パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 違和感あるかも。

漫画版に出てきた都市部と、リカオンがいるケーキ屋へ。


都市部と真面目な まんまる耳

キタキツネの担当を菜々に任せ、俺は別命あるまで休暇となった。

 

やったぜ。

 

菜々と共に、キタキツネの世話をするのも考えたけど……。

 

僕は疲れたよ、ナナラッシュ。

 

偶には休みたいのよ。

 

開園前から、あっちこっち行かされて自由時間がなかったんだ。

ようやっと手にした休暇。 転生者ならではの、主人公に随伴して手助けするコマンドなんて期待しないでくれたまえ。

 

ぶっちゃけ。 何かあっても、キタキツネや周りのフレンズが自力で何とかするので。

 

そこに俺という異物が混入して、逆効果になっても嫌だし。

 

とはいえ。 せっかく、第1世代の漫画版にいるのだ。

ヒトとフレンズが入り混じり、笑い合う尊い光景を、輝きを見ていこう。

 

将来の不安はあれど、現状、妙案が浮かばない。

 

取り敢えず都市部でもフラつこうかしら。

 

ジャパリパークにも本土みたいな都市機能を持つ区画があるからね。

車が走って、ビルが建ち並ぶ。 そこに多くの営利団体やヒト、フレンズが入り混じる。

 

観光要素はないけれど、ヒトとフレンズが一緒に生活するとなると……こうなるんだろうなぁって思える光景があるのだ。

 

アプリやアニメから入ると、驚くコマである。

漫画版ではキタキツネの社会勉強で都市部が出てきたかな。 当初は驚いた。

 

 

「都市部、といえば」

 

 

コンビニ、ケーキ屋。 漫画で出てきたスポットが浮かんだ。

 

本土においては珍しくもなんともなく、パーク内の売り物も大きな違いはない。

一応、「ジャパリなんとか」という言い回しの商品が見受けられるが、本土でも味わえるモノが大半。

わざわざパークで買う程じゃないだろう。

 

だがしかし! 店員はフレンズだったりするのだ!

 

社会勉強やフレンズとヒトが共存する上での試験的な取り組みの一環である。

 

もちろん、危険や事故がないよう、充分な教養を施されたフレンズが主に採用されている…………はず。

 

はず、というのは。

 

漫画版において、パップの詰め合わせを売るコアラがいるからだ。

もし、コンビニに行ってコアラがいて、勧められても全力で断りにいこう。

 

だって、ねえ?

 

アレはアレだからね。 離乳食以前の問題だよねぇ?

 

けもの 大好きなミライだって、パップネタには慌てるんだ。 いくら彼女でも、その辺は断るだろう。

 

…………断る、よね?

 

まあ、とにかく。 フレンズが接客しているのだ!

 

尊い事に違いはあるまい?

 

 

「ふっふっふー。 場所は分からないけど、適当にフラつくだけで充分だろ!」

 

 

そうして、試験解放区の都市部へと歩む俺。

一応、寮も区画内に組み込まれてたりする。

 

一歩、小さな玄関から出た瞬間。

 

広がるは、フレンズやヒトが住む一軒家やアパート等の住宅地。 居住区だ。

 

ガードレールに信号機。

舗装された道路と歩道。

 

そこを走る一般車両。

 

歩道には買い物に向かう主婦らしきヒトと、獣耳と尻尾を生やした……イヌ科のフレンズが、すれ違う際に会釈(えしゃく)

 

尊い。 萌えすらある。

 

その足先は、更なる文明群に通ず。

 

 

 

 

 

研究、飼育を目的とするジャパリパーク・サファリ区分。

 

その内の試験解放区(しけんかいほうく)

 

ヒトとフレンズが共存する場所が、パークに、漫画版に、そして目の前に。

 

文明をフレンズに触れさせ、与え、その上での結果を模索する、自由な試験場。

 

本当に動物園かよと疑わずにはいられない、そんな場所。

だけど、様々な可能性が見えてくる場所。

 

そんな都市部へ、いざ行かん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まんまるの、大きな おみみ。 白いシャツ。

黒と白のまだら模様のインナーを、腕より覗かせ、首下に黒いリボン。

駆ける上で機能美溢れそうな短パンは、ボーイッシュな印象を与える。 お尻から生える しっぽは、フサフサしていて毛並みが良い。

 

アニメにも出てきた、我らが後輩。

 

して、漫画版ではケーキ屋の店員であるフレンズ。

 

そんな可愛い子が今、目の前にッ!

 

 

「いらっしゃいませ。 ご注文をどうぞ」

 

foooooooooo(ふおぉぉおぉお)!」

 

 

リカオンに、出逢えたぁ!

 

嗚呼。 感涙不可避。

 

まさか散策していたら、偶然にも漫画版に出てきた「ジャパリケーキ」なるケーキ屋に辿り着き、リカオンにも会えるとは!

 

なんという僥倖!

 

感謝ッ! 圧倒的感謝…………ッ!!

 

 

「えーと。 お客さま?」

 

「ごめん。 俺、リカオンのフレンズに会うのは初めてでさ。 嬉しくて」

 

「は、はぁ。 ありがとうございます?」

 

 

困惑するリカオンに対し、カウンター越しに俺は尚も感涙が止まらない。 滂沱。

 

営業妨害なのは分かっている。 俺が変人なのも理解している。 だけど、嬉しいのだ。 出逢えた奇跡の眩しさに抗えない。

この島は地形や文明の度合いに関係なく、ヒトに感動を与えてくれる!

 

第1世代のリカオンも、真面目な子なのだろう。 口調は物腰柔らかで、少し違うかなと思わせる部分はあるけれど。

 

それから、なぜケーキ屋の店員をやっているのか分からないが。

 

まあ、そこまで干渉はしない。

 

それぞれの道である。 妨害はしたくない。

あ。 営業妨害だったわ。

 

 

「……落ち着いた。 この、ショートケーキをひとつ下さい」

 

「分かりました」

 

 

注文は、ちゃんとする。 騒ぐだけ騒いで、店を出るのはマジで妨害以外でもなんでもなくなってしまう。

 

動物園ではあるが、その前にケーキ屋である。 して、彼……じゃなくて彼女は店員さんだ。

 

オーダーを受けたリカオン。

俺の奇行には突っ込まず、通報もしないで仕事に取り掛かる。 うん。 ありがとう。

 

手慣れた動作で、一切れのケーキを専用トングで優しく摘み……お客さん用の、小注文用の長方形の白い箱に入れて、袋に入れていく。

 

その何気ない、本土でも見かける動作。

 

それが何故か、とても凄い。 凄くない?

 

フレンズが、こうも「接客」して「道具」を使っている。

コレが如何に大変で、スゴい事か。

 

生まれた時から言葉を話し、二足歩行が可能という不思議な子たちであるが、読み書きは出来ない。

 

道具の用途も理解してない事が多い。

 

だがしかし。 覚えてしまえば、ヒトとの差異はない。

 

アニメで、その手の描写は多かったな。

 

タイリクオオカミが「ペン」を「手で持って」「紙」に漫画を描いていたし、キタキツネは「ゲーム」をしていた。

サーバルは「紙飛行機」を「投げた」ワケで。

 

違うのは、カップをお客さんの前ではなく、一点に集中して置いたり、椅子に座る時はスカートを内側に入れないで、そのまま座っちゃったりかな。

 

1世代は、はっきり文明に触れさせて教えている様子。 受け答えや動作もヒト基準な気がする。

 

うむ。 多くの不思議と可能性。

 

少し野生や幼さがなくて残念、とも言うべきか?

 

 

「お待たせしました───大丈夫ですか?」

 

「へ? ああ、ごめん」

 

 

考察している間に、注文品が目の前に。 あかん。 これ以上は迷惑かけられない。

 

お金……ここでは日本円を渡して、商品を受け取る。

 

ちょっとリカオンの手が触れた。 ドキドキした。

 

女の子との経験なんて、ないからね。 感動と嫌われないかの不安が湧いてくる。

 

チラッ。

 

可愛い顔を見た。 特に問題なさそうだ。 可愛らしく首を傾けているから。

 

いや、問題はあった。 萌え死ぬ危険が出てきたぞ。

 

心のミライは制御しているつもりだが、あまりいると理性が飛ぶ。 して、物理的にも社会的にも死ぬ。

下手すると、怒ったリカオンに生きたまま喰われるかも知れない。 どんと、いっと、みー(食べないで下さい)

 

ミライならプリーズ(食べて)か。 いや、言い過ぎた。

 

何にせよ避けたい。 もう少しリカオンを眺めていたいけど、この辺にしておこう。

敵は多いんだ。 管理センターとかミライとかカコとか。

 

因みに。 通貨は、ジャパリコインじゃなくて円なんだよね。 漫画版にて、コンビニの時にそんなセリフがあった。

観光地の方では使われている様子だけども。

 

 

「あ、それと」

 

 

疑問をボカして聞いてみよう。

もうひとりフレンズが、働いている筈なんだけど。

 

 

「他に、フレンズがいないかな?」

 

 

具体的にはマーゲイが。

アニメではアイドルオタクな感じだったが、第1世代はクールで真面目な印象。

 

だけれど、百合(ゆり)好きな面が。 いや、良いんですよ。 俺も嫌いじゃないわ!

 

 

「いますが、今日は非番(ひばん)なんです」

 

「……そうですか」

 

 

残念。

また時間が出来たら、覗いてみよう。

 

あまり シツコイと、いよいよ通報ものだからね。

 

 

「その。 失礼ですが、パーク職員さんでいらっしゃいます?」

 

 

ここでリカオンから声が。

おお。 これは仲良くなれるチャンスじゃね?

 

妄想脳がドッタンバッタン大騒ぎ。 これを逃す手はない。

 

 

如何(いか)にも。 俺はパーク職員だよ。 臨時(りんじ)だけど」

 

「お名前を聞いても良いですか?」

 

「杏樹。 あんず の 樹木で、あんじゅ」

 

 

女みたいな名前だろ。 でも男です。 リカオンは男の子みたいだけど、女の子みたいな感じに。

 

そう考えると、接点あるよね!

 

 

「あんじゅ さん。 分かりました」

 

 

頷くと、内側へと戻っていくリカオン。

 

おっ。 なんか くれるのかな?

 

連絡先とか?

 

どうしよう。 仲良くなって、菜々みたいに「せんぱーい!」とか言ってくれるような従者と主人の関係になったら。 グヘヘ。

 

 

「───もしもし。 管理センターですか? リカオンです。 杏樹と名乗る職員が、お店に来まして」

 

 

思わず店から飛び出した。

 

あかん。 通報されてるぅ!

 

判断は一瞬。 行動は迅速(じんそく)に。

 

俺はケーキ屋から、ダッシュで離れた。 色々手遅れだった。

 

ワッパをくれそうだよ。 主人じゃなくて、犯罪人扱いだよ。 被害者と加害者みたいになってるよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後。 名前が割れているので、直ぐ俺に連絡が。

管理センターに、めっちゃ怒られた。

 

カコにも、どこで情報を得ているのか、メール越しに怒られた。

 

俺は泣く泣くリカオンに謝りに行き、許しを得たのと、誤解を解く。

 

一応望んだ形というか……連絡先の交換も行えたのは良かったが。

 

はぁ…………。

 

今回、俺が悪かったよ、確かに。 以後、気をつけようと思う。

 

だけど。 1番腑に落ちないのが、

 

 

「杏樹さん。 フレンズさんは、私も好きです。 けれど、迷惑をかけちゃ駄目ですよ」

 

 

ミライよ。

お前には言われたくなかった。

 




あーかいぶ:(当作品設定等)
リカオン
ネコ目イヌ科リカオン属

哺乳類。 本種のみでリカオン属を構成。
頭胴長約1メートル、尾長約40センチメートル。 ハイエナに似る。

サハラ砂漠以南のアフリカ大陸に分布。 最少で3、6頭からなる家族群を形成して生活。 群れ内の性比はオスの方が大きい。
日本では特定動物。 けれどフレンズ化した子は、自由を与えられている様子。

杏樹のメモ:
フレンズとしては、アニメにも出てきた。 漫画版やアプリは、多少性格は違えど、共通して真面目な印象を受ける。
持久力があり、群れの連帯力が強く、獲物を長距離にわたって追いかけるんだったか。
フレンズ化した後も、その辺の強さは引き継いでいるだろう。 敵には回したくない……。 他の子にも言えるけど。
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