西念幽子ちゃんと鉄溶龍子ちゃんの小説   作:春宮 祭典

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第2話 鉄溶龍子

アタシの名前は鉄溶龍子。

テツトカシ、なんて顎をカクカクさせながら発音しなきゃならない苗字だけど、今のアタシは誇らしく思ってるよ。

 

「あっちゃー油断した。気泡まみれだよぉ」

 

なんたってアタシの趣味は鋳造。鉄を溶かすって正しくアタシにピッタリじゃん?

そしてもうひとつの趣味といえばベイブレード。愛機はドラグーンF!

モチーフが青龍で、アタシの青い髪と一緒なのがお気に入りなんだ。

 

「ってもうこんな時間だ。店舗大会に遅れちゃう」

 

慣れた手つきで鋳造キットを片付け、作業着から外出用の服へ。まだ春先なのに半袖短パンは流石に寒いかな?まあ中にヒートテック来てるしヘーキヘーキ。

 

受付時間ギリギリ。走ってよかった。

 

「ふいー、何とか1番最後にエントリー出来た。アタシの番までまだ時間あるし、今やってる試合でも見ようかな」

 

するりするりとギャラリーの隙間を抜けて最前列へ。どれどれ、今日はどんなベイが来るのかなっと。

 

「あれって……ファントムだよね」

 

珍しい女子高生ブレーダーがこれまた珍しいサイキックファントムをランチャーにセットして…待ってあのファントムなんか光ってない?

 

目を擦っても、あの女子高生ブレーダーのファントムから発せられる紫色の光が消えることは無い。ギャラリーがなんの反応もしてないから、見えてるのはアタシだけみたい。

 

「疲れてるのかなぁ、アタシ」

 

徹夜なんてした事ないんだけどなぁ、と思っていると、店員さんが出てきて、2人に準備が出来たか確認をとる。どうやらもう始まるみたいだね。

 

「3、2、1、GO…シュート!」

「消し飛べッ!!」

 

女子高生ブレーダーの紫色に光っていた手元が射出の瞬間に赤と青の光に別れて迸った。いや流石にここまでいくと幻覚なんかじゃないよね!?

 

女子高生ブレーダーの放ったサイキックファントムは一撃で対戦相手の超Zヴァルキリーをスタジアムの外へと叩き出すと、自らの軌道に戻ってスタジアム内を悠々と回る。

 

「す、すご……」

 

驚愕。それ以外にない。そして、あの光……あの女子高生ブレーダー、何かある。一体、あの子に何があったんだろ……

 

「エントリー20番、鉄溶龍子ちゃんー」

「あ、はいっ!」

 

どの道それをこの目で確かめるにはあの子と決勝でぶつかるのが1番早い。アタシとドラグーンなら、そこまで行けるはず。

 

それに、あんな熱いバトルを魅せられて、アタシが燃えないわけないじゃん?

 

「ブシンアシュラ……最新ベイか。相手にとって不足なしだね」

 

ベイブレードバースト最新作GTシリーズの1機、ブシンアシュラ。

丁度いいじゃん、アタシのドラグーンが最新ベイにどこまで通用するか、試してみようじゃない!

 

「セット!3、2、1」

 

直前の熱いバトル、そして最新ベイとの戦い。なんだろ、物凄く気分が乗ってきた。

 

紐ランチャーを構え、じっとその瞬間を待つ。

 

後頭部に浮遊感。アタシの後ろでまとめた髪も浮き上がるかのような錯覚。さっきの女子高生ブレーダーみたいに何か叫びたい気持ちになる。そうだ、まだ試した事ないけど、多分私にはこれが合う!

 

「GO……シュート!!」

「砕け散れェッ!!!」

 

射出されたドラグーンは中央に向かおうとするブシンアシュラに横からぶつかる!

スタジアムのへりで踏みとどまり、再び中央へ向かうアシュラを一周して戻ってきたドラグーンがさらに一撃!

この4本爪は敵のロックを刈り取る為にあるとばかりに、間髪入れずもう一撃!

 

綺麗な3連撃を受けたアシュラはダルマ落としのようにドライバーを吹き飛ばされ、容赦のないドラグーンの追い討ちでディスクも刈り取られた。

 

「勝者、鉄溶龍子ちゃん!」

 

最っ高に気持ちいい瞬間。自分の大好きなベイで最新のベイを打ち破るこの冒涜感!このショップでブシンアシュラはあまり売れなくなるだろう、ざまあみろタカ〇トミー!

 

「いよっしゃああああ!!」

 

惜しみなくガッツポーズ。そしてあの女子高生ブレーダーを探すと、最前列で唖然としていた。

 

スタジアム内には回転を終え、最新ベイ撃破の泊をつけたドラグーンが、堂々と鎮座していた。

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