩壊があります。許容できない人はマッキーコロシアムで研鑽を積んで来てください。
それでも構わんと言う人だけ太極を開く用意をしましょう。
何も無い暗闇の中、蝋燭の火が灯る。
小さな光に照らされたその空間には、黒髪の少年が一人、正座している。
「拝啓、愛する姉へ。何故バレンタインチョコをくれなかったのですか?もしや兄さんと間違えていませんか?それともやっぱり僕が
暗闇で、少し、というかかなり血走った目でブツブツと呟く彼は、蝋燭の火と相まり恐怖心を煽るものだった。
「モテたい・・・・・・!この気持ち、狂おしいまでの渇望!決して女性には分からない!僕はモテたい!モテたいんだよ!その願いが叶わぬ以上、もはや生きていても仕方ない」
世の女性が見たらドン引きするであろうことを叫びながら、人生に絶望する少年。大丈夫かコイツ
「・・・・・・そうだ、腹を切ろう。僕の熱い血潮を以て、Valentine Dayとかいうお菓子会社のクソふざけた陰謀の異議申し立て及び呪いとなるよう、此処に辞世の句を刻みます。」
懐から短刀を取り出し、
自らの腹に狙いを定めて一句
──モテたいな
・・・・ああ、モテたいな
・・・・・・・・・・モテたいな
「姉さんの下着を墓前に捧げて──フンヌッ!」
最低すぎる一言と共に刃を振り抜く。深々と突き刺さり、苦悶に顔を顰めながらもタイトルコールを行う。
「IF〜・・・古都国最凶と・・・蛇と成りて・・・舞う一夏〜・・・White Day・・・Special・・・・・・。
・・・・・・僕は・・・チョコを・・・・・・知らない・・・ッ!」
●〇●〇●
場所は変わり神社のような建物の中。鳥にしてはあまりにも大きすぎる鴉が居た。
『アクタ・エスト・ファーブラァァァ!まあ、つーわけで、ジィィクゥ!この愛に暮れた子羊共を、奈落の底に突き落とす祭りの司会が務まるのは!俺と、君しかいないとは思わないかい?』
「いきなり呼び出したかと思えば、何を言っている?クソカラス」
1m以上はあるカラスにノイズ混じりの声で呼ばれたジークは、呆れとも困惑とも取れる複雑な視線を向ける。何を隠そう、目の前にいるこの鳥こそ、作者─第八天黒鴉である。
『だ・か・ら・さ!だァれもチョコ貰えなかったの。そォ言うことで決まっちゃったんだよ。ここまで言えば趣旨は当然分かるだろう?』
ゲッスい声でえげつない目論見の片鱗を見せつつ、続きを促す。
ジークは心底嫌々ながらもカラスの目的を要約する。
「つまり、こういうことか。ここは、Valentine Dayにチョコレートの一つも貰えなかった男達が、それに対する恨み辛み、哀願泣き言、その他諸々をぶちまける場であると」
正しく屑の企みである。そんなことをしている時間があるのなら本編書けよ。
『イエェェェェス!さっき弟君も言ってただろう?僕は、チョコを、知らない。このタイトルに偽りがあってはいけないのさ。即ち、だァれもモテてはいないのさ、これは宇宙の真理として遍く徹底せねばならない』
「だが、俺はメルに──」
『太極──
一瞬、クソカラスの目が赤く光ったと思ったらジークが1回消えていた。何を言っているか分からねぇと思うが、俺も何を言っているのか分からねぇ。超能力とか催眠術とか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
「貴様のテンションこそ何なのだ?が、まあ、いい。蒙昧共の叫喚を眺めながら酒を飲むのも一興だろう。さあ始めようか」
ジークの言葉と共に軽快な音楽が流れ、タイトルロゴも出てくる。
『モテないくん、いらっしゃーい』
・・・コール自体はセルフらしい。
そうして、初めから待っていたかのように出てきたのは、しわがれた中年男性──ベルベット・バルトであった。※本編で見せ場もなくモルモット扱いされた方とは別人です。
「そう、あれは忘れもしないValentine Day当日。いつも通り、反乱軍の立場の合間を縫って時間を作っても、誰もチョコを渡しにこない。だが、まだ諦めるな、そう思っていたら、こちらへ向けて手招きをする女性武官の姿が!フッ、ついに俺の素晴らしさを理解できたやつが来たのかと思った矢先!「あ、貴方じゃないです」・・・何だそれはァ!?」
『うわぁ・・・・・・』
「ベタだな、おい」
多感なお年頃によくある勘違いをその年でやった事にドン引きをする二名。そもそも、自分は貰えないという発想に至らないのが理解できないジークであったが、思わず同情の言葉を漏らしてしまう。
「これだけは言っておくぞ、雌犬共。貴様ら女は男に傅いていれば良いのだ。ならば俺にチョコを渡すのは道理であろう?だから俺にチョコを寄越せェ!」
『はいお疲れさんっしたー。いやー、初っ端から中々いい歪みだったねェ。というか、あいつが貰えないのは単純に見た目と言動だと思うのは俺だけかな?ジーク』
「異論は全くないが、言ってやるな。あれは愚昧だからな、そんな単純なことすら気づけんのだ。では続けていこうか。女一人も捕まえられない度し難い屑共、続けて俺に絶叫を聞かすがいい」
腕を正面に向けて放たれた不遜な物言いは、ラスボスとしての風格すら漂っていた。ベルベットは
「では、続けてバルゼリット・クロイツァー。行かせてもらおうか。あれはそう、いつもの様に盟友と商談をしていたのだが──」
続いて現れたのは四大貴族、クロイツァー家の長男バルバt─バルゼリット・クロイツァー。見下す様な傲慢な振る舞いが目立つが実力は大したことはなく、神装機竜頼りの戦法しか使えない雑魚。正真正銘のかませ。
『うわぁ・・・・・・どうしよジーク。真性来ちゃったよ』
「いいではないか。それでこそ、純度の高い嘆きが収集できるというものだろう」
後ろでバルゼリットが熱弁しているが、全く耳を傾けずに2人は話し始める。
『何か、悪魔召喚の触媒集めみたいになってるし』
「実際そうだろう、俺と貴様が組んでいるだぞ?それ以外にこの場を定義する概念は存在しない。そもそも貴様が悪魔みたいな出で立ちをしているくせに、何を今更。」
『そりゃ、そうだけどさァー』
最早バルゼリットの存在など、初めからなかったのではないかというほどの華麗なスルーがなされていた。
「と、言うことなのだ」
『は、はァ?ごめ・・・聞いてなかった』
「もう一度話せ滓ゥ!そして俺を楽しませろ」
「な・・・か・・・あぁ・・・・・・!」
話を聞いていなかったのにこの態度である。バルゼリット、君はキレていい。
『なァ、バルバルトくーん。そんな一人でプルップル震えてないでさァ』
「大方、また利用されたのだろうが──救いようのないこのゴミめェ!」
二人共それはもう嬉々として煽っていく。理不尽極まりない散々な言われよう。誰のせいだ誰の。バルゼリットは泣いていい。
「貴様らァ・・・・・・!」
怒りの余り
──クハハハハハハハハハァ!!!
虚空から空間がガラスのように砕け、何者かが出てくる。
第六天波旬
それは邪神。呪詛を呟く、ただそれだけで何億という星が滅相される最低最悪の求道型覇道神。その筈だが──、
──よォ、俺のチョコはうまかったか?・・・・・・あ?食ってないだと・・・・・・?何故だ何故だ何故だ何故なんだァ!俺のチョコを受け取らないものなど此処には要らない。──滅尽滅相ォ!
「な!?・・・・・・おい、待っ──」
チョコを食ったかと聞かれたから、食ってないと答えたら滅相された。バルゼリットは拗ねていい。
巻き添いというか諸共というべきか、二人も滅相の餌食となった。
「貴様、シングレン!誰がこれを呼べと言ったァ!」
『もうー、全部無茶苦茶じゃん』
※お詫び
「只今スタジオが粉微塵になっております故、復元まで少々お待ちいただきたい。その間、先日入手した良いコーヒー豆を使ったコーヒーなどいかがでしょう?おい、バルゼリット、バルゼリット?・・・・・・はぁ。全く、本当に使えないな、あの愚図は」
波旬に巻き込まれた側にも関わず、この仕打ち。しかも実の父親のワーグ・クロイツァーからの言葉であった。
・・・・・・強く生きろ、バルゼリット。
再び場所は代わり開けた野原。草花の彩りが美しいその場所に、四人の男が集まっている。
「では、これからは司会交代だ。実際、ジークはともかく、
「な、なんで俺が、というか自分がいてもいいんですか?本編の時系列的に」
新たな司会はシングレン・シェルブリット。細かいことは原作を読むか自分で調べてみよう。そして、指名された少年の名は織斑一夏。六巻から参戦予定の彼がいるのは何故かって?まだ性格は原作準拠だから問題ないからさ。
「一言で言えば、人員不足だ。あのクソ鳥がサボるせいで男キャラがあまりにもいなさすぎる。ということで、俺と貴様が抜擢された訳だ。誉れと思って勇を見せてみろ」
「は、はい!──って趣旨微妙にズレてないですか?モテないことへの愚痴を言い合う場って聞いてきたんですが──いや、それだってやりたくないですけど──」
「仕方がない、現に俺達はモテる。出来ないことは出来んのだ。なあ、そうだろう?我が麗しの賢弟よ」
一夏の疑問に答えたのは銀髪の青年、フギル・アーカディア。←大体こいつのせい、全ての元凶、イケメン、コーナーで差をつけろ
「その言い方だと誤解を招きそうなんでやめてくださいフギル兄さん。それもかなり危ない方々な気がします。・・・・・・フギル兄さん、分かってやってますよね?」
「無論だ。叶わぬ夢に思いを馳せ、尚も諦めずに求め続ける情熱。世間からの迫害など歯牙にもかけぬ勇気と覚悟は素晴らしい。その様を俺は美しいと思うのだ」
賢弟からの非難の視線をものともせず、己の価値観を述べるフギル。その弁舌は止まることはなく──、
「二次元への愛?結構なことではないか。そんな彼女らにこの言葉を送ろう。諦めなければ、いつか必ず夢は叶う!」
そう宣言した。黒幕であるこの男が言うと説得力が違う。
「まあ、実際客だからな。貴様らの財布の紐が緩いお陰で此方としても助かっている。その分、褒美をくれてやらねば筋が通らんだろう?」
シングレンは一拍おいて──、
「跪いて喜べ、雌豚共」
感謝しているとは思えない一言を発するのだった。
「あ、あのルクスさん・・・?この人達滅茶苦茶言ってますよ、いいんですかこれ?」
「あー、うん。これがこのコーナーの本来的な伝統らしいよ、原作だと。礼の体裁を取りつつ、コケにする。なんで何年もこんなものが罷り通ってきたのかは、僕にも分からないんだよね」
それは恐らく誰にもわからないと思う。
呆れた視線を向けてみるも、そんなものはお構いなしと言わんばかりの態度をとる二人。
「ともかく、そういう事だ、バシッといけ。女に好きだと言われて何も返さないなど、男が廃るというものではないか。違うか、原作主人公?立派なのは本編だけか、見せてみろ!」
「それは・・・・・・!その・・・、ああ、もう!分かった、分かりました!やってやりますよ!」
オホンと、咳払いをしてその顔を引き締める。
「・・・・・・ここにいる俺は、貴方が知る俺じゃないかもしれないけど、確かにこの胸に、誰かを大切に思う心はある。織斑千冬の付属品なんかじゃない、織斑一夏の魂だ。みんなを守るなんて傲慢はもう言わない。だからお願い、あなたを守る栄誉が欲しい」
「そうだ、我ら男は所詮女の虜。大勢を愛すなどという愚は犯さん。たった一人、お前さえいてくれれば、お前を愛することができるのなら、俺は喜んで暴君と成ろう。お前が笑える世界の為に・・・・・・」
「この世界で俺ほどお前達を認めている者はいない。力ある者、勇気ある者が報われぬ世界など間違っている。だからこそ、俺はお前達の輝く様が見たい。この矮小な我が身に希望を見せてくれ」
「僕は弱い、一人じゃ何もできないちっぽけな存在だけど、一つだけ、誰にも負けないことがあります。それは、この気持ちに嘘偽りがないということ。貴方の声が、想いが、僕に力をくれる。愛しています、僕の
「ふっ、これで終いだ。合コンに行くぞ!」
「合コンか、それは回帰の中で垣間見た素晴らしい文化の一つ。その場には男と女が互いに好ましいと思う異性を選ぶ自由がある。その為の競争がある、勝負がある。これこそ、人の勇気を育む場。まさしく俺の理想!」
「良く言ったぞフギル。それでこそ男」
「では行こうか。我らの
「我が姉より優れた女など、いるはずはないだろうがな」
先程までの良い雰囲気をマッハで置いていく。
そこに残るのはただのロクでなしのみ。
「何か、それらしいことを語り始めましたけど、要はただの浮気者ってことですよね」
「確かに・・・・・・」
「何をやっている貴様ら。お前らも行くぞ」
「僕達も行くんですか!?」
「俺達も行くんですか!?」
一人称以外は一字一句違いなく驚愕の声を上げる。抗議の目を向けるも無視された。
●〇●〇●
音もなく、静寂が支配する夜。一羽と一人は心做しか肩を落としてトボトボと歩いている。
『なあ、ジーク。俺らってさ、モテないよね』
「貴様と同じにされたくないが、不本意な幕切れであったことには同感だ。・・・ああ、クソ。羨ましくて堪らんのだ。俺のヒロインは未だ登場していないのだから堂々とイチャつけんというのに」
『え?君ってそんなキャラだっけ?──ここまで変わるとか愛って怖いなァ』
下らないことを話す二人には最初ほどのテンションはない。むしろ覇気まで失って、只々虚しいだけである。
『だからさァ、幸せそォォにしてる奴ら見つけて、片っ端から襲っちゃおうよ。アイツらの前に波旬投げつけてやるんだ』
「その手段はともかく、方針そのものに意義はない。そもそも俺を差し置いて楽しむ世界なんぞ間違っている」
「では、俺もそこに加わっていいだろうか?」
人としての最低限すら突き破るつもりの二人に声をかけたのは、バルゼリットであった。こいつも参加する気だ。
『おオ、バルゼリット君。そりゃもちろん歓迎だよォー。俺らはいつでも君の味方さ』
「感謝する」
一体どうやって襲うかを話している内に、貴族が来るような高級店の近くまで来ていた。
流石に引き返そうということで満場一致した三人は踵を返そうとした瞬間、店から出てくる人達を見て目を見開く。
「今日はご馳走になりました、ラルグリス卿」
「素晴らしい時を過ごさせていただきました」
店から出てきたのは一人の初老の男性と六人の女性という、アンバランスな客。それだけならば問題はない。問題は全員見知った顔であるということ。
「ハッハッハ。気にしないでほしい。これは娘が世話になった礼だ。」
「そうですよ皆さん。あまり煽てるとお父様は調子に乗りますから」
どうやら初老の男はセリスティア・ラルグリスの父上──ディスト・ラルグリスであるらしい。若い女性に食事を振る舞う様はなんとも堂に入っていて威厳に満ちている。
だが、この三人のうち二人にとってはただの少女趣味のヤバいおじさんにしか見えていない。
「でも、良かったんですか?私まで一緒にだなんて」
「レリィ嬢、貴殿は言うなれば我が娘の恩師。礼を尽くす理由は十分だ」
「その通りだな。こういうのは厚意に甘えておくものだ」
和気藹々と談笑している光景を見せられる非モテトリオは、堪忍袋の緒が切れるどころか破裂する寸前であった。
「セリスティアは色々至らないところも多い不肖の娘だが、これからも宜しく頼む。」
「此方こそ、彼女のことは頼りにしています」
「フフフフフ」
「ハハハハハ」
少女達は少女達で、大人は大人で盛り上がりを見せ始めたところで、遂に非モテはブチ切れた!
「このジジイ!!」
「ゴフゥッ!!」
異口同音でジークの拳が鳩尾に、バルゼリットの蹴りがアバラに、第八天黒鴉の爪が頭を捉えてボコボコにする。
これにて彼らの心の平穏は保たれた。
●〇●〇●
「と、言う話で資金集めをしたいと思うのだが、どうだ、乗ってはみないか?『
「・・・・・・却下だ」
そんな会話がとある国の
真相は誰も知らない闇の中
メインヒロインその1「あれ!?私の出番は?メインヒロインだよね、私!」
メインヒロインその2「諦めて下さいまし。これも全てあのカラスのせいですわ。あと時系列的に不可能かと思いますのよ」
屑兄さん「まあ、君はかなりキャラ崩壊が強いらしいからね。作者もかなり出したがってはいたみたいだけど、しょうがないんじゃないかな」
ババトリス「二人とも誰か分かるだけ良いじゃないですか。私達なんて名前から喧嘩売ってますよね?いいですよ、表に出てください殺します」
こんな会話が裏で行われていたとかなんとか。
「なあ、黒鴉。質問いいか?」
『何かな?』
「White Dayって何日だっけ?」
『・・・・・・14日だね』
「もうひとついいか?今日って何日だっけ?」
『・・・・・・18日で、もうすぐ日が変わるね。それがどうかしたのかい?』
「最後に一ついいか、黒鴉。──14から今まで、あんた一体何してた?」
『・・・・・・君のようなカンのいいガキャァッ!?』
「テメェ、この糞カラス!どんだけ時間空いてやがんだ!テメェが学校とバイトで時間がないのは分かるがこれくらい守ってせろや!」
『ハッ!Valentineにチョコの一つも貰えない俺にとって、White Day何て縁なき物!故に、一週間も二週間も変わんねェだよヘッヘェ!』
つーわけで、すんませんしたー!!!
ちゃんと14に出す予定だったんですよ!
こんなの書いてますけど本編もちょっとずつ書いてますからね!安心して下さいね!
この外伝シリーズでシリアスとか書く気なんで宜しくです!