パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 精神不安定中。
例の異変(オリジナル解釈?)へ。


例の異変
野生化したアンジュ


 

ヒトの身勝手で、持ち込まれた挙句に捨てられたり逃げた生物による被害。 分かりやすい例だと外来生物による環境破壊は世界中で問題になっている。

島国であり貿易国である我が日本国は、その被害に やたらと遭っている印象を受ける方もいるだろう。 日本固有種がそれにより住処を追われて絶滅の道を辿っているのは事実だ。

だがしかし。 被害者面はいけない。 日本の生物も外国へ渡ってしまい、被害を出しているそうだからだ。 ナンテコッタ。

生物に罪は無い。 ヒトが悪い。 自然淘汰と言うには人工的なそれらは、どう言い訳出来ようか。

そして、俺に生えた犬耳やフサフサ尻尾も。 失った我が愚息も。 ヒトは どう言い訳出来ようか。

 

 

「見て見てあんじゅ! 虹だよ!」

 

「わーい! 綺麗だね! たっのしー!」

 

 

だが生物は強い。 生命は道を見つける。

このように順応し、適応し……生きとし生きる事が出来る。

ありがとう。 みんな、ありがとう。 ヒトから解放された俺は今、生きている!

 

杏樹臨時職員の異変。 それは野生化であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、俺は森で過ごしている。 住処は初代キタキツネの別荘だ。 見た目はログハウス。 漫画版で出たアレだ。

雨風を完全に防げるワケじゃないが、野宿よりマシだ。 フレンズの中には木の上や土の上でも寝られる子もいるが、俺にはムリィ。 まだ文明を捨てきれてない証拠だよ。

その内に知り合いのフレンズも増え、初代キタキツネのナワバリは俺とニホンオオカミのナワバリという認識になった。

理不尽な世界に己の安息の地を得る。 これが如何に難しく喜ばしい事か。 やはり、来て正解だったな。

それから、多くのフレンズの助けを得ながらも今日まで生きてきた。 幸い、フレンズ化の都合か。 俺はセルリアンとも戦える力を持っていたから、自己防衛程度なら なんとか出来る。

それと変化としては、パークにラッキービーストがフラつき始めた事か。

録画機能等があるから、俺の居場所がヒトにバレてる可能性が大だが、もうビクビクするのはやめだ。 強制的なチカラが働いたら自己防衛である。 いや、正当防衛か。

ラッキーはまだ、ボスとは言われていない。 が、ジャパリまんを配り始めてるから、そういう ありがたい存在だという認識。

因みに。 ヒトなのか けもの なのか 微妙な俺を見たラッキーの反応は……例の『アワワワワ』だった。 たぶん、どっちつかずで そうなったのだろう。 可愛いやつめ。

初めてなのに初めてじゃない光景。 新鮮さと懐かしさを感じて、ちょっと笑顔になれたね。

 

かのようにして。 平和な日々を過ごしてきた俺とニホンオオカミであったが。

忘れていた、例の異変の兆候が姿を見せる事になる。

 

 

「火山の様子が おかしいって?」

 

 

ある日。 たぶん第2世代のフェネックや、他の子達が俺に教えてくれた。

 

 

「そうみたいだねー。 他のちほー にいる子たちも知っているんだけど、あんじゅ にも伝えようと思ってさー」

 

「わざわざ ありがとう──アライさん、元気かい?」

 

「元気だよー。 どうして?」

 

「いや。 無事かなって」

 

「そっか。 気に掛けてくれるのは嬉しいなー。 大切なトモダチだから。 でもあんじゅも自分の事もね──それじゃー」

 

「おう。 気を付けてね」

 

 

賢い子との会話は、文明的で良い。 初代フレンズと比べると文明度は、やや劣る傾向にあるから……いや、そうじゃない。

今は単純に嬉しいのだと素直に感動しよう。 余計な事は考えるな。 昔を思い出しちゃうから。

大切なのは今だ。 そう言い聞かせて、木々の間から火山を見る。 パッと見は普通だけど、フレンズ化した影響か。 嫌な感じがする。

そして、あの結晶は まだない。

 

 

「四神にセーバル。 ヒトのチカラ無しに救えるのかな?」

 

 

文明から少し離れた今。 俺は彼女たちを救えるのだろうか。

取り敢えず、会いに行こうと思う。 道中は険しいが……それもまた、冒険。 楽しもう。

 


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