コードギアス 反逆のルルーシュ L2   作:Hepta

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オリキャラ出ます。
奪還のロゼについても少し触れており、情報が出ていない点は一部設定改変しています。
ただ、ロゼの核心的なネタバレになるような記述は除外したつもりです。
一切知りたくないとい方はご注意下さい。


TURN 03.81 ~ 目指すべき背中【裏Part 2】 ~

 

 「C.C.……貴女、まさかアレに魅了されてたりしないわよね?」

 

 マリアンヌは先程まで彼女が居た場所に向かって返ってくる事の無い問いを発した。

 シャルルがライゼルを手元に置いている。

 それは、幾ら憧れた相手であったとしても、シャルルを良く知るマリアンヌにしてみれば信じられない事だった。

 故にその疑問を口にすると、シャルルは保険の為であると言った後、苦笑混じり付け足した。今少しの間だけ、肩を並べてみたくなった、と。

 それが心情の吐露であることを理解したマリアンヌは笑った。

 そうして、甘いと思う反面、可愛らしい人との印象を深めた彼女は念押しした。決して情は抱かないように、と。

 その時の情景を思い起こし、口元に微笑を浮かべつつ思考を切り替えた彼女は城門を潜る。

 すると予想通り。

 間髪入れずに前方から野太い男の声が飛んで来た。

 

 「おい! そこのお前……何だ、君か……」

 「どうしたの? ガイウス」

 

 マリアンヌは彼を見るなり小首を傾げてみせた。

 対するガイウスと呼ばれた男は、庶民的な平服の上から羽織った膝下にまで及ぶ長さの獣のコート。その端を翻しながら肩を怒らせ大股で歩み寄る。

 対面する二人。

 マリアンヌがシャルルよりもやや上背のある彼を見上げると、相手は怒りを溜めた瞳で彼女を見下ろした。

 

 「緑髪の女が此方に来なかったかッ!?」

 「彼女が何かしたの?」

 「馬泥棒だ! 見付けたらとっちめてやる!」

 

 地獄の獄卒すら裸足で逃げ出しかねない雰囲気を纏う彼は、その風貌も相まってまさに野獣の如し。

 しかし、その心根は温厚篤実である事を知っていた彼女からすれば、虎児が吠えているようなもの。

 最も、取り扱いを誤れば、如何にマリアンヌといえども押さえるのは容易では無いが。

 

 「その事なんだけれど、許してあげてくれないかしら。彼女にも急ぐ理由があったのよ」

 「……知り合いなのか?」

 「えぇ、旧友なの」

 

 マリアンヌが朗らかに告げると、ガイウスは頭を抱えた。

 

 「いや、そうは言ってもなぁ……罪人はアイツ(・・・)が許さないだろうし……」

 「彼には私からもお願いするわ。それに、被害にあったのは貴方の馬だけでしょう? 飼い主が許すと決めれば、彼もそれ以上の沙汰は下さない筈よ? どうかしら?」

 

 やや上目遣いで懇願される形となったガイウスは、僅かに頬を紅潮させると困った様子で頭を掻き悩ましげな声を上げた。

 

 「でもなぁ……う~ん……」

 

 マリアンヌの太股程の太さの腕を胸元で組むと、ガイウスは踏ん切りがつかないのか。尚も悩み続ける。

 そんな矢先、小気味良い音が辺りに響くと、気付いたガイウスは振り返り手を振った。

 

 「お~い! ここだ! ヘンリー!!」

 

 音の正体は馬の蹄鉄だった。

 石畳を踏み締めながら、その背に一人の偉丈夫を乗せた鹿毛の馬が悠然とした足取りで二人の元へ向かってくる。

 ガイウスの背後でその姿を認めたマリアンヌは、瞳を僅かに細めた。

 ヘンリーと呼ばれた立派な顎鬚を貯えたその男の佇まいは、物語に出てくる理想の騎士を体現しているかのよう。

 彼は二人の前で手綱を引くと、ガイウスを一瞥した後、マリアンヌに懐疑的な視線を向けた。

 

 「妙な場所で会うな。聖女(マリアンヌ)よ」

 「何度も言うようだけれど、その渾名は止めてくれない? 良い思い出が無いの」

 「お前は我々の旗印だ。それに、その呼び名は我が君(王女殿下)が手ずからお名付けになられたもの。諦めろ」

 

 先程通じた上目遣いも彼には一切効果が無い。

 マリアンヌの要請を一蹴した彼は横へと視線を動かした。

 

 「ガイウス。下手人は捕らえたか?」

 「それが、どうも彼女の知り合いだったらしいんだ。だから……」

 「罪には問わない、と?」

 

 煮え切らない態度を見せるガイウスに、ヘンリーは瞳に非難の色を滲ませる。

 しかし、並みの人間であれば萎縮してしまうそれも付き合いの長いガイウスにしてみればいつもの事。

 特に気にした素振りも見せない。

 

 「あぁ、その娘も急がなきゃならない理由があったらしくてさ。それに、良く良く考えてみれば馬も無事に戻ってきたし……駄目か?」

 

 やや背を丸め、上目遣いとなったガイウスにヘンリーは溜息を吐いた。

 

 「いや、お前が不問にするというのなら構わない。好きにしろ」

 「ありがとな!」

 

 その風貌に似合わず屈託の無い笑みを溢すガイウスに毒気を抜かれたのか、ヘンリーはやや呆れた口調で告げた。

 

 「奥方が心配していたぞ。早く戻ってやれ」

 「そりゃあ大変だ!」

 

 大袈裟に仰け反ったガイウスは、肩越しに振り向くと背後に居る彼女に軽くウィンクする。

 

 「じゃあまたな! マリアンヌ!」

 

 そうして微笑を浮かべる彼女に別れを告げたガイウスは、石畳が悲鳴を上げそうな足音と共に駆け足で去ってゆく。

 マリアンヌはそんな彼の背中を眺めながら手を振り、やがて、それが豆粒程の大きさになった処で手を下ろした彼女は、次に馬上のヘンリーを見上げた。

 

 「お優しい事ね。でも、ありがとう」

 「謝意は不要だ。そもそも我々にも落ち度はあるからな。アイツの奥方も言っていた。隙を見せたガイウスも悪い、とな」 

 「あら、辛辣ね」

 「しかし、お前の知り合いだったとはな。いっその事、我々の軍に加えてはどうだ?」

 

 口元に手を当てて笑う彼女を尻目にヘンリーがそう提案すると、意図が掴めなかったマリアンヌは探るかのような視線を向けた。

 それを受けてヘンリーは滔々(とうとう)と語る。

 

 「馬上試合をしてみない事には評価を固められないが、気性が荒い筈のアイツの馬を中々どうして上手く乗りこなしていた事からもある程度は推し量れる。鍛えればモノになるぞ?」

 「駄目よ。彼女には別の役割があるから」

 「それは……残念だな……」

 

 やや落胆した声色に、言葉通りの色が彼の瞳に浮かんだのをマリアンヌは見逃さなかった。

 

 「あら、普段から他人に厳しい貴方が誉めるなんてね。誇らしいわ」

 「……何故、お前が胸を張る?」

 「彼女に乗馬を教えたのは私だから」

 「ハハハッ! 成る程。納得だ」

 

 困惑から一転、快活に笑ったヘンリーは、次に手を差し伸べる。

 

 「乗るか?」

 「えぇ」

 

 応じたマリアンヌは、引き上げられる勢いそのままに飛び上がる。まるで彼女の回りだけ重力が無いかのようにフワリと。

 そうしてドレスの端を僅かに翻しながら、マリアンヌが馬の尻に横向きに着座すると、ヘンリーは自然な動きで馬に指示を下した。

 再び蹄鉄の音を響かせながら歩み始める彼の愛馬。

 それに揺られながらマリアンヌは口を開く。

 

 「募集は順調かしら?」

 「あぁ、騎兵として使える者は二万ほど集まった」

 「以前は四万と聞いたわよ?」

 「正規軍として編入可能な者達は、という意味だ。残りの連中は練度が低い。調練でどこまで技量を押し上げられるかが今後の課題だな」

 

 その自問自答するかのような口振りに、彼の生真面目な性格を垣間見たマリアンヌは思わず苦笑した。

 

 「貴方の要求水準が高過ぎるだけだと思うけど?」

 「騎士を名乗る以上、最低限の事は出来るようになって貰わないと困る。全く、最近の連中ときたら騎士を自負するばかりで中身が伴っていない」

 

 嘆かわしい、とヘンリーが頭を振ると、マリアンヌは話題を変えた。

 

 「歩兵はどうかしら?」

 「それはガイウスの領分だが……奥方に聞いた限りでは、現時点で10万は越えている」

 「王女殿下が補佐に付いてくれているのなら安心ね。そっちの練度はどうなの?」

 

 その問いに、肩越しに振り向いたヘンリーは非難の視線を向けた。

 

 「聖女よ。奥方は既に籍を脱している。間違っても本人の前で口にはするな」

 「分かってるわよ」

 

 子供のように口元を尖らせるマリアンヌに対して、ならば良い、とだけ言った彼は再び正面に向き直る。

 

 「練度についてだったな。それなりに使えると聞いている。騎兵とは違い、最悪、盾さえ持たせれば一定の役割は果たせるだろうからな……(いくさ)は近いか?」

 「もう時期よ。でも、良く分かったわね」

 「あのような場所で会えばな。向こう(荒野)に行っていたのだろう?」

 「えぇ。神が所有する人形達は間違い無く出てくるわね」

 

 マリアンヌにしてみれば、この度の出来事は実に実りの多いものであった。

 その為、喜色満面の笑みで答えたのだが、聞いたヘンリーは身に纏う空気をやや硬質化させる。

 

 「誠か?」

 「えぇ、二体確認したわ。ただし、最低数よ。今も製作されているか分からないもの」

 「会ったのか? よくぞ無事に戻った」

 「お褒めに預り光栄だわ。でも、向こうは本気じゃなかったみたい。からかわれただけだった」

 「舐めた真似をしてくれる」

 「本当にね」

 

 マリアンヌが苛立ち混じりに吐き捨てる一方、ヘンリーは顎髭を触りながら思慮に耽る。

 

 「しかし、相手は慢心しているのやもしれないな。それはそれで好機ではあるか……」

 「そう思わせる魂胆かもしれないわ。でも、その時は……期待してるわよ? ハイランド(・・・・・)

 

 マリアンヌが彼の家名を口にした瞬間、ヘンリーは瞳に真っ赤な炎を宿した。

 

 「全力を尽くすとも。お前もその目に焼き付けるがいい。我等がドゥムノニアの力をな」

 

 遥かな昔、島を飲み込み欧州大陸すら焼いた、狂気に率いられし最強の軍団。

 その騎士団長たるヘンリー・ハイランドは犬歯を剥き出し獰猛に笑う。

 そんな彼の全身から沸き上がる熱気を、馬の背に揺られながら感じ取ったマリアンヌは、快晴の空を見上げ眩し気に瞳を細めた。

 

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 コードギアス 反逆のルルーシュ L2  

 

 ~ TURN 03.81 目指すべき背中【裏Part 2】 ~

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 ナナリーの出立を間近に控えたカリフォルニア基地。

 そこで発艦の為の整備に余念が無い航空艦アヴァロンの艦内を歩く女、セシル・クルーミー。

 彼女は先程、至急電として特務総督府から入った一報を上司に知らせるべく彼の居室に向かっていた。

 

 「ロイドさん。一大事です!」

 

 扉を開けると開口一番。

 そう告げたにも関わらず、部屋の中にいたロイドはセシルに背を向ける形で机に座ると、二台のモニターに向かい合ったまま。

 返事が無い事に首を傾げながらもセシルは彼の傍まで歩み寄る。

 

 「どうされたんです? ロイドさん?」

 「セシル君。これ、どう思う?」

 

 ようやっと反応を示したロイドであったが、彼は振り返る事なく右側のモニター指し示した。

 釣られるように視線を向けたセシルは、そこに表示された無数の数字の羅列の中で、特徴的な項目に目を止めた。

 

 「それ、例のカリグラ卿の操縦テレメトリーを数値化したものですね。シミュレート時の」

 

 そう言ってモニターに顔を近付けた彼女はマジマジと画面を見詰めた後、端的に評した。

 やっぱり異常です、と。

 すると、望む答えだったのか。椅子から立ち上がったロイドは振り返ると鷹揚に頷いた。

 

 「だよねぇ~。僕も最初は興奮したけどさ。でも、何度も見ているうちに引っ掛かるものを感じるようになってさぁ」

 「デジャヴではないんですか?」

 「こっちは誰のか分かる?」

 

 首を傾げるセシル対して、ロイドが指し示したのは左側のモニター。

 左右を見比べた彼女は、先ほど見た特徴的な項目がそこにも散見されていたことから疑問符を浮かべた。

 

 「……同じ、じゃないんですか?」

 「残~念でしたァ。ほら、覚えてない? アッシュフォード学園でスザク君が連れてきたクラスメートの」

 「確か、ライ君でしたっけ?……えっ!? こっちは彼のデータなんですか?」

 

 驚くセシル。

 一方、ロイドは悪戯が成功したことを喜ぶ子供のように破顔した。

 

 「君がそう思うのも無理は無いよねぇ。ほら、こことここなんて特に似てるからさ」

 

 ロイドが指し示した項目。

 攻撃時、回避時の操縦桿操作のタイミングや、フットペダルの踏み込み時の力加減。極め付けは一秒間に12回の入力動作の痕跡。

 そこはまさにセシルがカリグラのものと判断する根拠とした箇所だった。

 食い入るように左右のモニターを見詰めていたセシルは、ややって顔を離すとロイドに向き直る。

 

 「偶然、じゃないですよね。まさか、同一人物なんて事は……」

 

 ナイナイとロイドは手を振った。

 

 「あの穏和な雰囲気を持った彼が、よもや機密情報局のトップだなんて流石に有り得ないよ。それに、細部は似てるけど、全体を俯瞰して見れば分かるように戦闘スタイルが全く違うよ。彼はどちらかというと堅実な戦い方をするタイプだったけど、カリグラ卿のこれは、ねぇ」

 「好戦的(暴力的)、ですね」

 

 だよねぇ、とロイドは同意した。

 そうしてあの時以降、二人の間で意図的に話題とする事を避けていた事実の一部を口にする。

 

 「それに検査した時、分かったでしょ。彼の身体には明らかに人為的な手が加えられていたって」

 

 筋繊維への強制的な破壊と修復に骨格矯正を筆頭に、凡そ考え付く限りの身体強化を施す事で、KMFの騎乗に最適な肉体へと昇華させられていたライの身体。

 そこに至るまでには想像を絶するであろう苦痛と、匙加減を誤れば廃人に為りかねない程の精神的な摩耗が伴う事は、畑違いとはいえ同じ研究者であるロイドからしてみれば容易に推察出来る事でもある。

 それはセシルも同じ。

 彼女は思い詰めた表情を浮かべながら静かに呟いた。

 

 「そういえば、そのライ君は元気にしてるんでしょうか……」

 「気になるの?」

 「それは……スザク君が初めて連れてきた友人ですから。あんなに嬉しそうにしていたのに……ユーフェミア皇女殿下の一件以来のスザク君は……ロイドさん、フィアンセから何か聞いていたりしませんか?」

 「一度、電話する事があったからその際に聞いてみたんだけど」

 「けど?」

 「誰ですかそれ、だって。アハッ、僕、嫌われちゃったのかなぁ?」

 「知りませんよ、そんなの」

 

 ロイドが間の抜けた笑い声を上げると、セシルは僅かに頬を膨らませ、プイッと横を向いた。

 だが、すぐに神妙な面持ちになると向き直る。

 

 「……でも、妙ですよね。知らないなんて」

 

 すると、ロイドも眼鏡の奥の瞳を僅かに細めた。

 

 「うん、彼女の家に上の方から圧力が掛かったのかもしれない。だから、僕もそれ以上は聞かないようにしたよ」

 「あの時、ライ君の事をもっと詳しく調べていたら……」

 「僕達、今頃この世に居なかったかも〜」

 

 やや顔を青褪めさせるセシルとは対照的に、ロイドは両手を広げ嬉しそうに笑う。

 セシルは口角をやや引き攣らせながら口を開いた。

 

 「ロイドさんが止めてくれて助かりました」

 「いやぁ、流石にあの研究所に解析頼むのは止めた方がいいって当時は思っただけだよ」 

 「どうしてです? 遺伝子工学の大家(たいか)ですよ。ウィリアム・ビッシュ博士は」

 「きな臭い噂が絶えない人物だけどねぇ〜」

 

 (たゆ)んだ口調とは裏腹に、ロイドの眉間に僅かに皺が寄っているのを認めたセシルは首を傾げる。

 

 「あの研究所に解析頼んだら、翌日にでもライ君は行方不明になったかもしれないよ? だって、皇族とイレブン。両方の遺伝子情報を持つ人物なんて一人しか居ない筈だからさぁ」

 

 その指摘に、セシルは口元に手を当てると驚きの声を上げた。

 

 「あっ! シェリー様の忘れ形見の……」

 「そっ、サクヤちゃん(・・・・・・)。彼女しか該当する人物は居ない筈だよ」

 

 サクヤ・エス・ブリタニア。

 現皇帝シャルル・ジ・ブリタニアが戴冠する以前、まだブリタニアと日本がそれなりの関係性を有していた時代。

 皇籍を返還し日本に嫁いだシャルルの娘、シェリー・メ・ブリタニアと日本の皇族、皇 重護(ジュウゴ) との間に出来た一人娘。

 今年で9歳になる彼女は、産まれて間もなく勃発した両国間の戦争の結果、皇の性を捨てさせられると、父親と共にエリア11より切り離されたホッカイドウブロックを封域(ほういき)としていたが、そこから出る自由は認められていなかった。

 

 「お知り合いなんですね」

 「全〜然。会ったこともないよ」

 

 何で? とでも言いたげに首を傾げるロイドに項垂れながらセシルは呟く。

 

 「……伏せられた兄、だったとか」

 「伏せる意味ある?」

 「それは」

 

 セシルは現在、サクヤが末席とはいえ皇籍に名を連ねている事を知っていたため言葉に詰まる。

 

 「まぁ、彼が何者で何処にいっちゃったのかは分からないけど、こうやってデータを突き合わせてみると、カリグラ卿も同じ施術を受けた人物であることまでは間違い無いだろうねぇ」

 「そうです! そのカリグラ卿なんですが」

 「なになに?」

 

 思い出したかのように声を上げると、ようやっと本題に戻ったセシルは告げる。

 

 「本日一二〇〇(ヒトフタマルマル)には此方にお越しになるそうです」

 「へっ? ワザワザ機体を受け取りに来るの?」

 

 カリフォルニア基地からトレーラーで帝都まで運び、そこで引き渡す事を予想していたロイドは、鳩が豆鉄砲を喰らったような面持ちになる。

 

 「はい。それと、そのままアヴァロンに乗艦されるらしく」

 「エリア11に向かうつもり?」

 「いえ、航路の途中にある式根島で降りられる予定と聞いています」

 「あぁ、あそこの基地から本国に戻るのかぁ。でも、何でそんな回りくどい事するの?」

 「さぁ、そこまでは」

 

 至急電にはそこまでの記載が無かった事から、セシルも困惑の色を濃くした。

 一方のロイドは、考えても仕方が無いと見切りを付けたのか。

 

 「まぁ、いいや。出迎えの準備と機体の最終調整は任せたよ」

 「はい」

 

 そうして答礼したセシルは部屋を後にする。

 ロイドはその背中を扉が閉まるまで見送った後、徐ろにモニターに向き直る。

 そうして、細めた瞳でそれらを見比べながらポツリと呟いた。

 

 「帝国の闇は深いねぇ」




ここまでお読み下さりありがとうございました。
以下、余談。

Q1.ウィリアム・ビッシュ博士ってオリキャラ?
 →いいえ、ギアジェネに出てきた【ライカレ原理主義者】の私にとって、怨敵の師にあたる人物です。許すまじ……。

Q2.ヘンリー・ハイランドは?
 →オリキャラです。ヴェランス大公のミドルネームから取りました。

Q3.ガイウスは?
 →オリキャラです。

Q4.サクヤは?
 →サクヤ・エス・ブリタニアは創作です。

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