パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文。 矛盾や違和感があるかも。

パーク・レンジャーと森へ。 そして、貴婦人と邂逅します。


初フレンズ

セルリアンの存在が認知されていく一方、職員はセキュリティホールの穴埋めや、フレンズへの対処に追われている。

 

ビジターセンターも、色々手を加えねばならないだろうが、他もそうだ。

 

様々な方面で猫のフレンズも借りたいらしく、調査補佐である筈の俺は彼方此方に飛ばされた。

 

計画を変更して、増設することになった建築物の工事現場の猫押しであるとか、警備服を着てゲートに突っ立ってるとか。

 

今日はパーク・レンジャー(森林警備員)の補佐という事になっている。

自然保護パトロールや、動植物の調査・保護を行うヒトたちだったか。 俺はその手伝い。

 

臨時職員だからって、扱いが乱雑じゃないですかね……本来、国家公務員の資格や特別講習等が必要だったりしないのか。

 

いや。 それだけ管理センターも多忙。 首が回らないのが現状ということ。

 

新規書類と毎日の出面チェック、特殊動物や報告への対処、プロトコルの制作、資材等の搬出入の手配及びチェック、トラブル対処、本土への連絡、アニマル・コントロール、参入営利団体とのやり取りなどなど……。

 

本来、予定していない緊急事態の発生で、各方面はドッタンバッタン大騒ぎ。

本土もそうらしいが、世界的に騒がれているんじゃないか?

 

だけど、最前線でホットスポットなジャパリパークの職員はスゲェ大変だ。

 

パークに来たのは、フレンズとキャッキャッする為で、労働天国による疲労感を味わいに来たんじゃない。 そんなの前世で間に合っている。

 

ミライやカコは、本来の業務に集中しており忙しい。 中々会えない。 カコに至っては、島に来てから1度も会ってない。

菜々は、特殊動物発見の報の影響で、もっと後から来るらしい。 寂しい。

 

園長は、知らん!

 

とにかく、今を過ぎれば落ち着くはず。 これもパークの為だ。 俺は皆の為に努力しているのだ。 将来の為、フレンズとの楽しい時間を過ごす為。 必要なんだと自身に言い聞かせる。

 

中々どうして、知り合いのヒトにもフレンズにも会えないが、心の寂寥感に耐えるのだ。

 

かのようにして。

俺はレンジャーの制服を着せられて、ジープに詰められて。

身体を揺らされながら、本職レンジャーと共に森へ向かうのでした。 ぐすん。

 

 

「これから向かう森は、解放されたけもの もいるが、大人しい子ばかりで比較的安全ではある。 だが、世界的に有名になったジャパリパーク。 拉致し、住処を荒らす輩が出るかも知れん。 また、セルリアンと呼称された存在が侵入してくる可能性があるんだ。 そのモノ共から、けもの 達と森を守るのが任務である」

 

 

隊長格っぽい、ゴツい日焼け色のオッさんが運転しながら説明する。 長い。

 

現状、パーク・レンジャーの制服と思われる黄土色の服を着ており、デザイン的にはミライの探検服に近い。

ただし彼の場合は、ぱっんぱっつんで筋肉が浮いて見える。 赤いベレー帽を被り、胸元には無線機。 その様は兵隊さんだ。

 

外国人だろうか。 流暢な日本語ではあるけれど。 何にせよ、共に働く仲間に違いはない。

 

でも、ちょっと怖い。

 

 

「アニマルガールになった子もいるそうだ。 俺は既に見たが……ありゃ凄かった。 奇跡とも言える。 お前は見たか?」

 

「い、いえ! まだ見れてないです」

 

 

隊員に先越された。 俺、転生者なのに……未だ見れてないよ。

 

こんな心境を察してか否か、ガハハッと豪快に笑う隊長さん。

 

笑えるんだ。 失礼ながらも思った。 怖いイメージが、森の何処かへと吹き飛んでいくのが感覚で伝わる。

 

見た目と反して良いヒトなのかも。

 

 

「運が良ければ今日、森で会える! 驚くぞ!」

 

 

嬉しそうに、喜びを分かち合うように。 隊長はもう一度笑い声を上げる。

 

それは我が子自慢のような。 力強くも優しい包容感を醸し出す。

 

ヒトは見た目じゃ分からない。 だけど、笑顔っていうのは良いものだ。 心が和むね。

 

前世では……騙されて、死んじゃったけどさ。

 

いかんいかん。 ポジティブにいかなきゃ。 疲れてるからか、マイナス思考になっているじゃないか。 しっかりしろ、俺!

 

よし。 ココは仕事の話をしよう。 具体的には班員について。

 

 

「班員は、あと「俺とお前だけだぁ!」あっ、はい」

 

 

明るく、力強く答えてくれたよ。

 

またこのオチである。

 

人手、早く増やして。 過労死する前に。 お願い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついたぞぉ!」

 

 

草木の如雨露から零れ落ちた陽が、優しく根を濡らす中。

 

俺は目立つ木や建造物が全く無い場所で降ろされた。 地方の境界でもなさそうだ。 つまり右も左も森。 意味分かんないです。

 

 

「すんません。 ココがそうなんですか?」

 

「そうだ! 俺には分かる。 案ずるな」

 

 

案ずるよ。 勘でやってるのか。 優しいのは良いとして、頭は脳筋野郎か。

 

 

「お前の考えている事……痛い程に分かる。 俺もそう思うからだ」

 

 

ごめん。 何の根拠もない。 というか、意味不明。 アンタと俺の脳は違うのよ。

 

一応、相槌は打つけど。 今の上司だし。

 

 

「そう、なんです?」

 

「ああ。 ヤバいな!」

 

 

おお。 分かってましたか。 自覚があるのは救いが、

 

 

「セルリアンの気配だ…………ッ!」

 

「成る程ヤバいですね直ぐ逃げましょ大至急」

 

 

踵を返して、車に戻る俺。 救いはない。

 

野生的勘でも、それは怖い。 パークにいる以上、遅かれ早かれ出会う事になるとしてもだ。

 

俺はフレンズみたいに強くない。 あの子のように、バスの運転席部分を持ち上げられたり、漫画版でいうと300キロの大岩を投げたりするチカラはない。

 

一般ピープル。 非力。 武器もない。 どうするの。

 

うん。 逃げるよね。

 

 

「逃げてはダメだ。 ココには守るべきモノがあるのを忘れるな」

 

「いやいや。 どう立ち向かうのです。 セルリアンだとして、素手で立ち向かえないでしょ」

 

 

勇敢と無謀は、似て非なるものだ。 ヒトの純粋なパンチやキックで、セルリアンを倒せるとは思えない。 意思の疎通が出来なきゃ、注意喚起等の呼び掛けも意味がない。

 

無理に危険な賭けをする必要はない。

 

その事を言おうとして、隊長の方を向き直ると。

 

 

「むっ!」

 

 

正面の草木がガサガサと動き始めた。 音は大きくなっていき、近寄ってくるのが分かる。

 

何か来る。

 

隊長、マズいですよ!

 

その気持ちを察してか。

筋肉モリモリマッチョマンは、親指を立ててグッドポーズ。

 

振り返って、ニカッと歯を輝せた。

それ、今必要かな?

 

 

「問題ない!」

 

「前を向いて下さい!?」

 

 

刹那。 草木をかき分け、どぱーんと、

 

 

「ばぁ! なんちゃって!」

 

「うわぁ……あ?」

 

 

出て来たのは、可愛い女の子。

 

茶色のノースリーブ服にホットパンツを履き、白黒模様のアームカバーとタイツを着用。

 

左右に跳ね広がったショートヘアの色は少し茶色っぽい。 スカーフ風な白色リボンを首に巻いている。

大き目の耳が頭から生えている。 瞳の色は茶色。 お尻から生えた尻尾の形状はキリンとよく似ている。

 

フレンズ……フレンズだ!

 

 

「オカピだゾッと♪」

 

 

そして、オカピのフレンズ。

アニメでは、ジャングルちほーで、怒涛の紹介ラッシュの1人であった。

 

脚のシマウマのような白黒模様が、美しい。 森の貴婦人と呼ばれるのも納得というか。

 

だがそれ以上に、出会えた奇跡に感謝します……ッ!

 

嗚呼! 長かった!

 

やっと、フレンズに会えたよ!

 

 

「ちょ、ちょっと泣かないで!? ごめんね! そんなに怖がらせるつもりはなかったの!」

 

 

驚かせて、泣かせてしまったと思ったオカピが慌てて謝ってくる。

優しい子だ。 でも、ちゃんと説明はしておこう。 罪悪感が。

 

 

「違うんだ……。 キミに会えて、とても嬉しくて。 涙が溢れちゃうんだ」

 

「ハッハッハッ! 出会えた奇跡に感謝だな! 俺も、また会えて嬉しいぞ!」

 

 

隊長がバシバシと背中を叩いてくる。 痛いです。 でも、この感覚、懐かしい。

 

俺は疲れた心がじんわりと温まる感覚を味わう事にした。

 

 

涙が止まるまで、隊長とオカピは側で微笑んでくれた。

 




あーかいぶ:(当作品設定等)
パーク・レンジャー
日本では環境省管理下の地方環境事務所の職員の通称。 特に、国立公園を管轄する自然保護官の呼称として用いられるそう。 作中ではジャパリパークの森等を守る為に活動しているヒト及びヒト達。
ココでは、地球を守るべく組織名を叫ぶ某軍事組織ではないので注意。

国家公務員の試験に合格して、地方環境事務所に配置されたものがなるらしいが、ジャパリパークの職員はどうなのだろうか。
登場したのは脳筋そうなヒトであるが……見た目に騙されてはならない、ということか。
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