けもフレ世界は、ジャパリパークが舞台。
自然に内容は、パークやフレンズがメイン。 外の情報は殆ど無い。
だが、あるにはある。 少ないだけで。
例えば。 カコとミライは幼い頃、動物園で出会ったという。
その時、ちょっぴり歳上のカコがミライに色々と動物の話をしてあげており、ミライのけもの好きに拍車がかかったそうな。
その光景は、ちょうど今じゃなかろうか。 カコの両親と、俺の今世の両親共々仲良く動物園に来ているのだから。
何度か動物園には共に来ているが、ひょっとしたら今日こそ、その光景を観れるのではないか。
して、それは叶う事になる。
「それでね、ホワイトタイガーは───」
「そうなんだ!?」
目の前で出会った緑髪の子と、馴染みのカコがキャッキャッと、けものの知識を生き生きと会話中。
うん。 たぶん、というかミライさんだね……今は、幼いからミライちゃんだね。 緑髪だし。
嗚呼。 尊い光景。 して、とうとう観れた歴史の一部始終。 我、感動。
この日の出来事は、ミライが職員になるひとつのキッカケになるんだろう。
感涙し、頰を雫がなぞる。 カコとミライが笑顔で話し合い、存命しているカコの両親が「あらあら」と微笑ましく見ている光景は、前世で疲れた心を癒していく。
俺は天を仰いだ。
どこまでも続く澄み切った青空が、水面のように歪んで見えた。
雨なんて降っているワケないのに、頰を濡らしていく。 目頭も熱い。
けれど、それは俺の不安定な心を如実に表しているといえよう。
「ミライ……アレさえなければ!」
同時に思う。
こんな可愛い子が将来、けものを見るとヨダレ垂らしまくって大興奮するパークガイド兼調査隊長になるとは……誰が予想出来ただろうか。
けものもいれば、のけものもいる動物園。
のけもの。 それは誰の事でしょう。
俺だよ悪かったな。
楽しそうに話し合う幼女ふたりを前に、俺は拗ねていた。
ふんだ。 どうせ転生者である。 存在しない者である。 いる方がオカシイのだ。
そんなわけで。 ハブられている俺は、両親に頭をナデナデされつつ、「ガールズトーク」がどうとか言われて慰められていた。
ガールズトークなのか、アレ。 ケモノで野生的な会話がメインな気がするよ。
女子の会話ってファッションや化粧品の話のイメージがあるんだよね。 あくまでイメージだ。 いや、幼子に求めないよ。
寧ろ純粋なまま育って欲しい。
いや、純粋過ぎたまま大人になったのか。 ふたりの雰囲気や設定を思い出そう。
カコは知識は凄くて研究所の副所長になり巨乳の主にもなったけどファッションセンスがゼロだったり。
ミライも知識は凄いけど求め過ぎてヨダレ垂らしまくりの大興奮して蘊蓄を語りたいウーマンになった。
まあ、うん。 それが彼女たちのアイデンティティか。 個性か。
だが、ミライ。 大人になってヨダレ垂れ流しながら、フレンズに抱きつき攻撃をしようものなら、自重させる。
たぶん大丈夫だろうけど。 パークやフレンズを愛する者である。 迷惑になる行為はしない筈だ。 たぶん。
さて、一方でカコなんだが。
基本的に大学にて研究に没頭し、篭ってるイメージだ。 休みの日は動物園に行ったとかだが。
ジャパリパーク計画に参加、島に上陸した後も似た過ごし方だったのだろうか。 分からん。
馴染みなのだから、なるべくコミュニケーションを取らねば。
両親は存命しているとはいえ、篭っていると心に悪影響かも知れん。
俺が休みの日とかに連れ出して、一緒に動物園でもパーク内散策でもやろう。
その為には職員にならないと駄目だが。 取り敢えず今は───。
「お、おれも! けもの のはなし、聞きたい!」
ガールズトークの輪に入る事にした。 恥ずかしい。 怖い。 でも、やる。
ハブられは危機感を覚える。 過去の経験、そして今世の未来に対して。
「だれですか?」
「あんじゅ。 わたしの、おともだち!」
「よろしくお願いします!」
何故か幼女相手に深々お辞儀をしてしまって、両親やミライ、カコに驚かれて……笑われた。
うん。 恥ずかしぃ。 でも、お陰というか輪には入れたぞ。
いつか大人になって、パークに就職して職員になって、それぞれ働き始めても。
この輪をいつまでも。 そして、ともだちのままでいたいなと俺は願った。
あーかいぶ:(当作品設定等)
ジャパリパーク計画
島にて多くの種の保存(ズーストック)や、関わる生息域外保全、その施設の管理運営や建造、動物の研究を行う一通りを纏めた計画です。
『サンドスター』や『フレンズ』等が発見されてからは、其れ等も含まれます。
その際、研究員や飼育員等の増員が行われました。