パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文続き。 違和感やミスがあるかも……。


セントラル偵察。 そして再び研究所へ。

パークの車窓から〜。

どうも皆さま。 私は今、パークの電車に乗っております。

動物園とは思えぬビルディングが何本も聳え立ち、本土の東京と言われた方が信じてくれる光景が続いております。

本土で見た光景と大きな差異があるなら、地上が荒れている事か。 車がひっくり返ってたり、歩道や花壇が壊れてたり。 知らないヒトがみたら暴動後かな、という有様。

 

時々ドギツイ色の物体が見える。 大中小、風姿形は様々。 セルリアンだ。 チラホラと見えては景色と共に流れていく。

あいつら小さくても目立つんだよ。 なんで、あんな色なのかね。 理由があるのだろうか。

一方で夜は見難いであろう黒いヤツもいる。 謎。

 

 

『間も無く都市部を抜けてセントラルですが……外の様子はどうですか?』

 

 

ここで管理センターの小動物から連絡。 道中の様子も報告案件かな?

何にせよ仕事の一環か。 素直に報告する。

 

 

「荒れてる。 車がひっくり返ってたりな。 セルリアンも散見している」

 

「そうですか……セルリアンに攻撃されたりとかは?」

 

「大丈夫。 レールにも問題ないのか、大きな揺れもなく普通に走ってる」

 

 

淡々と報告する。 特に問題はない。

問題ない……のだが。 乗っておいてアレだけど、非常事態に交通機関を走らせるべきではないだろう。 管理センターの判断には感謝するけど。

万が一もある。 セルリアンに攻撃されたら最悪横転、転落事故だ。 ヤツらのパワーはフレンズ同様に謎で未知数だ。 怖い。

 

漫画版では緊急時の都市部の様子は描かれてなかった。

その点、このような風景がパークにて発生、見ていると思うと不思議な感覚だ。

 

あっ……。

奈々達は無事だろうか。 心配だ。

たぶん、無事に避難出来たと祈ろう。

 

あかん。 他の面子は?

キタキツネたちフレンズは?

カコはナニしてる?

いちど心配になると色々心配になる。 いかんな。 今はどうしようもないだろう俺。

今を集中だ、集中。

 

 

「良かった……ところで、何か賑やかな声が聞こえるのですが。 誰か増えましたか?」

 

 

ほら、今は仕事中だ。 答えなきゃ。

 

 

「あ、ああ。 ジャイアントペンギンのフレンズがいるよ。 同行するってさ」

 

 

隣を見やる。

座席に膝立ちして、外を見やるふたりのフレンズ。 流れていく外の光景に興奮している様子。 子どもぽくて可愛らしい。

 

 

「おー。 電車には初めて乗ったけど、不思議だな! この大きな箱が動いてるんだろー?」

 

「私も初めてだよ! 見た事はあったんだけど!」

 

「しっしっしっ! 今パークは大変だけど、貸切状態は感激だなー!」

 

 

逆に貸切じゃなかったら迷惑系フレンズなまである。 そして保護者の俺が怒られる、怒られちゃうんだよ。

 

 

『分かりました。 管理センターとしては同行に問題はありません。 ですが、治安や風紀を乱す教えは駄目ですよ』

 

「やらないッス……信用ないっすね、俺」

 

『前科がありますので』

 

 

悲しいなぁ。 履歴に傷が付いてると、この先も色々突かれそう。

未来のパークで変態みたいに語られない事を祈る。

 

 

『間も無くセントラル駅です。 正確には、セントラルの手前で降りられます』

 

「了解。 けもキャッスル城内に入れるか調べてみる」

 

『それは、どういう……?』

 

「後で報告するよ、じゃ」

 

 

無線を切って、電車の先を窓で見る。

ビル群や住居類が無くなり、代わりに見えるは けものをかたどったお城、観覧車。

遊園地だと思わす、楽しげな人工物。

 

周囲が平原や自然が多いから、遊園地が陸に浮かぶ島のよう。

そこだけ世界が違う。 それが近付いてくる。

子どもが見たら、いや大人もワクワクする情景だ。

 

 

「わぁ! 遠くから見たのは初めて! 気になる気になる!」

 

「おぉ。 観覧車にお城……実際に見るとワクワクしてくるなー!」

 

「お前らなぁ、遊びに行くんじゃないぞ?」

 

 

他にも様々なレジャー施設が集まる、パークに来たお客さんの玄関口。

 

 

『間も無くパーク・セントラル。 パーク・セントラル。 お出口は───』

 

 

自動アナウンスが流れる。

そう。 女王事件……アプリ版のストーリーだと、最終決戦地となる場所。

 

パーク・セントラルである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………活気が無い所為じゃないよねー、この感じ」

 

「…………近くに来ると、気にならないなぁ」

 

 

トーン低く、先程の興奮が冷めていくジャイペンとニホンオオカミ。

駅から降りてセントラルの敷地に入って……この反応である。

周りにはカラオケだのエステだの宿泊施設だの遊戯施設があるが、ワクワクしない。

俺も寂しさの様なものを感じている。 ココの輝きは、セルリアンに奪われたからだ。

その辺、ジャイペンも分かっている様子。 反応からして。

 

 

「そうだな。 セルリアンに輝きを奪われたからだろう」

 

 

輝きが無い。 それは魅力が無いという事。

セルリアン。 ヒトやフレンズの持つ輝きのみならず、物、施設の輝きをも攻撃、奪う。

結果、本来楽しい場所であったセントラルは寂れた場所に成り果てた。

ココを元に戻すには、少なくとも親玉の居城となったけもキャッスル……セントラル中央に聳え立っている城に行き、中の親玉セルリアンを倒すしかないだろう。 予想通りなら。

 

 

「じゃあさ! そのセルリアンを倒せば、ここは楽しい場所になるんだね!」

 

 

ニホンオオカミが、明るく言い放つ。

うん。 たぶん、多くのヒトやフレンズが思う事だろうなソレ。 知らなければ。

だが、そう簡単じゃないとジャイペンが説明してくれる。

その辺も研究所で学んだか。 勉強家なのか教えられたのか。

 

 

「ニホー。 残念だけど、輝きを奪ったセルリアンを倒しても元に戻る保証はないんだ」

 

「えぇ!? そうなの!?」

 

 

ガーン!

そう効果音が聞こえてきそうなショック顔をするニホンオオカミ。 それはそれで可愛いが、同時に可愛そう。

まあ、希望を持たせてあげよう。 たぶん、大丈夫だと。

最終決戦後、明るい話だった気がするし。

 

 

「でも占拠しているセルリアンは倒さないとな。 そうすれば、また明るい場所に戻れるさ」

 

「そ、そうだよね! よーし! セルリアンを倒すぞー!」

 

 

そして明るく意気込むところ悪いが、それは難しい。 上げて落とす俺。 酷い。

 

 

「そうしたいが、たぶん無理だ」

 

「えぇ!? なんでよ!?」

 

「親玉は あの城の中にいるだろうが、そこまで行けば分かるさ」

 

 

俺が指差すと、釣られてジャイペンとニホンオオカミが見る。

そこには聳え立つ城、けもキャッスルが。

 

 

「ほぅ? あんじゅくーん、いや。 あんじゅちゃーん。 何か知ってるようだね?」

 

 

しっしっしっ、と笑うジャイペン。

おいこら。 パイセンだからって調子乗ってると怒るぞ。 そして負ける、負けちゃうんだよ。

 

 

「あくまで予想だがな。 とりあえず行けば分かるさ」

 

「分かった!」「りょうかいっ」

 

 

フレンズを先頭に、俺たちは城に向かう。

別にビビってないです。 でもほら、ヒトは無力だからね。 ナニかあったらフレンズに守って貰わなきゃだしぃ?

 

そうこうビビリながら歩いていると、城の根元に到着。 道中、セルリアンには会わなかった。 会ってたまるか。 チビるぞコラ。

いない理由を考えるなら、輝きを粗方奪った後だからだと予想。 それで他の場所に行ったのだろう。 助かるからヨシ。

 

 

「中に入る?」

 

「入れるなら、入ってくれ」

 

「うん? わかった!」

 

 

ニホンオオカミを先行させ、城へと入らせようとする。

大きな門を抜けようとするニホンオオカミ。 刹那。

 

 

バィイイイイイイィンッ!

 

 

「キャウンッ!?」

 

 

ニホンオオカミがトランポリンみたいに跳ね返ってきた。

うむ。 予想通りだった。 やはり結界が張られている。

摩訶不思議な現象を目の当たりにするのも不思議な気持ちになるね。

あいや、科学的な理由はあるのかもだが。 それに、今まで見てきたフレンズやセルリアンも摩訶不思議な現象のソレだな。

現代科学の敗北かな?

 

カコ……がんばれ がんばれ♡

 

 

「ほぅほぅ。 あんじゅは、これを知ってたんだねー?」

 

 

ジャイペン、興味深そうに半透明化した結界を見る。

有利に立てた気分だ。 知識面で。

今までは彼女に負けてた気分だからなぁ、少しは胸を張って良いかな。 本当に付いてる胸は鬱陶しいが。

 

 

「まぁ多少はね?」

 

「これって、セルリアンの仕業だよね?」

 

「そうだな。 消すには、コレを作り出しているセルリアンを倒す必要がある。 それは各地に分散しているから厄介だ」

 

 

アプリの設定を思い出しながら説明していく。

ある意味で王道な展開と状況だ。 だが分かりやすくて助かる。

 

 

「くそぅ! なんだか楽しくなってきた!」

 

「結界で遊ぶな」

 

「はっはっはっ! ニホはいつも通りだなー!」

 

 

話をしてる間にも駄犬が結界に体当たり。 トランポリンみたいに遊んでるという。

俺らが真面目な話をしているのに全く。 和むから良いけど。

そういや思い出した。 アプリ版のサーバルもこんな事をしてたんだよな。 楽しそうで何よりです。

 

 

「じゃ、そのセルリアンを倒して回るのが あんじゅ の仕事になるのかな?」

 

 

ジャイペンが聞いてくる。

確かに裏方で活躍したい、出来るならソレが良いだろう。

園長達の労力も減るし、セーバルを早い段階で捕獲出来るかも知れない。

だがリスクが高過ぎる。 先ずセルリアンを倒す戦力が無い。 ジャイペンは強いかも知れないが、数的に不利だ。

仮に出来ても、セーバルのフレンズ化が無くなるかも知れない。

フレンズ化は城の中で、ほぼ輝きを失ったかに思われたセーバルに対し、サーバルが選択した行動の結果起きたものだ。

もしそれがなくなれば、それが更なるパークの危機になる可能性がある。

俺の思う正史から、どんどん離れていくのは避けたい。 予測が難しくなる。 手遅れかもだが。

なんにせよ、俺が手を出さなくてもミライや園長達が事件を解決してくれる筈。 余計な手出しは無用だ。

 

しかしなぁ……セルリアン女王がいない筈なのに、結界があるのは不安だぞ。

一体、城の中には誰の輝きを奪ったセルリアンがいるというのだね。

まさか俺の? いやいや。 ご冗談を。

まっ。 大丈夫っしょ。 ちょっとした大型セルリアンが代理で親玉をしていると思おう。

 

 

「セルリアンを倒すのはミライに任せる」

 

「ミライ? 調査隊長兼、パークガイドの?」

 

「なんだ、知ってるのか」

 

「まあねー。 カコ博士から聞いた事があるんだ」

 

 

ああ。 カコとミライは友人だからな。 聞いていたとしてもおかしくはないか。

 

 

「そうか、近々会えるかもな。 ちょっとけもの好き過ぎて暴走する時はあるが、良いヒトさ」

 

「しっしっしっ! 楽しみが増えたな! あっそうだ、連絡出来るならした方が良いんじゃないかー?」

 

「おっ、そうだな」

 

 

ジャイペンに言われて無線を手に取る。

セントラルの状況を管理センターに伝えよう。

ミライにでも良いのかもだが、指示を出しているのは管理センターだ。 上に報告&伺いするのがスジだろう。

 

 

「こちら杏樹臨時職員。 管理センターの小動物どうぞ」

 

『小動物じゃないです!』

 

 

直ぐに反応が返ってきた。

良きかな良きかな。 小動物が無線越しにプンプン怒ってるのが分かる。 可愛い。

 

 

「んで、セントラルの報告。 結界……見えない壁が城の入り口を塞いでいて中に入れない。 恐らくセルリアンの仕業だ。 今回の事件の親玉が城にいる可能性がある」

 

『見えない壁? 親玉といい、何故分かるのですか』

 

 

疑問を投げてくる小動物。

鵜呑みにはしないか。 情報が欠けている。 それに非現実的か。 だがしかし。 この島では常識に囚われてはいけないんだよ?

例えば俺。 転生者ですし。 それはパークの奇跡と関係ないかもだけど。

 

 

「壁はニホンオオカミが身を呈して調べてくれたからだ。 親玉は……わざわざバリアを張るんだ、それ相応のヤツがあると思ってな」

 

『分かりました。 ミライ調査隊長には管理センターから伝えておきます』

 

 

伝えてくれるらしい。 良かった、これ以上食い下がらなくて。

 

 

「頼む。 次はどこを調べる?」

 

『動物研究所へ行ってください』

 

 

はいぃ?

動物研究所? また行くの?

 

セントラル事件発生時に向かった場所じゃないか。

今は誰もいない筈だ。 何の為に行くのさ。

 

 

「分かりました、向かいます」

 

 

そして断らない俺。

ヤダ…………パークに来てまで社畜道?

 

 

『お願いします』

 

「理由を聞いても?」

 

『動物研究所内に残された資料の回収です。 無理でしたら、処分して下さい』

 

 

ああ。 セルリアンに情報をパクられない為とか、火事場泥棒に機密情報を盗まれない為かな。

 

 

「了解。 でも俺みたいなヤツが受けて良い仕事なの?」

 

『本当はダメですが、他に動ける職員がいないので』

 

 

微妙にヘコむ言葉をありがとう。

 

しかし他、ね。

ミライは分かるが、他の職員って事件中ナニしてんだ?

描写が無いから分からん。 ナニもしてないなんて事はないだろうけど。

管理センターは、働いてるのは分かるが。

俺のサポートがそうだが、他にはパーク各地、本土との連絡、各員の指示とか かな?

 

その、奈々やカコが気になるんだが。

フレンズも、モチロン気になるが……。

 

 

「聞きたいんだが」

 

『なんでしょうか』

 

「ミライと俺、管理センター以外の職員ってナニしてるんだ?」

 

『保安調査隊(探検隊)なら、パークの各地で調査活動。 森林警備員(レンジャー)も同じような事ですね。 こちらはフレンズと協力して森のセルリアンを退治しています』

 

「フレンズの飼育員は?」

 

『担当の子と周囲の子らの安全や健康チェック、コミュニケーション。 現地には簡単に行けないので、リモートが多いです』

 

 

リモートね。 フレンズを観察出来るという施設【パビリオン】に使われる技術を使うのかな?

とりま、仕事しているのは分かった。 皆、見えないところで頑張ってるんだな。

俺だけじゃない。 その事実が妙な安心感を生む。 俺もやれる事を頑張ろう。 そう思えた。

 

 

『他に聞きたい事は?』

 

「大丈夫」

 

『では宜しくお願いします。 分からない事があれば、また連絡を』

 

 

そう言われると、無線が切れた。

ヨシ。 次の目的地は決まった。 行こう。 これ以上ココに居なくても良さげだ。

 

 

「パイセン、ニホンオオカミ。 動物研究所に行く事になった」

 

「みたいだねー。 声を聞いてたよ」

 

 

パイセンは、特に動揺も意見もなく付いてきてくれるっぽい。

内心、どうなのだか。 ヒトの都合で復活させられた、いや……生まれさせられたか?

その場所に戻る。 ナニも思わないのだろうか。

 

俺としては、セルリアンに喰われた場所だ。

もう二度と、あの経験は御免である。 気を付けよう。

戦えない以上、それくらいしか出来ない。

 

一方、ニホンオオカミ。 似合わない険しい顔になって、

 

 

「今度こそ、守るから」

 

 

静かに決意を固めていた。

うん……ありがとう。 俺なんかの為に。

 

俺は静かにニホンオオカミの頭を撫でながら、駅へと踵を返す。

 

ジャイペンも、ニホンオオカミも、そして俺も。

何も言わず、ただ電車へと足を進めた。

ただ、最初よりも皆の足取りが重かったのは気の所為ではないだろう。

 

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