パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。

青虎と出会います。 普通とは何だろう?


奇跡の獅子は「普通」に焦がれる。

 

 

「マルタタイガー。 それは大陸側で約100年前に報告されたという幻の青虎。 実はな、パーク内で見たという報告があってな!」

 

「そう都合良く見つからないでしょ」

 

 

研究所に戻ろうとしたら、これである。 森を早く脱しないとセルリアンにチョメチョメされてしまうというのに。

まったく。 撤収とはなんだったのか。 UMA好きに付き合うのも楽ではない。

いっそセルリアンに襲われて、その意欲を少し削って貰った方が良い気さえする。

 

 

「都合良く見つからないのがUMAや珍獣だ。 簡単に見つかったらツマラナイだろう?」

 

「珍獣ですか。 コモド島とか行った感じで?」

 

 

共に森を歩きながら、軽口を言ってみた。

して、コモドドラゴンと命懸けの競争をするんですかね。 案外、部長ならやるかも知れない。

 

 

「行ったことはある。 コモドオオトカゲは毒が危険だからな、あまり近寄れなかった」

 

 

あるんかい。 行動力の化身である、俺の思い付く場所は大体行ってんじゃないだろうか。 部長、恐ろしいヒト!

 

 

「今では、パークでも観察出来るがね。 サンドスターの影響か、UMAやカミサマの話まである。 本当に、ココは現代の楽園だよ」

 

 

そう言って遠い目をする部長。 楽しさとは別の感情が混ざっている様子。 様々な場所へ行き多くの経験を重ねてきた年配者としては、思うところがあるのかも知れない。

だが楽園、ね。 それには同意する。 かばんちゃんのいる未来(せかい)でも そう言えるのだろう。

そして世界中の けもの が集められているパークは、ノアの方舟(はこぶね)なのかも知れない。

そう考えると外界の けものや、ヒトは……いや。 考えるのは止めよう。

今を生きねば。 そも、そうならないように俺はジタバタしている。 ダメなら仕方ないが、信じてくれるヒトは多い。 ポジティブにいこう。

とはいえ。 ルターを探すにも、場所は知っているのだろうか。 知らないと困る。 フラフラするぶん、セルリアンに襲われる危険が高まる。 聞いてみよう。

 

 

「そんな楽園にいる、ルターの居場所はご存知で?」

 

「ルター? 免罪符の話かい?」

 

 

あっ……。

しまった。 愛称で言ってしまった。 取り敢えずテキトーに誤魔化すか?

 

 

「いえ。 マルタの ルと、タイガーの タで略したというか。 すいません」

 

 

なんで謝ってるんだろう俺。 そんな悪い話じゃないのに。

うーむ、部長のように年配のヒトほど略語が嫌いそうなイメージがあるからか。 何略してんだ、ちゃんと言え的な。

そんな不安を抱えたが。 当の部長ははっはっはと笑い飛ばした。 森に響き、草木の擦れる音と合わさる。 不特定多数に安心させられた気分になって……ホッとした。

 

 

「なるほど。 その名の方が愛着が湧いてくるね」

 

 

うんうんと頷く部長。 優しいヒトで良かったよ。 このヒトとなら、UMA探求に付き合うのも悪くないな。

ギスギスしながら、危険な未知の領域に行くよりは。

 

 

「ルターの場所。 この辺りなんだがね」

 

 

あっ、そうなの?

言われて辺りを見回した。 草木しかない。 風で揺れるものはあれど、けもの や アニマルガールの姿は無いんですけど。

 

 

「いませんね」

 

「そう簡単に見つからんさ。 故に幻と───」

 

 

そう言った刹那。 スッと木の陰から青い制服に身を包んだ美少年の横顔が。 手には青薔薇。 そよ風に吹かれ、美しい青髪とスカートが僅かに揺れている。 映画のワンシーンかナニかですか?

どこの貴族校の生徒ですかねという その格好。 よく見ると 青いケモ耳と青くすらっと長く細い尻尾。 虎斑(とらふ)の模様がある。 アニマルガール、トラの子のようだ。 反射的に胸を見た、少し膨らんでいた。 男の悲しい性。

 

 

「やあ。 僕をお探しかい?」

 

 

そして、掛けられる甘く脳を蕩けさす美声。 イケボボイス。 本当に女の子なのかい。 いや、女の子だろうけど。 スカート履いてるし胸あるし。

その美少年系ガールと貴族オーラに思わず「抱いて!」と言いたくなるが、

 

 

「アイエエエエ!? ナンデ!? 青虎ナンデ!?」

 

 

口から出たのは驚愕の声だった。

へ、ナンデ? こんなアッサリ出てきて良いの?

キミ、レアなフレンズでしょ。 UMA的な子でしょ。 最高レアリティな感じでしょ。 良いのかい、こんなんで。

 

 

「出会えた奇跡に感謝だな」

 

 

驚愕する俺を置いておき、カシャカシャと撮影を始める部長。 許可を取らずに撮りまくるパパラッチの図。

こういうところは良くないよね……違うそうじゃない。 今は感動と混乱の中にいるんだ。 何とか状況を噛み砕いて飲み込まねばならない。

 

 

「き、きき君! マルタタイガーかい!?」

 

「ああ。 トラの中でも希少な種、それが僕……マルタタイガーさ。 ルターと呼んでくれ」

 

 

どことなく憂いを帯びた表情で、自己紹介をしてくれるルター。 この世界の彼女は、一人称は僕なのね。

切なくも素敵な表情に胸がキュンキュンしちゃうが、ココでパタリとシャッター音が消える。

 

 

「ふむ。 杏樹君、やはり未来を知っているのかい?」

 

 

ああ、ルターの名前で反応しちゃったか。 まあ、ツッコまれる可能性はあったな。 変に誤魔化したツケか。

偶然、俺と彼女の考えた愛称が被ったという主張も出来るが……これ以上面倒になっても困る。 俺は冷静になると素直に頷いた。

 

 

「はい。 ルターがパークにいるであろう事は予想していました。 そう名前を名乗る事もです。 でも、こうも早くに会えるとは。 騙すつもりではなく……すいませんでした」

 

 

またも謝る俺。 隠し事とはツライさん。 俺もフレンズみたいに明るく楽しく生きたいなぁ。

そんな暗い俺に反して、部長は明るく返答してくれる。 本当、良いヒトだ。 こんなヒトが前世でもいてくれれば……過ぎた昔話は良い。 いつまで引き摺ってるの俺。

 

 

「気にする事はない杏樹君。 私は不思議や疑問とは自分で見て聞いて感じたいと思っている。 例えるなら推理小説みたいだと言うべきか。 逆に、先にネタ明かしをされても、自分で確かめに行く楽しみが出来る。 深く悩む事はないよ」

 

 

おぅ。 素敵なヒトや……。

許す許さないではない。 考え方が俺側ではない。 理不尽や偶然を、それが人生だと謳歌(おうか)しているかのよう。

俺も こうなりたい。 生きているなら幸せに、楽しく過ごしたい。 特にココは楽園なのだから。

 

 

「───僕のコトを知っているのかい?」

 

 

楽園のイケメン ルター君から声を掛けられた。 いけない。 一瞬とはいえ忘れてた。 UMA状態。

 

 

「うん。 少しだけ」

 

「私も知ってるぞ! 奇跡の獅子、幻の青虎……ッ!」

 

 

あかん。 部長が荒ぶり始めた。 感動がまたも薄れていく……。

見ろ。 ルターが また憂いを帯びた表情になっていく。 少し自重しようず。 少し咎めねば。

 

 

「ルターは嫌がっているみたいですよ」

 

「大丈夫だよ。 えっと、あんじゅ君で良いかな?」

 

 

大丈夫というルター。 して、今頃になって名乗るのを忘れていた。 大変失礼した。

 

 

「そう。 杏樹だ。 パーク臨時職員だよ。 ごめんよ、名乗るのが遅れた」

 

「同じくすまない。 私はジャパリパーク動物研究所、記録保存チームの者だ」

 

「改めて よろしく。 気にする事はないよ」

 

 

おう。 イケボボイスを掛けられる度にドキドキしちゃうんだけど。

でも、大丈夫という件は無理しているんじゃないか?

ルターはアプリの動画を見ていた感じ、その美貌と甘い声、高貴そうな風格で多くの けもの を魅了していた印象だ。

狙ってやっているワケじゃなく、天然タラシだから手に負えないというか……どこの主人公ですかな?

そんな子であるが。 一方で、内面を見てもらえないとルターは苦しんでいた時もあったそうな。

今現在、パーク運営が始まって年月は浅い。 今、彼女は その苦しんでいる時期にいるんじゃないだろうか。

その憂いを帯びた表情も、その現れだと考える。 ならば寄り添えないだろうか。 幸か不幸か、俺はソレを知っている。

モテモテイケメン(ルターは女の子だけど)のモテ過ぎる悩みなぞ、唾棄してバイバイしたいが、理解者がいないのは苦しいもの。

だけどせめて、せめて何かしてあげるならば。 彼女の苦しみに同情し、少し寄り添ってあげる事しか出来ない。 それで和らぐならば出会えた価値もあると思う。

だから、俺はルターに話しかけた。 彼女の 悩みを聞く為に。

 

 

「───気にする事がある。 ルター、君は普通になりたいと悩み、願っているね?」

 

 

言われたルターは目を見開き、驚いた。 何故知っているの? といったところか。

それは裏を返せば、今まで理解者が現れなかったということ。

この様子から、同じ境遇というゴールデンタビータイガーのルターにも出会ってないのかも知れない。

 

 

「その通り。 僕は奇跡の獅子として皆から大切にされてきたが、内面を見てもらえず、ツライと感じている。 故に普通に憧れているんだ」

 

「そうか」

 

 

予想通りのようだ。 だからといって嬉しくはない。 苦しんでいるのが分かった今、どうして捨てておけようか。

昔の俺だったら、適当に相槌打って別れるタイミングを見計らうね。 それをしないのは、相手がアニマルガールなのもあるけど、俺には寄り添ってくれるヒトやフレンズがいるからだ。

ならば、俺もそうなろう。 彼女が現れたのも、俺たちに何か期待を込めたのもあるかも知れない。

とはいえ。 教えるのは難しい、普通とはなんぞやという哲学的な問答もある。

 

 

「普通か。 上手く教えられないけど、ありのままの、自然体は……ダメか」

 

「ああ。 みんなに注目されてしまったよ」

 

 

自然体はダメみたいですね……。

雰囲気が貴族オーラだからね。 それと彼女の普通、自然体は天然しごろ、たらし なそれである。 挙句に無自覚系。

それを知っている俺も、きゅんきゅんしてしまった。 いけない、俺にはカコがいるのに……ルターさん抱いて!

 

 

「ふむ、普通か」

 

 

ここで平常心になった部長、声を上げる。 ナニか良い話でもありますか?

 

 

「偉人の名言に、"普通とは存在しない。 いたらお目にかかりたいものだ"という言葉があった気がする」

 

 

えーと、アインシュタインの言葉かな? あまり詳しくないけれど。

普通……ふとマイルカを思い出した。 あの子は元気だろうか。 また会いたいな……海獣園にいるんだったかな。

一方ルターは、気になって聞き返す。 普通に焦がれるのに、普通がないとは。

 

 

「普通は存在しない?」

 

「万事が認める普通とは、そうない。 誰かにとっては異端であり、逆に別のヒトからは普通に見える。 仮に皆が思う共通の普通があっても、時代と共に考えが変われば普通も変わるものだ」

 

 

真顔で語る部長。 普通じゃないコトを追いかけている年配者が言うと、重みが違うね。

ゆったりとした時間と口調の中では、不思議と心に響く言葉。

自身の中にある宇宙への旅立ち。 それを誘うには十分な威力である。

 

 

「ルター君。 君の思う普通とは何だい?」

 

「僕の思う普通は───」

 

 

学校の問題のように、決まった答えはない。 ルターの思う"普通"がどうであれ、それもまた"普通の答え"なのだ。

 

 

「───すまない。 難しいな」

 

 

ところが、答えを上手く出せないルター。 困った表情も絵になって美しいが、内心はツライさんなのだろう。

部長もソレを思ってか。 強く解答を出す事はせず、やんわりと対応していった。

 

 

「ふむ。 様々なモノを見聞きし、自分なりの答えを見つけて行くと良い。 慌てる事はない、というわけで」

 

 

あれ。 なんで急に笑顔なんですか。 もうね、いや〜な予感がして来たよ。 そして面倒ごとに巻き込まれる、名推理。

 

 

「記録保存チームに入らないかい!? 様々な場所に赴き、様々なモノを見れるぞ!」

 

「突然の悪徳勧誘は止めましょう」

 

 

やはりそうかい。 被害が拡大する前に止めに入る。 相手が けもの でも見境なしだ。

ルターもよく分からないからか、苦笑して断った。 良いぞ。 かしこい。 かしこさが足りぬフレンズならば「楽しそう!」とホイホイついて行っちゃうトコだ。 良かった。

さて。 断られた部長は、心底残念そうにしょげている。 皺も心なしか増えて見える。 ちょっと可哀想かな?

 

 

「むぅ、残念だ。 ルター君がいれば予算も仲間も増えそうだったからな」

 

「ここに来て欲を晒すのはNG」

 

 

可哀想じゃない、醜かった。

毎度このヒトは感動をぶち壊す。 馬鹿な俺だが、そろそろ ソレは覚えておこう。 良く言えばシリアスブレーカーだから、良いとこもあるけど。

 

 

「とまあ、冗談は置いておこう」

 

 

冗談だったの? ガチに聞こえたよ。

 

 

「参考までに、我々の普通を見て行くかい?」

 

「良いのかい?」

 

「良いとも」

 

 

良くないともー。 勝手に話が進んでいるけど、俺や部長の素行を見ても参考にならないと思うぞ。 寧ろ悪化するまである。

フレンズもヒトも千差万別である。 それは良い。 だけど俺は転生者であり、周りからは預言者だの問題児だのという少しアブノーマルな扱いだ。

ルターが悪いコトを覚えたら大変だ。 具体的にはカメラを持ってヨダレ振り撒く ケダモノ、知り合いで言うとミライ化。

まさか なるまい、と思えど まさか の可能性はゼロじゃない。 イケメンがヘンタイになった姿もゾクゾクしそうだが、ココはルターの為を思って上手く避けねば……。

 

 

「では杏樹君。 彼女と共に、しばし行動したまえ」

 

「ファッ!?」

 

 

いやいやいや。 ナニ言い出してんスか部長、仕事を勝手に作って押し付けないで下さいよ!?

部長が1人であれこれやるよりマシだろうけど。 マシ、だよな?

 

 

「ちょ、部長は?」

 

「私は研究所に戻らねば。 未来に備えて、ね」

 

 

くっ。 そう言われては強く言えぬ。 追い討ちを掛けるように、ルターも甘い声を上げてきたし。

 

 

「すまない、迷惑をかけてしまったね」

 

 

憂いを帯びた表情でのイケボ ボイス。 あん、胸の奥がきゅんきゅんしちゃうじゃないの。 なんなら下半身もムズムズしちゃう。

全く。 断れないじゃないか。 あわよくば このまま お持ち帰りして、チョメチョメ出来ればと思う。 逆にされるのでも良い。

うん、俺の心って醜い。

 

 

「あー、大丈夫だよ。 一緒にいられて嬉しいからさ」

 

「そう言ってくれると、僕も嬉しいよ」

 

 

美しく、宝石のような青色の中、眩い笑顔を浮かべるルター。

研究所にはカコもいるし、部屋にはニホンオオカミがいる。 なのにイケメン……じゃなかった、女を部屋に連れ込むとか。

でもほら。 カコは研究(しごと)で中々会えないし、ニホンオオカミはパリピとワンダフルだし、寂しくなっても仕方ないじゃん。

何だか俺ってクズ男と化しているんだが、ルターの笑顔を見ていると全てが許される気さえしてくる。 そも、コレは仕事なので仕方ない、俺の免罪符。

 

 

「所には私から伝えておこう。 落ち着いたら研究所に戻って良いからね」

 

「……えぇ」

 

 

そう言って、笑顔で研究所に戻る部長。 勝手に話が進んで仕事を与えてオサラバとは。 コレはヒドイ。 良いヒトなのか悪いヒトなのか分からん時がある。

とにかく。 直ぐに研究所に戻れそうにないな。 ルターに普通をそれっぽく教えて、切り上げねば。 カコの視線が絶対零度になる前に。

 

 

「あんじゅ君、これから よろしく」

 

 

一方で 優しく穏やかな視線を送ってくれるルター君。 味方は君だけだよ。

 

 

「こちらこそ」

 

 

手をさし延ばす。 逡巡なく素直に握り返された。 手の平は 何となく柔らかい。

さっきまで感じていたドキドキとは違う、何となく温かいモノがコンコンと湧いてくる。

 

───やっぱフレンズって良いなぁ。

 

姿形十人十色。 イケメン系でも女王サマ系でも、ふと思えば皆可愛い良い子たち。

自然と煩悩は消えていく。 心が軽くなっていく。 そうだ、コレが良い。

 

やはり、ジャパリパークは楽園だ。

 

故に導かねば。 正しいとか間違いとか、そんなものは分からない。 たぶん、普通と同じように万事が認める解は無い。

でも、それで良い。 自分なりの答えを見つける事が出来るなら。

ルターもそうさ。 いや、ルターに限らない話。 全てのフレンズとヒトに言える問いである。

 

 

「そんじゃ、行こうか」

 

 

握手の手を握ったまま、俺は歩き始めた。 共に歩く道。 だけど、ゴールは違う道。

恐れる事じゃない。 それは魅力である。 輝きである。 だから互いに惹かれ合う。

思えば、多くの事に魅了されてきた気がする。 これからも、きっとそうだろう。

そう考えたら、未来という未知は楽しい世界に思えてきた。

 

俺は自然と微笑んだ。 それは作り笑いのような、心ない乾いた笑みではない。

 

純粋な心からきたものだった。

 




あーかいぶ:(当作品設定等)
ノアの方舟
旧約聖書創世記の洪水にまつわる話に出てくる舟の物語、または方舟自体を指すらしいよ。
義人ノアは人類の堕落に怒った神の命を受けて箱舟を造り、その家族と動物たちとともに乗りくみ、神が起こした大洪水を生き延びたという。

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