パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文。 違和感あるかも。


メルヘン裏のディープ世界

カコ博士。

「けものフレンズ」に出てくる、数少ない「ヒト」のひとり。

博士とある通り、研究職でジャパリパーク動物研究所の副所長を務める。

 

この世界(作中)の彼女は才色兼備な若き天才で、本土での学業は体育除いて常にトップクラス。

主に動物が好き。 好きこそ物の上手なれとばかりに、知識が豊富。

休暇の日は動物園へ行く事が多かった。

 

大学へ進学してからは現生・古生物……動物の研究を行うように。

その優秀な知識と手腕からジャパリパーク計画へ抜擢。

島へ上陸後、ジャパリパーク動物研究所に配属。 若くして副所長に。

 

既成概念が通用しないジャパリパーク。

多くの科学者が悩む中、サンドスターを用いた絶滅種のフレンズ化に成功させる等の結果を出している。

 

他にも様々な分野……サンドスター、セルリウム、フレンズに対して研究、見解を示したレポートを書く。

これらは他の科学者にとっても貴重な資料、意見となっている。

未知が大半を占める島であるが、彼女はパークの権威と言っても過言ではないだろう。

 

 

(あんじゅは今、なにしてるのかしら)

 

 

そんな彼女も、内面は恋する女の子。

いつも研究、けもの ばかり考えているワケじゃない。

今なんて、研究の事より想いヒト……幼馴染の杏樹の事を考えてるのだから。

 

杏樹は何かに秀でているワケではない。 学歴も悪く、一般人かソレ以下だ。

職種も違う。 共通しているのは同じパークで働いているという事のみ。

天と地の差がある。 ヒトによっては釣り合わないというだろう。

だけど、臨時職員として様々な場所へ赴き仕事をこなしている杏樹は素直に凄いと思う。

 

そんな杏樹。 小さい頃から好きだった。

 

幼い頃から頭が良かったカコだが、それ故に周りと合わなかった。 引っ込み思案だったのも災いした。

それでも「けもの さんが好き!」と言えば、刹那的に同い年の女の子が寄って来た。

やれ ワンちゃんネコちゃんの耳や尻尾が可愛いとか。 身近な けもの さんの話題で盛り上がる。

だけど好き故に知識は深く口に出る。 小さい子が知らない けもの さんとか、難しい事、専門的な話が混ざってしまう事もしばしば。

その度に引かれてしまったり、距離を置かれて……気が付けば またひとり。 幼き心は、その度に虚しく、寂しさを感じて来た。

 

だけど、杏樹は違った。

 

難しい言葉をつい言ってしまっても引いたりしなかったし、寧ろ真剣に聞いてくれる態度を示してくれた。

時々、どこか上の空になるけど、それでも他の子とは違う雰囲気と付き合い方。

ちょっと大人っぽいトコも惹かれるポイントだった。

 

初めて出来たフレンド。

嬉しかった。 純粋に。

 

いつも側にいてくれて。

同じ事を好きになって。

話を聞いてくれて。

笑顔を見せてくれた。

 

それが恋心に変わったのは直ぐだった。

 

ハッキリ自覚したのは、ある日の事。

 

ちょっと年下のミライと動物園で出会い、友だちになった後。

杏樹への「好き」とミライへの「好き」と けものさんへの「好き」が違うのに気付いた。

頭の良いカコは、その差を考え……幼くして「恋心」に気付く。 顔が熱くなった。

 

家に帰った後は恥ずかしさと嬉しさでベッドの上を転げまわり、顔を枕に埋めた。 足をジタバタした。

くすぐったくて、苦しくて、離れたいのに、くっ付きたい。 だけど心地良い温かさ。 不思議な感覚。

 

その感覚が、より強くなる事が起きた。

 

間接的ではあるが、杏樹に両親を救われたのだ。

杏樹と家族で動物園に向かう途中。 杏樹が家にした悪戯のお陰で足止めを食い、結果として行き先の道中で起きた交通事ら故に巻き込まれずに済んだ。

 

偶然だとしても、救ってくれた事に違いはない。

カコにとっては想いヒトでありヒーローとなる。 カコだって女の子だ。 白馬に乗った王子様に憧れた事もある。

そんな王子様と重ねて……恥ずかしさで顔が熱くなって、やっぱりベッドの上でジタバタした。

 

これからも一緒に……いつまでもいたいと思った。

 

そんな想いだったから、大学へ一緒に行けなかったのは悲しかった。

ジャパリパークへ行く時は会えないんじゃないかと不安にもなった。

だけど同じパークで再会、共に立つ今。

会おうと思えば会える。 連絡手段もある。 側にいる時間は減ったけれど、それでも十分幸せな事。

 

 

(でも杏樹は……私に隠している事がある)

 

 

深く、ため息。

幸せな微笑みから一転。 少し沈む表情に。

 

小さい頃から共にいて、互いを知っているようで知らなかった事実。

 

誰にでも隠したい情報はある。 それはカコもそうだし、皆そうだ。 仕方ない。

だけど、杏樹を理解していた気になっていたカコにはショックである。

 

パークの未来が視えてるような発言。

そして「この世界のヒトじゃない」可能性。

 

後者は、ジャイアントペンギンのフレンズが、杏樹に問いた時に発覚した。

いや、発覚というのは違う。 本人も否定気味だった。 それに荒唐無稽も良いところだ。

不思議な事ばかり起きる島だけど、いくらなんでも信じられない。

小さい頃から共にいたのだ。 それはサンドスターが無い本土からずっと。

 

 

(じゃあ、未来の話は? 非公開情報の知識は?)

 

 

すると疑問も生じる。

杏樹の狂言と片付けられれば楽なのに。 唾棄して跨げないレベルの知識。

偶然で片付けられない。 やはり本当に、この世界のヒトではないのだろうか。 或いは未来人? 超能力者とか?

 

非科学的な事。 不思議な事。

解明したい。 もっと杏樹を知りたい。

 

研究職員として。 個人として。

 

だが、ソレをして杏樹に嫌われないだろうか。 誰も幸せに出来ないのでは。 皆を不幸にしてしまうのでは。

 

そう思う不安もあって……結局、カコは学生時代の時みたいに想いを胸にしまい続ける。

関係を壊したくない。 ならこのまま。

 

その甘く進展のない考えは、頭の中で くすぶり続けた。

 

 

(やめよ、やめやめ。 今はパークの問題を解決するのが最優先でしょ)

 

 

想いヒトへの思考の海から、ようやく現実へと帰還したカコ。

気付けば、どこかの会議室の椅子に座る。

周りには自身と同じ白衣を着た老若男女のヒト達がいて、大きなテーブルを囲むように座っていた。

その中にはジャパリパーク動物研究所 所長のゲンダイ所長もいる。

 

皆が見える位置に、プロジェクターが鎮座。 その先には巻き取り式の白いスクリーンが展開。 まだ何も投影されていない。

 

 

「カコ博士、大丈夫ですか?」

 

 

隣の女性研究員に、声を掛けられた。

研究所の後輩職員だ。 心配する様に顔を覗き込んでくる。

 

いけない。 職務中だというのに、雑念が混じり過ぎた。

それを悟られないよう、威厳があるように堂々と返答する。

 

 

「大丈夫よ」

 

「なら良いのですが……ずっと、考え込んでいたので」

 

「ええ。 パークの現状をね」

 

 

嘘である。

だがしかし。 副所長ともあろうお方が、パークの危機に想いヒトを考えていたなんて言えないワケである。

 

 

「カコ博士も、この問題は難しいですよね。 もうすぐ各地の情報を報告し、解決策を模索する会議が始まりますが……あまり良い話は期待出来ないです」

 

 

気を使われたのか、説明口調をされてしまった。 誤魔化し失敗!

威厳なんて、なかったんや。 ノロケた顔をしていたのを見られていた所為もある。

権威ある、風格ある印象は既に過去の遺物と化していた。

 

 

「……そ、そう。 でも大丈夫よ。 保安調査隊や森林警備員達、管理センターが尽力を尽くしている」

 

「それと、杏樹さんもですよね?」

 

「そう……何故、個人の名前を?」

 

「なぜでしょうね。 ふふっ♪」

 

 

副所長、からかわれる!

最早、隠せていない。 惚れた腫れたな話が好きな職員らにとっては、噂が噂を呼んで広まり格好の的と化している。

そのうちパーク全土に拡大してしまうのではないか。

 

 

「別に杏樹とは……幼馴染というだけ」

 

 

頰を赤らめながら、ナニかを否定した!

会議室の面子は思わず息を吐く!

あんなノロケ顔をしておいて、ただの幼馴染というのは無理だろオメーと。

 

皆は思ったが言わなかった。 代わりにからかい続ける後輩研究員。

とても緊急事態下の空気ではない。 OLの昼下がりの会話みたいである。

 

 

「そうでしたかー。 フレンズさんに良く杏樹さんの話を聞かせている様子でしたので、てっきり」

 

「仲良くして欲しかったからよ」

 

「あー、私語はその辺で勘弁してくれたまえ。 会議を始めるのでな」

 

「すみませんでした」「すいません!」

 

 

ゲンダイ所長に止められて、ようやく真面目な空気になっていく。

若い子のやり取りを見ているのは楽しいが、パークの危機に遊んでいるワケにはいかない。

フレンズは兎も角、上に立つヒトなら尚更に。

 

 

「では、緊急会議を始める。 セルリアンの所為で行動範囲や場所が制限されており集まれたヒトは少ないが……現状、分かっている事を伝えて欲しい」

 

「はい。 早速ですがコチラをご覧下さい」

 

 

ひとりの研究員が起立し、リモコンを操作。

 

部屋が薄暗くなり、プロジェクターが起動する。

白いスクリーンに光が当てられ、ジャパリパーク島の地図が映し出された。 日本列島を逆さまにして、小さく丸めた様な形状だ。

 

そこにレーザーポインターを当て、島を囲む様に点を動かす。 研究員は動きに言葉を添えていく。

 

 

「皆さんもご存知の通り、セルリアンは以前からパーク全土で出没していました。 ですが基本的にセントラルや都市部に侵入する事は有りませんでした」

 

 

先ずは公開されている情報から入る。

この世界では、セルリアンの存在は公にされている。

島に溢れかえる存在を隠したところで、いずれバレるからだ。

 

世界からヒトや組織が集まるのを政府が推進する時点で、どうしようもない。

逆に言えば、より多くのヒトに認知させる事で、研究を捗らせる狙いもある。

 

まあ……日本が島の利益を独占したくても利益を得たい各国が圧力を加えてきたり、予算や人員が足りないとかの問題もあった。

何にせよ、その辺はパーク職員には どうしようもない話である。

 

 

「一部の個体が侵入しようとした事例もありますが、安全柵やフレンズに阻まれて失敗しています」

 

 

島のお腹付近……セントラルにポイントを合わせる研究員。

リモコンを操作すると、セントラルに向かって小さな矢印が描かれる。 セルリアンの侵攻を表している様だ。

 

 

「ですが今回、大規模な群れでのセントラル襲撃」

 

 

今度は大きな矢印がセントラルへと描かれた。 次にはセントラルにバツ印。 陥落、占領等の意味だろう。

 

複数の研究員は眉間に皺を寄せる。 既に知り得ている情報だが、改めて知らされると悔しさや恐怖がこみ上げる。

セルリアン。 ヤツらは謎だ。 存在、目的、構成、何もかも。

今回の群れでの襲撃も突然で、予測出来なかった。 研究不足……自分達の力不足も感じつつ、しかし現実と向き合うために話を静かに聞き続ける。

 

 

「セキュリティや、その場に居合わせたフレンズのみでは対処しきれず。 警備員が警報を鳴らし、職員及び お客の避難完了まで時間を稼ぐのが精一杯でした…………被害は幸か不幸か、その……男性臨時職員ひとりのみ」

 

「……っ」

 

 

カコが机の下で苦しそうに、ぎゅっと握り拳を作る。

説明している者も、周りの研究員もカコに同情した。

 

その男性臨時職員とは、カコの幼馴染の杏樹の事なのだから。

説明者は、セントラル全体の出来事としてボカしているが、これはカコや本人に配慮しての事。

 

動物研究所でセルリアンに喰われそうになったカコを庇って犠牲になったのは、皆知っている。

杏樹は重要な人的資源を守った。 称賛されて良い。

 

一方カコはセルリアンに、どうしても渡したくない資料……情報があって所内に残っていた。

それを責める者はいない。 寧ろ皆が逃げ出す中、勇敢であったと思う。

 

それに犠牲になったといっても杏樹は、幸いにもフレンズに助けられている。

ただ、何故かチ●コが犠牲になって、女の子になっちゃった。 おっ●い、ぶるんぶるんっ!

 

 

「その臨時職員は、2日間昏睡状態の後に職務に復帰……今日、ですね。 良かったです」

 

 

説明者が慰めの言葉を添えて、ようやく安堵の表情。

といっても安全な本土に避難せず、職務復帰した杏樹。 安全な場所にいて欲しい想いと反するパークの為に頑張る姿で、心境は複雑ではある。

 

ここで杏樹が、女の子になっちゃった件は触れない。 本題からズレるから。 それとカコ博士が荒ぶるから。

どういう理屈で、彼が彼女になったかは気になるが。 サンドスターとセルリウムは本当に謎だらけである。

 

 

「現在、各地で保安調査隊や森林警備員がセルリアンの調査を行なっています。 とはいえ人手不足なのとセルリアンからの攻撃等が障害となっており……臨時職員は、セントラルの調査及び研究所の資料回収又は処分に動いています」

 

 

カコが挙手。

臨時職員とは杏樹の事だ。 病院から抜けた後、仕事をしているのは知っている。

が、やはり心配なのと仕事の内容が気になって質問を投げる。

 

 

「それは、危険じゃない? 特に研究所の資料を扱わせるのは」

 

 

ごもっともな質問。

いくら特例、緊急時とはいえ、機密情報もある研究所。 部外者をホイホイ入れて良いワケが無い。

 

対してゲンダイ所長が応答。

無表情にも見える初老が発言すると、有無を言わさぬ雰囲気があった。

 

 

「問題ない。 所内に残っている資料は、杏樹君も知っているもの、或いは重大では無い事だ。 危険な事は貴女が回収した」

 

「……はい」

 

「大丈夫だよ、カコ博士。 杏樹君は管理センターがサポートしている。 それに、フレンズが ついている」

 

 

問題ないと言いつつ、フォローする所長。

角度次第では怖いが、気持ちを汲み取れる人物でもあるようだ。

そんなヒトらしさ、感情を見て取れて場が和む。 気不味い空気は無くなり、話しやすい空気に。

 

 

「そうですね。 ありがとうございます」

 

「礼を言われる事は、何もしていないよ。 それより杏樹君がしている。 都市部やセントラルの報告をね」

 

 

手で説明の続きを促すゲンダイ所長。

説明者は見て頷くと、話を再開。

 

 

「はい。 試験解放区の都市部やセントラルの様子は臨時……いえ、杏樹さんがしてくれました」

 

 

名前をハッキリと言う説明者。

この流れで、隠す必要は無いと判断した様だ。 カコや周りも同意見で、ナニも言わない。

 

 

「都市部はセルリアンが散見。 セントラルも同様。 ただ、襲撃時より数は少なくなっています。 これは我々が輝きと表現しているモノが無くなった為と仮定します」

 

「おそらく、そう。 セルリアンは輝きのあるものを攻撃、模倣するのが分かっている」

 

 

セルリアンの特性から考えて、カコ博士は発言。 皆も同意見で頷いていた。

最も分からない事の方が多いが。 輝きなんて科学的な説明が困難だ。

 

だが仮定の上で成り立つ事もある。 取り敢えずの納得になるが、その上で調査研究をする事で分かる事もある。

今回のセントラル事件は、アトラクション園内等の大きな輝きに惹かれて、ヒトのナワバリを襲撃したと思われる。 一応の理屈は通る。

が、分からない事も勿論あるわけで。 突然過ぎる襲撃。 加えて大規模な群れは今まで確認されなかった。

準備や対策が出来なかった。 その結果、この始末。

 

本土や各国は個人から組織、政府等からの賠償請求に追われている。

それは一部を除き、職員が気にしても仕方ないので多くは触れない。

気にするのは、起きてしまったパークの事件をどう収拾するかだ。 この会議は、その為にある。

 

説明者の話は続く。

スクリーンのパーク各地に、多くのバッテンやセルリアンの写真が連続表示されていく。

最早、数えるのが億劫だ。 何度目か分からない溜息が出るのは、仕方ない。

 

 

「奪還するにはエリア内のセルリアンを殲滅するべきですが。 調査隊の報告では、理由不明の活性化が見られ、また発生源がパーク全土にあると考えると…………パークからのセルリアン殲滅は困難です。 また、セントラルや都市部からセルリアンを駆逐出来たとしても、根本的解決にはなりません。 今回の事件を収拾出来たとしても、また同様な事が起きる危険性が」

 

 

長く、今後の話へと脱線していく。

それはパークを心配しての結果だ。 研究者だからといって、愛情が無いワケではない。

 

それに待てを掛けるは所長。

手の平を見せ、静止を促すと課題を現状へと戻す。

 

 

「分かっている。 だが、今回の事件を収拾出来ねば次を考える余裕は無い。 先ずはそこから考えよう」

 

「は、はい。 すみません」

 

「パークを心配する気持ちは皆同じだ。 だからこそ、皆で考えよう」

 

 

カコや、皆も頷いて説明者を落ち着かせた。

ひとりひとりの足並みを揃えなくては。

個々では弱くても、群れになれば強い。 それを理解している程に、仲間意識もある。

個々が やれ手柄がどうとか、私ひとりでもとかでは烏合の集。 何のチカラも発揮出来ず何も解決出来ない危険性がある。

互いに手を取り協力する。 美談ではない。 重要な事だ。

 

 

「杏樹君の報告では、セントラルで不可思議な現象を確認したとあるな。 それは?」

 

「はい。 分析していない為、詳細不明ですが、セルリアンによる共鳴多重構造……防壁と思われます。 これがセントラルの中央に建造された城、けもキャッスルを覆っているようです」

 

 

カコがフム、と思案。

分かっている事から、次の考察を生んでいく。

 

 

「セルリアンに意思はないとされるけど。 どうしても意味があるものに感じる……城内にセルリアンが守りたいモノが。 それを暴いてしまえば、各地の活性化は収まる?」

 

「分かりません。 ですが、可能性はあります」

 

「希望的観測、個人の見解に過ぎないけれど。 やるべき事が決まるのは大きな進展ね」

 

 

カコ博士が言うと、周囲の研究職員は互いに目を見合わせ……資料に走り書きを始めたり管理センターへと連絡を始めた。

会議中だが、善は急げ。 所長もカコも咎めたりしない。

寧ろ自発的に動くラボラトリースタッフに感心する。 良いヒト達に恵まれた。

 

 

「それと、サーバルキャットのフレンズにそっくりなセルリアンの情報が。 管理センターから調査隊やフレンズに捕獲依頼を出しています。 徐々にセントラルへ移動しつつ、行く先々でセルリアンを活性化させているとの事。 特別な輝きを内包している可能性があり、危険視した方が良いかと考えられます」

 

「杏樹の手紙にもあった事ね。 それはミライ班に任せれば大丈夫よ」

 

「分かりました。 それから、特別来客があった件ですが」

 

 

所長、再び手の平を向けて静止させる。

今度は、先程までの温かい声色から一変。

心が凍る感覚を覚える、重い声を出した。

 

 

「その件は触れなくて良い」

 

「…………い、いちおう報告をと」

 

「謎は多い。 だが今は事件収拾へ動くのが最優先だ。 分かるね?」

 

「す、すすみません!」

 

 

思わず手を止めてしまう面々。

皆が普段見せない所長の表情と声にビビる中、カコは別の思考へとシフトする。

 

 

(所長は来客者を知っている? それとも、謎を?)

 

 

今考えても仕方ないと、直ぐに思考を止めた。

それより所長の言う通り、事件収拾を急がなくては。

 

直ぐ皆と共に作業に戻りながら、妙な引っ掛かりを覚えるカコたち研究職員。

だがそれも、作業で頭の隅へと追いやられていった。

 

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