パーク職員です。(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文。
戦闘は向かない……。


白虎と稽古

 

四神とは。

中国の神話、天の四方を司る霊獣。

 

それぞれ、

東の青龍。 南の朱雀。 西の白虎。 北の玄武。

 

奇跡の島、ジャパリパークでは神話の四神もフレンズ化しており、東西南北からパークを守っている。

守る、といっても余程の事態が無ければ動かない。 基本は現地のフレンズ任せであり、そんなに働き者ではない様子。

そんな四神だが、例の異変では流石に動いたとかないとかで、結果はフィルターを貼れた代償にプレート化。

フレンズの姿を失う。 そして、セーバルは結晶に……。

その話は、研究所は知っているが どこまで頼って良いものか。 欲で動く連中だ。 良からぬ事を企むので忙しいだろう。 失望する。

 

 

「俺はヒーローじゃないしな」

 

 

それでも。 それでも 俺はやらなきゃならない。

知っているのに、動かないのは罪だ。

その意味では罪を作り続けていくヒトと俺の人生だが、何もしないよりマシだ。 マシなだけだが。

 

 

「会おう。 会って、話して……何か変わらないかも知れないけど、何もしないよりマシ」

 

 

そう思わなきゃ、行動出来ない。 情けない。

先ずはオトモを連れて行かねば。 ニホンオオカミもだが、神と同じ名を冠する神域の彼女を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、お願いしますホワイトタイガー先生!」

 

「おねがいしまーす!」

 

「任せろ」

 

 

少し離れた場所。 独りで住む白虎に、ニホンオオカミと共に お願いする。 アッサリ引き受けてくれた。 チョロい。

 

 

「四神の びゃっこ……我と同じ名を冠する 神 もいるのか。 興味深い。 是非、お手合わせ願いたいものだ」

 

「戦いに行くんじゃないからね」

 

 

拳を握る彼女に、一応の注意はしておく。 事あるごとに拳で語ろうとするので。

武道派ってヤツだろうか。 ナニを考えているのか、よく分からない。 世界共通用語だと思っているのかも知れない。 良い子と いちいち殴らないでくれよ。

それと神さまは、とんでもなく強いです。 独りじゃ勝てません。 たぶん。

そう思ったからか。 白虎がおもむろに声を掛けてくる。 稽古の話だ。

 

 

「あんじゅ。 フレンズになった経緯は、詳しくは聞かない。 だが道中セルリアンと戦う事もあるだろう。 それにはチカラがいる。 出発前に軽く稽古してやろうぞ」

 

「いや、そういうのは良いから。 時間が惜しいから」

 

「……そうか」

 

 

しゅん、と垂れ耳になる白虎。 分かりやすい分、罪悪感が。

 

 

「私が代わりにやろうか?」

 

「いやいや、ニホンオオカミよ。 そういうんじゃないんだ。 時間が、ね?」

 

「慌てても仕方ないよ。 四神って、とーざいなんぼく? で、いる所が遠いんでしょ? 少しでも準備した方が良いよ」

 

 

ぐっ。 2対1とは卑怯也。

仕方ない。 付き合うか。

 

 

「少しだけだぞ」

 

「…………ッ! よ、よし! 早速始めるぞ! 構えろ!」

 

 

表情一転。 白虎がパッと明るくなり、戦闘の構えを取る。

右手を背後に高く上げ、左手は俺に向ける。 共通しているのは かぎ爪にしているところか。 けものっぽい。

 

 

「じゃー、うん。 お手柔らかに」

 

 

対して、俺はラーテル風に喧嘩姿勢。 ジャブを繰り出せるような姿勢で低く構えた。

喧嘩なんて避けてきた俺だが、フレンズ化して久し振りに拳を作り始めた。 それもセルリアンという、謎の存在相手に。

アイツらは喋らないから良い。 考える必要もなく、容赦なく、遠慮なく殴れる。

フレンズとヒトの共通の敵とはよく言ったものだ。 ストレス発散用サンドバック。

もちろん、反撃には気を付けないとならないが、それにだけ気を付ければ有用かも知れない。 あいや、冗談だ。 半分はマジだけど。

 

 

「雑念があるのか? 拳が揺れているぞ」

 

 

おっと。 先生に指摘を食らったわ。

集中しなきゃ。 こういうのは苦手なんだがな。 特にフレンズを相手にするとか抵抗しかない。

別に舐めている訳じゃない。 白虎の強さは見た事がある。 百体組手とか無理。 俺なら集団レ●プのバッドエンド待った無し。 そんだけいるセルリアンにも驚きだけど。

 

 

「ごめん。 でも、トモダチを殴るのはちょっと」

 

「なに。 そんなヤワな鍛え方はしておらんよ。 遠慮なく打ち込んで来い!」

 

「頑張れ あんじゅー!」

 

 

そう言われても。 勝てる気もしないし、痛い目に遭いそうで寄りたくない。

でも、やらないと進まない。 やるか。 決意大事。

 

 

「うりゃあああ!」

 

 

右手で殴りかかる。 すると、勝手に右手が白く輝く。 アニメでもあったな。 サンドスターやロウが反応しているのだろうか?

そんなポケ●ンな、或いは虎が如くなエフェクトを発した拳が白虎の頭に突き出されるも、

 

 

「ハッ!」

 

 

ヒョイっと頭と胴体を横に仰け反らせて簡単に躱す白虎。

ですよねー。 当たるとは思ってなかったけど、こうも簡単に回避されると驚くよ。

して、レベル差に愕然とする。 俺が1なら相手は100なんじゃない?

 

 

「面積の小さい部位を狙うんじゃない。 それとだ、大振り過ぎる。 それでは隙だらけだぞ。 もっとコンパクトにだ!」

 

 

指摘されるけども。

 

 

「こうかぁ!」

 

「甘い!」

 

 

避けられまくり。

 

 

「ここかぁ!」

 

「まだだ!」

 

 

時間ばかりが過ぎて。

 

 

「我からも行くぞ! 避けてみろ!」

 

ゴフッ!?

 

「ああ!? あんじゅ しっかり!」

 

「すまん! 深く入り過ぎたか!?」

 

 

白虎の鋭い突きが、腹に刺さり気を失った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず この稽古とやらで分かった事がある。

 

俺に強敵相手の戦闘は無理だという事。 大型を見たら、無理せず逃げよう。 うん。

 


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