パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文。
フレンズ化? へ。 そしてヒトへの不信感。


改めて研究所。 そしてフレンズ化?

 

所属。 それは組織の中に組み込み、親元をしっかりする事で管理されている、仲間がいる事を示す。

そうすれば、他からの圧力や要求を軽減する事になるし、大きな所程に手を出し難い。

 

俺は今、そのタイミングに来ている。 所属を決めて「なんか よく 分からないもの」から身を守るというタイミングに。

 

 

して、もう どこに所属するかは決めている。

 

それは。

 

 

「もしもし。 ジャパリパーク動物研究所ですか?」

 

 

そう。 幼馴染のカコが勤めるジャパリパーク動物研究所だ。

 

元々、カコと一緒に いたい気持ちはあったし、組織規模も大きい。 権力もある。

 

無所属で、のんびり やりたかったが、そろそろ身を固めなきゃだし。

力がある方に着く。 当たり前だよなぁ?

 

 

『はい。 ジャパリパーク動物研究所です』

 

臨時職員(りんじしょくいん)の杏樹です。 手紙を見まして───」

 

 

人生の転機。

転職じゃないけれど。 俺は大きな1歩を踏み出したのである……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「などと思っていた時期が、俺にもありました」

 

 

色々あって、手続きと面倒な書類の果て。 ようやく研究所内に入れたのだが。

 

 

アンジュちゃ〜ん。 大丈夫、先っちょ。 先っちょだけだから!

 

ハァハァ……その身体の構造が気になるんだよぉ

 

いやあああ!

 

 

この通り、実験台にされかけている。

する方じゃない、される方だ。 恐れていた事態になってしまった。

 

窓際のカーテンに くるまい、寄るなよ来るなよと涙目で睨みつける。 しかし効果なし。

 

マジ勘弁だ。 解剖とか絶対にムリィ!

 

 

「助けてカコ!」

 

 

頼りになるのは、幼馴染にして副所長のカコ。 ニホンオオカミは実験の邪魔にならないようにと研究員の餌に釣られて、何処かへ行ってしまったし、俺を救助したらしいEXフレンズはサファリ区分から戻って来ていない。

 

かの先輩、賢い系のジャイペンに助けて欲しくも彼女もいない。

今いるのはディープワンみたいな変態研究員と天使のカコだけだ。 ハハッ、カオス。

 

 

「俺は人生の道を……求人を またも、誤ったか!」

 

「悲観する事はないよ〜。 君は人類とパーク繁栄への糧となるのだからねぇ」

 

「来るんじゃねぇ変態どもめ! 全体より お前らの願望だろ!」

 

 

だって目が野獣だもん。 けだものだもん。 服をひん剥いて、酷い事する気でしょ! エロ同人誌みたいに!

 

嗚呼。 男に犯されるなんて、やーよ!

 

 

「何事?」

 

 

おお。 ここでカコ博士到着。 俺を追い詰めていた変態共は背を伸ばして しゃん とした。

よし。 これで助かるぞい。

 

 

「はい。 アンジュさんに実験に協力して欲しく、申し出ていました」

 

「ですが中々許可を得られずに」

 

 

おのれ、コイツら。 俺に見せていたディープワンな変態顔は何処へやった。 様変わりし過ぎだろ。

 

 

「分かった。 許可が無いなら出来ない。 諦めて、今進めている作業に戻って」

 

「カコ……!」

 

 

俺は信じていたよ。 流石副所長。 権力ある方が味方で良かったよ。 よよよ。

 

 

「「えぇー!」」

 

「えー、じゃない」

 

「「はーい」」

 

 

権力、あるよね? 随分と態度がフレンドリーに変わったよ。 様変わり激し過ぎだろ、ここの研究員。

 

取り敢えず部屋を出て行く変態共。 ひとまず助かった。 礼を言わねばな。

 

 

「ありがとうカコ」

 

「大丈夫。 私含めた女性研究員に ヤらせるから」

 

「信じた俺が馬鹿だったわ!」

 

 

性別を変えれば良いという問題じゃねーよ。 嬉しくもなんともない。 保身に走らなきゃ殺されてしまう。

 

 

「そんな悲しい事を言わないで、ね?」

 

「悲しいから言ってんだよ!? 潤んだ目で見てもダメだって。 解剖とか絶対に嫌だぞ!」

 

「解剖しない。 怖い事は ない」

 

「ホントかよ!」

 

 

騙されないぞ。 そうやって前世でも騙されてツライさんになったんだからな。

 

 

「本当。 今回の事件やフレンズの世代についての質問に答えてくれれば良い」

 

「本当だな?」

 

 

でも幼馴染のカコの言葉だ。 きっと大丈夫だと信じたい。 これで騙されたら立ち直れない自信があるが。

 

 

「本当」

 

「分かったよ。 もし、騙したら酷いからな」

 

「う、うん」

 

 

おい。 最後、言い淀んだぞ。 凄い不安。

 

それでもホイホイとカコの後について行く俺はチョロい。 して、やはり幼馴染でもヒトは信用出来ないかも知れないと疑いの心を持つことになる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うん?」

 

 

あれ。 俺は何を していたんだ?

いつのまにか、どこかのベッドに寝ている。

して寝起きにしては、やたらと身体が軽い。

 

もしや、男に戻れたのか?

 

胸元を見る。 ダメだった。 ぽよん としている。 相変わらず発情しないのも、なによりの証拠だ。 寧ろ期待を裏切られた虚しさからか、前より発情しない感がある。

 

 

「気分は、どう?」

 

 

そんな時。 とてもクリアに聞こえたのはカコの声。 振り向けば、いつものカコ。

 

 

「えっと……良い感じだよ」

 

「良かった」

 

「何があった? 寝落ち? 事故?」

 

「うん。 私の部屋に入った途端に、倒れた。 記憶にない?」

 

 

はて。 そんな事があったのか。 記憶の混濁というか、そんな気がするし無いような気がする。

 

本当に何があったのだろう。 気分は とても良いのに、手の届かない場所にある一点の黒いシミ。

それが全てを台無しにしている不快感。 何があったのか、マジで。

 

 

「身体に違和感は?」

 

 

クリップボードを用意して、メモを走らせるカコ。 まるで医者の診断。

或いは……実験のようで。 俺は、嫌な予感がした。

 

したから、聞かなきゃ良いのに。 やはり聞いてしまう。

 

 

「無い。 して、こちらからも質問だ」

 

「な、なに? 暫く、その……体調が大丈夫になるまで この部屋で寝ていて?」

 

「窓ガラス、どうして昼間なのにカーテンを閉めてるんだ?」

 

 

まず、陽の光が漏れている窓を指差す。 そこにはカーテンが完全に閉められている。 相変わらず綺麗な肌をした腕と手に違和感。

 

 

「えっと。 眩しいから」

 

「もうひとつ質問だ」

 

 

問答したら相手のペースに巻き込まれる。 そして逃げられる。 させない。 させるべきかも知れないが、今の俺は させたくない。

 

だから、間髪入れずに質問を重ねた。

 

 

「鏡」

 

「え?」

 

「壁際に小さいのが掛かっていた だろ。 なんで無いの?」

 

「そ、それは」

 

「下に伏せてあるんだろ」

 

 

やたら冴える頭が、次から次へと言葉を俺に吐き出させる。 して、行動させる。

 

俺はカコの制止の声を聞かずに、予想通り伏せてある鏡を持ち上げて。

 

自分の姿を見た。

 

 

「………………やってくれたな、おい」

 

 

鏡に映った自分の姿。

 

それは女の俺。 それは いつも通り。

 

だけど、そこに加えてあったもの。

 

頭部に けもの 耳。

お尻から シュッと犬の尻尾。

 

意識したら動かせた。 感触まである。

すっごーい。 ふっしぎー。

 

そして困惑よりも疑問と怒りが支配していく。

 

 

フレンズじゃないから。 けもの じゃない、ヒト相手なら大丈夫だと思ったのかよ? カコ?

 

 

振り返る。 カコをギラリ、と睨みつける。

 

今度は効果があった。 だって震えているんだもの。

 


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