コードギアス 反逆のルルーシュ L2   作:Hepta

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今回は少し短めです。
オリジナルの固有名称を持つキャラクターが出ますので、苦手な方はご注意下さい。
ゲームの黒騎士√プレイ前提の設定が入っています。
ネタバレになりますので、未プレイの方はご注意下さい。


~ 狂気の片鱗(前編) ~

 玉座から反射する光を受けて、三人の影が伸びる。二つは短く一つは長く。

 二人は皇帝の御前でもある為、片膝を付いたまま頭を垂れると臣下の礼を取る。

 が、中央に居座る長い影の持ち主、ライは自身の両脇に控えている二人のような態度を取る事無く、両腕を組んだまま皇帝に対して不機嫌此処に極まれりといった視線を向けていた。

 対する皇帝はというと、特に気にする素振りも見せず、玉座に腰を据えたまま事も無げに問い掛ける。

 

 「準備は良いか?」

 「良いも悪いも無い。そもそも私は反対なのだが?」

 

 ライが姿勢を崩す事無く抗議の声を上げるも、皇帝は半ば無視するかのように聞き流すと、ライの右隣に控えている男に命じた。

 

 「ビスマルク、後は任せる」

 「Yes, Your Majesty」

 

 皇帝の命に対して、帝国最強の騎士、ナイトオブワンとして君臨する男、ビスマルク・ヴァルトシュタインは重々しい口調とは裏腹に、流麗な動作で立ち上がると無言でライを見下ろす。

 それは傍目には有無を言わさぬ迫力があり、並の人間ならば萎縮してしまう程のものであったが、ライはそんな彼の視線を一瞥した後、最早無駄だと諦めたのだろうか。

 溜め息一つ。

 ライは感情が欠落したかのような無表情を作ると、自身の左隣で何時までも頭を垂れているもう一人の短い影の持ち主に命じた。

 

 「だそうだ。行くぞ、カリグラ」

 

 ライの命を以て、カリグラと呼ばれた者はフラリと立ち上がる。

 その者は銀色の外套に身を包んでいたが、服装は騎士の姿であるビスマルクとは対照的に、軍師めいた装いであった。

 だが、その素顔を伺い知る事は出来ない。

 何故ならば、その者はゼロの仮面に酷似した銀色の仮面を被り、その素顔を隠していたのだから。

 帝都では、最近真しやかに囁かれている一つの噂があった。

 皇帝直属である機密情報局に、長官のポストを与えられた男が居る、と。

 

―― 機密情報局長官、カリグラ ――

 

 それがこの者の名前だった。

 いや、正確には名前では無くコードネームなのだが、この場でそれを知る者は彼らのみ。

 今日は以前、ライが皇帝から予告されていた近しい者達へのお披露目の日。

 だが、それはこの男の顔見せも兼ねていた。

 

 「さっさと終わらせるか」

 

 ライは溜息混じりに呟くと、ビスマルクに案内されるがまま別室に向かって歩き出す。

 そんなライの斜め後ろを、カリグラは無言で付き従っていた。

 

 ――――――――――――――――――

 

 コードギアス 反逆のルルーシュ L2  

 

 ~ 前日譚 狂気の片鱗(前編) ~

 

 ――――――――――――――――――

 

 枢木スザクは悩んでいた。

 彼の悩みの理由、それは他ならぬライの事である。

 ルルーシュを皇帝に差し出したあの日、黒の騎士団に、エリア11に居る筈の彼が何故あの場所に居たのか。

 それも皇族のような出で立ちと、以前のライからは想像も出来ないような優しさの欠片も無い、身震いするかのような気配を纏っていたのか。

 スザクには分からなかった。

 会って理由を尋ねたかったが、あれ以来帝都の何処にもライの姿は無く、その機会を逸していた。

 それが、ある日突然皇帝陛下の勅命を以て、自分を含めたラウンズ全員に召集が掛かり、今日この場で再びライと出会う事となった。

 再び出会ったライの姿。

 そこからは、あの時感じた空恐ろしいまでの覇気は感じられなかった。

 いや、寧ろ初めて学園で会った時のような、人形のような表情を貼り付けて微動だにしないライの姿を見て、スザクは困惑を更に深めていく。

 だが、そんなスザクの悩みはライに付き従うかのように隣に佇む、ゼロに酷似した仮面を付けた謎の人物の姿を見た瞬間、消し飛んでしまった。

 謎の男がゼロでは無いという事ぐらい、スザクも頭では理解してはいたものの、感情がそれを許さなかった。

 スザクは自分の理性が引き千切られそうな感覚に陥ると、無意識に拳を堅く握り締める。

 が、彼の右隣に居た青年、ナイトオブスリーたるジノ・ヴァインベルグは、そんな友人の変化を敏感に感じ取ると、肩を肘で軽く小突いた。

 我に返るスザク。

 仮にジノの行動が後少し遅れていれば、殴りかかっていた事だろう。

 スザクは申し訳なさそうな表情をジノに向けた後、再び向き直る。

 ジノは友人が平静を取り戻した事を確認すると、やれやれと言った様子で肩を狭めた後、スザクの左隣に佇む同僚に軽くウィンクする。

 それを見た同僚、ナイトオブシックスたるアーニャ・アールストレイムは、無視するかのように受け流すと、彼女はチラリとスザクを見上げた後、次には何事も無かったかのように正面に向き直る。

 彼女もスザクの突然の変化には気付いていた。

 彼女はあまり感情を表に出す事は無く、表情の変化にも乏しいのだが、それは決して彼女に感情が無いという事を意味しない。

 その事が分かっているジノは、アーニャもアーニャなりにスザクを心配している事を理解していた。

 それ故に、アーニャを安心させるという意味を込めてのジノのウィンクだったのだが、半ば予想していたとはいえ、完璧に無視された事にガクリと肩を落とした。

 そんな彼らのやり取りを見ていたナイトオブナイン、ノネット・エニアグラムは、微笑ましいなと言った様子で僅かに口元を緩めるが、ナイトオブフォーであるドロテア・エルンストは厳しい視線を投げ掛ける。

 一方で、ナイトオブトゥエルブのモニカ・クルシェフスキーはというと、同僚全員に向けて半ば呆れたような表情を向けていた。

 唯一、無関心であったのはナイトオブテンのルキアーノ・ブラッドリーぐらいのもの。

 

 「では、殿下」

 「ライ・S・ブリタニアと言う。よろしく」

 

 ビスマルクに促されたライは軽く挨拶した。

 しかし、その場に居合わせたラウンズの面々は、突然告げられた自分達も知らなかった皇子の名乗りに一瞬呆気に取られる。

 が、直に片膝を付くと頭を垂れて敬意を示す。同僚達の仕草を見たスザクも、慌てた様子でそれに倣う。

 一方、皇族方はというと、オデュッセウスは温厚な表情を崩す事無くライを歓迎する旨の言葉を贈った後に、自ら紹介役を買って出た。

 自分の名前を呼ばれたギネヴィアは嬉しそうに紹介する兄を尻目に、一人訝しむ表情をライに向けながらも軽く挨拶し、カリーヌは自身を紹介されると頬を僅かに朱色に染めながら返事をする。

 皆、内に秘める思いは様々であったが、新しい兄弟として紹介されたライに注目していた。

 しかし、彼等とは対照的に、シュナイゼルだけは一人、顎に手を当てると何かを考える素振りを見せたまま、彼にしては珍しく兄から名前を呼ばれても押し黙ったままだった。

 副官として背後で控えていたカノン・マルディーニは、そんな主君の様子を不思議そうに見つめる。

 それは、シュナイゼルに長年使えている彼にしてみても初めて見る主君の態度であったからだ。

 しかしそれも当然と言える。

 何故ならシュナイゼルの視線の先にライは居らず、彼の目に映っているのは仮面の男だけだったのだから。

 オデュッセウスもまた、弟の珍しい態度に内心首を傾げながらも言葉を続ける。

 

 「それと、本来はもう二人居るのだけれど、一人は先のエリア11の戦闘で負傷していてね。もう一人は生憎と皇族に復帰したばかりで、今日この場には来ていないんだよ。コーネリアとナナリーと言うのだけれど、二人は又の機会に紹介しよう」

 

 彼は最後に今この場に居ない妹達の名を口にしたが、その名前が気に入らなかったカリーヌが抗議の声を上げた。

 

 「もうっ! ナナリーの事なんかほっといてもっと私の事を――」

 「カリーヌ、そんな事を言わずにもっとナナリーと仲良くしておくれよ」

 

 妹からの抗議の言葉に、オデュッセウスは少し困ったような表情を浮かべながらも温和な口調で諭すように宥める。

 が、ライはそんな目の前で繰り広げられる二人のやり取りにウンザリしていた。

 早々に切り上げたかったライは、律儀にも未だに頭を垂れているラウンズに向き直ると厳かに告げる。

 

 「面を挙げられよ」

 

 ライの許しをもって、居並ぶラウンズの面々は一糸乱れず立ち上がる。

 帝国最強の騎士で構成されたナイトオブラウンズは、立ち居振る舞いも一級品であった。

 しかし、そんな同僚達とは対照的に、就任してまだ日が浅かったためか、スザクは若干ではあったが遅れてしまう。

 だが、それは幸か不幸かライの目に止まる事となった。

 一人僅かに遅れたスザクを見咎めたライは、一瞬思慮に耽るが答えは直ぐに出た。

 

 ――ああ、ゼロを捕らえた男だったか。確か、枢木と言ったか? 中々に胆力の有る男だったな。

 

 思い出したと言う点においては、スザクにとって良い事と言える。

 しかし、続いてライは最も重要な事を思い起こす。

 

 ――そして、ギアスと私の呼び名を知る者か。……要注意だな。

 

 期せずしてライに危険人物と認定された事は、不幸以外の何物でもない。

 スザクとしては、一刻も早く理由を尋ねたかったのだが、恐らくそれは叶わない。

 このライにそう認識されると言う事は、自ずと距離を置かれるという事になるからだ。

 何よりも、ライにはギアスがある。

 彼のギアスの特性と、その条件をスザクは知らない。

 それに、今のライはスザクの事を完全に忘れている。

 もし、スザクが不用意にその距離を詰めようものなら、今のライは逃げると言った行動を取る弱々しい存在などでは無く、逆に食い殺しにかかる猛獣に近い。

 

 ――以前の様に親しい態度を取るのならば、殺しておくか。いや、そういえば……。

 

 ライは人形のような表情を崩す事無く、一度は心の内でそう決意するが――。

 

 ――御主が目覚めたのは、今回が初めてでは無い――

 

 不意に、皇帝より伝えられたその言葉を思い出し留まった。

 

 ――以前の私を知っているという可能性があるな。

 

 これまでのスザクの態度を思い起こしたライは、そう結論付けたが、次の瞬間鼻で笑っていた。

 

 ――それが何だと言うのだ? 全く、我ながら馬鹿馬鹿しい事を。どうでも良い事ではないか……まあ良い。ラウンズを殺せば、少々面倒な事に成りかねないな。止めておくとするか。

 

 最愛とも言える母と妹の記憶は揺るぎ無いものと信じている。そして、そんな二人を護れなかった己の罪もまた同じ。

 今のライにとって、それ以外の記憶など何の興味も無いものだった。

 いや、それは嘘だ。

 ほんの少しではあったが、知りたいと言う欲求があったのだ。

 だからこそ、ライは咄嗟に自分を納得させるように、如何にも真っ当な理由を付けて一度は決めかけた考えを撤回した。

 しかし、ライが己の心に小さく宿った内なる望みに気付く事は……まだ無い。

 

    ◇ ◇ ◇

 

 時は少しだけ遡る。

 ライが思考を巡らしている間、ラウンズ全員が立ち上がるのを見届けたビスマルクは、続いてシュナイゼル達にライの傍に控えて居る仮面の男を紹介した。

 

 「この者の名は、カリグラ。噂は既にお聞きでしょうが、機密情報局長官の職責を背負っている者です」

 

 そう伝えた後、沈黙が辺りを支配した。

 肝心のカリグラからは、何の言葉も無かったからだ。

 その事には、先程とは違いその場に居合わせた全員が一様に眉を顰めた。

 が、自身の考えを結論付けたライが一言、挨拶を、と命じると、カリグラは一転して素直な反応を示した。

 

 『ヨロシク』

 

 その声は機械を通していたせいか酷く平坦であり、一切の感情を伺う事が出来なかった。

 そんな敬意を感じさせぬ言葉使いとゼロに酷似した風貌も相まって、侮辱されていると受け取ったギネヴィアが糾弾する。

 

 「あなた、ふざけているの?」

 

 しかし、返事は無い。

 業を煮やしたギネヴィアは、普段よりも更に鋭さを増した瞳を差し向けると、問い詰めようと再び口を開くも、それまで沈黙を続けていたシュナイゼルがそれを制した。

 

 「良いではないですか。彼にも事情があるのでしょう」

 

 ギネヴィアは、よもやシュナイゼルが庇うとは思ってもいなかったのか、少々面食らったようで一瞬言葉に詰まるが、直ぐに気を取り直すと同意を求めようとする。

 

 「そうは言うけれどねぇ。言葉使いはまだしも、素顔を晒す事もしないなんて不敬では無くて?」

 「仰る事も分かりますが、噂が出てから今まで一度たりとも姿を見せた事の無い彼が、初めてこうして公の場に姿を見せてくれたのです。それに、彼の地位から考えても、素顔を見せる事が出来ないという事は一定の説得力があります。今日の所は、それで良いではありませんか」

 

 シュナイゼルは、姉の言葉に一部同意しつつも穏やかな口調で告げると、ギネヴィアはその言葉に毒気を抜かれた。シュナイゼルの言葉も一理あったからだ。

 機密情報局。それは皇帝直属の機関であり、秘密警察に近い役割も秘めている。

その為、時には帝国に叛意を持つ者を秘密裏に処理する事もある。

 帝国臣民からの羨望を一身に集めるナイトオブラウンズとは対照的に、どこか血腥いイメージを抱かせる組織。

 しかし、ラウンズに叙される程の腕前は無いが、上を目指したがる野心家にとっては、同じく皇帝直属である機情に入るという事は出世する近道でもあるという事も周知の事実で、競争率はそれなりに高い。

 だが、そんなイメージを持つ組織を束ねる長ともなれば、疎まれこそすれ尊敬されるような事はまず無い。

 すると、素顔を晒せぬという事に得心が行ったギネヴィアは、普段の表情に戻すとそれっきり何も言う事が無かった。

 そんな皇族方のやりとりを物珍しそうに眺めているラウンズの面々の中で、スザクは一人、自分と戦っていた。

 カリグラを見ていると一度押さえたとはいえ、再び怒りに支配されそうになるのを感じていたからだ。

 その為、深く深呼吸をした後に、無理矢理カリグラを意識の外に追いやるとライを見つめる。

 

 ――君は一体誰なんだ? 本当にライなのか?

 

 目の前に居る灰銀色の皇子にそう尋ねようとしたが、出来なかった。

 皇帝の勅命と、ナイトオブワンであるビスマルク自らがライを引き連れてこの場に来たのだ。

公の場でそれに異論を問う者など、ラウンズの中では誰一人として居ない。

 更に言えば、皇族方はライを歓迎こそすれ異論を唱える事はしなかった。

 ギネヴィアでさえも若干不審がる様子を見せてはいたが、それを口にする事まではしていない。

 となると、如何にラウンズと言えども皇族方を差し置いて問い掛ける事など出来る筈も無い。

 しかし、このような不可思議な出来事に興味を示すであろう人間。シュナイゼルでさえも何も言わないのはどう言う事だろうとも思った。

 いや、スザクにとっては寧ろシュナイゼルの態度は無視と言っても良い程で、その事が余計にスザクの思考を混乱させていた。

 一方、ライは自身に興味や不審、または好奇といった視線を向けてくるラウンズの面々を全くの無表情で流すように見ていく。

 が、ある男を見て視線を止めた。

 その先には、他の者とは違い自分に対して何処か品定めするかのような視線を送る一人の男、ナイトオブテンでもあるルキアーノ・ブラッドリーの姿があった。

 相対するライの双眸に一瞬だけ光りが宿る。

 ルキアーノの視線を挑発と受け取ったライは、殺意の眼差しをもって迎えたのだ。

 すると、ルキアーノは一瞬驚きにも似た表情を浮かべた後、今度はお返しとばかりに嘲笑めいた笑みでもって答えた。

 それはほんの一瞬のやり取りであった事と、未だ熱心に言葉を交わしていた事も有り、皇族方が気付く事は無かったが他のラウンズは感じ取った。

 目の前に居る人形のような皇子が一瞬だけ見せた、戦場を知る者が持つ特有の気配を。

 そんな二人のやり取りを見咎めたビスマルクではあったが、敢えて苦言を呈する事無く問い掛ける。

 

 「ライ殿下。お目通りは済みましたか?」

 

 その言葉にルキアーノから視線を逸らしたライ。

 

 「あぁ。では、失礼を。行くぞ、カリグラ」

 

 ライは惚れ惚れするほど優雅に腰を折ると、用は終わりと言わんばかりに踵を返し足早に立ち去ろうとする。

 それを怪訝に思ったビスマルクが問い掛ける。

 

 「殿下、どちらへ?」

 「用は済んだ。陛下にご報告差し上げる」

 

 ライは肩越しに振り返ると、何とも素っ気ない返事を返した後、カリグラを引き連れてさっさとその場を後にしてしまった。

 

    ◇ ◇ ◇

 

 その後、ラウンズもまた去った。

 故に、今この場に居るのは皇族4人にそれぞれの副官のみ。

 その中の一人で、先程の話しの中でどうしても腑に落ちなかった事があったギネヴィアが口を開く。

 

 「オデュッセウス兄様。陛下は何をお考えなのでしょうか? 帝国の敵とも言えるゼロに酷似した者などに、機情の長の地位をお与えになるなんて」

 「さあ? 父上にも考えがあるんじゃないかな?」

 

 妹からの問いに、オデュッセウスは全く分からないといった様子で首を振った。

 

 「ですが、ゼロはクロヴィスやユーフェミアの仇ですのよ? それを――」

 

 ギネヴィアは憎々しげに自身の思いを吐露しようとするが、そんな彼女とは対照的に楽しげな妹の声がそれを遮る。

 

 「私はライって方の方が気になるわ。あんな方が私のお兄様になるなんて嬉しいっ!」

 「そうだね。兄弟は多い方が良いからね」

 

 カリーヌの喜び。

 それは、当然の如く兄弟が増えるという理由から来るものでは無い。

 彼女は、端正な顔立ちに灰銀色の髪をして、深い海のような瞳を湛えたライの容姿を一目見た瞬間に惚れ込んでいたのだ。

 だが、オデュッセウスはそんな妹の想いなど露知らず、見当外れな同意を口にするとカリーヌはそんな兄にジト目でもって答えた。

 しかし、一方でライの事も不審に思っていたギネヴィアは、皮肉めいた言葉を呟く。

 

 「ですが、ライですよ? あの王の名前から取ったのかしら? 名前負けしなければいいのだけれどねぇ」

 「ギネヴィア!」

 

 オデュッセウスは、彼にしては珍しく語尾を強めた口調で妹の発言を咎めた。

 ギネヴィアは慌てて口を押さえた後、チラリと視線を移す。

 目が合ったシュナイゼルは、異母姉の発言をさして不快と思った様子も無く、薄く笑みを送ると軽く受け流してみせた。

 安堵したギネヴィアは悪くなった空気を変えようと、それまでと全く関係の無い雑談めいた話題を振り、オデュッセウスやカリーヌもそれに応じた。

 そんな彼らに対して、シュナイゼルは相槌を打ちつつも気取られぬよう傍に控えているカノンに目配せする。

 それだけで全てを悟ったカノンは、無言で歩み寄って耳を貸す。

 

 「済まないが、彼、カリグラの事について調べて貰えるかな?」

 

 シュナイゼルの囁きに、カノンはお任せを、といった様子で静かに微笑んだ後、次に命じられるであろう言葉を待ったが、以降、シュナイゼルはこの場で終ぞ口を開くことはなかった。




神根島でライはシュナイゼルに自分の事は放っておくようにというギアスを掛けてます。
確かそんな台詞で掛けてた筈。記憶があやふやだ(..)
なので、皇帝・V.V.√で一番の難敵になる可能性が高いシュナイゼルさんはしばらく蚊帳の外という事で。
その分、カノンが頑張る筈!
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